Gallagher & Lyle - The Last Cowboy (1974)

The Last Cowboy 手近にあったジャケットを見ていて、これは良いよな〜ってのがあったので音楽的ジャンルはとりあえず忘れて(笑)、聴いてみたくなったので振ってみる。まぁ、あんまり得意な音ではないってことは知ってたんだけど、昔何かの本でアルバムジャケットを見た時からレコード見たら買おう〜とは思ってたんだよね。別になんてことないし、モチーフはアメリカだし、本質的にスワンプ系やレイドバック系って好きじゃないから大枚はたいてってほどではなかったけどレコードってのはひとつの芸術作品なのでジャケットで買うってのはありなんだな。今の時代はどうか知らないけどさ〜。

 ってことで、無名度高そうなデュオのGallagher & Lyleの1974年の4枚目の作品「The Last Cowboy」です。良いジャケットでしょ?アメリカへの望郷を表しているんだけど、実際アメリカ人のバンドなんかではこういうセンスのジャケットは絶対撮られないしね。似たたぐいのはいくつか見たことあるけどセンスが違う気がするし、このジャケットで聞いてみたい、欲しいって思わせるのは上手いよな。この頃英国ではクラプトンに代表されるようにレイドバックしたサウンドへの傾倒が多かったし、スワンプも結構出てきていた。Facesから離脱したロニー・レインなんかもスワンプ志向の音を出していたし、そういう意味では流行りだったんだろうとは思う。まぁ、ひとつの英国ロック史ではあるんだけどね、やっぱそんなぬるま湯は長くは続かなかったのは歴史が証明している。

 んで、この「The Last Cowboy」はですね、もちろんスワンプ臭たっぷりだけど英国人だからトラッドの解釈も入ってて、その融合がなかなかおもしろいっちゃぁ面白い作風。ただ、だんだんと上達していったのもあってこの「The Last Cowboy」ではかなりまっとうなスワンプへの試みになっていて聴けば英国だけど音はアメリカっつある意味皆が望んでいた姿に成功している。もちろんそれでも売れなかったのは英国的な所(笑)。好みとはかなり違うけど、こういう音ってのもあるよな〜というのはわかる。ま、それよりもジャケットが良いよ。

Gandalf - Gandalf 1969

Gandalf しばらくはメジャーなバンドで皆様を楽しませよう何て考えていたのだが、ティラノザウルス・レックスっつうのをやってしまって、ついつい手が出てしまったのが東海岸のサイケバンドとして名を馳せている…ってか、ここ最近になってから再評価されているっていう方が近いんだと思うな。当時は全く手に入らない音だったようなので。

 「Gandalf」1969年リリース。何の影響下ってすぐわかる、もちろん指輪物語のガンダルフだろうなぁ。おかげで世界中にガンダルフっつうバンド名が存在しているんだけどさ。ここでは1969年リリースの彼等の最初のアルバム。その後もあったのかなぁ…、とにかくとんでもなくアシッドフォークな一枚で、ティラノザウルス・レックスにはヒケを取るんだけど(笑)、なんなんだこの浮游感は?と言いたくなるくらいにフワフワした雰囲気、これはなかなか西海岸では出てこないだろうし、東海岸でも結構不思議。The Velvet Undergroundから暗さを取ったらこんな感じになるのかもしれない。

 全10曲なんだけどどれもこれもがショボいギターとオルガンの音で、それでいてメランコリックな心地良さ…、あぁ、クリスマスってこういうもんだよなぁ〜なんて勘違いしそうな音で、カバー曲が多いみたいだけどそんなの関係ねぇ、ってなくらいに独自性を出してるので良い。うん、相当良い。多分そのうち手に入らなくなるCDだと思うから今のウチに聴いておくのがベターってトコじゃない?ピンク・フロイドの初期なんかとは大いに異なる独特のサイケというかアシッド感覚がよろしい。

Gary Boyle - The Dancer

The Dancer はて、こんだけ色々と聴いていると自分の好きな音楽はどういうものだ?と疑念も沸くのだが、面白いことに蓄積されるだけで、どれも好きなモノ、になっていくだけなのだ。こだわりという意味ではまた違うけど、ホントは何が好きなんだ?ってなった時の答えは多分、どれもいいよ、だ。そりゃ好きな度合いは違うけど、こんだけいろいろな音楽やバンドがあるんだから別に一つに絞らなくてもいいでしょ。一生好きな音楽もあれば一時的に好きな音楽もある、そんだけの話。だから昔嫌いだったのでも聴けるし、昔好きだったのも聴かなくなるワケで。

 アイソトープってバンドのワガママギタリストとして知られていたゲイリー・ボイルのソロアルバム「The Dancer」は1977年にリリースされているが、ジャケットはわりとアチコチで良く見かけたし、だから安い時に買ったりして聴いたのは覚えてるけど、中身はまるで興味の対象外だったのも記憶している。でもねぇ、こういう機会になると確かこのヘン、こういうフュージョンチックなのだったんじゃないかな〜と思い出すんだから不思議なものだ。んで、実際に聴いてみるとやっぱりそういう音で、自分が聴かなかった理由がよく分かる。多分この人ってその筋のリスナーにはウケてたんじゃないかな〜ってのもわかるけど、どうにも爽やか路線に進みたがってる感があって、フュージョンとかテクニカル路線ってんじゃなくて、大人のインスト的な…、この辺の境目も難しいな。AORなんて絶対に聴けないもんね、自分(笑)。いつか聴く可能性は無きにしも無い。

 ギターは凄いよ、いろいろな局面でいろいろな弾き方してるしフレーズももちろん多彩でアコギも見事だし、エレキ引き倒しも凄いし、廻りを圧倒させるレベルでのギタープレイなんだからそりゃそうだ、唯我独尊なプレイぶりで楽しめる。うん、そういう聴き方では楽しめる。でも、音楽としては楽しめるっていう感じでもない。それでも佳作だし、名盤と呼ばれているのもわからんでもない…が。そろそろこういう路線も飽きてきたからまたいつもの如く、ガツン系に進むかな(笑)。

Gass - Gass 1970

Gass  例えばさ、ジェフ・ベックがボブ・テンチって人を見つけたのはGassってバンドで歌っていたのを聴いたから、ってことだとしたらベックもGassってバンドのレコード聴いたことあるってことだろうし、それかライブを見たって可能性だってあるハズだ。Gassってバンドのライブを見たことある人ってそりゃそれなりにいるだろうけど、こんなライブだったよ、なんて言える人ほとんどいないだろうから、その意味でもベックって人はとても貴重な英国B級ロックの生き証人でもあるワケだ。それにGassってバンドのレコードを聴いていたとしたら、今となっては相当な英国ロックのマニアでもある、と言えるのかもしれない(笑)。

 ま、それは冗談としても、そんな可能性を具体的に実現させてくれたアルバムってことでボブ・テンチとしてはこのGassの1970年の唯一のリリースアルバム「Gass」は忘れられない人生の貴重なきっかけのひとつだっただろう。自分的には真逆にこのGassはB級ロックバンドとして知って聴いていたので、このボブ・テンチってベックのところでこの後に一緒にやったんだ…って思ったくらいだけど、一般的にはそりゃ逆だわな。んで、このGassってバンドの音、結構好きだったんです。ごった煮そのままの英国B級ロックそのままだけど、その中でも結構光ってたしなぁ…、ソウルフルな歌声がかなりハマってて、バックの音は黒い、と言うよりも民族的なものとサイケ的なものが入ってて聴かせるアルバムにもなってるし、結構良い感じなんだよね。

 驚くべきはこんなバンドのデビュー作なくせに、Fleetwood Macを離脱したピーター・グリーンが2曲参加しているという所だ。一体どういう人脈だったのか…バンドの来歴自体は古いからそれなりの人脈があったみたいだけど、なかなか出来ないよね。デビューアルバムでそんなメジャーなギタリストがゲスト参加してるなんてさ。んで、これがまた面白くてね…、ハマってるんだわさ。B級バンドなんて書いてるけど、やってる音はかなりメジャー系に攻めていけるレベルの洗練された音だし、ファンクやアフロエッセンスも入った正統派英国ロック、とも言えるサウンドなのでこの系統平気な人はぜひ。ピーター・グリーンも凄いしボブ・テンチもイケてるし、ギターもベースもかなるブリブリしててお好みです♪

Geordie - Don't Be Fooled by the Name 1974

Don't Be Fooled by the Name そういえばブライアン・ジョンソンが元々在籍してて結構売れていたジョーディーと言うバンドがあったんだが、ジョーディーってウチのブログで書いてたのかな…なんて思ったらファーストの「Hope You Like It」は書いてるんだってことに気づいた。ふ~ん、そうか…ってことで、折角なのでセカンドアルバム「Don't Be Fooled by the Name」なんてのを聴いてみた。あまり詳しく知らないんだけど、最高傑作という評価から駄作扱いまで色々な捉えられ方をしているみたいで聞く人によって変わるみたい。ファーストの「Hope You Like It」と比べると、って言い方になると好みが出るらしいし、AC/DCからの流れで来ると物足りない感ももちろん強いらしい。うん、色眼鏡で見ないで音だけ聴いて感じることに専念しましょう(笑)。

 1974年リリースのGeordieのセカンドアルバム「Don't Be Fooled by the Name」だが、ハードロック…ハードグラムロックとも言えるけど結構ポップな感じのハードナンバーが並ぶと言ったところか。有名らしいのはアニマルズの「朝日のあたる家」のカバーだそうだが、結構予算のない中でのカバーってかさ…、ゴスペルチックなコーラスワークが面白いし、ギターにしても結構エグくて良いインパクトを放つソロ弾いてくれてるしブライアン・ジョンソンの歌声も他の曲とは違ってAC/DCらしい歌い方してるからある種わかりやすい。ちなみに他のオリジナルナンバーになるとそんなに無理した高音域でのダミ声なんてのは聴かれないので、AC/DCらしさはまるで見当たらない。比較論はそんな感じになるんだけど、単にGeordieという英国グラムハードロックバンドのセカンドアルバムとして聴いた感じでは…、色々な取り組みしてるねってトコだ。ブルースからハードポップなど出来る限りのバリエーションを見せている充実のセカンドアルバムと言えるんじゃないだろうか。名盤と言うほどじゃないけど、しっかりと熱いプレイや歌が聴けるっつう好盤ってとこだ。

 入り口はどうあれ、そんな所から新しいバンドの音を聴いてその周辺に展開していくなんてのが当たり前だった自分からするとGeordieの音は結構ヒットだった。スレイドチックと言えばそうなんだけど、この手の音って結構好きなんでね…、初心者に向かって言うならば大した曲は入ってないし演奏が凄いワケでもないし、バンドとしての一体感がってのもないので別に聴かなくても良いんだろうと思うけどB級系好きな人にはかなり好物なバンドのアルバムですな。

Geordie - Save the World 1975

Save the World (W/Book)  自分がボーカルに向いてないよ、っていう人なんて多いと思うけど、こんな声でもロックの世界だと大成するボーカリストになっちゃうんだよ、ってな場合もあって、そのひとつにダミ声でのボーカルってのがあると思う。ロッドとかの場合はもう天性のものだけどダミ声のボーカリストってそういうモンじゃないし、どっちかっつうとそんなので歌なんか歌ったって、ってな方が多いだろうよ。それが通じてしまうんだからロックはプロレスみたいなもんだ(笑)。

 AC/DCの…、じゃなくて、Geordieというバンドの1976年のリリース作品で3枚目となる「Save the World」。このバンド、そんなにアルバム出してたのかって思ったけど、ボーカルのブライアン・ジョンソンがAC/DCに入ったのが1980年だからそりゃ、それまで色々と活動していただろうし、Geordieだって悪いバンドじゃなかったんだしさ、そりゃそうかと。ブライアン・ジョンソンの歌声はそのままです。んで、それがもちろん味になってる。ただ、AC/DCほどのはまいり具合じゃないのかもしれない。バンド側がもっと色々とやってるからかもしれないし、曲がそもそももうちょっと凝ってるってのもあるか。AC/DCってそういう面じゃシンプルでストレートだから勢いで歌えちゃうんだろうけど、Geodieはこの時期の英国のバンドらしく色々なリズムや曲調があって、普通にボーカリストに求められる力量を試されてるってのもあるし。だからあそこまで一本調子な歌だけではなく、きちんとバンドの味付けとしてそれなりに多様な歌い方で対応しているようだ。

 そういう意味でAC/DCの幻想に囚われずに聴いていると、全然B級感はないし、器用なバンドの多様な楽曲で占められた傑作アルバムでもある。ただ、ちょいとカントリーチックなところを狙っていたのか、売れなかったが故の何でもチャレンジなのか、アルバム全体の印象はぼんやりしてしまっている感じだ。面白さはあるんでじっくりと聴いていると深みを感じられるというのはあるけど、そこまでGeordieを聴くか?ってところが難しいな。キンクスとかだとそういう聴き方されるのが当たり前だけどね。そういう方向性を見失っていったことからバンドは沈みかかってってしまった、ってところか。随分味わい深いアルバムで良かったんだけどな。

Geordie - No Good Woman 1978

No Good Woman  Geordieの1978年リリースの4枚目のアルバム「No Good Woman」。ご存知今じゃAC/DCのボーカリストとして名を馳せたブライアン・ジョンソンがAC/DC以前に在籍していたバンドの作品で、この時点でブライアン・ジョンソンはアルバムの半分くらいしか参加していないので、AC/DCに入るためにバンドを辞めたんじゃなくてそもそもGeordieを脱退していてプラプラしていたところにAC/DCのオーディションを受けたって事ですな。んで、このアルバム、残りの半分のボーカルとブライアン・ジョンソンの歌との差が激しくてそりゃバンドも解体するだろうよって思うくらいにはブライアン・ジョンソンのパワーが強烈なバンド。曲は大した事のないロックで、ブルース色があるワケでもないし、R&R的でもないし、70年代のロック的な音で何かセンセーションを巻き起こすようなものでもないから、普通だったんだろう。そういうバンド多かったけど。

 ブライアン・ジョンソンが関わった曲は骨のあるロックに仕上がってるし、そうじゃないのはどっちつかずな半端な作風が多く、如何にバンドが彼に依存していたかってのが分かる。それでもアルバム4枚、この後5枚目も出してるから大したもんだが。それにしてもAC/DCであんな歌が歌えるなんて思えないんだよね、この辺の音聴いてると。オーディションしてAC/DCを歌ったからこそ採用されたんだろうけど、この頃の歌声だけじゃ判断できないもん。結果的には吉と出たから良かったんだが、よく冒険したもんだと思う。

Glastonbury Fayre Festival 1971

Glastonbury Fayre Festival (3pc) (W/CD) 今や英国のフェスティバルとしては最大級とも呼ばれているグラストンベリー・フェスティバルらしいけど、結構古くから開催していて、それからず〜っと続けられていたフェスティバルなのか断続的にやっていたフェスティバルなのかわからん。でもここ最近ボウイが出たりフーやイギー・ポップが出たりとか色々と話題になっているので最近は活発らしい。多分しばらくやってなかったんだと思うけどさ。それで、もちろん最近の模様でも良いんだけど1971年のフェスティバル開催時にリリースされた英国ロック史では非常に有名なアルバムがあるのでここいらで紹介。

 1972年リリースの「Glastonbury Fayre Festival」というアルバム2枚組6面開きの傑作。しかもビニール袋に詰められた特殊仕様のジャケットでかなりレア度が高い。数年前にアナログでも再発されたとか聞いたけど、昔オリジナル盤は見ることも少なかったが見ても3万円以上はしてたなぁ。一体どんな音が詰め込まれているのだろうと実に不思議だったんだよ。やっぱりそういうタイトルなんだからライブが収録されているとず〜っと思い込んでいたんだが、実はほとんどが別の場所別のセッションで録音されたもので、そんなのが寄せ集められていただけという。しかも出演していないアーティストやバンドの音も入っているという訳の分からないアルバムの構成。ピート・タウンジェンドの「Classfield」ってあるからピートもソロで出たのかと思ったら全くそんなことないし、Mighty Babyだってマーク・ボランだって出演してないじゃないか(笑)。

 多分フェスティバルの主旨が当時の英国のアンダーグラウンドなアーティストを集めまくったイベントということもあって、そういったバンドの音を集めたのかなと思う。まぁ、最初のグレイトフル・デッドだって出演していないワケだし、これが象徴でもあるんだろうからさ。当初は出演予定だったピンク・フロイドやストロブス、サード・イヤー・バンドなんてのも出演キャンセルらしい。う〜ん、不思議なものだ。ちなみにこのフェスティバルは5日間に渡って行われた模様。それでも出演バンドはかなり面白くて、マルスピラミとかスキン・アレイ、クインテッセンスなんつうマニアどころからアンクル・ドッグ、ブリンズレー・シュワルツやHelp Yourself、リンダ・ルイスなんてところもいるしアーサー・ブラウンやピンク・フェアリーズというアングラの猛者ももちろん出演、更にゴングやホークウィンド、ヘンリーカウやエドガー・ブロートン・バンド、そしてボウイが出演しているという不思議なフェスティバルだったのだ…。

 さてさて、このアルバムもなかなか手に入らずといったところだったけど今では普通にCDが出に入ります。嬉しいことに。それでも聞いてみると時代を感じる楽曲センスの塊で、やっぱホークウィンドのスペイシー感覚が一番面白いかもしれないなぁ。

Gnidrolog - In Spite Of Harry's Toe 1971

イン・スパイト・オブ・ハリーズ・トウネール(紙ジャケット仕様)  フルートという楽器は時には凶暴にもあり、もちろん俗世では優しく憂いのある笛の一種なのだが、前者の凶暴性ってのはロックの世界でしか使えないだろうな。もちろん両面とも使えるので実は幅広い音色の楽器のひとつなのだが…。そんなことであまりにも大人しいフルートを聴いていると凶暴性の高いフルートを聴きたくなるものだ。そんなことで、名高いイアン・アンダーソンはちょっと後回しにして、マイナーなニドロローグで(笑)。セカンドの名盤「Lady Lake」は以前書いているのでそっちを見てくれると嬉しいけど、大好きでねぇ…。papini嬢のトコロでも取り上げられたばかりの素晴らしい作品だね。だからこちらでは今回はファースト「In Spite Of Harry's Toe-Nail」です。

 1972年リリースのデビューアルバム「In Spite Of Harry's Toe-Nail」なんだけど、昔はこれも全然見かけることなくって探し回った。結局CDになってからやっと聴けたという代物でさ。セカンドの「Lady Lake」もカウンターフィット盤で聴いててそこからCD出たから速攻で買ってって感じだったので、それよりも更に時間掛かったのがこのファースト「In Spite Of Harry's Toe-Nail」です。聴けた時はホントに嬉しかった。何がってさ、もちろん手に入れたってのもあるけど、音がね、全然裏切られなかったんだよ。期待通り、もしくは期待以上だったもん。セカンドの「Lady Lake」が叙情的且つ凶暴、更にメロディーセンスもばっちりで好みだったので、その準備段階の世界だろうと想像していたんだけど、聴いてみたら既にそのスタイルは感性されている。叙情性ってのがちょっと異なる方向にあったくらいで、凶暴性も美しい旋律も健在。時にはマグマのような展開になるし、それでもやはり英国のバンドらしくしっかりと情緒をわきまえた上品に高貴に楽器が鳴るってなもんだ。ボーカルにしても優しいハイトーンの声で、その姿からは全く想像できないほど美しい歌声と楽曲の数々は多くのファンを虜にするでしょ。主にプログレと呼ばれる世界の好きな人は必ず、ですね(笑)。

 うん、クリムゾンらしさもあるしマグマらしくもあるい、繊細で綿密に創り上げられているっていう意味ではジェントル・ジャイアント的でもある。小曲も大曲も聴かせるところが多くて面白い。ジャジーな展開もクラシカルな展開もあり、やはりロックなアプローチ。フルートやオーボエってのは全開で効果を発揮しているので、このバンドの武器のひとつ。フリーな要素と構築美が見事にミックスされた奇跡のバランスは唯一無二の代物で、もっともっと語られても良いレベルのバンドです。

 この後セカンドアルバム「Lady Lake」をリリースして消滅…、勿体ないなぁ。フルート奏者のナイジェルさんはスティーライ・スパンへ参加することとなるようだ。この人のクセってのがまた強くてねぇ…。こんなところでスティーライ・スパンとニドロローグが繋がってしまう大英帝国のロック世界に奥深さを感じるでしょ。

Gnidrolog - Lady Lake 1972

 レディ・レイク(紙ジャケット仕様) 英国では白鳥が一番メジャーな美しい鳥なのかもしれない。アフィニティのアルバム裏ジャケットには物静かな白鳥が写されているんだけど、今度は驚きの表情を描いた白鳥を堂々とモチーフとしたB級プログレの超名盤(ってヘンな言い方かもしれないが)であるニドロローグっつうマイナーなバンドを久々に聴きたくなって聴きまくりました。とあるサイトでも最近取り上げられたのでそちらもオススメなんだけどね♪

 バンド名となった「Gnidrolog」はバンドを組んだスチュワートとコリン兄弟の性である「Goldring」を逆さに配しただけという安直なもので、英国ロック伝説に名を残すほどのバンド名にしては肩透かしを喰らうんだけど、まあ得てしてそんなものだろう(笑)。ファーストアルバムは1971年にリリースされたもののジャケットも地味で、中味もモロに時代を反映したB級インスト中心のアヴァンギャルド傾向の強いサウンドで、確かに売れないし好まる傾向ではないな、という感じ。

 が、翌年1972年にリリースされた「Lady Lake」はそんなサウンドが信じられないくらい洗練された、また指向性もはっきりとした快作が詰め込まれて、当時売れたかどうかは知らないんだけど時間が経てば経つほどに人気が出てきたようだ。そして何と言ってもジャケットのインパクトが英国的で素晴らしい。絵画として見たらそんなに上手いものでもないし、結構チャチだなぁというのもあるんだけど、やっぱりそこはレコードジャケットなので中の音と共にジャケットを眺めると素晴らしい効果がある。ジャケットに表現されている光景はアルバム中の最後に収められている「Social Embarrassment」という曲の最後部で完成されるので、アルバムの冒頭ではこの白鳥はただ水面を普通に泳いでいるだけで、辺りも暗くなく平和な風景だったはずだ。しかし一曲目「I Could Never Be A Soldier」という素晴らしきロックの名曲、決してプログレッシブロックという定義だけではなく、起承転結がしっかりしていてフルートも効果的に鳴らされているし、途中からのギターのフレーズも正にこの時期の英国ブルースロックがベースになったもので、更にブラスが絡んでどんどんと盛り上がっていく美しき、そして破壊的な作品。この一曲だけでもこのアルバムジャケットを表現しているとも言えるので、ダブルで凄いと思う。3曲目「Ship」では静かめな曲調になるというアルバムの構成がクリムゾン的と言われる所以だろう。

 そんなことで実に英国的で時代を反映した素晴らしきB級ロックの美しい代表作で、自分の中ではかなり順位の高いアルバム♪ バンドはその後消滅してしまったみたいだけど、数年前に唐突に1972年のライブ盤がリリースされたので驚いたものだ。更に調べていて驚いたのは2000年にバンドが再結成して新作アルバムを発表しているトコロだ。う〜ん、やっぱり幻のバンドは幻のままで終わっていてほしいな。

Gnidrolog - Gnosis 2000

Gnosis 90年代頃からロックの大物バンドを筆頭に再結成や再編成、復活劇と始まり00年代からはマイナーなバンド郡までもその流れが広がりあり得ないバンド達の復刻版や再発、再結成によるオリジナルアルバムなんてのが乱発されてきた、さらに驚いたのは伝説のバンド郡が来日公演までも果たしてしまったことだろうか、それも1つ2つじゃなくて何とも数多くのバンドが…、個人的には黄金期の雰囲気や空気感も含めて好きなのであまり再編のは興味ないけどそりゃまオリジナルのあんなアルバム群が聴けるなら…と言うのはある。でもさ、やっぱ単なるノスタルジックが多いし演奏力だって全盛期に敵わないワケで…と否定的な部分もあって…、幻滅したくないと勝手に思ってる部分ですな。

 そのくせアルバムだけはアレコレ聴いたりするんだから質悪い(笑)。ライブ見れば多分新作なんかも納得するのかもしれないのにアルバムだけで再結成劇はな〜ってボヤいてるのも…、まぁ、出不精なだけです。Gnidrologという英国のマイナーなバンドの再結成劇でリリースしたオリジナルアルバム「Gnosis」、ほとんどがオリジナルメンバーによる再編で、全盛期のそれとメンツはさほど変わらないし作者も変わらないんだが…、2000年頃にリリースされて自分的にはちょっと話題だったんだけど、やっぱ上記の理由で手を付けなくてそのまま放置…、ちょっとフルート系が気になって旧作郡を引っ張って聴いてたんで、そういえば新作知らないな〜とちょこっとチェック。そんなきっかけですが…。

 これはもうあのGnidrologとは大きくかけ離れた良質なアダルト・コンテンポラリー楽曲集とも言える作品集でして、ハードにエッジが立っていた70年代の名盤「Lady Lake」の影も形も見当たらない程の洗練さ加減。そりゃま、あの陰鬱さと凶暴さを期待しちゃいけないけど、ここまでリスナーの期待をスカしてくれる再編ってのも一体…ってくらい別モノ。そりゃ話題にもならんだろうよ…。音楽的に云々はわからんけど、洗練された一般的に聴きやすいロックでもちろんそこそこのテクニックと音楽なので悪くないけど、特筆すべき所華にも無い…としか書けない。やっぱ蓋をしたままの方が良かったかなぁ…。

The Gods - Genesis 1968

ジェネシス  こういうバンド名を付けるあたりからして相当の自信があったんだろうと思ってしまうが、若気の至りなんだろうな、きっと(笑)。昔、The Godsというバンドにユーライア・ヒープのケン・ヘンズレーがいたらしいから探してみるかと思ってて、アチコチのレコード屋を漁ってたんだけど、これとは全然異なるジャケットのヤツが見つかって、もちろんその時はアルバムジャケットがどういうのか知らなかったからそのアルバムを買ってったワケだが、家に変えてレコード聴いてるとどうも全然違う感じがする…、クレジット見ても全然見当たらないし…なんて思って聴いてて全然面白くなくって、そりゃそうかとも思ったけど不思議にも思っててね。そしたらとある日、このジャケットを見かけて、あれ?これ?みたいになってまた買ってったワケよ。そしたら今度はなるほどなぁ、こういうのか…と思った次第で、じゃ前買ったのはなんだったんだ?とアレコレ調べてみればアメリカのThe Godsというバンドだったというオチ。

 The Godsの1968年リリース作品「Genesis」。ユーライア・ヒープのケン・ヘンズレーとリー・カースレイクが参加していた正に前進バンドとも言えるトコロだが、あの躍動感はここには見当たらない。もっと素直にオルガンハードロックが演奏されているというトコロで、ギターなんぞ全然目立たずにひたすらオルガンによるハードロック…ってほどハードでもないなぁ…。オルガンロックってトコロか。随分と牧歌的でキャッチーだし、歌メロも口づさめるレベルのものだし、時代もあってかちょいとサイケ風味なトコロもある。実は売れたんじゃないだろうか?ってくらいにはポップに近い作品で、楽しめると言えば楽しめるから面白いけど、よくよく聴いてるとビートルズの影響もかなりあるんだろうな、ってのも思った。

 60年代ってこういうのだろうな。まだロック的なのが全面に出てこないで音楽を演奏する、色々なアプローチで演奏する、みたいなのが中心でさ。60年代終盤になってくるとガツンとしての出てくるけどさ、多くはその変化に気づかないでこういった作風のバンドだったワケだ。やっぱりそれを思うとジミヘンやクリームってのは強烈だったんだなぁとシミジミ。そして途中、ケン・ヘンズレー独特のあのヒープで見せたサウンドがモロに出てくるので、コイツは面白い。あのコーラスに独島のドライブ感、そしてハイトーンと抑揚感に包まれたメロディ、素晴らしい。

Gordon Giltrap - The Peacock Party 1979

THE PEACOCK PARTY: REMASTERED AND EXPANDED EDITION  まだまだ聴いたことのないアルバムだったりアーティストだったりってのはもちろんたくさんある。何かをきっかけにして聴いてみれば面白い発見もあるんだろうし、自分に似合う音ってのも見つかるだろう。それにしてもあまりにも過剰に溢れているからそれを見つけ出すのが大変だし、自分でも思ってない所で好みの音があったりすることもあるからね、なかなか大変です。無理して探し出すほどでもないけど、見つけると嬉しいし、止められない趣味のひとつだ。

 1979年にリリースされたGordon Giltrapの作品「The Peacock Party」。そういえば昔何かの本でジャケット見たことあったけどとても探し出せないままで、ほったらかされていたアルバムだ。こういうのもその時聴いてみたいって思っても手に入らなくて、でも、その時に聞きたいって思ったんだからそれなりに自分に似合う音だったんじゃないか、って確率が高い、はず。まぁ、全部が全部好みじゃないにしてもどんなんだろ?ってのと何となく想像している音ってのもあるし、期待して聴くワケです。うん、何ともフュージョン的と言えばそうだし、プログレ的アプローチと言えばそうだし、やっぱりアコギ系と言えばそうだ。メンツにはそれなりの猛者が何人も揃っていて一大イベント的なアルバムに仕上がっているけどGordon Giltrap自身はフォーク上がりの人だし、それでいてこんだけのファンタジックなインスト作品が綺羅びやかに書けるってのは凄いよね。キラキラしたサウンドがまんべんなく散りばめられた作品で、どこからどう斬っても英国的な気品に満ち溢れている。

 Gryphonのリチャード・ハーベイがリコーダーなんかで参加しているのもあるのか、実にGryphon的な音でもあるし、牧歌的な古楽的な雰囲気をも持った作品で、バイオリンにはリック・サンダース、ベースにジョン・ガスタフソン…、何か凄いな、この個性派の集団って。それでいてこの音とは英国は深い。ジェネシス的と言われていたので見つけて来たんだけど、そんなにジェネシス的とは思わないけど、まぁ、ギター中心に聴けばそうかも。ハケットってあんまり好みじゃないからこっちの方がいいか。それにしてもインストでこんだけ聴かせられるのもなかなかないんじゃ?

Gracious - Gracious! 1970

 ヴァーティゴのロゴマークって面白いよね。日本語では「めまい」って意味なんだけど、レーベルロゴそのものがしっかりと主張してるもんな。で、あちこちのカタログや本で眺めているヴァーティゴレーベルのジャケット写真は燦然とこのロゴマークがジャケットの四つ角のどこかでしっかりと主張していて、ジャケットの一部にもなっているかのような印象を持つ。だから再発でレーベルロゴがなかったり、違うレーベルロゴが入っていたりすると結構違和感あるんだよ。このブログに出てくるジャケ写の中ではちょっと前にやったWarhorseがなんかおかしいな、と思ってたら左上のロゴマークがなくってさ、それで違和感あったのかぁ、なんて思った。

 で、今日書くグレイシャスってバンドのファーストアルバムなんだけど、このアルバムこそ左上にレーベルロゴがないとジャケットとしてのバランスが崩れるだろう、ってくらいにレーベルロゴをジャケットの一部にしてしまっているデザインセンスは見事なもの。再発盤ではレーベルロゴがないものもあったみたいで、ネットであれこれ見てたらやっぱり不思議な感じだった。でもね、やっぱあのロゴマークは重要だね。

 さてアルバム自体は1970年にリリースされていて、彼等のデビュー作。この後もう一枚リリースするもののもちろんそのままフェイドアウトしていったんだけど…、いやぁ、惜しいんだよこの才能は。クレシダと共にB級のレッテルがある意味似合わないバンドで、しかし徹底してB級でもあるという素晴らしきバンド。もちろん演奏能力も高く、楽曲もレベルが高いのだ。そしてヴァーティゴらしく重くてヘン(笑)。いや、基本的にはオルガンが入ってて、もちろんメロトロンとかハープシコードとかも綺麗に鳴っているんだけど、いかにもプログレって感じではある。でもねぇ、多分そんなの意識してないでああしたら面白いだろう、みたいな感じで作られていると思うんだよな。そんなのがさB面の大作一曲の中に散りばめられていて…、だってビートルズの「Hey Jude」とか「エリーゼのために」とかの旋律が一瞬入ってくるとかさ、英国人らしいユーモアだよな。うん、全体的にバンドとしては当時珍しかったであろう、クラッシック畑の影響が大きくて、ブルースやジャズロック〜なんてのばっかりのこの頃、しっかりとした楽曲に仕上がっているのはそのためかなと思う。ただ、クラッシックの影響が2割程度であとは自由なロックっというバランスがこのバンドの煌びやかさだろう。それでいて実はコーラスワークが見事でさ、上手いんだよな。そ〜んな作品で個人的にはヴァーティゴっつうとこのバンドのジャケが一番インパクトあるかも(笑)。

 …で、まぁ、驚くことに1996年に一度一度再結成してアルバム出してるのな。知らなかったけど。「Echo」っつうのをリリースしていて、メインメンバーの三人は参加しているらしい。レビューを読む限り無機質なサウンドってことらしいけど、どうなんだろ?まぁ、面白いなぁ、そういうのもさ。ちなみにこのファーストとセカンドが2in1になったCDも音だけならお得だね。それこそロゴなしだけど(笑)。

Gracious! - This is … Gracious! 1971

ディス・イズ・・・グレイシャス!(紙ジャケット仕様)  「G」のあたりを漁ってたらちょうどコイツが見えて、久々じゃないですか〜てなばかりに聴いていた。そういえば、と思ってこのブログ見てみるとファーストの「Gracious」は書いてるけど、セカンドの「This is … Gracious!」は書いていなかったんで、そうか…と。さすがにこんだけ記事書いてると何があるのか何となくしか記憶が無いからなぁ…。たまにダブってるのはあるが、書いてないってのも発見するのが難しくてですね、なかなか深い森になってきたもんだと実感(笑)。

 Gracious!の1971年リリースのセカンド・アルバム「This is … Gracious!」。簡単にセカンド・アルバムと書いてはいるけど、ファーストの「Gracious」はヴァーティゴからのジャケットも含めた名作で、衝撃的な内容だったんだけど、このセカンドは1971年リリースとは言え、フィリップスからのリリースになっている。録音してからリリースされるまでの合間でヴァーティゴとモメたらしく、急遽離脱になったのかな?ソースはあったから親会社のフィリップスからリリースされたとか。ちなみにここでの最初の大作「Super Nova」は1970年のワイト島フェスティバルで演奏されているから、ちょうどその頃には録音していたかそのくらいの時期だったんだろうか、あのカッコ良さがワイト島で再現されているのには驚いた。昔だったらそんなの絶対目にすることなかったのに、今の時代だからこそYouTubeでサラッと見れてしまうという奇跡。これがGracious!なんだ…とたんなるヒョロヒョロの若者達を見て思うわけだが、あのジャケットの連中なんだもんな…5人編成でサウスポーのギタリストですか…とか色々見ると分かることが多くて楽しめる。

 さて、このセカンド・アルバム「This is … Gracious!」はファーストの「Gracious」に比べても名盤、プログレッシブなハードロックと牧歌的な英国風味をしっかりと持っている正しく英国B級的ロックの最高峰。決してB級に徹しているワケじゃないけど今となってはそんな位置付け、それでもこの世界に入ってくると最初に出会うバンドなので最高峰なワケだが、ハードなスタイルにメロトロンが被さり、英国の田園風景を思わせる牧歌的な展開があり、なかなかに味わいのある歌が入る、曲展開も当然想像の斜め上を行く素晴らしき構想で、時代の産物として言えないその発想は相変わらず魅了して止まない美しき展開。A面のメドレーは最後まで聴いてとことんその美しさをドラマティックに味わえる傑作。もちろん以降の作品もその魅力から離れることなく新しい展開に挑戦している姿をも聴ける。なんとも美しき短命バンド、こういうのがあるから英国のこのヘンは止められないんですねぇ…。

Graham Bond - Holy Magick (1970)

ホーリー・マジック(紙ジャケット仕様)  そうかそうか黒魔術的思想を取り入れたバンドか…ってもそんなの70年代初頭くらいまでしか存在してないんだからなかなか多数はいないよな…ってことで、ロックの世界では代表的なのがGraham Bondさんだろうなぁ。悪魔に身を捧げますっていうメモまで残して地下鉄に飛び込んでしまった…ってお話だし。まぁ、それがホントかどうかはともかく、そんな憶測が世界に広がるくらいまでには黒魔術に傾倒していた人ってことです。60年代初期から鍵盤奏者として活躍していて、ジャック・ブルースやジンジャー・ベイカー、ジョン・マクラフリンやディク・ヘクストール・スミスなどなど英国のジャズ・ロック系ミュージシャンを配下に従えて自身のバンドでフリーな世界を確立した第一人者でもあった。アルバム「Sound Of '65」はその時代の雰囲気が見事につめ込まれている重い名盤。ハモンドが重いんだろうなぁ…これ。

 さて、そのグラハム・ボンド…、グレアム・ボンドっつう読み方もあるらしいがこれもまた25年くらいその読み方なのでグラハム・ボンドです、自分では(笑)。が1970年にリリースしたその名も「Holy Magick」というアルバム。「Magick」の末尾の「k」が付くスペルを使ってる時点でわかる人にはわかるし、アルバムジャケットはストーンヘンジに自らを捧げる信者だし、その手のシンボルを知っている人にはメッセージとしてはかなり通じるワケで、まぁ、それがセールスに繋がるとは到底思えないのだが、グラハム・ボンドの場合は売りとして黒魔術を用いたのではなくって本気で信者だったワケだからこうしたメッセージがチープなものに見えないのだな。ちょっと怪しい…って感じでそれがまた本物っぽい。

 逸話ばかりの話題になってしまっているが、そもそも技量のあるミュージシャンでハモンドを扱わせたらヘヴィなロックプレイをこなしてくれる人なワケでしてね、それはもう「Sound Of '65」の頃もそうだし、本作「Holy Magick」でも重々しく鳴らしてくれてます。ジャズ・ロック…って言うかハモンドロック、そこにフリーなプレイが各楽器で絡んできて何か怪しげな雰囲気のエッセンスが振りかけられている長い長い作品。ず〜っと聴いてると何かにハマった気がするくらいの諸悪さは持っているのが興味深い。まぁ、レコード聴いたくらいで黒魔術できるわけじゃないから恐れることはないんだけど、なんかね、取っ付きにくいのは当たり前、か。普通にハードでサイケで重いオルガンロックで、音だけの評価だったらちょっとキツイだろうなぁ…と。

Gravy Train - Gravy Train 1971

Gravy Train 様々な音楽の融合こそがロックの醍醐味でもあり、古くから多くの人達がそれを模倣して新たなるサウンドを創り上げてきている。そして不景気だった英国の若者達はこぞって音楽=ロックバンドで飯を食うということに気づき初めて、それはもちろんアートスクールの先輩方の活躍によるトコロも大きかったのだろうが皆が皆楽器を手に取ってラジオでは流れてこない音楽を自らが創り上げてやろう、みたいな血気盛んなシーンの状況があったようだ。それが一気に爆発してきたのが1970年頃、サイケデリックムーブメントもそこそこにブルースとハードロックの融合、そしてそこに更なるサウンドを加えていくことで独自性を打ち出すバンドが多くなってきた。

 Gravy Trainと名乗る4人組のバンドもその一角を担っており、またその融合性のセンスはなかなかのものだと今でも語り継がれているバンドのひとつ。彼等はブルースロックというひとつのカテゴリにフルートやサックスと言った管楽器を加え、音楽的にも唐突な変拍子をノリの良いままに強引に挟み込むという、結局はそれが面白い効果と思い切りアングラな作風を生み出すこととなってひとつのバンドの方向性を打ち出したか、に見えた…のはセカンドあたりまでかな(笑)。いや、やっぱりパッと出てきたバンドが継続するとあまりロクなことにならないという典型でもあるのだが、ファースト一作で終わっていたらかなりインパクトのある無名バンドになっていただろうに、ロジャー・ディーンを起用したジャケットで有名な4枚目の作品があまりにもジャケの素晴らしさと中身のギャップが大きかったためか、リスナーをがっかりさせてしまうバンドのひとつにも数えられる(笑)。

 いや、ファーストは凄く面白いんだよ。1971年リリース、ジャケットはこう見えても実はヒプノシス。言われてみるとなるほどちょっと構図がヘンでしょ。ドラムはドコスコって感じなのにフルートの音色が響き渡るのでえらく繊細に聞こえてしまう曲が多く、そこにドロドロのブルースギターが絡んでくるもんだから不思議な不思議な音になる。しかも歌もねちっこくてしゃがれた声なので泥臭さのないフルートの音色が更に浮き立つ、そんな感じ。曲はもう無理矢理変拍子っぽくしてるのとかね、あるけど基本はブルースロック、だと思う。テクはそこそこあるのでジャジーな感じがしたりするけど、3曲目あたり聴いてるとこのバンドの真髄かなっていう気がするくらいにヘヴィーなブルースだしさ。そうだね、長めの曲が多いんだけどプログレらしい起承転結っていうのではなくてアップダウンっていう感じの組み立てなので、やっぱ力技での曲展開。B面なんてそんなので2曲なんだから大したもんだ…。このバンド、間違いなく男のファンしかいなかったんじゃないかと思うような泥臭さと汗臭さが漂う英国にしては珍しい感じのバンド。その分セカンドではややアメリカスワンプ寄りになった感じもするかな。

Gravy Train - A Ballad Of A Peaceful 1971

A Ballad Of A Peaceful 70年代の英国ロックバンドでは何枚もアルバムを出すようなバンドはそんなに多くはなくって…いや、そういうメジャーなバンドも多数あったんだけど、その地下ではアルバム一枚で終わりとかそういうのばっかりでね、そんな有象無象の中でアルバムを数枚出せる、出していたってバンドってのはやっぱりそれなりに見所があったんだろうと。ただ、アルバム一発だけど凄かったってバンドも多いからどっちがどうってもんでもないけどさ、本来の意味での才能が無い連中がアルバム数枚出すってのはそもそもバンドの方向性とかアルバムごとのカラーとか進化とか出来ないわけで、それが出来る連中は残っていくし…みたいな構図があったり。

 Gravy Trainのセカンド・アルバム「A Ballad Of A Peaceful」は1971年にリリースされていて、ファーストアルバム「Gravy Train」がややハードロック寄りだったんで、そんな印象を持ちながら聴いたんだが、その実恐ろしいまでに音楽性が進化していて、こんなバンドだっけ?ってくらいに不思議に思った記憶がある。前はその変化が好きじゃなくてあまりターンテーブルに乗らないアルバムではあったかなぁ…。この後のロジャー・ディーンのジャケットのはもっとがっかりした記憶もあるが…。そんな懐かしい記憶を思い起こしながら再度取り出して聴いてみたのが本日のお題。

 いや〜、ハードロックとかどっちでも良くってさ、こんなに素晴らしい音だったっけ?自分の耳も大したことなかったな〜と過去の自分を恥ずかしく思うよね。何とも素敵なバランスで攻め立ててくれるじゃないですか、「A Ballad Of A Peaceful」は。どのバンドに似ているとかああだこうだ、っていう音じゃなくて英国らしくて気品のあるサウンド、もちろんロックですよ。コーラスワークもフルートもギターも鍵盤も見事に、そして楽曲のアンサンブルも音色も歌の雰囲気もどこを斬っても素晴らしい傑作のタイトル曲「A Ballad Of A Peaceful」が圧巻。クイーン以前にクイーンらしいセンスが抜群に光り輝いている意味でもセンスが買われる所だろうし、いや、この頃ってコーラスワークを前面に出したバンドって割といたんだよね。Capability BrownとかUriah Heepなんかもそうか。う〜ん、こんなアルバムだったっけ?いいなぁ。今なら無茶苦茶好みの音だわ…。

Gravy Train - Staircase to the Day 1974

Staircase to the Day  摩訶不思議なサウンドを生み出して他のバンドとの差別を図り、しかも何者のコピーでもないというスタイルを探求していったのが初期70年代の英国のバンドの数々。そこにレーベルも何が売れるか分からないからとにかく何でもレコードにしてレーベル作って特性を出してどんどんとアルバムをリリースしたり、プッシュしたりして幅を広げていった。その恩恵で超無名のバンドでも何かしらの個性があれば世間に知らしめることも出来た時代だったのかもしれない。しかも後年になってマニア連中がこういうのの少しでも面白いトコロを個性化してカリスマ扱いしていったので、その価値も合ったってもんだ。そんな中でアルバム4枚もリリースした才能のあったバンドなんて大して多くなかったけど、このGRAVY TRAINはその内のひとつ。

 Gravy Train、1974年リリースの4枚目の作品「Staircase to the Day」は以前のヴァーティゴから離脱してドーンレーベルからの発売となった。そこではこれまでの混沌とした作風とはやや発展してもっと洗練された音になろうとしたのだろうと思うが、結果的に出てきた音は更に混沌として、それこそ他にはまるで聴かれないような組み合わせとアレンジによる楽曲ばかりが録音されていて、一体これはどういうバンドなんだ?って奇抜さが売りになってしまったか。しかも厄介なのはアルバムジャケットがこれまでヒプノシスあたりで目立っていた所に今度はロジャー・ディーンの半魚人?なジャケットになってアート的にも目立っているって事だ。それによってより一層このアルバムは知られていく事になる。

 さて、肝心の音の方は…、もうね、あり得ない組み合わせでさ、冒頭からスペイシーな鍵盤とアコギが組み合わさってて、カウベルバックで時々ギターリフやクラビネットリフが重なり、一体どこがサビなんだ?っていう歌もあり、ちょいと暑苦しい感のあるボーカルが迫ってくる、これがまたカッコ良い(笑)。白熱してるんだよね、全体的に。だからハードロックの部類でもあるんだけど、歪んだギターのハードロックってんじゃなくてハードにロックしようとしているロック、それも何かと熱く、という感じで魂のハードさが全面に出ているというのか、バンドとしての熱さはよく分かる名盤。いや、ほとんど評価されてないんだけど、かなりの名盤だと思う。フルートも相変わらず牧歌的に醸し出しつつもハードに展開するバンドの音などあり、こんなの聴いたことない、ってのが次から次へと繰り出されてくるので頼もしい。ホント、何がしたかったんだろうか?でも、これこそGravy Trainの混沌サウンドだ、とも言えるのだろう、愛すべきアルバム。

Graeme Edge Band - Kick off Your Muddy Boots (1975)

Kick off Your Muddy Boots ガーヴィッツ兄弟の偉業…とまでは言わないが、英国ロックシーンに於いてガーヴィッツ兄弟の果たした役割と言うか出してきた作品群の面白さは傑出している、というくらいに自分では評価していると言うか好きなんですよね。ただ、コピーしてギターを弾くとかエイドリアン・ガーヴィッツのギターフレーズを研究したり手癖を研究するってのまでには至らないので単に聴いてて好きな人たちなんです。多分音の個性が好きなんだろう。そんなガーヴィッツ兄弟がThree Man Armyの解体後すぐに次の仕事にとりかかる。多分本来は単なるセッションの意味合いが強かったのではないだろうかと思うのだが、グレアム・エッジのソロアルバム製作支援、だ。

 1975年にリリースされた「Kick off Your Muddy Boots」はガーヴィッツ兄弟とジンジャー・ベイカーが参加している…そうBaker Gurvitz Armyの面々がバックを務めているワケで、そこにミック・ギャラガーという鍵盤奏者が加わってムーディ・ブルースのグレアム・エッジが率いているという構図だ。Baker Gurvitz Armyの方は1974年にアルバムリリースしているので、多分同時期に仕事が進行していたんじゃないかと思うのだが、一方ではジンジャー・ベイカーと、一方ではグレアム・エッジと、と言う仕事の幅とメジャーアーティストからの信頼感が見事で、実力の高さを物語っているだろう。Baker Gurvitz Armyの話は後ほどとして、このグレアム・エッジのソロ作、否、The Gream Edge Bandというバンド名義になってしまった最初のアルバム「Kick off Your Muddy Boots」は正にバンド名義にして然るべき楽曲群とガーヴィッツ兄弟の才能が開花しているし、そこに確かにガーヴィッツ兄弟やジンジャー・ベイカーでは出せないクラシカルな旋律=ムーディ・ブルースの雰囲気を加えたグレアム・エッジによるバンドであるのは確かだ。もちろん後にクラッシュに参加することになるミック・ギャラガーの才能も加わっているだろうが、多分アルバム取りまとめはグレアム・エッジだろうからそんな雰囲気。ジンジャー・ベイカーもドラムで参加してます、最もゲスト扱いであはあるけど。

 何といっても「Kick off Your Muddy Boots」で驚くのはさすがメジャーシーンのアーティストと組んだ音ってのはこうだよなと思うくらいに洗練されている独自の世界観だと言うこと。ガーヴィッツ兄弟のドタバタ感がまるでなくなり、見事に音とバンドに昇華されて融合して、本意ではなかったかもしれないが、ひとりのプレイヤーとして才能を発揮する事になった作品だ。多分この後のエイドリアン・ガーヴィッツのAORへの接近を考えれば、ここでひとつのハードルを超えて新たな世界が開けたに違いない。それでもジンジャー・ベイカーと昔ながらのスタイルのバンドを続けていくというのはかなり考えただろうなぁ…と思いを馳せるね。そんな人間的感覚はともかく、この「Kick off Your Muddy Boots」はかなりの名盤、メジャーグラウンドでの名盤です。エイドリアン・ガーヴィッツのギターが独特のものから更に飛躍して泣きのメロディをメロディアスに奏でるソロへと変わっていて、ピアノやオーケストラと絡んで何倍にも美しさが増している。この辺の繊細さってのがトリオハードロックバンドでは出せない味だったワケで。コーラスワークを駆使したり、隠し味のピアノが聴いていて聴きやすくなってるとか、予想しないオーケストラが出てくるとかかなりカラフルで飽きずに楽しめる一枚。だんだんガーヴィッツ兄弟ってのを忘れてくるくらいに作品完成度が高いのだが、面白いのはそれらの曲そのものを作っているのはエイドリアン・ガーヴィッツだったりするので、自分の作品がこんな風になるのか、という驚きもあっただろうな。

 ちょっとだけ歴史的な話すると…、いくつかの曲、例えば「The Tunnel」なんてのとかでは明らかに後のAORに向かう曲のアレンジが聴かれていて、全然本人はギターをどうやって入れていこうか、みたいな雰囲気を感じるんだけど、それよりもこういうビートと雰囲気に圧倒されているようで、曲が本人を超えてしまっている。そこでエイドリアン・ガーヴィッツはAORへの接近を面白いと感じたんじゃないかな。そして栄光のサクセスロードを一瞬だけ登っていくような…。

The Greatest Show On Earth - Horizons 1970

 独自性の強い音楽を発揮していた時代に誰もが皆バンドを組み、才能にかかわらずやりたいことをやり通す、そしてレーベル側も何でも市場にバラ蒔いていく、そういう図式だったことは以前にも書いたことがあるが、やっぱり面白いものだ。一巡りしてまたここに戻ってきてしまうのだから英国のロックは奥深い。いや、別に繋がりなく戻ってきてるんだが(笑)。

 The Greatest Show On Earthという大層な名を持つバンドがある。レーベルはあのハーベストからリリースされていて、ジャケットはヒプノシスの強烈なインパクトを放つ目玉ジャケ。時代は1970年、全く売れてもおかしくないシチュエーションだったがアルバム二枚で消え去った。しかし残されたアルバムの輝きは以降のバンドにはなかなか出せない代物だったことはこのバンドにも当てはまるものだ。アルバム「Horizons」の出来映えがとにかく素晴らしい。最初から鍵盤中心の音を静かに聴かせてくれるが歪んだギターや管楽器、エフェクト音からドタバタドラムス、安定したベースに加えて湿っぽい歌声と英国的情緒を味わうにはたっぷりのエッセンスを保有しているバンドと言える。曲調も当然一辺倒のハズがなくメロディアスにムーディに、そして激しく展開していくアイディア満載のかなりハイクォリティのアルバムだ。

 ジャケットのインパクトはさすがにヒプノシスと思えるもので、これはやっぱりアナログで飾っておきたいけど、アナログって見たことない。幾らくらいするんだろう?ハーベストだからそんなに高くないとは思うけど結構探すのは大変じゃないかな。CDでは何回かリリースされていてデジタルリマスターまでされているみたいなのでそこそこメジャーな扱いなのだろう。手に入るウチに一度聴いておくにはオススメのバンドのひとつだね。

Greenslade - Greenslade 1973

Greenslade: Expanded & Remastered 2cd Edition  真のプログレッシブバンドとしての称号を受けても恐らく多くのリスナーは文句を言わないであろう英国ロック史で最も進化的なサウンドを出していたグリーンスレイド。いわゆるスーパーバンド的合体によるバンド結成がよく言われていて、サムライっつうバンドに在籍していたデイヴ・ローソンとコロシアムにいたデイヴ・グリーンスレイド、トニー・リーヴスにクリムゾンの「Lizard」でドラムを叩いていたアンディ・マッカロックが加入した純英国的ロックバンドで、バンド編成はドラム、ベースに鍵盤二人という組み合わせなのでギタリストである自分には聞くべき点がなく、ソレが故に純粋にリスナーとして音楽としてこのバンドをじっくりと聴くワケだ。

 アルバムリリースは1973年、ファーストアルバム「Greenslade」でデビューしたんだけど、このファーストアルバムが最高に素晴らしい。キャッチーでポップなフレーズをいくつか持っていて、オルガンで派手に鳴らしておきながら曲中ではメロトロン主体とした落ち着いた感のある曲構成が彼等の持ち味で、そこにアンディ・マッカロックの軽くてジャジーなロールチックなドラムが絡むのでもの凄く心地良いのである。後のアルバムになればなるほど鍵盤奏者二人のエゴが強くなってきて、合作という手法から離れていくのだけど、このファーストアルバムはやはり全員が一緒になって参加しているし、そういう面でしっかりとバンドらしさを放っている。この傾向は翌年発表のセカンドアルバム「Bedside Manners Are Extra」までは引き継がれているのでこのセカンドアルバムとも甲乙付けがたいんだけどね、どっちも良いよ。

 もうひとつこのバンドの良いところは当然ながらジャケット。ロジャー・ディーンによるグリーンを基調としたアートワークで彩られていて、これは後のセカンドアルバム「Bedside Manners Are Extra」4枚目「Time And Tide」でも反映されていて、しっかりとバンドのイメージ作りにも持ち込まれている。三枚目「Spyglass Guest」にはロジャー・ディーンが採用されていないのでがらりと印象を変えようとしたのだろうか、それとも1974年にセカンド、サードと立て続けにリリースされたことも影響があるのかもしれない。

 英国ロック好きの中ではかなり人気の高いバンドとして定着しているが、そのあおりからか2001年頃から再結成してライブを行っていたり、当時のライブ盤をリリースしたりとちょこちょこと騒がしい状況を作り出している。こういう傾向って良い…んだろうかねぇ。

Greenslade - Bedside Manners Are Extra 1974

Bedside Manners Are Extra: Expanded & Remastered Cd/Dvd Edition  デイヴ・ローソンが完全な主役というワケじゃないけど、歌というパートを担っていた以上役柄的には主役を担っていたバンド、そして彼の名をメジャーにしたバンド、そして英国プログレ界での実力派バンドとしても名高く、更にデイヴ・ローソンのポップセンスも花開いたか、最強のギターレスバンド且つツインキーボードという形態を上手く使い倒しているグリーンスレイド。こちらも久しぶりに聴いたけどやっぱり好きだなぁ、このバンド♪

 1974年リリースのセカンドアルバム「ベッドサイド・マナーズ・アー・エクストラ」。彼等のスタジオ作品は4枚しかリリースされていないがその中でも最高傑作と呼ばれることの多い作品。個人的にはファースト「グリーンスレイド」と甲乙付けがたい出来映えの作品なので聴く時はどうしてもこの辺のどちらかになっちゃう(笑)。それにしてもカラフルでスリリングでドライブしてるバンドだなぁ。アンディ・マッカロックのドラムもかなり特徴的でクリムゾンのドラムってのが一番合わなかったんじゃないかって思うくらいにこのバンドでのドラミングはバッチリとバンドに合っているし、それはデイヴ・ローソンにしてもグリーンスレイドにしてもトニー・リーヴスにしてもそうだろう。アルバムはそのトニー・リーヴスの奏でる何ともグルーヴ感のあるベースラインから始まるが、これがまたグイグイと来てねぇ、聴く者を惹き付けるんだよ。そこにプログレッシブな展開が十分に予想される歌とかメロトロンとかムーグとか…、ツインキーボードが上手く絡み合って二つの楽器が見事なアンサンブルってのも素晴らしいのだが、そこに歌メロがこれまたポップに被さってくるんだよ。アルバム的には半分くらいしか歌の入った曲ってのがないんだけど、その半分の歌が面白い。3曲目の「Time To Dream」なんて歌謡曲かと思うくらいのメロディセンスで凄いグルーブ感だしね。この辺は二人のパートナーシップがしっかりと出ていた頃の作品で傑作と呼ばれるに相応しいな。

 ジャケットにしてももちろんロジャー・ディーンの傑作シリーズのひとつでもあるパターンで見事にバンドの音を表しているもので、このバンドの特徴でもある突き刺さるような音がない=ギターがないっていうのがね、こんなに刺激的なジャケットのくせにしっかりと表現されているんだよ。だってこのジャケットの怪物くん、怖いけど悪いことしなそうに見えるでしょ(笑)?まぁそれは冗談だけど、音とジャケと引っくるめて芸術的で好きだね♪

Greenslade - Spyglass Guest 1974

SPYGLASS GUEST (EXPANDED & REMASTERED 2CD EDITION)  ある種70年代のロックバンドってのは歪んだギターありきというもので、それこそが王道とも思われたが、EL&Pの成功を機にギターレスによるロックの在り方というものも模索され続けてきた。もちろんEL&Pが最初というワケでもなくって、先のマンフレッド・マン・チャプター・スリーにしたってギターレスによるロックを確立していたし、エマーソンで言えばナイスだってそうだろうし、アトミック・ルースターだってそうだ。個人的に言えばギターの入っていないロックなんて…ってのは昔はあったけど、こんだけ色々なアルバムを聴いてしまうと、それがどうした?って気分になるから面白い。十分のハードロックを醸し出しているんだよね、皆さん。それこそが醍醐味だったんだろうが。

 さて、マンフレッド・マン・チャプター・スリーの項でギターレスによるロックバンド、そしてドラムにはアンディ・マッカロックが座っていたってトコロで、自分的には割と好みなアンディ・マッカロックの来歴でも面白いのでは?なんて思って、本日はグリーンスレイドです。凄く好きなバンドで、それこそギターレスなんだけど煌びやかでファーストからず~っと好きなんだよね。んで、アンディ・マッカロックさんのドラムだし、曲は軽快でキラキラしているし、いい流れじゃないですか…ってなことでグリーンスレイド♪

 ファースト「Greenslade」セカンド「Bedside Manners Are Extra」は既に本ブログにてレビュー済みなので続いての1974年リリースの三枚目「Spyglass Guest」です。生憎ギターレスバンドなんだけどこの「Spyglass Guest」ではゲスト陣としてクレム・クリムソンを迎えているんだが…、ついでにバイオリンにはグレアム・スミスを迎えているので、一気にコロシアムからハンブル・パイ、VDGGからストリング・ドリブン・シングなどなどへ繋がってしまう…、しかもグリーンスレイド人脈で言えば当然デイブ・グリーンススレイドの経由してきたバンド群とデイブ・ローソンの経由してきたバンド群など併せてたらキリがないくらいのファミリーツリーが出来上がります(笑)。クリムゾンの「リザード」に参加していたアンディ・マッカロックの経歴も踏まえたらそれこそとんでもないツリーだろうね。言い換えればグリーンスレイドというバンドはそれだけの度量を持ったバンドだった、ということだね。

 さて、その三枚目「Spyglass Guest」ではそれまでのロジャー・ディーンによるアートワークから一転してキーフのデザインに変更されている。残っているのはロゴのみ、ってことでジャケットからは中味が想像付かないのだが、まぁ、三枚目だから良いのか。しかしバンド内部ではグリーンスレイドとローソンが対立していたようで、楽曲クレジットもそれぞれ完全に分かれていて、演奏にも参加していないと言う始末。おかげでバラエティに富んだ作品となったのでこれまでとは一線を画したカラフルな作品に仕上がっています。個人的にはやっぱりグリーンスレイドの音色とフレーズセンスが好きだなぁ…。何かねぇ…、明るくときめいてくるような感触が味わえるんだよね。躍動感というのか高揚感が沸いてきてドキドキするっていう感覚。これはファースト「Greenslade」の最初からずっと味わえる楽しみ。ローソンのはちょっとマイナー的というか落ち着いた感覚で、英国らしい~って感じかな。この「Spyglass Guest」ではクレム・クリムソンのギターも入っているけどそんなに目立つ程でもなくって曲に合わせた程度でのプレイだからまぁ、味付けとしては成功でしょ。同じくグレアム・スミスのバイオリンはちょっと目立つが、違和感なく音に馴染んでいる。よほどグリーンスレイドというバンドのツインキーボードだけにこだわったファンでなければカラフルさが増した程度に聞こえるのではないかな。

 大作が減ってる。長くてもデイブ・グリーンススレイドの曲で8分半程度だから、コンパクトな仕上がりだけど聴きやすく、且つ個性を出しまくっているような印象。最後の「Theme For An Imaginary Western」はマウンテンで有名になり、コロシアムの「Daughter of Time」でもカバーしていた曲のようだ。このバンドで演奏されるには違和感のある曲だけど、さすがに好きなんだろうって言う感じがよくわかる…、そりゃ半分以上がコロシアム人脈になってるからな…。

 アルバムとしてはそんな案配だけど突出してグリーンスレイド作品が良いなぁ…。最後から二曲目なんて圧倒的にプログレッシブバンドの姿を打ち出して自由にそしてテンション高くプレイを楽しんでいる様子がわかるもん。トニー・リーブスのベースも走りまくっていてかっちょよい。凄いロックバンド的…と言うか、グリーンスレイドってこういうバンドだよな、って確認できるくらい最高の楽曲。うん、やっぱグリーンスレイドは面白いわぁ~♪

Greenslade - Time And Tide 1975

TIME AND TIDE - タイム・アンド・タイド  70年代初期に出てきた英国の何でもあり的なバンド群の中では相当の実力派メンバーが一同に介して、しかも継続的にアルバムをリリースしてライブも行っていたという、後から思えば結構奇跡的ですらあるバンドのひとつがGreensladeではないかと。1973年から75年の間に4枚もの高品質なオリジナルアルバムをリリースしてくれて、しかも英国ロック史に残るくらいに面白い音ってのが良い。っても、結構Greensladeは好きなバンドなので1stから3rdまで既に書いているんだよな、ウチのブログ。アルバムリリース順に書いてたからようやく4枚目にたどり着きました。

 「TIME AND TIDE」1975年リリースのオリジナルアルバムとしては最後の作品になっちゃったのが残念。トニー・リーブスっつうベーシストが抜けてしまったことで、かなり軽めのファンキーさすら入った音に仕上がったんじゃないかなっつう感じ。結構キラキラしたアルバムで、このメンバー変更ってそんなに悪くなかったのではないかと思わせるアルバムの出来映えでしょ。Greenslade独特の緑色の怪人ジャケットも復活しているのでイメージとしてもバンドのカラーを損なうことなく音を充実させて訴えてくるものがある。その実、デイブ・ローソンとデイブ・グリーンスレイドの確執みたいなものがアルバムにも反映されているのか、どちらもソロに近い楽曲が入っている。バンド名義だけどバンドとしては演奏していないっつうさ、鍵盤奏者二人だから鍵盤だけでできてしまうものは一人づつ作ってアルバムに入れちゃうみたいなね。別にアルバムとして聴けばアクセントも増えるし曲も多彩になってくるし、バンドの音もあったりするのだから面白くないはずはない。ただ、案の定そういう最中から抜け出すことは出来ずにバンドは解散してしまったのが残念。潮時だったのか。

 その二人の作風に加えて新たなベーシスト兼ギタリストのマーティン・プライリーというミュージシャンが歌も歌っていたりして、かなりソウルフルっつうかデイブ・ローソンと相通じる歌を歌うっつうか、悪くないんだよな。バンドの幻想に負けなけりゃかなり面白いハズ。曲そのものは全体的には勢いあるのが減った。音楽的凝ってたりよく出来てるのはもちろんなんだが、やっぱりモチベーションなのかね、そういう勢いが欠けてるのはある。それでもこのカラフルさだからさすが。プログレっつうほどプログレじゃなくて鍵盤ハードロックバンドみたいな感じです。長い曲がある訳でもないのでね。自分的には1st 「グリーンスレイド」の次くらいによく聴いたアルバムですかね、「TIME AND TIDE」は。

Greenslade - Live in Stockholm-March 10th 1975

Live in Stockholm-March 10th 1975  やっぱ70年代のロックが好きだ。それは即ちギターを中心としたスター然としたロックヒーローの姿が眩しく見えるからにほかならないのが最初だけど、もちろん幅広いサウンドを聴いたりバンドを見たりしたけど本質はそこだ。ロックってのはカッコ良くなきゃいかん、ってのあるもんね。んで、いろいろ聞くけどさ、やっぱりカッコ良いって思って聴き続けるのはギターがカッコ良いのが多いワケ。まぁ、それこそロック的な所だしロックたらしめている部分だろうし…と。ところがこんだけいろいろなバンドがあると皆チャレンジするからギターレスのバンドってのもあったりギターが中心でないバンドも勿論多い。音を聴いていたりすればそれもカッコ良いな、ってのも多いけどやっぱりどこか物足りなくなっちゃう。まぁ、いわゆる「ガツン」がないんだよね。だから結局ギターにその「ガツン」を求めるとか…。

 そんな自分の好みの中でいつ聴いてもいいなぁ、カッコ良いな〜、ギターなんて全然出て来ないのに、ってバンドがGreensladeだ。自分的には鍵盤中心のバンドとしてならEL&Pよりも断然Greensladeでして、大抵の他のプログレバンドよりも全然聴くこともお多いし好みでもある。破壊力って点ではちょいと欠ける部分あるけど美しさやポップさ綺羅びやかさ、それでいて粗暴なロックさテクニカル面や2台の鍵盤による「ガツン」度、これが多分肝なんだろうな。2台の鍵盤がいるからこそ一台が普通に鍵盤の要素を醸しだしてもう一台はリード鍵盤を弾く、即ちギター部分に厚みを出して聴かせるという…、しかもグリーンスレイドもロウソンもテクニカル面でもセンス面でも同等の域にあるから何ら違和感はないし、その合間をマカロックの絶妙な小技の効いたドラミングが埋め尽くす…、見事だ。

 あ、聞いているアルバムは1975年のストックホルムでのライブの発掘音源「Live in Stockholm-March 10th 1975」ってヤツ。前にも違うタイトルで出てたり、アングラでも古くから発掘されていたラジオ音源なんだが、これねぇ、Greensladeとしては終焉に向かっていると言っても良い頃のライブで、既にトニー・リーブスは脱退してるし、熱気という面では多分全盛期程じゃないんだろうとは思うけど、それでもやっぱりGreensladeだ〜っていう音ばかりでゾクゾクしちゃうし。4枚目の「TIME AND TIDE」ってアルバムリリース前だけど結構プロモーション的にやってるショウらしいが、まぁ、後の時代に聴く分にはそんなのあんまり意識しないからなぁ…。リアルでラジオ聞いてたら、何だこれ、知らない曲ばかりだ…新作アルバムからかなぁ、楽しみだなぁ〜っていう感動があるんだろうが…。

 憂いさとポップさ、そして割と粗野にも聞こえるボーカルスタイル、ステレオ感たっぷりに宙を舞う2台の鍵盤、手数の多いドラミング、合間を縫うベースラインの派手さ、どこを斬っても非の打ち所がないくらいのスタジを作を見事にライブで演じ切っている発掘ライブ音源、いいねぇ、これ。

Groundhogs - Blues Obituary 1969

Blues Obituary  どうやらど真ん中のブルースってのよりも、やっぱりちょっと自分たち色に味付けしてあるロック=混ざりモノの方が圧倒的に好みであるってことをまざまざと実感してしまった本日のお題目。先日までのど真ん中英国ブルース=黒人ブルースの模倣よりも本日の英国ロックブルースな方がカッコ良い、って聞こえる自分でした。英国3大ブルースバンドの良さも分からずに何を言ってる、って向きもありますがね、人の好みはセオリーじゃ進みません(笑)。

 Groundhogsの1969年のセカンド・アルバム「Blues Obituary」。ジミヘンの洗礼を受けたトニー・マクフィーが自身のセンスを信じつつもひとつの方向性を見つけて進み始めた一枚とも言えるか。以降の作品はどれもこれもオリジナリティ豊かな個性的な作品が多いんだけど、この「Blues Obituary」でもそれは顕著に…ただ言われているように、サイケデリックな世界観を用いているのはその通りのようで、本人たちはそれをサイケとは思っていたかどうかはわからないけど不安定な楽曲の進行と言えるものが多く聴ける。そういう曲調はあるものの、根本的にトリオでの一発録音とも言えるかのようなシンプルな楽器の演奏による録音スタイルは生々しさを伝えてくれるのと、ギミック無しのバンドスタイルを打ち出してくれていて、好感が持てると言うか、これが実力だぜ、みたいなのが聴けるってか、それがまた不思議なギターセンスでね、ブルースに裏打ちされているのは明らかなんだけど、冷静に聞いてるとそうでもなく、独特のメロディセンスとギタープレイで、それが妙に引っ掛かる。何だろうな、ロリー・ギャラガーとはまた違う弾きまくりで、線の細いストラトの音でペキペキと弾くんだけどさ、面白いんだよ。多分ソロもバックも全部同じ銚子て一本で繋いで弾いちゃってるから境目もないし、曲も長いから一人舞台的に出来ちゃってるからかも。その分ベースとかドラムのドライブ感は凄くて、さすがはトリオバンドと唸っちゃうくらい。

 Groundhogsも昔から好きで割と聴いてたバンドだけど、これまたなかなかアルバム揃えられなくてねぇ…、初期なんて全然手に入らなかったから随分後になってから聴いたもん。その方が楽しめたのかもしれないけどもちょっと早く聴いておきたかったアルバムのひとつだね。今は普通に聞けちゃうから問題ないだろうし、このセンスの面白さを味わって欲しいなって思う。不思議なバンド。決してメジャー路線じゃないくせに聴いてるとどこかクセになる部分を持ってて、味わい深くなる人もいるだろうと。無理して聴くほどの価値はないだろうけど、普通にトリオ編成のロックバンドだからギミックはないし、ロックバンドですよ、うん。

Groundhogs - Thanks Christ For The Bomb 1970

 英国内では非常なる人気を誇りながらも世界レベルになるとトンと人気のないバンドというものが英国には結構存在する。The Whoなんかはアメリカには力入れてたけど日本なんて論外だったためストーンズやビートルズに比べて日本での扱いは結構低かった。Status Quoなんかも英国ではとんでもない人気を誇っていたことがあるにもかかわらず、それ以外の国に行くと割と普通のバンド以下の扱いだったりする。まぁ、別に世界レベルを意識していたワケでもないだろうからそれで当たり前、バンドが外に出ようとしなければ外では売れないワケで、当然の帰結ではあるのだが…。

 同じように日本では、またアメリカでも多分そうだと思うんだけどB級的扱いをされながらも実は英国内に於いてはかなりメジャーなバンドだよ、って云うのがグラウンドホッグスというバンド。トニー・マクフィーというギタリストが有名ということだが、その風貌を見ると何で?って思う(笑)。いや、ま、それは良いんだが…、何でもジョン・リー・フッカーが渡英した時にその前座をトニー・マクフィーのバンドが引き受けたことで、それくらい直系のブルースができる人なのだという証明になったとかならないとか…。そんなことで当然バンドの方も時代に合わせたブルースをルーツとしたロックで、モロにクリームと被る時代を過ごしたおかげで全く存在感が無かったように見えてしまったのだ。しかもやってることもかなり似たような手法だったので、余計に、だ。もちろんこちらはギターがひたすら引っ張るというオーソドックスなものではあったが。そう、このグラウンドホッグスもトリオ編成のバンドで最も完成度の高いアルバムは恐らく「Who Will Save the World?」という彼等の5作目だと云われているし実際に完成度がかなり高いものだと思う。…が、今回はやはり1970年という年にこだわりたかったので彼等の出世作となったと云われている「Thank Christ for the Bomb」をオススメしていこう。

 まず、だ。基本的にストラトを中心に弾くトリオバンドのため、音は軽くて細い。そして歌はブルージーではあるのだが、これもやはり軽い。アルバム全体的にエコーを強めにかけていることもあって何となく軽い透明感が漂うんだけど、テーマ的には「神様、バクダンをありがとう」という反戦的なテーマを歌っているようで、この頃の英国民からするとトニー・マクフィーがこのようなテーマを扱うということ自体が驚きだったらしい。よくわからんが。まぁ、そんなことで重くて暗くて激しいのかと思ったら全くそんなことなくって軽くて割と落ち着いた感じのあるサウンド。まぁ、でもテーマ的には重いかな。それはともかくギター的には…、いやぁ、凄いね。よく弾いてる。ホントに弾きまくりというくらいに弾いていて、軽いブギーが多いから弾きやすいんだろうな、ブルースだけにこだわらない幅の広さでギター弾いてる部分もあって、やっぱ上手いなぁ、と。基本的にハードロック要素にブルーステイストなんだけど、タイトル曲ではアコギ一本で歌い上げている。これが一番印象的かもしれないな。

 このバンド1968年デビューなんだが、今でもトニー・マクフィーの生涯バンドとして活動しているようだ。もっともアルバムなどはたまに出るくらいだけど、それでもいくつかあるもんな。新作も出てるしさ。日本に誰か呼んだら凄いよなぁ(笑)。その他1973年に発表した初のソロアルバム「Two Sides of Tony (T.S.) McPhee」もアコースティックとハードロックを使い分けた作品になっていて佳作と呼ばれることが多い。しかしこの顔で売れる?う〜ん…。

Groundhogs - Who Will Save The World? 1972

Who Will Save the World? ロックの派生図は実にユニークだ。いつ聴いてもその派生には驚くばかりなのだが、何故にそんなことを…と言うとですね、いや、ブルースロックと言えばB級路線の一歩手前にはGroundhogsというバンドがあって、トニー・マクフィーというユニークな人がいたワケですよ。そんで、割とブルースロックとプログレッシブロックの中間を行く〜みたいなことが書かれていて昔からちょくちょくと聴いていたので、ここらでちょっと聴いてみるか、と。

 1972年リリースのGroundhogsの中では最高傑作と呼ばれることの多い「Who Will Save the World?」という作品。アメリカンコミック風のジャケットがインパクトのある「Who Will Save the World?」だが、中味がこれまた白熱していて面白い。それまでのGroundhogsはアコースティックにも割と深い造詣を抱いていたバンドでもあったので、ある意味Zeppelin的な側面を持ったバンドなのだが、誰にもそんなことを言われることもなく、その才能を発揮しきれずにいたのではないかと…。いや、買いかぶりすぎか(笑)。多分ね、ボーカルの問題とトリオってことが問題だったんだろうとは思うけど、まぁいいや。

 「Who Will Save the World?」なんだが、最初からソリッドなトニー・マクフィーのストラトサウンドが切れ味よく流れてきて、洗練されたブルースロック的なハードロックが始まるが、やはりプログレッシヴな展開…と言うよりも3コードのブルースロックではないアレンジが施されたロックと言う方が良いのかな。疾走感も溢れているし、ギターも実に巧いのでそつなく音が流れてくる。決してB級に甘んじるような音ではない。アルバム全体を聴いてみてもカラフルな楽曲群に包まれたもので、聴かせる曲ではオルガンやアコギも使いつつ、そこに歪んだギターも絡みフルートなんぞも入ってくる。結構凝った作りになっているし、ロック的な側面と併せてやっぱり名盤と呼ばれるだけあって素晴らしい出来映えになってる。なんでこれはもっと売れなかったんだろうか?ルックス?う〜ん、それはあるんだろうけどさ…。

 今でも活動しているバンドなんだよ、Groundhogsって。何度も解散再結成してるけど、こういうバンドって長年できてしまうバンドなんだろうか、随分前に結構驚いたんだけど、あまり変わらないなぁ〜って感じ。もちろん「Who Will Save the World?」で聴かれたようなアグレッシブ且つ熱の入ったものではないんだけどさ。そういえば、ここのドラマーってEggのCrive Brooksだったんだ…、こんなところでGroundhogsとEggというカンタベリーシーンが繋がってしまうのかと驚いた…。

Groundhogs - Split 1971

Split  英国ブルースロックが栄えなかったらロックの歴史はまるで違うものになっていただろう。ジョン・メイオールやアレクシス・コーナーが若手を育成していなかったらロック史のヒーローがまるで違うものになっていたことだろう。多分言い過ぎではなくってそうなっただろうな、と思う。ともあれ、そうはならずに今の歴史が出来上がっているワケだからそんな「たられば」を気にすることもないのだが、その一旦を担っていたのかいなかったのか、メジャーなところではまるで名前が出て来ることもなく、歴史を紐解いていってもなかなか出てきてくれないのがこのGtoundhogsというバンド、及びトニー・マクフィーというプレイヤーの名。ルックス見りゃそりゃしょうがないだろ、って思うけど音はなかなかに重要なバンドなんだがなぁ…。

 Groundhogsの1971年リリースの4作目のアルバム「Split」。結構昔から手に入れて聴いたりしてたけど、分かんなかったなぁ…、いや、分かんないってのは音楽性そのものなんだけど、それでもバンドはトリオ編成だから別にややこしい音が出せるワケでもないし、ストレートにドラム、ベース、ギターに歌というものだし、時代的にも思い切りブルースロックの派生である。ところがこのバンドのブレインでもあるトニー・マクフィーと来たら単なるハードロックテイストという枠組みだけでは終えることなく、ここでは自身のとある一日を表現しているんだ、ってことでコンセプトアルバムになってて、音楽の方も曲が並んでいるだけでなくって、ストーリーラインに沿った曲調が作られているようだ。そのおかげで随分とサイケデリック且つプログレッシブな展開を見せる作品に仕上がっている。更に自身のストーリーってことで見事に精神状態の起伏が音楽に表れているかのように一本気な曲がない。それこそがGroundhogsがプログレッシブなスタイルを持つハードブルースロックバンドだと言われるとことでもあるし、だからこそメジャーな歴史に残るアルバムやバンドという所にはいないというのかな…、今で言うならばマニアックすぎる世界の住人なのかも。

 しかしこの「Split」というアルバム、よくよく聴いていくと実に完成度が高く、そこらのプログレバンドにヒケは取らないし、ハードロックな展開からしても一級品、ベースだけが残るとかギターの音だけが鳴ってるとか、凄く切れ味鋭くてカッコ良い。潔いくらいにスパッと鳴ってくるし、曲の中でもそれは生きていて、グチャグチャな音の中での、というのではなくってしっかりとそれは曲のパーツとして際立った音になってる。一般的には絶対に受けない曲とかばかりだけどロック好きで、ちょっと深みに入れる人なら気になるバンドかもしれない。決して名曲があるわけでもないけど、このセンス、何かヘン、って思うんじゃないかな。

Groundhogs - Live at Leeds 71

Live at Leeds 71 しかしいつまでもどうでも良いことをメディアが取り上げて著名人が騒いでいるな…とつくづくくだらなさを感じることの多い日々、ネット経由で情報収集しかしないから情報がかたよるのかもしれないけど、もちっと生産性の高い情報を欲しがってる人間もいるんだけどな。ニュースとしての価値は最初だけでで後はニッチな人向けの情報発信だけで結論出たら報告してくれれば良いので、そんな媒体ないかな…あるわけないか(笑)。なんてのを思うワケですが、ま、ロックな世界からしたら関係ないです、はい。

 1971年に英国のリーズ大学でのライブをレコーディングしてアメリカのラジオ向けに少数枚数プレスして配布していたGroundhogsの珍盤「Live at Leeds 71」なんてのもCDでリリースされてから随分になる。昔はそんなのがあるのか…見かけることすらないだろうなぁ〜なんて思ってて、どっかでジャケットだけ見たことあるけどとてもとても…、ってのはそこまで中味に期待してなかったからだけどさ。バンドのアルバム自体もイマイチピンと来てなくって、トリオロックのハズなのにどうにもそういう勢いを感じなくて…ってのもあるし、全盛期はちょっとプログレッシブな世界にも入っていたってのもあるか。何枚もそのヘンは聴いてて好きは好きなんだけど…やっぱあのルックスに原因があるのだろうか…。

 そんなGroundhogsの珍盤ライブアルバム「Live at Leeds 71」が出てしばらくしてどっかで中古で安く買ったんじゃなかったかな…、案の定期待したほどのライブ音源でもなかったけど、当時にしてはかなりプログレッシブなスタイルとハードロックなスタイルが入り混じったライブではあって、アメリカのラジオ曲に送りつけるだけあって、ストレートではある、が、一発では来ないだろうなぁ、これ。かと言って何度も聴いてハマるのには時間がかかるだろうし、そこまで巧いわけでもないし…ってトコ。好きな音だけど、どうにも…ってのがいつ聴いても同じ感想。多分理解しきれない要素があるのだろう…。

Gryphon - Gryphon (1973)

Gryphon 古楽と古楽器を使った音楽ではまるで意味が違うのだが、先日思い切り古楽の発展形らしいL'Ham de Focを聴いていた時に「はて、古楽系って何かあったっけ?」と自問自答していて、なんかいくつか英国古楽云々ってバンドもあったなとガサゴソ…。グリフォンってそんなんだったような…と思って、自分的にはあまり好みではないのかブログでもそんなに登場していなかったので、ならば聴いてみるかね、と引っ張り出してきました。全く20年ぶりくらいに出してきたかな…。アナログ時代に結構探しまくっててさ、好きじゃない音と言いながらもアルバムジャケットは結構好きだったし、特にこのファースト「Gryphon」は神々しいまでのファンタジックさが好きだったからさ。

 1973年にリリースされたグリフォンのデビューアルバム「Gryphon」は二人の英国王立学院出身の人間を含むバンドとしてスタート。今となってはプログレ系列で語られることも多くなっているが、どっからどう聴いてもプログレとは言えないサウンド、どっちかっつうとコーマスとかと同じようなエレキのない古楽器による宮廷音楽系で、このアルバム以降ではプログレがかった展開なんかもあるからそっちの世界から歓迎されていたってのもわからんでもないが、根本的にプログレという概念ではない。多分、本来の音楽と言うか宮廷音楽だったりクラシックだったり古楽だったりのちょっと上等な場所で演奏される音楽なんだと思う。土着的っていうのはなくてさ、なんか練られている上等な音楽。まぁ、王立学院ならそりゃそうか。もちろん聴く側もそんな上等な人間たちが多いような感じで、本島にこういう音楽が好きになれる人ってのは基礎知識としてクラシックがあったり宮廷音楽?みたいなのがあったりする人だと思う。自分みたいに粗野なロック系な人間ではあまり似つかわしくない音楽だし、もちろんハマれることもない、と思う。聴けばそれはもうそういう雰囲気がわかる音だしさ。何か革ジャン来て高級ホテルで食事するみたいな違和感かな。

 前置きはともかく、こういうのが中世風っつうんだろうか。古典音楽と言うか宮廷向けっつうか毒にも害にもならない上流階級サウンド。それがどういうものなのか知りたければ聴いてみるべきかと。その分旋律やメロディ、曲としての骨格や進行、そして使われている楽器と出てくる音色の品の良さはピカイチだろう。ロックではそれほど耳にすることのない楽器群が並んでいるようで、リコーダーからハープシコード、マンドリンなどなども含めたノンエレキなバンドアンサンブルによる美しさ。世界としては十二分にハマれるし美しさは紛れも無く英国の伝統を引き継いだ品格ある音楽とレコード。アルバムジャケットのグリフォンもその象徴としてしっかりと魅力を発揮している。さて、粗野な自分でもこういう高尚な世界に触れられるという意味では実に重要なアルバムでもあるし、そのあとは所詮商業主義的な現実に引っ張られていく面もあるので、このファースト「Gryphon」が一番純粋に汚れのないグリフォンの音楽を出している作品とも言える。しかし優しいアルバムだ…。

Gryphon - Midnight Mushrumps 1974

Midnight Mushrumps 芸術の秋。…とまぁ勝手に自分が聴いている音の理由付けをしているんだが(笑)。聴き始めるとホントに面白いよね、音楽ってのは。そしていつも思うが世界には実に色々な音楽があるなぁと。それでも自分が聴いているのなんてごくごく一部だけで、世界中ってことになったらホントに今の何百倍の音楽が溢れているんでしょ?やっぱまだまだだよね。楽しめるのがいっぱいあるもん。深堀も良いし浅く広くでもいいけど、色々な感動に接したいね。

 ってなことで英国の重鎮バンドとも詠われたことのある国立音楽楽員出身者をバンドのメンバーとするグリフォンのセカンドアルバム「Midnight Mushrumps」。1974年リリースでバロックな交響楽団みたいなバンドってことで既にルネッサンスもプロコル・ハルムも出てきていたから時代的に初めての音ってのでもない。ただ、その徹底さが違っていて使われている楽器ももちろんハープシコードからモロにオーケストラが使う楽器類まで幅広く使っているようで、圧巻はA面全部使う大曲。荘厳な音に展開は各種、それでも音色は割とロック、根底はクラシック、う〜ん、プログレが出てきていたので聴き慣れていた、っつうかやる方も二番煎じ的ではあったみたい。ただ、本格度が凄いなぁ、これ。

 聴きやすいっちゃあ聴きやすい。グリフォンもアナログ時代にさんざん探して全然見つからないバンドのひとつで、この後のレコード「Red Queen to Gryphon Three]」は見かけたけど入手できず、今回はCDリリースもあったのでようやく入手して聴くことのできた作品。ジャケットだけは昔から知ってて、モロにそれらしいので楽しみではあったな。うん、十分に見合うだけの価値はあったね。あ、もちろん英国ロック好きな人にお勧めですが、ここからプログレにハマった人もいるので割とよろしいのかな?

Gryphon - Red Queen To Gryphon Three 1974

Red Queen to Gryphon Three 静かめのサウンドで…なんてライブラリをずらりと見ているとふと、「これでいいや」というジャケットに目が留まった(笑)。最近更新されていないブログの主さんがプログレはここから入った、というこれもまた実に珍しい人だとは思うのだが、グリフォンです。過去にも何枚か取り上げているので今回は1974年にリリースされた三枚目「Red Queen to Gryphon Three」です。多分グリフォンの歴史の中では最高傑作に挙げられる一枚だろうね。

 「Red Queen to Gryphon Three」…、邦題「女王失格」とのことで…、なんか中身の高貴さと邦題のアンバランスさがちょっとよく理解できないのだが(笑)、まぁ、そこは置いといて…、昔聴いた時はもっと大人しくて古楽器ばかりの印象だったんだけど改めて久々に聴いてみると、凄くロックだったんだということに気付いた。プログレっつうか…、中世音楽って言われているし、実際にそうなんだろうけど、これが中世音楽ってモンなのだろうか?まぁ、現代音楽ではないのだが…。クラシックに近いけど、そんなに厳かでもないし、喜劇のBGMだったり悲劇のBGMだったりするような印象なので、劇音楽ってな感じだろうか。情景から音が思い付いている、というような音。音を聴いていると情景が何となく浮かぶ。だって「Red Queen to Gryphon Three」は全部インストモノだから歌詞ないし。だから全部想像の世界。面白い試みだよね。それでいてロックの世界でアルバムが紹介されていくし、今でもリマスターされたり再リリースされたりするし、文化の一端を担っているワケだ。

 簡単に言うと物語の情景に併せて音楽が作られているから固定的なリズムだとか旋律だとか言うモノがほとんど存在しない。情景に併せてリズムも旋律も変化していくし、コード進行だって同じ曲でメジャーマイナー入れ替わって雰囲気を作っているし、そういうのを繰り返して演奏しているメンバーも凄いけど、元が国立音楽院出身者達なので手法は完全にクラシック的なんだろう。そんなのを4曲作ってアルバムに入れているってなもんで、どれも10分程度の大作だから聴いていると面白い。疲れるんじゃなくて聴き応えがあるし一曲を聴いている気がしないくらい多彩だから楽しい。そう思えるのも不思議だが…。

 唐突にグリフォンの「Red Queen to Gryphon Three」なんてのを聴くとさ、やっぱりホンモノの音楽家さん達って凄いんだな、と感じてしまう。ロックだぜ〜ってのとは違うしさ…。ただ、まぁ、面白さっていう面では色々あるからね。たまにはこんなのも良いでしょ♪

Gryphon - Raindance 1975

Raindance そういえば英国でも室内楽からアコースティックやらのなんやかんやとやってるバンドあったなぁ…、あぁ、あれか、と思い出して探してみる。何となくイヤな印象が横切ったけど気のせいだろう、ってことで自分のブログを見ると、ほほぉ…初期三枚しかまだ書いてないのか、と隙間を発見出来たので、ならばとばかりに久々に聴いてみることに。アコースティックなヘンな世界の流れでちょいとイタリアンの濃さから逃れたかったのでいいかな、なんて思ってみたが…。

 Gryphonってバンドの4枚目の作品「Raindance」は1975年にリリースされて、それまでとはメンバーが一人入れ替わっているだけなので、さほどバンドの音には影響を及ぼさないだろう…、しかしこれまでのちょいっと高貴で陰鬱さが伺われるジャケットからは大きく変わってビクター蓄音機みたいなジャケだな…なんて苦笑いしながら聴いてみるのだが…、いきなり「は?」となる。いや、これ、あれ?自分はGryphon流してたよな?中身間違ってないか?という具合にあり得ない音が流れてくるのだ。一体どんなバンドのどんな音が入ってるんだよ?と思うばかりに簡単に言えばポップ化したGryphonになっているのだ。何がやりたい??みたいな感じ。

 冷静に聴いてみてもよくわからん。ソフト・マシーンが唐突にフュージョンバンド化したのと同じようにGryphonがここで環境音楽化しているワケだ。全っ然意味分からんし、何でまた?ってのが頭の中でグルグル…、しかも効果音があったりミニマル的になったり一体なんだこりゃ?何だかなぁ…とワケの分からない世界観を味わっているウチに今度はビートルズよりも明らかに雰囲気の出ているカバー曲「Mother Nature's Son」が出てきて、その美しさにやや心休まるのだが…そういう方向性を見出したってことか?いや〜、興味深いアルバムに仕上がっています。決して楽曲レベルややってることがつまらないのではなく、Gryphonというバンドのイメージから大きく逸脱しているので何とも書きようのない作品なのだが、こういうバンドの音として捉えれば中途半端ではあるけどそこそこ良質な作品。もうちょっとどっちかに振れてくれれば良かったんだが…どうにもELOにもなれず…みたいな感じか。

 このヘン真面目に聴かなかったけど、きっと昔もちょこっと聴いてダメだったんだろうな…、記憶に残ってないってことはそういうことだろう。古楽器使ったりしてるのもあるんで新しい方向性を見出している最中であろうとは思う。そして本作からもしGryphonに入った人がいたならば、きっと異なる世界の英国ロックへ進んだ方が良いだろうと思う。その辺も楽しいけどね。

Gryphon - Treason 1977

Treason  酉年のジャケットを探している時にふと思い出した作品ってのも幾つもあって、ジャケットは思い出すんだけど、どのバンドのアルバムだっけな…とか、頭の中だけでイメージされてて、バンド名が出てこなかったりとか、タイトル忘れてたりして探し出すのに時間かかったりしてたのもあったし、なかなか普段考えない項目でアルバムを探すのは大変です。鳥の絵が使われてるジャケット、なんて探し方したこと無いでしょ?これが案外たくさんあるんだけど、インパクトとしてはさほど多くなかったかな。

 Gryphonの1977年リリース5枚目にしてラストアルバムとなった「Treason」。元々が古楽とロックの融合ってことでリチャード・ハーヴェイがその才能を余すこと無く活用していたバンドだったんだけど、アルバムごとにポップ…と言うか普通なプログレのバンドへと接近してきて、挙句はかなり良質な聴きやすいサウンドへと進化してしまったが故にコアなリスナーからは嘆かれる始末、時を経て聴いてみればそれは良質な音楽的変化と進化であって、決して悪い方向でもなかったように思えるが、あそこまで綺羅びやかで繊細なサウンドを作り出していた事を思うと、普遍化へのアプローチは残念感が漂うのはしょうがないか。

 …と言えども、そのアンサンブルは他では真似出来ないレベルにあることは間違いなく、本作「Treason」ではそれはイエスと同じような作風に仕上がってしまったことで分かるように、完璧にシンフォニック且つ構築美を追求していく性であるが故に、こうなってしまったと言ったところか。決して悪くない。悪くないが、Gryphonである必要性もこれまた薄い、か。やってることは凄いんだけどなぁ…、ってな作品。

Gun - Race With The Devil 1968

悪魔天国(紙ジャケット仕様) やっぱハードロックっていいな…と自分の趣味を改めて知るのでしたが、それはBalck Sabbathに触発されて聴いていた同じくフォルダーに眠っていたGunのファーストアルバム「悪魔天国」です。邦題はもちろん「悪魔天国」なワケでしけどね、これがまた久々にちょこっと聴いてみるか、なんて流したらやっぱりかっこ良いんです。こんなチープでゴチャゴチャした曲とかリフなんかでもセンスが光るってのは面白い。

 1968年にリリースされた当時はカーティスと名乗っていた兄弟が中心となったバンド、Gunによる最初のアルバム「悪魔天国」。ジャケットからして魑魅魍魎として悪魔っつうか地獄絵図的な印象なんだが、音の方もそれに負けず何というのかな…、詰め込まれているハードロックで、ギターに依るハードロックだけじゃなくて結構いろいろな楽器が鳴ってるんだよ。この頃わずか18歳だったエイドリアン・カーティスのポップな才能とギタリストとしての才能が開花しまくってて、だから故にCBSも好きなようにレコーディングさせたんじゃないだろうかと。冒頭を飾るヒット曲「悪魔天国」はもう色々なバンドにカバーされているしCMでも使われたりしているようなので知られているんだろうけど、このリフが凄くネチっこく耳に残るんだよ。他の曲でもギターソロとかになると音が前に出てきて凄くネチネチなサウンドで時代を感じるというよりも、これがエイドリアン・カーティスの音なんだな、っつう感じ。フレーズはかなり雑な部分もあるけど、顔と魂でギター弾いてるね、これは。だからどの曲も聴き所があってグイグイと惹き付けされて聴いてしまうんだな。

 エイドリアン・カーティスとポール・カーティスは常にトリオバンドを好んで結成しているんだが、その最初がGunだったワケ。この後Three Man Armyで傑作を何枚かリリースしてクリームのジンジャー・ベイカーとBaker Gurvitz Armyとしても3枚くらいアルバム作ってるし、割とメジャーどころにいてもおかしくなかったんだけど、なかなかそうは行かなかったようだ。そのせいかある時突然にエイドリアン・カーティス(ガービッツ)はAORなソロ作を出して売れてしまったっつう経緯もある。ま、それはいつか機会があったら…(笑)。  しかしGun、いいな。セカンド「ガンサイト」よりもやっぱりファースト「悪魔天国」の勢いが良い。更にたっぷりとコラージュや楽器が混ぜ合わされた音の波も時代ならではってのあるけど、かっこ良い。こんなセンスって今じゃ出せないでしょ(笑)。

Gun - Gunsight 1969

ガンサイト(紙ジャケット仕様) 英国ロック史の表にはほぼ登場してこないエイドリアン・ガーヴィッツではあるが、ちょっと深堀するとそこかしこでヒットすることとなる数少ない準A級の位置というのも面白い。そんなエイドリアン・ガーヴィッツとポール・ガーヴィッツが世に出てきたのはこれまた有名なガンの「悪魔天国」ですな。そのヒットのために彼等は英国音楽業界に居続けたのではないかとも思う。そうでなければこれほど色々なバンドに拘わることもなく、またメジャーシーンとの交流もなかっただろうし。まぁ、それは後の話なので良いんだけど、最初にヒットを飛ばしてしまった方々なので割と何でもスムーズに出来たのはあるんじゃないだろうか。

 そんなガン時代のセカンドアルバム「ガンサイト」をクローズアップ。そういえばまだファーストアルバム「悪魔天国」もここでは取り上げていなかったことに気付いたんだけど…、まぁ、いいや、せっかくだから大人びたセカンドアルバム「ガンサイト」の雰囲気を楽しもう。若気の至りのファースト「悪魔天国」はまた別の機会に…。

 …とは言え、ファースト「悪魔天国」との比較にはなっちゃうねぇ。セカンドアルバム「ガンサイト」を聴いてふと不思議に思ったのは、「こんなにアコギ多かったっけ?」とか「えらくコンパクトじゃね?」みたいな感想で、ついつファースト「悪魔天国」を聴いてしまったのだが…、うん、ファースト「悪魔天国」が1969年リリース、セカンド「ガンサイト」が1970年リリース、制作が半年から一年前としても時代的には1960年末期で一年も差が開いてないんだけど、こんなに変わるもの?確かに時代的には変貌の激しい頃だが…。ファースト「悪魔天国」がもっとサイケデリックで実験的でドラマティックだったことを思うとセカンド「ガンサイト」はガラリと変わったコンパクトな楽曲とアコースティック色の強調というすっきりとしたアルバムになってるんだよね。ハードロックもいくつかあって、それは後のThree Man Army並にかっこよいのだけど、アルバム中に半分くらい占めているくらいかな。ま、その半分くらいってのが疾走感溢れるタイトな曲調なのでかっこよくて素晴らしいので文句はないのだが(笑)。

 そしてここでも光っているのはエイドリアン・ガーヴィッツのギターのセンスと楽曲構成の幅の広さ。既に一辺倒なごり押し加減は確立されているのだが(笑)、その分勢いも半端なモノではなく、がむしゃらに頭を振り乱すノリってのは凄いものがある。バッジーやブラック・サバスよりも先にそんなのを疾走させているんだからやはり侮れない。バンドカラーとしてその一辺倒さだけでは進まなかった、というところがガーヴィッツさんのちょっと頭を使ってしまったところかもしれない。バッジーとかそのまま走ったからひとつのジャンルを確立した部分あるしね。

 あれこれあるが、ジャケットは驚くことにヒプノシスの手によるもので、昔はなかなか手に入らないアルバムだったんだよ、これも。ファースト「悪魔天国」はまだ見かけたけどセカンド「ガンサイト」はなかなかね。何かのリプロ盤か何かで買った気がするけど。それよりもThree Man Armyの方が大変だったな…。

Gygafo - Legend of the Kingfisher 1973

Legend of the Kingfisher プログレッシブロックの世界ではオリジナルアルバム自体が発掘されるというパターンが割とある。バンドそのものが発掘されるというケースもあったりして、実際にリアルタイムで通っていた人はその存在すらを知らなかった、というようなケースだ。それって、でも、どうなん?って感じはするんだけど、音的にもレーベル的にも納得できちゃうってものはある…。

 ホリーグラウンドレーベルっていう英国のマイナーレーベルで録音されたGygafoというバンドのアルバム…、でも当時リリースされなかったワケだから結局プロにはなれなかったバンド、なワケだな。1973年に録音されたものらしいが「Legend of the Kingfisher」という作品がある。ジャケットもそのままで英国の象徴でもあるカワセミの素敵なイラストが表紙を飾っているんだけど、如何にも後から作られたようなジャケットなので実際のオリジナルの構想時にこういうジャケットだったのかどうかは知らない。まぁ、後にプログレならなんでも売れるという確信が出来上がった時にホリーグラウンドが作ったんじゃないかと思うのだが…。

 まぁ、カワセミの伝説というトータルコンセプトアルバムということなのだが…、歌詞がわかればもうちょっと聞き込めるのかもしれないけど、如何せん音があまりにもチープでアマチュア的なのでレベルがちょっと物足りない。だから当時見送られたのかもしれない。結局1989年になって発掘リリースされたのだが…、プログレって言ってもどこか牧歌的で安い音作りのサウンド。素朴な音で何が目立つというものでもないサウンドです。歌が、とかギターが、とか何もなくって、メロディが、とか言うのもない。淡々とフォーク的なサウンドの調べともちろんバンドサウンドなんだけど、楽曲が展開されるもので、Gygafoが一番好きなバンドだ、という人はまずいないだろう、そんなB級なバンド。

 じゃあなんで聴くのか?と言われても…、気になったから、という理由以外にはない(笑)。気になって聴いてみたら雰囲気は良いし、やりたい世界観がわかるんだけど、ちょっと才能に問題があったんじゃないか?ってなとこだ。雰囲気はホントによく出してるよ。だからそんな才能はあったのかもしれないけど…、ね。英国好きでジャケットが気になる人には良いかもしれない。