Clouds - Scrapbook 1969

Scrapbook/Watercolour Days 自宅内発掘音源シリーズが気に入ってしまったので、ちょっとヘンなのを紹介♪ まぁ、発掘っていうよりもあったんだ、これ?っていう感じで、アナログ盤だったらとんでもなく高価だったハズなんだけど、お手軽に2in1CDで入手しているのでどことなく貴重さが消えてしまっていてすっかり記憶から消え去っていたのだな。

 クラウズのファースト「Scrapbook」1969年リリースのデビュー作。カップリングはセカンド「Watercolour Days」という作品で、こちらは1971年リリースだけどどちらもかなり良い。古いあの時代のサウンドを持ったバンドなんだけど、ハモンドから激しく始まるファーストのインパクトはかなり絶品♪ アードバーグほどのヘヴィさはないけど、やっぱハモンドっていう楽器の音が攻撃的なのかもしれない。強烈な印象を誇る一見ハードロック調なんだけど続く曲を聴いていると何これ?っていうか、もの凄く多様性に富んだカラフルなサウンドを持ったバンドで、サイケの雰囲気も入っているし、ヒッピー的なメロディもあったり、どこかアシッド的な雰囲気もあって、そしてかなりメロディは滅茶苦茶ポップ。いやぁ、このバンドの歌の声質って凄く好きかもしれない。そしてヴォードヴィルな音もあったり、よくわからん(笑)。ただ、レベルの高い曲と音なのでマイナーなバンドの割にお得感が凄く高いと思うんだよね。こういうのが主力になってもおかしくない時代だったし、相当かっこよい。

 で、このファーストアルバムって一応コンセプトアルバム的になってるのかな。どの曲も短くてカラフルなんだけど歌詞までは知らないなぁ…。セカンドはもうちょっと大人になった感じのアルバムで、やっぱりセンスは相当良いねぇ。ハモンド好きな人、聴くと絶対ハマる音です(笑)。

Colosseum - Valentyne Suite 1969

 バレンタインデーと云うことでB級路線の英国ロックからちょっとだけメジャーに進んで…、ヴァレンタインにちなんでコラシアムの「バレンタイン組曲」で書き進めよう。気になったのはいわゆるバレンタインデーのバレンタインは「Valentine」というスペルなのでこの「Valentyne Suite」とは「i」と「y」の違いがある。しかしどうにもその意味の違いがよくわからないので、違いがあれば教えて下さい。

 さてさてこのコラシアムが1969年に発表した「バレンタイン組曲」という作品だけど、音よりも何よりも重要なポイントとしてはヴァーティゴレーベル発足の第一弾としてリリースされたアルバムっていうことだ。「Vertigo VO 01」っつう規格番号なので後の「6360 **」とはちと異なる。うん。papini嬢のトコで謎掛けして白熊店長さんが「Vertigo VO 01」って訊いてたのを見てついニヤけてしまった自分だったが、まさかこんなにすぐにそれを書くとは思わなかった(笑)。そしてジャケットはキーフの作品。ヴァーティゴってヒプノシスというメジャーな人ではなくってキーフを使った作品が一番多いのだ。それも併せてヴァーティゴのブランドを創り上げているんだろうな。ちなみに某ブログではVO 06とか07が出て盛り上がってるようで…、まぁ、一発だよな、その辺(笑)。06=B.T 07=CRSD って感じでしょうか(笑)。

 で、音。一般的にはジャズロックの名盤って云われてるけど、聴いてるとそんなにジャズでもないんじゃないかなと思う。ジョン・ハイズマンのドラムは確かに手数が多くてロック的なドラミングとは一線を画すんだけど、楽曲そのものは凄くハードなロックだと思うしさ。で、このバンドも結構面白いっつうか、この作品が二作目なんだけどまだクレム・クリムソンもクリス・ファーロウもいない時代の第一期。それでいてこの名盤を作ってしまったという、実はギターボーカルのジェームズ・リザーランド氏が曲者ではないかと…。良いギター弾くし歌もパワーあるし、良いんだよ。A面に於けるブルースロック的アプローチ面ではこの人とジョン・ハイズマンのドラムでアルバムのパワーを打ち出しているって感じだしさ。B面の組曲が有名だけど、どうしてなかなかA面のロックも実によろしい。B面はがらりと変わってデイブ・グリーンスレイドの才能爆発って感じのオルガンメインの組曲でこうなるとあのディック・ヘクストール=スミスとジョン・ハイズマンの三者でもの凄い迫力の演奏を聴かせてくれる。この辺聴くとジャズロックってのは納得するなぁ。だが敢えて云おう…やっぱハードロックのA面に軍配を上げたい(笑)。

Colosseum - Daughter of Time 1970

Daughter of Time 英国ロック史の中で目立たないけれど実は重鎮バンド、というかメジャーシーンで活躍しているよりも重要なバンドというものがいくつかある。古くはアレクシス・コーナーやジョン・メイオールのバンドなんてのは正にそんな英国ロックを産み出すメンバーの巣窟だったわけだし、ヤードバーズは言わずもがな、クリムゾンだってそんな類だ。もっともバンドとしてメンバーがコロコロ変わるってのが良いワケではないが、ある種スクール的になっているところはあるんだと思う。そういうバンドから巣立ったメンバーがそれぞれ活躍して英国ロック史に残る作品が幾つも生まれたというのは誇らしいことだろう。そんな中でも実は凄く重要なポジションを占めているコロシアムというバンドだ。

 まぁ、メンバーの出入りも激しいけどもちろんアルバムのレベルの高さも演奏のレベルの高さもハンパじゃない。それでいて活動期間は3年くらいという恐ろしく凝縮された経緯を持つバンド。2枚目の「Valentyne Suite」はコンセプトアルバムとしても有名で、名盤としても名高い。4作目のライブアルバム「Live」は正直言ってロック史の上位3位に入るくらいの凄いライブ盤なのだ。その間に挟まれた3作目が本作「Daughter of Time」なのだな。1970年リリースの非常にシンプルで高貴なジャケットを持つアルバムなのだが、バンドの来歴はともかくこの「Daughter of Time」に参加しているメンバーが凄い。

 ドラムはもちろんリーダーのジョン・ハイズマンだが、当然、以降にあちこちで名前を見ることとなるサックス奏者ディック・ヘクストール・スミス、グリーンスレイドというバンドで活躍するデイブ・グリーンスレイド、初期ルネッサンスに参加していたベースのルイス・セナモ、説明不要のギタリスト、クレム・クレムソン、そして驚くばかりのボーカリストにはそれまでのキャリア豊富、且つ後にアトミック・ルースターに参加する、そしてジミー・ペイジお気に入りのクリス・ファーロウを配しているのだな。ここから派生したバンドやメンバーの過去の経歴を纏めるだけで一大英国ロックファミリートゥリーが完成することだろう…。

 さてさてそんなコロシアムの「Daughter of Time」だが、とにかく濃い。演奏もアレンジもだが、圧巻はクリス・ファーロウのR&B的な快活で英国らしくない…というか圧倒的な歌唱力がバンドの全てを支配しているので、正直言ってバックばどんなに凝ったプレイをしてもアレンジを施してもひとつの歌モノの曲に纏まるという存在感。そして全くその存在感にヒケを取らないバンドの面々の演奏力も素晴らしい。クレム・クレムソンも一生懸命弾きまくっているし、グリーンスレイドも独特のトーンで楽曲を盛り上げているが全くクリス・ファーロウの歌声には敵わないようだ(笑)。ルイス・セナモのベースラインはこれまでのコロシアムのベーシスト、トニー・リーブスと比べるとやはり躍動感とクラシカルなランニングスタイルが得意なことからグリーンスレイドとの絡みが抜群。「Bring Out Your Dead」なんて曲はもうグリーンスレイドの一人舞台なんだが、もうナイスやEL&Pに全くヒケを取らない凄い躍動感と楽曲。ジョン・ハイズマンのジャズ仕様のドラムがこういう風に絡むとそりゃ圧巻だわさ。音楽的にはジャズもブルースもクラシックもプログレも一緒くたに入りまくった全く形容できないが激しいロックであることは確かだ。

 こういうバンドの存在感とか音の楽しみ方ってのが一番面白い。そして英国ロックの醍醐味を体現してくれている重要なバンドだというのも嬉しい。アルバム数少ないけど、その分たっぷりとそれぞれを楽しめるのも良いしね。この「Daughter of Time」を散々聴いてから「Live」を聴くと、もうねぇ、普通のロックとか聴いてらんないよ(笑)。

Colosseum - Live 1971

Live  デイヴ・グリーンスレイド、ジョン・ハイズマン、クリス・ファーロウ、クレム・クリムソン、ディック・ヘクストール・スミスと云った面々で構成された英国ジャズロックバンドの代表格として呼ばれるコトの多いコロシアム。1968年から1971年にかけて活躍した短命のバンドながらも正に英国的なロックサウンドでしっかりと歴史に残る名盤を残している。スタジオ盤の傑作を挙げるならば上記メンツの出揃ったセカンドアルバムにして最高傑作である「バレンタイン組曲」だろうなぁ。初っ端から普通と違うジャズ的なドラミングと妙にポップなヴォーカルラインで始まりながら、本作から参加したクレム・クリムソンのエグいギターオブリガードが響き渡り、音楽的幅広い展開を見せることを予感させている。この人入れて大正解だよね。そういえば本ブログでも何度か登場したヴァーティゴレーベルのレーベル設立第一弾のアルバムはこの「バレンタイン組曲」だったりするんだな。

 それはそれとして、やはり全てのロックファンを唸らせる傑作アルバムとしては最後の最後、解散直前に行われたライブを収録した「Colosseum Live」が熱い。スタジオ盤でのなんとなく上手いけどなぁ、っていう感触がこのライブ盤では凄く白熱した演奏と疾走感で迫ってくるので、やっぱりロックはライブに限る。ライブならではの遊びもたっぷり聴けるし、グリーンスレイドの鍵盤とメンバー間のやりとりも実に美しくキマっていて、それはもちろんディック・ヘクストール・スミスの天才的な吹奏楽器奏者との掛け合いもあり、クレム・クリムソンもその間に入ってくる。もちろんリーダー、ジョン・ハイズマンのドラムが全ての狭間に存在していて、正直言ってクリームでは出来きれなかったロックのジャズ的解釈が更に深く展開されていて、それだからこそジャズロックの代表格とも云われてしまうんだろうけど、コレ、絶対ロック。クリームの目指したもの以上のことが出来ているバンド。で、ボーカルがクリス・ファーロウなんだから圧巻だわな。この人一言歌うだけでブルースなんだよね。だからクレム・クリムソンとはピッタリ。しかし上手いバンドだ。全ての楽器に無駄がなくって素晴らしい作品。こんなバンドやってみたいなぁと思うバンド形態だな(笑)。

 1994年に突如再結成してライブを行ったようで、その時のDVDなんかもリリースされているみたい。多分上手いのは変わらないだろうから案外面白いかも。映像と云えばこのバンド、やっぱり何かとお得な「Super Show」にも収録されているので再度見てみるとわかるんだけど、うん、ディック・ヘクストール・スミス目立つ(笑)。

Colosseum - For Those Who Are About to Die We Salute You 1968

For Those Who Are About to Die We Salute You ロックな連中が奏でるジャズとジャズな連中が奏でるロックとは大きな隔たりがあるものだが、時代の産物の中にはそういう枠組みを無視した本当のジャズロックっつうのがある。ブルースロックとの境目もこれまた難しくて、結構ごっちゃになってたりするのも面白い。英国のメジャー級からC級までその法則は当てはまるのも然り。そんな中でも最高峰にブルースジャズロックと全てを包括したバンドがColosseumだ。残念なことに普通のロック王道バンドに比べると随分と地味な存在に甘んじているんだけど、残されたアルバム群はどれもこれも秀逸なロックエッセンスを味わせてくれる独特の音色を聴かせてくれる作品ばかり。きちんと聴いておくと楽しめることは間違いない傑作だね。

 実は結構好きなバンドでして…、このブログでも割とよく取り上げているんだよね。だからあまり書くのが残されたアルバムがないんですが…、まぁ、何かと出てくることでしょう(笑)。インパクトとしてはLed Zeppelinの「幻惑されて」を見たいがために当時ムチャクチャ画像の悪い海賊盤で見た「Supershow」の冒頭に入っていたから、Led Zeppelinよりも先に凄さを体感したバンドなんです。ただ、その後すぐにLed Zeppelinの凄まじさに驚愕しましたが…。なので、割と早い時期に出会っていて衝撃を受けたバンドだったというのは良かった。ただ、そこからが大変でして、もちろん探してみても簡単には手に入らなかったんでね、聴き始めるにはもっと時間がかかりました。

 1968年にリリースされたファーストアルバム「For Those Who Are About to Die We Salute You」は自分的に聴いたアルバムの中では割と遅めに手を出したかもしれない。Colosseumって大体後追いの人が聴く順番って「Live」「Valentyne Suite」「Daughter of Time」が先だろうからさ。だから原点なんだよな、ファースト「For Those Who Are About to Die We Salute You」って…という風に聴くんだけど、ところがどっこい、これが最初からとんでもなくヘヴィなナンバーや即興を聴かせる演奏で、全く70年前後の熱いロックエッセンスをそのままパッケージしたかのようなアルバム。コード進行はブルースから拝借しているけどアレンジやアドリブなんてのはもう完全にジャズと同じアプローチだからクリームなんかとニアリーな手法だった。

 ただ、Colosseumの場合はDick Hecktall-Smithがいたからサックスの比重が結構高いし、Dave Greensladeもいたので鍵盤の比重も高かったというクリームよりももう少しバリエーション豊かなアドリブ合戦が聴けるのだな。その分バンドアンサンブルに気を使うんだけど、それが凄い緊張感を醸し出していて手に汗握るプレイを楽しめる。それでもアルバム中では一曲4~7分あたりにまとめているので聴きやすさはあるから大丈夫です。これ以上激しさを求める人は「Live」をおすすめしますが、まずは「For Those Who Are About to Die We Salute You」で触りを掴んでくれれば…。

Colosseum - Those Who Are About to Die Salute You (Digital Deluxe Expanded Edition) Those Who Are About to Die Salute You Colosseum - Colosseum Live Cologne 1994 Live

Colosseum II- Strange New Fresh 1976

ストレンジ・ニュー・フレッシュ~エクスパンデッド・ヴァージョン(紙ジャケット仕様)  そしてまたゲイリー・ムーアのキャリアの中では音楽的にはかなり異色でいながらも、以降のキャリアに大きく影響を及ぼすバンドとしてのColoseum IIへの参加だ。最初のColoseum IIってのはもちろんColoseumの続編バンド…ってもドラムのジョン・ハインズマンだけがそれを引きずっているワケなのだが、それが故にColoseum IIというバンドなのだ。まぁ、目指すべき音楽性はロックとジャズの融合という辺りだったようだが、ややチグハグな雰囲気が漂うところが面白い。

 1976年にリリースしたファーストアルバム「ストレンジ・ニュー・フレッシュ」は多分かなりの度合いで気合を入れて革新的な音を目指していたのだろうというのがわかる作品で、一般的にはそれほど知名度はないものの中の音を聴くと時代を先んじていこうとしているのがよくわかるんだな。単にその方向性は鍵盤奏者のドン・エイリーがグイグイと進めている音の線だろう。ん?いや、奇しくもですね、ここでちょっと前にブログ上で展開していた路線でもあったロックフュージョン路線に被るんですよ。下手したらゲイリー・ムーアだってジェフ・ベックみたいなのは弾けただろうから、入れ替わっていてもおかしくない頃にシーンの中でキャリア形成していたんですね。「ストレンジ・ニュー・フレッシュ」の2曲目なんてベックのやってた「迷信」にも似た雰囲気あるしさ。まぁ、そんなのよりもベースにはニール・マーレイでしてね、これがまたこれまで聴いたことのあるニール・マーレイのプレイではまったく聴くことのなかったフレージングのファンキーなベースだったりして驚くんですな。よくこれだけ弾けてクロスオーヴァー方面に進まなかったものだ。

 そして肝心のゲイリー・ムーアだが…、やっぱり器用に様々な曲の展開と曲調の中で雰囲気を合わせて弾いているというトコロか。自分自身が新たな音楽を作り上げているというような感じでの弾き方ではない感じで、その辺は他のメンバーの方が野心的かな。だからと言ってゲイリー・ムーアの才能が云々という話ではなくってですね、こういうサウンドの中でギターの占める役割って何だろう?ってのを悩んだんじゃないかな。それにしては以降のアルバムでもちゃんと参加しているんだから不思議なものだ。まぁ、ファーストアルバムだからまだこれからってのはあったのかもしれない。音的にはこれまでベックの「Blow By Blow」くらいでしか聴けることのなかった作風の音なので、興味深いでしょ。テクニックは凄いんで、何が弱かったかってのはよくわからんが、どこか聴き続けていこうという音じゃぁないのは確かかな(笑)。  そんなバンドだけど、後々にゲイリー・ムーアと絡むことになっていくニール・マーレイとドン・エイリーとの出会いは貴重な財産になったであろうバンドですね。

Colosseum II - War Dance 1977

ウォー・ダンス(紙ジャケット仕様)  ジョン・ハインズマンのキャリアで目立っていた最後の方となってしまったのがこのColosseum IIだろうか。別にミュージシャン活動を辞めたわけじゃないだろうから、そういう言い方もおかしいのだが実際以降の作品でジョン・ハインズマンの名前を聞くことがほとんどなくなっているから多分そうなんじゃないかな。もっともロック自体が一つの終わりを迎えていた頃ではあるのだけどね。

 ジョン・ハインズマンのドラムって、かなり特色のあるもので結構好みなタイプなんだよね。ミッチ・ミッチェルとかアンディ・マッカロックとかそんな系統じゃないかと思ってるんだけどイマイチドラマーのセンスの違いを理解する志がないので自信はないです(笑)。そんなジョン・ハインズマンの小刻みで忙しいドラミングってのが最初から聴けるColosseum IIというバンド。もちろん「I」はあのColosseumだろうな。再結成っていうメンツじゃなかったから「II」なんだろうけど、面白いのはその音楽性。Colosseumではロックからジャズにアプローチしていったんだが、一方のジャズ界の一端がフュージョンへと進化していった煽りを受けてもちろんジェフ・ベックの「ブロウ・バイ・ブロウ」という傑作がロック界でのフュージョン作を牽引しているんだけど、Colosseum IIも同様に今度はロックから攻めたフュージョンという構図を描いていたみたい。三枚くらいアルバム出ているんだけど、三枚目の「ウォー・ダンス」が傑作と言われている。それはメンバー自身がジョン・ハインズマンが目指した音楽性をきちんと理解するのに時間がかかったからなんだろうと。革命者は大変だ。

 そのメンバーってのが、Gary Moore、Don Aireyっていう後の強者が参加していたってことだ。だけど全然HMな香りはしませんので悪しからず。Gary Mooreはかなり器用なギターを弾いていて、ジョン・ハインズマンにどんだけ貢献出来るか、みたいな姿勢があるから後のワンマンぶりとは全く違うひたむきな姿勢が見事。でもやっぱ才能だよな…、様々なギター奏法や音色を試していて、しっかりとそれぞれの曲に溶け込ましたギターを弾いている。「Castles」というナンバーのみボーカル入りなんだけど、こいつでGary Mooreはしっかりと歌っていて、まぁ、静か目な聞かせる曲なんだけど、後のGary Mooreを彷彿させる演歌チックなギターソロはほとんど聞かれないってのが残念。この頃からこう言うの好きだったんだろうな、とわかる。

 それ以外は全部インストで、今なら聴けるなぁ、自分。前はもう全然駄目で面白みのかけらも感じかなったもん。ハードな曲とかあるんだけど、何か飽きちゃうんだよね。ここの所はもう何でも聴き漁っているのとジェフ・ベックとかでかなり面白さがわかってきたからかな。それで「ウォー・ダンス」を聴くと深みがわかってくる。なるほどねぇ…、こうしてGary Mooreは成長していったんだな、なんて。Don AireyにしてもNiel Murrayにしても、だが。この頃の絆がず~っと残ってるんだからやはり同じ釜の飯を食った仲間ってのは強い。

StrangeStrange New Flesh (Expanded Edition) - Colosseum II

Comus - First Utterance 1970

 シド・バレットの奏でていた狂気と呼ばれる世界は普通のサウンドと紙一重の部分が大きく、だからこそ故にそれはホンモノの狂気だったとも云えるが、英国にはサウンドで明らかに狂気を表現できてしまうバンドがいくつか存在していて、それらは今では恐らくシーンに出てくることすらないと思われるが1970年前後の時代ならばロック界では何でもありの世界だったが故に、まず売れることのないであろうバンドですらも平気で世に出てきていたし、更にそれが今となっては幻のアルバムとしてだったり、コアなマニア向けのバンドとして有名になっていたりして、なかなか変な図式にもなっているが、少なくとも面白い、興味深いサウンドを自由奔放に奏でていたということは云える。まぁ、そういう土壌を創ったのもピンク・フロイド=シド・バレットだったりもするワケなのだが…。

 1970年前後、レコード会社各社はこぞってカネになるロックバンドを買い漁っていたが、大手のレコード会社では自身のレーベルで実験的なバンドをリリースするには少々控えめな面もあり、傘下の独自レーベルを運営して、そこから実験的なアルバムをリリースしていく手法が増えてきた。そのため英国マニアの中ではどのレーベルがどの会社の傘下なのかということまで把握していないとアーティスト間の交流などがよくわからなくなることもあるので結構重要なキーワードだったりする…ってそんな話はマニアックなだけなので先に進むが(笑)、キンクスで有名なパイレーベルが先のような理由で持ったレーベルが「Dawn(ドーン)」と呼ばれるものだ。ま、そんなに有名なバンドが在籍していたワケでもないけど、一癖も二癖もあるバンドがいくつか揃っていてその筋には重宝するレーベルのひとつ。中でもとりわけ異彩を放っていたバンドがコーマスと云うバンド。アコースティックな狂気を前面に打ち出したファーストアルバム First Utteranceを聴いてみれば一発。ま、ジャケットからして気持ち悪いんだけどさ。

 美しいと云えば美しいアコギが中心なんだけど、狂気が宿っているかのようなバイオリンやフルートの音色…、最初の「Diana」からして英国以外にあり得ない妙な女性ボーカルが絡み合ってくる、ある意味ポップかもしれないな。スラップハッピー的な部分もあるかな。そしてそんなバンドなのに二曲目「The Herald」では12分以上も続く美しき組曲的サウンドでプログレっちゃあプログレだけど、なんつうか室内楽っつうか、そんな感じでこれはそんなにヒステリックな部分はなくってキレイかも。3曲目「Drip Drip」…始めのギターの音色から結構なテクニックが見えるんだけど、やっぱり変。ちなみにこのバンド、歌詞が相当ヘンなので英語の得意な方は訳してみるとその狂気の世界がよくわかるらしい。これはある意味ピーター・ハミルみたいな感じではある。ま、これも11分くらいなのでこの辺りが真骨頂かな。

 う〜ん、実に久々に聴いたんだけど、今聴くと…結構面白いな(笑)。ヒステリックな面と美しい音色を奏でる部分が同居していて、しかも楽器は全て生系だからそのアンサンブルが実に面白い。もっと狂ったような作品っていう印象だったんだけど、耳が肥えてきたのか、面白いぞ、コレ。で、調子に乗ってセカンドアルバムを聴くが…、やっぱりファーストのような何でもアリ的なスパイスは薄まっていて、ちょっと普通を目指してるって感じ。多分ヴァイオリンがないからっつうのとドラムが前に出てきてるからかな。それでも普通のバンドからしたらかなりユニークな作品だよな。

 ちなみに今はこんなバンドながらも不思議なことに二枚セットになったものにシングル曲とかが加わったボックスセット「Song to Comus: The Complete Collection」というものがリリースされているらしい。そして普通のアルバム買うよりもこっちの方が安いみたいなのでせっかくなのでボックスセットを手に入れる方が良いんだろうな。ヘンな時代になったものだ。

Comus - To Keep From Crying 1974

トゥ・キープ・フロム・クライング(紙ジャケット仕様) アコースティックという楽器の持つ多様性というか深さってのもまた不思議なモノで、一般的にはアコースティックと言えばもちろんフォークな曲でして、うん、まぁ日本だとコードを鳴らしながら歌うフォークギターみたいなイメージか?アコースティックと言うからもうちょっと煌びやかかもしれないけど、まぁ、そんな印象だ。ところがここ最近聴いている音楽なんかも基本アコースティックでして、それがどれもこれも全く異なるカラーを聴かせてくれるってのが面白い。中でも最極右なコーマス♪見事なまでのセカンドアルバム「トゥ・キープ・フロム・クライング」がこれですね。

 1974年リリースの作品だけど、ファースト「ファースト・アタランス」が1970年リリースなので4年経過してからのセカンド「トゥ・キープ・フロム・クライング」。ただし当時のメンバーは三人残っている程度でその他はなんとも驚くことに…というか自然っちゃぁ自然なんだけど、Henry Cow、Gong、Esperantoの面々からチョイス。ヴァージンレーベルからのセカンドアルバム「トゥ・キープ・フロム・クライング」ってのもあって、その辺のメンツで気が合いそうなのが連んだ作品って意味合いも強いね。ただしコーマスってのはアコースティックな狂気を前面に出すバンドだったからその路線は基本的には変わらず鋭利なセンスは放っているし、狂気も大人になったけど相変わらず健在。ただし音楽性はヴァイオリンやフルートが欠落しているためヒステリックな狂気が鳴りを潜めてしまい、その分本質的な狂気が顔を覗かせているという感じか。この世界ってのはピンク・フロイドでは出来なかったもので、アングラな世界ではいくつか聴けるセンスだったけど、その最極右であるね、コーマスは。そんな音が詰め込まれている。

 どうしてもファースト「ファースト・アタランス」と比べてしまうんだけど、別物として捉えて聴けばかなり異色で鋭利な作品で、アシッドとかフォークとかいわゆるポップ性ってのはあまり見られない。が、ファースト「ファースト・アタランス」に比べてみれば圧倒的にポップ性は高い。スラップ・ハッピー的なポップさを持ち合わせているし、メジャーどころではケイト・ブッシュと共通する狂気が存在しているのも鋭いセンス。ヴァージンならではの音色とバンドってのもこの時期の特色で面白い。非常〜に面白い。二枚しか出ていないバンドで、何回も聴いているんだけど今でも制覇しきれていないバンドだと思う。何か難しいというのか多分正常値で聴いているから理解の幅が決まってしまうんじゃないかと。ある程度トリップしてたら理解度は凄い速いのかもしれないけど、そうもいかないしさ(笑)。だからこの作品の奥底にある世界は共有できていないのかもしれな。とは言え、非常〜に面白いし新鮮斬新な世界が聴けることには間違いない作品♪  そういえば同系統の不思議なバンドにTea & Symphonyってのはハーヴェストから出ていて…、これも面白いくらいの狂気だったんだけど自分の部屋内で見つからない…、どこにあるんだろ?

Comus - East Of Sweden (2011)

EAST OF SWEDEN 来年2月に初来日公演が発表されてその筋では正に狂気の沙汰とばかりに異常な人気を博しているチケット争奪戦…そして近年稀に見る程のCDの売れ行き…かどうかは知らないが、少なくともこれまで気になっていた英国ロックファン達がこぞってCDを買いに走っていることは間違いなく、当ブログのアマゾンリンクでもダントツに人気が高くて驚いた。一つのバンドの一つのアルバムでこんなにクリック数が集まるのかと思うくらいに「Song to Comus: The Complete Collection」に票が集まっていたのだった。たまたま当ブログが検索で上位に来たからその流れでと言うことだろうが、それにしてもコーマスってそんなに売れるモンなの?って思うくらいだったので驚いたのだ。さりとて、今からコーマスのアルバムでも書くか…と言っても既に全二枚は書いてしまっているし、「Song to Comus: The Complete Collection」を書くのもシングルとかの話だし…と思ったら、これもまた驚くことに2008年のスウェーデンでのライブがCD化されているじゃないか。ならばそいつで…と思って聴いてます♪

 「EAST OF SWEDEN」。まず、曲目を見て驚く。1970年のオリジナルリリースとなった奇跡のファーストアルバム「ファースト・アタランス~魂の叫び」からの曲ばかりで構成されているじゃないか。見知らぬ曲は一曲だけ…っても有名なVelvet Undergroundの曲だから見知らぬってワケじゃないし、こりゃ期待が高まるってもんだ。果たして1970年の名作…迷作「ファースト・アタランス~魂の叫び」の再現なんて40年経過した後に出来るモンなのか?体力を使うバンドの音じゃないから出来なくはないんだろうけど、でもさ…っていうヘンな期待感。そんな気分で聴いてみました「EAST OF SWEDEN」。

 結論から言えば、とにかく「凄い」。あの「ファースト・アタランス~魂の叫び」の狂気が見事に再現されているライブだった。40年以上経ってコレができるのか?生で見たらぶっ飛ぶだろうなぁ…、これ。ぶっ飛ぶっつうか信じられない気持ちで聴いていられるだろうし、どうやってるの?っていうのも解明できるだろう。そういう期待感が来日公演の人気に拍車をかける事は間違いない。こんな音、コピーして出来るとか、プロミュージシャンだから出来るとかそういうレベルじゃないと思うもん。何かが宿ってなければ出来ないんじゃないのか?そんなレベルの狂気の音。オープニングの「Songs To Comus」からして心が踊り、ワクワクした期待感と疾走感?に胸踊らせ、必殺の「Diana」では全くあの狂気が再現されている…どころかもしかしたらやっぱりライブの方が凄いのかもしれない、というテンションの高さ。意向もず~っとそんなテンションの高さと狂気の男女ボーカルにどんな楽器だったらこんな音が鳴るんだ?と思うような音で密度の高いプレイが繰り広げられる…古楽のパンク版とでも言うような世界観なのかな。それで、気になってたVelvet Undergroundの「Venus In Furs」は…、VUを完全に超越したコーマスの世界によるカバーで脱帽。オリジナルと言われても十分に通じる壊し方と再構築。コーマスアレンジで様々な楽曲をプレイしてくれたらどんな楽曲でもコーマスになるのだろう、きっと。これは凄い。アンコールには曲があまり用意されていなかったのか再度の「Songs To Comus」が再演されているが、たかが6曲の演奏を聴いているだけで充実度が異常に高かったが故にアンコールで同じ曲であっても既に恍惚の状態で聴いているので完全にトリップできています(笑)。

 凄いわ…、こんなん出来るんだ。「ファースト・アタランス~魂の叫び」は奇跡の一枚だと思ってたけど実力のある奇跡のメンバーによる作品ってことでこのスタイルでアルバム一枚作ったらそれはそれなりに評価されるんじゃないか?今の時代だったこんなの十分通用するどころか新しく感じるし、時代に波紋を投げかけられると思うもんな。大道芸の域かもしれん。

Comus - Out Of The Coma (2012)

Out Of The Coma まさかの再結成、そしてまさかの来日公演、更にまさかの新作アルバムの登場、これでもかと驚くのがその作品の出来映えの秀逸さ。そこまで驚きを与え続けられるバンドとか音ってのもそうそうないんじゃないか?それがしかも英国での活動が40年ほど前で、新作の音が変わらない…って言うか進化しているのが恐ろしい。真のミュージシャンだったんだなと思えるコーマス。昔の作品を聴いている時は単なる時代の流れの一幕で出てきてあのとんでもない狂気の世界「First Utterance」を作り上げた集団だと思っていたけど、何のことはない、コーマスは室内楽や宮廷音楽の流れであの「First Utterance」を作っていたみたいなのだ。随分と感性が異なると違う解釈で出来上がるものだな~と思うものだが、それだって最近知った事実。

 2012年4月にリリースされた待望の新作「Out Of The Coma」は6曲入りのミニアルバム?なワケなくて、フルアルバムとしての重さやスペックをたっぷりと持ち合わせたヘヴィな一枚。ホントにこれ新作か?っつうくらいに今の時代にはあり得ない音楽が詰め込まれていて、正にファースト「First Utterance」の続編ともなるアルバムで、更に磨きがかかって洗練され、贅肉を削ぎ落したような音になってる。かと言って、あの狂気は鳴りを潜めたか?いや、進化してしっかりと存在している。一体何なんだろう、この澄み切った狂気の源泉は?とも思うがBobble Watsonの美しい歌声は普通に聴いたら普通だけど、なぜかComusで聴くとかなり向こう側にいる歌声に聴こえてしまう。それはRoger Wootonの成せる技なのか?何がここまで高揚させる要因なんだろう?そんなことを思わせるくらい自分には高尚な音楽だし、ロックだし触れてはいけない世界だけど見てみたいという世界観でもある。そしてアルバムの最後には組曲として「‪The Malgaard Suite‬」っつう16分ほどの壮大なる楽曲が収められているが、どうやらコイツは1972年のライブを記録した一曲のようで、そりゃもうそれだけで期待満々さ。ご丁寧に序章により解説までされているし、それ自体は何を言ってるのかよくわからんけど、なんか気を引き締めて聴かなきゃって気になると、更に恐ろしくも狂気じみた世界が冒頭から繰り広げられるという素晴らしさ。曲が進むに連れて何とも末恐ろしい世界に自分が連れて行かれることがわかってくる。でも、抜け出せない、救いの手は差し伸べられるのか?そんなことをマジマジと考えてしまう程の正にアルバムのハイライトなのだ。やっぱり全盛期のライブは凄まじいし、なんとリンゼイ・クーパーも参加している正に入魂の一曲なワケで、一気に名盤の域にアルバムを押し上げてしまった。こういう技は販促だろうとも思うけど、それまでの新曲だって全然ヒケを取らないんだから文句もあるまい。更にアルバムジャケットもあの時代のジャケットを彷彿させるデザインになっていて、そもそも音を期待していたんだけど、ここまで見事な世界とは感動!このアルバムジャケットもバンドの要であるRoger Woottonが書いているのだ。

 「Out Of The Coma」はアルバム全編で40分強、うまい具合にA面B面も切り分けられるサイズになっていてアナログ世代の主張とも言えるが、その分アルバムとしての効果は覿面すぎるくらい完璧に構築されていて、全く70年代に戻ったかのような魔の饗宴が繰り広げられる。久々にここまでの世界を堪能した。どんなバンドの再結成だって新作だってこんな風には作れないし出せないし、実はオールド・タイムな英国ロックファンが求めていたのはこんな素敵なアルバムだったのかと気づいた次第。まさかそれがコーマスから教わるとは思わなかった。新作ってあんまり真面目に聴く心構えがなかったんだけど、「Out Of The Coma」は完璧だ。完璧にタイムスリップしつつ、今の新しいアバンギャルドなコーマスを楽しめるし、何ら変わっていないコーマスの狂気の姿が嬉しい。こういう音は狙って作れるものなんだ…、それは凄い才能でしかないし、本人たちは全然狂人じゃないんだから…。ただ、こんな音世界にどっぷりと浸かって人生を過ごしても良いなぁ~なんて思う、そんな世界を繰り広げてくれます。なんということだ…。

 もう一度書こう、Comusという英国のバンドの「Out Of The Coma」だ。ただ、英国のあのへんの世界に理解がない人が聴くと恐らく全くおもしろくないアルバムに聴こえるかもしれないのでご注意を。

Crawler - Crawler (1970)

毒牙(紙ジャケット仕様) 知る人ぞ知る…とまでは言わないけど、結構ニッチなギタリストがいてね、しかも玄人ミュージシャン的にメジャーなところを渡り歩いているのにそんなに知られてないし名も上がってこないというような人がGeoff Whitehornという人だ。何故にここでの登場かと言うとですね、先のIfと言うバンドの後期にギタリストで参加していて、その後今回のテーマのCrawlerにも参加するんですが、ちなみにその後にはProcol Harumに参加したりThe Whoの四重人格ツアーに参加したりしていて、その他もBad CompanyやKevin AyersやRoger Waters、Paul Rodgersなどなど、大物メジャー級ばっかでしょ?それも面白いのはバンドが終わりかけたような頃に参加していたり、地味になってからの参加だったりするから職人芸なんだろう、ってことで目立たないギタリストなんだ。

 今回のCrawlerについても知られているようにBack Street Crawlerというポール・コソフのバンドでコソフ没後に残ったメンバーがかろうじて継続したバンドがCrawlerで、そのギタリストの座に収まったのがGeoff Whitehornってワケです。アルバムは1977年に「毒牙」をリリースして続いて1978年にセカンドアルバム「Snake Rattle & Roll」が出てる。正直言って何もピンと来るものがないくらいに平凡なロックアルバムで、なかなか特筆点が見い出せないのが苦しい(笑)。Geoff Whitehornのギターはさすがにマルチに対応するかのように器用な側面が聴けるけど、バンドの中核を成すサウンドでもないし、曲に合わせた巧いギタリストのプレイ。それよりも多分ボーカルのTerry Wilson-Slesserが頑張っているんかな、と。音的にはハードロック的なイメージを持たれつつも実は結構黒っぽいノリを重視した側面もあったりややレイドバックしたアメリカな雰囲気を持ち込んでるってトコか。結構好み分かれる所だな、こういう音は。

 「毒牙」でもポール・コソフが弾いていたら…どの曲にももっと哀愁やソウルが詰め込まれたんじゃなかろうか?なんて勝手に想像してしまうけど、曲自体は悪くない。悪くないけどインパクトが弱いからどうしてもB級的な印象が強まってしまう。更に時代は1977年っていう旧来然としたハードロックに準ずる音なんて一切がぶち壊されてきた頃なのでどうしてもパワー不足は否めないか。でもね、一曲目とか結構かっこ良く決まってるよ♪ しかしジャケット見るとホワイトスネイクみたいな誤解を受けるんだろうなぁ…。こっちのが先なのに。ちなみに聴くだけなら2 in 1の「Crawler/Snake Rattle and Roll」がお得♪

The Crazy World of Arthur Brown - The Crazy World of Arthur Brown 1969

Crazy World of Arthur Brown サイケデリックの波はアメリカで起きたヒッピームーブメントによって引き起こされ、そのまま英国に輸入されることとなるが一方の英国では独自のサイケデリック文化が形成されつつあった。UFOクラブという有名なライブハウスでの模様はアングラの帝王でもあったピンク・フロイドが日夜実験的な演奏を繰り広げており、その模様はシド・バレット在籍時の唯一の映像となるビデオにもしっかりと収められており、ソフト・マシーンと共に築き上げてきたライティングショウとも相見えて英国サイケの象徴となった。そこではジョン・レノンやミック・ジャガーの姿も見られ、英国アングラシーンの重要さを見せつけることとなっていた。

 その中でも圧倒的なパフォーマンス性を誇っていた一人のアーティストをご存じだろうか?名をアーサー・ブラウンと言い、自身のバンド、The Crazy World Of Arthur Brownを率いて数々のショウを行っており、その突出性は後のロックシーンに大きな影響を及ぼしている。古い映像では「Fire」というものがもっともメジャーな曲で、頭の上で火を燃やしながら「Fire〜チャチャチャ〜」と歌う姿は一度見れば一発で印象に残るくらいの衝撃。しかも顔面は銀ラメで塗りたくっているんだから、もうエンターティンメントでしかありえない、でも音楽は凄くマジメだったりする。後にEL&Pのドラマーとなるカール・パーマーも在籍していて、鍛えられた面は大きいだろう。そして当時圧倒的人気を誇っていたThe Whoのピート・タウンジェンドが彼等のファーストアルバムをプロデュースしており、同じポリドール系列だからとは言えども才能を認めたからこそのプロデュースだろう。アルバム全体を通してエネルギッシュなパフォーマンスが容易に想像の付くサイケデリック…と言うには少々エナジーが有りすぎるくらいのサウンドを奏でており、アーサー・ブラウンの際立った才能が目立つ作品になっている。もちろんアルバムジャケットでのインパクトも絶大で、当時のリスナーには相当の衝撃があったんじゃないかなと思われる凄い作品。DVD映像付きででもリリースすべき傑作…でしょう。

 このスマッシュヒット以降はキングダム・カムというスペーシーロックなバンドを組み、何枚かアルバムをリリースした後もソロ作を発表するが、このファーストアルバムほどのインパクトはもちろんないのでちょっと残念。ただ、キングダム・カムの三枚目は硬質なリズムマシーンの上で繰り広げられるサウンドの作りがアンマッチで面白く、ジャケットの良さも手伝ってプログレマニアからの名盤として語り継がれている。

The Crazy World Of Arthur Brown - Strangelands (1988)

Strangelands The Crazy World of Arthur Brownと言えば、90%くらいの人は反応がなく、8%くらいの人は「Fire!」と思い浮かんでくれるだろうが、残りの2%くらいの人が「どのアルバム?」とか「誰がメンバーで関係してたっけ?」とか普通に考えてくれるのかもしれない。(もちろん仮説なので実際はどうだかなんて知る由もないけど、思ってるより知られているのかもしれない、か逆か…。)ま、そんなことはいつものことなのでどうでも良いけど、キーはヴィンセント・クレインなだけでして、はい、Atomic Roosterから思い出した人脈です。ま、カール・パーマーも間接的なのではあるが…、うん、68年頃のあの映像見てみれば多分笑えるしインパクト絶大だとは思うけど、それは随分前に書いてしまったので今回は昔は幻だったであろう音源から。

 1969年に録音されてリリースされるハズ、だったアルバムのお蔵入り音源が1988年になって突如リリースされた代物「Strangelands」です。なんつうジャケットのつまらなさ…。ファーストの「Crazy World of Arthur Brown」に比べたらまるで無味乾燥、しかも1988年に1969年の音源だからと言ってリリースされても、やっぱり何となく価値観が異なるワケで…。自分が実際「Strangelands」を聴いたのは多分80年代後期なので別にそのままこの「Strangelands」を聴いても違和感なかったとは思うのだが、やっぱ時代を物語らないジャケットってのはいかんかった。中古レコ屋でもそういえば良く見かけたもんな。まるで食指が伸びなかったのは新しい感じだったからだ。その時には「Strangelands」が1969年の幻のセカンドアルバムってのを知らなかったのも大きいけど、っつうかほとんどそっちの理由かも。

 ってことで随分と後になってから聴いてみて、80年代末にこんな音やっててもなぁ…とちょいと呆れたのが先。その後「Strangelands」は1969年のアルバムってことでやっと納得。情報不足で聴くと損するなぁと。だって純粋に音だけで感動できる音楽じゃなかったからさ。ちなみにどんな音かっつうと…、呪術をイメージしたサイケデリック・サウンドでして、ロックとかそういう次元でもなさそう。スペイシーって言い方もあるかもしれないけど、まぁ、一般受けはしないはずのアルバム、そしてそれこそ時代性が重要な音。一応組曲形式になっていて凝った作品なので作る側はかなり大変だっただろうなとは思うのだが、自己満足的なもので面白くはない。実験的音楽のやや完成形…か?ま、そんなとこか…と思ってたら今じゃ更にボーナストラック付けてリリースされてるのか。自分のは古いアナログのだから全然違うけど…、需要あるんかねぇ。

Cressida - Cressida (1970)

Cressida 何やらこの手の英国系サウンドに入っていくとまるでライブラリに困らないってのと久々に聴き続けられるってのも新鮮で、昔聞いてた時と印象が異なるアルバムが多いんだよなぁ。それだけ聴き込みが足りなかったってことだろうからこうして聴き直すのはつねづね思うけど良い機会だ。できれば昔書いた記事のあるアルバムも聞き直して書きたいな。そのうちそっちも進めてみるか…って思ったりするがまだまだ新たなる領域が多数ありそうなのでそっちはまだ先だろう。

 1970年にヴァーティゴからリリースされたCressidaのファーストアルバム「Cressida」ですがね…、このバンドってこんなにキャッチーでポップだったっけ?セカンド「アサイラム」の印象が強くて思い切りハモンドが強烈なプログレバンドだっていう刷り込みが出来上がってしまっていたんだが…。聴いた感じでは自分の大好きなキャラバンとかなり近い感覚のアルバムで、アルバムジャケットとかバンド名とかを見直してしまったくらい。ホントにCressidaだよな?と。ちょっとこれはライブラリに埋もれてたけど何度も聴き直していかないといけないくらいの名盤じゃね?と反省&新たなる再発見に感謝←自分(笑)。この儚い感じの歌メロがちょいと胸に染みます。ポップスってもいいくらいの美しさとメロディー感を持ちながら、それでいてきちんと英国ロックしている至上のサウンドだった。そっか…、こんな音だっけなぁ…、プログレバンドとしての色眼鏡で見ていたんであんまり聴かなかったんだけど、こりゃいいや。まだまだ未熟な自分です。

 演奏自体は結構凝ってたりするんでその辺も飽きないし憂いもあるし60年代から脱出してきた時代の音ではあるけどかなり完成されているようで、もっと長い活動ができていれば結構定番なバンドになったんじゃないかな。

Cressida - Asylum 1971

 オルガン=プログレッシヴロックという象徴的な印象は多分EL&Pによる構図がもたらした産物だと思っているんだけど、もしかしたらそれだけでなく、英国B級ロックをひたすら聴き続けた時に根付いてしまった意識なのかもしれない。そして通常のロックンロールを主体としたサウンドからプログレッシヴなものを聴き始めた時、音を楽しむということから音を学ぶという図式に変わり始め何故か何処かでこういうサウンドをわからなければダメだ、という強迫観念的なものもあって聴いていた。まぁ、そのうちそれらが心地良くなってきてハマりこむんで結論的には同じなんだけど、そういう行為と意識下によって英国B級ロックというものをあれやこれやと聴けるようになった部分はある。まぁ、それ意外にもコレクター的になりやすい要素ってのはいっぱいあるんだけどね。レーベルやらジャケットやら…。後追いだったから余計にそういうものにハマりやすかった、っつうか後追いじゃなきゃそんなにハマらないだろって思うが(笑)。

 そんな最初期の頃に出会った中で、B級と呼ばれる、もしくはアンダーグラウンドと呼ばれている割に、いや、全然メジャーには躍り出てこない割にもの凄い完成度と才能が感じられたアルバムがクレシダの「アサイラム」だ。ジャケット見て、その不思議なというか不気味な印象が広がったし、アクセント的に一体だけ火に包まれて倒れているってのもデザイン的だ〜って思ってさ。そりゃ、もちろんキーフの作品なんだし、それだけ人を惹き付けるデザインだってことだけど。

 アルバム自体は1971年、ヴァーティゴからの作品で彼等としては二作目に位置するものだ。あ、ちなみに Vertigo VO-07 はこのバンドの一作目です(笑)。で、このバンド、かなり演奏能力が高い。そして曲のセンスも凄くよろしくって、もちろん全編ハモンドが鳴り響いているんだけど、ベースがしっかりしててねぇ。それとやっぱ歌かな。独特のクールな情感を繰り広げてくれているって感じでさ、しかもその歌メロが結構なメロディラインを持っているので聴きやすいときたもんだ。二曲目の「Munich」なんてのは9分以上にも渡る作品なんだけど正に名曲って言ってもおかしくないくらいのものでさ、起伏があって英国らしい旋律で良いんだよ。音が密集したチープな感触もあると言えばあるんだけど、ギターにしてもテクニシャンだしねぇ。音楽って面白いなぁと思う。  ちなみにこのバンドの作品、今では感単にCDで手に入るし、いつでも真っ先に再発の対象になっているくらいだから今の時代には多分こういうのってのは十分にメジャーなバンドになってしまうのかもしれないな。当時の活動云々ではなくって、メジャーなものってのはいつでも入手できる状況のもの、ってことで言えば(笑)。そうそう2in1のCDも音的にはお得だね。ただなぁ、やっぱジャケットを楽しみたいバンドだよ。

 ちなみに、このバンドのドラマーはIain Clarkeです…うん、見たことある名前だったりしない?実はこの人このバンドの後にユーライア・ヒープに加入するワケで、しかもその時に参加したアルバムがあの「対自核」なワケで…。ヒープって結構そのへんのバンドと交流あるみたいで、コラシアムからもベーシストのMark Clarkeを引っ張ってくるし、他にもね、いっぱいあるわけさ。ま、このバンドもヴァーティゴからデビューしてるのでそういう人脈も多かったってことか。

Czar - Czar 1970

Czar 奇妙なアルバムジャケットという意味ではこのヘンのロックってのは全くネタが尽きないので、もう何でもアリの世界になってきた(笑)。まぁ、それでも一応テーマは決めて行こうじゃないか…、せっかくだし。ってなトコロで、ここのトコロの英国ロック系はまとめてiTunesでジャケットを表示して羅列して見ているのでどうにもジャケットが目に付くようになっているのですよ。だからレコードをパラパラと見ているよりも、どちらかというと英国B級ロック名鑑を眺めているような感覚でiTunesを楽しんでいるので、CDよりもレコードよりもジャケットに目が行ってしまうワケで、そしてそのジャケットを気にしながら音も楽しむという現代的な聴き方をしているのです。よって如何にこの頃の英国ロックのアルバムジャケットがヘンなのか、ってのがよくわかるのだ(笑)。

 奇妙さと顔面アップという感じで目に付いたのでCZARというバンドの1970年リリースの唯一の作品「Czar」をどうぞ♪ これさぁ、Czarって綴るから何て読むのかわかんなくて、もしかしたらシーザーなんて読み方だったりするのか?とか思ってたら、どうやらツァールという読み方をするらしい。ん?ツァールってロシアの皇帝の意味じゃなかったっけ?ん?シーザーってジュリアス・シーザーでしょ?ん?同じ語源の意味?言語違い?ん?などと別の路線に走って調べてしまったが、簡単に言うと同じ語源からの言葉でした。なるほど…。ならいいか(笑)。そうすると一気にこのジャケットの意味が読めてしまって…、そうか熊を被って王冠を更に被っているのはそういうことなのか…と。知識ってのは重要ですねぇ〜。ロックでも世界史が学べます(笑)。

 さてさて、その音なのですが…、これがもう思い切りハードでブルージーでメロトロンの洪水で熱〜い演奏をしております。ギターのロックという側面もあるけど、オルガンとメロトロンも同様に使ったヘヴィーロックというに相応しい音です。そこにこの頃独特のアドリブ的エッセンスを多分に入れて出来上がったB級サウンド。演奏はそんなに巧くないんだけど、その心意気が凄くよくわかる音でさ。自分がバンドやってメロトロンとかハモンドとかあったらこういう音になってる気がするもん(笑)。やってる方は心地良いだろうなぁ〜っていう自己満足的なロックで個人的には非常〜に面白くて好きな音です。だからと言って万人にオススメはしないんですが…。  歌メロとかは結構サイケデリックな雰囲気も入っていて、がなり立てるハードロックには仕上がっていません。ヘヴィサイケの延長にブルースロックとの出会いがあって…みたいなところなので聴きやすいと言えば聴きやすい…ね。しかしある意味ジャケット通りの印象って気もするのでなかなかの好盤♪