Armageddon - Armageddon 1975

Armageddon  ヤードバーズが出たらやはりこの路線も忘れられません。キース・レルフがヤードバーズ解体後にオリジナルルネッサンスなどのバンドを経由して辿り着いたバンドがこのアルマゲドンで、その時のオリジナルルネッサンスで一緒の道を歩んでいたベーシストのルイス・セナモが5年の時を経て再度共演しています。が、もちろんその布石は打たれていて、アルマゲドンでギターを弾いているマーティン・ピューというギタリストがなかなかエグくて良いのですけども、この人が前に活動していたバンド「スティームハマー」が1972年にリリースした「Speech」というアルバムで既にこのアルマゲドンの基盤が結成されていたのでした。

スティームハマーもかなりハードでエグいバンドだったのですが、最後はメンバーがどんどん去っていってしまい、名盤と呼ばれる「Speech」では既にルイス・セナモとマーティン・ピュー、更にはキース・レルフもゲスト・ボーカルとして参加しており、更にアルマゲドンの唯一のアルバムの一曲目に収録されている「Buzzard」のリフは「Speech」からの「Penumbra」と全く同じリフを持ち込んでいる。まあ、アルバゲドンの方が洗練されているんだけど、そんな兄弟みたいなアルバムが実は存在していて面白い。

 で、やっているサウンドはというと、正にブリティッシュ然としたハードロックの中にこれもまたブリティッシュ然としてアコースティックな味わいを持つ美しい楽曲が挟まれており、楽曲レベル的にもかなり素晴らしいものを創り上げている。キース・レルフのボーカルもヤードバーズ時代とは全然異なったシャウトだし、マーティン・ピューのギターもかなり形作られている。ドラムのボビー・コールドウェルはキャプテン・ビヨンドというこれもパープル系のバンドに所属していたのだが、かなりいいテンションでバンドを引き締めているので、数年活動していたら結構良いバンドだったんだがなぁ。結局花開く前の1976年3月14日にキースが自宅でギターを弾いている最中に感電死してしまったのであった。残念無念。

Arthur Brown's Kingdom Come - Galactic Zoo Dossier 1970

銀河動物園白書(紙ジャケット仕様)  ザ・クレイジー・ワールド・オブ・アーサー・ブラウンっつうのはご存じだろうか?ヴィンセント・クレインやカール・パーマーってのはそこから輩出されたメンツなのだが、もちろん御大アーサー・ブラウンのシアトリカル且つ時代を超越した大胆なパフォーマンスと音楽世界はいつまでも強烈なインパクトを誇っている。「FIre」のビデオを見たことのある人ならそのインパクトは承知の上だろう…。

 そんなアーサー・ブラウンがザ・クレイジー・ワールド・オブ・アーサー・ブラウンを解体した後に創り上げたバンドがアーサー・ブラウンズ・キングダム・カムですね。その最初のアルバム「銀河動物園白書」が1970年にリリースされていて、ここから三部作という触れ込みで実際に三枚のアルバムがリリースされているんだけどさ、昔からモノの本などによると「名作!」とか「傑作!」とか評論されていて、気になっていたんだがなかなか手に入れられなくて結局入手したのは恒例のカウンターフィット盤での「ジャーニー」だったワケよ。それがまたドラムマシーンで打ち込んだ作品で、単発で聴いても一体どこが面白いんだ?ってくらいなものでしかなかったので、印象が良くなかった。まぁ、それでもやっぱりアーサー・ブラウンだから、ってことで記憶から消えていたファーストアルバム「銀河動物園白書」をCDが出たってことで聴いてみたのだな。

 「…。」。

 なんつうのかな…、シアトリカルってのか演劇性が高くてスペイシーというのか向こうの世界って言うのか…、プログレッシヴっつうのか…、ザッパ的なユーモアセンスを英国のセンスでやるとこうなるんだろう、ってな具合で、レコードの針が引っ掛かったような引っ掛けリズムが入っていたり、効果音はもちろんスペイシーに入り込んでいるし、楽曲構成はホントにどういう風に組んだのか意味不明だし、それでもバンドが付いてくるんだから楽譜でもあったんだろう。そういう意味に置いては稀代の天才とも言える人だ。リスナーとして楽しめるか、ってのはちょっと別だが、もの凄いってのはわかる。完成された音楽はこういうことを言うのだろう。それが面白いかってのはちょっと別。

 ん〜、簡単に言うとステージと一緒に見るならば面白いかもしれないけど、音だけで聴くとちょっときついんじゃない?完全にハマり込める人は大丈夫だけどね。間違っても片手間に流して、とか何かしながらとかでは聴けない音楽世界で、じっくりと聴かないとわからない。そうするとこの繊細な音世界とかねらい所ってのがわかってくる。歌詞まで理解していればこのアルバムは相当に面白い作品。だが、そこまで進めないのであれば聴かない方が良いかなぁ…。酷評になっちゃうもん、多分。  ん?自分?じっくり聴いたから凄いな…と思う部分が大きい。ただ、今欲しいのはそういうのじゃないから…ってのはあるけど。だからタイミング合えば凄いハマるな。

Arthur Brown's Kingdom Come - Journey (1973)

ジャーニー(紙ジャケット仕様)アーサー・ブラウンって多分ホントに「奇才」って言葉の似合う人だったんだろうと思う。やっぱりかなりヘンなんだけど出てくる作品はどれもこれも個性的で独自の世界を醸し出しているし、それは他の人がやっても意味のないものにしかならないであろう個性的な世界。あまり大きく売れてその才能が取り沙汰されることはなかったみたいだけど、残された作品を聴いていたりするとつくづくそう思う。今回はその繋がりからやっぱりKingdom Comeかな、という気がしたので、多分自分が一番最初に聴いたKingdom Comeというバンドのアルバムを実に20年以上ぶりに聴いてみたのでした…、もっと聴けよと思うのだが、ま、ね。

 1973年にリリースされた「ジャーニー」という作品でタイトル通りに旅立てます…ってかどっちかっつうと「Triip」って単語の方が似合う気がするんだけど、多分英語的な意味合いではちょいと異なるニュアンスなのだろう。日本語英語的には「Trip」なのです(笑)。これまでず〜っとアーサー・ブラウンって人は独自の呪術性を持ったサウンドを追求していて、ビートに乗ったロックとかあまり見当たらないんですよ、例の「Fire」以外は。とことんその世界を突き詰めている感もあって、紺渡はKingdom Comeっつうバンドでその発展形をやっていくんだけど相変わらずメンバーが流動的で、今回の「ジャーニー」は3枚目の作品だけど、その前の二枚とももちろんメンバーが違うし、それ以前には知らなかったけどあのAndy McCullochも参加していたらしいからなるほど、ってなもんだ。そしてこの「ジャーニー」という3枚目の作品では驚くことにドラマー不在ながらも照明担当が在籍しているという意味不明な状況。ドラムよりもステージライトの方が重要だったということか(笑)。そしてアルバム「ジャーニー」でのドラムは何と驚くことにこの時代ではまずあり得ないドラムマシンでの録音で対処している。しかもアーサー・ブラウン自らがプログラミング?したドラムマシンのようで、これ…何だろ?Rollandとかなのかな?そこまで調べきってませんが…。

 想像通り当時のドラムマシンなんてほんとに機械音のドラムマシンなワケで、おかげでかなり冷たい機械的なリズムボックスの音がバンドの生演奏と共に聴けるんだけど、そりゃ今のと違って音もチープだしややこしいことできないし…っても相当頑張ってるんだが、その効果としては恐ろしく冷たいサウンドが出来上がったっつうことだ。そして呪術的なサウンドから進化して一般的にはスペイシーな音世界が出来上がっている。自分的にはもっとなんというか…、凍りついた呪術という世界で人間排除みたいな感じもするんだけど、そこがさ、面白くてドイツ的に冷たくはならないっつうか…。かなり変わった異世界を楽しめるのは間違いない。かと言ってこの「ジャーニー」を名盤と決めるのもちょいと異論はありそうだけど、変な方向にトリップさせられそうになるアルバムではある。コレ、インプロ的な部分とかなくってこんな曲なのかな?凄いな、どんだけ練りあげて作ったんだろ?と思う。変わった音好きな人には興味を惹く音なのは確かですが、普通のロックファンには受け入れられないだろうな(笑)。

Asgard - In the Realm of Asgard 1972

In the Realm of Asgard 英国ロック界にはレーベル毎に特色を出したアーティストをラインナップしてイメージやカラーという売り方をしていたものが多くて、その仕掛けには今でも多くのファンが付いているし、カラーリングは見事に成功した売り方だったと思う。そのおかげでレーベルコレクターなる異様なコレクションも出てくるのだが、それは概ね間違っていないし、楽しみのひとつでもある。レーベルの印刷工場が変わってから色味が変わったなどというところまで追いかけている人もいるくらいだ。もともとはブルーノートとかジャズ系で始まったことのなぞりなのではあるが…。

 さて、アーティストが自身の色を打ち出すためにレーベルを作るというケースはビートルズを初めとして多くの大物バンドが実践しているが、ムーディ・ブルースもそのひとつで、もちろん自分達の都合の良いことができるから、という理由なのだろうが、Thresholdレーベルというものを作ったのだな。そして自分達の作品やトラピーズの作品なんかをリリースしていたのだが、もうひとつ唯一の作品となってしまったのだが、かなり秀逸な作品を残したAsgardというバンドをリリースしている。それが今回の主役。

 1972年リリースの唯一の作品「In the Realm of Asgard」。基本のメンバー編成にボーカルが二人、バイオリンが一人で鍵盤無しという変わった構成。ムーディ・ブルースが鍵盤を使って壮大なシンフォニーを奏でていたことに対しバイオリン一人でシンフォニーの雰囲気を醸し出すという不思議なバンド。もちろんボーカルも二人いて、更にコーラスが加わるから見事なコーラスワークを聴かせてくれるというのもバンドの売り。ムーディ・ブルースの小型縮小版という感じのする音が中心だけど、もっと可愛い気があるっつうのか庶民的親しみを持っているというのか…、コレでネタが尽きただろうな、っつうのか(笑)。曲によってそのレベルがまちまちで、突出して素晴らしい!と手放しで感動出来るタイトル曲などがあるかと思えば、ちょっと足りないと言うかもっと構成に気を遣ってみたら?みたいな曲もあったり(笑)。いや、全然それでも楽しめる実験精神は多々聴けるので良いのだが…。

 うん、前向きに聴くとね、バイオリンの使い方が面白い。歌のバックでも鳴ってたり、普通なら鍵盤で引っ張って叙情性を出すだろうってなところにバイオリンなんで、ちょっと不思議。そして必殺のコーラスワークがなんと言っても圧巻でして、アイディアは満載なんだな。もうちょっと各楽器が主張しても良い気がするけど妙に音楽的にクラシカルにまとまっているというのか…その辺がメジャーではないセンスというかプロらしからぬ部分かもしれん。が、それが面白いのだよ。近い感じがするからさ(笑)。

 ジャケットがよくわからないんで、買うのが後回しになりつつあったバンドでもあった。「In the Realm of Asgard」は聴いてみて最初は相当驚くと思う。多分普通のロック聴くなら相当にこの英国的湿っぽさと美学を満喫できる作品ではあるので試してみる価値はある秀作の域。歌とかとればかなりポップさも持っているし、逆に泥臭いロックな部分はあんまりなくって結構洗練されかかったロックではあるが、やっぱりこの時代のブリティッシュロックという形容しか思い付かない…。

Ashkan - In From The Cold

In from the Cold  英国ロック路線を突き詰めていた頃にご多分に漏れずどうしても気になったのがジャケットと共にレーベル毎のカラーってヤツでさ。ヴァーティゴなんてのはいつしか関わってしまうんだろうけど、デッカ・デラム、ノヴァとかネオンやらトランスアトランティックなどなど、もちろん親レーベルがあっての子レーベルだったりするので、どこの配給でどうの、とか正直言って企業論みたいな世界になっちゃうのであまり深入りしたくなかったんだけどさ…。まぁ、いつしかそういうのも覚えていってしまうのもコレクションの成せるワザか…と諦めてまとめた本を入手して学習しちゃいましたが…。もちろん型番覚えるまでは進んでません(笑)。ちなみにこの辺の音はモノ・ステが存在するようなので真のマニアは大変な世界です…。

 なんでそんな話か、ってぇと…、妙にデッカノヴァのロゴが目立つ、そして色鮮やかな空と風車っつうのもあって印象深いアルバムがあったのを思い出したから。アシュカンというバンドの1969年の唯一の作品「In from the Cold」で、この綺麗な色合いが良いんだな。もちろん中身についてもかなりの良盤なんですがね。

 うん、同じデッカ・ノヴァレーベルから出てきた一応有名なBlack Cat Bonesのオリジナルメンバーが参加したバンドっつうのもあるし、後のFleetwood Macに参加したBob Westonを中心に結成した〜なんてのもあちこち書かれているから、まぁ、それなりにうたい文句は作れるバンドなんだろう。でもね、そんなの大して気にしないで聴いてみるとこれがまた意外と洗練されたバンドで聴きやすい。ブルースベースだったんだろうな、ってのは曲調からもギターの音からもフレーズからもわかるんだけど、ドロドロじゃないんだよん、これ。もっとハードロックに近い音で…多分Zeppelinの影響もあるんだろうけど、相当洗練されているんだもん。だからB級感はあんまりない。単にメジャーに成り切れなかっただけのバンドっつう位置付けで聴けるんだが…。Black Cat Bonesよりも洗練されてるし、Three Man Armyみたいにドタバタもしてないしブレてもいない。もしかしたら今でも通じるバンドの音のような気がする…。

 いいね、かなり。この世界に入った頃に聴いてたら多分かなりのフェイバリットバンドになる要素を持ってるよアシュカンって。最近そんなのばっかり聴いてるからねぇ…、またまた耳が肥えてきましたよ、多分。こういうのをかっこいい〜って思えちゃうのって相当重症(笑)。そして面白いのはそんな感津をしていると本当に王道の英国バンドをまた聴くと、これが超かっこよく聞こえるのですよ、多分。こないだヒープ聴いた時にも思ったけどさ、余計にかっこよく聞こえるから決して飽きないのだ。あ〜、久々にZep聴きたいねぇ〜(笑)。

Atomic Rooster - Atomic Rooster 1970

アトミック・ルースター・ファースト・アルバム(紙ジャケット仕様) ふとCD棚を見ててアトミック・ルースターを見つけてしまって、そういえばアトミック・ルースターって割と悪魔崇拝主義的バンドだったんじゃなかったっけ?とか思って聴いてみたんだよね。

 1970年にリリースされた「アトミック・ルースター・ファースト・アルバム」。EL&Pのカール・パーマーが在籍してドラムを叩いているアルバムとして有名なファーストアルバム。もっともサイケデリックなシーンでは超有名な「The Crazy World of Arthur Brown」(「Fire」で有名な人ね♪)で鍵盤を弾いていたヴィンセント・クレインが中心になって結成したバンドでして、カール・パーマーってのはハードな鍵盤が好きだったんかね?それとも革新的なバンドに在籍したいってのがあったのか、このアトミック・ルースターも基本的にはハードな鍵盤中心のバンドで、ギターよりも鍵盤の目立つバンド。オルガンでハードロックはこうやってやるんだ、みたいな部分あるもん。個人的にはアードバークっつうバンドが一番好きだが、ま、それは置いといて、EL&Pのファーストと比べてみても遜色ないハードロックアルバム。ナイスよりは好きだ。

 ドラマーとしての技量とかはそれほどよくわかんないけど、曲に合わせたドラミングの上手い人でリズムキープとかの基本的なところというよりも、楽曲のうねりに対応した生き物のようなドラミングっつうのかね、変拍子とかじゃないけど、ヘンに重くもないしコロコロしたドラムって感じで(笑)。いやいや、面白い音だ。そんなハードロック作品なんんだけど一応ヘヴィーなギターも被せてあるので4ピースバンド的な音に聞こえます。実際は3人でのプレイなんだけど、それならギタリスト入れて派手にやれば良かったのにね。そんなのを強調していったのがディープ・パープルだったのかもしれない。

 話逸れまくるので、戻して…(笑)。クラシカルなフレーズからジャジーなフレーズ、そして何よりもオルガン的なハードロック、ベースも飛び出した音でもなくドラムは軽めでロールして…、正に英国B級に近いA級サウンド。どんどんメンバーを替えて、そして追加して生き延びていくヴィンセント・クレインの生き様がこのアトミック・ルースターに集約されている。そんな「アトミック・ルースター・ファースト・アルバム」は実に面白いので是非是非♪

Atomic Rooster - Death Walks Behind You 1970

Death Walks Behind You  EL&Pのドラマーとして有名になったカール・パーマーの来歴ってのも割と有名だとは思うんだけど、そもそもアーサー・ブラウンのトコロにいたんだよね。そこから離脱してかの有名なアトミック・ルースターをヴィンセント・クラインと結成してファーストアルバムを制作…、このファースト・アルバムはその後も名盤として語られることも多い作品で、それ故にEL&Pという看板が付くと皆納得するというものだ。ファーストアルバム「アトミック・ルースター」は割と聴かれているような気がするけど、このアトミック・ルースターというバンドも実は相当奥が深いバンドでして、順を追っていかないとワケ分からなくなるというもんだ。いやぁ、メンバーの出入りが激しくて且つ再結成などもあるから深いのです。ジンジャー・ベイカーやデヴィッド・ギルモアなんかも絡んでくるし、英国B級路線のバンドのメンバーなんかはそこかしこに絡んでくるしね。

 そのアトミック・ルースターのセカンドアルバム「Death Walks Behind You」です。1970年リリースの作品なんだけど、既に最初のアルバム「アトミック・ルースター」からはヴィンセント・クレインしか残っていないし、しかもギターが中心となったハードロック路線に変わっているし(笑)。ジョン・カンっつうギタリストが参加しているんだけど、もともとはヴィンセント・クレインのハモンドの強化ってことで加入させたらしいけど、結局マルチプレイヤーのニック・グラハムが抜けてしまった関係でトリオ編成のハードロックの方がやりやすいってなことだろう。鍵盤=ベースも兼ねて、その分歌とギターを任せてしまったが故に変則ではあるがギター中心のハードロックとなってしまったのだな。もちろんハモンドも鳴らしまくっているので重厚な音を出すバンドになったのだが、そういうのもあって今度は悪魔チックな「Death Walks Behind You」というタイトルで変貌をアピールしたのかもしれん。ドラムのポール・ハモンドは後にハード・スタッフに流れていくけど、思いドラミングでこの頃のアトミック・ルースターのサウンドってのはもう一皮剥けたら面白い音になってるんじゃないかと。そうじゃないところが楽しいのかもしれないが…。

 楽曲は鍵盤奏者がメインなだけあって、長い曲が多い、っつうか歌があって聴かせるなんてのはないから演奏だけでひたすら攻めてくるのが多いから長く感じる曲が多い。もちっとキャッチーに作れば良いのにただひたすら演奏で攻め込んでくるんだよ(笑)。もっともキャッチーにしているつもりはあるんだろうけどさ、歌も含めて一体となって攻め込まれている感じ。あぁ、B級的に近い肌触りだ…、いや、アトミック・ルースターはB級ではありません。このバンドも多数の亜流バンドを派生させているのだから…。

 …と言ってみてもジョン・カンのフレーズはかなりB級なセンスなのは否めないねぇ。ヴィンセント・クレインのメジャーなセンスからしたら面白いと思ったんだろうけど、今となってはちょっと、ね。自分的にはこういうセンスって凄く好きなんだけどさ(笑)。ポール・ハモンドもヴィンセント・クレインもセンス良いけど、バンドのフロントを担っていたのがジョン・カン。う〜ん、だからこういうサウンドなのだ…。

Atomic Rooster - In Hearing Of Atomic Rooster 1971

 英国ロックの奥深さってのはさ、超大物バンドからどマイナーなバンドまでが大きな意味ではひとつのファミリーツリーで繋がってしまうみたいなのがあって、それはそれはもの凄い流れが作れるんだよね。派生も含めたらそれこそ英国のバンドは皆兄弟ってくらいに広がる。例えば簡単に言えばZeppelinからYardbirdsなんてのは当たり前で、Band of Joyなんてのも出てくるしロード・サッチRoy Harperにも広がるし、Stonesにも繋がる。この辺は直接関連系だね。で、Roy Harperなんてのを例に取ればPink Floydなんてのにも行って、ギルモア氏からはUnicornってバンドに進んだり、Kate Bushに行ったり…、そうするとピーガブも行くでしょ、Genesisは当たり前で…、キリないんだよな。

 同じ理屈でLeaf HoundなんていうどマイナーなバンドもBlack Cat Bonesの派生で、一方ではフリーのコソフやサイモン・カークが元々在籍してたバンドでしょ、で、ボーカルのピーター・フィンチってのがここで出てくるAtomic Roosterに参加するワケで、それってカール・パーマーが在籍したバンドだから、つまりはEL&P。一方では鍵盤奏者のVincent Craneで行けばArthur Brownだし、果てはクラウス・シュルツとか驚くことにデキシーズ・ミッドナイト・ランナーズにまで参加してるワケで、全くキリがない(笑)。

 …と、まぁ、いくらでもあるので、今日は手始めのところでLeaf Houndが英国アルバムリリース時に既に解散していたおかげでボーカルのピーター・フィンチは無職状態、時は1971年なのだが、どういう理由からかアトミック・ルースターのボーカルとして一枚だけ参加している。これがアトミック・ルースター史上ではかなり意欲作として語られている「In Hearing Of Atomic Rooster」という三枚目のアルバムなワケだ。

 カール・パーマーが在籍していたことで取り上げられる方が多いのだが、実際彼が在籍していた時のドラミングは取り立ててどうのってものでもないんじゃないかな。「ファーストあたりを聴いているとやっぱりVincent Craneがキーなワケで、B級ではないんだよ、決して。コンセプト的にはそれこそブラック・サバス的な要素もあったんだけどこれも売り出し方がヘタだった。ただし、この三枚目の「In Hearing Of Atomic Rooster」からガラリとメジャーにイケる音作りになっていて、所詮鍵盤バンドという域からハードロックをピアノで演奏する、みたいなプログレとハードロック、といういかにも英国70年代初期のサウンドで心地良い作品。偏見無しに聴けば別にUriah Heepとかまぁ、Badgieくらいにはなれたんじゃないだろうか。ま、ギタリストによるが(笑)。でも結構攻撃的な音だし、鍵盤にはそれほど思い入れがない自分でもその辺の面白さはEL&Pよりもわかりやすいもんな。アルバムジャケだってロジャー・ディーンなんだからそれなりだったワケで、確かB&CRecords傘下の…と言うよりも英国マニア的にはPegasusレーベルの第一号だったハズ。このレーベルが綺麗でねぇ…、オリジナルのラベルを一度見てしまうとそういう所までもがこだわりの英国、って感じ。ま、その辺は今の時代にはあまり影響がなくなっちゃったからCDでいいんだけどさ。このバンド、割と長く続けられていてメンバー変動も激しいんだけど追いかけていくとなかなかサウンドの変化がB級的でありながら面白いんだ。ん?紙ジャケ出てるんだ…。

Atomic Rooster - Nice N Greasy (1973)

Nice N Greasy 70年代のバンドはどの国でも試行錯誤の時代でもあったが故に同じバンドでも音楽の方向性がどんどんと変わっていったり、バンドは名義のままで中味のメンバーはどんどんと入れ替わったりするのが常という様相を示していた。そこからユニークな試みがいくつも実験されて定着したバンドもあればさっさと違う展開に進むバンドもあり、また衝突消滅していくバンドも多数。もちろんドラッグやアルコールでシーンから消えていく人も多かっただろうし、なかなか混沌とした時代だったのだろう。それが故に音楽的には商業路線にこだわらない、商業路線が何かわからない時代のロックが多いんだから何でもできたってワケだが、特に英国では様々な実験が繰り広げられていたことで個性が溢れてきて今でも70年代英国ロック好きが増えていく理由なんだろう。再発CDや紙ジャケットシリーズ、リマスター、ボーナストラック付き、SHM-CD等の再発に加えて最近ではハイレゾものも登場しているのだからそれなりに需要が見込めるシーンなのだろう。今回はそんな中でもバンド名だけは割と知られているけどその実態があまりよく把握されていないであろうバンドの登場です。

 元々はThe Crazy World of Auther Brown Bandのバックから派生したバンドのAtomic Rooster。カール・パーマーが在籍していたことで知られているけどカール・パーマーはファースト「Atomic Rooster」で脱退、以降はメンバーが頻繁に入れ替わり結局鍵盤奏者のヴィンセント・クレインのバンドなので彼がオリジナルメンバーとしてず~っと引っ張っていたバンドになるのだが、アルバムのリリース枚数は結構ある。本作「Nice N Greasy」は1973年にリリースされた5枚目のアルバムで、一端解散前の最後のアルバム。結局何がやりたかったんだ?って雰囲気が溢れでているんだけどさ、中味は悪くないんだよね。ただリスナーがAtomic Roosterというバンドにちょっと飽きていた感が強くて新鮮味がなかったってトコなんじゃないだろうか。後追いの自分でもよくわからないメンバー構成のバンドだったし、掴み所のないアルバムが多かったし、という印象だったもん。

 しかしですね、まぁ、一枚づつアルバムをきちんと聴いてみれば悪い作品はあまりない。今回の「Nice N Greasy」なんてかなりブルージーでそのスジが好きなリスナーならかなりすんなり入っていけるアルバムだと思うし、なんてったってボーカルがクリス・ファーロウなんだからもう往年のあの歌声が最初から聴けて貫禄の一枚ですよ。ギタリストは無名だけど、結構味のあるブルースギターを弾いているので楽曲の違和感もないしメンバーの力量ももちろん十分でコレと言った曲が目立たないけどアルバムとしては全然悪くない。ヴィンセント・クレインがやりたかった黒い鍵盤ロックってこういうのだったんかな、と思うけどやっぱクリス・ファーロウの力量で圧倒的に飛躍したと思うもんね。結構好きなアルバム群です、今では。プログレ路線を歩んでいた時よりもわかりやすいし実力も出やすいからごまかせないけどその分面白く仕上がっているんじゃない?ただ、音楽性にオリジナリティは感じられないのが敗因なんだろうが…。

Audience - Friend's Friend's Friend 1970

Friend's Friend's Friend 久々に70年代英国ロックのメジャーじゃないところでのアルバムを見つけたのでちょこっと聴いてみた…。うん、やっぱりこの頃の英国はおかしい(笑)。バンド名もヘンだけど、音の方もかなりヘンで何とも言えないサウンドと強烈なアートワークでその筋のマニアを喜ばせているバンドのひとつ、オーディエンス。

 1970年、カリスマレーベルからリリースされた彼等のセカンドアルバム「Friend's Friend's Friend」。まぁ、簡単に言えばゴッタ煮ロックで、プログレの括りに入れられることも多いんだけどプログレっつうんでもないような気がする…、その辺の区分けは難しくてよくわかんないけど、展開は確かに多々あるのでプログレと言えばそうか(笑)。しかもそれが短い曲の中であったりするので、単にヘタウマなアレンジとも云うかもしれないけどさ。不思議なのはベース、ドラム、ギターに歌というのは一般的だけど、ここにサックス、ウッドウィンドっつう吹奏楽系が入ってきてさ、これがまだ凄く良い味を出しているので面白い。何となく、だけど普通鍵盤が味を出すところでの旋律をサックスうかウッドウィンドで出していて、これがまた人間味溢れる息使いまで聞こえるから新鮮で…、ヘンだよなぁ、やっぱ。大枠のリズムはベースが引っ張るグルーブ感でノリが良いというか…、そこにドラムがドッタンバッタンと叩かれて、多分ドラムのミックス結構大きいんじゃないかなぁ。個性的なドラムです。

 何だかんだで牧歌的な英国の雰囲気もしっかりと持っていて決してハードロックでもないしプログレでもない、正に英国のこの時代の音楽。コーラスワークもなかなか開放的で素敵だったり、アコギも綺麗に鳴っていたりします。吹奏楽も面白いし…。歌は決して上手くないけど、ちょっと粘っこい感じで土着的っつうのかな、好きなタイプの歌だね。

 このバンド結局全部で4枚のアルバムをリリースしてる。ヒプノシスのジャケットの「Lunch」ってのもあって、そっちはもおうちょっとモダンな雰囲気だったような気がするけどあまり覚えてないな(笑)。いやぁ、やっぱりこの頃の英国は今更ながら良い♪ またこういうのハマっちゃうかも…(笑)…。

The Aynsley Dunbar Retaliation - The Aynsley Dunbar Retaliation 1970

The Aynsley Dunbar Retaliation  ジャズとブルースとロックの邂逅という切り口は当初のロックシーンでは盛んに行われていたことなんだろうし、それがまた多様な文化を生んでしまっててね、それが故に面白い世界が無限に広がってしまったのだ。しかしここまで書き続けていながらなかなか紹介しきれないのもその深さがわかるってもんだろう…と自分に納得(笑)。さて、今回は実に素直にクールに静かにブルースとジャズの融合によるロックの可能性を模索したアルバムです。

 エインズレー・ダンバー=Aynsley Dunbar Retaliationのファーストアルバム「The Aynsley Dunbar Retaliation」でして1968年リリースなんだが…単なるブルースから逸脱してジャズとの融合を試みたものなので面白い。Aynsley Dunbarってドラマーなんだけどその辺に拘るってところもまたミュージシャン気質なんだなぁと俄に不思議な部分もあるんだけど、それが実践されているってのは凄い。特筆すべき有名ミュージシャンが在籍しているワケでもないんだけどね。

 さて、その音なんだけど、ノーマルなブルースによるアプローチがメインなんだけどさ、コルネット?かな?がソロを奏でていたりするので何か普通にブルースに聞こえないんだよね。どこかクールなジャズ的というかそういう雰囲気が出ているので、このAynsley Dunbar Retaliationのブルースってのは個人的には非常に冷たい感じのするブルースということでちょっと異質感を感じている。まぁ、だから故にちょっと聴きにくい感じを自分で持ってしまっているんだけど、別に普通に聴けるブルースの範疇です。ジャズエッセンスが入ってるような気がしてたけど、今聴いてみると純粋にブルースだな…。やっぱ管楽器がところどころに入ってくるから違う印象を持っていたのかもしれない。なるほど…、ちょっと反省。

 クールなブルースってことの他で言えば…、取り立てて目立つこともないアルバムっていうのも一理あるかな。もともとジョン・メイオールのところから来てるからある種英国ブルースの生き証人みたいなもんなので、こういう音ってのは必然だったろうし、そのアプローチも斬新ではあった、ってところがよく出ている作品。まぁ、そういうセンスがあったからこそ果てはザッパのバンドにまで参加してしまうんだろうね(笑)。

The Aynsley Dunber Retaliation - Doctor Dunbar's Prescription 1968

Doctor Dunbar's Prescription どんどんとディープな世界に…と言いつつもアルバムそのものや参加している面子そのものは割とメジャーな人だったりするのも英国ロックの深い世界の特徴。古くから知ってる人はあの人がこんなバンドで、とか思う場合もあるだろうし、それぞれのバンドの活躍を知ってる人は、こんなバンドにも参加していたのかと思うものもあるだろう。そういう渡り鳥的なミュージシャンという人もいて、こないだのレイ・ラッセルなんかもそれに近いんだけど、そういう輩は大体どこかの時点で自分のリーダー作品というものを作っていたりするのが常だ。こういう感覚はジャズを聴き親しんできた人には当たり前の感覚でリーダー作品というアルバムの作り方ってそういうもんだろ、とか思う。

 そんな中、実に、本当に数多くの著名バンドを渡り歩く強者ドラマーにエインズレー・ダンバーと言う人がいる。そりゃアンタ、コージー・パウエルの世渡りなんてハンパじゃないくらいに渡り歩いている人なのでこの人についてのセッション活動を知りたい人は是非オフィシャルサイトのディスコグラフィーを見てもらいたい。更にその仕事を視覚的に感動したい人は参加アルバムジャケット一覧を見てもらうと良いかもしれん。もう〜凄いんだから。

 古くはジョン・メイオールの作品でミック・テイラーが参加したものから初期ベック、更にザッパと一緒にやっていたもの、このヘンが有名なんだろうな。ルー・リード、ボウイ、ジャーニー、ジェファーソン系、モット系、更にはホワイトスネイクやUFO、マイケル・シェンカーなどなどとんでもなく無節操な仕事ぶり。しかしどれを取ってみても「重い」というドラミングがキーワードで、その重さがないと成り立たなかったかなというアルバムばかりに見えてしまうのだ。

 そんなエインズレー・ダンバーがリーダー作品として作ったバンドがエインズレー・ダンバー・リタリエーションというバンドで、その中でも最も重いブルースを奏でている作品が「Doctor Dunbar's Prescription」というアルバム。ジャケットのサイケデリックさ加減もどこか英国の重みを感じるものだし、何と言っても歌だよな、これ。重い。正当派ブルースもあるけどそれも正に時代を反映した楽曲だし、やっぱり多様な音がミックスされている曲も多い。う〜ん、英国ロックってしか言えないトコロかなぁ。ちなみに先日歌声を披露していたアンネット・ブロンクス嬢のダンナさんのヴィクター氏が参加しているバンドなワケだ。

 1968年にリバティレーベルからリリースされたアルバムで、昔レコード発見した時は結構な値段したアルバムだったよなぁ…。それも当然今ではアマゾンでCDで買えるんだから良い時代だ。彼のミュージシャン人生の中で一番充実していた時期の作品じゃないかな。不器用っぽくてこの人のドラム凄く良い。このままやってればもうちょっとバンドとして成功したんじゃないかな、なんて思ったりするね。