Hackensack - Up The Hardway (1974)

Hackensack ここ最近の英国B級路線はホントにキリがないのだが、その分読み手からも飽きられてきたのだろうか?などと思ったりする…。ん~、ちっと路線変更も考えないといかんかな、と思いつつやっぱり所詮は好きなものを書くのが面白いしねぇ…。まぁ、もうしばらくこのB級なセンスにお付き合い下さい(笑)。Live at the Hard Way」のジャケットを見てかなり驚いたもん。コレ、相当キモいぞ…と。音だけ聴いていればまだB級ながらもブルージーなギターと洗練されたハードロックバンドという域なんだけどね、ライブはもう思い切り垢抜けないドロドロのブルース?ロックでさ。まぁ、そういった集大成が本作「Up The Hardway」ってことになるんだろうけど、リリースは1974年だからバドカンとかが出てきた頃だね。それでこの音ならかなり良いセンス…と言いたいけどなぁ。やっぱB級感漂うのか。

 いやぁ、かなりブルージーなハードロックギターとそれなりの曲調で組まれているので聴き応えはあるし、ヘタでもないのでバンド的には面白い。ただ、これが60年代末にシーンに出てきていたらもっとハマっただろうに…、その分洗練された音作りになっているからね。アルバム全編に渡ってアメリカンなコーラスワークや洗練されたメロディを散りばめてあるくせにギターは思い切りネバネバなブルースギターで、歌もまた然り…っつうかバックは全てそのまま泥臭い音を出してるので大変聴きやすい…のだ(笑)。  そして一曲目のアルバムタイトル曲「Hackensack」ではかなり意欲的な作りになっていて、曲は大したことないけどアプローチが面白くてね。ギターソロはバックの音がなくなった単独のソロ=Zepの「Heartbreaker」を意識した構成で、更に凄いのはその中で後のVan Halenも真っ青なライトハンド奏法による高速フレージングが登場する。正にそのままでして、スケールなんかも煮たようなアプローチだから驚く。実際にはライトハンドの部分をピックで鳴らしているような感じではあるが、このまま発展させられればもしかしたらギターヒーローだったかも?いや…それはないか(笑)。

 ブルースベースのハードロックがここまで洗練されて、バドカンの後釜的に位置するように仕向けられたような気がするが、やはり彼等のロック魂が勝利を収めた結果なのか、まったく売れずに今もってB級の名誉を欲しいままにしているのも素晴らしい。  さて、ブルースロックに取り憑かれた若者が1970年代の英国には多数存在していたようだが、時代の経過と共にそれは薄れていき、更に発展したサウンドがロック界を彩ることとなるのだが、この頃にバンドを始めて、そのままメジャーともマイナーともつかない形で活動していたものが1974年になってメジャーデビューとなったバンドがHackensackというバンドだ。主要メンバーのニッキー・ムーアはこの後サムソンなどにも関わるので、割と主要な英国ハードロックシーン形成時のメンツ?かもしれない。

Hackensack - Live at the Hard Way (1973)

Live at the Hard Way 思考回路を全て破壊する音ってのがあってさ、たいていの音楽ってのは聴きながら何かできたりするし、BGMなんて言葉もあるくらい流しておけるものが多いのだが、ロックってのはそうも行かないのが多い。それでも適当に聞き流せるものも多いし普通に聴いてても頭に入らない音楽ってのもあったりと色々だ。ただ、その中でもBGMだろうが普通に聴こうが他のことが手に付かなくなる、頭のなかが空っぽになっちゃう、っていうのもあって、これはもう両極端で好きすぎて他に気が回らない、ってパターンとやたらと気になる音の世界って感じ。まぁ、そこは色々あるけど大抵ヘタなのとか個性的なのとかは後者の部類に入る。こういうのって困るんだよな〜、いつもブログ書く時って音を聴きながら書いてるんだけど、それが進まないってお話でさ、まったく耳障りな音…いや、違う、聴く者を痺れさせる音、ってことだ(笑)。

 Hackensackってバンド知ってる人どんだけいるんだろ?ここの読者なら割といるんだろうとは思ってるけど、それはともかくまぁ、そのHckensackってバンドは60年末にメジャーデビュー、アルバムは1974年に「Hackensack」の一枚だけなのだが、超強烈なインパクトを放つブルースベースのヘヴィメタル…、いや、当時だからハードロックですがね、そのHackensackの1973年の発掘ライブ盤ってのが「Live at the Hard Way」としてリリースされてて、ジャケットに写ってるようにニッキー・ムーアの醜悪な巨漢姿だけでインパクトを放っているのは見て一発でしょ。初期のシングルばかりを集めた「Give It Some」なんていうアルバムもリリースされてるみたいでYouTubeで聴けるんだけど、こっちのはまだ普通の音してる感じ。ところがファーストアルバム前のこの「Live at the Hard Way」はもうぶっ飛んでます。あの巨漢がこんな風に歌ってるのかみたいな姿を想像する方が楽しいんで、どうも色眼鏡的に聴いてしまうけど、どうしてどうして、アグレッシブに且つスーパーヘヴィーにグイグイとブチかましてくれるのでこれぞヘヴィーブルースハードロックみたいな感じで頼もしい。癖になる人は癖になるかも(笑)。

 音楽とは異なる視点から入ってしまっているんですが、サウンドは個性際立つ演奏陣に支えられた正に70年代なライブサウンドを出してて、アルバム「Live at the Hard Way」で聴けた整然さとは雲泥の差の超絶ヘヴィロックのライブが楽しいんでジャケットのキモさにおののかずに一度耳にしてみると意外と、というバンドですね。

Hanson - Now Hear This 1973

Now Hear This  いつもの事だけど、系譜辿りによるアルバム漁りは大抵つまらないものを引くハメになって一気に方向転換を図ることが多い。やっぱりね、それなりに名を成していく人ってのはアルバムの質やバンドのレベルも他界んだけど、脇役になってくるとどうしてもソロアルバムレベルになってきてミュージシャンとプレイヤーの才能のズレが出てきてあまり面白みのあるものが出てこないケースが多い。名プレイヤー名監督ならずってヤツですな。

 ボブ・テンチが3曲程参加していることと、クライブ・チェアマンもメンバーで参加していることからギタリストJunior HansonがHansonとしてリリースした作品「Now Hear This」はJeff Beck Groupのメンバーが参加したアルバムとしてちょいと知られた存在になっていった。このJunior Hansonってギタリストさんって一体何者?ってな話、しかもアルバムはEL&Pで知られているマンティコアレーベルからのリリースなワケで、アルバムを聴いていても結構白熱したギターを弾くプレイヤーさんで、悪くないんじゃね?ってなモンだけど、ボブ・テンチが歌っている曲なんかはいつも通りな感じ。ちょいとブリブリした質感のサウンドが中心で、ロック的エッセンスが散りばめられているからそのヘンの融合がなかなか楽しめる。Funkadelic的な試行錯誤もあるのかも。

 しかし、B面の最後でのアグレッシブな混沌とした志向性はこれぞロックと言わんばかりの迫力あるセッションに仕上がっていて、こいつをやりたいがためのアルバムだったんじゃないか?ってくらいこの10分の曲に全てが集約されている。ロックバンドたるもの、この時代だったらこういう世界好きだもんな。白熱したそれぞれのプレイをぶつけ合って出来上がっていくテンションの高いサウンド、緊張感、スリリングな駆け引き、そんなのが詰め込まれていて意外とここでハマった。

Hard Stuff - Bullet Proof 1972

 凄く間接的なんだけどもうちょっとだけパープル繋がり?で行ってみようかな、なんて。いや、たまたまその辺聴いてたらハードスタッフを思い出して、そうだよなぁ、このバンドもアトミック・ルースタークォーターマスの融合で…なんて眺めてたら、あれ?ギラン&グローバーって参加してるんだ、と思わず感心…っつうかオリジナルってパープルレーベルからリリースされていたんじゃないか、なら納得納得。と言うことでこれもパープル全盛期に二人が参加したってことでそれなりに話題にはできたんじゃないだろうかとも思うがリアルタイムの英国ではどんな宣伝文句だったのかちょっと興味あるね。

 それで思い出したのだが、昨年末頃にここの常連さんのトコで取り上げてたなぁ…と見直してみると、そうそうDeamonっつう前身バンドがあるってことを教えられたんだ…と。まぁ、まだそっちは聴いてないんだけど、1994年に発掘されたものらしいのでそういうのを漁りに行けるかどうかもマニアのボーダーラインではあるんだろうな(笑)。ちなみにそのDeamonっつうバンドはハードスタッフの三人にあと一名加わっていたバンドでハードスタッフの前身バンド、アレンジは異なる物の楽曲も多数ダブるものが収録されているらしい。う〜ん、こうやって書くと聴きたくなるな(笑)。

 さて、そのハードスタッフだが、アルバムリリースは1972年、ジャケはまぁ、それなりのものなので特にコメントはないけど、音的にはやっぱりトリオ編成だから幅はそれほど広くはないかなって感じ。でも、純粋に英国的ハードロックでオルガンがないだけで、ちと硬質っつうかハードさが強くて重いテンポの曲が多め。ん〜、歌がなぁ、ちょっと…とは思うが、ここのところそういうのばっかり聴いてるから結構こういうのが普通に聞こえてきた(笑)。簡単に言えばアトミック・ルースターの鍵盤の音をギターに置き換えたらこうなります、みたいな感じでまずまずの出来映えで、一応セカンドアルバム「Bolex Dementia」も出してるけど、知名度は低いのでやっぱファースト「Bullet Proof」だろうか…、ただ、このセカンドも結構良い線行ってる音出してるので実はハズしてはいけないのだが。うん、結構激しくハードロックしていてこの手の音が好きな自分には何の苦もなくすんなりとハマれる音♪

 ただやっぱり何度も聴くモノではないっつうのがB級の性っつうところか(笑)。いやいや、十分かっこいいっすよ、ほんと。

Hard Stuff - Bolex Dementia (1973)

ボレックス・ディメンティア 情報漁りをしながらアマゾン見ていると何やら紙ジャケシリーズも実に色々と出て来ているようで、まぁ、あんまり紙ジャケには興味がないのであくまでも時勢を見る程度の情報なのだが、その中でふとHard Stuffというのが目に入ったんだよね。しかもセカンドアルバム「ボレックス・ディメンティア」なんてさ…、一体今の時代に誰がそんなもん欲しがるんだ?と思うようなリリース。…冷静に考えてみればそんなもん、と思った自分が一番欲していたりするんだから、きっとそういう輩が沢山いるんだろう(笑)。いやね、一生懸命コレクトしている時にはなかなか見つけられなくて、とか手を出す余裕がなくて、とか諸般の事情で書い逃しているアルバムっていっぱいあってさ、しかもHard Stuffのセカンドアルバムなんて一生懸命探して買うもんでもないから抜けっぱなしって所でさ、そうこうしている内にレコードなんて見かけることすらなくなってくるし、CDですら初期のはもう終わってるし、そもそも流通量が多すぎて訳分からんのだが…。

 Hard Stuffのセカンドアルバム「ボレックス・ディメンティア」、1973年リリース。ファーストアルバム「Bulletproof」は割と話題性もあったようで、何かと取り上げられるようなこともあったのだが、セカンドはねぇ、何となくピンと来ませんでした、当時。いや、ジャケットだけの話。来歴はアチコチで書かれているんでテキトーに書いておくとQuatermassとAtomic Roosterのメンバーが合体して出来たバンドで、それ自体がもうアングラな世界の話でさ、もちろん出てくる音もその名の通り実にマニアックな世界(笑)。70年代初期の何でもありなごった煮ロックの象徴でして、Hard Stuffが面白いのは鍵盤奏者がいなかったためにトリオでのロックバンドでしかあり得なかった、そしてジョン・グスタフソンというちょいと変わり者のベーシストがいたことで、何つうのか…えらくファンキーな、音の途切れるベースを中心にギターが装飾音を加えて何か出来上がっているっつう感じ。最初にCDでこの「ボレックス・ディメンティア」を聴くと冒頭から無茶苦茶しょぼい音が流れてきて、何かなぁ~なんて思ってたら、実はアナログ時代は、っつうか本来のアルバム構成はCDで言う6曲目からで、何でだかわからんけどどのCDもアナログのA面とB面が逆に入っているらしい。日本の誇る紙ジャケ再発盤ですらそうなのか?とその辺の詰めの甘さこそがHard StuffというB級なバンドに対する扱いなのだなと。

 そんな知識を得て、再度6曲目からアルバムを聴いてみると、これがまたエラくかっこ良く聞こえるもんだから面白い。きちんとギターリフ主導でヘンなベースラインが曲を引っ張っていくちょいと歌の弱いバンドだよ、ってのがちゃんとアピールされている。これでこそ英国B級バンドの主張。やはりB面一発目からアルバムを聴いてはいけないのだ。何でそんな編集なんだろうねぇ。しかし線の細いギターにワウペダル、一方では実に太いベースの音、面白いな。黒い感じの音を狙ってはいるけど、それはベースのラインだけでブルース臭さもポップらしさもソウルらしさもなく、単にやや際立った感のあるラインだけが今となってはHard Stuffの特徴になっているのか、正に英国のセンスで、面白い。この辺をまとめて聴いている人には涎モノですな(笑)。

Hapshash and the Coloured Coat - Hapshash and the Coloured Coat (1967)

Featuring the Human Host & the Heavy Metal Kids ミッキー・フィンというパーカッショニスト…、ロック史の中でパッカションを叩くことでシーンに登場してくる人って名前浮かぶ?自分は多分あと一人、レイ・クーパーくらいしか浮かばないんだが、他にいるかなぁ…ってくらいにパーカッショニストなんてのは日陰者に近い。それでもミッキー・フィンとマーク・ボランは二人でシーンに踊り出てきた。まぁ、ミッキー・フィンはT-Rexが売れる頃にはいなくてスティーブ・トゥックに替わってしまったのだが…。そんなミッキー・フィンがT-Rex結成前に参加していたバンドってのがあってさ、そんなん誰も知らねえだろと思ってたら、Hapshash and the Coloured Coat ってバンドで、自分的には「へぇ~、アレに参加してたんだ?」と知った次第。うん、60年代末期のサイケデリックバンドとしてはほんのちょっとだけ知られているバンドだったハズ。美術生の集団だったような記憶ですが…。

 1967年にリリースされたHapshash and the Coloured Coat の作品、アルバムジャケット通りによくわからない超サイケデリックな音をひたすら出し続けたバンドで形容しがたいのだが、垂れ流しで聴いているとそのうちにこのトリップ感に大いにハマってくるという代物で、マジメに聴いてはいけないのかもしれない(笑)。ひたすら単調なリズムとフレーズでサイケデリックに迫ってくるオープニング曲からしてドラッグ感覚たっぷり。ベースはブイブイ言わせているし、ピアノも結構暴れているのにひたすら単調。売れるとか売れないとか気にすることなくプレイをしてみました的に強烈なサイケ系。アコギ使おうともどこかコーマス的に狂気を感じるが、二曲目など良い例でして、その狂気性の一端を担っているミッキー・フィンのパーカッションが抑揚させてくれる効果をたっぷりと含んでいるのがいいね。音楽的にどうのって言うかはともかく、こういうサイケな空気が必要だった時代なんだろう。初期のティラノザウルス・レックスとかなり近しい世界観を聴けるのも面白いかも。

 ヘンなバンドだなぁ…。随分昔に聴いたキリで完全に忘れ去ってた音だけど印象だけは残ってて、ジャケットのインパクトと共にヘンだったような…と。ただ、自分がこのヘン聴いてた時って他にもいっぱいヘンなの聴いてたからその辺との比較になっちゃってたんだよね。だからこんな機会に単発で聴いてみるってのはなかなか見直すには面白いタイミングだったかな。まぁ、無理して聞く必要は全くないくらいにどうでも良い音楽であることは確かだが(笑)。

Hawkwind - Hawkwind 1970

Hawkwind サイケな時代の音ってあんまり真面目に聴いてないんだよな。やっぱラリってないと響かないのかもしれないってのもあってどうにも退屈になってしまうのが本音。知識としてあのバンドとかそのバンド化アルバムだったら、とかってのはあるけどじっくり聴いてサイケが好きだっていう事にはならないなぁ…。アプローチとして面白いとかあるけど、特にチェンバー系とか訳わからんしさ(笑)。まぁ、だからサイケデリックハードロックと言われてもあまりピンと来ないのはある。そりゃ聴いてるからイメージは沸くし、そうかとも思うんだが多分そこまで自分にゆとりがないんだろうと思う。ピンク・フロイドの作品ですら初期のはさほど熱心に聴かないもんな。ただ、ここのところの流れでちょいと行ってみますかってのがあったんで…。

 ホークウィンドのファーストアルバム「Hawkwind」は1970年にリリースされているらしいが、聴いてみて驚いた。これ、ホークウィンド?って。最初の「Hurry On Sundown」って曲なんかアメリカのレイドバックしたカントリー風味の作品でさ、スペイシーとかサイケとか全然違うじゃないか、っつう…。YouTubeで聴いてたんだけど何回か確かめてしまった…これアップするの間違えてるだろ?って(笑)。ところがそういうもんらしくて、次の曲とか始まってみると、あぁ、そうか、と納得するような曲調ばかりだったんでホークウィンドなんだな、と理解してきたけどさ、それくらいにまだ初々しいと言うかきっちりと宇宙に進むと決め手出て来たワケじゃないってことはわかった。ただ、その冒頭曲から後はサイケデリック…っつうかホント、スペイシーってのが相応しいんだろうなぁ…、淡々とワンコードとかワンパターンで繰り広げられる長尺な曲もあったり、かと思えば小曲として軽めのも会ったりするがまだまだ後に聴かれる王道スペイシーの域までは達していない…のは当然か。

 何かねぇ、狂気があるワケでもなくラリってるんだろうな〜としか思えないんだが、そういうワケでもないらしいから分からん。純粋にロックの一表現手段としてのスペイシー感とするとかなり頭おかしいだろ、ってくらいなサウンドだしさ、こんなのによくレミーも参加する気になったものだ。ピンク・フロイドやゴングの世界に近いんだが、どこか攻撃的ってのがホークウィンドの面白いトコロなんだろう。やっぱりハマり切れない自分がいるかも(笑)。ちなみにピンク・フロイドの「Cymbaline」のカバーやってます♪

Hawkwind - Space Ritual 1973

Space Ritual  モーターヘッドのレミーとして今では有名なのだが、元々はホークウィンドの、という肩書きもこれまた割と有名で、もちろんモーターヘッドのレミーを期待してホークウィンドを聴いても全く徒労に終わるくらいに別のサウンドをやっているのでどっちのファンも被らないのだが、それくらいレミーは振り幅の広い二つの大物バンドを動かしていたってことだ。まぁ、メジャーという感じではないからそれなりなんだろうけど。そんなレミーがバンドの気運と共に一大絵巻を作り上げたのがホークウィンドの名作「Space Ritual」。

 1973年リリースの名盤「Space Ritual」、と呼ばれているんだけど、なんつうのか、プログレ畑のマニアからは割と絶賛されることが多くて、サイケデリック、アシッド、プログレッシヴというような要素がたっぷりと詰め込まれたいわゆる最強メンバーによる二枚組のライブ盤。昔からジャケットだけは知っていたけど、なかなか二枚組で値段も高かったので手を出せなかったんだよね。随分後になってから聴いたんだけど、今回また久々に手を伸ばしてみました。

 やっぱり、トリップしてないと聴けないかも(笑)。いや、ホントにさ、ひたすら同じビートで延々と効果音もたっぷりとグイグイと迫ってくるドラッグミュージックです。名盤っつうのか、凄いライブで、いわゆる音楽とうのよりはもっと心地良いノイズサウンドに近いヘヴィメタルというかコンテンポラリーというか、サイケです。その中に凄く芯が通っているのがレミーのベースやニック・ターナーのサックスでして、なんでもレコードクレジットにはストリップダンサー「ステイシア」とまで書かれているワケでして、ステージでトップレスで踊っていたらしい。う〜ん、他にも詩人担当がいたりして実にトリップしたステージだったんだろうと想像できるだけに映像があれば面白いだろうなぁ、と。

 しかし、このアルバム、聴いているとクセになるかもしれない(笑)。非常〜に心地良く溺れられる快楽を持っていて、音楽的に云々とか関係なしにヘヴィでサイケデリックに迫ってくる、それがしかもフロイドとか60年代のサイケバンドとは異なっていて、もっと洗練されてるというのかな、やっぱレミーのグルーブが肝。もの凄いテンションの高いライブで、特に「Brainstorm」なんてもうひたすら1コードに近い音の洪水で、もの凄いテンション。いやぁ〜、これ、凄い!

 以降バンドはまだ現役ではあるけど、音楽的には無茶苦茶になっていって、どんな音にも手を付けてみるみたいな感じになっているので実態を掴むのが難しいらしいけど、初期の作品はやはり革新的にで面白いです。「Doremi Fasol Latido」とかね。

Hawkwind - Doremi Fasol Latido (1972)

Doremi Fasol Latido  こないだ久しぶりにバンドメンバー集まってスタジオで大セッション大会を実施した。レスポールスペシャル w/ハムバッカーのギターをようやく生マーシャルでガツンガツンと鳴らしてみたのだが、これまた見事に想像通りにレスポールの音を出してくれていて、且つ重量が軽いので体力温存にも役立つという効果発揮で大満足。もうちょっと音がしょぼくなるかと思ってたけど、まったくそんなことなくて普通にハムバッカーのレスポールな音してて、ちょいとエッジ立ってたけどそれは好みの方向だったのでOKとして、存分に楽しめたのだ。やっぱりロックは音量だよ(笑)。

 レミー訃報に伴いアレコレ聴いてたりするんだけど、実は未だによく理解できていない、と言うか好むまでは行かないってのがHawkwindでして、スペースロックとかサイケデリックなんて形容詞に入るんで、Gongなんかと同列なのかもしれないけどちょいと違ってて、クスリやハッパの香りがしないスペースロックなんだよな、Hawlwindって。実際はそんなことないんだろうけど、聴いてるとそういう香りよりももっとスペイシーな傾向に進んでいる感触。だからサイケとはちょいと違っててスペイシー…っても、まぁ、子供騙しのシンセサイザーの使い方に尽きる、という気はするけど…。

 レミー初参加の「Doremi Fasol Latido」は1972年の作品で、モロにそのスペイシーロックだけど、レミーのベースがグイグイと曲のグルーブを引っ張ってって、圧倒的な存在感を醸し出してる。この頃からレミーの人気沸騰中だったらしいからやっぱり才能で目立ってたんだろうね。それに加えてあのスタイルだったから天才がロックをやってたっていう人だったのだな、実は。そうは見えなくても。こういう作品を聴いてるとレミーの才能は圧倒的だけどああいう本来の才能は生かされていなかったのは一目瞭然。それはもちろん後の話なのでこの「Doremi Fasol Latido」だけに絞って言うならば、作品としては確かにフワフワした感が強く、それでも1972年にこれじゃちょっと古いんでは?どいう気もするけどシンセのスペイシー音がそれを上手く覆ってて、更にこのグルーブだ。上手い具合にリスナーも乗ってしまっていたのでその路線で走ることになるのだが、まだ本作はドライブするロックをひたすらに奏でているという側面が強い作品。motorheadから入った人が聴いてもさほど面白くはないだろう(笑)。

Hawkwind - Hall of the Mountain Grill (1973)

Hall of the Mountain Grill スペイシーなロック世界を変幻自在に固定観念に囚われることなくプレイし続けたバンドのひとつにホークウィンドってのが出てきて、ご存知motorheadのレミーが在籍していたバンドってことで知られるんだけど、バンドそのものもレミーの存在云々ではなくても話題性を持っていたと思うし、英国ロック史の中でも異端な存在感を発揮していたんじゃないかな。今となってはレミーの、という形容詞は外せなくなっているけど、それをきっかけに聴くファンが増えればそれはそれで新たな世界観を提供できるんだろうからね。自分的にはそんなにスペイシーなロックって惹かれなかったんだけど、Hawkwindの数枚のアルバムはやはり傑作として語られているのもあってプログレの延長という路線とレミーのいたバンドっていう意味で聴いていたかな。前者でも後者でもピンとこなくて余計な形容詞があるからいけないんだ、と言うことに気づいてからのHawkwindは純粋に英国サイケの王道だ、として聞けるので面白い。

 1973年にリリースされた5枚目のアルバムにしてスタジオ盤では多分最強のアルバム「Hall of the Mountain Grill」だ。当然ながらレミーもブイブイとその存在感を示しているけど、バンドとしてのHawkwindの凄さ多様さ奥の深さ幅の広さなどなどを掘り下げまくった一枚でもあり、それでいて従来のHawkwindが持つスペイシーなハードさというのもあるのでファンを裏切ることもなく変化していってる作品。そのど真ん中にいるのが新加入のサイモン・ハウスというヴァイオリンと鍵盤を弾く男。どうしてヴァイオリンを弾く男は鍵盤(メロトロン)も弾きこなす男が多いのだろう?きっと根っからの音楽家だから鍵盤は普通なのだろうけど。そんな純粋な音楽家がこんなヘンなサイケ集団のホークウィンドに加入してしまってメロトロンによるプログレッシブな主張を始めてしまったのだが、それを単純にコレまでのバンド構造にプラスオンしているところが凄い。普通はその分どこかが削られていくのだが、「Hall of the Mountain Grill」では見事にプラスオン。誰かの出番が減るとか音楽的に損失があるのではなく純粋にプラスオン。メロトロンってやっぱりこの時代の産物でさ、強烈にメロトロン色を発揮してしまうんで結構危険な楽器なんだよな。スピード感なくなるしさ。ところがそれをものともしないHawkwindの姿が聴けるのが「Hall of the Mountain Grill」だ。

 最初はハードなギターとスペイシーな空間のサウンドで攻めてきてメロトロンやバイオリンもちょろっと紹介。この一曲目の「The Psychedelic Warlords」でハマった人は多いんじゃないだろうか?カッチョ良いです。そこからは意外とプログレッシブ&叙情性すら感じさせるメロトロンなどが続き、恒例のドラッグ&スペイシーなサウンドが出てくる…「You'd Better Believe It」ってサイモン・ハウスが加入した頃のライブバージョンだそうで、なるほど前作「Space Ritual」の雰囲気がたっぷりと残されている曲で心地良い。

Hawkwindって結構メンバーの主張も強かったようで…そりゃまぁこれだけの放蕩者たちの集まりだから当たり前なんだろうけど、しっかりとそれぞれが個性を出すかのように曲作りや歌に参加しているという面白さ。アルバムタイトルにもなったカフェの歌「Hall of the Mountain Grill」ではしっとりとサイモン・ハウスが音楽家としての器量をオーケストレーションで聴かせてくれるのだが、そんな余韻が無残にも次のレミー快心の一曲「Lost Johnny」でぶっ飛ばされる。歌にギターにベースにレミー一色で作られただけあって、余分な装飾音が邪魔に聴こえるんだけど、面白いのはHawkwindで演奏しているからか、やっぱりサイケデリックな雰囲気に仕上がっているってとこだ。やっぱりmotorheadとは違うね。それにしても何とも充実した作品じゃないか。

 不思議なことにHawkwindってそんなバンドなんだ、と思う割に音楽性からかもの凄いロックを感じるというものではないというのが面白くて、ちょいと器用なロック好きのバンドみたいな感じなんだよね。多分メンバーは全員恐ろしくロックなハズなんだけど(笑)。割とHawkwindをど真ん中で聴いていたことはなかったので、今回またじっくりと聴けて良かったなぁ。気分を選ぶけどこんだけの名作ってなかなか出会えないから面白かったもん。

Hawkwind - Warrior on the Edge of Time 1975

Warrior on the Edge of Time シアトリカルでスペーシーでサイケデリックで…なんてバンドは英国には実は割と多く存在していてメジャーシーンでも言われてみれば、ってのはあるだろう。ただ、今のウチのブログではもちろんニッチな英国特集で走っていて、うん、何かねぇ、その辺の作品ってやっぱ面白いんだよ。スピリッツ溢れていてさ、皆が皆思い思いに考えてプレイしてみて…っていうのがさ。60年代末からのバンドは生き残りに必至だからそういうアレンジが出てくるし、新興バンドは自分達の信念で出てきてて、主張が見えるしね。もっとも周りなど一切お構いなしっていうのもあるけどさ。そんなバンドのひとつで結局大成したことがない、と言っては言いすぎかもしれないけど、コレ、っていうものは見当たらない…ってのがホークウィンド。

 1975年リリースの傑作アルバム「Warrior on the Edge of Time」です。ホークウィンドの超多数のアルバムの中でも燦然と輝く傑作として名高い作品。もちろんレミーが参加しているのも大きいんだけど、一番洗練されているってのかな。ダラダラサイケデリック的な雰囲気でアルバムが作られていたのからこの「Warrior on the Edge of Time」ではマイケル・ムアコックのファンタジー作品をネタにしているだけあってトリップ系からファンタジー系への転換が行われているという感じ。まぁ、よくわからんけど確かにダラダラ感よりもちょっと細部に耳が行くというような面は増えたね。サイモン・ハウス…ハイ・タイドっつうバンドにいたバイオリン奏者兼鍵盤奏者によるメロトロンとバイオリンの効果も大きいし、レミーのベースもかなりグイグイ引っ張ってて、後のモーターヘッドを彷彿させるのもある。と思ったらCDのボーナストラックには最後の方に「Motorhead」というタイトルの曲が収録されていて、モロにモーターヘッドな曲。そうか、ここから始まったのか…と。

 さて、アルバムはツインドラムという変わった構成でして、聴いていても、「あれ?あぁ、そうかツインドラムってこういうことね」と聴き慣れないドラムの構成にちょっと驚く。どっちがリードドラムってんでもないみたいで、まぁ、一人でも十分にできると思うのだが、友達だからってことだろうか。もうちょっと音が良ければねぇ…と思うが、まぁこんなもんだ。

 ホークウィンドって掴み所がないのでなかなか取っ付きにくいけど、この辺は聴いてしまえばわかりやすいので最初は良いかも。多分、挫折する人の方が多いとは思うが(笑)。

Head Machine - Orgasm 1970

ORGASM  Head Machineなる怪しげなバンドの唯一作「Orgasm」。今じゃもう知られているけどケン・ヘンズレーとリー・カースレイクなどを中心としたToe FatやらThe Godsやらの面々を引っさげての簡単に言えばケン・ヘンズレーの趣味アルバムと言ったトコロか。それがまたユーライア・ヒープに加入する前のお話で、1970年のリリース。この後にヒープに参加して一躍有名人ってなトコだけど、こんな妙なアルバムを趣味的にリリース出来るほどのパイプもあったワケで、才能ある人は何やっても生きていけるのだろう。実はこのHead Machineなるバンド、全員が変名でレコードにはクレジットされててケン・ヘンズレーもケン・レスリーとなってる。何を狙ったのかは知らないけど、こういう売り方ってのも試してたのかな。

 音的にはケン・ヘンズレーのこの頃にやりたかったハードロック、なんだろう。面白いのはレスリーオルガンでの歪みドライブではなく、普通に歪んだギターでのハードロック作品になってるトコだ。鍵盤ハードロックじゃなくてギターのハードロックをやろう、って決めたバンドだったのかもしれん。それでもノリはあのままでダサダサなので、どうやったってカッコイイ!にはならないトコロが不慣れなセンスか。鍵盤と同じ考え方でギターが鳴ってるからそりゃ違うだろうとは誰でも分かるのだが…。要するにリフとかフレージングってのがほぼ無くってコードとソロ、みたいなプレイばかり、ばかりじゃないけど、だから平坦になっちゃってるってのかな、そんな雰囲気で、どうしたって知られて残っているハズもないアルバムだけど、ケン・ヘンズレーだからこうして残されているってなワケ。自分的にはキライじゃないけど、どうにも的を得ないアルバムかな。

Heaven - Brass Rock 1 1970

Brass Rock 1  ロックの熱気は70年代に限る。いや、限るというか、ひたむきに愚直なまでにそれだけを貫いていたという意味で70年代はぶっ飛んでる。信じられ無いだろうけど60年末には「世界に平和を」ってフレーズが本気で信じられてて皆が皆それを願っていたし、何事にもひたむきに進んでいき、疑うことはなかった時代だ。その流れは70年代に入ってからも続き、商業主義が出てきてもそれはごく一部のお話でやってる連中は実にピュアな取り組みでロックをやってた。だから今じゃ同じことは出来ないし、特殊な要素が詰め込まれていたのも事実。うん。

 このHeavenってバンド、ほとんど知られてないんだろうと思う。1970年の唯一作「Brass Rock 1」をリリースして散ったバンド、ただし時代の産物だったことであのワイト島フェスにも出演しているし、その頃はアメリカのシカゴに対抗できるブラスロックバンドとして期待されてたという。今聴くと本気か?って思うんだが(笑)、そのぶっ飛びモノの熱気と気合とアプローチは頭が下がるくらいに熱狂的で心が疼く。ブラスロックか、と侮るなかれ、どっちかっつうとB級白熱ロック路線の中にブラスが入っているだけ、というような感じなので、主体があの時代のロックのアドリブ感や熱気や音のぶつかり合いにあって、それをテーマ的にひとつの流れに沿っていけるようにブラス勢がテーマを作っているというような感じか、聴いてみればわかるけど、単純にロック。バンドの演奏もアンサンブルもなかなかおもしろいし、何よりもこの歌…暑苦しい(笑)。

 こういうバンドが世界を制するハズもないけど、こうしてB級好きには堪らないお宝バンドとして重宝する。ギターにしても歌にしてもベースにしてもドラムにしてもかなりユニークなスタイルで、このまま普通にハードロックバンドとして君臨してくれても良かったのに、と思うくらいのプレイスタイルは喝采モノ、しかもそれをこのスタジオ・アルバム内で実現しているというのはメジャークラスのバンドでも出来なかった熱気の封じ込め、一発録りに近いから出来たのだろうけど、こりゃ凄いわ。どうしたらこんなに暑苦しく出来るんだ?ってくらいにはロック。ブラスロックって聞いてて結構興ざめで手を伸ばすのも遅かったけど、ちょっと損したかな…、でも、出会ってみれば面白くていいよ、これ。

Heavy Metal Kids - Anvil Chorus 1975

Anvil Chorus 王道ロックバンドがカネの為に再結成してツアーするという構図は90年代末頃から顕著になってきた感じで、そのおかげで明らかにロックシーンが停滞しているというのは多分現在の於いても事実なんじゃないだろうかと勝手に思ってるのだが、それは王道バンドに限らず幻のプログレバンドとか一瞬だけ輝き放ったバンドなんかにも言えて、華々しくPRされているものもあれば地道に実は再結成してました、ってライブやってるバンドまで様々なんだが、何か凄いよな。おかげで若手が入っていく隙間が減っているんだろうと思うけどどうなんだろ。それにしてもこんなバンドまで再結成してたの?っての初めてしった。

 Heavy Metal Kidsって知ってる?今回は1975年リリースのセカンド・アルバム「Anvil Chorus」ってのを取り上げるけど2003年に復活してたらしい。そもそもボーカルのゲイリー・ホルトンが既にこの世にいないんで再結成とかの次元なのか?とも思うけどなんでもありのようだ。また機会を見て聴いてみようかとは思ってるけど、まずは古いアルバムの「Anvil Chorus」から。まだ「Heavy Metal」という単語がロックのジャンルを指す言葉になる前のバンド名なのでバンドの音とメタルはリンクしてないです。メタルの申し子という意味での「Heavy Metal Kids」ではなくって単なるバンド名、しかもレーベルの誰かが考えた名前だからね。だからと言って聴く価値がないワケじゃなくて是非とも聴いてもらいたいと思うバンドなんですね。

 一言で言えばDolls系な音世界、もちっとキッチュな側面が強い英国のR&Rバンドです。まぁ、出て来た時代はDollsとほぼ同じ1973年頃なんで明らかに新たな時代性を出してきたってのはあったんだろうけどもちろんジャンルとしては成立し損ねた類のひとつ、でもスレイドとか同義にされることはあるか。自分的にはスレイドとかよりこっちのが好きで病みつきになる部分多いと思うね。シルバーヘッドと共にその世界が楽しめるバンド♪しかし「Heavy Metal Kids」と書かれたジャケットもあれば「The Kids」と書かれたアルバム・ジャケットもあるんで当時はややこしかったんじゃなかろうか。

Hedgehog Pie - Hedgehog Pie 1970

 トラッドフォークの世界とロックフィールドのトラッドフォークとは割と近似しているけどなんとなく線引きがあるように自分の中で分けている気がする…。フェアポートやスティーライってのはもちろんロックフィールドのトラッドバンドなんだけど、やっぱ純然たるフォークギターが中心になっているとトラッドフォークの源流に近いルーツバンドなんだろう、っていう感覚。ロックは進化すべきものだから純然たるトラッドに敬意を払いながらもエレクトリックのロックフィールドを持ち込むっていうのは正しい選択だし、実際に面白いから好きです。もちろんルーツも大事なのでそういうのこそトラッドフォーク、なんだろう。

 さて、もう二十年くらい探しまくっていて今でも手に入れていない幻のアイテム…CDもリリースされていないと思うんだけど、そんなのがまだまだあります。その中でも最高峰に位置しているヘッジホッグ・パイというバンド。そのセカンドアルバム「Green Lady」ってのが欲しいんだけど見たことない。ヤフオクで出てるのを今検索したら出てきたけど、そうでもなかったら見ることないもんなぁ。ヤフオクキライだからやんないし(笑)。おかげで未だ見ぬ幻の名盤、だろう、というか名盤であってほしい(笑)作品は今回置いておいてだ…、ファーストアルバムの「Hedgehog Pie」はこないだ発見したのでようやく聴けたんです。ちょっと前にCD出てたらしいけど、毎日チェックしてないし…。そんでバンド名だけで驚いて狂喜してクリックしたらファーストの「Hedgehog Pie」だった…。あぁ…「Green Lady」聴きたいねぇ〜。そういう楽しみもないとアカンでしょ♪

 んで、そのファーストアルバム「Hedgehog Pie」なんだが…、無茶苦茶良いぞ!!

 フォーク路線が強い感じなんだが、男女ボーカルがバランス良く入っていてさ、しかもアプローチがロックだからフォークだけでなくってフォークをベースにベースもエレキギターもフルートもピアノやフィドルもそこかしこで入ってくる。ただ、ドラムはほとんど入ってこないからそういう意味ではヘヴィロックにはならないんだが、面白い。これはセカンドの「Green Lady」がもの凄く期待できるバンド。シーンに登場したのは1974年なのでちょっと遅咲きなんだけど、良いじゃないですか。かなりケルティックナ旋律が入ってくるのでもしかしたらアイルランド出身者でも在籍しているのだろうか。若干知られた所ではDando Shaftのバイオリン奏者が参加しているらしいが…、ニッチな世界だ(笑)。

 この手のバンドってのはフォークにフルートやフィドルってのが鉄則でして…、いや、良い雰囲気出すんですよ。そんでもってこういう音でフォークギターが録音出来るってのも凄いんだよ。フォークの録音って難しいんだからさ…残響音とかソフトに残さないとカチカチの音に鳴っちゃうからこういう風には鳴らないし。思い入れのあるバンドだけど音自体の接触度はまだまだ低いのでこの季節にこれからヘヴィに流しておきたいねぇ〜。そんでヘッジホッグ・パイに運を付けてもらってセカンドアルバム「Green Lady」も発掘できることを期待!

 残念ながら日本のアマゾンではこのファーストアルバム「Hedgehog Pie」も手に入らない状態なのでアメリカのアマゾンへどうぞ。日本で手に入るのはなぜかUK盤のライブアルバムだけらしい。これも知らないなぁ…気が向いたら聴いてみよう〜っと。

 しかしYouTubeで検索したら「The Green Lady」の音が山のように出ているじゃないか…、聴きたいけど聴かないぞ…(笑)。

Hedgehog Pie - The Green Lady

The Green Lady [LP]  1990年頃にマーキー社から発売された「ブリティッシュ・ロック集成」というマニアックな本があってですね、当時から結構これって重宝してそれまでも英国ロックを独自で漁っていたりしたんだけど、知らないのも多くってさ、それで結構欲深くなったんですよ(笑)。特に英国フォーク系ってのはまだまだ未着手の領域だったので、この本で結構目安になったし幅が広がった。その後その手の本もいくつか出てきたんだけど、何冊かは持ってて参考にしたりしてた。ただ、こういう本になっているのを読むととにかくすごいアルバムにしか見えなくてとにかく探しても手に入らないから余計に神々しくなってしまって見つけて買った時にはもうそれだけで満足という状況でして…うん、だから音を聴いて悪いハズがない、っていう先入観なんです。どこかにいいトコロがあって、気づかない自分が悪いんだ、みたいな(笑)。だから今でもわからないのがいっぱいあるんだよな…。多分、好みじゃないんだろうしそんなに傑作じゃないし、ただ珍しいだけというアルバムが多いんだと思う。だから故に少しでも良いところをここぞとばかりにクローズアップして本には書かれているので、余計に気になるという循環なのだな。

1975年にリリースされたHedgehog Pieの「The Green Lady」と言うアルバムなのだが、かれこれ20年くらい探しまくってて、アナログ時代には一度くらいは見かけたことあるしネット時代になってからはオークションやらなんやらで見かけることは結構出てきたんだけどね、やっぱりとんでもなく高いんですよ。なので見送りしてたりして結局聴けなかった。面白いことにCDになったことがないアルバムでさ、これぞ幻のバンドっつうくらいのまでCDになっているこの時代に全くその気配なし。いや、あったかもしれないけどなんでだろ?権利問題なんだろうな。カウンターフィット盤でも出たことないし…、そこまでのものでもないってことだろうが。

 そんなことなんだけどちょいと前にネットで入手しまして…、うん、20年間聴いてみたかったアルバムを初めて耳にすることが出来ました。YouTubeのアップロード音源を聴かずしてアルバム単位で聴きました。いや、感動だよね、こうして音が聴けるってのはさ。残念ながらレコードそのものはまだ入手していなくて単に音だけをもらったんだけど…、それでもまずは良い。まずその感動が嬉しかった。持ってる人は持ってるんだな、って。

 さて、じっくりと聴きましたよ、こいつは。それこそ久々に何回もリピートして聴いててさ、いや~、ファーストアルバム「Hedgehog Pie」の方が先に聴けたし、その印象が素晴らしかったのですごく期待してたもん。男女ボーカルでややプログレッシブな方向性もありつつも基本は素朴なエレクトリックトラッドベースのロックバンド。メロトロンとかフルートとか出てくるし、曲展開が確かに凝ってるのもあって名盤と言われるらしいんだな。音を聴いて、なるほど、確かにタイトル曲「The Green Lady」は様々な要素を詰め込んだ当にプログレッシブなフォークロックという展開で面白い。女性の歌声ってのもあどけなくて良い感じだし、見事。アルバムを聴き始めた最初の方は男の歌声中心だったので「ん?」ってのがあったけど、徐々に味が出てくるアルバムの進み方かも。

 いや、躍動感も湿っぽさもドラマティックな展開も音色も可愛さもレア度も探す価値も見事にある大変美しいアイテム。ぜひこれからもまだ探し続けなければいけないアルバムだ…。CD紙ジャケで出してくれないかねぇ…。

Help Yourself - Help Yourself 1971

ヘルプ・ユアセルフ(紙ジャケット仕様)  今の時代に至るまでも英国のロックシーンはホントに多種多様なものを吸収して、そもそも新しい音楽を開発していこうなんて意識なしで勝手に新しいものが創造されていってる。何かを聴いてこういうのやりたいな、ってトコから始まって独自解釈と自分達で出来る範囲での取り組みから始まると、いつしかそれはちょいと何かとミクスチュアされていって英国独自のものとなっていく、なんてことが多い。逆にアメリカが英国ロックを真似した場合はほとんどそのままでアメリカの快活さが必ず入ってくるのでもっとシンプルになる事が分かってるからどうしてもすっきりしてしまうんだな。

 パブロックの創始者的な立ち位置にあるHelp Yourselfの1971年のデビュー作品「Help Yourself」。実際パブロックというジャンルが出てきたのはもうちょっと後だから、どっちかっつうとスワンプ=カントリーホンク的なサウンド、ニール・ヤングとかフォーク・ロックのウェストコーストサウンド系なんだけど、単純にそういう風には聴こえないのが面白い。やっぱり快活さとか本来のアメリカのカントリー的な乾き具合が事実無いからこういうしっとりな音でのカントリータッチになっちゃうんだろう、だから故に英国での独自ジャンルになっちゃうんだよね。面白い。このアルバムでももちろん狙いはCSN&Yあたりの音なのだろうけど、自分達なりの解釈が入ってるから曲によってはカントリーなのにプログレ的な展開を感じる「Old Man」なんて曲もあったりして、一言でスワンプの筆頭格、というのもどうかという部分はある。

 最初は衝撃的だっただろうと思う。クラプトンやストーンズ、キンクスなんかがこぞってこういう世界観のアルバムをリリースしていった時期だから流行していたんだろうけど、やっぱりこれだけだとしんどいよね。バリエーション豊かな曲を、ってもなかなかそうはならないし、あまりやりすぎると冗長にもなるし、そのバランス感覚を持っているバンドだけが生き残っていくことになるのは当然の流れとなった。70年代ってのはそういうのシビアだったもんね。自分的にはやっぱり好んで聴くタイプのバンドではないけど、何かとバンド名は出てくることが多いから聴いたことあった次第。リラックス出来て良いのはあるね。

The Herd - The Complete Herd

The Complete Herd Quatermassの面々の来歴、その後ってのは今じゃググれば何でも出てくるから知りたけりゃホント簡単に探せる時代なんでラクなもんだ。昔はクレジット見て自分の記憶で見たことある名前だ…って思いだして繋げていって、みたいなことしてたからね。そのおかげで役に立たない知識がたくさん付いたんだがホントに役に立たないんだ、これが(笑)。大体話す人いないから知っててもしょうがないし、まとめてるワケじゃないから記憶だけなワケで、結局どんどんと抜け落ちていくワケで、何のためにあんなに時間をかけて色々とハマリ込んでたんだろうなぁ〜と思うのだな(笑)。ま、人生そんなもんだ。

 Quatermass絡みでふ〜んって色々見てるとさ、ミック・アンダーウッドさんというドラマーが、後にはそりゃ色々なトコロでやってるから知られていったんだけど、それ以前、1960年代から活動している人なので、面白いことにピーター・フランプトンが在籍していたことで知られているThe Herdというバンドのドラマーも務めていたことがあるらしい。1966年頃だけの助っ人に近い参加なのかな…シングル数枚残されているだけだし、しかもそれがミック・アンダーウッドって個性がわかるほどの音でもないし、それこそ記録だけのお話なんだけどさ、ちょっと面白いなと思ったのはその時期のベースがルイス・セナモさんでして…えぇ、ルネッサンスのあの人でしょう、多分。それにピーター・フランプトンがギターで参加していたってお話。そう書くと何かそれなりに面白そうなバンドだったんじゃないか?って思うもんな。今みたいに簡単に音聴けないから頭の中に「The Herd」ってメモしておくワケよ。それでレコード屋行った時にちょっと思い出して探してみる…もちろん見つからないんだが(笑)。いや、60年代のバンドってシングル中心だからシングル盤探すのまではやらなかったし、コンピ盤とかベスト盤なんてのもCD時代になってからはわんさか出て来たけどそれまではある程度しかなかったからねぇ…なかなか古くて聴けなかったもんだ。

 CD時代になってからすっかりそんなの忘れてて、こうでもしなきゃThe Herdなんて聴かないだろ、探さないもん、わざわざってトコで見つけた今回の偶然。そうかルネッサンスとクォーターマスとハンブル・パイが一緒にやってるのか、と(笑)。わかってるんだけどそういうイメージになっちゃうんだよねぇ…んで、適当にコンピ盤とか聞いてみたりYouTubeで1966年頃のを聞いてみたりするんだが…そりゃもちろん全然面白味はないさ。ピーター・フランプトンだって個性出てないし他も然りだし、そもそもこの時代のバンドってどうやって皆差別してたんだ?ストーンズもビートルズもハードもキンクスもムーディーズも大して変わらんだろ、としか思えん(笑)。やっぱりルックスだろうか…、なんてこと思いながら一応聴いてみたけど、う〜ん、そんなもんです。

The Herd - Paradise Lost 1968

Paradise Lost ~ The Complete Recordings Amen Cornerってバンドが二つに分裂したもののひとつがFair Weatherでアンディ・フェアウェザー・ロウが在籍したバンドなのだが、もうひとつはアラン・ボウン達が在籍したJudas Jumpってバンドになったのだが、そっちも結構な面白さが合って英国B級な流れではそれなりに希少価値の高いバンドだった。まぁ、それ自体はアルバム一枚しか出てなくてウチでも既に書いてるんで、また書くのもどうかと思ったんでちょいとパスして、調べてるとそのアラン・ボウンさんは元々The Herdにも在籍していて云々…、The Herdですか…ってことでちょっと面白そうだったんで…。

 1968年の「Paradise Lost」ってファーストアルバム…ってもシングルヒット集みたいなもんらしい。この頃のアルバムってのはそういうもんだから別に違和感もないんだけど、The HerdってQuatermassからピーター・フランプトン、ルネッサンス云々までのメンツが在籍してたってことでそれなりに知られている割にはあまり聴いたことがなくってね、またここで聴いてみるかと。聴いてないのはどっちかっつうと興味ない音だからってのが正しくて、取り留めのない音と言うかポップでキャッチーでサイケで、別にはハードロックでもないしロックですらないのかもしれない。この時代の普通なバンドの音みたいな感じです。多分生で見たり聴いたりしたらかなり違うんだろうとか、アルバム的にはコンセプト感あって、とかあるのかもしれないけど、どうにもそこまで深入りできないバンドなだけです。

 そういうのをちょっと無視して聴いてると、結構凝ってるしビートルズ的影響もかなり聴ける正統派英国ポップスな感じもする。だからこそまるで聴かなかったのかとも納得。作品としてどうなのか?って問われると答えようもない(笑)。60年後期のあんな感じのバンドですね、ってトコだ。

Henry Lowther Band - Child Song 1970

CHILD SONG  70年代英国ジャズロックの世界は普通にジャズの要素を用いてきたものとフリージャズの世界の原点的なアプローチ、はたまたフュージョンへの布石だったりポップフリージャズとも言えるカンタベリーの世界など多岐にわたる展開を見せていた。それぞれひとつのムーブメントになったワケでもないけど、そういう実験精神から生まれて商売になっていったものもあるし、ニッチな世界を広げていった例もある。自分的にはこの辺何でも聞いたけど、電子ピアノとトランペットやバイオリンなどの不思議な音色で彩られる作品は浮遊感漂ってて好きな部類だ。

 Henry Lowther Bandの1970年にリリースした「Child Song」ってのは随分後になってから聴いたので一時期ハマってたカンタベリーに近いその音色にはちょいと興奮したものだ。してみればその筋では知られたトランペットとバイオリン奏者ってことでロック色よりもジャズ色が強い人だったらしいけど、「Child Song」を聴いているとカンタベリーな世界だ。電子ピアノがねぇ、いいんだよ、ホント。んでも、確かに歌は少ないし演奏ばかり聴かせているアルバムだからジャズ色強いんだよな。こういうのって聴いててハマれるかどうか、ってだけで、曲が良いとかどうのってのはきちんと言い切れない気がする。こういうジャズへのアプローチもあるロックの世界なんだな、っていう程度で聴いてみるきっかけになれば良いよね。

 美しい。ひとことで言うと上品で格調高く洗練された音がアルバム全編に渡って展開されている。粗野で無益な音はまるで皆無、ひとつの芸術作品として作り上げてる事が一目瞭然と分かるくらいに整った作品。それが故にロック的スタンスだと面白みはないけど、音楽的芸術の極みで言えばトップクラスの出来なことは言うまでもない。ず〜っと電子ピアノにヤラれっぱなしです(笑)。

Heron - Heron 1970

Upon Reflection: The Dawn Anthology 野外で録音されたレコードってどれくらいあるんだろ?野外ライブを収録したアルバムってのはちょっと意味合いが異なるんで別モノとしたら多分あんまり無いんだろうなぁと思う。どこかの屋敷やお城で録音したアルバムなんてのはあったりするけど、それは残響音や効果を期待してのお話だからありなんだろうね。ところが本気で田園風景広がる野外…野原みたいな所で録音した人ってのは聞いたことがない…、このHeron以外は。

 1970年に出てきた英国のフォークバンドのひとつがHeronで、同名アルバム「Heron」をここで取り上げておくけど、見事に最初から聴いて分かるように、本気で野外録音です。もうね、雰囲気も空気も透明感も温度も全部違う。残響音の無さがそう聴こえさせているのかもしれないけど、一方では会場録音音源みたいな粗雑さにも聴こえるかもしれない。音が荒く聴こえるからね。もちろんソースを整えてるのとかはあるだろうけど、ここまで音のムードに影響出るのか、って思うくらいにその差は大きい。開放的で伸びやかに音が鳴ってるのが一発で分かるし、やっている側の気分だって違っただろう。この手のバンドに有りがちな話だけど、曲が良いとかどうのってのよりも浸れるか、ってのが一番の要素で、それこそが英国フォークの深い沼への入り口で、特にこのHeronはHeroin並にヤバい。Zeppelinの「Going To California」あたりの雰囲気好きだ〜って人はこの沼へ入れます。そしてこのHeronは入り口に相応しい…。

 基本路線ギター2本と歌二人、オルガンやその他楽器が入るけどもう完全に向こう側に行ける世界でして…、どうしてこういうのが出て来るんだ?ってくらいに美しい。ヤバいわ〜、ホント。こういうの弾けるってのはやっぱそれなりに上手いというかツボを得ているんだろうし、歌だってそういうメロディを踏襲しているワケで、極端に書けばメロウキャンドルの男性版な感触か。この季節に気持ち良い天気の時に自然な川や公園や森あたりでコイツを聴いてるとそのまま溶けてなくなりたくなる気分になります。小鳥もレコードの中でさえずってるし…、ヤバい…、気持ち良すぎる…。

High Tide - Sea Shanties 1969

 ここのところ英国まみれになっててB級路線も久しぶりにアレコレ聴いているのでかなり本人ハマってしまって、時間の内中で楽しんでるね。昔はどれもこれもある意味プログレだという認識で聴いていた部分もあったんだけど、改めて聴き直してみるとなんとなくハードロック要素の強いバンドややっぱりプログレってのとかサイケ風味だなぁとかフォーク…アシッド的?みたいなのとか色々あるなぁと、細分化して聴かないとダメかな、なんてのを思ったりね。ここのところ連ちゃんで書いてるのはどっちかっつうとハードロック系統のB級バンドを書いてるね。しかも1970年から71年の間。凄い密集度だと思う。

 で、今日はちょっと遡ったところでデビューしたバンドを書いてみようかな、と。1969年リバティーレーベルからデビューしたハイ・タイド。そう、知ってる人は知ってるし知らない人は多分全く知らないっつう60年代末期の最後のヘヴィロックバンド。ある意味70年代にも通用した音を69年から出していたんじゃないかな。あ、この時期の一年って凄く大きいと思ってるので、こういう書き方になってしまうけど、たった一年の差、であることに代わりはない。

 ファーストアルバム「Sea Shanties」を聴いてみるとわかるように、初っ端からもうとんでもなくヘヴィーでねちっこい歪み方をしたギターの音が強烈に耳に刺さってくる音で、そこへ来て更に追い打ちをかけるように何と狂乱のバイオリン攻勢なワケだ。ちなみにギターはトニー・ヒルっつう人で、バイオリンはサイモン・ハウス。前者はMisunderstoodというバンドでギター弾いてた人…と言ってもまぁ、全く認識されていないと思うので説得力がないんだけど、サイモン・ハウスは結構メジャーな人なんじゃないかな。このバンド、70年にもセルフタイトルのセカンドアルバム「High Tide」をリリースするんだけど、いや、このセカンドアルバムはファーストほどヘヴィーな音じゃないけど、バイオリンが更に凶暴に暴れまくっているっていう感じで全3曲しか収録していないという作品で、完成度は凄く高いよな…。で、そこでバンドは終わってしまうので、ホークウィンドへ転籍していくっつうワケだが、最も有名な仕事としては多分デヴィッド・ボウイのツアーメンバーとして参加したことじゃないかな。アルバムも参加してるね。「Station To Station」か「Low」か「Heroes」かそのヘンだったと思う。そんなメンバーで結成されたハイ・タイドだが聴けば一発。多分誰もが唸ると思う。60年代という括りで見たらここまでヘヴィーな音を出せたのはブルーチアーくらいじゃないか?それにバイオリンだからさ(笑)。別に聴かなくても人生損するほどのものじゃないけど、心から重い音ってのはこういうのを指すンだと思う。

 CD時代に突入してからもなかなかリリースされなかった作品で、海賊版が横行していた。アナログはこれももちろんとんでもなくレアアイテムで、英国でも割と早くからレア物になっていたらしい。何回か見かけたことはあったけど、もちろん高嶺の花♪ 海賊版CDとは知らずに喜び勇んで入手して聴いたのが最初だね。それでもやっぱぶっ飛んだもん。今はしっかりアマゾンにあるから幸せな時代です、はい。

High Tide - High Tide (1970)

High Tide サイモン・ハウスという人の名前を最初に知ったのは多分David Bowieのライブ盤「Stage」だったんじゃないかな。もっともその前にサイモン・ハウスって人の名前を何かで見かけたから「ん?」って思ったのかもしれないので何が最初だったかはわからないか…。それでもさ、Bowieのバンドに入るくらいなんだから腕は確かなんだろうってことで、あまり超メジャーなバンドやアーティストとB級系のバンドの面々がクロスオーバーすることって多くないからその中では珍しい経歴を辿ることになった人なんだと思う。B級のままでいてはいけなかった人ってのか…。それに特技がバイオリンと鍵盤ってのもロック界では割と希少な人材なので大いに発揮する場はあったと思うのだが、それでもフロントにバイオリンを持ってきたバンドではなくて、サポートメンバーに甘んじたってのは本人の性格だろうか。そのサイモン・ハウスと言えば自分的には今はもちろんHigh Tideというバンドになる。

 1970年にリリースされたセカンドアルバム「High Tide」ではファースト「Sea Shanties」に比べてみれば圧倒的にバイオリンが全面に出てくる印象が強くて、ファースト「Sea Shanties」の超絶ヘヴィ圧巻バンドの音からはかなり知性を持った集合体として進化しているみたい。凄く久々に聴いてるな、これ…ってかHigh Tideそのものも久々だからファースト「Sea Shanties」も印象だけで書いてるんだけど(笑)、最初に聴いた時は怒涛のヘヴィロックの洪水が流れこんできたかのようなバンドで、しかも60年代末にこんなバンドがあったのか!ってくらいの衝撃だったんでね、立て続けにセカンドの「High Tide」も聴いていたワケです。っつうか当時漁っていた頃は凄く怪しい海賊盤紛いのCDで「Sea Shanties」「High Tide」の二枚とも1CDに入ってたやつで…、アナログ落としの音ってのもあったからかヘヴィだった(笑)。その後に何度かはCDがリリースされたりボーナストラック追加されたりとそれなりに需要があったようで、今でもちゃんとCDで手に入るバンドであるのは素晴らしい。

 さて、ヘヴィさが衰退したというワケではなく、相変わらずダークで重苦しい音を出し続けているバンドではあって、音楽性の底辺はサイケとブルースになるのだろうか、ドラムもドタバタしててハネることのないノリ、またハネることのないバイオリンという楽器があってベタ〜にベースが這いつくばっているバンドの音で、しかも4曲しか入ってないアルバムでさ、とにかくフリーインプロビゼーションが中心の音作り。構築美は皆無だけど臨場感という意味ではかなりのテンションがある。ここに若干の展開と構築美があればかなり驚くべきバンドになったのだが…。それでも「The Joke」とか突如としてほのぼのとした牧歌的なサウンドが出てきたりするとやはり英国の性なんだな、などと感じてしまう曲もあるので捨てられない。ちょいとクセになる音ではあるな、やはり。

High Tide - Interesting Times 1986

Interesting Times 90年代になりCDが一般化された頃から昔のアルバムをCDで再発しようという動きが活発になっていた。その時についでながらじゃないんだろうけど、隠れた音源やデモソースなど、またお蔵入りのアルバムなんてのをついでにリリースしてしまえ的な動きもあって、幾つかのアンダーグラウンドなバンドの未発表アルバムなどが陽の目を見始めた。自分なんかは趣味的に主にRepertoireレーベルばかりに注目していて、何せ過去のレーベル関係なしに何でもリリースしてくれたからありがたくてありがたくて…しかもボーナストラックにシングル曲とか入れてくれてさ、アナログ落としのものもあったりするんだがそれはそれで、聴くにはン万円ってカネ掛かってたのが3000円程度で聴けるんだから重宝したモンだ。片っ端から聞いてったもんな。そんな中の一枚にHigh Tideの未発表作品ってのもあった気がする。

 High Tideの「Interesting Times」という作品、作品っつうか3枚目のアルバムのデモ音源っつうか、トニー・ヒルとサイモン・ハウスで作った音そのままでドラムはドラムマシンでベースはトニー・ヒルが弾いててもちろんギターも歌もトニー・ヒルで、その他は全てサイモン・ハウスの手によるもの…70年代後半に作られたモノとか…。それが1986年頃に限定版のカセットか何かでリリースされた事があるらしく、それに目をつけたものが「Interesting Times」と言うタイトルでRepertoireからCDがリリースされたものらしい。当時はそんなに情報量ないからコレ何だろな~、ホントにオリジナルアルバムか?何かのデモとかそんなんじゃないか?なんていう疑念があったけど結局買ったんだよね。んで、聴いたらあのHigh Tideの迫力あるのとは全然違うし、がっかりした記憶がある。ネット時代の今になると、上記のようなリリースだったということもわかり、更にはHigh Tide再結成を目論んでいた二人によるデモソースで、本来はバンドとしてコイツを録音していこうというものだったらしいってことがわかったが挫折したようだ、ってこともわかる。なるほど、そういうソースだったのか。ならばしょうがない、と言うか野心的な意図があるならもう一回キチンと聴いてみるか…。

 「Interesting Times」、さすがにメイン楽器がギターとバイオリンってだけあって、かなり狂気の沙汰とも言えるくらいにヘンでバイオリンロックになっている。グルーブとかはないけどもうちょっと音の塊という形でまとめてくれれば結構な迫力のアルバムになったんじゃないかとも思うが、如何せん聴きにくい。やっぱりデモソースの延長でしかないから本質はわからないし、空想ではああなるんだろう、ってのはあるが出てくる音を聴くと何とも…ってな話。別に聞く必要もないんだろうなと。んで、昔はヘンなジャケットだったのが今はこんなジャケットで出てたんだな。でも、今じゃDL音源での販売しかなさそうだ…。

Home - Alchemist 1973

Alchemist Wishbone Ashの初期の美しさから逸脱した要因にメンバーの交代劇が語られるが、その戦犯には大抵ローリー・ワイズフィールドの名が挙がる…まぁ、戦犯ってワケでもないけどちょうどその時期からアメリカ進出を意識した音作りになっていったってのもあってファンからは受け入れられなくなってって…それはローリーの思考する音楽性の同化によるものだ的な論があったりして、まぁ、あまり真面目に考えたこともないけど、そうかもな、くらい。んで、このローリー・ワイズフィールドってアメリカ人って言われてるんだけど、Wiki見ても英国生まれって書いてあって、アメリカ人だけど英国で生まれた人なんだろうか?それとも間違い?う〜ん、昔からの通説は分からんからなぁ…。

 ってことでそのローリー・ワイズフィールドがWishbone Ash以前に在籍したことで知られているHomeというバンドの1973年のアルバム「Alchemist」なんてのを。元々そんな色々な諸説諸々の逸話を見聞きしていたのでHomeってのはスワンプでカントリータッチのバンドで、そこにいたローリーがWishbone Ashに入ったからなんて説でさ、だから自分的にはスワンプとかカントリータッチとか全然興味ないから追い掛けもしなかったワケです。けど、折角なのでどれどれ、みたいな感じで、またネットでアレコレ情報見ていると決してそんなバンドってワケでもなさそうなのでどうなんだろ?って聴いてみた次第。そしたらかなり驚いてね…こんなに英国的な音のバンドだったんならもっと前に聴けたのにな、と。やっぱりねぇ、昔からのいろいろなレビューとかアテにしちゃいかんです。自分で聴きましょう。どこがスワンプでカントリータッチでアメリカ的な音なんだ?どっから斬っても英国だろ、これ(笑)。そんくらい斬新で洗練されて透明感溢れる音、ともすればイエスとかJade Warriorのアイランド時代的な世界でもあるし、Wishbone Ash的でもあるかもしれない。そんな世界。

 アルバムジャケットも良いよねぇ、これ。三枚目にしてラスト作らしいけど、かなり出来上がった世界なんじゃないだろうか。ローリー・ワイズフィールドのギターが突出しているワケでもなくて…いや、アコギとか音楽的な所ではすごく本領発揮なんだけど音楽作品的な意味での活躍でギタリスト的な部分ではないしね、それが上手くマッチしててバンドとアルバムの雰囲気がよく出来上がってる。バンドの音もこの時代を考えれば高水準だろうし深みのある世界をやってるから楽しめるし、いや〜、もっと前に聴いておくべきバンドでした。それでも出会えたから良かった。ちょっとHomeの作品もチェックしてみよう〜っと♪

Horse - Horse (1971)

 70年代の英国ロックを知るにはレーベルもひとつの重要な指針だ…と書いた矢先にライブラリから発掘されてきたのがRCAレーベルの超無名なバンドだったりする…。メジャーレーベルから出てきたマイナーなバンドってのはマイナーレーベルから出てくるバンドよりも目立たない扱いになってしまうのはしょうがないことかもしれないので、その分聴く側からしたらものすごく情報を取りにくいバンドになってしまうのかもしれない。RCAの全カタログを年度別に整理して聴くなんてできないもんな…。RCAだったらNeonで出せよ…とか思うのだが、まぁ、そうも行かないか。

 1971年にRCAそのものからリリースされたHorseというバンドの「Horse」というアルバムだが、冒頭から曲のタイトルは「The Sacrifice」だったりしてモロに黒魔術系なのだった。こんだけ無名なのに聴いてみると面白いのは確かに一連の同時代のB級バンドと比較して音が洗練されているし、B級っつうよりも普通にメジャーバンドとしての音質と楽曲レベルを持っててアレンジやセンスも結構秀逸なのでヘンなバンドを聴くよりは全然その価値が高い気がする。楽曲もカラフルに彩られているし、もっさり感はなくて疾走感溢れる中にちょいとアレンジを施して曲に起伏を持たせている感じか。自分の好みからするとちょっと出来過ぎているんだけど、普通に考えればこれくらいの実力がなきゃいかんでしょ。さすがRCAからリリースされていただけあって、と思えるバンド。ハードロックバンド、です、念のため。

 しかしコレ、あんまり英国ロック史に出てこないような気がするけど何でだろ?RCA配給だからそれなりに数は出たんじゃないかと思うんだが、ネットで探してもほとんどヒットしないから細かい情報はよくわからんし、そんなモンかっつう部分あるけどさ。英国ロックのB級系でもやっぱりよく知られているバンドとそうじゃないバンドってあってさ、何かの境目があるんだよ、きっと。ま、騙されたと思って聴いてみてください、かなり面白いしそのセンスの良さは通じるんじゃないかな。

Horslips - Happy to Meet, Sorry to Part

Happy to Meet, Sorry to Part もちっとロック寄りなところでアイリッシュフォークとの融合を果たしてメジャーに出てきたバンドってことで、Horslipsなんてのがあった。アイルランドの伝承音楽って英国のそれとかなり似ている部分もあってそんなのを思い切りロックの中に持ち込んでくるってのは当時…1972年のデビューだからそれほど多くはなかっただろうし、ましてやアイルランドからってのは余計にね。しかし、思い切り紛争の最中だったんじゃないかなぁ…、U2が歌うところの「Sunday Blood Sunday」の頃だもん。

Horslips - Happy to Meet, Sorry to Part Happy to Meet, Sorry to Part

 Horsripsというバンドの最初のアルバム「Happy to Meet, Sorry to Part」。変形ジャケットで何とかっていう楽器を側面から見たところをジャケットにしているらしいけど、何だっけ?アコーディオンみたいなのです。んで、変形ジャケットで、かなり凝った作りなので面白みはその時点から満載してまして、ちょっと前に紙ジャケットでリリースされた時がかなりの精度で再現していたらしいですね。

 その音世界はですね…、これがまたもっと骨太なロックバンドだという先入観があったからかもしれないけど、驚くほど純粋にアイルランドの伝承音楽をベースにしたサウンドで、ロック的な側面がかなり薄い。ルックスがアレなのでこんなに繊細な音ばかりだとは全然思ってもいなくて、かなり驚いた。その分すごく新鮮に楽しめて聴けるんだけど、聴きこまないと分からんだろうなぁ、これ。ちょっと英国モノを聴いていた耳からするとやっぱりアイルランドの伝承音楽はちょっと違うんだな、っていう感触はある。どこが、ってのはよくわかんないけど、やっぱ違う…余裕、なのかな。

 時代なのもしれないけど、ハードな曲が少なくてどうしても伝承メロディに縛られたリズムとノリになってしまって、ロックなノリではないんだよね。それが結構不思議で独特のサウンドになっているんだけど、後にThin Lizzyが「Black Rose: A Rock Legend」で打ち出したようなスリリングさとは結構対局にあるアイルランドロック、か。かと言ってカッコ悪いってのでもなくてまだ模索しているトコロ、という進化系の一つですね。

Horslips - Dancehall Sweethearts 1974

Dancehall Sweethearts  自分に課したアイルランド縛りで、結構な数のバンドに取り組んでみたけど、当然ながら自国の民族的旋律をウリにして切れ味のあるフレーズを編み出しているってのは多くはなくって、もっと土着的なアイルランド風味を持ったバンドってのはもちろんたくさんあるけど、それは普通にロックの土俵になっちゃうんであまり面白みに欠けるし、はてなかなか無いものだとつくづくと実感。ましては一番求めていたロリー・ギャラガー風味なギターロックなんてのは全然見当たらない。もっともそれこそアイルランド風味があるわけじゃないのだが…。

 Horslipsの1974年の三枚目の作品「Dancehall Sweethearts」だが、これまでの作風からするとどうなんだろ、ハードさはちょいと無くなり、土着的と言えば土着的な旋律が前面に出てきているのか…、もっとガツンときたロックだった印象あるけど、本作では聴きやすく仕上げていると言うのか、音楽的には成長している感があるので分かるんだけど失った部分もあるか。ただ、アルバム自体が悪いという印象もなくて、しっかりと作り込まれていて、それこそ普通のロックの世界で勝負できるレベルの作品だけど、やっぱりアイルランドからしか出て来ないんだろうな、というようなフレーズや音色やムードなんてのがしっかりとあるからユニークな存在だったんだろうね。

 どうにも実態のつかみにくいバンドではある…、重きをおく部分ってのがよく見えなくて、そもそもロック的なスタンスなのか、ってのもあるけど音はロックだよな。フォーク部分も強いけどさ、そして何よりも旋律の哀しさってのはさすがだ。ジャケットに見られる如何にもな風情とはちょいと異なるレベルの音のギャップが楽しめる…、どっちかっつうとジェスロ・タルとかみたいな感じでもあるので、一筋縄にアイルランドのロックバンド…みたいには捉えられないのはあるけど、普通にこういうごった煮のロックは面白いので聴いてると楽しくなってしまうのは単なる好みのお話(笑)。

Hudson=Ford - Nickelodeon 1973

ニッケルオデオン (生産限定紙ジャケット仕様)  ポップって意識して聴かないと聴かないから基本的に自分のライブラリにはほとんど入ってない。70年代のでも売れ線のは無いしなぁ…ただ、ポップなんだけど違う路線から入ってるのは幾つもあるし、それはロックというカテゴライズの中でのポップであってポップスじゃないっていうのね。ま、何でもいいか(笑)。ソフトロックってんでもないし、自分的には線引出来てるんだけど説明がちょいとややこしくなりそう…。ほっといてくれ(笑)。

 Hudson=Fordというユニットバンドによる1973年のファーストアルバム「Nickelodeon」。まぁ、出自がVelvet OperaからStrawbsへと流れた二人で、バンド内対立で離脱してきて二人で組んでシーンに再登場となった一枚。何とバックにはリック・ウェイクマンも参加しているので、そりゃそれなりの人でしょ、って言いたいけど単にStrawbs繋がりだろうね。んで、Strawbsの方も妙なポップだったりするので、この二人は?ってぇと、もっと素直なポップに寄ってる感じで、何ら普通のポップス、ソフトロックと変わらないだろうってくらいに英国ならではの優しく愛に溢れた見事なポップを聞くことが出来るので、この辺好きな人は気に入るだろうね。Stackridgeとかそんな感じのポップ路線で、それでもギターとかはきちんと鳴ってるし、歪んでもいるんで単なるポップスじゃないけどさ。

 歌メロ含む楽曲のセンスの高さは流石に強者バンドをやってきた二人なので、一級品の出来映え、ソフトにメロウに聴かせるものもあればちょいとハードに聴かせるのもあり、そこにははっきりと聴きやすい歌声が入ってて実にこの時代らしいサウンドに仕上がってる。売れる売れないで言ったらそりゃ売れなかった結果はあるけど、何か一つあたって売れたら結構なモンだったんじゃない?くらいの才能はあるよね。ただいつものことだけどこういうのは「個性」がどんだけ豊かか、ってのがあるからなぁ…。

Human Beast - Volume One 1970

 先日某CDショップを散策していたところ、店内でやたらと気になるロックが流れていた。しかし、これはどう聴いても70年初期の英国のB級サウンドだよな…、このギターの歪み具合の中途半端さや、ソロでの妙〜なトーンやオーバーピークになりそうな録音技術、そしてドタバタドラムと全く読めない曲の展開、そうかと思えばえらく静かなアコギでキメる、みたいな感じで見るべきCDなど全く見ていないで、ひたすらこれ何だったっけなぁ〜、昔聴いたことがあるような気がする…と思い出そうと懸命になっていたのだが、レジ前の演奏中CDを何気なく見ると、そう、堂々と見てはいけないのだ。何気なく、見るワケで…いや、この辺はこだわり(笑)。そうするとこのジャケットが出てきたんだよな。

 そうか、コレか…、と苦笑いしてしまった。ヒューマン・ビースト。デッカから1970年にリリースされたバンドで元々はスコットランド出身のバンドで、まぁ、いつかは知らないのだが多分70年のフリーのツアーに前座として同行したことがあるらしい。音は先ほどの通りなのだが、意外や意外、なんとトリオ編成のバンドだったのだ。聴いてみるとブラック・サバスまでとは言わないけれど、かなりヘヴィーな音と美しいアコースティックな曲が混在していて、サバスと同時期に同じような試みで世間にアプローチしていたバンドでもあるワケだ。こっちはこの一枚、しかもタイトルが「Volume One」だからさ、「2」をリリースするまでには至らなかったワケで、一枚しかリリースされていない。もっともその一枚で任務完了っていう感じはあるんだけど、サバスとの決定的な違いは売り出す時のコンセプトだね。それ以外はそんなに大差ない、と言っては失礼なのだが当時はどっちに転んでもおかしくないレベルだったと思う。ホントに恐ろしくヘヴィーでダークな雰囲気は持っているし、まぁ、ギターがね、ホント変わってるっつうか不安定っつうか、チューニング合ってるのかなぁと首をかしげたくなるようなフレーズも多くて楽しめる。

 久々に聴いてこんな面白いバンドあったっけ?って思ったくらいに楽しめた。20年近く前から英国B級サウンドにも親しんできたけど、今はまた聴く耳が変わってきている部分もあるんだろうな、かなり楽しめるのかもしれない。そう思うとまた英国B級の世界を復習したくなってきたんだけどなぁ、今よろしくないことにこのバンドも含めてかなり紙ジャケで再発されているので割と簡単に手に入るってことだよな、それは危険だよ…と一方でビビってるんだが…(笑)。基本アナログで持ってるものはCD買わないしね。ま、このバンドも15年くらい前にCD化されたような気がするが…。

 …てなことで、英国B級ど真ん中と言わんばかりのバンドなのだが、この手の音が好きな、というか何でもアリのヘヴィロックに楽しみを求めるならば実に楽しめる一枚。こういうの目覚めるとよろしくない気がするけど、今なら紙ジャケですぐ聴けるんで良いかも。あ〜、こういうバンドいっぱいあるなぁ…しばらく続きそう(笑)。

Hummingbird - Hummingbird 1975

ハミングバード(紙ジャケット仕様)  やっぱりさ、こういうの漁ってて一番おもしろいのが英国ロックなんだよ。他の国のでこういう追いかけ方ってしないからわかんないけど、多分出来ないんじゃないかな…、ってのは、一人のミュージシャンからの派生がどんどんと繋がっていくってこと。他の国のでももちろんどっかで繋がっていくんだろうけど、英国の70年代のはホント、面白いくらいにあっちこっちで繋がっててね、それがロックという基盤を作ってたみたいな感じでね、楽しいんです。

 それで今回はまたしてもボブ・テンチがベック・グループ解体後にそこのメンバーを中心にして組んだバンド、Hummingbirdの1975年リリースのファーストアルバム「Hummingbird」です。冒頭からモロに今想像できるベックのサウンドそのまま。あれ?いや、そうじゃなくてこのHummingbirdにベックはいないんだからそんなハズないんだけどなぁ…、でも聴いてるとそんな感じ(笑)。ボブ・テンチの歌声もここでの方が抜けきってる…やっぱベックの曲だと歌が生きないのかもね。元々実力ある人だからこういう風に伸び伸びと歌っていけば力量発揮できたんだろうけど、なんかそこまで出せてなかった気がするな。だからここでのボブ・テンチの歌はGass時代のように見事な歌いっぷり。そしてこのサウンド、クロスオーヴァーなサウンドってのかな、自分的には得意じゃないサウンドだけど、この頃出てきた音だよね。

 んで調べてみればBernie Hollandってギタリストが良いギター弾いててさ、ん?ん??って感じで…、そっか、ニュークリアスやパトゥーに参加、Judy GrindやLove Affairにも参加ってさ、正に英国B級まで入り込んでた人ってことですか、なるほど、それでいてこのギターサウンドをここで出し切っているってのは実力の出し惜しみすることなく才能発揮の場所ってとこだ。ニュークリアスやってたらこれくらいチョロいわな。しかしマックス・ミドルトンの鍵盤ってのがこんなにも個性的だとは…、だからベックの音みたいに聴こえてしまったのだろうけど、リズム隊も含めてどっぷりと楽しめるサウンド、ちょいと洗練されすぎてるかな。フュージョンに近いもんな…。

Hummingbird - We Can't Go On Meeting Like This 1976

密会(紙ジャケット仕様)  ボブ・テンチさんってベックのトコロでやって有名になった人で、そこから名前を知った人も多いと思うし、実際そこからが売れっ子ミュージシャンへの道のりになったようだけど、職人芸的に色々やってて、好みはやっぱり黒い系のギターや歌やノリなんだろうね、やってる仕事が大抵そういうのばかりで、コテコテに暑苦しくてわかりやすい。ただ、それでもやっぱりセッション・ミュージシャンという枠組みからは出られない印象もあるんだけど、それは自分だけかな、ナイスなサイドマンという感覚なんで…。

 Hummingbirdの1976年リリースの2枚目のアルバム「We Can't Go On Meeting Like This」。ベック・グループから派生したバンドがHummingbirdで、メンツはボブ・テンチ、マックス・ミドルトンにバーニー・ホランド、そしてこのアルバムからはドラムにバーナード・パーディーが参加、そしてクライブ・チェアマンと凄いだろ、って言うか、渋いだろ、って感じかな。その筋では有名な方々なんだけど、その筋でしか通じない有名度合いでして…、そんなマニアな連中が集まって超絶なR&Bグルーブバリバリのソウルをやってる。ん〜、でもロックなんだろうな、これ(笑)。やってることは明らかにR&Bベースな音で歌だってあの調子で真っ黒の暑苦しい歌だし、リズムだってベースだって真っ黒系だし、鍵盤がロック的なのか…、出てくる音は限りなく黒に近いロック。しかもドライブ感が凄い。これはもう偏にドラムの素晴らしさがそのままノリに出ているというトコロか、凄いグルーブ感。

 そこに歌もギターも鍵盤もベースも見事に真っ黒な連中がブイブイとやってくれてるから女性コーラス陣も入ってきてそのまんまの世界。なんでロック畑にいるんだ?って思うが、聴いてるとロックなんだよ、それでも。何だろうねぇ、その境目。面白いわ。曲だって結構ノリが良いし演奏も良いし斬新なバンドだったし、メンバーの知名度もキャリアも見事なモンなのに当時はなかなか売れなかったのかな。今でもそりゃ玄人向けのバンドになっちゃってるけどさ、もっと知られても良いバンド。

Hunter - Hunter 1977

威風堂々(紙ジャケット仕様) 1977年の普通の英国のバンド…ハードロックと言うにはポップ過ぎるキライはあるけど多分ハードロックと言われるHunterの作品「Hunter」。NWOBHM人脈では後にDemonに参加するメンバーの前身バンドとして知られているらしいが、断言しておくと、そこから入る人にこのHunterは聞く必要は全くない。普通に英国ロック好きの自分からしてもさほど面白い点が感じられないくらいなのだから、もっとハードな所から来たらまず受け付けないだろうと。…とは言えども面白い試みはいくつもしてて、まずフィドル…バイオリンが普通に入ってたり、トロンボーンが出てきたりと、何なんだ?ってくらいにトーンがヘン。バンドの音そのものは基本的にロック…、ロックだな。時代はパンクの波も超えた辺りなのにこんなにファンキー的だったりダサいロックだったりして良いのだろうか?ってくらいだ。

 Youtubeに残されているビデオのクレジット見るとラリー・ペイジ提供でディレクションは何とキーフという英国ロック好きからしたらそれなりの面々で作られているからレベルは高いのだが、肝心の曲がねぇ、どこが良いとか何も言うことなし。古くからやっててこうなってるならともかく、ここでこんなの出て来られてもさ…、って感じのダサさ。アメリカナイズな所は分かるけど、どこのファン層が気にいるというんだ?BCRファンか?パワーのないパワーポップの類というような印象すらあるHunter、本気でダサいんで試してください(笑)。

Hustler - Play Loud 1974

Play Loud  プロデューサーによってバンドサウンドが変わる、それでいてプロデューサーは自身のアイデンティティを保ったまま様々なバンドをプロデュースしていく、それってとっても難しい事じゃね?みたいに思えるし、音を聴いてプロデュースしたのあの人、みたいに分かるのって多くはないだろうし。著名な人達のでもそれはわかりにくい。そりゃ元々がバンドの音ありきで、そいつをいじくり倒していくんだから限界あるもんな。それでも個性的な音のまとめ方とかあって、有名なプロデューサーってのが出て来るんだから凄いよな。

 ロイ・トーマス・ベイカーがプロデュースのHustlerという英国のバンドの1975年リリースのセカンド・アルバム「Play Loud」。クイーンの繊細な音作りとは異なり大雑把なバドカンタイプのハードロック・ブギバンドの作品なので、どこにその力量が発揮されていくのか…みたいなのはあるけどね、英国はホント色々ある。深い。軽快で心地良い聞き慣れた感のある70sならではのシンプルなロックが鳴ってくるけど、聴いているウチにどうにも何かに似てるよな…とふと思い当たる。そっか、ポール・ロジャースの声とリンクしちゃうのか、と。バドカンのもうちょっとハード版と言った曲調が並ぶ快作で、何ら悪いところもなく軽快に楽しませてくれるのだが、どうしたってそれ以上にはならないという哀しきアルバム。このセカンドでバンドは活動終了になったみたいだけど、ロイ・トーマス・ベイカーを引っ張り出せたんだから大したもんだろう。

 1974年だからまだロイ・トーマス・ベイカーもQueenで一旗上げる前、割とこの人ブルースロック系とかドロ臭いのもやってるんだよね。Queenと関わったあたりからは商業路線系へも着手していってAORなんていう正に打ってつけの世界に入っていくんだけど、そういう意味で昔から一度はやってみたいプロデューサー別のアルバムの聴き直しってのも考えなきゃ。そんなにメジャーなプロデューサーってのも多くないし、この辺ってエンジニアとも絡めると結構な共通項での楽しみ方ができそうなんだよな。

Ian Carr - Belladonna (1972)

ベラドナ(紙ジャケット仕様) 英国ジャズシーンの帝王とも言うべきイアン・カーによるNucleusは一旦の解散を決めてシーンから身を引くが、その狭間にはしっかりとイアン・カーがソロ作品を制作していたみたいで、まぁ、今じゃ実質の申請Nucleusのアルバムとして捉えられているんだけど、アルバムとしてはソロ名義の作品が「Belladonna」。

 1972年にリリースされているNucleus的に数えれば4枚目のアルバムに相当するイアン・カーのソロ作品「Belladonna」。まぁ、メンバー的には後のNucleusを構成する人員で占められているので、当然ながら同じ傾向として聴く。それも音的にはさ、完全に電子ジャズの世界で、しかもトランペットなもんだから全く電子マイルス・デイビスの奏でていた世界観に通じるものが大きいし、それでいて英国な湿っぽい部分がしっかりと出ている…、そして面白いのはアラン・ホールズワースのギターが要所要所で面白いように活躍しているところだ。この辺かなり職人芸を発揮している感じで、まだまだ成長過程著しいアラン・ホールズワースのギタリストとしての姿勢が伺えて耳を引く。同様にロイ・バビントンのベースももの凄く耳に付くラインで、花形のメロディー楽器にまるでヒケを取らない存在感。この辺の音の融合性とかは見事にバランスの取れたメンバーによる音のぶつかり合いで面白い。更に曲によりけりだだけど、パーカッションが目立つんだな、これ。ヘンなの…。

 完全にジャズの作品って云える音なんだろうけど、やっぱりロックなんだよな。何故か。リズムとか違うからかね。その辺の境目が実に面白くて後にソフト・マシーンに移っていくってのも分かる音世界。トランペットって楽器が既にロックじゃないハズだけど、しっかりロックのフィールドに持ち込んで発揮している。でも、ジャズ(笑)。どんな気分の時に聴く作品なんだろう?今となってはあまり聴く機会のない作風かもしれない。ただ、入ってる音は凄くモダンでクールなサウンドなので、プログレとかフュージョンなんていうカテゴライズという概念は壊して、れっきとした英国ジャズロックのの王道として聴けるものです。最後の曲ではアラン・ホールズワースが大活躍。知性を感じる音を作りこんだイアン・カーのソロ作品名義の「Belladonna」はかなり聴き込む価値ありです♪

Ian Hunter - Ian Hunter 1975

Ian Hunter  圧倒的なカリスマと共に仕事をすることの多い、そしてそのカリスマに気に入られる程の美男子…と云うのか好青年と云うのか、どうにも不思議な存在が、そして大してギターの腕前も優れているワケでもないのに重宝がられるというミック・ロンソンだが、デヴィッド・ボウイという稀代のスーパースターとの仕事でロック界の貴公子としてもてはやされ、その後も伝説的ですら合ったモット・ザ・フープルにミック・ラルフスの後釜として加入、そして更にユニークなことに、そのモット・ザ・フープルの圧倒的カリスマだったイアン・ハンターがバンドから離脱する際に引き連れていったのもミック・ロンソンだったワケだ。この二人はミック・ロンソンが亡くなるまで続いていた友情で、かなりウマがあったようだ。

 そんなイアン・ハンターが1975年にモット・ザ・フープルを脱退して最初に作ったアルバムがセルフタイトルの「Ian Hunter」というアルバム。自分が探していたアナログ時代にはほとんど見かけたことがないアルバムで、こんなジャケットだったんだなぁとしみじみCD時代になってから痛感する一枚でもあるんだけど、およそイアン・ハンターらしくはないジャケ。でもねぇ、やっぱりモット・ザ・フープルの顔だったイアン・ハンターのファーストソロアルバムなワケで、そもそもこういう音を続けたくてバンドを離脱したワケだからこの人のソロ作品が最もモット・ザ・フープルに近いサウンドになるのは当然と云えば当然のことで、これこそモット・ザ・フープルの音楽性だろ、と突っ込みたくなるくらい。強いて云えばちょっと垢抜けたっつうかイアン・ハンターらしさが出ているってトコかな。冒頭の「恨みつらみのロックンロール」だっけ?凄い邦題だよなぁと思うんだけど、確かそんな感じだったと思う。以降彼の代表曲になっていったしね。正にモット・ザ・フープル調の軽快なロックンロールで妙なテンションの高さも良いねぇ。別に誰にでもオススメっていうアルバムじゃないけど、こういうのにハマっていくとロックンロールの面白さって倍増するような、ね。

 この人って多分凄く繊細で優しい人なんだろうなぁって思う。だからロックンロールやってても軽さもあるししなやかなんだよね。で、この後の「You're Never Alone With a Schizophrenic」っていうアルバム…これが一番有名だと思っているんだけど、こいつでは更にその優しさってのが出ていてさ…、モット・ザ・フープルってもっと攻撃的なバンドじゃなかったんかい?って思い直すくらい秀作でね。うん、この人の名義だとDVD出てるんだな、これなら簡単に見れるのか…。

Idle Race - Idle Race 1969

アイドル・レース(紙ジャケット仕様)  一方の天才少年ジェフ・リンは60年代後期からIdle Raceというバンドで活動していたことは既に知られての通りだが、ロイ・ウッドのThe Moveがシングルヒットを続々と放っている頃にまだまだ売れないバンド的な活動しかできておらず、良作をいくつもリリースして、玄人肌にもウケが良かったのだが、なかなか商業的な面には結びつかなかったようで、その辺がジェフ・リンの才能と現実の狭間で、The Moveへの参加と現メンバーとの関係性ってので揺れていたのかもしれない。結果的には正解という道を歩むのだが、そんなIdle Race時代の音源もちょっと聴いてみた。

 セカンドアルバムにしてセルフタイトルのアルバム「アイドル・レース」を1969年にリリースした…とは言ってもこの時代だから多分シングルが先行していて寄せ集め的っていうのかもしれない…、そこまで追いかけてないからよくわからないけど、アルバムを聴く限りはどれがシングルヒットしていてもおかしくないくらいのクォリティだし、全く今のジェフ・リンの才能を隠すものでもなくって既に全開している状態です。特に「Rmeinds Me Of You」とか「Mr.Crow and Sir Norman」なんて極地じゃない?前者は聴いた時にTravelling Willburysを思い出したくらいジェフ・リン独特のメロディが既に出来上がっているし、後者は完全にビートルズチックでありながらもしっかりとカラフルなメロディを打ち出したふざけた作品で(笑)、こういうユーモアってのは同時代で理解するか大人にならないとわからないものかもしれない。英国独特だよね。

 全体的にはもちろんキャッチーで楽しめるメロディ満載で、ファースト「バースデイ・パーティ」ほどではないだろうけど、筋の通ったIdle Race的作品と言えるんじゃないかと。Webであれこれ探してもどうしても「バースデイ・パーティ」の方がレビューが多くて「アイドル・レース」の方は詳細がよくわからない部分あるけど、まぁ、音だけ聴いていると好みは別としてなるほど良質なポップスを奏でるアルバムだと納得する。そしてジェフ・リンがロイ・ウッドとくっつくのも確かにギャンブルだっただろうと。残されたメンバーはどうしようもなくなったようだが、それはそうとしてIdle Race時代の曲を焼き直してどこかでプレイしても全く古さを感じさせない曲だろうと思う。

The Idle Race - Back to the Story Back to the Story

If - If (1970)

If 英国ジャズロックの系譜と言っても自分自身それほど詳しく追求しまくってはいないなぁ…とこういう流れを考えた時に思う。やっぱり好みが微妙に分かれてくるのも事実。それでもですね、自分のブログを見直してみると「あれ?こんなの書いてないんだ?」ってのも結構あってさ…、その中のひとつに英国で1970年にデビューしたブラスジャズロックバンドとして割と名を馳せたIfというバンドがある。

 1970年ファーストアルバム「If」でデビューして、その後立て続けに5枚くらいアルバムをリリースしていくバンドなんだけどメンバーチェンジも激しくて、結構多彩なメンバーが名を連ねている。そんなイフのファーストアルバム「If」だけど…、いや、これまた何とも形容しがたいロックな音ですねぇ。簡単にジャズロックとかブラスロックとか言うレベルは完全に超えてまして、何とも言えないマイルドな英国の田園風景が見えるかのようなサウンド。シカゴとかBS&Tのようなブラスジャズロックと言われるけど、自分的には曲によってはGnidrologのようなイメージ…いや、フルートが暴れてたりするからさ、管楽器奏者は結局二人くらいでブラスしてるんだけど、インパクト強いんだな、使い方が。でも、実際は繊細な作り込みをした上でのインパクトなのでその実バックの楽器の音とかが凄く美しい。ギターにしてもベースにしても。こういうバンドにアラン・ホールズワースが入っててもおかしくないなぁ…。

 同じ英国ジャズロック的サウンドでここまで温かみを持てるのはどういう違いなのだろうか?Nucleusほど冷淡には聴こえないんで、まぁ、人間らしいっつうのか、ロック寄りってことなのか、親しみ持ちやすいなぁ、このIfってバンドは。なかなか評価されにくいバンドってのととにかくWebでは検索できないに等しいバンド名がよろしくない(笑)。今ではどれだけこのバンドって語られることがあるんだろう?なんて不思議に思ってしまう、そんなバンドだけど、音は多分気持ち良いので好む人多いはず。ちなみに半分くらいがインストなので歌モノ好きな人は難しいかな。でも、かと言ってインストが強烈に突っ走るってほどでもないのが中途半端な立場なんだ(笑)。その歌もかなり暑苦しい感じの男歌声なのだが…。

If - If 4 1972

If 4  一人でハマりまくって聴くのも良いけど、やっぱりロックってのは発散していくモンだしなぁ、とジャズロックと言えどもそういうのってあんだろ、ってアレコレ漁っててそういえば…って想い出したのがIfってバンド。イフ、ね。ブラスロック代表共言われるけど、ギターが結構頑張ってて、見事に歪んだギターとブラスが融合しているジャズ的アプローチを取り入れたロックバンド、でもあって、世間的(?)に名盤と言われている「If 4」はライブアルバムなのでその熱気が存分に収録されているのだ。

 1972年リリースとなるIfの4枚目の作品でライブアルバム「If 4」。冒頭からジワジワと来るイントロ、そこにギュワンギュワンしたギターが被さってきて瞬時にしてロックの世界に引っ張られる。そこで繰り広げられるアンサンブルはフリーロックとも言える世界だけど、トーンダウンからはブラウが大活躍してのアドリブで曲を自由に転がしまくる…、そこでもバックは、特にベースは明らかにロックのアプローチでしか挑んでこないのが頼もしい。そんな音での大げんかを繰り広げながら実にハードに熱くエネルギーをぶつけあってくれる姿が聴ける。仏にロックのアドリブでのぶつかり合いと何ら変わらないテンションが聴けるのは面白い。それでいて音も分厚いし乱れることもないという上手さ。

 更にそれでいて面白いのはしっかりと歌も聴かせるというポップシーンへのご挨拶も出来ているというか、これで歌入れるんだ…ってくらいに普通に入れてる…当たり前だけど。音だけ聴いてるとそんなのいらないのにな、って思うけど、だからこそ聴きやすくなってるのはある。どこでもヘヴィーなギターがいいなぁ、これが絶対自分の好みなんだよな、だから聴いてて聴きやすいっつうか聴き応えあるってか…曲の面白味ではなくて楽器の面白味…、これもまた一般的には受けないんだろうけど、ロック的な解釈なら名盤です、うん。

Iguana - Iguana 1972

 ジャズ・ロックってさ、ともすればブラス・ロックと同義にされてしまって、自分が思うジャズ・ロックとはちょいと趣を異にすることが往々にしてあるので、キャッチコピーは鵜呑みにしないんだけどね、ちょっと騙されてみてもいいか、って思う時がある。その要素は主にジャケットだ。ジャケットによって、その許容範囲が結構広がったりするし、言葉では言い表せないけどツボにハマるケースもあって一概にこうだから良いとかダメだとか言い切れないことも多い。基本ブラス・ロックってのはさほど興味を引かないし、どっちかっつうとブラスの音が邪魔にすら感じることが多い。それはコンガとかの類も同じで、無くてもいいんじゃね?ってのが多いからそう思うだけなのだろうけど、効果的だ、ってのをあまり聴いたことがない。ストーンズの「悪魔を憐れむ歌」とかは凄いけど…。

 ジャケット、強烈でしょ?1972年リリースの「Iguana」というバンドの唯一作、かな?多分。メンバーの来歴とか色々あるらしいけどよくわからん。ただ、このジャケットでもちろん当時はダブルジャケットの見開きなので強烈なインパクトを放っていたハズだ。何かを期待しちゃうワケでね…、聴くワケだ。ジャケットのイメージとは裏腹に、どちらかと言えば可愛い目だけを見ていれば納得できるのかもしれないブラスとコンガと、そしてスーパーファンキーなベースと16ビートカッティングバリバリなギターと暑苦しいボーカルによるダンスサウンドが飛び出してくるのだ。コレ…英国ロックの歴史の中に入れて良いのか?ってくらいに何か違う(笑)。いや、相当違う(笑)。

 メンバー写真見るとちゃんと白人…少なくとも真っ黒な黒人ではないワケで、それでこんな黒い音なのかい?しかもちゃんと湿った音の中でファンクしてるからおかしいワケで、歌だって思い切りファンキーなくせにちょっとおとなしくなるといきなり憂いのある湿った声になっちゃうというチグハグ感。なんだかなぁ、一体これ、どういう評価だったんだ?別にお薦めもしないし聴いたことを自慢するものでもないけど、ひっそりと好む人が多い気がする。中間の演奏なんかは明らかにブリティッシュ・ロック。ヘンなの〜。

 まだまだこういう訳のわからない英国ロックなバンドが発掘されてくるんだなぁ…やっぱり深いわ。

Illusion - Enchanted Caress 1979

Enchanted Caress: Previously Unreleased Material 最近ウチのネット環境が非常に悪くなっていて接続できないなんてこともあってイライラしていることが多く、いかんいかんと冷静になろうとするのだがこれだけネットワークありきの生活に慣れ親しんでしまうと遅いだけでストレス溜まるし、接続できないなんてのがしょっちゅう発生したらそれはもう世間との断絶じゃないかと思うくらいに情報不足に見舞われるので、ま、ここで言う情報ってのは一般的なものではなくってマニア的なもの、という意味なのだが…。そんなイライラを解消すべく、しっとりとしたものでも聴かねば、ってことで…。

 1979年録音の幻のバンド、イリュージョンの三枚目「Enchanted Caress」、しかも発掘音源として1990年にリリースされて初めて陽の目を見たCD。ま、バンド自体は幻でもないけどこのアルバムはかなり幻だったらしい。当時どれだけ騒がれたかってのはよくわかんないけど、そもそもイリュージョンの三枚目があるとか、以降発掘されるようになったB級プログレバンドのスタジオ作品なんて別に存在が仄めかされたりしていたこともないので、単に驚きを持って迎え入れられたというだけだとは思うが。まぁ、ファンタジーの二枚目とか、クリアー・ブルー・スカイの二枚目とかさ、あってもねぇ…。ま、嬉しいけど。

 ってなことで発掘されたイリュージョンの三枚目の作品「Enchanted Caress」なんだけど、初っ端から美しい「Nights In Paris」で多分ほとんどの英国ロック好きはノックアウトされると思う。マギー・ライリーやサリー・オールドフィールドの世界とはまた異なる独特のジェーン・レルフの歌声と楽曲のポップさ、というか英国らしい雰囲気の中に響き渡る声が素晴らしいのだ。この雰囲気の良さはアルバム全編に渡って一貫していて、とても1979年の作品とは思えないくらい70年代初期の英国ロックの香りがプンプンする名作。うん、そもそもイリュージョンのアルバム全部がそんな感じなのでどれもこれも凄く好きなんだけど、ファースト「Out of the Mist」の美しさは有名なのでもちろん聴いてもらいたいけど、実はこの「Enchanted Caress」もかな〜り美しい。英国フォークプログレっつうかプログレって言葉はいらないんじゃないかなぁ。

 イリュージョンっていうとジェーン・レルフのイメージなんだけど、結構ジム・マッカーティも歌っているんだよね。どちらもソフトな歌なので作品の質に影響はしないんだけど、いいなぁ、こういうの。さっきのイライラなんてすっかり忘れてしまって、作品にハマってる(笑)。全編一気に聴き通せる素晴らしさ。ちょっとユニークなのは「Slaughter on 10th Avenue」というインスト曲ではギターソロをフューチャーしていてかな〜り浮いている(笑)。でも悪くないね。

 そして最後にはボーナストラックとしてキース・レルフが感電死する12日前にレコーディングしたという最後の楽曲「All The Fallin' Angels」が収録されていて、涙をそそる。自分の死とを知っていたワケじゃないだろうに、何故にこんなに悲しい歌を最後に録音していたのか…。素晴らしい。そういえば、この人の音楽的趣味ってのはホントに幅広かったというのか、運の良さでシーンに残っていたのか…、奇特な人です。

The Incredible String Band - The Hangman's Beautiful Daughter 1968

The Hangman's Beautiful Daughter 似たようなバンド名だと割と混同してレコードやCDを買ってきてしまうことも昔は結構あって、ただそれでもそこまで名前が似ていなかったことで救われていたのがThe Incredible String Bandというバンドで、前述のString Driven ThingとはまぁStringだけしか共通していないのでバンド名が被ることはなかったけど、どっちがどんなバンドだっけ?ってのはちと混乱したこともある(笑)。音を聴いてしっかり認識していれば全然異なるのでそんな混乱はないだろうが、まぁ、探している段階だとしょうがない、ってことで。

 そのインクレディブル・ストリング・バンドの三枚目「The Hangman's Beautiful Daughter」だが1968年頃のリリースなのかな。英国フォーク界では有名なジョー・ボイドさんプロデュースによるバンドってことで知名度は少々あるのではないかと…。そしてこのジャケットも結構見られたりすることもあるんだけど、オリジナルの英国盤は裏面にあるメンバー二人の写真の方だそうで、オリジナル盤まで探したことのない自分はあまり認識していないけれど、こっちの方が味のある雰囲気が出ているってのもある。

 中身はですねぇ…、フォークです。もちろん。ただし相当アシッドな雰囲気の漂うフォークでして、シタールやらタブラやらと変わった楽器がいっぱい鳴っているのでどこの国の音?ってくらいに不思議なサイケでアシッドなフォーク。ただ、ドラッグ系ではないような感じもするのは知性を感じられるから?いや、これに知性を感じるってのはヘンだろうけど、かなり練られてるもん。そういうスジ論がしっかりしてるから音としても飽きずに聴けるという面白さがあるんじゃないか。これだけ煌びやかなのに「SGT.Peppers...」的にならなかったのはクールなセンスではないかと思うし、どちらかと言えば「Satanic...」的な雰囲気だね。しかしまぁ、愉しい音を出していて、中には13分強にも及ぶ組曲まで入ってる。やっぱりその辺の影響は受けているな(笑)。

 まだまだ実はあんまりきちんと聞き込めていないバンドでもあって、深く書ききれない。なかなか見つからなくて、一番集めていた時期には手に入れてなかったのでかなり後になって聴いたアルバム、っつうかバンドなんだよね。だからちょっと記憶から遠ざかっていて、今回また聴いてみたってトコなのでちょっと思い入れも浅いしな…。ま、それでもまた聴く機会があっただけ良かった(笑)。

 そういえば、今年40周年記念と話題になっているウッドストックにも出演していたらしい…、記憶にないのか映画には出ていないのか今回リリースされたのか調べきってないけど、そういうバンド。さぞや雰囲気にはマッチしたことだろう…。

The Incredible String Band - The Incredible String Band 1966

Incredible String Band 今時ブログなんてのを真面目に更新して書いてる人も多くないし、アルバムレビュー…レビューっつうか好きで書いてる人も多かったけどもちろん減ってるし、Googleの酷い所は更新されないブログなんてのは検索順位がどんどん下位になっていくもんだからパッと検索しても出て来るのはレコード屋とかのサイト系ばかりで個人の感想文みたいなのが全然見つけられず多様な意見を目にすることが少なくなってきた。アマゾンレビューくらいしか目にしないでしょ?ある意味怖いよね。だからバンドとアルバムで検索しても入ってくる情報がちょっと前に比べると格段に減ってる。その情報が他のトコに移行しているかっつうとそんなことなくてただ単に目につかなくなっていってるだけ。結局商業主義に乗っ取られていくって現象になっているんだよな。

 String Driven Thingのフォークとバイオリンなんてのを聴いてたからそういえば…って思って引っ張りだしたのがThe Incredible String Bandです。とりあえずファーストアルバム「The Incredible String Band」、1966年の作品集…作品集ってのは個々人やデュオでの寄せ集めであってバンド単位でのアルバム名義ではあっても中味はそんな感じなので。でも、冒頭からThe Incredible String Bandの本領発揮とも言える素朴なフォークとバイオリンの音色の美しさやフルートとの絡みなど英国なんだけどそこに国籍不明の音色を持ち込む事でとっても不思議感を出してくれているという作風。そういうエッセンスがなきゃ普通にトラッドフォークの部類なんだけど、その試みがロック的で受けていたって事なんだろうか。1966年だからねぇ…、そういう意味では革新的ですらあるアルバムとして聞けるんじゃないだろうか。

 歴史的背景はともかく、昔はどこか取っ付きにくい感じもあったThe Incredible String Bandだけどこうして普通にファースト・アルバム「The Incredible String Band」を聴いてみるとなかなか聴きやすくてユニークな試みだっていう風に思える。これも自分が色々聴き漁っていった後に聞いているからなんとなく理解できるって事なんだろう。慣れてる部分が多いからか聴いててちょっとハマっていく部分あるしね、やっぱこういうのが根っこにあるんだよな…って。ピンク・フロイドなんかだって結局そういう部分あるしさ。そんな風に聴いてるけど手に取りにくい音ではあるか。初期ディランなんかとの比較もされることあるみたいだけど、まるで異なる方向な気がするが…、自分が未熟なだけだろう。

Indian Summer - Indian Summer 1971

Indian Summer  1971年英国RCA傘下のネオンレーベルからのリリースで、ジャケットがキーフの作品ということで共通項のあるバンドがIndian Summerっつうマイナーなバンド♪ ジャケットのモチーフが違うけどなんとなく構図が似ているというのも面白いね。肝心の中の音に関して云えば、そうだな、決定的に違うとまでは云わないけど、かなり違う志向のバンドではある。

 いわゆる4人編成のバンドでキーボード兼リード・ボーカルってことなのでライブ映えは良くなかっただろうなぁと勝手に想像しちゃうし、もちろんそんなの見たことないんで中ジャケットの写真に頼るしかないんだけど、うん、英国のB級路線のいかがわしい風貌がなかなか良い。サウンドは取り立てて書くほどのモノではないのだが(笑)、結構ツボにハマルな、こういうの好きだもん。ボーカルは熱唱するんだけどかなり線が細くて無理があるし、ギターもなよなよしい音で頑張って弾いていて、よろしいんだよ、ほんと。ドラムはかなりユニークな…というかこの時代のこの手のバンドってこういうドラマーが多くてさ、音とかも似てる作りってのあるけど、手数が多くて普通のドラムパターンではないのだな。だからプログレ的扱いをされるバンドなのかもしれない。で、鍵盤。これがさすがにキーになるのは一目瞭然で、完璧に楽曲全てを担っている。そうだなぁ、弱々しい初期のパープル的っていうサウンドになるのかな(笑)。なんつうのかさ、髪を振り乱して一心不乱にハマり込んでアタマ振ってるみたいな感じのサウンドで、正に英国的。ハードロックバンドって云ってもいいかな。

 そのジャケットとネオンレーベルっつう希少価値から人気が高くて、CDでも何回か再発されているという有様。ま、嬉しいことではあるけど、それだけでなくきちんと中の音を聴くと頑張ってるのがよくわかってくる。こういうのにハマると英国B級バンドに楽しみを覚えてくるんだろうな。売れる売れないってのはどーでも良い世界。うん、いいな、心地良い。