Keith Richards - Talk Is Cheap

トーク・イズ・チープ  この人でもソロアルバムを出す必要性があったのか?と思われていたキース・リチャーズ。ストーンズで十分に好きなことをやっているからという理由でソロアルバムにはとんと興味がなかったのが1988年に初のソロアルバムリリース。まぁ、その頃のミックとの確執云々は十分に語られているところなので割愛するとして、この「トーク・イズ・チープ」というアルバム、滅茶苦茶良いのだな。

 アルバムに針を落とした瞬間から…という言い方は今はしないのが残念だが、自分的にはこの作品もしっかりとアナログで買ってたので、今でもそのままなんだけど、まぁ、いいや、とにかく最初の一発目から驚きの一言。なんじゃこりゃ?一体誰がベース弾いてるんだ?ブーツィー・コリンズ?サックスは?メイシオ・パーカー?ふ〜ん、名前は聞いたような気もするけど凄いなぁ、これは…。なんて感想だったが、そうなんだよね、P-funk軍団のサポートによるこのバンド、ドラムはご存じスティーヴ・ジョーダンで、この一曲目「Big Enough」のとんでもないサウンド、これがキースのやりたい音なのか?ロックを超えてるぞ?いや、究極のロックンロールだ、なんて色々と思われたけど、なんでもいいや、かっこよい。うん。シングルヒットになった「Take It So Hard」もモロにストーンズのキースっていう曲で素晴らしいのだが、そんなのが全編に渡って繰り広げられているんだな。もちろん曲毎にお遊び的なテーマがあって、モロにストーンズ風なのもあったり「Make No Mistake」みたいにモダンでゴージャスなポップス風なのもあったり…これはミック・ジャガーへの当てつけだろうけどさ。その前の「I Could Have Stood You Up」なんてのももう趣味丸出しのオールディーズな雰囲気でやってるし。

 あぁ、他にも「How I Wish」や「Whip It Up」とかもうストーンズ…と言うか、キースお得意のロックンロールっつうのが炸裂していてさすが、なのだ。これだけ質の高い作品がソロアルバムで作れるんだからストーンズってのはやっぱ凄いハズだよな。これ以来キースもソロアルバムのお遊び的感覚を楽しんでいるようでもう一枚「メイン・オフェンダー」をリリースしている。でもその後ミックとの仲を復活させてからはストーンズ一辺倒だね。その辺わかりやすいっつうか、ミックも同じなのかもしれないけど。またどこかでこんなかっちょいいアルバム作ってほしいよなぁ。

 しかしそれなりに楽しく作った作品ではあるけどやっぱりチャーリー・ワッツの微妙なリズム感とのバランスの方がキースにしっくり合っている感じがするね。その辺が息の長いところだろう。 

Keith Richards - Main Offender

Main Offender  キース・リチャーズが1992年にリリースしたソロ作第二弾アルバム「Main Offender」。ファーストアルバム「Talk Is Cheap」リリースの背景にはストーンズ再開不能というテーマがあったから周囲の期待も本人の意向もストーンズに負けない作品という意思があったみたいだけど、無事にストーンズが復帰した90年代初頭になり、やや時間の隙間が開いた頃に作ったアルバムってことでそれほど気合を入れ込んだ作品というワケにはいかなかった、ってのが一般論。まぁ、自分もリアルタイムでこの「Main Offender」を聴いた時には全然かったるい作品ってくらいにしか聴いてなかったのでまともに評価してなかったんだが、音楽ってのは残るもので、やはり歴史的に聴いてみればそういう印象も異なっていくものだ、と勝手に自分で理由を付けている次第(笑)。

 いや〜、「Main Offender」を聴いてたらさ、エラくかっこ良くって…。当時かったるいな〜って思ってた自分の若さが可愛く思えてしまってさ(笑)。冒頭の「999」からしてカッチョ良いんじゃないか、と。んで、ふと思ったのがさ、ギターが二本入ってて、キースだとばかり思ってたらそうでもなくってX-Pensive Winosの名義なもんだからWaddy Watchtelもギター弾いててさ、それがどこの部分なんだ?と思って冒頭の話になるワケだ。この手の絡みのギターカッティングなんかだとキースお得意だけど、どうにも音が怪しいし、カッティングのタイミングもちょいと違う気がする…なんて思ってしまったからさ、まぁ、曲としてはソリッドでカッコ良いギターのカッティングだから良いんだけど、何かふと思ったワケさ。ニッチなファンなら当たり前に知ってる話なのかもしれないけど、たまにしかキースのアルバムを聴かないいい加減なリスナーとしてはちょいと不思議に思った次第。

 そんな不思議な事も思いつつ、R&Rからレゲエもありのかったるい気怠さが心地良い「Main Offender」という作品。時代的には全然マッチしてなかったとは思うけど、キースの音の感性とか感覚はさすがだなと今にして思う作品です。

Keith Richards - Crosseyed Heart

クロスアイド・ハート  ジジイ達、頑張ってるな。日常生活生きてるとこのジジイ達ってのがジャマクサくていい加減にしろよお前らって思う事の方が多くてさ、昔はそれでも年寄りには優しくなんて思ってたんだが、自分が年取ってきてその上のジジイ達見てるとそんな優しい事思ってやらなきゃいけないヤツなんてそんなに多いもんじゃないって事に気づくわけだ。まぁ、別に特定の人間に対して言ってるモンじゃなくてさ、自分も含めてなんだが、ジジイになってくると自分の価値観で生きてるから世間とズレてても直そうとはしないし、変えようともしない。そこに安住しちゃうんだよな…、変わるってことに抵抗があってできるだけそのままでいたい、出来るならば何も変えたくない、なんだよ。人間皆そうだけど。んで、それがロックの世界にいくとホントに頑固ジジイってばかりのヤツらが生き残って今でもロックしてる。全く日常生活だったらホントにジャマなジジイ達だろうと思うわ(笑)。

 中でも最高のジジイ…キース・リチャーズが71歳にして三枚目のソロアルバム「Crosseyed Heart」をリリースしてきた。しかし今更何をやりたいんだ?って思ってしまったりするが、何かの期待をしてしまうのもある。別にストーンズも普通に活動してるし、音的にストーンズで出来ないってのもなかろうよって思うが、そこはやっぱり自分の仲間で刺激を受けながらやりたいとかあるのかな。変化を好む瞬間なのかもしれない。ジャケットのキースを見ても、随分と丸くなったよなぁと見えるのだが、そりゃそうだろ、71歳だぜ。フムフム…って聴いてみるワケだ…。

 唐突に予想を覆すアコースティックブルースでキースが歌う…こりゃもう痺れた。ギター弾いてるのキース?じゃないと思うけどキースだとしたらスゲェ…。そこでもうヤラれちゃってさ、間髪入れずにお得意のグルーブで始まる2曲目、そしてストーンズばりの曲に続いてのソフトでカリプソ風味も入ってる小洒落たバラード、そしてシングルカットされて小気味の良いキース独特のギターリフからの「Trouble」、スティーブ・ジョーダンのみごとなパーカッションからのレゲエ節などなどなどなど、相変わらずの多趣味満載だけど、不思議だよなァ、ホント、どこをどう斬ってもキースなんだ、これが。曲のバリエーションも多彩だし、歌に個性があってキースらしいってんでもなくて、曲とかギターなんだよなぁ…、多分ギターなんだろうな、このキースらしさって。ストーンズよりもキースらしいアルバムに仕上がってる。ヘンな書き方でね、ストーンズ以外のキースなんてそんなに知らないのに、ストーンズよりもキースらしいなんてさ。でも、キースのキースらしいところが全部出てる。多分根っこにあるのがキースというロックなんだろうよ。

 ふと思った。もう71歳だからアレだけど、こういう人だったらキンクスのレイ・デイヴィスみたいな吟遊詩人的独特な世界をず〜っと続けて出来たんだろうなぁと。ストーンズって看板に隠れてたけど実はものすごくそういう人だったんじゃないだろうかなんて。シャイな人だな…。ず〜っと聴いてても飽きない心地良さがず〜っと続く。そしてこういうのもロックだよ。間違いなく。やっぱりロックは人に宿ってるもんだ。これさ、普通にロックの名盤だよ。この期に及んでこんな名盤作るのかこの人は…、凄い。

Keith Richards - Vintage Vinos

Vintage Vinos  既に67歳にもなってしまった長老ロックンローラーのキース・リチャーズ。最近は「Life」という本で結構な暴露話を披露していることで話題をさらっているようだけど、まぁ、それはそれとしてストーンズの方も「Ladies & Gentlemen」というロックの歴史的ライブの瞬間を記録したDVDをリリースして大好評、これはこれでまたそのうち取り上げないといけないんだけどね。一方でロニー・ウッドはソロアルバム「I Feel Like Playing」をリリースして元気な姿をお披露目。そんな折にアマゾンでしばしば見かけたこのカッチョ良いキースのジャケット。最初はキースって思わなくて、えらくセンスの良いアルバムジャケットだな~、なんて見たらキースでさ、なるほど、サマになる人だ、と。んで、「Vintage Vinos」って新作なのかな…なんて思ってたらベスト盤だったという…(笑)。

 ま、ベスト盤でもいいか。このジャケットなら大人のファンは皆手に入れるだろうよ…ってことでまぁ聴いているワケですが(笑)。正直ベスト盤「Vintage Vinos」ってもさ、これまでスタジオ作2枚とライブ一枚しかリリースしてないワケで、ベストもへったくれもないだろうよ、とか思うのだが、唯一の目玉はどうもアメリカのハリケーン・カトリーナの悲劇の際に即席で録音されてチャリティシングルとして配布された「Hurricane」というロン・ウッドとのジョイントバラード…っつうかまぁ、即興作品。かっこ良いけど1分半しかないのがちと残念。それでも珍しい代物が聴けることには素直に喜べるんでよろしい。

 あとは…やっぱりファースト「Talk Is Cheap」からが多くを占めるかね。そりゃまぁ、そうだろうけどコレっていう曲の良さもないのがキースのソロ作の特徴で、これがストーンズになるとキャッチーさが出てきたりするのにソロだとボーカルがどうしてもダラダラ系なので締まらないっつうか…(笑)、渋さで凌ぐっつうか…、ま、そんな感じなのでベスト盤と云えども飽きてくるのは堪え性がない自分の性格ですね(笑)。

Mick Jagger - She's The Boss

シーズ・ザ・ボス  ボーカリストがソロアルバムをリリースしようと思う時ってのも色々あるんだろうけど、この人の場合はそのプレッシャーも一段と大きかったことと思う。ストーンズってのはまぁ、ブライアン・ジョーンズは実験的音楽をソロ名義でリリースしていたけど、それ以外にストーンズのメンバーってのはソロ名義でのアルバム作品ってのはほとんどなくって、誰かのバンドに参加したとかってのはあるけどさ。ミックとキースっつうのはもうストーンズの顔だからソロを出す必要あるのか?っていうくらいの雰囲気でね。ところが最も不仲と噂されていた頃、と言うかアルバム「Undercover」とか「ダーティ・ワーク」出した頃にはミックがソロアルバムをリリースするって云うことでストーンズ解散か!?と云われていた程。

 1985年リリースのミック・ジャガー最初のフルソロアルバム「シーズ・ザ・ボス」。いや、もうね、くだらなくて(笑)。ストーンズやってりゃいいのに、こんなケンカする要因になるもの出さなくてもいいから早くストーンズ見せろよ、っつう雰囲気が出まくっていた時代で、日本はバブリー真っ盛りだったんだけど、ミックも一人でバブリーで…、一方キースはまったく面白くないっていう発言をして「アイツとは縁を切ってやる」みたいなことばかりで…、いやいや、ハラハラした時代でしたが既に23年前のお話。

 そんな最初のソロアルバムは期待と自信に満ち溢れていて、はたしてどんな音?みたいな感じはあったけど当然そんなことも意識しつつ、そしてトレンドの音もしっかりと認識しつつ、更に古い友情もしっかりと押さえつつ制作されたもので、蓋を開けてみると「80年代クラブミュージック」でした。ヒップホップ的とも云うのかな。ナイル・ロジャースのプロデュースだからもう代表的なモンでしょ。彼も喜んだだろうなぁ、ミックのソロアルバムで自分に声かかるなんて思わないでしょ。パワーステーションサウンドにミックのロック声?みたいなさ。ところがどっこい、そんな方向くらいしかミックのできる道ってなかったのかな、とか思う。ブルースやロックはストーンズでやってるしね、それ以外ってせいぜいホンモノのR&B系が好みだろうけど、それもまぁストーンズでやってるし…。っつうと周りに合わせて売る、という方向だよ。いいじゃねぇか、っつうのもまたよろし。

 んでこれもまた久々に聴いたが…、音はともかく、ミックはミックなんだな、やっぱ。そして改めて「Just Another Night」でのジェフ・ベックのギターは素晴らしい〜とシミジミ。「Lucky In Love」のハービー・ハンコックもいいけどさ、やっぱね。それよりもこれ聴いてたらボウイとの「Dancing In the Street」の方が聴きたくなってきてしまった(笑)。そうか〜って思ってたら、去年ミックのベスト盤「ヴェリー・ベスト・オブ・ミック・ジャガー」ってのが出ていて、これがまた大変よろしい選曲っつうかレアな曲を選んでいてなかなか面白いらしい。ジョン・レノンのプロデュースした曲とかね。

 この後もミックはソロアルバムをリリースするんだけど、多分「シーズ・ザ・ボス」が一番意欲的で実験的で売れ線的だろうと思う。そういう意味では面白いし、若い…、うん。ジャケットもねぇ…。

Mick Jagger - Primitive Cool

Primitive Cool  ミック・ジャガーとデイヴ・スチュワートの接点ってものすごく古かったってのを最近知った。今回のSuperheavyで何故にDave Stewart?って思った部分あったんで、色々と漁ってみたら古いネタに遭遇したのだった。有名なのは多分今回の「プリミティヴ・クール」というアルバム…ってかシングル「Let's Work」かな。ミックは当初自分だけでプロデュースしようとしていたらしいけどどういいう経緯からかデイヴ・スチュワートが参加してきて共同プロデューサーとして名を連ねる事になった。ほぉ~、そうか、そっからか?時代は80年代ユーリズミックスも売れまくってたしな、なんて思ってデイヴ・スチュワートという人をちらりと調べてみるとこの人60年代から音楽シーンで活動している人で、かなり古いので驚いた。もう少し若いかと思ったけどさ、遅咲きだったんだ。ミック・ジャガーとの最初の出会いは1974年にデイヴ・スチュワートがようやくメジャーに打って出れるバンドを組んだところにバースディ・パーティの前座バンドとして出演することになって、プレイしたらしい。その時が最初のようだが、そこから交流が続いたかどうかは知らない。何らかの形で絡むことはあったかもしれないが、やっぱユーリズミックスでシーンに出てきてセンスを買われてて、この頃のミック・ジャガーの思惑と当てはまったんだろう。それから20年以上経ってからのバンド結成っつうか一緒にプレイするってのもこれまた…。ストーンズっていう足枷はミック・ジャガーの音楽的発展を著しく阻んでいたのかもしれないなぁ。

 それでこの「プリミティヴ・クール」を改めて聴いてみたんですが…、かなり良質のポップアルバムじゃないか。当時「Let's Work」っつうPVでミックがただただ走っているヤツで、相変わらずアホなモンを作ってるのぉ…=世の中舐めてるなぁ~っつう感じでね、曲もサビだけが独り歩きするような作品で、誰が演奏しても一緒だろっつう曲ばかりで…なんてしか思ってなくって。しかもストーンズも再開した後だったからこんな作品出す必要なんかあるのか?くらいにしか思ってなかったもんな。今でも音聴いてみるとそう思うし、ミック・ジャガーが目指すポップとロックの間ってこういう音なんだろうなってのがわかる。それにしてもこの声だから聴く側はその声に野性味を感じるし、それこそがロック。うん、そのヘンはバックがオシャレだろうとなんだろうとロックになる。

 しかしだな、ここでミック・ジャガーは結構凄いことを試みてて、歌:ミック・ジャガー、ギター:ジェフ・ベック、ドラム:サイモン・フィリップスっつうメンツなバンドに、プロデュース:デイヴ・スチュワートなんだよ。もちろんそれぞれがアイディアを持ち寄っての作品じゃないから明らかに本来彼らが出せるグルーブのアルバムとは違うんだけど、さすがの面々のプレイは聴ける。ジェフ・ベックもこの頃売れてたし、ユーリズミックスもだし、結構時代の流れ的にハイセンスに揃えたバンドだったんだよな。見事だわ、このヘンのセンス。ちなみにアルバムも概ねミック・ジャガーの作詞作曲で秀作が揃ってて80年代のキラキラした感じがよく出ている。悪くないし、普通だったら面白いよ。ストーンズの、と付くから色々文句言うだけで(笑)。まぁ、そんなトコロからデイヴ・スチュワートとの接点が深くなってきたんだろうなぁというお話でした。

Mick Jagger - Wandering Spirit

Wandering Spirit  ボーカリストのソロアルバムって大抵はバンドの音とはちょっと違ってポップなモノだったりその人達が好きなジャンルに特化した作品を作ったりしてエゴを満足させるみたいなとこあったんじゃないかな。バンド解散じゃなくてバンドにもっと良い物を持ち帰りたい、またはバンドではやりきれない音を追求してみたいみたいな部分。んで、楽器を操る連中と違って歌っている人達ってのはもっと何でも出来ちゃったりするし、自分が歌うイメージを見つけるのも簡単だろうから幅広くなっていく傾向にある気がする。ギタリストのソロアルバムなんて大抵自己満足なギターアルバムになる傾向にあるしさ(笑)。

 Mick Jaggerのソロアルバム第三作「Wandering Spirit」は1993年にリリースされている。初来日公演を終えてストーンズも活動していた時期の合間にリリースされているワケだが、当時何でまた今ここでソロアルバム?みたいに思った記憶があるが、もう作られてたのかな?それとも久々のストーンズとのプレイでソロやりたい欲が出ちゃったんだろうか?よくわかんないけど、最初の曲を聴いてかなりぶっ飛んだ。こんなにストレートにストーンズタイプの曲を見事なグルーブとソリッドな音で出しちゃっていいの?って。ハイレベルなストーンズってこういうのだよな?みたいな。んで、惹き込まれちゃって、次々と出てくる曲も、曲調は決してストーンズ的なワケでもないのもあるけど、やっぱミック・ジャガーが歌っているからそれはもうストーンズなんだよ。んで、このストーンズ的な音で出してくるんだからバックメンバー全員変えたストーンズって言う、逆を想像しちゃったもん。もちろんそんなことはあり得ないけど、それでもそんな雰囲気でかなりロック的で面白い。しかもミック・ジャガーがきちんとギターも弾いていて、これがまたまた…みたいな話らしい。そこまで意識して聴かなかったけど、どれどれ…って思うがよくわからん。多分このテクニカルじゃなくてストレートに鳴ってくるギターだとしたら随分なリズムギタープレイヤーじゃない?みたいなトコ。実はキースの一番の相棒はミック・ジャガーだったりするんじゃ?なんて思ったり。

 しかし良い曲揃えたアルバムで聴き応えのある作品だ。しかもストーンズ的作風が多くてそれがソリッドなライブ感出してるから余計に勢いもあるしいいねぇ、今をときめくリック・ルービンのプロデュースってのも先んじたセンスだろうか、こういうバンド的な音作りは上手い人だし結構意外な面白さを持った傑作のひとつかもしれない。ミック・ジャガーのソロアルバムってだけで割と無視してたりする人も多いだろうけど、ストーンズより引き締まってて良いアルバムでっせ、多分。

Superheavy - Superheavy

Superheavy  一体何なんだ?とばかりの結成劇と緊急アルバムリリース。今ではほとんど音楽記事も読まないから経緯も知らないけど、多分ミック・ジャガーとデイヴ・スチュワートとの企みから始まったような気がするSuperheavyの構想。ほぼ時を同じくして若きソウルシンガー、ジョス・ストーンはデイヴ・スチュワートと新作「Lp1」をレコーディング、これがまた最高の出来映えに仕上がっていて自分を圧倒したのはつい先日、多分ジョス・ストーンのやりたいことをそのまま生身でぶつけてきた傑作で、その勢いのまま多分デイヴ・スチュワートに誘われてSuperheavyの参加だろうなぁ、と。その前にミック・ジャガーともセッションした経験もあったからミック・ジャガーもいいんじゃね?みたいな感じだろうか。ダミアン・マーリーはもちろんボブ・マーリー絡みなので疑うことなし、面白いのはA. R. Rahmanだね。インド人の映画音楽のベテラン領域に入る作曲家を加えることで、作品全体のプロデュースを任せてみる、みたいなところか。果たしてどんな音が出てくる?

 一言で言えば「洗練されたロックレゲエ」。共通語がレゲエ風味だったんかなぁ。まぁ、それもそうか。ただ、もちろん普通にダル~いレゲエなワケではなくってレゲエの風味のあるロックで、ポリスとかとは大きく異なるのはもっとビート効いてるからかな。これがまた、確かに聞いたことない総合的なサウンドなのは事実だな。それでいてしっかりとポップス市場で受け入れられるキャッチーなセンスを持ち合わせているので売れない理由はないし、その筋の人間たちはこぞって聴いてみたいと思うだろうよ。仕掛け人デイヴ・スチュワートの裏方仕事の秀逸さとA. R. Rahmanのコンポーズが高品位なサウンドを作り出していて、ここでは多分ミック・ジャガーはアイディアマンとプレイヤーでしかないだろうな。まず、こういう音を創造していったことにびっくりするけど、なるほど素晴らしい回答だ、これ。とにかく気持ち良いし心地良いしそれでいて思い切りロックしてる。

 ダミアン・マーリーの思い切りレゲエな声からミック・ジャガーの野生的なロックの声が絡み、全てをぶった切るかのようにジョス・ストーンのジャニスばりにソウルな歌声がジャンルを無視して響き渡るという構図で、何なんだろ、これ、ミックのレゲエってのもまぁ、何か、最近新しいことをやってないストーンズからしてみればかなり刺激的だったろうなと思う。そしてねぇ、親心的に良かっただろうなぁと思うのがやっぱりジョス・ストーン。自分の作品ではあまり好みではなかろう近年のブラック的な音に接近させられていて、うんざりしていたところで新作「Lp1」を聴いて生々しいソウルに戻ってきて、それはそれでジョス・ストーンには良いことだったけど、今回の「Superheavy」によるコラボでも自分の音楽的な好みを歌っているワケじゃないんだよね。ただ、それは鳴っている音楽の形式だけの話で、思い切りソウルに自分を貫いて歌っているから全然ハマってくる…っつうかジョス・ストーンっていう声の存在が主張されているんだよ。だから、こういう感じに音楽ってのはミックスしていけば自分を生かしながら音に飽きることなく作品ってのは出来るんだよ、ってのを知ってくれたんじゃないかな。これからのジョス・ストーンはこの「Superheavy」の経験を元にどんどんと多様な世界に羽ばたいていけると思いたいもん。「One Day One Night」なんて曲はミック・ジャガーとサシで歌い合っててさ、まるでヒケを取らない歌唱なんだけど、バックは軽めの曲なんだよね。それでもミック・ジャガーもロックだし、ジョス・ストーンもしっかりとレディソウルしているから、それで良いんだよ。曲に歌い方を抑制されるんじゃなくて歌が曲を制圧するんで良いんだよ、なんてことが糧になってくれるだろう。うん。そりゃ楽しいセッションだったろうな。

 それにしてもユニークな音世界。期待はしてたけどそんなに出来上がってこないだろうって思ってたので「Superheavy」がここまでの快作だとは良い意味での裏切りで嬉しいね。ストーンズも最近の作品はほとんど聴いてないし、ユーリズミックス聴くワケでもないし、レゲエだって普段から聴くものじゃないからさ、こうして刺激的なサウンドを上質のポップスの領域で出してくれるのは面白い。話題もともかくアプローチが楽しいね。さすがの一枚でした♪

Mick Taylor - Mick Taylor

ミック・テイラー(紙ジャケット仕様)  ジャック・ブルースって人は実に色々なミュージシャンと共演していて、しかもベーシストだったもんだから有名なギタリストと散々セッションしているんだよね。もちろんギタリスト側からもこういうフレキシブルなベーシスト、しかもクリームの、と来たらやってみたいと思うだろうから実は結構残ってる。商業路線的にはハズしているケースが多いけど、ジャック・ブルースのオフィシャルサイトとか見てるとホント夢のようなセッションなんていくらでも実現してるじゃないかと。レコードとかリリースしていないジャムセッションも含めたらそれこそ膨大な数だろうなと思う。ジミヘンとかだってやってたらしいしさ。その内の一人でもあったこっちはストーンズ加入で名を馳せたミック・テイラー。この人も結構セッション活動は盛んらしくて、70年代中頃には二人で、というかバンドらしい形態でジャック・ブルースと一緒にやってたみたい。レコードとかリリースされてないからどんなのかってのはなかなかわかりにくいけど、結構想像付く感じ?

 そんな活動を終えた後、1979年になって初めてリリースされたソロアルバム「ミック・テイラー」。今となってはどうしてこの人が最全盛期のストーンズにいたのか不思議なくらいスマートな感じなんだけど、この「ミック・テイラー」を聴いていると余計にそう思ってしまう。ストーンズからはかけ離れたモダンでスマートなブルーステイスト溢れるギターを軽快に弾いてくれる快作。ギタリスト的には非常に面白いので割と昔から聴いていたんだけど、聴く度に印象が変わる。それは多分ストーンズの深さとミック・テイラーという人自身のスタイルをわかってきたというのもあるし、音に対して深い造詣を持ってきたってのもあるかな。そんな味わいをいつも楽しめる玄人向けの面をもった作品。

 いやぁ〜、シャープでソリッドで且つメロウで味のあるギターを存分に聴かせてくれます。バックがしっかりしてるからギターが引き立つ引き立つ(笑)。かなりしっかりと作られた作品で、2008年になってもこの人のソロアルバムってのは数枚しか出てないので、あまり自分では前に出て、という感じの人ではないんだろうね。ライブで普通にストーンズの曲なんかもやってたりするけど、別物だし。ただ、味わい深いんだと思う。良いギタリストのアルバムで、大人の作品、って昔から思ってたなぁ。そういう作品っていくつかあるんだけどね。

Nicky Hopkins - The Tin Man Was A Dreamer

夢見る人  なかなかタイミングが合わなかったのでようやく今回書けるなぁと思っているのがニッキー・ホプキンス。60年代英国ロックを語る上で実に貴重な働きをしている人でして、セッション参加バンドは数知れず、そんな中でも有名な仕事としてはストーンズ、フー、キンクス、ジェフ・ベック・グループなどなど今では名だたるバンドのアルバムで鍵盤弾きと云ったらこの人しかいないんじゃないのかと思うくらいにアチコチで名前を見かける人ですね。あんまり細かいバイオグラフィーなんかは全然知らないんだけど、そんな印象で結構一目置いて見てしまう人です。その昔ジミー・ペイジがどんなバンドのセッションでもギターを弾いていたと言われるくらいのスタジオギタリストだったと言われるようにこの人も多分どんなセッションにでも駆り出される鍵盤弾きだったんだろうな。

 そんな彼の転機はやっぱりストーンズとの出会いだったんだと思うけど、英国ロックが一番熱い時期でもある1973年にようやく、というか背中を押されて出したソロアルバムがアナログ時代ではかなりレアだった「夢見る人」という作品。ミック・テイラーのギターが心地良い具合に登場していて何と言うのか、ロックな人たちなんだけどワイルドなロックな人たちじゃなくってもっと優しくて繊細な人たちによる作品になっていて、きっとそれがニッキー・ホプキンスの性格なんだろうなぁとヒシヒシと感じられるね。サックスではボビー・キーズが参加していたり、もう一人のセッションマンとして有名なクリス・スペディングも参加しているという実に心和むアルバム。ベースにはあのクラウス・ヴォアマン参加というのも彼ならではだろうね。更にこの後徐々に有名になっていくパーカッショニストと言えばレイ・クーパー。

 内容的にはもちろんニッキー・ホプキンスのソロ作品なので鍵盤、とくにピアノが前面に出てくるアルバムで冒頭から落ち着いた優しい雰囲気で始まってくるんだな。どの曲を取っても美しく繊細で心優しいメロディーが紡ぎ出せるところはさすがに音楽家という一面を見せてくれるし中でも「Lawyer's Lament」という哀愁を帯びた美しき曲はアルバム中最高の一曲でしょう。全然違うんだけどある意味ピート・シンフィールドのソロ作品にも通じる英国的なメロディーが好きで結構聴いたものだ。もうちょっと他の楽器が聞こえても良いんじゃないかと思うくらいピアノが前面に出ているのがもったいないんだけど、まソロ作品だからこれくらいでしゃばってても良いのかな。テイラーのギターもツボを押さえたところでしっかり鳴ってくるし、ストーンズ関連の人の単なるソロ作品として捉えられているだけでは惜しいくらいに秀作。アルバムジャケットも含めて彼らしいなぁって。

 アナログレコードで収集していた時代にはこのアルバムには全然お目にかかれなくて、見つけても結構な高額だったりして全然聴けなかったし、そこまでして手に入れるほどでもなかったのでブライアン・ジョーンズの「Joujouka」と共にストーンズ関連では結構聴けなかったんだよね。CD時代になってリリースされるってなってようやく聴けた作品がこれほど心に染み入るとは思わなかった名作かな。ストーンズ名義での「Jamming with Edward!」もライ・クーダー参加で話題になることがあるけど、こいつでのピアノもさすがです。

Rock'n Roll Circus

ロックン・ロール・サーカス  そういえば先日はジョン・レノンの命日だったなぁと思って、ブルースとの絡みで何かなかったっけ?と考えてみるとジョン・レノンって人はまぁ、ブルースっつうのに取り憑かれていたワケではないけど作品的には結構色々あったり、そんなセッションもあったりするので割と事欠かない。まぁ、クラプトン絡みってのが多いワケだが。中でも最高に傑作なブルースセッションと言えば個人的には「ロックン・ロール・サーカス」の「Yer Blues」。

 時代は1968年12月、ビートルズは終焉を迎えつつある時期、そしてストーンズもブライアンとの確執が始まった時期、だな。何でも本当はトラフィックのスティーヴ・ウィンウッドが出演するはずだったストーンズの特別番組である「ロックン・ロール・サーカス」だったがキャンセルとなり、出演者を捜したところジョン・レノンに電話一本でお願いしたらジョンはクラプトンとミッチ・ミッチェルを連れてきたという一幕からスタート。ベースはその場でも何とかなるだろうってことでビル・ワイマンにお願いしようとしたトコロ、キースが「俺がベース弾いてやるよ」と言ったかどうかしらないが、そんなようなことでキースがベースで決定。そこでプレイされたのがビートルズ「The White Album」に収録された「Yer Blues」。正直言ってとんでもないメンツでプレイされているこのバンドのこの曲、即席だからもたつく場面はいくつもあるけど、やっぱりジョン・レノンの采配の元にうま〜く曲が進められていてクラプトンの見事なアドリブが最後を締める。う〜ん、ロックの夢物語…。

 番組そのものは時代を感じるんだけどやっぱり面白い。圧巻なのはやっぱりザ・フーのプレイ。滅茶苦茶ハジけててかっこよいし、ノリにノッているから凄いわ、これ。キースはやっぱりとんでもないし、バンドもとんでもない。ストーンズが喰われてしまったために映像の発売がお蔵入りだったってのもよくわかるくらいの凄い出来映え。そのストーンズだって全然悪くない、どころか相当かっちょよい。これで出来が悪かったって言うんだからどんだけプロフェッショナルなんだ?って思ってしまう。ジェスロ・タルだってこの時はまだ無名だったけど、相当ハジけたプレイでタルらしいパフォーマンスで面白い。うん、要するに全ロックファンが楽しめる番組を作ったってことだな。カラフルな衣装や番組の煌びやかさも時代を反映しているけどなんか夢があっていいなぁ。ここにジミヘンが出てたらもっと最高だったかも。

 あ、見てない人は是非映像を見てほしいです。これは。音だけでもいいけどやっぱり映像。YouTubeでもいくつか見られるからその凄さを味わって欲しいですねぇ〜。

Ron Wood - Gimme Some Neck

Gimme Some Neck  いかにもバッドボーイ然としたイメージを醸し出すキースを筆頭とする今でも元気なローリング・ストーンズのギタリストが今で三代目ってのももう今更の話なのだが、その三代目が既に30年ストーンズに在籍しているっつうことで、最早ストーンズのギタリストはキースとロニーというのが定説か。最初期のブライアン・ジョーンズや跡を継ぐミック・テイラーの影や如何に、やっぱりストーンズにはロニーだよってのもあるんだけど、何だろね、特別にバッドボーイ的な人じゃなくて、どう見ても人の良さそう〜な顔してるのに、ストーンズにぴったりのイメージだと言うのも面白い。

 そんなロニーはジェフ・ベック・グループのベーシストから始まってフェイセスの花形ギタリスト、そしてストーンズへの加入となるんだけど、その隙間ではしっかりとソロアルバムをリリースしていて、それがまたその辺の仲間と気楽に作っているもんだから聞きやすくてロックンロールしていて、気張ってないのが良い。1974年に始めてソロ作品「I've Got My Own Album to Do」をリリースしてからセカンド「Now Look」を発表。その後ストーンズに加入してからすぐの1979年には今作「Gimme Some Neck」をリリース。当然ながらゲスト陣にはミック・ジャガーやキース、ボビー・キーズやチャーリー・ワッツなど皆さん揃って参加している。しかしこの頃のストーンズではメンバーがソロ活動することを良しとしていたのかねぇ。それともそういうのを条件に引っ張ったのかね?ミックがソロ出す時にかなりモメたような事を聞いたことあるんだけどさ。

 それはともかく、このアルバムでの名曲として有名なのがボブ・ディラン作の「Seven Days」っていう曲なんだが、これがまた音が悪い(笑)。それでも曲の良さが救うんだろうが、再リミックスし直した方が良いけどなぁ…。最近のリマスター盤とかでは直っているのかもしれない。何でもディランがクラプトンのソロ作品用に書き下ろしたらしいが、クラプトンが好みでないと切り捨てたこの曲を拾ったのがロニーということで、何ともまぁ、人柄の良さなのだろうか。この辺の絡みで思い出すのはライブエイドでのディランとキースとロニーの三人でフォークを持ってプレイした時にディランがギターの弦を切るとすかさずロニーが自分のギターを差し出すという、素朴な人柄の良さを思い出す。良いシーンだったんだ、これ。

 ん〜と、アルバムの中身についてはだな、まぁ、ロニーの好きそうなロックンロールとか南部風のサウンドとかドブロでの弾き語りとかお得意のリラックスした、ある意味では大人の音がいっぱい詰め込まれていてBGM的に流しているという要素が強い作品だな。しかしこのタイム感はどう聞いてもチャーリーだ…、あ、やっぱほとんどチャーリーが叩いてる(笑)。ロニーの歌は別に可もなく不可もなくというところだけど、そういうのが許されてしまうキャラだしねぇ。ほんと、好き勝手やってるわぁ〜(笑)。ジャケはもちろん自作の絵♪ そしてニュー・バーバリアンズに続いていくという…、あ、ストーンズの活動休止にも繋がるのだろうか…。

I've Got My Own Album To Do

俺と仲間  昔から人柄の良さが表情に出ていてそのまま気さくで明るい人という感じなのだが、そんなロン・ウッドでもジャンキーだったりするワケで、人柄の良さと好印象な人物像とジャンキーが結び付かないイメージもあるんだが、果たしてそんな人なんだろう。酒のみならずヤクも結構なモンだったようで、それでいてあの人柄と言うのは相当優しくて弱い側面を持ち合わせた芸術肌なのかな、とは思えるか。まぁ、その人柄が生きたのが別にリリースする必要性に迫られていたワケでもないし、自分的に出そうと決めていたものでもないけど、なんとなく出してみようか的な感じでリリースされたロン・ウッドのファーストアルバム「俺と仲間」。

 1974年ってことで時期的にはフェイセスも解体中で何したモンかな、って頃だ。ストーンズに加入するのは1975年頃だから丁度その間の時期に出されたもので、一応フェイセス在籍中ってことらしい。ストーンズのキースと妙に密接していた時期に重なった事で、このソロアルバム「俺と仲間」にはキースの絶大な支援があったらしいが、果たしてロン・ウッドにその支援は必要だったか?っつうと良くわからん。そこまでキースに依存する必要があったとはあまり思えないんだけど、まぁ、商売と友情としてはアリだったんだろうな。結果ストーンズ側からキースとミック、そしてミック・テイラーも参加しているんだからなかなか微妙な人間関係もあったんだろうが、そこはロン・ウッドの人柄でカバー、か。そしてフェイセス側からはイアン・マクレガンがメインで参加してて、ロッド・スチュワートもちょい参加。そしてどこでどういう付き合いがあったのか、まぁ、おかしくはないけどジョージ・ハリソンとの共作が一曲、もちろんジョージも参加しているワケで、自分的にはこの「Far East Man」は本アルバム内では最も気だるい感じに聴こえてしまうんだが…。そしてリズム隊にはウィリー・ウィークス&アンディ・ニューマックというたいとなリズム隊。ウワモノのふらつきさ加減をこのリズム隊がきちっと引き締めているっつうか、アルバムらしく仕立てているのかもしれんな、と。

 キースがいるからこういうストーンズ的なR&Rアルバムに仕上がっているのか、キースがいなくても元々ロン・ウッドのロック的嗜好からしたらこういう音に仕上がったのか、そのヘンが良くわからんのだけど、ストーンズです、このドライブ感は。ミック・ジャガーが歌ってたらストーンズの作品ってもおかしくないアルバムの音になってるもんな。しかし、この「俺と仲間」ってロン・ウッドの自宅スタジオで録音されたって話なんだけど、フェイセスレベルの音楽活動で自宅スタジオ持てるくらい稼げるのか、とも思ったり。まぁ、ロッド・スチュワートのソロアルバムの方も参加してるから商売的に出してる枚数は多いけど、そんなもんなのかとなんとなく不思議に思った。それはともかくながら、ロン・ウッドの初ソロ作品としてはバラエティに富んだ大人のセッションアルバム、ってトコですね。

Ronnie Wood - I Feel Like Playing

I Feel Like Playing  「ロックンロールはブルースから生まれた子供さ」とは良く言ったものだが、正にそんなことを実感させてくれるバンドというものも今ではそれほど多く記憶されていないかもしれない。ココのところ世間を賑わせているストーンズは別格として、その他って?となるんじゃないだろうか?もっともオールドロックファンならいくらでも名前が出てくるんだろうが(笑)。とは言え、ココのところ聴いていた女性ブルースシンガー達は一度ロックのフィルターを通したブルースを元に自身達のオリジナリティを加えてアウトプットしているということからするとあながちロックンロールはブルースの子供、というだけではなくなってきているワケだ。進化系は難し話になるな。

 そういえば先日何かでHowlin' Wolfの生まれ年は1910年だと書かれているのを読んで、ちと待て、それは今から100年前ってことだよな?そりゃそうか、と思うのだが今でもHowlin' Wolf達の偉業はStonesなどを経由してしっかりと残されているワケで、そう考えるとロックの歴史も深くなってきたものだと実感する。

 前置き長くなったけど、そんなロックンロールを素のまま体現しているロン・ウッドの新作「I Feel Like Playing」をね、聴いててそんなことを思ったんですよ。ま、ただ単に何も変わっていないロニーのロックって良いな、って♪最初聴いた時はなにやら気怠くて締まりのないアルバムだなぁ、なんて思ってあまり響かなかったんだよね。多分その頃はもちっとハードなのを聴いてたからかもしれない。ところがちょっと気分が変わってブルース的なのとかを聴いてから聴いた「I Feel Like Playing」はこれでもかっつうくらいに心に染みた。その間にFaces聴いたのもあるんだが、基本的にロニーのギターは何も変わってない。昔のまま…言い換えると昔からロックンロールをマスターしていたってことだ。今回の「I Feel Like Playing」も別に音としてはR&Rじゃないのも多いけどさ、全体はR&Rな作品なんだよ。静かな曲やレゲエな曲でも。別に豪華なゲスト陣が必要だったワケじゃないし、売ろうと思ったわけでもないと思うから偶然と機会の産物なんだと解釈しているが、やはり主役が目立つんだ、とにかく。曲によっては何となくチャーリー・ワッツのドラムの方がいいな…なんてのもあったり歌もロッドだったらなぁ…って思うのがあって、ロン・ウッドに何を求めているワケでもないけど、何か自然体の酔いどれR&R野郎的なのを聴きたいんだな、きっと。

 昔からロニーのアルバムって大人のR&Rでさ、ファースト「俺と仲間」を聴いたのも随分昔の話しだけど、その頃から同じような音で、若い頃聴いて「やっぱ大人のロックってこういうものなんだな」なんて解釈して聴いてたし、今聴いても同じなんだから早くから大人だった人な解釈…大いに間違っているのだが(笑)。はて、ストーンズが盛り上がりロニーがこんなナイスな新作をリリースして世間を騒がせている。いいのかね、そんな時代で(笑)。

Ron Wood & Ronnie Lane - Mahoney's Last Stand: O.S.T.

Mahoney's Last Stand: O.S.T.  ロン・ウッドって人柄の良さが顔に出ているし、こういうロックンローラーもそうそういない人。ギターが好きで酒が好きで女が好きで、でも良いヤツ、っていうのでさ、日本的な不良からのロックンローラーっていうんじゃない、もっと本当に心底天然のロックンローラーっつうか…、ハチャメチャ小僧だったんだろうな。そんなロニーってジェフ・ベック・グループからFaces、Stonesって流れる人なんだけどその間に絡んだ人脈全てと仲が良いままってのもこれまた人柄の良さか。そんな関係での共演盤となったロニー・レインとの作品をご紹介。

 1976年にリリースされた「Mahoney's Last Stand: O.S.T.」という同名映画のオリジナルサウンドトラックらしいが、映画自体は見たことないしほとんど話にも聞かないので非常~にマイナーな作品らしい。大体ロックミュージシャンがサントラを担当した映画はあまりヒットしたのを聞いたことがないのでそんなもんだろう。ロニー・レインがそのオファーを受けたのが1972年頃のことらしくて、音楽的センスの高かったロン・ウッドと…、当時まだ二人共Faces在籍中なのだが、その時点で曲を作り上げていた作品。映画の公開が遅れたことでアルバムリリースも1976年になったっつうだけらしい。

 そんなサントラなので中味はほとんどインストもの、これもまた思い切りアメリカスワンプした楽曲が多くて気怠いな~っつうトコロ。ロン・ウッドのスライドがいつもと違ってドブロ的ってのもアメリカンブルースを意識した感じ。ロックナンバーなんてのはほとんど入っていないに等しいアルバムだけど参加ミュージシャンは見事なものでFacesのロッド以外の面々とBobby KeysやMicky WallerやPete Townshendという面々。ロニー・レインの人脈も見事なものだ。

 その割には特にロックらしい音でもなくカントリーチックなサウンドばかりで特段二人の個性とか豪華ゲスト陣営の音楽性が発揮されているようには感じないのがちと期待外れ。ま、そんなもんか。そしてこの「Mahoney's Last Stand: O.S.T.」という作品、ジャケットの種類も豊富で何枚も出ている。昔は見つける度にこの二人で何枚もアルバム出してたのか?と誤解していたが全部同じ「Mahoney's Last Stand: O.S.T.」だったのだ。デニムシャツのジャケットが最初だったな。

First Barbarians - Live From Kilburn

ライヴ・フロム・キルバーン(DVD付)  ロン・ウッドと言えば人柄の良さがにじみ出ている人で、その分どんなグレ者やテクニシャンミュージシャンとも何となく馬が合わせられるような人だ。代表的なのはボ・ディドリーとのセッションだろうか。一方のキースはチャック・ベリーとのセッションでは相当やきもきしながら仕事していたことを思うと、もっとも人が違うんだが、愛されキャラってのが出るんだな。そういうロニーだからこそキースとミックの間に入っても上手くやっていけるしロッドとも上手くやれるってとこか。

 そんなロニーが最初に自分のソロアルバム「I've Got My Own Album to Do」を作るってことで面子を揃えたら結構なゲスト陣になってしまい、ついでにツアーもやりたいから、ってことでみんなに訊いたら、いいよってことで実現してしまった1974年のバーバリアンズ、その延長でストーンズの活動休止の合間に1979年にもう一回面子揃えてみたらできちゃいました、ってのがニュー・バーバリアンズ。「Buried Alive: Live in Maryland」でCDリリースされてる。ロニーとキース、更にイアン・マクレガンが固定的。その他は都度変わってるけど、変わったところでは1979年にはスタンリー・クラークがベースって…、いやどうなんだろ(笑)。

 んなことで、やっぱりオリジナルのバーバリアンズのノリの方が面白いかなぁ〜ってことで1974年のロニーの「I've Got My Own Album to Do」から派生したライブ盤「ライヴ・フロム・キルバーン」を紹介。昔からニュー・バーバリアンズの存在は文献なんかで読んでいたりしたので、凄く気になってたんだけど実際に聴ける音源なんてなくって、幻のグループ、ってな感じで捉えてたんで、こうしてオフィシャルでリリースされるってのはありがたいことだ。今のファンは恵まれてる…っつうか大変だろうけど。そういうのをちょっと思い出しながら聴いてみたんだよね。

 …、ストーンズじゃないか(笑)。いや、当たり前だが…。キースとロニーなんだからそりゃそうだけど、途中ロッドが参加するとこれまたロッド色になってしまうんで面白いなあ〜と思うが…。もうちょっと代表的な曲がああったら面白いんだけど、しょうがないか。ソロ作のツアーなんだもんな。んで映像の方が驚異的というかインパクト絶大。画質良し悪しはともかく、中味がやっぱ強烈です。ホントに実現してたんだ、って想いの方が強いので驚き。映像まで見れるって…、今の世代は恵まれてる(笑)。

Bobby Keys - Bobby Keys

Bobby Keys  寒くなると訃報がいくつか舞い込む。自分の周辺ってのもあるけど、ロックの世界でもそれは同じなのか、幾つかの訃報を目にすることが多くなった。大抵はそうか〜って思う程度なんだけど、意外とショックだな〜って思う場合もあったりする。そういえば健さんとか文太さんなんかもひとつの時代の終わりをしみじみと感じた訃報だったんだよな。もうそういう時期に入ってきてるのは間違いないだろう。…ってなことで別にそんなに想い入れがあったワケでもないし、サイドメンだったのにこれほど注目される人も珍しいのかもしれないボビー・キーズ。

 1972年のソロ唯一作「Bobby Keys」なんだが、ストーンズと絡み始めてしばらくしてからのソロアルバムってことでちょっとそっちの系統かと思いきや、もっとディープなロックの人脈連中たちが参加しまくっている一大セッションアルバムに仕上がっています。レスリー・ウェストのギターなんてもう聴いててすぐわかるしねぇ。ジョージやデイブ・メイソンなんかも弾いてるし。そのヘンではマウンテン絡みのパッパラルディとクラウス・ヴォアマン、ジャック・ブルースとビートルズ、クリーム人脈、もちろんデラニーのメンツも手伝ってるしね。ほとんどその辺の連中の一大セッションアルバムみたいになってる。何せ歌が要らないワケで…要らないっつうか入ってないです。んで、曲調は何か?ってトコですが、ホントにロックなセッションなだけ。サックスプレイヤーだからってジャズやってるワケでもなく普通に歌のないロックな音のセッションでそりゃもちろんメロディはサックスで吹いてるけど、特徴的なメロディなワケでもなく、うるさめなBGMだな、くらい。その分セッションしてる連中の個性が前に出て来るからさすがだなって話。

 しかしこの頃って結構セッションアルバム的なのが出てるんだな。ニッキー・ホプキンスのソロとかもそんな感じだし、もっとも普通にそうなるってのはあるけどさ。しかしボビー・キーズってやっぱアメリカ人、テキサスメンなんだな、とこういうの聴いてると思うワケ。メンツがコレだからそんなに目立たないけどやっぱ抜けたアメリカな音だよね。マウンテンやデラニー系が強く出るからかな、それでも英国ロックからの影響もありみたいな音だけどサックスは明らかにメロディも含めて抜けててアメリカ。名盤とは言われないだろうけど、結構面白い時代を反映したセッションアルバムだと思う。  R.I.P.

The Rolling Stone Classics - Compilation

 P-Vineレーベルって昔からニッチな世界を展開していてくれて、ブルース系なんかでも結構お世話になった。多分メジャーレーベルではどこもリリースしないだろうってのをいくつもリリースしてくれて、自分的にはやっぱり黒人系、特にブルース系列に滅茶苦茶強いレーベルというイメージだね。まぁ、調べたことないけどそんなに違ってないと思う。先日のブリティッシュビート・クラッシクスなんてのもそうだけど、そういう土壌があるから企画モノとして面白いのが出来たワケなんだな。んでもってその企画シリーズって細々と続いてて、「ジャニス・ジョプリン・クラシックス」とかツェッペリンとかストーンズとかライ・クーダーとかあるんで、まぁ、面白そうなのをいくつか…、ってなんでそんなに持ってるんだ、って話だが(笑)。いや、原曲探しって好きなんだもん。

 1988年に、多分この手のシリーズで一番最初にリリースされたのがこの「ローリング・ストーン・クラシックス」だと思う。当時まだCDでブルースなんて全然出てなかったからこの原曲集は喜んだものだ。しかしまぁ、こうして原曲集を聴くと改めてストーンズって渋い黒人路線のアーティスト好きだったんだなぁと感心する。最初期のストーンズと、このクラシック集との差はほとんど見つからないくらいに似てる、っつうかカバー曲が多いから当たり前だけどよくカバーしてるもん。そしてまたかっこよい曲ばかりをカバーしてたんだなと思う。おかげでこのCD聴いてても全然古い感じしなくて、どれもこれも知った曲ばかりだからだけど、原曲もストーンズもあまり派手にアレンジ変わらなかったからな。そういう意味では彼等は忠実な伝道者なのだ。

 「ローリング・ストーン・クラシックス」の第二弾「ローリング・ストーン・クラシックス 2」ってのもリリースされているんだけど、そっちはまだ手に入れてない。っつうか知らないウチに出てていつの間にか廃盤だったのでしょうがないんだけど、ま、それもいづれは面白そうなので聴いてみたいね。ヘンなロック聴くよりも全然かっちょよいんだもん、このヘン。この辺手に入れてアーティスト毎にアルバム入手していくともの凄く幅が広がるだろうし、楽しめると思う。昔はそうやって幅を広げてアチコチのバンドに広がっていったものだ。ただ、単一アーティストを聴いているとどうしても飽きてくるので、こういうオムニバスっつうのはありがたい。しかもナイスなコンピレーションだからよろしい。