Faces - First Step

First Step  ロックの系譜ではストーンズの後にリトル・ストーンズと呼ばれたバンドとしてフェイセスを紹介する節がある。今ではもうそういう言い方もしないのかもしれないが、言い得て妙な部分もあり、こだわりを持っていた頃は「んなこたない、フェイセスはフェイセスでストーンズの子分じゃない」なんて言い張ってましたが…(誰に?)。いやや、なるほどリトル・ストーンズとは上手く云ったものですな。もちろん全然意味が違うので子分ってのではないですが。

 ジェフ・ベック・グループから脱退したロン・ウッドがタイミングを見計らってロニー・レインに俺を入れてくれ、って云ってロッドと共に参加することになったスモール・フェイセスだったが、でかいツラした二人が入ったためSmallを取っ払って単なるFacesになったというバンド。いきさつで云えば簡単そうに聞こえるけど、メインソングライターのスティーヴ・マリオットを失った英国ロック史に名を残すメンバーに取ってみればこれこそ救世主とばかりに相乗りしたのかもしれない。そんなファーストアルバムが「First Step」という作品。アメリカ盤では「small faces」と書かれていたりするようだが、実際にはfaces…。レアだったりするのかな。昔レコードを探していた頃はどっちも良く見かけたけどさ。

 いやぁ〜、なんというのか、まだまだあの酔いどれバンドという感じの強くない出来映え…、割とブルースベースではあるけどカントリーチックなロニー・レインの曲もあったり、土臭い感じのロックもあったりして面白い。特徴的なサウンドは?って云われると困るけど、多分最初の「Wicked Messenger」で好き嫌い分かれるかも。これでグイグイと引っ張り込まれるのはこの手のサウンドが好きな人ですね。ロン・ウッドも弾きまくってるし、ロッドの歌声はもうかっちょよいの一言でグイグイと聞かせてくれる凄さ。他のメンバーは確かに影が薄くなってもしょうがないか、と思うくらいロックな傑作に仕上がっている。後のアルバム「ロング・プレイヤー」「馬の耳に念仏」などの方が有名と云われるが、それは酔いどれロックバンドの真骨頂が出ているという意味での評価が強く、自分的にはこの「First Step」での香りが好きだね。英国的な…ともすれば凄くB級にもなりかねない音だし。ま、ロッドがいたからそれはなかったけど(笑)。

 ジャケット見るとさ、ロッドがまだ小さく縮こまってて…、後から参入したハズのロニーはど真ん中にいるし、不思議な関係。そしてスモール・フェイセスの頃のサウンドはまったく表に出てくることがなく、完全に別バンドになってしまっているのも面白い。たった二人の加入なのに音楽性がガラリと変わってしまったバンド。そして名作。いいね。ロックだよ♪

Faces - Long Player

Long Player  酔いどれロックンロールバンドとして名高いフェイセス。後期には山内テツを迎えて活動継続するもやっぱりバンドメンバーの自由勝手さが祟って解散。まぁ、しょうがないな、って感じでそこもいい加減なところが彼等の強みか(笑)。しかし山内テツさんって凄いよなぁ。フリーが上手く行かなくなったらフェイセスに加入しちゃうんだもん。しかもほんの数年の間の出来事なのにね。

 そんな山内テツさんがフェイセスでレコーディング的に残してあるのは「ロッド・スチュワート & フェイセズ / ライヴ」だけで、これもかなり名盤と名高いんだけど、本日はちと別趣旨へ♪ いや、フェイセスの名盤って言うと「馬の耳に念仏」が挙げられるし、それもまた良い作品なんだけど何となくロンのスライドが聴きたくなったのでセカンドアルバム「Long Player」を久々に引っ張り出したのさ。

 おぉ〜、最初からご機嫌なヘタウマなノリのギターの音色でロックンロールしてくれるぜ〜。そしてロッドの歌も巧いなぁ、ホントに。音的にはスカスカだしテクはないけど、なんかかっちょいいじゃん。やっぱロックンロールってのはそういうもんさ、みたいなのがいっぱい出てる。そんで次の曲はロッドのバラードちっくな作品「Tell Everyone」で、こういうところで弾いているロンってセンスあるよな。音程はかなり危なっかしいけどこういうギターもありだよな、と思うような感じで曲に華を添えているっつうかね、よく練らないと非常にコワイ音いっぱい使ってるけど多分気にしてないだろう(笑)。アルバム全編そんな感じだもんな…。

 さて本アルバムの目玉と言えばロニー・レイン在籍時のライブとしてはこのアルバムに収録されている2曲だった。しかも一曲がポール・マッカートニーの曲(らしい)で個人的にポールは聴かないので原曲は知らないけど、かっこいい曲だよなぁ、これ。やっぱこの人達ライブの方が思い切りノリが良くていいね。もう一曲は名曲「I Feel So Good」。う〜ん、ロックだねぇ〜。やっぱりグルーブが違うもん。ロンのギターもしっかりブルースとロックしててさ、鍵盤もロールしてて…、ああいいなぁこういうロックンロール。そんでもって最後が好きな「Jerusalem」。これこれ。これが聴きたかったんだよ。ドブロで適当なんだけどこんな心地良いライブ音源の後に最後の最後にロン一人で弾くドブロ曲を持ってくるセンスは相当良い。そしてこの音色も安っぽいけど味があって実に良い。感動したなぁ、これは。

Faces - A Nods Is As Good As Wink To A Blind Horse

A Nod is As Good As a Wink to a Blind Horse  名ボーカリストといえば「I'm Sexy」ロッド・スチュワートを取り上げないワケにもいかないかな、ってことでソロアルバムは大して知らないのでやっぱり代表的なバンドとしてフェイセズですね。しかもその3枚目となる最高傑作…珍しく素直に最高傑作を取り上げてしまったんだけど、邦題「馬の耳に念仏」→原題「A Nods Is As Good As Wink To A Blind Horse」。う〜む、西洋にも同じことわざがあるんだなぁと改めて知ったアルバムでもあるな(笑)。馬に例えるのも同じってことは多分起源も同じなんだろうし、恐らく意味も同じだろうから言葉が世界に広まる頃には既に使われていた語源なんだろうなぁ、不思議だな。どこからどうしてそうなるんだろうか?世界の謎は多い、うん、そういうのも好きなんだけど…、本題に戻ろう(笑)。

 元々スティームパケットっていうバンドで活動していたロッドは第一期ジェフ・ベック・グループのボーカリストとして初めてメジャーグラウンドに登場し、同じ顔つきのロン・ウッドともそこで知り合うこととなり、このベックバンドにはベックを含めて似たような顔つきの人間が三人揃ったことになるんだが…、それは良しとして、そのロン・ウッドと共に当時Small Facesが崩壊寸前だったロニー・レインとの絡みから二人で参加することになったらしくって、Small Facesは全員小柄だったのでそういうバンド名だったんだけどロッドとロニーが参加すると全然小柄なバンドじゃなくなるのでSmallを外して単なるFacesになったらしいけど、デビューアルバムは何故かSmall Facesってなってたらしい。自分が知った時はもちろん何回も再発された頃なのでFacesってなってたけどね。ファーストはまあ挨拶程度でいくつか良い曲あるけど、って感じ。セカンドはね、これも曲によって善し悪しあるんだけど「エルサレム」ってスライドギターの曲が好きなんだな…、あ、今回はロッド書いてるんだっけ、話をボーカルに持っていかないとな(笑)。

 で、三枚目の真骨頂アルバム。やっぱ「Stay With Me」が筆頭なんだけど当時リトル・ストーンズと呼ばれるくらいに素直なロックンロールで実に良い。アルバム全体としても完成度が高くってバンドは下手でもロックンロールは最高なんだ、という理論を体現してくれている。良い意味でね。ロッドの類い希なる歌声は一発でソレとわかる特徴を持っていて且つ実はかなり高い音域まで歌えて、しかもルックスが良い。バンドの連中は飲んだくればっかなんだけど才能ある人達ばっかだからね、もっとマジメに練習してたらもっと凄いバンドだったかもしれんけど、そうじゃないところがこのバンドの愛すべきトコロ。こないだようやくボックスセットがリリースされたんだけど、もちろんファンには楽しめる内容なんだけど、その中にさ、BBCでのライブが入ってて、ようやくロニー・レイン時代のライブがまともに聴けるようになってきて、これがね、やっぱライブは良いよ。テツが入ってからのライブも好きだけどやっぱ違うもんなぁ。ロッドの気合いも違うと思うしさ。

 ロッドの気合いと言えば、昔ビートクラブか何かでフェイセスのライブビデオを流していて、それが凄くかっこよかった。真っ暗な狭いステージを横から撮ったヤツでさ、多分今でも何かのビデオに入って出てると思うけど、熱いんだよね。んで「Feel So Good」とか「Stay With Me」やっててさ、うわぁ〜ロックだ〜って感じ。ロッドも昔はこんなロックだったんだって見直したもんな。だから今でも正当に評価しているし、ロック時代のロッドは凄い人だと思うよ。

Faces - Ooh La La

Ooh La La  スモール・フェイセスから大きく進歩?してフェイセスとなったバンド=ロンとロッドのキャラクターに持って行かれた感の強いバンドなんだけどね、ロッドのソロでの成功もあってバンドとしてはかなりギクシャクとした人間関係の中で行われていたレコーディングセッションがこの4枚目の「Ooh La La」という作品。っつうかこれでロニー・レインが脱退しちゃうんだけどさ、それもこのアルバムでロニー・レインが自分の作風をしっかりと見つめ直して、できるということがわかったからなんだろう、と思う。

 体面上はFacesとなっているけど、実質は半分ロニー・レインのアルバムに近い…、いや、歌がロッドだからとてもそうは聞こえないけど、実際はそんな感じだ。言い換えるとロッドのスワンプ的歌声を発掘してしまったのがロニー・レインってことかもしれないな。ロニー・レインのこの後のソロアルバムとか聴いてるとわかるけどカントリー、スワンプ的な方向性のものが多いし、これもまた傑作なんだけど、そういうのがこの「Ooh La La」というアルバムで思い切り出てきててさ、元来のR&Rバンドっていうのから逸脱してきている。最初の「Silicone Grown」なんてのは思い切り3コードR&Rだけど、どんどんレイドバックしてきてるもん。B面なんてモロにそういう傾向が強くて、「Glad And Sorry」ってのがさ、ロニーが歌ってるからもう思い切りレイドバックしてるし(笑)。

 有名なのはアルバムタイトル曲ともなった「Ooh La La」だよね。ロッドが今でも歌っているから自分もフェイセスだったし、これは残ってるんだなぁ…なんて思ってたけど、実はこのアルバムに収録されているオリジナルバージョンはロン・ウッドの歌なんだよな。だからロッドは自分の在籍していたバンドながら自分で歌わせてもらえなかった曲をカバーしてるってことだ(笑)。なかなか面白い仕打ちになっていてロニー・レインも大笑いってとこか。ロン・ウッドからしてみたらやっぱりロッド歌う方が良いだろうってのはあっただろうから、こちらはしてやったり、か。

 この頃ロッドは天狗になっていたのもあって、あまりレコーディングにも顔を出さずに大物ぶっていたとか?フェイセスはバックバンド化するのかどうか?ってな瀬戸際だったみたいで、実際ロッドのソロのバックはフェイセスだったからねぇ…。独特のR&R色は消えているけど、新しい局面を迎えたフェイセスというバンドもこの後山内テツを迎えてライブアルバム「ロッド・スチュワート & フェイセズ / ライヴ」出しておしまいになっちゃったのも必然的かも。そしてロッドは大きくアメリカに羽ばたく、か。でも、この「Ooh La La」ってアルバム、実はかなり秀作なので、見過ごしていると勿体ないアルバムだよ。イアン・マクレガンのピアノが要所要所で良い味出してるし、ロニー・レインもベーシストとしても結構弾いていてハズせない。

Faces - Coast To Coast/Live

ロッド・スチュワート & フェイセズ / ライヴ  暑い天気の中、ふとアイスクリーム屋さんに入ってみる。うん、たまにはこういうアイスクリームなんかもよろしいねぇ~、なんて注文して食べているのだが、何やら聞き覚えのあるメロディと声がBGMで流れているではないか…。こういう所で予期せぬ音楽に出会うと結構ご機嫌になるってもんだ。Facesの「Stay With Me」だったんだけどさ、このタメの効いたノリが堪らなくかっこ良くてね、ここのところ聴いてなかったので余計に響いた。シンプルなR&Rってのはやっぱり良いね。

 オリジナルアルバム的にはもちろん名作三枚目の「馬の耳に念仏(紙ジャケットCD)」に収録されているんだけど、そちらは以前に書いたことあるので、丁度BGMで流れてきたバージョンがライブだったので、ロニー・レイン脱退後、即ち山内テツが加入した後のライブアルバム「ロッド・スチュワート & フェイセズ / ライヴ」を取り上げてみた。何と言ってもですね、自分がFacesと言うバンドを初めてまともにアルバムで聴いたのがこの「ロッド・スチュワート & フェイセズ / ライヴ」だったんですね。ロックに目覚めてFacesの名を知る頃にはもちろんFacesのアルバムなんて全然手に入らない頃でさ、唯一この「ロッド・スチュワート & フェイセズ / ライヴ」だけは割とよく見かけたんで聴けた。その割にはなんかイマイチかな~なんて若気の至りの頃は思ってたけどさ、もちろんしばらく聴いているとフムフムって感じでR&Rを楽しむようになるんだが、どうしてもロッドのソロ曲に違和感あったりしたんだな、多分。今じゃロッドのソロ作も大体聴いて知ってるし、それこそFacesとロッドの境目もなく楽しめるライブアルバムってことで良いんだけどね。

 Facesとロッドのソロからアチコチ散りばめられて好き勝手にライブで演奏してました的なライブが詰め込まれているので、この頃のFacesというバンドがよく分かる。ロッドの勢いとロン・ウッドのギターとイアンのピアノはかなり上機嫌ではあるが、どうしてもドラムのドタバタさと山内テツ氏のベースがやや浮き気味な面は否めない。ライブで生で聴いている分には全然楽しめるライブだったことは間違いないだろうけどね。まぁ、そんな細かいことこだわらずに楽しもう、ってスタンスではホントにこんなにシンプルなくせに唯一無二のR&Rバンドっていうのが凄い。ロッドの歌声とノリなんだろうね。それにしてもジミヘンの「Angel」を全盛期のロッドが歌うっつう奇跡のようなカバーが涙を誘うし、その後の「Stay With Me」のかっこ良いこと…、好きだねぇ、この曲。グイグイと迫るヘタウマギターとロッドの歌声に、このドライブスする曲調。それにアルバム上最後はジョン・レノンの「Jealous Guy」だけど、まぁ、実際の曲順はどうだったか知らないが、ロッドの歌だもんねぇ。やっぱFacesってヘンに器用だった部分あるよな。

 な~んて感じでR&Rと言いつつもロッドの曲が結構入ってるので割と聞かせる曲も多くてさ、期待したほどR&Rばかりじゃないのが良いのか悪いのか…、でもね、良い曲ばかりなのは確かだ。今でもあまり評価されていないアルバムみたいだけど、別に悪くはないし、数少ない音源の中で全盛期にリリースしたライブアルバムなんだしさ。やっぱ時代の空気はパッケージされているもん。

Faces - Snakes & Ladders

スネイクス&ラダーズ(ベスト)(紙ジャケットCD)  あまり知らないけど興味あるっぽい音楽に手を出す時には手頃なのがベスト盤ってヤツでして、自分もどんなもんかな、って聴いてみる時にはその辺から手を出すってこともあったけど、やっぱりそれは最初だけで、やっぱりオリジナル盤を最初から聴いていくのが筋だろ、ってなってレコードを集めていった。ベスト盤ってお得なんだけどどうもそれじゃない、ってのもあってあまり好んでは聴かない。特に好きになったバンドは。でも、やっぱり入り口としては適当だろうし、どれもこれも凄い曲のバンドじゃなきゃベスト盤で事足りるってのもある。いつしかベスト盤に求めるものはそれにしか入らないオマケの曲だったりヘンな編集だったりするというニッチさ加減…。

 Faces聴きたくなってね、ベスト盤だけど手頃で、更にシングル収録曲が入ってるからってことで手に入れていた「Snakes & Ladders」。最初の「玉突きリチャード」だけがシングル収録曲、アルバム未収録曲だったからって事だけで入手したんだが、そういうの昔は多かった。それだけのためにアルバム買うとかね。それも楽しみだったから良い思い出だが、今じゃ曲聴きたきゃDLかな〜って時代?でもさ、案外そうでもないんだよね、ロックの世界は。やっぱり簡単にはDLする所に無かったりするからCD探したりするしさ。編集盤ってのは再発されなかったりするから結構レアになっちゃったりもするんで、アイテム価値的には楽しめる。

 この「Snakes & Ladders」はそのR&Rな一曲がさすがFacesと唸るばかりのナンバーでそりゃもちろんベスト盤だから聞き所満載のチョイスなんだけど、何かしっくり来ないな〜、何でだろ?アルバムとしての空気感のパッケージが無いからか?オリジナルアルバムばかり聴いてたから曲順に違和感あるのもあるか。FacesってレコードだけだとなかなかそのR&Rぶりがわかりにくくて、割と器用だから繊細なアコースティックも出したりするし一筋縄でいかないバンドだもんね。ロッドの歌声もやっぱり凄いしロン・ウッドもギター的ではないギターと曲へのアプローチは斬新ですらあるし、今でもこういうギター弾く人は少ないしさ。やっぱりこういうR&Rはかっこいいな。落ち着いて楽しめるR&Rです♪  そうそう、それでYouTubeでビデオ漁ってたら驚くことに山内テツと一緒にやってるライブ映像があってさ、なんかカッコイイじゃないか〜って。こんなのは見たことなかったな〜、チェックがお粗末だからしょうがないが、いいもん見れた。

Ronnie Lane - Ronnie Lane's Slim Chance

Ronnie Lane's Slim Chance  Small Faces、Facesとバンドが続く中、才能に恵まれつつももっと才能あふれるミュージシャンとバンドを組んでいたが故に目立つ機会がそう多くは見かけられなかったロニー・レイン、その才能が注目されたのはバンドがどれも解散した後だったかもしれない。そういうミュージシャンって結構いるんだろうなぁと改めて思うんだけど、まぁ、運命か。スティーブ・マリオットの影になり、ロッド・スチュワートとロン・ウッドの影になり、ようやく自身の思うままのアルバムを創りだしたのが1974年から、その時にはFaces時代に既にアルバムの中でリリースしていた楽曲を再録して自分のやりたかったアレンジ出していたりするが、それはセカンドアルバム「Ronnie Lane's Slim Chance」でもあって、余程色々な楽曲を自分の色にしたかったんだろうなと。

 1975年にリリースされたロニー・レインのスリムチャンス名義でのセカンドアルバム「Ronnie Lane's Slim Chance」。Small Faces、Facesと熱いロックを思うと、時代もあるのか…いや、クラプトンなんかも同じだけどさ、妙にレイドバックした、もしくはスワンプなカントリーチックな望郷を求めるかのようなアルバムの作風で、それはそれでファンを獲得しているんだけど、自分的にはあまり聴く類の音ではないな。巷ではロニー・レインのソロ作のどれもが名盤だ、みたいな扱いを受けていたりするので評価は高いんだけどね。まぁ、そのヘンは好みもあって、しょうがないところだろうけど、英国スワンプと言うか、この類の英国ロックの中ではそりゃかなり水準高いのは間違いない。洗練されているっつうか、カラフルな音を使ってのレイドバック作品だから単にノスタルジーってワケじゃない。

 なんかねぇ…、悲しいんだよ、こういうの聴いてると。アルバム中数曲がこういうのなら光るんだけど、アルバム全編だとちょっと最後に物哀しくなっちゃって…、そういうトコロが英国的でもあるんだが…、そう思わせてしまうトコロがプロなんだろうな。ちょいと調べてみればカバー曲が結構多いらしいので、元々のアメリカのカントリー系の音としてはそんなに暗くないんだろうけど、ロニー・レインのフィルターを経由するからなのか、切なさを付帯してしまうんだな。それもまたロニー・レインの個性。出来映えはもちろん秀逸で聴いてみる価値は存分にあります。

Ronnie Lane - Anymore for Anymore

Anymore for Anymore  ロニー・レインがフェイセスを離脱した背景にはロッドとロンによる酔いどれR&Rバンドの傾向が強くなりすぎて自分の求める音楽像からかけ離れていってしまったことだろうか。ロッドの作品なんかを聴いているとロニー・レインが参加しててもおかしくないと思うのだけど、派手なショウマンシップな世界を好まなかったのかもしれないな。フェイセスの中ではちょっとインテリジェンスな雰囲気を出していたからさ。そんな事でさっさと人気絶頂だった1973年頃にフェイセスから離脱。即座に自分のやりたかったアメリカンスワンプ、パブサウンド的なものに着手。その傾向はフェイセスの「ウー・ラ・ラ(紙ジャケット)」で顕著に表れているのでわかりやすいんだけど、もっと推し進めた自身の趣味の世界といったところか。

 1974年にリリースされた名作「Anymore for Anymore」でロニー・レインがやりたかった自分の世界をアピール。なるほど、ここまでアメリカスワンプな世界にどっぷりと浸かりたかったのか、ってくらいにパッと聴いているとアメリカなサウンド。ちょっと知ってる人だと英国人が奏でるアメリカスワンプへの情景ということに気づくだろう。それは英国のパブロックにも通じる話だけど自分的にはスワンプですね、これ。驚くことに英国的な人脈の繋がりってのがあってさ、バンドの名はスリムチャンスなんだが、その面々にはギャラガー&ライルの参加、またBlossom Toes…英国の60年代末期に出てきたサイケデリックロックバンドのメンツなんてのも参加していて、同時代のバンドの連中だからSmall Faces時代からの知り合いなんだろうなぁ、とどこか黄昏てしまう。そんな音楽ってのもあるが。

 「Anymore for Anymore」ってホントにリラックスしまくりです。ロックとかいう世界で聴くのじゃなくて音楽としてリラックスして聴くものでさ、力の抜けた作品。一時期のクラプトンなんかも似たようなトコロあるけど、ロニー・レインも色々と疲れたんだろうなぁ、なんて。単にこういうのがやってみたかったってだけかもしれんが。秋のウチに何度も聴くとかなりの名盤なんだなってこともわかってくるような作品。自分ではやっぱりそんなに熱心に聴かないんだけどハマる時にはハマる、そんなアルバムだね。あるb無っつうかロニー・レインのソロになってからの作品って大体そういう音だから。  しかし…CD凄いことになってるな(笑)。ボーナストラックの豊富さは嬉しいとしても発売数量が少ないのは問題だろ、このアマゾンの価格は。こういうのが稀少盤として狙われやすいんだろう。

Ronnie Lane - See Me

See Me   久々に違う意味で熱くなれたアルバムです。ロニー・レインの現役遺作になるのか?「See Me」というソロ活動後4枚目のアルバムで、1976年に録音開始したは良いけど例の病気が発症したことで録音は中止、その後ピート・タウンゼントとのジョイントアルバム「Rough Mix」の方が先に出来てしまったが、その流れからかピート・タウンゼントがこの作りかけのアルバムを完成させることを手伝ってくれて、おかげでエリック・クラプトンとのジョイントも実現した作品になり、ようやく1979年にリリースされたという足掛け3年以上のアルバム。

 もちろん制作初期の作風と発症後の作風では趣が異なるのだろうし、聴いていてそんな気がする曲のトーンも幾つか感じられるが、元々脳天気で明るい曲ばかりを演る人じゃないからロニー・レインってこういうモンだよなってのはある。でもねぇ、やっぱりちょっと切なくなりますね。結局1997年まで生き抜いたんだからこれが最後ってのもちょっと意味合い異なるんだけどね。

 作風はいつも通りのスワンプ的と言うのかな、ジョージ・ハリソンとか同じ香りなんだけどどうしても何か悲しくなるような歌声と曲、ロックなのにさ。そういうハートに染み入るってのを最近体験してなかったからじっくりと染みこんで来てしまって…冒頭の文章になるワケ。やっぱり自分は弱い人間なんだな〜とか暗い人間なんだな〜、とか甘えてるな〜とか思っちゃうワケで(笑)、そんなのをこういう音と歌で聞かされるとハマっちゃう、みたいな。ノリノリの時に聴くもんじゃないです。で、今ダウンか?と言われると別にそんなこともないんで、構えることなく普段の時にふとこういうのがハマっちゃったりね…、ロニー・レインいいな…。

Ronnie Lane - One For The Road

ワン・フォー・ザ・ロード+1(紙ジャケット仕様)  英国人によるアメリカ音楽、特に南部音楽系のスワンプ・ロックへの傾倒はクラプトンを始め、ジョージ・ハリソンやファミリーなどなどメジャーなバンドや人達からマイナーなミュージシャンまで様々なアーティストが惹き込まれて挑戦していった。もちろん名盤と呼ばれるものもあれば風味レベルで終わったものまで多数輩出しているワケだけど、自分的にそのヘンはかなり苦手な部類でして(苦笑)、英国スワンプからパブ・ロックってのはほぼ全く通っていない。後追いでもそのヘンは追求していない世界でして、そんなことだから英国ロックってのは深すぎて追い切れない自分がまだまだいたり…、ちょいと前にNHK FMでブリティッシュ・ロック三昧を二日間に渡って放送した時、ほぼ全部聴いてた感じだったんだけどこのヘンのスワンプ系とかパブロック、ニューウェーブ系統などなどまだまだ知らぬ世界はいっぱいあるな〜と思って聴いてた。最初はさ、大体知ってるだろ、と思って聴いてたんだけど、甘かった(笑)。

 さて、その少ない知識の中から英国スワンプ・ロックとして自分的にはまだ制覇できてないけど気にしてるのがロニー・レインのソロ作品。スリム・チャンス名義だったりするけど、The Small FacesからFacesへと派手なバンドの中心人物でありながら性格的にはこじんまりした方面が好きという正にひねくれ者的な部分が英国らしく、また音楽に対するスタンスもロッドやロニーとは全然異なる方向へと進み、こじんまりと小さな所で好きにプレイする事を好んだと言う。まぁ、後から入れた奴らが大成しちゃったんだからそりゃまぁ、ヒネるのはわかるが…。

 1975年にリリースされた三枚目のアルバム「ワン・フォー・ザ・ロード」では当初から描いていたパブロックと言うかスワンプと言うか、思い切り英国的な土着音楽と言うか、アコースティック中心に歌い演奏するシンプルなスタイルでの傑作となった。この人のソロ作品はどれもこれも外れはないんだけどコレ、っていうのもないのが難しい(笑)。感性が鋭くて敏感なんだな〜ってのがよく分かる繊細な作風と音が物語っていて、これがあの酔いどれロックバンドのベーシストだった人なのか〜とそのギャップは驚くが、さすがに時代が35年も経過すればロニー・レインってそういう人だよね、ってのも浸透しているか。

 「ワン・フォー・ザ・ロード」はその前の作品群と基本路線に変化はなく、佳曲が揃っていると言って良いが、狙い通りに大衆向けでもなくパブで受ける向けの素朴な音ばかりが詰め込まれている。ロック的にエネルギーを感じるワケでもないし、パフォーマンスもない。ただ歌を歌い演奏しているという感じで、リラックスした雰囲気なので好む人は好むだろうし、装飾なしの音とメロディでちゃんと楽しくアルコールありで楽しませてくれるっつう側面が強いね。タイトル曲「One For The Road」なんてその最高峰かもな〜、凄く良いし、これはもう英国では受けるだろうなぁ…。

Lane / Marriott - Majic Mijits

マジック・ミジッツ  ロニー・レインとスティーブ・マリオットが一緒にやった幻のセッションアルバム「Majic Mijits」。…って何のこっちゃ?って最初思ったんだよね。そもそもSmall Facesの二人なんだから…とかそんな風に思っちゃったワケ。ところが紐解いてみればスティーブ・マリオットがハンブル・パイ再結成後も疲れ果てて英国に戻って新しいバンド組んでる時にロニー・レインの難病の事を聴いて一緒にアレコレやってたら盛り上がっちゃってね、結局それぞれ持ち寄った曲を一緒のアルバムに入れてちょっとだけライブやって、みたいになったらしい。結局諸般の事情でお蔵入りになっちゃったんだけど、その発掘音源ってことで今やふたりとも天上の人なワケだし、こういうのは一体誰が儲かるんだろうか?なんてのも思うけど聴けるだけ幸せと思っておいた方が良いか。

 それぞれの曲をそれぞれが歌ってるので昔みたいに融合性の高い面白さってのはないけどやっぱり引き締まるのかな、良い空気感が場を占めているのが分かる。個人的にはスティーブ・マリオットの方が好きだからそっちに気持ちが入るんだけど、それがまたロニー・レインがいるからなのかかなりライブのSmall Facesに近い感覚でさ、曲なんてこの歌声をもってすればどうとでもなっちゃうんだからそういう雰囲気とかムードみたいなのが一番なんだろうよ、マリオットには。ロニー・レインの曲はいつものように優しいのが多くてね、それもまた人の心としての想いだしさ、そんな二人の大人になった心意気が詰め込まれた傑作って言っていいんじゃないかな。こういうのをお蔵入りにしていたレコード会社ってのは如何に音楽を商品としてしか見ていないかってのがよくわかる。良い物をリリースしようって思うならもっと早くさっさとリリースされていたはずだしね。しかもツアーに出なきゃ契約しない、って…ロニー・レインのあの難病を知ってて言ってたんだろうけどさ、全く…、なんて余計な所に腹を立ててしまったものだ。作品はホント、最高。今回のリマスターDX盤「Majic Mijits -Remast-」も楽しみだね。

Pete Townshend And Ronnie Lane - Rough Mix

Rough Mix  ロニー・レインの人柄の良さもまた人脈を広げて様々なセッションが聴けるんだが、その象徴的な出来事といえば今や幻のA.R.M.Sコンサートでしょうかね。三大ギタリストの共演なんてのが話題になって他にもStonesな面々とポール・ロジャースやウィンウッドとかアレコレ…、話題の三大ギタリストの共演は興醒めな演奏だったもののイベントそのものは大成功の企画。これこそロニー・レインの人柄の良さを象徴しているワケですな。そんなことでロニー・レインのもうひとつの有名な共作アルバム「Rough Mix」です。

 1977年にリリースされた今度はピート・タウンジェンドとのジョイントで…、と言っても実際に共作品は一曲程度で一緒に歌ってるのですらほとんどないという、正にお互いの曲を持ち寄ってひとつのアルバムにしましたという感じの作品。どうやらロニー・レインがレーベルとの契約上でアルバムを一枚完成させなければいけなかった、との事らしく当時はThe Whoだったピートも後には世話になるATCOレーベル絡みもここら辺からか。

 この作品って結構不思議でさ、またまたゲスト陣が豪華でチャーリー・ワッツのドラムでピートの曲、とかクラプトンはこの頃アル中でピートと親交が厚かったので結構な曲数で参加しているし、それも相当リラックスしたギターを聴かせてくれる。そもそもロニー・レインの作品はアメリカスワンプ的だし、クラプトンもアメリカサザンに傾倒していた後だから枯れた感じがお互い良かったのだろう。ピートの作風はこの頃既にThe Whoに対するものとは異なったソロ傾向の強い曲ばかり。どうも世間的には相当評判が高く、またピートも今でもソロでここからの曲を数曲演奏するくらいだから気に入っているのだろう。もしくはロニー・レインへの敬愛からかもしれないけど。自分的には気持ちはわかるけど何回も何回も聴くものではないな。やっぱガツンとロックしていてほしいから。ただ、心地良いのは確かだし、秋には癒される音だな…。

 「Rough Mix」のジャケットって実はピートとロニーが映っていない細かい絵だけのヤツがオリジナルで、その後何のアルバムかわからないって言うので二人のショットを入れたのがジャケットになっている。確かにこっちのがポートレートアルバムっぽくて良いかなって気がするけど、そこまでこだわるものでもないか。しかし英国人によるアメリカへの羨望を音にするとこうなるんだな、みたいな感じ。しかも寄ってたかっての面々でのプレイだし。

Ron Wood & Ronnie Lane - Mahoney's Last Stand: O.S.T.

Mahoney's Last Stand: O.S.T.  ロン・ウッドって人柄の良さが顔に出ているし、こういうロックンローラーもそうそういない人。ギターが好きで酒が好きで女が好きで、でも良いヤツ、っていうのでさ、日本的な不良からのロックンローラーっていうんじゃない、もっと本当に心底天然のロックンローラーっつうか…、ハチャメチャ小僧だったんだろうな。そんなロニーってジェフ・ベック・グループからFaces、Stonesって流れる人なんだけどその間に絡んだ人脈全てと仲が良いままってのもこれまた人柄の良さか。そんな関係での共演盤となったロニー・レインとの作品をご紹介。

 1976年にリリースされた「Mahoney's Last Stand: O.S.T.」という同名映画のオリジナルサウンドトラックらしいが、映画自体は見たことないしほとんど話にも聞かないので非常~にマイナーな作品らしい。大体ロックミュージシャンがサントラを担当した映画はあまりヒットしたのを聞いたことがないのでそんなもんだろう。ロニー・レインがそのオファーを受けたのが1972年頃のことらしくて、音楽的センスの高かったロン・ウッドと…、当時まだ二人共Faces在籍中なのだが、その時点で曲を作り上げていた作品。映画の公開が遅れたことでアルバムリリースも1976年になったっつうだけらしい。

 そんなサントラなので中味はほとんどインストもの、これもまた思い切りアメリカスワンプした楽曲が多くて気怠いな~っつうトコロ。ロン・ウッドのスライドがいつもと違ってドブロ的ってのもアメリカンブルースを意識した感じ。ロックナンバーなんてのはほとんど入っていないに等しいアルバムだけど参加ミュージシャンは見事なものでFacesのロッド以外の面々とBobby KeysやMicky WallerやPete Townshendという面々。ロニー・レインの人脈も見事なものだ。

 その割には特にロックらしい音でもなくカントリーチックなサウンドばかりで特段二人の個性とか豪華ゲスト陣営の音楽性が発揮されているようには感じないのがちと期待外れ。ま、そんなもんか。そしてこの「Mahoney's Last Stand: O.S.T.」という作品、ジャケットの種類も豊富で何枚も出ている。昔は見つける度にこの二人で何枚もアルバム出してたのか?と誤解していたが全部同じ「Mahoney's Last Stand: O.S.T.」だったのだ。デニムシャツのジャケットが最初だったな。

Steve Marriott - Marriott

Marriott  英国は不思議だ。時代時代でなんとなく常に黒人並みの歌声を持つボーカリストが出てくる、しかもそれは紛れもなく本物だったりして黒い声を持つ白人として、またはソウルフルな歌声をもつ歌手として評されるのだが、大抵はあまり売れることなく渋いマニア向けの世界で留まるケースが多い。まぁ、ジョス・ストーンくらいになるとちょっとメジャー感もあるが、それだって一般人にはあまり知られていないだろうから、やっぱりソウルフルな歌声ってだけじゃなかなか大成出来ないのだろう。歌声、曲、時代性などが見事に融合して初めてスターが成り立つってか。ただ、このブログの主であるロックの世界じゃそんなのは大して関係なくって、聴いた人がどんだけ痺れることが出来るか、ってのが指標だ。売れてりゃその分知られる確立が高いだけで、そうじゃなくたって別に知る人は知るだろうよ。

 ハンブル・パイを解散させた後の1976年に速攻で自身のソロプロジェクトを進めていったスティーブ・マリオットだったが、ワガママ言えるほどレコード会社からは売れ筋な人と見られてはおらず、自身で作り上げた音源では物足りないと宣告されてアメリカへ渡ってセッションを繰り広げてらしくない音を作り上げる。それもまた本人は新しい刺激だったのかもしれないが、ちょっと不要だったんじゃないかな〜とも思える人選と楽曲アレンジな感じ。レコード会社は英国サイドと米国サイドとワケて一枚のアルバム「Marriott」としてリリースすることを提案、リリースとなった。当時から何十年もスティーブ・マリオットの力の入ったソロアルバムとして評価されてはいたが、時代が流れて発掘音源などもリリースされていくと当時スティーブ・マリオットが作り上げていたアルバムのフル音源なんてのも出て来て、「Marriott」で聴かれる英国サイドの拡張盤とも言える作品を聴いてみると、このままで良かったんじゃないか?とも思う。売れたかどうかってのは疑問だがアルバムの室としてはなかなかな気がするけどね。

 能書きから入ってしまったが、そのスティーブ・マリオットのファーストソロアルバムとなった「Marriott」はジャケットが結構かっこ良くて…ってかアメリカンな香りがするのがちょいキズだが、あのままの迫力が聴けるのかな、と期待させるものだった。レコードに針を落として出てくる音と歌声は紛れも無くスティーブ・マリオットの、あのハンブル・パイの音そのもので安心した記憶がある。更に言えばハンブル・パイよりも幅の広くなった音を出している感じすらあるワケで、楽曲の良さとかはともかく、歌声とギタープレイの濃さはなかなか堪らないものがある。英国サイドから聞くからこの渋みがどんどんと染み渡ってくるのだが、米国サイドに入るとちょいとやりすぎなんじゃない?って感じになってしまって元来の持ち味の粘っこい歌の伸びが生かせてない気がするかな。聴いてるとわかるモンでさ、確かにカラッとした感じが多いし、それでもスティーブ・マリオットだからもちろん聴かせてくれるけどね。

 もっともっとフロントに出て来ても良かった人なんだけどなぁ〜、残念だよなぁ〜イマイチなポジションに甘んじてしまったのがさ。本人はそうでもなかったのかもしれないけど、もっともっときちんとした形での音源とかセッションとか残して欲しかった。やっぱりバンドが恋しかった人なのかもしれない。

Ron Wood - Gimme Some Neck

Gimme Some Neck  いかにもバッドボーイ然としたイメージを醸し出すキースを筆頭とする今でも元気なローリング・ストーンズのギタリストが今で三代目ってのももう今更の話なのだが、その三代目が既に30年ストーンズに在籍しているっつうことで、最早ストーンズのギタリストはキースとロニーというのが定説か。最初期のブライアン・ジョーンズや跡を継ぐミック・テイラーの影や如何に、やっぱりストーンズにはロニーだよってのもあるんだけど、何だろね、特別にバッドボーイ的な人じゃなくて、どう見ても人の良さそう〜な顔してるのに、ストーンズにぴったりのイメージだと言うのも面白い。

 そんなロニーはジェフ・ベック・グループのベーシストから始まってフェイセスの花形ギタリスト、そしてストーンズへの加入となるんだけど、その隙間ではしっかりとソロアルバムをリリースしていて、それがまたその辺の仲間と気楽に作っているもんだから聞きやすくてロックンロールしていて、気張ってないのが良い。1974年に始めてソロ作品「I've Got My Own Album to Do」をリリースしてからセカンド「Now Look」を発表。その後ストーンズに加入してからすぐの1979年には今作「Gimme Some Neck」をリリース。当然ながらゲスト陣にはミック・ジャガーやキース、ボビー・キーズやチャーリー・ワッツなど皆さん揃って参加している。しかしこの頃のストーンズではメンバーがソロ活動することを良しとしていたのかねぇ。それともそういうのを条件に引っ張ったのかね?ミックがソロ出す時にかなりモメたような事を聞いたことあるんだけどさ。

 それはともかく、このアルバムでの名曲として有名なのがボブ・ディラン作の「Seven Days」っていう曲なんだが、これがまた音が悪い(笑)。それでも曲の良さが救うんだろうが、再リミックスし直した方が良いけどなぁ…。最近のリマスター盤とかでは直っているのかもしれない。何でもディランがクラプトンのソロ作品用に書き下ろしたらしいが、クラプトンが好みでないと切り捨てたこの曲を拾ったのがロニーということで、何ともまぁ、人柄の良さなのだろうか。この辺の絡みで思い出すのはライブエイドでのディランとキースとロニーの三人でフォークを持ってプレイした時にディランがギターの弦を切るとすかさずロニーが自分のギターを差し出すという、素朴な人柄の良さを思い出す。良いシーンだったんだ、これ。

 ん〜と、アルバムの中身についてはだな、まぁ、ロニーの好きそうなロックンロールとか南部風のサウンドとかドブロでの弾き語りとかお得意のリラックスした、ある意味では大人の音がいっぱい詰め込まれていてBGM的に流しているという要素が強い作品だな。しかしこのタイム感はどう聞いてもチャーリーだ…、あ、やっぱほとんどチャーリーが叩いてる(笑)。ロニーの歌は別に可もなく不可もなくというところだけど、そういうのが許されてしまうキャラだしねぇ。ほんと、好き勝手やってるわぁ〜(笑)。ジャケはもちろん自作の絵♪ そしてニュー・バーバリアンズに続いていくという…、あ、ストーンズの活動休止にも繋がるのだろうか…。

I've Got My Own Album To Do

俺と仲間  昔から人柄の良さが表情に出ていてそのまま気さくで明るい人という感じなのだが、そんなロン・ウッドでもジャンキーだったりするワケで、人柄の良さと好印象な人物像とジャンキーが結び付かないイメージもあるんだが、果たしてそんな人なんだろう。酒のみならずヤクも結構なモンだったようで、それでいてあの人柄と言うのは相当優しくて弱い側面を持ち合わせた芸術肌なのかな、とは思えるか。まぁ、その人柄が生きたのが別にリリースする必要性に迫られていたワケでもないし、自分的に出そうと決めていたものでもないけど、なんとなく出してみようか的な感じでリリースされたロン・ウッドのファーストアルバム「俺と仲間」。

 1974年ってことで時期的にはフェイセスも解体中で何したモンかな、って頃だ。ストーンズに加入するのは1975年頃だから丁度その間の時期に出されたもので、一応フェイセス在籍中ってことらしい。ストーンズのキースと妙に密接していた時期に重なった事で、このソロアルバム「俺と仲間」にはキースの絶大な支援があったらしいが、果たしてロン・ウッドにその支援は必要だったか?っつうと良くわからん。そこまでキースに依存する必要があったとはあまり思えないんだけど、まぁ、商売と友情としてはアリだったんだろうな。結果ストーンズ側からキースとミック、そしてミック・テイラーも参加しているんだからなかなか微妙な人間関係もあったんだろうが、そこはロン・ウッドの人柄でカバー、か。そしてフェイセス側からはイアン・マクレガンがメインで参加してて、ロッド・スチュワートもちょい参加。そしてどこでどういう付き合いがあったのか、まぁ、おかしくはないけどジョージ・ハリソンとの共作が一曲、もちろんジョージも参加しているワケで、自分的にはこの「Far East Man」は本アルバム内では最も気だるい感じに聴こえてしまうんだが…。そしてリズム隊にはウィリー・ウィークス&アンディ・ニューマックというたいとなリズム隊。ウワモノのふらつきさ加減をこのリズム隊がきちっと引き締めているっつうか、アルバムらしく仕立てているのかもしれんな、と。

 キースがいるからこういうストーンズ的なR&Rアルバムに仕上がっているのか、キースがいなくても元々ロン・ウッドのロック的嗜好からしたらこういう音に仕上がったのか、そのヘンが良くわからんのだけど、ストーンズです、このドライブ感は。ミック・ジャガーが歌ってたらストーンズの作品ってもおかしくないアルバムの音になってるもんな。しかし、この「俺と仲間」ってロン・ウッドの自宅スタジオで録音されたって話なんだけど、フェイセスレベルの音楽活動で自宅スタジオ持てるくらい稼げるのか、とも思ったり。まぁ、ロッド・スチュワートのソロアルバムの方も参加してるから商売的に出してる枚数は多いけど、そんなもんなのかとなんとなく不思議に思った。それはともかくながら、ロン・ウッドの初ソロ作品としてはバラエティに富んだ大人のセッションアルバム、ってトコですね。

Ronnie Wood - I Feel Like Playing

I Feel Like Playing  「ロックンロールはブルースから生まれた子供さ」とは良く言ったものだが、正にそんなことを実感させてくれるバンドというものも今ではそれほど多く記憶されていないかもしれない。ココのところ世間を賑わせているストーンズは別格として、その他って?となるんじゃないだろうか?もっともオールドロックファンならいくらでも名前が出てくるんだろうが(笑)。とは言え、ココのところ聴いていた女性ブルースシンガー達は一度ロックのフィルターを通したブルースを元に自身達のオリジナリティを加えてアウトプットしているということからするとあながちロックンロールはブルースの子供、というだけではなくなってきているワケだ。進化系は難し話になるな。

 そういえば先日何かでHowlin' Wolfの生まれ年は1910年だと書かれているのを読んで、ちと待て、それは今から100年前ってことだよな?そりゃそうか、と思うのだが今でもHowlin' Wolf達の偉業はStonesなどを経由してしっかりと残されているワケで、そう考えるとロックの歴史も深くなってきたものだと実感する。

 前置き長くなったけど、そんなロックンロールを素のまま体現しているロン・ウッドの新作「I Feel Like Playing」をね、聴いててそんなことを思ったんですよ。ま、ただ単に何も変わっていないロニーのロックって良いな、って♪最初聴いた時はなにやら気怠くて締まりのないアルバムだなぁ、なんて思ってあまり響かなかったんだよね。多分その頃はもちっとハードなのを聴いてたからかもしれない。ところがちょっと気分が変わってブルース的なのとかを聴いてから聴いた「I Feel Like Playing」はこれでもかっつうくらいに心に染みた。その間にFaces聴いたのもあるんだが、基本的にロニーのギターは何も変わってない。昔のまま…言い換えると昔からロックンロールをマスターしていたってことだ。今回の「I Feel Like Playing」も別に音としてはR&Rじゃないのも多いけどさ、全体はR&Rな作品なんだよ。静かな曲やレゲエな曲でも。別に豪華なゲスト陣が必要だったワケじゃないし、売ろうと思ったわけでもないと思うから偶然と機会の産物なんだと解釈しているが、やはり主役が目立つんだ、とにかく。曲によっては何となくチャーリー・ワッツのドラムの方がいいな…なんてのもあったり歌もロッドだったらなぁ…って思うのがあって、ロン・ウッドに何を求めているワケでもないけど、何か自然体の酔いどれR&R野郎的なのを聴きたいんだな、きっと。

 昔からロニーのアルバムって大人のR&Rでさ、ファースト「俺と仲間」を聴いたのも随分昔の話しだけど、その頃から同じような音で、若い頃聴いて「やっぱ大人のロックってこういうものなんだな」なんて解釈して聴いてたし、今聴いても同じなんだから早くから大人だった人な解釈…大いに間違っているのだが(笑)。はて、ストーンズが盛り上がりロニーがこんなナイスな新作をリリースして世間を騒がせている。いいのかね、そんな時代で(笑)。

First Barbarians - Live From Kilburn

ライヴ・フロム・キルバーン(DVD付)  ロン・ウッドと言えば人柄の良さがにじみ出ている人で、その分どんなグレ者やテクニシャンミュージシャンとも何となく馬が合わせられるような人だ。代表的なのはボ・ディドリーとのセッションだろうか。一方のキースはチャック・ベリーとのセッションでは相当やきもきしながら仕事していたことを思うと、もっとも人が違うんだが、愛されキャラってのが出るんだな。そういうロニーだからこそキースとミックの間に入っても上手くやっていけるしロッドとも上手くやれるってとこか。

 そんなロニーが最初に自分のソロアルバム「I've Got My Own Album to Do」を作るってことで面子を揃えたら結構なゲスト陣になってしまい、ついでにツアーもやりたいから、ってことでみんなに訊いたら、いいよってことで実現してしまった1974年のバーバリアンズ、その延長でストーンズの活動休止の合間に1979年にもう一回面子揃えてみたらできちゃいました、ってのがニュー・バーバリアンズ。「Buried Alive: Live in Maryland」でCDリリースされてる。ロニーとキース、更にイアン・マクレガンが固定的。その他は都度変わってるけど、変わったところでは1979年にはスタンリー・クラークがベースって…、いやどうなんだろ(笑)。

 んなことで、やっぱりオリジナルのバーバリアンズのノリの方が面白いかなぁ〜ってことで1974年のロニーの「I've Got My Own Album to Do」から派生したライブ盤「ライヴ・フロム・キルバーン」を紹介。昔からニュー・バーバリアンズの存在は文献なんかで読んでいたりしたので、凄く気になってたんだけど実際に聴ける音源なんてなくって、幻のグループ、ってな感じで捉えてたんで、こうしてオフィシャルでリリースされるってのはありがたいことだ。今のファンは恵まれてる…っつうか大変だろうけど。そういうのをちょっと思い出しながら聴いてみたんだよね。

 …、ストーンズじゃないか(笑)。いや、当たり前だが…。キースとロニーなんだからそりゃそうだけど、途中ロッドが参加するとこれまたロッド色になってしまうんで面白いなあ〜と思うが…。もうちょっと代表的な曲がああったら面白いんだけど、しょうがないか。ソロ作のツアーなんだもんな。んで映像の方が驚異的というかインパクト絶大。画質良し悪しはともかく、中味がやっぱ強烈です。ホントに実現してたんだ、って想いの方が強いので驚き。映像まで見れるって…、今の世代は恵まれてる(笑)。

山内テツ - The Bassist

TETSU(紙ジャケット仕様)  70年代初頭の英国ロックこそが最も刺激的でロックらしい雰囲気を出していたという点に於いては多くの人が賛同することだと思う。そしてその中に一人の日本人ベーシストが二つの大きなバンドを渡り歩いたという事実も広く知れ渡っているはずだ。

  そう、フリーのアンディ・フレイザーの後任者、そしてフリー解散後にフェイセスに加入、こちらはロニー・レイン後任者としてバンドに君臨する。どちらも前任者が強烈な個性とカリスマ的音楽センスを持っていたため、どうしても影に隠れてしまう面が大きいが、日本人としてやっぱりこういった功績は嬉しい限りだね。それがあるおかげで、普通ならあまりメインメンバーの欠けた後のバンドってのをあんまり聞くこともないのが、聴いてみよう、ってことになるし。そもそもはミッキー・カーティス達と一緒にプレイしており、フリーが来日した際にどうやらメンバーと意気投合したってのが山内テツさんが渡英するきっかけになったようで、アンディ・フレイザーが脱退後、声がかかったようだ。ま、その後にはご存じ「コゾフ/カーク/テツ/ラビット」っつうフリーらしきアルバムに参加していたりするが。その後は人柄と的確なテクニックを買われてロニー・レイン脱退後のフェイセスに参加し、アルバムだと「ロッド・スチュワート & フェイセズ / ライヴ」で彼のベースが聴けるのは有名な話。

 で、まぁ、英国ロック黄金期を最も間近で体験していた伝説のベーシストはその後どうしていたのだろうか?帰国した頃の1974〜5年に日本でスーパーセッション的な作品「フレンズ」を残しているようだ。もちろん聴いたことないんだけど。その後には自身のソロアルバム「ききょう」をリリースしていて、これはちょっとだけメジャーなハズ。で、驚くことに最近…っても90年代になってなんだけど、いくつか作品をリリースしているようで、アマゾンにも置いてあるみたい。どうやら、フリージャズ的なセッションという方向性に行き着いている様子で、まだまだ勇姿が聴けるんだ〜って思うとちょっと嬉しい。

Small Faces - Small Faces

Small Faces (40 Anniversary Edition)  英国の若者達はR&Bに根ざしたサウンドを目指して自ら楽器を持つようになるんだが、声質というモノはやはり黒人のそれに敵う人間というのが限られているワケで、そりゃしょうがない。それでもそういう人間が何人か出てきているのが英国ロックの面白いところで、代表的なのはスティーヴ・ウィンウッドとスティーヴ・マリオットだね。ポール・ロジャースはちょっと違った上手さだし、ロッドも然り。てなことで、ここのところ黒いの聴いていたのでちょっとそんな系統のを…なんて思ったのでスモール・フェイセスで。

 1966年リリースのデビューアルバム「Small Faces」。この前にシングルは出ていたけどアルバム的にはコイツが最初。もっとも最近のCDでは全部一気に入っているのお得に手に入るんだけどさ。う〜ん、1966年でしょ?かなり早い段階でこのサウンドだよね。バンドのコンセプトも当然モッズそのもので、顔役=フェイセスっつうバンド名もそのままだし、小綺麗な所もロッカーとは違う。そして出てくるサウンドが何といっても圧倒的に黒い。バックの音は黒いの好きなんだなぁ〜って感じのコピー音なんだけど歌がもう凄くてさ、何だこのソウルフルな声は、と思うくらいのもの。そういうのがミックスされてサウンドとして出てくるから余計に魅力的なんだな。スモール・フェイセスを黒人達でカバーしたアルバムとか出たらそのまんまになって面白いと思うけどな。

 ファーストアルバムっても、結局デッカ時代は二枚しかアルバムリリースしてなかったのでいわゆるベスト盤にも大体の曲が入っている。冒頭の「Shake」からしてもうオーティスって感じだし、ホントに歌とコーラスを上手く使っていて、R&Bの影響力絶大ってのはよくわかる。そして歌モノなんかもしっとりと聴かせてくれるし、ドラムの音とかも結構スタックス的なリバーブで面白いわ。クオリティ高いのは「It's Too Late」とか「What'cha Gonna Do About It」辺りとやっぱり外せない「You Need Loving」。うん、正に「胸いっぱいの愛を」だ(笑)。あ、「Sha La La La Lee」もいいね。

 ザ・フーほどコピーバンドを見ることはないし、そこそこ人気があるって云われていてもホントにど真ん中で好きって人は見たことないし、どうなんだろ?それなりに人気はあるし、ファンもいるけどとことん、っていう人少ないんじゃないかな。その辺がスモール・フェイセスの良いとこか。メンバー全員著名になっていっているのもこのバンドの凄いところ。ロニー・レイン、ケニー・ジョーンズ、スティーヴ・マリオット、イアン・マクレガンだもんね。

Small Faces - From the Beginning

From the Beginning  イアン・マクレガンとロン・ウッドの仲間意識ってのは割と強かったようで、そもそもはフェイセスからなんだろうけど、その前からかもしれないな。そんでもって容易にストーンズとスモール・フェイセスが繋がってしまうってのもこれまた面白い。世代的には若干ストーンズの方が早いっていう程度だけど、インパクトのあるサウンドってのは圧倒的にスモール・フェイセスの方だったと思うワケさ。いや、わかんないけど…。

 ってなことでスモール・フェイセスのセカンドアルバム「From the Beginning」を聴いてみるのだが…、そもそもデッカからイミディエイトへとレーベルを替えたことでデッカが勝手に残された音源をまとめて編集して発表したアルバムなので、果たしてアルバムと言えるかどうか難しい所もあるんだが、だからと言ってこの頃のシングルヒット狙いのアーティストの考え方からしたら一曲一曲が良ければ良いだろうから、こういう編集盤でも曲そのものは全然楽しめるのだ。しかしジャケットからしてファースト「The Small Faces」と同じフォトセッションでの写真だしねぇ…。

 「From the Beginning」ってのは時代的には丁度サイケデリックも挟み込む頃の1966-67年頃なのでそういう音も出ているけど、一方では当然モッズバンドとしてのソウルフルでパンチの効いたスティーヴ・マリオットの歌声が圧倒的に響き渡るものも多い。そしてなんと言ってもメロウなソウルバラードなどを歌い上げた曲なんてのは痺れます、本気で。アルバムで言えば最初からデル・シャノンのあの「Runaway」という有名なカバーでして、巧さに痺れるばかり。そういう意味でカバーソングの秀逸さで言えばマーヴィン・ゲイの「Baby Don't You Do It」なんてのも凄い。他のバンドも結構これはカバーしてるけど、スモール・フェイセスのカバーは原曲を見事に意識しtものでカバーの仕方が違うんだよね。それはもうビートルズで有名な「You've Really Got A Hold On Me」なんかもそうだし。

 そしてスモール・フェイセスとしての傑作はもちろん「All Or Nothing」という名曲なんだけどさ、マリオットってのはやっぱりかっこよいなぁ〜と。ルックスも良いし、それでいてこの声はぶっ飛ぶだろ。自分的には結構「My Way of Giving」なんてのも好きだったりするけど…。何かね、可愛い曲なんだけど気合いと想いがたっぷり入っててさ。この頃のビートバンドの曲って一曲一曲に入る気合いが違うからさ。

 黒い音楽って基本的に苦手だったんだけどこのバンド聴いてからかな…、ちゃんと追求したくなったのは。ビートルズのカバーとかからも入れたけど、ちょっとメロウ過ぎたんで。ザ・フーかスモール・フェイセスからかな、そういうのを聴くようになったのは。ブルースとかはもちろん大丈夫なんだけどさ。

Small Faces - Small Faces (Immidiate)

スモール・フェイセス+21(紙ジャケット仕様)  若くして才能を発揮して、若いが故にさっさとバンドを解散してしまった、もしくは抜けてしまったという人も多かった60年代末期から70年代。まぁ、何でも出てこいってなもんで売る側もどれが売れるか分からないからやる気のあるのを片っ端から…みたいなのはあったんじゃないかな。それでも多分圧倒的にその歌声に驚いたであろうスティーブ・マリオット。ルックスも良かったしね。そんなスモール・フェイセスってデビューが1965〜66年頃で69年には解散してたんだから凄い短期間の活動ながら歴史に残ったバンドのひとつです。

 そんなスモール・フェイセスのアルバムとしては…と言うか、そもそも60年代中頃なんてアルバムよりもシングルばかりだったので、シングルを纏めたのがアルバムという感覚からすると数え方が違うのかもしれないけど、スモール・フェイセスは特にそうなんだよね。デッカからシングルヒットをバシバシと出してて、ファースト「Small Faces」はそんな集まりだったけどセカンド「フロム・ザ・ビギニング」は既にイミディエイトに移籍が決まってから慌ててレーベルが売れると踏んで出したものだからファーストと曲も被るし…。

 そういった経緯があっての今度はイミディエイトから最初のアルバム「スモール・フェイセス」をリリース。同じセルフタイトルの作品がこれで2枚リリースされることになってしまって、話はややこしい。まぁ、それはしょうがないとして、中身は最初期の勢い込んだモッズなサウンドからはかなり渋めのアイドソウルな感じになってきてて、ガチャガチャとうるさく騒ぎ立てている様子ではなくなったかな。かなり楽曲のセンスがスマートになってクールです。良いねぇ〜、こういうアダルトさ、っつうかクールさ、ってのかな。オルガンも良い味出してるし、アコギもばっちり入ってて、そこにマリオットの深みのある歌声だもん。曲がどうの、っていうんじゃなくて聴き惚れる。実際有名な曲ってこの中にはあるのか?「My Way Of Giving」くらいかなぁ…いや、個人的に何度か聴いてた曲で、このアルバム聴いてて、ハッとした記憶があるから。実際にシングルで売れたかどうかは知らない(笑)。

 1967年リリースか…、古いっつうか若いっつうかまだロックが出てきたばかりだもんなぁ…。同時代のフーやストーンズ、キンクスやビートルズと比べても全然遜色ない楽曲レベルと演奏だけど、そこからは時の運なのか、結局オリジナルアルバムは4枚でバンドはフェイセスに引き継がれるワケだ。

Small Faces - Ogdens' Nut Gone Flake

Ogden's Nut Gone Flake  英国らしいサウンドとトータルコンセプトアルバムとも云うべきサウンドを展開していたもうひとつのバンドがThe Small Facesで、その道のりはThe WhoやThe Kinksなどと同様、初期は超かっこいいビートバンドとして出てきたものの、途中から色々と考えるようになり傑作「Ogdens' Nut Gone Flake」をリリースすることとなるので、今回はその名作を改めて聴いてみた。実はこのバンドについては初期の方が好きで、よく聴いていたのだがこのコンセプトアルバムはしょっちゅう聴いていた作品ではないので久々のトライになったワケだが、う〜ん、実に英国的(笑)。プロモーションとかライブ活動がもっと盛んにできていればかなり良いバンドとして世界に認知されていたんだろうけどなぁ、残念ながらライブが少なすぎたんだろうな。もったいない。ま、それでもこのバンドのおかげでハンブル・パイ、フェイセス、スリム・チャンスっつうバンドに繋がってくるんだからこれでよかったのかもしれないな。

 で、このアルバムね、正にサイケなドラッグ時代でもあった1968年の作品なだけあって、その要素がたっぷり入ってるけだるい感じのするアルバムだね。サウンドの一貫性は見事なものなんだけど、まあ、そういうの云う前に正直、スティーヴ・マリオットの黒い、あまりにも黒すぎる歌声が、ハートのある歌声が凄くサウンドとミスマッチ、…と云うかサイケに合わないんだけど、どういうワケか見事に溶け込んでいる面もあって不思議な魅力を出している。ギターもハードと云えばハードだし、何か不思議な作品だな。ただ云えることはかなりの名盤ってことくらい(笑)。メリハリがあるんだろうな、きっと。ハードなものとサイケなヤツと「Lazy Sundey」みたいなモロにロンドンって感じのポップソングも同居しているワケだからそりゃそうなるんだけど、やっぱスティーヴ・マリオットって天才だったんだなと感じます。アルバム全体に散りばめられている効果音なんかも結構考えられていると思うしさ、プログレ最初期に近いものはあるんでその辺好きな人にも受け入れられる作品じゃない?

 円形ジャケが有名でアナログ時代は幻だったけどCD紙ジャケになってからも再発されてるのかな、アイディアも含めて面白い試みだった時代の産物。

Small Faces - BBC Sessions

BBC Sessions: 1965-1968  今の時代でもモッズってスタイルを好きなヤツとかいるんかな?多少はいるんだろうと思うが、何せ時代を経ていくとファッションも多岐に渡ってしまうんだから当然それぞれに紐付く人数ってのは減ってくるだろうし、その中で今時パンクなスタイルとかモッズなスタイルするヤツってかなり稀少品なんじゃないかと。街でもあまりパンクな格好とか見かけなくなってきたし…とかさ、女の子はまだ色々楽しめるから面白いと思うんだが男はコレって決めたらそれしか着ないワケで、それこそパンクならもうずっと革ジャンだったりモッズならモッズパーカーだったりするしさ、これからの季節ってそういうもんだろうし。そんな下らないことを感じながら60年代を突っ走ってくれたスモール・フェイセスです。

 1999年頃にリリースされた「BBC Sessions 」がこれまたとんでもなくかっこ良いとの評判で…、その頃ってそんなにスモール・フェイセスに傾いてなかったから気にしなかったんだが、オリジナルアルバムのほとんどを当ブログで取り上げてしまったので「BBC Sessions」を引っ張ってきたってことです(笑)。いや、ただ、コレさ、凄いわ。スティーブ・マリオットってホント、ロックな人だったんだろうな〜と。しかもあんだけ歌が上手いし歌えるから余計に凄くてさ、もっともっとハジけられたんじゃないか?とか思うけどそこは一発芸人的な部分が強すぎたのかもしれない。時代をまたいでは生きていけなかったっつうか…、まぁ、それでももちろんロック史では伝説の人だから残ってて嬉しいんだが、そのスモール・フェイセスの最初期からのBBCライブ集なので、生々しく響くパワーが恐ろしくかっこ良くて汗がほとばしる。こういう「ガツン」ってのがロックです。歌にしてもギターにしてもベースにしてもものすごいパワーだもん。アルバムなんかでも凄いなって思ったけど、こうしてライブで聴くとやっぱりキレ具合が違って熱くなる。モッズファッションってのも良いんじゃない?って。

 もちろんR&Bからの影響もあるけどブルースもあってそこにR&Rが入ってきて独特のスタイルが出来上がっている。それはもちろんスティーブ・マリオットの歌声に依るトコロが大きかったのか、バンドの音としての個性よりも圧倒的にそっちなのがこのバンドの不幸だったか、それでもこの「BBC Sessions 」に収録されている4年間のライブでは凝縮されたスモール・フェイセスを堪能できるのがありがたいな。オリジナルアルバムよりも絶対こっちの「BBC Sessions 」を聴いた方が良いもん。

Small Faces - Single Collection

アンソロジ-1965~67  黒いのが続いてたので久々にブリティッシュに戻って…と言いながらも見掛けは白人ながら黒人の声を持つスティーヴ・マリオット率いるスモール・フェイセスでイギリスならではの味わいを楽しんだ。アルバム単位だとどれが良いって言えないのでお気に入りの満足度たっぷりの二枚組みベスト盤「Decca Anthology」で手軽に聴いてみた。ベスト盤だけではもちろん彼らの中後期のアシッドなサウンドは楽しめないのはちょっと物足りないけど、気分的にはこれくらいが丁度よかったんだもん。

 初期モッズの代表バンドで何と言ってもそのファッションがかっこいい。フーのそれとは根本的にルックスの良さが違うので、小粒ながらもファンは多いだろうな。で、演ってる曲も凄くシンプルなモッズサウンドでいわゆる二分半の曲が多くて乗りやすい。名曲「All or Nothing」なんて日本ではそんなに流れることないけどかっこいいんだよなぁ。何つうかツボにハマるんだよね、こういうメロディーってさ。他にもいっぱいタイトな曲が多いんだけど、話題的に面白いのは「You Need Love」かな。原曲に忠実にカバーしつつ自分たちのフィーリングを加えたナイスな曲で、面白いのはレッド・ツェッペリン「Whole Lotta Love」と歌詞も歌メロも途中まで全部一緒っていうトコロ。「You need coooooool!」からしてそうなんだけど、ま、その辺がツェッペリンの凄いところなんだけど、スモール・フェイセスのも負けてないよ、ホントに。うわぁ〜かっちょいい〜!ってのはスティーヴ・マリオットトも一級品だったってことだよね。当時の録音マイクのレベルギリギリ、もしくはオーバーしてしまうくらい声量のある歌で、聴いていても音割れそうってくらいに叫んでるのが目の前に見えるみたいで、すんげぇ熱くなる。

 後々に登場するポール・ウェラーもネオモッズとして時代を築き上げたんだけど、こういう声ってのはなかなか出せなくてそのへんはイマイチレベルが落ちるしさ。やっぱ昔機材の無い中でやってた連中ってのは地力が凄いもん。普段はギターとかに耳がいくんだけどスモール・フェイセスの場合はやっぱり歌に耳がいく。黒人のそれとは違ったイギリスならではのセンスと小粒さとがいい感じでミックスされた正に大英帝国ならではのバンドってのも心をくすぐるところ。後の彼らの人生のことは語りたくないけど、60年代ブリティッシュロックの中では見過ごされがちながらも聴いてみて損しないかっちょいいバンドだよね。