Gallagher & Lyle - The Last Cowboy (1974)

The Last Cowboy 手近にあったジャケットを見ていて、これは良いよな〜ってのがあったので音楽的ジャンルはとりあえず忘れて(笑)、聴いてみたくなったので振ってみる。まぁ、あんまり得意な音ではないってことは知ってたんだけど、昔何かの本でアルバムジャケットを見た時からレコード見たら買おう〜とは思ってたんだよね。別になんてことないし、モチーフはアメリカだし、本質的にスワンプ系やレイドバック系って好きじゃないから大枚はたいてってほどではなかったけどレコードってのはひとつの芸術作品なのでジャケットで買うってのはありなんだな。今の時代はどうか知らないけどさ〜。

 ってことで、無名度高そうなデュオのGallagher & Lyleの1974年の4枚目の作品「The Last Cowboy」です。良いジャケットでしょ?アメリカへの望郷を表しているんだけど、実際アメリカ人のバンドなんかではこういうセンスのジャケットは絶対撮られないしね。似たたぐいのはいくつか見たことあるけどセンスが違う気がするし、このジャケットで聞いてみたい、欲しいって思わせるのは上手いよな。この頃英国ではクラプトンに代表されるようにレイドバックしたサウンドへの傾倒が多かったし、スワンプも結構出てきていた。Facesから離脱したロニー・レインなんかもスワンプ志向の音を出していたし、そういう意味では流行りだったんだろうとは思う。まぁ、ひとつの英国ロック史ではあるんだけどね、やっぱそんなぬるま湯は長くは続かなかったのは歴史が証明している。

 んで、この「The Last Cowboy」はですね、もちろんスワンプ臭たっぷりだけど英国人だからトラッドの解釈も入ってて、その融合がなかなかおもしろいっちゃぁ面白い作風。ただ、だんだんと上達していったのもあってこの「The Last Cowboy」ではかなりまっとうなスワンプへの試みになっていて聴けば英国だけど音はアメリカっつある意味皆が望んでいた姿に成功している。もちろんそれでも売れなかったのは英国的な所(笑)。好みとはかなり違うけど、こういう音ってのもあるよな〜というのはわかる。ま、それよりもジャケットが良いよ。

Gandalf - Gandalf 1969

Gandalf しばらくはメジャーなバンドで皆様を楽しませよう何て考えていたのだが、ティラノザウルス・レックスっつうのをやってしまって、ついつい手が出てしまったのが東海岸のサイケバンドとして名を馳せている…ってか、ここ最近になってから再評価されているっていう方が近いんだと思うな。当時は全く手に入らない音だったようなので。

 「Gandalf」1969年リリース。何の影響下ってすぐわかる、もちろん指輪物語のガンダルフだろうなぁ。おかげで世界中にガンダルフっつうバンド名が存在しているんだけどさ。ここでは1969年リリースの彼等の最初のアルバム。その後もあったのかなぁ…、とにかくとんでもなくアシッドフォークな一枚で、ティラノザウルス・レックスにはヒケを取るんだけど(笑)、なんなんだこの浮游感は?と言いたくなるくらいにフワフワした雰囲気、これはなかなか西海岸では出てこないだろうし、東海岸でも結構不思議。The Velvet Undergroundから暗さを取ったらこんな感じになるのかもしれない。

 全10曲なんだけどどれもこれもがショボいギターとオルガンの音で、それでいてメランコリックな心地良さ…、あぁ、クリスマスってこういうもんだよなぁ〜なんて勘違いしそうな音で、カバー曲が多いみたいだけどそんなの関係ねぇ、ってなくらいに独自性を出してるので良い。うん、相当良い。多分そのうち手に入らなくなるCDだと思うから今のウチに聴いておくのがベターってトコじゃない?ピンク・フロイドの初期なんかとは大いに異なる独特のサイケというかアシッド感覚がよろしい。

Glastonbury Fayre Festival 1971

Glastonbury Fayre Festival (3pc) (W/CD) 今や英国のフェスティバルとしては最大級とも呼ばれているグラストンベリー・フェスティバルらしいけど、結構古くから開催していて、それからず〜っと続けられていたフェスティバルなのか断続的にやっていたフェスティバルなのかわからん。でもここ最近ボウイが出たりフーやイギー・ポップが出たりとか色々と話題になっているので最近は活発らしい。多分しばらくやってなかったんだと思うけどさ。それで、もちろん最近の模様でも良いんだけど1971年のフェスティバル開催時にリリースされた英国ロック史では非常に有名なアルバムがあるのでここいらで紹介。

 1972年リリースの「Glastonbury Fayre Festival」というアルバム2枚組6面開きの傑作。しかもビニール袋に詰められた特殊仕様のジャケットでかなりレア度が高い。数年前にアナログでも再発されたとか聞いたけど、昔オリジナル盤は見ることも少なかったが見ても3万円以上はしてたなぁ。一体どんな音が詰め込まれているのだろうと実に不思議だったんだよ。やっぱりそういうタイトルなんだからライブが収録されているとず〜っと思い込んでいたんだが、実はほとんどが別の場所別のセッションで録音されたもので、そんなのが寄せ集められていただけという。しかも出演していないアーティストやバンドの音も入っているという訳の分からないアルバムの構成。ピート・タウンジェンドの「Classfield」ってあるからピートもソロで出たのかと思ったら全くそんなことないし、Mighty Babyだってマーク・ボランだって出演してないじゃないか(笑)。

 多分フェスティバルの主旨が当時の英国のアンダーグラウンドなアーティストを集めまくったイベントということもあって、そういったバンドの音を集めたのかなと思う。まぁ、最初のグレイトフル・デッドだって出演していないワケだし、これが象徴でもあるんだろうからさ。当初は出演予定だったピンク・フロイドやストロブス、サード・イヤー・バンドなんてのも出演キャンセルらしい。う〜ん、不思議なものだ。ちなみにこのフェスティバルは5日間に渡って行われた模様。それでも出演バンドはかなり面白くて、マルスピラミとかスキン・アレイ、クインテッセンスなんつうマニアどころからアンクル・ドッグ、ブリンズレー・シュワルツやHelp Yourself、リンダ・ルイスなんてところもいるしアーサー・ブラウンやピンク・フェアリーズというアングラの猛者ももちろん出演、更にゴングやホークウィンド、ヘンリーカウやエドガー・ブロートン・バンド、そしてボウイが出演しているという不思議なフェスティバルだったのだ…。

 さてさて、このアルバムもなかなか手に入らずといったところだったけど今では普通にCDが出に入ります。嬉しいことに。それでも聞いてみると時代を感じる楽曲センスの塊で、やっぱホークウィンドのスペイシー感覚が一番面白いかもしれないなぁ。

Gnidrolog - Lady Lake 1972

 レディ・レイク(紙ジャケット仕様) 英国では白鳥が一番メジャーな美しい鳥なのかもしれない。アフィニティのアルバム裏ジャケットには物静かな白鳥が写されているんだけど、今度は驚きの表情を描いた白鳥を堂々とモチーフとしたB級プログレの超名盤(ってヘンな言い方かもしれないが)であるニドロローグっつうマイナーなバンドを久々に聴きたくなって聴きまくりました。とあるサイトでも最近取り上げられたのでそちらもオススメなんだけどね♪

 バンド名となった「Gnidrolog」はバンドを組んだスチュワートとコリン兄弟の性である「Goldring」を逆さに配しただけという安直なもので、英国ロック伝説に名を残すほどのバンド名にしては肩透かしを喰らうんだけど、まあ得てしてそんなものだろう(笑)。ファーストアルバムは1971年にリリースされたもののジャケットも地味で、中味もモロに時代を反映したB級インスト中心のアヴァンギャルド傾向の強いサウンドで、確かに売れないし好まる傾向ではないな、という感じ。

 が、翌年1972年にリリースされた「Lady Lake」はそんなサウンドが信じられないくらい洗練された、また指向性もはっきりとした快作が詰め込まれて、当時売れたかどうかは知らないんだけど時間が経てば経つほどに人気が出てきたようだ。そして何と言ってもジャケットのインパクトが英国的で素晴らしい。絵画として見たらそんなに上手いものでもないし、結構チャチだなぁというのもあるんだけど、やっぱりそこはレコードジャケットなので中の音と共にジャケットを眺めると素晴らしい効果がある。ジャケットに表現されている光景はアルバム中の最後に収められている「Social Embarrassment」という曲の最後部で完成されるので、アルバムの冒頭ではこの白鳥はただ水面を普通に泳いでいるだけで、辺りも暗くなく平和な風景だったはずだ。しかし一曲目「I Could Never Be A Soldier」という素晴らしきロックの名曲、決してプログレッシブロックという定義だけではなく、起承転結がしっかりしていてフルートも効果的に鳴らされているし、途中からのギターのフレーズも正にこの時期の英国ブルースロックがベースになったもので、更にブラスが絡んでどんどんと盛り上がっていく美しき、そして破壊的な作品。この一曲だけでもこのアルバムジャケットを表現しているとも言えるので、ダブルで凄いと思う。3曲目「Ship」では静かめな曲調になるというアルバムの構成がクリムゾン的と言われる所以だろう。

 そんなことで実に英国的で時代を反映した素晴らしきB級ロックの美しい代表作で、自分の中ではかなり順位の高いアルバム♪ バンドはその後消滅してしまったみたいだけど、数年前に唐突に1972年のライブ盤がリリースされたので驚いたものだ。更に調べていて驚いたのは2000年にバンドが再結成して新作アルバムを発表しているトコロだ。う〜ん、やっぱり幻のバンドは幻のままで終わっていてほしいな。

Gnidrolog - In Spite Of Harry's Toe 1971

In Spite Of Harry's Toe-Nail/Lady Lake フルートという楽器は時には凶暴にもあり、もちろん俗世では優しく憂いのある笛の一種なのだが、前者の凶暴性ってのはロックの世界でしか使えないだろうな。もちろん両面とも使えるので実は幅広い音色の楽器のひとつなのだが…。そんなことであまりにも大人しいフルートを聴いていると凶暴性の高いフルートを聴きたくなるものだ。そんなことで、名高いイアン・アンダーソンはちょっと後回しにして、マイナーなニドロローグで(笑)。セカンドの名盤「Lady Lake」は以前書いているのでそっちを見てくれると嬉しいけど、大好きでねぇ…。papini嬢のトコロでも取り上げられたばかりの素晴らしい作品だね。だからこちらでは今回はファースト「In Spite Of Harry's Toe-Nail」です。

 1972年リリースのデビューアルバム「In Spite Of Harry's Toe-Nail」なんだけど、昔はこれも全然見かけることなくって探し回った。結局CDになってからやっと聴けたという代物でさ。セカンドの「Lady Lake」もカウンターフィット盤で聴いててそこからCD出たから速攻で買ってって感じだったので、それよりも更に時間掛かったのがこのファースト「In Spite Of Harry's Toe-Nail」です。聴けた時はホントに嬉しかった。何がってさ、もちろん手に入れたってのもあるけど、音がね、全然裏切られなかったんだよ。期待通り、もしくは期待以上だったもん。セカンドの「Lady Lake」が叙情的且つ凶暴、更にメロディーセンスもばっちりで好みだったので、その準備段階の世界だろうと想像していたんだけど、聴いてみたら既にそのスタイルは感性されている。叙情性ってのがちょっと異なる方向にあったくらいで、凶暴性も美しい旋律も健在。時にはマグマのような展開になるし、それでもやはり英国のバンドらしくしっかりと情緒をわきまえた上品に高貴に楽器が鳴るってなもんだ。ボーカルにしても優しいハイトーンの声で、その姿からは全く想像できないほど美しい歌声と楽曲の数々は多くのファンを虜にするでしょ。主にプログレと呼ばれる世界の好きな人は必ず、ですね(笑)。

 うん、クリムゾンらしさもあるしマグマらしくもあるい、繊細で綿密に創り上げられているっていう意味ではジェントル・ジャイアント的でもある。小曲も大曲も聴かせるところが多くて面白い。ジャジーな展開もクラシカルな展開もあり、やはりロックなアプローチ。フルートやオーボエってのは全開で効果を発揮しているので、このバンドの武器のひとつ。フリーな要素と構築美が見事にミックスされた奇跡のバランスは唯一無二の代物で、もっともっと語られても良いレベルのバンドです。

 この後セカンドアルバム「Lady Lake」をリリースして消滅…、勿体ないなぁ。フルート奏者のナイジェルさんはスティーライ・スパンへ参加することとなるようだ。この人のクセってのがまた強くてねぇ…。こんなところでスティーライ・スパンとニドロローグが繋がってしまう大英帝国のロック世界に奥深さを感じるでしょ。

Gracious - Gracious! 1970

 ヴァーティゴのロゴマークって面白いよね。日本語では「めまい」って意味なんだけど、レーベルロゴそのものがしっかりと主張してるもんな。で、あちこちのカタログや本で眺めているヴァーティゴレーベルのジャケット写真は燦然とこのロゴマークがジャケットの四つ角のどこかでしっかりと主張していて、ジャケットの一部にもなっているかのような印象を持つ。だから再発でレーベルロゴがなかったり、違うレーベルロゴが入っていたりすると結構違和感あるんだよ。このブログに出てくるジャケ写の中ではちょっと前にやったWarhorseがなんかおかしいな、と思ってたら左上のロゴマークがなくってさ、それで違和感あったのかぁ、なんて思った。

 で、今日書くグレイシャスってバンドのファーストアルバムなんだけど、このアルバムこそ左上にレーベルロゴがないとジャケットとしてのバランスが崩れるだろう、ってくらいにレーベルロゴをジャケットの一部にしてしまっているデザインセンスは見事なもの。再発盤ではレーベルロゴがないものもあったみたいで、ネットであれこれ見てたらやっぱり不思議な感じだった。でもね、やっぱあのロゴマークは重要だね。

 さてアルバム自体は1970年にリリースされていて、彼等のデビュー作。この後もう一枚リリースするもののもちろんそのままフェイドアウトしていったんだけど…、いやぁ、惜しいんだよこの才能は。クレシダと共にB級のレッテルがある意味似合わないバンドで、しかし徹底してB級でもあるという素晴らしきバンド。もちろん演奏能力も高く、楽曲もレベルが高いのだ。そしてヴァーティゴらしく重くてヘン(笑)。いや、基本的にはオルガンが入ってて、もちろんメロトロンとかハープシコードとかも綺麗に鳴っているんだけど、いかにもプログレって感じではある。でもねぇ、多分そんなの意識してないでああしたら面白いだろう、みたいな感じで作られていると思うんだよな。そんなのがさB面の大作一曲の中に散りばめられていて…、だってビートルズの「Hey Jude」とか「エリーゼのために」とかの旋律が一瞬入ってくるとかさ、英国人らしいユーモアだよな。うん、全体的にバンドとしては当時珍しかったであろう、クラッシック畑の影響が大きくて、ブルースやジャズロック〜なんてのばっかりのこの頃、しっかりとした楽曲に仕上がっているのはそのためかなと思う。ただ、クラッシックの影響が2割程度であとは自由なロックっというバランスがこのバンドの煌びやかさだろう。それでいて実はコーラスワークが見事でさ、上手いんだよな。そ〜んな作品で個人的にはヴァーティゴっつうとこのバンドのジャケが一番インパクトあるかも(笑)。

 …で、まぁ、驚くことに1996年に一度一度再結成してアルバム出してるのな。知らなかったけど。「Echo」っつうのをリリースしていて、メインメンバーの三人は参加しているらしい。レビューを読む限り無機質なサウンドってことらしいけど、どうなんだろ?まぁ、面白いなぁ、そういうのもさ。ちなみにこのファーストとセカンドが2in1になったCDも音だけならお得だね。それこそロゴなしだけど(笑)。

Graham Bond - Holy Magick (1970)

ホーリー・マジック(紙ジャケット仕様)  そうかそうか黒魔術的思想を取り入れたバンドか…ってもそんなの70年代初頭くらいまでしか存在してないんだからなかなか多数はいないよな…ってことで、ロックの世界では代表的なのがGraham Bondさんだろうなぁ。悪魔に身を捧げますっていうメモまで残して地下鉄に飛び込んでしまった…ってお話だし。まぁ、それがホントかどうかはともかく、そんな憶測が世界に広がるくらいまでには黒魔術に傾倒していた人ってことです。60年代初期から鍵盤奏者として活躍していて、ジャック・ブルースやジンジャー・ベイカー、ジョン・マクラフリンやディク・ヘクストール・スミスなどなど英国のジャズ・ロック系ミュージシャンを配下に従えて自身のバンドでフリーな世界を確立した第一人者でもあった。アルバム「Sound Of '65」はその時代の雰囲気が見事につめ込まれている重い名盤。ハモンドが重いんだろうなぁ…これ。

 さて、そのグラハム・ボンド…、グレアム・ボンドっつう読み方もあるらしいがこれもまた25年くらいその読み方なのでグラハム・ボンドです、自分では(笑)。が1970年にリリースしたその名も「Holy Magick」というアルバム。「Magick」の末尾の「k」が付くスペルを使ってる時点でわかる人にはわかるし、アルバムジャケットはストーンヘンジに自らを捧げる信者だし、その手のシンボルを知っている人にはメッセージとしてはかなり通じるワケで、まぁ、それがセールスに繋がるとは到底思えないのだが、グラハム・ボンドの場合は売りとして黒魔術を用いたのではなくって本気で信者だったワケだからこうしたメッセージがチープなものに見えないのだな。ちょっと怪しい…って感じでそれがまた本物っぽい。

 逸話ばかりの話題になってしまっているが、そもそも技量のあるミュージシャンでハモンドを扱わせたらヘヴィなロックプレイをこなしてくれる人なワケでしてね、それはもう「Sound Of '65」の頃もそうだし、本作「Holy Magick」でも重々しく鳴らしてくれてます。ジャズ・ロック…って言うかハモンドロック、そこにフリーなプレイが各楽器で絡んできて何か怪しげな雰囲気のエッセンスが振りかけられている長い長い作品。ず〜っと聴いてると何かにハマった気がするくらいの諸悪さは持っているのが興味深い。まぁ、レコード聴いたくらいで黒魔術できるわけじゃないから恐れることはないんだけど、なんかね、取っ付きにくいのは当たり前、か。普通にハードでサイケで重いオルガンロックで、音だけの評価だったらちょっとキツイだろうなぁ…と。

Gravy Train - Gravy Train 1971

Gravy Train 様々な音楽の融合こそがロックの醍醐味でもあり、古くから多くの人達がそれを模倣して新たなるサウンドを創り上げてきている。そして不景気だった英国の若者達はこぞって音楽=ロックバンドで飯を食うということに気づき初めて、それはもちろんアートスクールの先輩方の活躍によるトコロも大きかったのだろうが皆が皆楽器を手に取ってラジオでは流れてこない音楽を自らが創り上げてやろう、みたいな血気盛んなシーンの状況があったようだ。それが一気に爆発してきたのが1970年頃、サイケデリックムーブメントもそこそこにブルースとハードロックの融合、そしてそこに更なるサウンドを加えていくことで独自性を打ち出すバンドが多くなってきた。

 Gravy Trainと名乗る4人組のバンドもその一角を担っており、またその融合性のセンスはなかなかのものだと今でも語り継がれているバンドのひとつ。彼等はブルースロックというひとつのカテゴリにフルートやサックスと言った管楽器を加え、音楽的にも唐突な変拍子をノリの良いままに強引に挟み込むという、結局はそれが面白い効果と思い切りアングラな作風を生み出すこととなってひとつのバンドの方向性を打ち出したか、に見えた…のはセカンドあたりまでかな(笑)。いや、やっぱりパッと出てきたバンドが継続するとあまりロクなことにならないという典型でもあるのだが、ファースト一作で終わっていたらかなりインパクトのある無名バンドになっていただろうに、ロジャー・ディーンを起用したジャケットで有名な4枚目の作品があまりにもジャケの素晴らしさと中身のギャップが大きかったためか、リスナーをがっかりさせてしまうバンドのひとつにも数えられる(笑)。

 いや、ファーストは凄く面白いんだよ。1971年リリース、ジャケットはこう見えても実はヒプノシス。言われてみるとなるほどちょっと構図がヘンでしょ。ドラムはドコスコって感じなのにフルートの音色が響き渡るのでえらく繊細に聞こえてしまう曲が多く、そこにドロドロのブルースギターが絡んでくるもんだから不思議な不思議な音になる。しかも歌もねちっこくてしゃがれた声なので泥臭さのないフルートの音色が更に浮き立つ、そんな感じ。曲はもう無理矢理変拍子っぽくしてるのとかね、あるけど基本はブルースロック、だと思う。テクはそこそこあるのでジャジーな感じがしたりするけど、3曲目あたり聴いてるとこのバンドの真髄かなっていう気がするくらいにヘヴィーなブルースだしさ。そうだね、長めの曲が多いんだけどプログレらしい起承転結っていうのではなくてアップダウンっていう感じの組み立てなので、やっぱ力技での曲展開。B面なんてそんなので2曲なんだから大したもんだ…。このバンド、間違いなく男のファンしかいなかったんじゃないかと思うような泥臭さと汗臭さが漂う英国にしては珍しい感じのバンド。その分セカンドではややアメリカスワンプ寄りになった感じもするかな。

Graeme Edge Band - Kick off Your Muddy Boots (1975)

Kick off Your Muddy Boots ガーヴィッツ兄弟の偉業…とまでは言わないが、英国ロックシーンに於いてガーヴィッツ兄弟の果たした役割と言うか出してきた作品群の面白さは傑出している、というくらいに自分では評価していると言うか好きなんですよね。ただ、コピーしてギターを弾くとかエイドリアン・ガーヴィッツのギターフレーズを研究したり手癖を研究するってのまでには至らないので単に聴いてて好きな人たちなんです。多分音の個性が好きなんだろう。そんなガーヴィッツ兄弟がThree Man Armyの解体後すぐに次の仕事にとりかかる。多分本来は単なるセッションの意味合いが強かったのではないだろうかと思うのだが、グレアム・エッジのソロアルバム製作支援、だ。

 1975年にリリースされた「Kick off Your Muddy Boots」はガーヴィッツ兄弟とジンジャー・ベイカーが参加している…そうBaker Gurvitz Armyの面々がバックを務めているワケで、そこにミック・ギャラガーという鍵盤奏者が加わってムーディ・ブルースのグレアム・エッジが率いているという構図だ。Baker Gurvitz Armyの方は1974年にアルバムリリースしているので、多分同時期に仕事が進行していたんじゃないかと思うのだが、一方ではジンジャー・ベイカーと、一方ではグレアム・エッジと、と言う仕事の幅とメジャーアーティストからの信頼感が見事で、実力の高さを物語っているだろう。Baker Gurvitz Armyの話は後ほどとして、このグレアム・エッジのソロ作、否、The Gream Edge Bandというバンド名義になってしまった最初のアルバム「Kick off Your Muddy Boots」は正にバンド名義にして然るべき楽曲群とガーヴィッツ兄弟の才能が開花しているし、そこに確かにガーヴィッツ兄弟やジンジャー・ベイカーでは出せないクラシカルな旋律=ムーディ・ブルースの雰囲気を加えたグレアム・エッジによるバンドであるのは確かだ。もちろん後にクラッシュに参加することになるミック・ギャラガーの才能も加わっているだろうが、多分アルバム取りまとめはグレアム・エッジだろうからそんな雰囲気。ジンジャー・ベイカーもドラムで参加してます、最もゲスト扱いであはあるけど。

 何といっても「Kick off Your Muddy Boots」で驚くのはさすがメジャーシーンのアーティストと組んだ音ってのはこうだよなと思うくらいに洗練されている独自の世界観だと言うこと。ガーヴィッツ兄弟のドタバタ感がまるでなくなり、見事に音とバンドに昇華されて融合して、本意ではなかったかもしれないが、ひとりのプレイヤーとして才能を発揮する事になった作品だ。多分この後のエイドリアン・ガーヴィッツのAORへの接近を考えれば、ここでひとつのハードルを超えて新たな世界が開けたに違いない。それでもジンジャー・ベイカーと昔ながらのスタイルのバンドを続けていくというのはかなり考えただろうなぁ…と思いを馳せるね。そんな人間的感覚はともかく、この「Kick off Your Muddy Boots」はかなりの名盤、メジャーグラウンドでの名盤です。エイドリアン・ガーヴィッツのギターが独特のものから更に飛躍して泣きのメロディをメロディアスに奏でるソロへと変わっていて、ピアノやオーケストラと絡んで何倍にも美しさが増している。この辺の繊細さってのがトリオハードロックバンドでは出せない味だったワケで。コーラスワークを駆使したり、隠し味のピアノが聴いていて聴きやすくなってるとか、予想しないオーケストラが出てくるとかかなりカラフルで飽きずに楽しめる一枚。だんだんガーヴィッツ兄弟ってのを忘れてくるくらいに作品完成度が高いのだが、面白いのはそれらの曲そのものを作っているのはエイドリアン・ガーヴィッツだったりするので、自分の作品がこんな風になるのか、という驚きもあっただろうな。

 ちょっとだけ歴史的な話すると…、いくつかの曲、例えば「The Tunnel」なんてのとかでは明らかに後のAORに向かう曲のアレンジが聴かれていて、全然本人はギターをどうやって入れていこうか、みたいな雰囲気を感じるんだけど、それよりもこういうビートと雰囲気に圧倒されているようで、曲が本人を超えてしまっている。そこでエイドリアン・ガーヴィッツはAORへの接近を面白いと感じたんじゃないかな。そして栄光のサクセスロードを一瞬だけ登っていくような…。

The Greatest Show On Earth - Horizons 1970

 独自性の強い音楽を発揮していた時代に誰もが皆バンドを組み、才能にかかわらずやりたいことをやり通す、そしてレーベル側も何でも市場にバラ蒔いていく、そういう図式だったことは以前にも書いたことがあるが、やっぱり面白いものだ。一巡りしてまたここに戻ってきてしまうのだから英国のロックは奥深い。いや、別に繋がりなく戻ってきてるんだが(笑)。

 The Greatest Show On Earthという大層な名を持つバンドがある。レーベルはあのハーベストからリリースされていて、ジャケットはヒプノシスの強烈なインパクトを放つ目玉ジャケ。時代は1970年、全く売れてもおかしくないシチュエーションだったがアルバム二枚で消え去った。しかし残されたアルバムの輝きは以降のバンドにはなかなか出せない代物だったことはこのバンドにも当てはまるものだ。アルバム「Horizons」の出来映えがとにかく素晴らしい。最初から鍵盤中心の音を静かに聴かせてくれるが歪んだギターや管楽器、エフェクト音からドタバタドラムス、安定したベースに加えて湿っぽい歌声と英国的情緒を味わうにはたっぷりのエッセンスを保有しているバンドと言える。曲調も当然一辺倒のハズがなくメロディアスにムーディに、そして激しく展開していくアイディア満載のかなりハイクォリティのアルバムだ。

 ジャケットのインパクトはさすがにヒプノシスと思えるもので、これはやっぱりアナログで飾っておきたいけど、アナログって見たことない。幾らくらいするんだろう?ハーベストだからそんなに高くないとは思うけど結構探すのは大変じゃないかな。CDでは何回かリリースされていてデジタルリマスターまでされているみたいなのでそこそこメジャーな扱いなのだろう。手に入るウチに一度聴いておくにはオススメのバンドのひとつだね。

Groundhogs - Thanks Christ For The Bomb 1970

 英国内では非常なる人気を誇りながらも世界レベルになるとトンと人気のないバンドというものが英国には結構存在する。The Whoなんかはアメリカには力入れてたけど日本なんて論外だったためストーンズやビートルズに比べて日本での扱いは結構低かった。Status Quoなんかも英国ではとんでもない人気を誇っていたことがあるにもかかわらず、それ以外の国に行くと割と普通のバンド以下の扱いだったりする。まぁ、別に世界レベルを意識していたワケでもないだろうからそれで当たり前、バンドが外に出ようとしなければ外では売れないワケで、当然の帰結ではあるのだが…。

 同じように日本では、またアメリカでも多分そうだと思うんだけどB級的扱いをされながらも実は英国内に於いてはかなりメジャーなバンドだよ、って云うのがグラウンドホッグスというバンド。トニー・マクフィーというギタリストが有名ということだが、その風貌を見ると何で?って思う(笑)。いや、ま、それは良いんだが…、何でもジョン・リー・フッカーが渡英した時にその前座をトニー・マクフィーのバンドが引き受けたことで、それくらい直系のブルースができる人なのだという証明になったとかならないとか…。そんなことで当然バンドの方も時代に合わせたブルースをルーツとしたロックで、モロにクリームと被る時代を過ごしたおかげで全く存在感が無かったように見えてしまったのだ。しかもやってることもかなり似たような手法だったので、余計に、だ。もちろんこちらはギターがひたすら引っ張るというオーソドックスなものではあったが。そう、このグラウンドホッグスもトリオ編成のバンドで最も完成度の高いアルバムは恐らく「Who Will Save the World?」という彼等の5作目だと云われているし実際に完成度がかなり高いものだと思う。…が、今回はやはり1970年という年にこだわりたかったので彼等の出世作となったと云われている「Thank Christ for the Bomb」をオススメしていこう。

 まず、だ。基本的にストラトを中心に弾くトリオバンドのため、音は軽くて細い。そして歌はブルージーではあるのだが、これもやはり軽い。アルバム全体的にエコーを強めにかけていることもあって何となく軽い透明感が漂うんだけど、テーマ的には「神様、バクダンをありがとう」という反戦的なテーマを歌っているようで、この頃の英国民からするとトニー・マクフィーがこのようなテーマを扱うということ自体が驚きだったらしい。よくわからんが。まぁ、そんなことで重くて暗くて激しいのかと思ったら全くそんなことなくって軽くて割と落ち着いた感じのあるサウンド。まぁ、でもテーマ的には重いかな。それはともかくギター的には…、いやぁ、凄いね。よく弾いてる。ホントに弾きまくりというくらいに弾いていて、軽いブギーが多いから弾きやすいんだろうな、ブルースだけにこだわらない幅の広さでギター弾いてる部分もあって、やっぱ上手いなぁ、と。基本的にハードロック要素にブルーステイストなんだけど、タイトル曲ではアコギ一本で歌い上げている。これが一番印象的かもしれないな。

 このバンド1968年デビューなんだが、今でもトニー・マクフィーの生涯バンドとして活動しているようだ。もっともアルバムなどはたまに出るくらいだけど、それでもいくつかあるもんな。新作も出てるしさ。日本に誰か呼んだら凄いよなぁ(笑)。その他1973年に発表した初のソロアルバム「Two Sides of Tony (T.S.) McPhee」もアコースティックとハードロックを使い分けた作品になっていて佳作と呼ばれることが多い。しかしこの顔で売れる?う〜ん…。

Groundhogs - Who Will Save The World? 1972

Who Will Save the World? ロックの派生図は実にユニークだ。いつ聴いてもその派生には驚くばかりなのだが、何故にそんなことを…と言うとですね、いや、ブルースロックと言えばB級路線の一歩手前にはGroundhogsというバンドがあって、トニー・マクフィーというユニークな人がいたワケですよ。そんで、割とブルースロックとプログレッシブロックの中間を行く〜みたいなことが書かれていて昔からちょくちょくと聴いていたので、ここらでちょっと聴いてみるか、と。

 1972年リリースのGroundhogsの中では最高傑作と呼ばれることの多い「Who Will Save the World?」という作品。アメリカンコミック風のジャケットがインパクトのある「Who Will Save the World?」だが、中味がこれまた白熱していて面白い。それまでのGroundhogsはアコースティックにも割と深い造詣を抱いていたバンドでもあったので、ある意味Zeppelin的な側面を持ったバンドなのだが、誰にもそんなことを言われることもなく、その才能を発揮しきれずにいたのではないかと…。いや、買いかぶりすぎか(笑)。多分ね、ボーカルの問題とトリオってことが問題だったんだろうとは思うけど、まぁいいや。

 「Who Will Save the World?」なんだが、最初からソリッドなトニー・マクフィーのストラトサウンドが切れ味よく流れてきて、洗練されたブルースロック的なハードロックが始まるが、やはりプログレッシヴな展開…と言うよりも3コードのブルースロックではないアレンジが施されたロックと言う方が良いのかな。疾走感も溢れているし、ギターも実に巧いのでそつなく音が流れてくる。決してB級に甘んじるような音ではない。アルバム全体を聴いてみてもカラフルな楽曲群に包まれたもので、聴かせる曲ではオルガンやアコギも使いつつ、そこに歪んだギターも絡みフルートなんぞも入ってくる。結構凝った作りになっているし、ロック的な側面と併せてやっぱり名盤と呼ばれるだけあって素晴らしい出来映えになってる。なんでこれはもっと売れなかったんだろうか?ルックス?う〜ん、それはあるんだろうけどさ…。

 今でも活動しているバンドなんだよ、Groundhogsって。何度も解散再結成してるけど、こういうバンドって長年できてしまうバンドなんだろうか、随分前に結構驚いたんだけど、あまり変わらないなぁ〜って感じ。もちろん「Who Will Save the World?」で聴かれたようなアグレッシブ且つ熱の入ったものではないんだけどさ。そういえば、ここのドラマーってEggのCrive Brooksだったんだ…、こんなところでGroundhogsとEggというカンタベリーシーンが繋がってしまうのかと驚いた…。

Gryphon - Gryphon (1973)

Gryphon 古楽と古楽器を使った音楽ではまるで意味が違うのだが、先日思い切り古楽の発展形らしいL'Ham de Focを聴いていた時に「はて、古楽系って何かあったっけ?」と自問自答していて、なんかいくつか英国古楽云々ってバンドもあったなとガサゴソ…。グリフォンってそんなんだったような…と思って、自分的にはあまり好みではないのかブログでもそんなに登場していなかったので、ならば聴いてみるかね、と引っ張り出してきました。全く20年ぶりくらいに出してきたかな…。アナログ時代に結構探しまくっててさ、好きじゃない音と言いながらもアルバムジャケットは結構好きだったし、特にこのファースト「Gryphon」は神々しいまでのファンタジックさが好きだったからさ。

 1973年にリリースされたグリフォンのデビューアルバム「Gryphon」は二人の英国王立学院出身の人間を含むバンドとしてスタート。今となってはプログレ系列で語られることも多くなっているが、どっからどう聴いてもプログレとは言えないサウンド、どっちかっつうとコーマスとかと同じようなエレキのない古楽器による宮廷音楽系で、このアルバム以降ではプログレがかった展開なんかもあるからそっちの世界から歓迎されていたってのもわからんでもないが、根本的にプログレという概念ではない。多分、本来の音楽と言うか宮廷音楽だったりクラシックだったり古楽だったりのちょっと上等な場所で演奏される音楽なんだと思う。土着的っていうのはなくてさ、なんか練られている上等な音楽。まぁ、王立学院ならそりゃそうか。もちろん聴く側もそんな上等な人間たちが多いような感じで、本島にこういう音楽が好きになれる人ってのは基礎知識としてクラシックがあったり宮廷音楽?みたいなのがあったりする人だと思う。自分みたいに粗野なロック系な人間ではあまり似つかわしくない音楽だし、もちろんハマれることもない、と思う。聴けばそれはもうそういう雰囲気がわかる音だしさ。何か革ジャン来て高級ホテルで食事するみたいな違和感かな。

 前置きはともかく、こういうのが中世風っつうんだろうか。古典音楽と言うか宮廷向けっつうか毒にも害にもならない上流階級サウンド。それがどういうものなのか知りたければ聴いてみるべきかと。その分旋律やメロディ、曲としての骨格や進行、そして使われている楽器と出てくる音色の品の良さはピカイチだろう。ロックではそれほど耳にすることのない楽器群が並んでいるようで、リコーダーからハープシコード、マンドリンなどなども含めたノンエレキなバンドアンサンブルによる美しさ。世界としては十二分にハマれるし美しさは紛れも無く英国の伝統を引き継いだ品格ある音楽とレコード。アルバムジャケットのグリフォンもその象徴としてしっかりと魅力を発揮している。さて、粗野な自分でもこういう高尚な世界に触れられるという意味では実に重要なアルバムでもあるし、そのあとは所詮商業主義的な現実に引っ張られていく面もあるので、このファースト「Gryphon」が一番純粋に汚れのないグリフォンの音楽を出している作品とも言える。しかし優しいアルバムだ…。

Gryphon - Midnight Mushrumps 1974

Midnight Mushrumps 芸術の秋。…とまぁ勝手に自分が聴いている音の理由付けをしているんだが(笑)。聴き始めるとホントに面白いよね、音楽ってのは。そしていつも思うが世界には実に色々な音楽があるなぁと。それでも自分が聴いているのなんてごくごく一部だけで、世界中ってことになったらホントに今の何百倍の音楽が溢れているんでしょ?やっぱまだまだだよね。楽しめるのがいっぱいあるもん。深堀も良いし浅く広くでもいいけど、色々な感動に接したいね。

 ってなことで英国の重鎮バンドとも詠われたことのある国立音楽楽員出身者をバンドのメンバーとするグリフォンのセカンドアルバム「Midnight Mushrumps」。1974年リリースでバロックな交響楽団みたいなバンドってことで既にルネッサンスもプロコル・ハルムも出てきていたから時代的に初めての音ってのでもない。ただ、その徹底さが違っていて使われている楽器ももちろんハープシコードからモロにオーケストラが使う楽器類まで幅広く使っているようで、圧巻はA面全部使う大曲。荘厳な音に展開は各種、それでも音色は割とロック、根底はクラシック、う〜ん、プログレが出てきていたので聴き慣れていた、っつうかやる方も二番煎じ的ではあったみたい。ただ、本格度が凄いなぁ、これ。

 聴きやすいっちゃあ聴きやすい。グリフォンもアナログ時代にさんざん探して全然見つからないバンドのひとつで、この後のレコード「Red Queen to Gryphon Three]」は見かけたけど入手できず、今回はCDリリースもあったのでようやく入手して聴くことのできた作品。ジャケットだけは昔から知ってて、モロにそれらしいので楽しみではあったな。うん、十分に見合うだけの価値はあったね。あ、もちろん英国ロック好きな人にお勧めですが、ここからプログレにハマった人もいるので割とよろしいのかな?

Gryphon - Red Queen To Gryphon Three 1974

Red Queen to Gryphon Three 静かめのサウンドで…なんてライブラリをずらりと見ているとふと、「これでいいや」というジャケットに目が留まった(笑)。最近更新されていないブログの主さんがプログレはここから入った、というこれもまた実に珍しい人だとは思うのだが、グリフォンです。過去にも何枚か取り上げているので今回は1974年にリリースされた三枚目「Red Queen to Gryphon Three」です。多分グリフォンの歴史の中では最高傑作に挙げられる一枚だろうね。

 「Red Queen to Gryphon Three」…、邦題「女王失格」とのことで…、なんか中身の高貴さと邦題のアンバランスさがちょっとよく理解できないのだが(笑)、まぁ、そこは置いといて…、昔聴いた時はもっと大人しくて古楽器ばかりの印象だったんだけど改めて久々に聴いてみると、凄くロックだったんだということに気付いた。プログレっつうか…、中世音楽って言われているし、実際にそうなんだろうけど、これが中世音楽ってモンなのだろうか?まぁ、現代音楽ではないのだが…。クラシックに近いけど、そんなに厳かでもないし、喜劇のBGMだったり悲劇のBGMだったりするような印象なので、劇音楽ってな感じだろうか。情景から音が思い付いている、というような音。音を聴いていると情景が何となく浮かぶ。だって「Red Queen to Gryphon Three」は全部インストモノだから歌詞ないし。だから全部想像の世界。面白い試みだよね。それでいてロックの世界でアルバムが紹介されていくし、今でもリマスターされたり再リリースされたりするし、文化の一端を担っているワケだ。

 簡単に言うと物語の情景に併せて音楽が作られているから固定的なリズムだとか旋律だとか言うモノがほとんど存在しない。情景に併せてリズムも旋律も変化していくし、コード進行だって同じ曲でメジャーマイナー入れ替わって雰囲気を作っているし、そういうのを繰り返して演奏しているメンバーも凄いけど、元が国立音楽院出身者達なので手法は完全にクラシック的なんだろう。そんなのを4曲作ってアルバムに入れているってなもんで、どれも10分程度の大作だから聴いていると面白い。疲れるんじゃなくて聴き応えがあるし一曲を聴いている気がしないくらい多彩だから楽しい。そう思えるのも不思議だが…。

 唐突にグリフォンの「Red Queen to Gryphon Three」なんてのを聴くとさ、やっぱりホンモノの音楽家さん達って凄いんだな、と感じてしまう。ロックだぜ〜ってのとは違うしさ…。ただ、まぁ、面白さっていう面では色々あるからね。たまにはこんなのも良いでしょ♪

Gun - Race With The Devil 1968

悪魔天国(紙ジャケット仕様) やっぱハードロックっていいな…と自分の趣味を改めて知るのでしたが、それはBalck Sabbathに触発されて聴いていた同じくフォルダーに眠っていたGunのファーストアルバム「悪魔天国」です。邦題はもちろん「悪魔天国」なワケでしけどね、これがまた久々にちょこっと聴いてみるか、なんて流したらやっぱりかっこ良いんです。こんなチープでゴチャゴチャした曲とかリフなんかでもセンスが光るってのは面白い。

 1968年にリリースされた当時はカーティスと名乗っていた兄弟が中心となったバンド、Gunによる最初のアルバム「悪魔天国」。ジャケットからして魑魅魍魎として悪魔っつうか地獄絵図的な印象なんだが、音の方もそれに負けず何というのかな…、詰め込まれているハードロックで、ギターに依るハードロックだけじゃなくて結構いろいろな楽器が鳴ってるんだよ。この頃わずか18歳だったエイドリアン・カーティスのポップな才能とギタリストとしての才能が開花しまくってて、だから故にCBSも好きなようにレコーディングさせたんじゃないだろうかと。冒頭を飾るヒット曲「悪魔天国」はもう色々なバンドにカバーされているしCMでも使われたりしているようなので知られているんだろうけど、このリフが凄くネチっこく耳に残るんだよ。他の曲でもギターソロとかになると音が前に出てきて凄くネチネチなサウンドで時代を感じるというよりも、これがエイドリアン・カーティスの音なんだな、っつう感じ。フレーズはかなり雑な部分もあるけど、顔と魂でギター弾いてるね、これは。だからどの曲も聴き所があってグイグイと惹き付けされて聴いてしまうんだな。

 エイドリアン・カーティスとポール・カーティスは常にトリオバンドを好んで結成しているんだが、その最初がGunだったワケ。この後Three Man Armyで傑作を何枚かリリースしてクリームのジンジャー・ベイカーとBaker Gurvitz Armyとしても3枚くらいアルバム作ってるし、割とメジャーどころにいてもおかしくなかったんだけど、なかなかそうは行かなかったようだ。そのせいかある時突然にエイドリアン・カーティス(ガービッツ)はAORなソロ作を出して売れてしまったっつう経緯もある。ま、それはいつか機会があったら…(笑)。  しかしGun、いいな。セカンド「ガンサイト」よりもやっぱりファースト「悪魔天国」の勢いが良い。更にたっぷりとコラージュや楽器が混ぜ合わされた音の波も時代ならではってのあるけど、かっこ良い。こんなセンスって今じゃ出せないでしょ(笑)。

Gun - Gunsight 1969

ガンサイト(紙ジャケット仕様) 英国ロック史の表にはほぼ登場してこないエイドリアン・ガーヴィッツではあるが、ちょっと深堀するとそこかしこでヒットすることとなる数少ない準A級の位置というのも面白い。そんなエイドリアン・ガーヴィッツとポール・ガーヴィッツが世に出てきたのはこれまた有名なガンの「悪魔天国」ですな。そのヒットのために彼等は英国音楽業界に居続けたのではないかとも思う。そうでなければこれほど色々なバンドに拘わることもなく、またメジャーシーンとの交流もなかっただろうし。まぁ、それは後の話なので良いんだけど、最初にヒットを飛ばしてしまった方々なので割と何でもスムーズに出来たのはあるんじゃないだろうか。

 そんなガン時代のセカンドアルバム「ガンサイト」をクローズアップ。そういえばまだファーストアルバム「悪魔天国」もここでは取り上げていなかったことに気付いたんだけど…、まぁ、いいや、せっかくだから大人びたセカンドアルバム「ガンサイト」の雰囲気を楽しもう。若気の至りのファースト「悪魔天国」はまた別の機会に…。

 …とは言え、ファースト「悪魔天国」との比較にはなっちゃうねぇ。セカンドアルバム「ガンサイト」を聴いてふと不思議に思ったのは、「こんなにアコギ多かったっけ?」とか「えらくコンパクトじゃね?」みたいな感想で、ついつファースト「悪魔天国」を聴いてしまったのだが…、うん、ファースト「悪魔天国」が1969年リリース、セカンド「ガンサイト」が1970年リリース、制作が半年から一年前としても時代的には1960年末期で一年も差が開いてないんだけど、こんなに変わるもの?確かに時代的には変貌の激しい頃だが…。ファースト「悪魔天国」がもっとサイケデリックで実験的でドラマティックだったことを思うとセカンド「ガンサイト」はガラリと変わったコンパクトな楽曲とアコースティック色の強調というすっきりとしたアルバムになってるんだよね。ハードロックもいくつかあって、それは後のThree Man Army並にかっこよいのだけど、アルバム中に半分くらい占めているくらいかな。ま、その半分くらいってのが疾走感溢れるタイトな曲調なのでかっこよくて素晴らしいので文句はないのだが(笑)。

 そしてここでも光っているのはエイドリアン・ガーヴィッツのギターのセンスと楽曲構成の幅の広さ。既に一辺倒なごり押し加減は確立されているのだが(笑)、その分勢いも半端なモノではなく、がむしゃらに頭を振り乱すノリってのは凄いものがある。バッジーやブラック・サバスよりも先にそんなのを疾走させているんだからやはり侮れない。バンドカラーとしてその一辺倒さだけでは進まなかった、というところがガーヴィッツさんのちょっと頭を使ってしまったところかもしれない。バッジーとかそのまま走ったからひとつのジャンルを確立した部分あるしね。

 あれこれあるが、ジャケットは驚くことにヒプノシスの手によるもので、昔はなかなか手に入らないアルバムだったんだよ、これも。ファースト「悪魔天国」はまだ見かけたけどセカンド「ガンサイト」はなかなかね。何かのリプロ盤か何かで買った気がするけど。それよりもThree Man Armyの方が大変だったな…。

Gygafo - Legend of the Kingfisher 1973

Legend of the Kingfisher プログレッシブロックの世界ではオリジナルアルバム自体が発掘されるというパターンが割とある。バンドそのものが発掘されるというケースもあったりして、実際にリアルタイムで通っていた人はその存在すらを知らなかった、というようなケースだ。それって、でも、どうなん?って感じはするんだけど、音的にもレーベル的にも納得できちゃうってものはある…。

 ホリーグラウンドレーベルっていう英国のマイナーレーベルで録音されたGygafoというバンドのアルバム…、でも当時リリースされなかったワケだから結局プロにはなれなかったバンド、なワケだな。1973年に録音されたものらしいが「Legend of the Kingfisher」という作品がある。ジャケットもそのままで英国の象徴でもあるカワセミの素敵なイラストが表紙を飾っているんだけど、如何にも後から作られたようなジャケットなので実際のオリジナルの構想時にこういうジャケットだったのかどうかは知らない。まぁ、後にプログレならなんでも売れるという確信が出来上がった時にホリーグラウンドが作ったんじゃないかと思うのだが…。

 まぁ、カワセミの伝説というトータルコンセプトアルバムということなのだが…、歌詞がわかればもうちょっと聞き込めるのかもしれないけど、如何せん音があまりにもチープでアマチュア的なのでレベルがちょっと物足りない。だから当時見送られたのかもしれない。結局1989年になって発掘リリースされたのだが…、プログレって言ってもどこか牧歌的で安い音作りのサウンド。素朴な音で何が目立つというものでもないサウンドです。歌が、とかギターが、とか何もなくって、メロディが、とか言うのもない。淡々とフォーク的なサウンドの調べともちろんバンドサウンドなんだけど、楽曲が展開されるもので、Gygafoが一番好きなバンドだ、という人はまずいないだろう、そんなB級なバンド。

 じゃあなんで聴くのか?と言われても…、気になったから、という理由以外にはない(笑)。気になって聴いてみたら雰囲気は良いし、やりたい世界観がわかるんだけど、ちょっと才能に問題があったんじゃないか?ってなとこだ。雰囲気はホントによく出してるよ。だからそんな才能はあったのかもしれないけど…、ね。英国好きでジャケットが気になる人には良いかもしれない。