Babe Ruth - First Base 1973

First Base  ベーブ・ルースと言うとやはり思い出すのはホームランを714本打ったアメリカ大リーグのヒーローを思い出す人が多いだろう、そしてそれは彼が白人のヤンキーだったからという人種差別の偏見の元に英雄化されている面が大きいのだが、それはともかくとして英国ロック界にもその名をどういう経緯で使用したのか、多分ひねくれ者的見地に基づいて命名したと信じたいんだけど、プログレともハードロックとも言えないジャンルの狭間で個性を出していたバンドがあったのだ。アラン・シャックロック率いるバンドで紅一点のボーカリスト、ジェニー・ハーンのエネルギッシュな歌声とバックのハードでブルージー且つほどよくアレンジされたサウンドでファンを魅了するパワーを持っている。

 アルバム単位で言うと彼等の名義では5枚の作品がリリースされているが、アラン・シャックロックが絡むのは3枚目の「Babe Ruth」までで、1975年にアルバムリリースし、これからという時の脱退劇となったようだが、背景はよく知らない。ただ、彼の経歴というのはこの後、マイク・オールドフィールドロジャー・ダルトリーのソロ作などにも絡み、その音楽センスは業界の中ではかなり知れ渡っていたようで、その才能が再び陽の目を見たのはThe Alarmという80年代のパンクというかニューウェイブというか、これまたジャンルの狭間を生きるバンドのスタッフとして才覚を現してきたことだろう。そんなベーブ・ルースと言うバンドの初期三枚は実にヘヴィーなロックを叩き出していて、もっともっと世に知れ渡ってもおかしくないサウンドだ。ボーカルのジェニーの歌声はジャニスのようなしゃがれた面はないが、英国ロック界の中に於いてもかなりの声量とパワーをもった図太い歌声でバックのハードな演奏に実にマッチしている、というか負けていない声だ。特にファーストアルバム「First Base」は収録曲数が少ないながらもザッパのカバーを独自解釈でハードなナンバーとして演奏する力量を見せてくれたりするので侮れない。先の三枚目の初っ端の「Dancer」ってのも凄くかっちょよくってハード路線が好きな人には絶対ハマる楽曲だね。

 ジャケットを見てもわかるように「First Base」ロジャー・ディーンの作品、セカンド「Amar Caballero」ヒプノシスの作品と売り側も結構気合いを入れて売ろうとしていたんだと思う。ちなみに4枚目からはバンドのキーマンであったアランが脱退して後のホワイトスネイクを支えたバーニー・マーズデンがその任務をこなすことになり、彼もここで才覚を発揮していたようだ。以降5枚目では看板ボーカルのジェニーも脱退してしまい全く別形態のバンドのような素振りなんだけど結構初期と作風が似たアルバム「Kid's Stuff」なんてのをリリースするので面白い。最近ではベスト盤「Grand Slam: The Best of Babe Ruth」ってのが出ていて、このジャケットのジェニーの姿がたまらん…。そんなバンドでジミながらも結構かっこいいんだよなぁ。

Babe Ruth - Amar Caballero 1974

アーマー・キャバレロ(紙ジャケット仕様)  アナログレコードで音楽をゆったりと鑑賞する、これは今の時代では非常に贅沢な趣味なのかもしれない。と、久々にアナログでじっくりと聴いてみた時に思った。音の良い悪いとか暖かみとかクリアーさとか特性はあるものの、やっぱりレコードジャケットを眺めながら、そしてライナーノーツなどにも目を通し、クレジットをしっかりと見ながら飛び出してくる音を楽しむというのは満喫できるものだ。別にCDでもライナーがあったりするのでできる話なのだろうけど、実はあまりそうやって聴かない。MacにCD入れてそのまま流してネットやらなにやらをしながら聴いていることの方が多いワケなのでちょっと趣が異なる。聴いていたものは別に大した物じゃなくて、先日紙ジャケ化されたらしいけどアナログあったなぁ〜と思って探してきたベーブ・ルース。

 1974年リリースのセカンドアルバム「アーマー・キャバレロ」だが、一般的に、と言うか一般的には知られていないだろうから言葉が適当ではないけど(笑)、どっちかっつうと英国ハードロック系列に分類される音のはずなんだけど、このセカンドアルバムはかなり異色の出来映えで、当時はこのままどこに行くのだろうかと不思議な期待感を抱かせるバンドだったのかもしれん。ファーストアルバム「ファースト・ベイス」は概ねハードロックに分類される音が中心で曲の長さも割と長めでザッパのカバーがあったりしたので名盤的扱いではあるが、このセカンドアルバム「アーマー・キャバレロ」はリーダーのアラン・シャックロックの趣味嗜好が恐らくスパニッシュ系統に向いたためか、スパニッシュ的センスを多く反映している作品に仕上がっている。更にそこに管楽器部隊も一緒に同居していることで実に不思議なサウンドを描いている。ハードロックらしいハードロックは3曲目くらいのもので、いや、これがまた後半の盛り上がりがすごくてさすが!と思えるので十分に満足できるのだが、それ以外は割と短めの曲で節々にスパニッシュギターフレーズを入れまくっていて、B面ではそれだけで出来ている曲も収録しているくらいだ。相変わらずリズムについても不思議なポリリズムがあったり変拍子ではないけどちょっとおかしいのとかあってね。多分凄くフランク・ザッパ的な楽曲構成になっているんだよ。好きなんだろうな。

 ジャケットはヒプノシスの作品なんだけど、アメリカ盤は英国盤の右側を削って馬が右端に来るようにして馬隊が表ジャケットで見えるようにズラしてある。そもそもダブルジャケットでリリースを考えなかったのがアメリカ盤ってトコだ。馬、っつうかユニコーンだよな、これ。角あるもん。。個人的にはこのバンド凄く好きで、ヤニタ・ハーンっつうお転婆娘のボーカルがぶち切れていてスカッとするのもあるし、この頃ハードロックで女性ボーカルってあんまりないから新鮮だったし楽曲構成もユニークだしと一気に集めて楽しんだものだ。4作目以降には主役のアラン・シャックロックが抜けてしまって、ある意味別バンドになる。その時のギタリストが後にホワイトスネイクに参加するバーニー・マースデンなのだな。

 しかしYouTube探ってみたら映像があったので驚いた。もしかしたら初めて動いている姿見たかもしれない…。やっぱりお転婆お姉ちゃんっぽくていいなぁ、ヤニタ。

Babe Ruth - Babe Ruth 1975

ベーブ・ルース(紙ジャケット仕様) 今度は英国のお転婆娘的な歌い手で、個人的にはもっと売れて人気があってもおかしくないんじゃないかと思うことの多いバンド、ベーブ・ルースのボーカル、ジェニー・ハーンの登場です。いや、ホントにさ、楽曲も結構キャッチーで演奏力も割と高いし、様々な試みを行っているのでもうちっとメジャーシーンに出てきていてもおかしくないんだけど、何でかマイナーな位置付けで終わってしまったバンドなんです。個人的にはかなり好きなので実はアルバム順にひっそりと書いていたりするバンドです(笑)。

 1975年リリースのバンドとしては三枚目となるセルフタイトルの「ベーブ・ルース」。うん、セルフタイトルにするだけあって、自信作でしょ、これは。ハジけていて伸び伸びとした演奏と歌がしっかりと聴けるし、良いアルバムですよ。これまでのアルバムではちょっとどっちつかずの部分、そうだね、凝ったハードロックなのかハードなプログレなのか、ソウルフルなものなのか…ってのがあったんだけど、このアルバム「ベーブ・ルース」では、しっかりと方向を見据えて制作している。その方向ってのは、面白いことにブラックでファンキーなリズムを取り入れてそこにお得意の泣きのブルースフレーズのギターを重ねているけど、バックはハモンドが鳴っているというものだ。それに加えてジェニーのソウルフルでハジけまくった歌がシャウトで入ってきて、ベースラインは明らかにR&B的なものを意識したフレーズが多い。さて、これをどんなジャンルと呼ぶべきなのかわかりません(笑)。ただ、ひたすらソウルフルにハードでやんちゃに迫ってくる音です。

 歌メロもねぇ、しっかりと作られているから中盤から後半にかけての楽曲群ではキャッチーなサビのメロディがいくつも聴けるし、覚えやすいです。特に「Jack O'Lantern」なんてのは最高に良くできている。面白い試みってことでは「Turquoise」っていう曲で、スパニッシュなのかな、思い切りスパニッシュで攻め立ててくるのでバンドの底力が出てきている。3曲目には何かスパイ映画の疾走感的なインストが入っていて、ちょっとユニークだしね。ロールしているバンドの音が心地良いんですよ、これ。ともすればフュージョン的にもなってしまうんだろうけど、しっかりとロックのフィールドで鳴っているのもマル。

 そんなことで女性の歌い手ってこともあるけど、バンドの方向性とか音色とかハード具合とかどれもこれもツボにハマる面白さがあるバンドの多分最高傑作だと思う。この後の「Stealin' Home」も良いけど、やっぱ「ベーブ・ルース」が過度期の作品でしょう。

Babe Ruth - Stealin' Home 1975

Babe Ruth / Stealin' Home お転婆娘のボーカルって一番しっくり来るよな〜なんて思ってた方向と全然違う展開に進んでいる今日この頃、いつもの事なんだが音楽の可能性の幅広さは面白いものだ。実は割とじっくりと大事に書き進めているバンドのひとつにこのBabe Ruthがある。元々はアラン・シャックロックのセンスが好きだったんだけど、途中からいなくなっちゃって普通のバンドになってしまったんだけど、その変化の仕方も悪くなくって、ヤニタ・ハーンのお転婆ぶりがハマった展開になってってそれはそれで面白いと思ったのだな。

 1975年にリリースされたそれこそアラン・シャックロックなしのBabe Ruthの「Stealin' Home」で、その代わりバンドを仕切ってしまっているのがバーニー・マースデンという不思議。元々下積みの長い人だからそういう立ち位置になったんだろうけど、元々ハードロック寄りのセンスを持ったバンドの中にブルースベースなギタリストが入ったもんだから思い切りブルースハードロックになっちゃったんだな。ところがヤニタ・ハーンも歌声はそのままどことか更にハジめてきて毛色の異なるロックバンドが出来上がってしまったのだ。ハードロックの女性ボーカル版…実はこの頃ってそんなのはいなかったので唯一無二に近い存在だったワケ。

 「Stealin' Home」はねぇ、4枚目なんだが先の理由で別バンドに近い部分あるから以前とこの次期を一緒に語るもんでもないか。曲によってはもうホワイトスネイクじゃねぇか、ってな曲ももちろんあります。ブルースベースでギターメインのバンドになっちゃってるんだからそりゃそうでしょ。ただ、そう思いにくいのはヤニタ・ハーンの歌声。もう何度も書いちゃってるけど、この声、好き嫌いはっきりするねぇ、多分。自分は大好きでバーニー・マースデンに合ってると思う。バンドとしても面白い時代だと思うんだが、如何せん同時代にはバドカンとかあったから分が悪かったか(笑)。楽曲的に凝ってるワケじゃないから一辺倒なスタイルもちょっと弱かったかなぁ…、それでこそのポジションではあるが。良いギターが聴けますよ♪

Babe Ruth - Que Pasa 2005

Que Pasa 最近昔ほど酒を飲めなくなってるかな…、結構速いペースで酔ってる気がするもん。まぁ、以前ほど食べるものも食べなくなってるからアルコールとタバコが進むのが速くなるだけという話もあるのだが、それにしてももうちょっとオトナな感じで酔っていたいものだ。今でもハジけて騒いでしまっているのは年甲斐もないのではないか?などとちょっと思ったりするが、いいか、それも。それと並行して二日酔いがひどくなってきてるみたいで翌日の重さが以前よりも長い感じ。わかってても飲むっつうのはどこかおかしいよな…、と毎回反省してますがね(笑)。

 さて、Babe Ruthのヤニタ・ハーンを思い出したのでどれどれ…と引っ張り出してきたのは大して真面目に聴いてなかった2005年の再結成Babe Ruthの作品「Que Pasa」です。リリース当時はダウンロード販売オンリーだったのが2009年?頃にCD化されて今ではめでたく普通にアマゾンなどで手に入れられるので、それなりに需要はあったんだろう。そう思うと結構嬉しかったりするね。昔の作品も全部再発されているし、しっかりとシーンに必要な存在として扱われているのはやっぱりありがたい。もっともっと聴いて貰いたいバンドだからさ。

 そのBabe Ruthの再結成アルバム「Que Pasa」はなんとオリジナルメンバーによる集合体でアラン・シャックロックが戻ってきている所に注目してたんだよな。ただ、その間の30年間、アラン・シャックロックは相当色々な連中と色々な仕事、ロックに限らずの仕事をしていた事もあってあまりにもプロのプロデューサー、クリエイターになりすぎてしまっていて好意的に捉えれば見事に今回の「Que Pasa」という作品にそれらを反映させて、神聖Babe Ruthは単なる再結成懐メロバンドじゃないぜ、しっかりと新しい領域をBabe Ruthなりに開拓して進んでいるバンドなんだ、と魅せつけてくれている。悪い言い方で書けば、何がしたいんだ?って話。Babe Ruthにこういう音は求めてないからアラン・シャックロックが誰かと組んでやれば良いんじゃない?みたいな。別にヤニタ・ハーンに歌わせなくても…とまで思ってしまう。

 ただ、「Que Pasa」という作品に否定的なワケじゃない。ものすごく新しいトランスとテクノ、そこにハードロックが加わった面白いサウンドが聴けるので昔の名前があろうがなかろうがかなり面白い音ってことは確かだ。でもBabe Ruthという名前でやる必要はなかったんじゃないか?ってだけ。メンバーみんながそういうのいいんじゃないか、ってことでやってるんだろうからそれもまたbabe Ruthなんだが。もっとストレートなの期待してたんだよな〜、アレコレ入れすぎてて純粋なハードロックバンドでお転婆娘が歌っているのとは違っててさ…。もっともそのお転婆娘ももう50過ぎなんでね、期待しちゃいかんけど。歌い方は大人しくなったしヒステリックな部分は感じないのでさすがに別人みたいに聴こえる歌声はしょうがないか。ちょっと聴くアルバムを間違えたんだが、決して悪い作品じゃないです。

The Babys - The Babys

The Babys/Broken Heart 70年代後期ってのは英国ではハードロック低迷期に入り、アメリカからのハードロックバンドがどんどんと精力を伸ばしていた時期、英国ではパンク以降の流れとディスコブームによる黒人系サウンドの台頭、テクニカルなフュージョン系なんかも出て来て明らかにロックが一旦死にかけた時代。アングラではヘビメタの芽が出て来ていたもののメジャーシーンでは厳しい時代。そんな時に出て来たバンドのひとつにThe Babysってのがある。自分もリアルタイムじゃないから全然知らないし、アイドルバンドイメージが強くて手を出してなかったんだよね。

 聴いてみて驚いた。The Babysのファーストアルバム「The Babys」、1977年リリース。何ともオーソドックスなハードロックが詰め込まれたナイスな作品で、アイドル的なジャケットとイメージで売り出されたことが大いなる敗因…いや、当時は知らないけど歴史的には敗因だっただろう。勝手にそう解釈した自分が悪いんだけど、BCRとかもあるから何か軽んじてしまっててね、このヘンのバンドってあんまり聴いてないと思う。まだまだ抜け落ちてるのもたくさんあるってことだ。そんなことで聴いてて軽い驚きを感じた、どころか割と何回か普通に聴いてる。ガツンってんじゃないけど馴染みのある音と質感、フレージングに空気感が安心感あるのか聴きやすい。元々ブルースに根ざしていた所はあるんだろうけど、もうそういう音は出していないから根っこにあるのを感じるだけで、普通にハードロック。でも底抜けに明るいワケじゃないからやっぱり英国風なワケでややキャッチーなキライはあるけど、その辺はまだまだコテコテじゃないからありでしょ。70年代初期ならもっと好きに出来ただろうけど、このくらいになってくるとパンクとは違うプロフェッショナルさってのもあるし、売るためのものってのも強くなってきてるしね。

 その期待に応えまくってるのがジョン・ウェイトなんだろうなぁ…、この人も80年代にヒットを放った、ってことだけど名前は知ってるが全然聴いてない人だ。まぁ、言うならばジャーニーもさほど聴いてないからその辺からはよくわからんし、ジョン・ウェイトもジョナサン・ケインの価値も判ってないです。ただ、この「The Babys」聴いてて悪くない、どころかかなり良作じゃないかと…、まだこういうのあるんだろうなぁ…。

Back Alley Choir - Back Alley Choir

Back Alley Choir このヘンの自主制作盤復活シリーズってのはそのまま騙されて(?)CD漁りまくってしまったのもあればDLでサクッと済ませてしまっているものもあったりそもそも買ってないってのも多いから適当にしか書けないんだけどね、まぁ、今の時代聴くだけならアチコチで聴けるからそういうモンなんか…ってトコです。聴いてて思うのはやっぱりメジャーレーベルが青田買いしきれなかったバンドが多かったんだろうなという印象。自主制作と言えども割とどれも質の高い作品が残れされているのでこうして40年後くらいに発掘されてくるんだろうし、面白いものだ。

 1972年にリリースってよりも制作されたBack Alley Choirなるバンドの作品「Back Alley Choir」。これがまた音作りがしっかりしてて、誰かの部屋で録音しましたみたいなチープなフォークギターのサウンドだけではなく、きちんとドラムもベースもピアノも入ったフォークバンドの作品として録音されているからよく出来てるじゃないですか、って所から入っちゃったワケです。まぁ、音そのものはチープではあるんだけど、これ以上音の良い作品を作ったからと言ってもレベルが変わるワケじゃないだろうから十分な気はするか。

 普通にフォークバンドかと思ったら上述のようにバンドの音してたのがまず面白いなって感じだったんだけど聴いてると普通にバンドとしてのサウンドを聴いてて、あからさまにアメリカのスワンプ系をモチーフにしたサウンドが出て来るから、そういう意味では自分的には全然好みじゃないな、っていうのが出て来た(笑)。英国激レアフォーク!ってのに騙された好例です。男性コーラス、ボーカル、女性もいあるし何かやりたいこと色々やってるけど結構アーシーな雰囲気あるなぁ、この時代にアーシーってもう古いんじゃね?ってのもあるが、勢いだけはある感じでよろしい(笑)。

Back Door - Back Door 1972

Back Door  ロックによる最小限の可能性ってちょっと前までは3人っていう定義だったんだけど、まぁ、その常識を覆してしまったのがここ最近のホワイト・ストライプス…、まぁ、それはそれで一人ロックに近いからいいんだが…、いや、そういう話ではなくってね、トリオ編成によるロックバンドはもちろんジミヘンのところを代表にポリスやそれこそグラウンドホッグスなんてのもあったりするんだけど、やっぱドラム、ベース、ギターっていう編成になるじゃない?まぁ、鍵盤がどっかに入っても良いんだけど…EL&Pとかそうだからね。だけど、ドラムとベースとサックスっていうトリオ編成でのロックバンドっつう変わり者がいてさ、そいつを紹介してみたいね。

 Back Doorっつうバンドの1972年リリースの「Back Door」ですね。いやぁ〜、まぁ、サックスとかフルートとか管楽器系を吹く人がいるので当然ながらジャズな感じにはなるんだけど、どっからどう聴いてもハードロックなんです(笑)。もちろんテクニックは抜群に凄いのは言うまでもなく、バンドアンサンブルがトリオなので非常〜に聴きやすくって迫力がある。アルバムと云えどもほとんどオーバーダブしてないナマのライブ演奏をそのまま収録している感じでして、その一体感って凄いんだ。正にライブ聴いている感じだけど、きちんと曲構成と展開が作られているので決してダラダラなジャムセッションを収録したものじゃないのが良いね。そういえば歌…はないのか。まぁ、だからジャズなんだけど、ロックです(笑)。

 恐ろしいほどの自己主張をするベースがグイグイと曲を引っ張っていくんだが、そのベースの音がいわゆるベースの音じゃなくてもっとはっきりくっきりと明るめの音で鳴っているので聴きやすい。サックスはもうヒステリックに叫んでいるんだけど、もちろんサックスという楽器の特性上エモーショナルに楽曲を盛り上げたり人間臭くしてくれます。ドラムはもちろん全てにおいて盛り上げ係に徹しているけどこれもまたかなりのテクニックでジャズ上がりだろうなぁって感じ。そんなジャズ畑の三人が何故にこんなハードなロックをプレイすることになったんだろう?そして更に不思議なのはジャズとロックの境目を簡単に超えてしまっているこのアプローチ手法。だって、聴いているとジャズだもん…なのに凄くロック。不思議。ソフト・マシーン聴いている時もそう思ったけど、あっちは何とかわかってきた。だけどこのBack Doorのトリオによるプレイは何がジャズで何がロックなのかよくわからない…。だが、れっきとしたロックをプレイしているジャズメンがここにいる。

 ちなみにベーシストはコリン・ホッジキンソン…という名でピンと来た貴方は是非聴いてほしいミュージシャンなバンドです♪

Badger - One Live Badger 1973

ワン・ライヴ・バジャー(紙ジャケット仕様)  メジャーどころのバンドから離脱して別のバンドを組んでってのはもちろん数多くあるんだけど、どうしても前バンドの系譜やら音楽性やらを期待して聴いてしまうのがリスナー。でも、実はその音楽性のレベルのキープを願っているだけなのかな、と最近は思う。いやぁ、簡単に言うとさ、楽曲やバンドのレベルが高ければ別にバンドが違っても構わないのかな、っていうか。どうしてもソロ作だとパワーが落ちるからダメなのが多いし、別のバンドになってもやっぱり一体感やらパワーってのが少ないから満足できないんじゃないかと。そんなことを思ったのもこのバジャーと言うバンドを聴いてからだ。

 「ワン・ライヴ・バジャー」1973年にリリースされたデビューアルバムにしてライブ盤と言う奇抜なバンド。ライブは前年1972年の12月に行われたものを記録したらしいが、そもそも名盤ラッシュを出しまくる前のイエス=即ちリック・ウェイクマン以前のイエスを支えていた鍵盤奏者のトニー・ケイが中心となって結成したのがバジャーなんだけど、しっかりとイエスを脱退してもイエスの前座でライブをやっていたらしく…、そのヘンの人間関係ってしっかりしてるんだろうな。仕事辞めたけどサポートしてもらってるって感じで、決して感情論ではなくってビジネス論で脱退したことがよくわかる。そんで、そのイエスが当時ライブ録音してたからバジャーもライブを録音してアルバムにしちゃえば?ってなことらしい。なるほど、素晴らしい発想じゃないか。そして音を聴く限りでは全く問題ないテクニックとこなれた演奏とハイレベルな楽曲が存在していて見事なもの。正直言ってイエスよりも好きな音を出してくれてる。

 メンツはトニー・ケイの他に目立つのは個人的に興味深いブライアン・パリッシュさんのギターだね。この人、ポール・ガーヴィッツなんかとも二人でやってたりした経緯があって、バジャーだとどうなるんだろ?っていうのもあったんだよ。ところがこの「ワン・ライヴ・バジャー」で聴ける音はトニー・ケイの鍵盤…しかもハモンドもシンセもあるという飽きない音色に加えて、パリッシュのマイルドなギタートーンによるハードロック的側面だったり、ブルースに影響を受けたソロを渋く決めてみたりと、割と職人芸的にギターを聴かせてくれるのが良い。しかもしっかりとツボにはまるフレーズでね、ロックしてるんですよ。おかげでバジャーと言うバンドは正に多用なジャンルに精通したバンドになってしまったのだ…。

 ライブ盤だからかね、テンション高いし、ギターもロックしてて、鍵盤ももちろん派手に動いているからもう普通のバンドよりも全然メジャー的に面白い。ジャケットはロジャー・ディーンで、アナログでは変形…中ジャケからアナグマが飛び出す仕掛けだったらしい。しかも日本でもそこそこ売れたようなことらしいのも不思議。ちなみにセカンド「ホワイト・レディ」は全く別物のバンドのような音、らしいです。

Bakerloo - Bakerloo 1969

Bakerloo  アッチのバンドとコッチのバンドのメンバーのアイツが昔どこそこにいて、そこであいつと出会って一緒にやってて、その後で前の仲間が登場して意気投合したから一緒にバンドやって…みたいなのが見えてくるのもこの時代に凝縮された英国のロックシーンならではの楽しみかもしれない。王道バンドなら誰かがどこかに必ず書いているからわかりやすいんだけど、アングラになってくると全く取り上げられなくって、突如としてシーンに登場してくることになるんだよね。実際そういう希有な人もいるので全部が全部ってワケじゃないけど、それでもみんな何かしら繋がりがあったりするので英国ロックのファミリートゥリーは多分全部繋がると思う(笑)。

 メイ・ブリッツ結成秘話については以前書いたんだけど、実はベイカールーがその元凶ってことまではなかなか知られていなかったハズ。しかし、そのBakerlooってのはなんぞや?ってことになると割と説明しやすいかもしれん。なぜならば、Humble Pieのギタリストとして名高いクレム・クリムソンが在籍していたバンド、と云うか彼が最初に大掛かりに自分の才能を示してみせたバンド、だな。ちなみにドラマーの名がキース・ベイカーであったのがバンド名の由来?地下鉄の駅名ってのもあるけどどうなんだろ?ベースの名前がテリー・プールっつうから英語的にBakerとPooleの合体でBakerlooって云うのかなぁとふと思った。クレム・クリムソンは多分最後にバンドに加わったんだと思う。元々のバンドの名はBakerloo Blues Lineっつう名前だったようだ。で、多分彼はこの時18歳くらいと云われているのでその辺は先輩に逆らわずにとりあえずバンドの主導権を握ってしまってライブをこなしているうちに曲作りのセンスが見い出されて見事レコードデビュー、って感じなんじゃないかなぁ、と。それが唯一の作品となったアルバム「Bakerloo」なのだ。

 うん、名盤。アルバムとしてはゴッタ煮状態でブルースからジャズ、クラッシックからハードロック、リフものなどなど滅茶苦茶バラエティに富んだもので、クレム・クリムソンの才能弾けまくりっつうものなんだけど、実は彼のギターの腕前としては後のcolosseumHumble Pieを知っているだけにまだまだだなぁと思ってしまうけど、自分的にはこの頃のこういうギターって好きだね。不器用っつうかたどたどしい部分もあるんだけど音が前に出てるし、ブルースだって全然ホンモノに聞こえないけどそれらしくやってるっつうのも好き(笑)。よく云われるのが「Drivin' Backwards」っつう曲がバッハの旋律をジャジーに弾いていて画期的ってやつね。確かに聴くとへぇ〜って思う。しかも前の曲があの「Bring It On Home」だからさ。もちろんZepのアレとは同じ曲のくせに全然違うんだけど(笑)。A面最後にはドラムソロが挟まれるものもあって、初期Zepと構想自体は同じなんだなぁと。実力は別としてアイディアレベルではクレム・クリムソンの才能は凄いよね。で、B面の大曲がねぇ、いや、後のコロシアムの「Valentyne Suite」に繋がるのかな、と。

 1969年英国のハーヴェストからリリースされた作品でハーヴェストもかなりワケの分からんバンドをリリースしているけど、このバンドはハーヴェストレーベルのロゴが似合うバンドだった。ジャケットももちろんダブルジャケットで楽しみたい所。

Baker Gurvitz Army - Baker Gurvitz Army (1974)

Baker Gurvitz Army さて、そのBaker Gurvitz Armyのお披露目アルバムとなった1974年リリースの「Baker Gurvitz Army」がまだ本ブログで登場していなかったので、ここは丁度良いでしょ、ってことで出しておきます。先日のGream Edge Bandとかなり活動が被ってたハズなんだけど、恐らくコチラが先で…ってのもThree Man Armyの活動休止期にAdrian Gurvitzがバディ・マイルス・バンドに参加していてその時にジンジャー・ベイカーと出会ったようでして、そのまま意気投合したような話を聞くので人脈には事欠かなかったんだろう。そのヘンは人柄の良さだったりするのだろうか。ガーヴィッツ兄弟ってドラマーには凄く恵まれてるもんね。Three Man Armyを続けること数年、見事に解体して念願のジンジャー・ベイカーとバンドを組み、バンドの編成と知名度からしてThree Man Armyをそのまま名乗っても良かったのだろうが、やっぱりジンジャー・ベイカーの元クリームの名前の方が知名度が高いと言う判断からかバンド名はBaker Gurvitz Armyだったのだ。そういう所こだわりない人なんだろう。

 その「Baker Gurvitz Army」というファーストアルバムはもう明らかにジンジャー・ベイカーを意識したプッシュしたクローズアップした作品になっていて、Three Man Armyでのドタバタ感からはかなり洗練された感じがあるものの、そこはジンジャー・ベイカー、俺様の作品だとばかりにドラムを叩きまくり。それで楽曲を成り立たせるってのも凄いが、かなりうるさい。曲のレベルもそれに合わせてか、キメやテンポチェンジなども流暢に進むものが多くなっていて、骨子からジンジャー・ベイカーが組み立て直したものなのか、所々でアフリカンなリズムらしきものも出てくるのはエア・フォースからの流れ。その分エイドリアン・ガーヴィッツの本領発揮となるはずのギターとかがあまり前面に出てこなくてちょいと残念。ジャケットのパワフルな印象とは裏腹に結構メロウでドラマー向けな作風に仕上がっている。Baker Gurvitz Armyのアルバムを挙げる際には大体このファーストアルバム「Baker Gurvitz Army」が出てくるんだが、どっちかっつうとこの後のボーカルにスニップスを加えた時期の方が面白い気がするんだがな。

 そんなバンド編成は実は「Baker Gurvitz Army」リリース後に早速行われていて、1975年には元Sharksのスニップスを加えた編成でライブを行なっている。最近Baker Gurvitz Armyのライブ音源が続々とリリースされているのでいくつかで聴けるのだが、「Live in Derby 75」なんてのを手に入れて聴いてみたら、これがまた…って感じで(笑)。もちょっとハードにドライブしてるかと思ったけどちょいと迫力不足…多分ミックス次第な気がしているけど。それとクリームの「White Room」があってさ、凄く期待して聴いてたんだけどギターソロ前で終了してしまってかなり肩透かしだったり…、ま、その辺はまたいずれ…。

Baker Gurvitz Army - Elysian Encounter 1975

Elysian Encounter  ブライアン・パリッシュ氏の歴史の中にガーヴィッツ兄弟の片割れのポール・ガーヴィッツとの共作が二つのアルバムでリリースされている。最初のアルバムはフォーク中心の二人の交友の確認レベルの音だった、と記憶しているんだけど、ポール・ガーヴィッツと言えばハードロックギターの名手でして、ガンからスリー・マン・アーミー、そしてジンジャー・ベイカーと組んだりしたし、なかなかの歴戦を渡り歩いているのだがやっぱりマイナーな扱いで終わっている。まぁ、何となく分かるんだけどちょっと勿体ないかな。聴けば割と好みなんだけど聴きたいか、という程でもないというところか。

 ベイカー・ガーヴィッツ・アーミーというバンドを1974年に組み、ジンジャー・ベイカーとガーヴィッツの二人によるトリオでスタートしたが、ファーストアルバム「The Baker Gurvitz Army」ではそのトリオのパワーをがっつりと聴かせてくれていて、ジンジャー・ベイカーさん、なかなか面白い組み方してくれるじゃないか、と思っていたのだが、翌年ともなった1975年に本作「Elysian Encounter」をリリース。この時には職にあぶれていたソウルフルなボーカリストのスニップス=元シャークス=アンディ・フレイザーのバンド、を迎えてリリース。

 やっぱりジンジャー・ベイカーの名前にはガーヴィッツ兄弟としてはしょうがないのかなぁ…、どっからどう聴いてもジンジャー・ベイカーの趣味丸出しの音楽性を出し過ぎている感じは否めない。アフリカン的というかドラム面での激しさがガンガン出てくる。もちろんガーヴィッツ兄弟の繊細なセンスとも相見えて面白いトーンは出しているんだけどね。なんでこういう曲調と展開でドラムがそんな風に入るんだ?と言うのが多々ある。それこそがこのバンドの不思議なバランスだったんだろうとは思うが。その合間をあくまでも歌唱力でスタンダードに歌っていくスニップス…、普通なセンスなんだろうな…。やっぱジンジャー・ベイカーの際立ったセンスが突出してしまっているところ。

 いや、気を取り直して音を聴こう…。やっぱりジンジャー・ベイカーのドラムが暴れてる(笑)。それでもこのバンドは翌年にもう一枚アルバム「燃えあがる魂」をリリースするのだからガーヴィッツ兄弟も気合いを入れて活動していたってことだろう。ライブ盤もいくつか発掘音源でリリースされているみたい。ドラムソロがガンガンあるらしいが(笑)。「Live in Derby 75」とか「Live」とか。

 しかし…なんでこんなにB級感溢れるのだろうか?

Baker Gurvitz Army - Hearts On Fire (1976)

Hearts On Fire ここのトコロ世の中情報を見ているとどうにも解せない不思議な事が多くまかり通っていることがあって、日本は一体どうしてしまったんだ?と自力ではどうしようもないことに対して懸念してしまうのだった。これまでもスジの通らないモノはいくらでもあったしこれからもあるだろうけど、そういうモノを是正する機能が存在しないってのはこの国の弱点なんじゃないだろうか?なんて大げさに考えたり。まぁ、日常生活ってのがあって、ルールがあって、その中で生きるワケだから納得感はある程度欲しいと思うんだわさ。そんな行き場のない不満を募らせながら、結局裏切らないのはロックだけじゃないか、なんて無理矢理に話を戻して(笑)、ここのトコロのソウルフルなボーカリスト関連で行けばもっとも無名であろう、Mr.Snipsに再登場願おうじゃないか。

 1976年にリリースされたこれもまた、知る人ぞ知るバンドになっているとは思うのだがそれなりにメジャー路線ではありますよ、ジンジャー・ベイカーをドラムに据えたガーヴィッツ兄弟のバンド、Baker Gurvitz Armyの三枚目の作品「Hearts On Fire」です。ファーストの「Baker Gurvitz Army」ではハードロック的路線だったんだけどSnipsが入ったセカンド「Elysian Encounter」からはどうしてもボーカルの個性が出てきてしまってソウルフル的な傾向になってきてて、この三枚目「Hearts On Fire」では後のエイドリアン・ガーヴィッツのAOR路線に通じるハードロックからソウルフル、AOR路線へと繋がる実は歴史的に見ればミッシングリンクを繋ぐアルバムとも言える立ち位置のサウンドを作っている…、なんていうと大分大げさなんだけどね、不思議なバランスの上に成り立っているアルバムってのは事実。このメンツでなんでAOR的な方向?みたいな感じの音でさ、ゲストで鍵盤が入っているものの、基本はトリオのロッカー達が奏でているのに、この爽やかさとグリグリしたグルーブって何だ?みたいな。

 最初はさ、ギターリフもそれなりで、なかなかカッチョ良いじゃないか、と思うのだが歌が入るとそりゃさ、ロックを歌わせればかなりソウルフルな歌なんだが、バックがちょいとソウルフルになると途端にAOR的なシンガーになっちゃうという微妙なボーカリストだったんだな…なんてのはわかっちゃう感じ。言い方変えれば変幻自在にMr.Snipsの才能を引き出したアルバムとも言えるのか。ま、ただ、ロックファン的にはあまり求めていない方向性ではあるワケで、自分にはどう聴いても面白味に欠ける。B級なロックバンドとしての面白味もあまりないし、サウンドの方向性が苦手な方向に向いているからなんだが、さすがに好きなガーヴィッツ兄弟にジンジャー・ベイカーでもこれはダメだ、って思うな。そのせいか、これにてBaker Gurvitz Armyは活動を停止してしまうんだが。ま、そんなアルバムだ。

Baker Gurvitz Army - Live in Derby 75

Live in Derby 75 器用貧乏なロックバンド…と言っては語弊があるのかもしれないが、いつだってかっこ良いハードロックを奏でてくれるくせに全然表に出てこない愛すべき兄弟、ガービッツ兄弟。彼らの数多いバンド遍歴の中で、一番著名な人物を引き込んで間違いなく浮上する瞬間を狙ったバンドが今回のBaker Gurvitz Armyであろう、と思う。Gun〜Three Man Armyとハードロック一辺倒なキャリアを築き上げてきたガービッツ兄弟が、一時期はアフロに走っていたクリームのジンジャー・ベイカーをドラムに据えてお得意のハードナンバーを繰り広げていったトコロだ。セカンドアルバム「Elysian Encounter」からは専任のボーカリストとしてMr.Snipsを迎え入れて目一杯ハードロックテイストを振りまいたサウンドを繰り広げている。

 1975年のダービーで行われた発掘ライブアルバム「Live in Derby 75 」なんてのを引っ張り出して聴いているが、やっぱり相変わらずのハードロック全開で、スタジオ・アルバムとは迫力と熱気が異なるライブ盤ってのは当たり前だが、かなり70年代のライブならではの雰囲気が出ている…即ちアドリブやインプロパートが強調されている部分もあって一曲づつのプレイが長い。ところが元シャークスのMr.Snipsもその辺は手慣れたもので、ボーカルが沈黙しているというシーンはさほど多くもなく、きちんとバンドのアドリブアンサンブルに参加しているというのは見事。お得意の抜け切らないが先の太いボーカルが良くも悪くもBaker Gurvitz Armyというバンドの顔になっていることで、ガービッツ兄弟は演奏に専念しているが、ジンジャー・ベイカーもまたしっかりと全力を尽くしてバンドに貢献している姿も聴いて取れるので、中途半端な腰掛けバンドではなかったというのがわかる。

 熱いライブです。そしてエイドリアン・ガービッツのギターが冴えたライブでもあるのと、意外なことに鍵盤が目立つのも音楽性の幅の広がりだろうか。トリオ編成を得意としていたガービッツ兄弟からしたら5人編成など結構な編成だったんじゃないだろうか、その分音に厚みは滅茶苦茶出ているが、ジンジャー・ベイカーのドラムがアレなので音数が多すぎて耳障りという気がしないでもないが(笑)。しかしクリームの曲までここで演奏する必要あったんかなぁ…、かなりゴツゴツな感じで演奏していて明らかに手慣れていないような演奏ぶりで、どうしたって比べちゃうような同じアレンジだから余計に不利なんだが、まぁ、しょうがないか…「White Room」の最後のソロが無いってのはかなり欲求不満に陥るんだがな(笑)。ライブそのものはやっぱり一辺倒なスタイルで攻め立てて終わるというパターン、やや冗長な感じはあるけどこういうのはアリでしょう、うん。

The Battered Ornaments - Mantle Peace 1969

Mantle-Piece  時代はどんどんと遡っていってしまうのだが、変幻自在のギタリスト、クリス・スペディング氏にもそれなりの玄人経緯があってこそ職人芸とも言えるギタリストになったんだろうと言うことでそのルーツの一部を漁ってみることに。なかなかマニアックな領域に入っていくのでGWあけの週半ばには丁度良いかな(笑)。

 ピート・ブラウンとバタード・オーナメンツという布陣で1969年7月にファーストアルバム「A Meal You Can Shake Hands with in the Dark」がリリースされて、どちらかと言うとピートブラウンと言う人がクリームの歌詞を書いている人という有名な詩人であったがためにそっちに注目が集まりがちだったようだが、アルバムの中味はどうしてなかなかしっかりと英国ゴッタ煮ロックの真っ最中と言わんばかりの音が詰め込まれていてユニークな作品に仕上がっていた。しかしながらどうしても詩人歌手=ポエトリーシンガーとしてのピート・ブラウンという人はいわゆるボーカリストには不向きだったのか、はたまたバタード・オーナメンツというバンドの面々からすると妙に鼻についたか、アルバムリリース直後くらいになんとその有名人ピート・ブラウンと袂を分かつこととなる。

 で、丁度時代はストーンズのハイドパーク公演が騒がれている頃で、かのキング・クリムゾンもこの公演に出演していたが、このバタード・オーナメンツもピート・ブラウンなしで出演しているのだ。なかなか勇気のあるというかミュージシャン魂溢れるというか、良い時代だなぁ、と。で、ファーストアルバムから4ヶ月後にリリースされたバタード・オーナメンツとしてのアルバム「Mantle-Piece」。これがねぇ、結構面白い。一言で言えばロック。ただ、スカスカの音にそれぞれの楽器がスカスカに入っているっていう感じで、何というんだろうなぁ、何風とは言えない独特の音楽感で、ただ言えるのは時代を感じさせる音ってことだ。スペディングのギターも要所要所で凄く良い味を出しているんけど、歌も歌ってるし…、う〜ん、これを名盤とかオススメとか言う気はないけど、こういう空気感って凄くいいね。ビートの効いたロックなんてなしで、ただ垂れ流すだけ、みたいな。浸れるよ、これ。

Be Bop Deluxe - Futurama (1975)

フュチラマ(紙ジャケット仕様) オーディオ機器って好きだったなぁ…、でっかいスピーカーの間にはこれまたでっかいアンプやプレーヤーやシステムみたいなのがいっぱいあって優雅な空間で音を聴く楽しみ…それは多分空間そのものもだけど、そのゆとり、という環境を羨ましく思っていたのかなぁなどと今になって思う。聴きそのものも好きだけど何と行ってもそうやってくつろいで音を聴いていられる空間が羨ましい。それは時間的なものも含めて、だね。まぁ、実際にそうやって音楽を聴いている人なんて一握りしかいないんだと思うけど、それでも憧れの一つだなぁ…。ジャズ喫茶とか行くとそういう空間に近いんだけどやっぱロック聴きたいしね(笑)。

 モダンなポップスバンドってことでやっぱりコイツラだな…Be Bop Deluxeのセカンドアルバム「Futurama」。1975年にリリースの2枚目の作品だけど、既にメインのビル・ネルソン以外バンドメンバー総入れ替えしているという果たしてバンドって何?みたいな作品だけど、その分しっかりとビル・ネルソンの音世界の主張ってのが他のメンバーに邪魔されずに出ている、歪んだギターをメインに出したポップ調なヘンな作品ってことだ。こんだけ歪んでるギターでソロも結構弾いてるのにハードロックにならないというセンスが凄いと思う。あくまでも絶妙なバランス感覚による軽いポップスの域でしかなくってハードエッジなギターは味付けにしかなってないという…。重さや暗さや憂いさ湿り具合などがまるでないギターだからだろうか?面白い人です。

 アルバムとしてはやや乱雑な感じするかなぁ…、曲調やアレンジってのはどこかで聴いたような多重録音形式なんだよなぁ…と紐解いているとプロデューサーがロイ・トーマス・ベイカー=Queenのプロデューサー、ってことで納得。音作りが一緒だし、そもそも音が一緒だった(笑)。1975年だからQueenだと「Night at the Opera」あたりか?正にそんな感じの多重録音と音作りな感じで「Sound Track」なんか聴いてると、あれ?クイーンだっけ?とか思っちゃう(笑)。それでも才能の豊かさはたっぷりと出しててさすがだな〜、この時期の英国でこんだけ才能出せてればそりゃメジャー級な人だと思うワケで、何度も聴かないけど楽しめるアルバム、ですね。

Be Bop Deluxe - Modern Music 1976

Modern Music  普通にポップスってのがある。んで、ロックはポップスとは異なる世界、っつうか拡大解釈されたポップ音楽の中にロックは位置付けられているから不思議ではないんだけど、そのポップ音楽の中にあるロックの世界の中に更にポップなロックってのがあるワケだ。だったら最初からポップやってろよ、って話だけど、そういうのも含めて融合していっちゃうのがロックの面白いトコロで、ジャズもクラシックもポップも民族音楽もアバンギャルドも何でもくっつけちゃうワケ。だからキャッチーなロックってもポップに近いものもあるし、正反対もある。だから故に深いし節操ない(笑)。

 Be Bop Deluxeの1976年リリースの最高傑作と名高い「Modern Music」。元々自分なんかはこの手のバンドが得意じゃなかったから積極的に集めて聴いてたことはなかったけどいつしか気に入って、結局ほぼ全部聴いてたし、Be Bop Deluxeなら初期の方が好きだね、ってくらいには聴いてたものだ。それ以前にこの4枚目の「Modern Music」は名盤セレクションあたりに出ていた事もあって先んじて聴いていたアルバムのひとつだけど、その頃はこういう完成度の高いアルバムをたくさん聴いていたので、それが普通だったが故にこのアルバムの完成度の高さにはイマイチ気付かず、またロック的な面が薄かったのもあって真面目には聴いてなかった。だから結構後になってからこのバンドの面白さに気づいたんだな。この「Modern Music」も同じく真面目に聴くようになってから異質な高次元感にちょいと驚きながら聴いていたってトコです。

 これまでのギターが全然聞かれないで、アルバムコンセプトがしっかりしているからかどこかに偏るでもなくまんべんなく完成しているアルバムという感触で、時代的にはちょっと遅かったかな、こういう完成作は。それでもバンドの代表作として選ばれることも多く、それなりにセールスを記録したようだ。ちょっとね甘ったるい部分があって、トンガリ具合が少なめに聞こえるのはギターの少なさだけではあるまい。メロディもかなりポップに寄っているし、アレンジや効果音にしてもロックバンドのそれよりもポップ系統かもなぁ…などなど。ELOとかSparksとかと比べりゃ大人なポップスだけど、ロックからは結構距離のある音になってるかな。

Beckett - Beckett (1974)

Beckett Crawlerのボーカリスト=Back Street Crawlerのボーカリストなんだが、そのTerry Wilson-Slesserっつう人がポール・コソフに出会う前に自分で組んでいたバンドの作品が多分全く知られてはいないんだろうけど、Beckettってバンドなんですな。まぁ、ジャケットを見ながら色々な想像をしてしまう人もいるのだろうが、さすがに70年代の英国ロックでして、まるで掴み所のない、Terry Wilson-SlesserににしてもCrawlerで聞かせるようなソウルフルな歌がまだまだ出し切れていない歌でね、そもそもバンドの音が方向性がよくわからないって所で個性も何も出し切れていないんだが…。

 1974年にリリースされた唯一のアルバム「Beckett」であのファミリーのロジャー・チャップマンがプロデュースした作品のひとつ。そもそもファミリーが設立したラフトっつうレーベルからのリリースだったみたいで、そういう辛味で出てきたバンド。しかし、こんなにB級感の漂うバンドもなかなかいないよな(笑)。普通のバンド形態からストリングスが出てきたりハードロックだったり…、調べているとそもそもJudy GrindとかSnuffという正に英国B級バンドの出身者達が集まっているってことで妙に納得感が高まった(笑)。正直言って普通に聴いていたら全然面白みは見出せないと思うけど、好きな人はハマるんだろうよ、このワケの分からなさは(笑)。

 そしてこのBeckettというバンドを一躍有名にしているのは他でもないアイアン・メイデンによるカバーだ。6曲目に収録している「A Rainbow's Gold」って曲をですね、全盛期のアイアン・メイデンがシングルのB面でカバーして収録しているんだな。実際今は何かのCDで聴けるのかどうか知らないけど、多分聴けるんだろう。その元ネタの音が聴けるのがBeckettの唯一のアルバムの「Beckett」なのだ。そう書くとちょっと気になる人は気になる?これがまたカバーしたのがよくわかるくらいに最高にかっこ良い出来映えってのが見事。よく見つけてきたもんだ。カッチョ良い。そんなことでBeckettの作品を聴いてみてこのB級感覚を楽しんでほしいなぁ。結構メロディもしっかりしているし曲のリフなんかも確かにHR的によく出来ている部分多いし。

Bedlam - Bedlam 1973

Bedlam ちょっとハードな音世界に行き着いたので、またまた英国のハードロックを語ってみよう〜。大丈夫です、皆が知ってるコージー・パウエルが在籍…というか組んだリーダーバンドでもあったBedlamです。このベドラム以前のコージー・パウエルはもちろんジェフ・ベック・グループに参加していて、それが解散してから組んだバンドがBelamなのですな。まぁ、その筋を追いかけていた人には知られているだろうしネットで調べても結構引っ掛かるからコージー・パウエル関連として知られているだけあってよろしい。

 アルバムリリースは1973年となったBedlamの「Bedlam」。ジャケットからして気合いの入ったハードロック的なイメージを持てるでしょ?もしかしたらメタル的な音が聴けるんじゃないかと思うようなジャケットは好みではないけど、かなり好印象だね。そんでもって中身…、これが驚くことに実に秀逸な英国ハードロックの音世界でしてね…、GunやThree Man Armyともヒケを取らないくらいにソリッドでタイトな英国ハードロックですよ。コージー・パウエルからBedlamに雪崩れ込んでしまった人にはThree Man Armyなんかをお薦めするし、逆に英国ハードからBedlamに辿り着いた人は恐らくコージー・パウエルを意識しないで聴けてしまえるくらいB級の色が漂った作品です(笑)。

 いや、それは楽曲とか演奏とかに関して、という意味でして…、ドラミングは正直言ってとんでもなくシャープで鋭いセンスが炸裂しまくってまして、そんな風に普通叩かないだろ?っていうくらいにとんがったドラムが聴けます。曲の全てがコージー・パウエルのドラムで引き締まって鋭角に聞こえてしまうんだから個性的。だが、楽曲そのものの印象を変えることまではできなかったようだ…。おっと…、このBedlamの「Bedlam」は驚くことにプロデューサーにあのフェリックス・パッパラルディを配しているので、音は洗練されているし、クリームやマウンテンと同じくビッグなバンドになるはずだったのだ…。が…?

 そういうコージー・パウエルのリーダーバンドという事実はともかく、英国ハードロックの世界として1973年にリリースされたアルバムとして聴くと実に良質で英国感を味わえる秀作なので、ニッチな人達には愛されるアルバムの音です。自分も好きだもん、こういうの。コージー・パウエル云々じゃなくて英国ハードロック好きとして凄いから。もうちょっとエグさを出してもよかったんじゃないかなと思うけど、それはコージー・パウエルがやってるから良いのかな。そして、レーベルからの支持も得られずに翌年には解散して、こんどはハマーを結成するコージー・パウエル…。

 今となっては驚くことに1973年のライブ盤「Live in London 1973」やベスト盤「Anthology」まで出ているという人気ぶりで、ライブ盤「Live in London 1973」なんかはまだ聴いてないけど面白いかもしれないな。しかし、こういう音やるんだったら是非ポール・ロジャースあたりとのバンドも聴いてみたかったものだ…。

Beggar's Opera - Act One (1970)

Act One ヤバイ…、英国ヘンなの好きの導火線に火がついてしまったかも??いや…一時期の流れに沿っているだけだと自分を信じながら結構セーブして走り過ぎないようにハンドリングしている今日この頃。自分で好きな物聴いて書いてるんだからセーブする必要なんて全然ないんだけど、何となくね、自分がそこに居座ってしまうのもちょっと避けておきたくて…まだまだ制覇してないから良いけどさ、やっぱり面白いよなぁ、このヘンの時代の英国のバンドの作品って。人脈辿ってもキリないし音楽性で聴いても千差万別だし、それぞれが切磋琢磨して新しい音楽の作り方とか捉え方とかをクリエイトしている時代でさ、それもロックの世界だけじゃなくてありとあらゆるものをモチーフにして取り込んでいるっつう姿勢が面白いんだろうと思う。今でもそういうのはあるけど、やっぱアグレッシブさが違うよ。

 ってことでBeggar's Operaっつうバンドのファーストアルバム「Act One」で1970年にリリースされたもの、もちろんジャケットはキーフによるサーカス劇団的な写真ではあるものの不気味な色使いがさすがの作品、そして左上にキラリとひかるヴァーティゴのロゴ♪騙されたと思って聴いてみるとわかるけど、ジャケットの印象は音を裏切りません。そのままサーカスみたいな音が溢れ出てきます♪喜劇的な要素を取り入れてオルガンを前に出しながら時代を先取りし、英国調のムードで包んでハイ、出来上がりっ!てな感じな作品なんでね、もうカラフル。かと言ってサイケデリックな音ではなくてあくまでもサーカス的なんで明るく楽しめる。そこにテクニカルなギターやオルガンが入ってきてロックしてくれるのもユニークな音作りで探鳥なビートってのだけじゃないからプログレに分類されるんだけど、こういうのってさ、やっぱコミックバンドだよな。だから上手い。Beggar's Operaって結局3枚のアルバムしかリリースしていなくて、3枚目の「Pathfinder」が有名なんだが、自分的には「Act One」が好きかもなぁ…。聴いてて幸せになるもん。

 FocusとかTraceとかNiceとかの系譜に位置する感じらしいけど、確かにね、そんな雰囲気があるのかもしれないけどもっと明るいしほんわかしている。殺伐感とかまるでないし、クラシック色もあんまりないし、見事なまでに独自の音世界を作ってるよ。こういうバンドこそもっともっと再評価されるべきオリジネイターだろう。ただ、あまりにもオリジネイターだったからか、モチーフにしたくても出来なくて、結局孤高のバンドになっちゃって伝説になったっつうパターンか。ま、でも、今でも普通にCDが買えるってことは評価されているのだろう。ロックの世界って懐深いなと思えるバンドです♪

Beggar's Opera - Pathfinder 1972

Pathfinder これだけ英国のロックアルバムがリリースされていると同じようなジャケットの構図ってのも多々出てくる。もちろん意識的に真似しているものもあれば全く意図せずに同じようなモノになってしまった、ってのがあるだろう。まぁ、ギーガーとかだとデザインセンスがどれもこれも同じなので似たような、という次元ではなくなるのだが…(笑)。全く関連のないであろうデザイナーが同じような構図を持ってデザインしてしまったのが今回の面白さ。

 1972年にリリースされたBeggar's Operaというバンドの三枚目にして最高傑作の呼び声の高い「Pathfinder」というアルバムですね。こうしてジャケットをみると馬に乗った宇宙飛行士のアップかと思うのだが、実際には6面開きのジャケットになっていて、Paladinの「チャージ!」をもうちょっと立体的にした感じで迫力満点のデザインなのです。

こんな感じ↓

 そしてですねぇ…、もう中身が最高にかっこよいブリティッシュロックなワケでして、プログレとか思っている人はちょっと違います、はい。完全にブリティッシュロックという世界の一言以外に表せないくらいに英国です。重くないし軽やかに美しく爽やかに…湿っぽく、伸び伸びとそして深々と聴けるロックなので全く素晴らしい。重厚感もたっぷりありながらもポップ的音像による聴きやすさというのもあり、もちろん実験的な面でもトライしているけどしつこくなくってサラリとこなしているので聴くに値する…と言うよりも聴いた方が良いよな、ってくらい素晴らしい名盤。オルガンやピアノなども大活躍していて、ギターもかなり洗練されているくせに粘っこい個性的な音でよろしい。でも、三枚目でこの完成度だったらクィーン並にブレイクしててもおかしくないバンドなのにな、勿体ない…っつうのはバンド名のせいだろうか?やはりライブの数とかレーベルのプッシュとかもあるのかな…。

 あ、そういえば、ヴァーティゴなんだよね、Beggar's Operaってさ。最初から三枚目の「Pathfinder」まで全部。ちなみに「Pathfinder」は6360 073だそうで。う〜ん、Vertigoの域を超えたレベルのサウンドをやってるんだけどな、このアルバム。ブルースからクラシック、ポップスなどを血肉にしてしっかりと独自のサウンドセンスを打ち出したちょっとハードなロックのエッセンスをモチーフにしたバンド。多分、この手のバンドの中ではダントツのレベルを誇るアルバムのはずだ。無名バンドだから聴かないという選択肢を思い切り否定してくれるくらいにサウンドの質が高い。今の時代で誰かがカバーでもしたら凄くヒットしそうだもん。これこそ知られざる名盤に相応しい傑作。

Bell+Arc - Bell+Arc 1971

Bell + Arc マイナーなバンドの世界はその世界で融合とか解体とかが繰り返されていて、先日書いたTear GasとAlex Harveyとの合体なんてのはザラにあって、奥深い世界では皆兄弟というような英国ロックシーン。今回もちょっと前にようやく聴いた音で、なかなか期待を裏切ることなくスカッと聴かせてくれたので大満足な一枚です。

 1971年リリースの「Bell + Arc」です。うん、Graham Bellというジョー・コッカーばりのボーカリストとArcというバンドの合体です。Arcはデッカにこれまた名盤の「Arc...At This」を一枚残してBell + Arcとして再出発してしまったので、この「Bell + Arc」が彼等にとっては二枚目のアルバムという位置付けになるのかもしれない。でも、圧倒的にグラハム・ベルの歌のインパクトが強烈で、Arcが完全にバックバンド化してしまっているというのは融合した理由も分かるってもんです。Arcの線の細い歌声による英国ロックも好きだったんだけどね。まぁ、グラハム・ベルみたいなボーカルが来たら取り憑かれてしまうだろうな。

 音は割とスタンダードなロック。ハードロックというにはハード過ぎないし、もちろんフォークロックでもなくってポップさは持っているけどちょっとロック色が強い。ピアノもギターもベースもドラムもそれぞれがバランス良く自己主張しているバンドの姿で、これもArcというバンドの人柄を物語っているようだ。優しい音作りのサウンドで、繊細で湿っぽいし(笑)。一方のグラハム・ベルの歌唱力も相当のもので、バンドが違ったら相当歴史に残る歌い手だったんじゃなかろうか。これ聴いてつまらないと思う人は多分英国ロック向いてないんじゃない?っていう感じの歌声だからさ。ま、しつこいけど(笑)。

 ん〜、YouTubeには見当たらないんだねぇ…。まぁ、アマゾンでCD買えるだけ立派なモンだが。Arcの「Arc...At This」と共に好ましい〜ロックの音です♪

Bernie Marsden - And About Time Too 1979

And About Time Too [from UK] 最近思うことのひとつにそろそろ70年代あたりのロックの音が古くなってきたな〜って事。いや、古いのは当たり前なんだけどこれまではあんまりそれをどうのって感じることも無くてさ。ところがまぁ幾つか機材が進化して聴く環境も進化してデジタル中心になってくるとどんだけリマスターしてようが足りないものは足りないな…なんて思ったり。Zeppelinの一連のリマスターもの聴いてても物足りないな〜って思う部分あるし、他のバンドの普通のなんてパンチないな〜とか思うワケ。それは多分最近のサウンドを聴くことも増えてきたから比較論としてそうなっちゃうんだろうと。まぁ、メジャーどころはもうあんまり聴くものもないし既に脳内再生できるしいいかとは思うがマイナー系の楽しみはまだまだあるしなぁ、まぁ、さほど気にしてないけどどっちかっつうと新し目の音のが欲しくなってきた。

 そんな前振りしながら聴いてるのはなぜかバーニー・マースデンのソロアルバム「And About Time Too」1979年リリース作品。自分的にこのバーニー・マースデンって人はBabe Ruthって英国のハードロックバンドの後期ギタリスト、ってかキーマンに収まった人ってのがある。もちろんホワイトスネイクの、ってのはあるんだけど、あんまりホワイトスネイクって聴かなかったからBabe Ruthな人なんです。渋いブルースギタリストって感じでもなくってブルースは普通だけどそっから発展させるみたいなのが面白くてモロに70年代なギタリストではあるか。そんな人がホワイトスネイクを抜けてリリースしたソロアルバムがこの「And About Time Too」らしい。

 コージー・パウエルの「オーヴァー・ザ・トップ」と同時期でほぼ同じメンツでの録音ってことらしく、確かにゲスト陣は素晴らしい。ジャック・ブルースを筆頭にコージー・パウエル、サイモン・フィリップス、ドン・エイリーなどなど…、だから?って話はあってさぁ、こうなるとジャズセッションと同じでメンツの名前で売るしか無いんだよな。もちろんバーニー・マースデンの渋いギターは健在なんだけどどうにも方向性が定まらない…それもソロアルバムだから許されるか。結果的には渋いアルバム、様々なサウンドをやってみましたみたいな感じに収まる。ただ心地良く聴ける作品ではあるのでBGM的にはいいかも、なんて感じでしたな。しかし最初見た時このジャケットヒプノシスか?って思ったけどどうも違うみたい。自分のセンスの足りなさを実感したのだった。

Big Sleep - Bluebell Wood 1971

Bluebell Wood  人体の体の別の部位をくっつけた絵柄のジャケットでもう一つあった。こちらはかなり地味な存在で仕上げているので不気味さはそれほど漂わないが、実はよく見ると相当ヘンなジャケットでして、アナログだったらやっぱりあまり部屋には飾られないジャケットだろうと思う。今度はまたしても裸の人間の上半身が手の平に化けているという代物だ。背景と意味合いがよくわからないんだけどね…。

 Big Sleepというバンドの1971年作品「Bluebell Wood」、もちろん唯一の作品なのだが、このバンドは実はちょっと前に紹介していたEyes of Blueという60年代からのサイケデリックテクニカルバンドの変名バンドとしてリリースされたもの。何で変名だったのかね…どっちかっつうとプロジェクト的だったらしいけど、音楽性の問題だろうか?まぁ、そういうのが許されていたんだろうし、それでこのジャケットかよ、というのもまぁ、インパクトが必要ってことなのかな。それにしてはちょっとインパクトに欠けているのだが…。

 中味の音は…、ジャケットからは想像し得ない程にメランコリックにセンチメンタルに描かれた繊細な曲調から始まり、アルバム全般でラフな部分とか大上段に斬られるようなアレンジなどは全くなくって練られている。しっとりと聴かせてくれる大人の音色に根付いた雰囲気の曲調ばかりで、そこはプロ集団の音作りと唸らされるくらいにしっかりと聴けるものだ。その分アルバム全体の、曲それぞれのインパクトってのは弱くなってしまうのでどうしてもアルバム単位で何度も聴いてなんぼの世界になっちゃうところが勿体ないか。ただ、非常〜に良い作品として仕上げているので全然飽きないけどね。逆にそれほど聴けるか、って言われてもそんなに聴かないだろう、っていうのもあるんだけど、聴く度に新たにその存在感に気付かせてくれる、そんなアルバム。

 今の季節にはちょうど良いアルバムだなぁ…。ジャケットのヘンさを完全に忘れ去らせてくれる音世界で、へぇ〜、ってなくらいに良質。ハードロックではないです。オルガンや鍵盤系が中心になったフワフワした浮游感に流される音が基本だけど、もちろんギターもベースもドラムも入ってる。ただねぇ…、やっぱメランコリックさが得意というところなのかな。プログレ的な展開もそんなにありません。だから、やっぱり英国ロックの世界なのです、としか言えない(笑)。ハマる人は多分相当ハマると思う。ジョン・ウェザースがこの後にGentle Giantで成功することからEyes of BlueやBig Sleepも多少知られた存在になっていくんだけど、どっちのバンドの音とも絡まない独特の世界です。

Blackfoot Sue - Nothing To Hide 1973

Nothing to Hide (+5 Bonus Tracks) by Blackfoot Sue 年初に「今年の抱負は…」とかよくあるんだけど、どうも昔からそういうのが苦手でね、今年の、という言い方が違うだろ、それって「今はそう思う」だろ、とか突っ込みたくなるものでさ、いやそんなこと言ったらなんでもそうなんだけど、なんかそういうのが違和感あってダメなワケ。その時々に気を入れるとか語るってのはいいと思うけど、それを今年の、とか拡大するのは無理あるんじゃないかと。こうしていきたいってのは意欲として当然ありきだけど…、ま、そういう事なんだろうから「今年の抱負は…」ってなるのか。ウチ的には、まぁ、やれるトコまで頑張って書きます、ですね。気負っていないことがココの長寿の秘訣だったりするのであまりあくせくせずやりましょう(笑)。

 いきなりの無名…無名でもなかったハズなんだけど今じゃ無名…か、Blackfoot Sueの1973年リリースのファーストアルバム「Nothing to Hide」。あれ?アマゾンにないんだ?やっぱ無名です(笑)。でもさ、聴いてみるとちょっと印象変わるんじゃないかな。売れない理由もないし事実売れた曲もあるし、今語られない理由もない、普通にこの時代のロック名盤、ロックバンドとして語られる中に入っても良いんだが、英国系ロックではしばしば、こういった宙ぶらりんなバンドは後世に残されないという場合がある。B級バンドはB級なだけあってひとつの括りの中でそれなりに名が残されてマニア向けとしてでも生かされていく、ある程度の市場が存在するってことが証明されているけど、一瞬ヒットを放ったバンド達はそういうB級感がないので、そこには入れられない。かと言って歴史的バンドでもないから名が残るってんでもない。じゃあ?ってあたりのバンドの括りになるワケだ。ポップでロックなバンドは大抵そのヘンに入る感じ。グラム系なんかが多いかもなぁ…。

 ところが音を聴いて分かるように見事にハードロックのギターバンドだし、Blackfoot Sueに至ってはクィーンばりのコーラスワークとハイトーンでの歌唱方法が見事にその二番煎じ的な味わいを楽しめ、時代的には別にQueenとどっちが出て来ててもおかしくなかったんだが…、時代はそれを証明してしまっているのでそこはともかく、曲によってはそのクィーンばりな楽曲群の中にティラノザウルス・レックス的なコンガが入ったりしてとってもユニーク。B級感などは全くなく、完全にメジャー級なアルバムだし音作りでもっと評価されて然るべきバンドだろう。一見ポップなバンド…BCRと同じ類に思われてしまっていた事からこうしたどっち付かずの枠に入ってしまうバンドになっているけど、いやいやどうして、きちんと再発して評価すべきバンドですよ。