Jade Warrior - Last Autumn's Dream (1972)

Last Autumn's Dream (Dig) 毎度の事だが、どこに向かうのやらこのブログ記事…って感じに発掘しちゃうんだよねぇ、聴くものをさ。英国系はひたすらとあるのでそりゃま何が出て来てもおかしくはないのだが、そっか、これあったな〜って。ヘヴィロックと言えば昔は自分の中ではそのギャップってハイタイドとかジェイド・ウォリアーだったんだよ。もちろん他にもあるけど、特にJade Warriorは透明感溢れるサウンドとの対比が凄くていきなりヘヴィ・ロックになったりするから訳分からなかった。だから好みのバンドかと訊かれても、多分好みじゃない、と答えるバンドのひとつだろうと思う。

 Jade Warriorの3枚目、ヴァーティゴ最後の作品「Last Autumn's Dream 」、正にサムライの過ぎ去りし秋の夢って所なのだが、凄く久々に聴いてみてこんなんだっけっかなぁ〜?と肩透かしを食らった一枚でした。もっとブリブリヘヴィーだったと思ったんだが、アルバム違いかな。美しい透明感溢れるアコースティックサウンドとフルートの調べなどと超絶ヘヴィな楽曲が基本的には入り交じってくるんだが、2曲目の「Snake」あたりが来るとおぉっ!って思うんだけどさ、隙間の楽曲はちょいと眠くなる。んでまた「Joanne」が来るとエスニックだけどヘヴィになってるじゃない?みたいな感じで起伏が激しいのでなかなか…。精一杯和風な音とか旋律をやってくれてるので日本人的には好ましいバンドの音なんだが、欲しているのはそうじゃないんだよねぇ…的に微妙。

 結局ヘヴィな楽曲は後は出てこなくて、ヘンな楽曲なら「The Demon Trucker」ってのがあるのだが、一歩間違うと80年代のトーキング・ヘッズみたいになるんで難しいところだ。こんなに面白味無かったバンドだったっけ?昔はヴァーティゴ時代とアイランド時代であまりにも音が違いすぎてヘンなの〜って思ってたけど、実はヴァーティゴ時代もアイランド時代とさほど変わらない音だったんだな〜と認識を改めなければ…。なかなかこういう誤解したバンドって自分の中では多いんだろうと思うから、こうして聴き直せるのは良いね。

Jerusalem - Jerusalem 1972

 やっぱりパープルに参加する面々ってのはことごとくハードロック系のバンドが多くてせっかくなのでまとめて取り上げていったんだけど、もうちょっとあるかな?まぁ、B級と受け止めるかどうかってのはあると思うけど音的には絶対B級のバンドで進めて行こう〜(笑)。よく書けばNWOBHM、この略称自体が凄いマニア的な気もするんだけど、ちなみにNew Wave Of British Heavy Metalの略。んで、その走りだと云われることもあるんだけど、まぁ、そういう聴き方もできるのかなぁ、と。ただ残念なことにNWOBHMバンドをあまりよく知らないので何とも言えないのだ。それこそメジャー所しか知らないんだよな…、これからハマって聴くこともあんまりないだろうし(笑)。

 さて、そんなことで全盛期のパープルのシンガーであるイアン・ギラン…、しかしイアン・ギランって名前ってどうも昔からウルトラマンに出てくる怪獣みたいな名前に思えてしまうのだが、ま、それはともかく(笑)、そのイアン・ギランが見い出してデビューさせた若干20歳の若者達によるバンド、エルサレム、1972年になんとも驚くことにデラムからの唯一のアルバムがリリースされている。もうパープルレーベルが発足していたと思うんだけどなぜか他社からのリリース。しかし音を聴くとこれがイアン・ギランの見出した才能なのかなぁ…、センスを疑う部分が大きいが、まぁ、それはそれとして…。

 良く云えば硬質なハードロックっつうトコロだけど、言い方を変えると結構線の細いギターの音と何故かスカスカ感のあるハードロックって感じで、その間を埋める音の厚みっつうのがないのかもしれない。でも曲そのものやアルバムの空気感っつうのはやっぱりしっかりパックされているので、嫌いじゃない。割と好みでもあったりするのだが…、そういえば20歳の集団なんだから多めに見てやらねば、とも思うワケで、そのまま何枚かリリースしていればもうちょっと何とかなったんじゃないかなと。しかしその歳でイアン・ギランに出会ったら結構人生変わってたハズだよ、君たち、って言いたいよな(笑)。

 バンド名が大胆過ぎるのだが、ジャケットもかなりインパクトのある出来映えで心なしか紫色がベースになっているところもパープルというバンドの亡霊を感じるのだが、繊細な曲そのものはなかなか聴き応えのあるものばかりなので悪くない。しかしアマゾンのプレミア付きCDの値段は凄いなぁ…。もっとも日本でしかCDリリースされていないのならばしょうがないが…、どうなんだろ?どっかで出してればそれで間に合わせても良いと思うけどな。

Jim Capaldi - Oh How We Danced (1972)

Oh How We Danced トラフィックという自分的には全然掴み所のないバンドメンバーの中で、一番取っ付けたのがもしかしたらドラマーのジム・キャパルディかもしれない…ってか多分そうだ。元々トラフィックって苦手だったんであんまり聴いてなかったんだけど、フリーと同じレーベルだったり、プロデューサーもクリス・ブラックネルっつう人で、これもフリーと絡んできたのでフリーのメンバーと…とはならずに、なぜかポール・コソフと割と交流が深かったようで、コソフがセッションに参加しているってのを先に聞きつけたからかもしれない。だからそれは音を聴きたいってことで、ジム・キャパルディの「Oh How We Danced」というソロアルバムを聴くことから始まった気がする。

 1972年にリリースされたアルバム「Oh How We Danced」では堂々とポール・コソフがギタリストとしてクレジットされていて、その才能はアルバムタイトル曲「Oh How We Danced」で思い切り聴けるんだが、いつも「Oh How We Danced」ばかり聴いていたのでちょっとアルバム全編を…というワケだ。ジム・キャパルディってドラマーの割にソングライティングや歌の才能にも恵まれていて、結構ソロ作品をリリースしてった人で、それがまたジム・キャパルディというソロの味を持ったスタイルになっているのが人気だったみたい。これまでのトラフィックの面々の南部チックなレイドバックした雰囲気とかとはまるで異なった、思い切り英国風のスワンプに近い…スワンプっつうと南部系なんだが(笑)、もっと躍動感と泥臭さが詰まったような感じで、ダラダラした雰囲気のレイドバックとは異なる音で、しかもバラードとかもしっかりと良い感じで入ってるっつうものだ。

 この「Oh How We Danced」という作品もそんな傾向で、アルバムとしても実に聴きやすく、ソフトな世界と確かに南部チックな雰囲気のアルバム、ただしもうちょっと楽しそうなイメージを持てる雰囲気の作品になっててさ、コソフ関連で聴いたけど、結構良いの拾ったなって感じ。んで、そのポール・コソフの本領発揮全開を聴ける「Oh How We Danced」がアルバム最後に入ってて、もうねぇ、西城秀樹でも聴いているかのような気持ちの良い歌いっぷりと思いきりスワンプな世界で炸裂するギターソロ♪カッチョ良いししっかりハマってるっつうのは意外な発見だけど、一度聴いてほしいよな、これ。別にアルバム買うほどじゃないと思うけど、こんな曲調でもギター弾くのか、コソフっていう感覚が新鮮。うん、それだけでこの人とこの「Oh How We Danced」というアルバムに価値が出るもん。

Jody Grind - Far Canal 1970

Far Canal すっかりと涼しくなってしまった秋の夜長に、英国の憂い響きを聴き漁る…、そんなことを既に数ヶ月続けているとすっかりと英国人と同じ感性で音楽を聴いてしまえているのかもしれない。しかも全然メジャーではないものばかりなので、多分メジャーではないセンスばかりが養われているという状況か(笑)。まぁ、いいじゃないか、どれもこれも正しく英国的であるものばかりで、そんな空気をたっぷりと感じるのだから。休日ともなればそんなのがオンパレード、もちろん他にも聴くけどやっぱり面白いのは英国70年代ですな♪

 1970年リリースのJody Grindというバンドのセカンドアルバム「Far Canal」なんてのにも手を出してみるとやっぱり面白い。また知らないバンドだし…という人にはちょっとだけメジャーなお話を…、いや、ちょっとだけ…。ホワイトスネイクのデヴィッド・カヴァデールの最初の二作にキーボードで参加していたティム・ヒックレーっつう人がリーダーで組んでたバンドです。ギターのバーニー・ホランドがとってもかっこよいので思い切りロックなんだけどね。この人はそれこそPattoなんかにも参加したり、テクニカル集団のNucleusにも参加したりしてる職人気質のギタリストだけど、無茶苦茶良いのをこの「Far Canal」では弾いている。ブルースだけでなくってジャズな展開や、もっと美しいフォークでメロディアスなフレーズとか、さすがに器用なセンスをあちこちで聴かせてくれるのでオイシイ。

 「Far Canal」というアルバムが語られることは多くないけど、最初の「We've Had It」というとんでもなく切なくて素晴らしい叙情的なバラード?的楽曲を聴いてみると一発で虜になるんじゃないか?旋律の美しさもギターの音色の美しさもメロディーも叙情的で歌唱力すら素晴らしいと聞こえるし、名曲の域に達した作品。日本人は絶対に好きだね、これ。そういう曲から始まるので、Jody Grindって一体どんなバンド?って思う。まぁ、そう思う前に曲の良さに惚れてしまうんだけどさ(笑)。この一曲でノックアウトです。そのせいか次の曲からの展開にはちょっと格差がありすぎるのが問題(笑)。いや、別に悪くはないんだけど、あまりにも起用なので、突然ブルース調な曲になっちゃってね…、切り替えが出来ないんだよ、聴いている側が。んで、その後はこれまたギターが弾きまくる素晴らしい曲で…軽めの音なんだけど良いギター弾くよ〜この人。この辺から聴いているとブルージーな世界を知っている職人さんによる軽めの英国ロックの世界でちょっとハードかな、っていう程度。オルガンやハモンドなんかも鳴っているから、割とカテゴライズできるかね、っていうくらいだけど、初っ端の曲があるからやっぱり名盤になってる(笑)。

 レーベルがトランスアトランティックから出てきているので、ちょっと前に書いたLittle Free Rockのアルバムに参加してたり、Ten Years Afterのアルヴィン・リーの作品で一緒にやっていたりとJody Grind以降の活躍の方が目立つティム・ヒックレーっつうのも面白いが、この「Far Canal」という作品、良いよぉ〜♪

Jonesy - Keeping Up 1973

キーピング・アップ プログレッシブロックの代名詞ともなるメロトロンの大洪水、というキャッチコピーが付けられてそこかしこでレビューを見ていたので、そういう音なんだろう…と先入観を持っていたんだけど、もちろんアナログ時代には全然探せるハズもなく高嶺の花でした。それでもジャケットが印象的で、薔薇の縛り首って良いセンスでしょ?そんでメロトロンの洪水ってんだから聴いてみたくなりますわなぁ。そんで90年代に入って往年のプログレがCDでリリースされた頃、このジョーンジーのセカンドアルバム「キーピング・アップ」も早い時期にリリースされたのは嬉しかったね。

 1973年発表のセカンド、メンバーが些か変更しているドーンレーベルからの作品で、ジャケットから感じられる威厳は見事に輝いている。期待して聴いたもんなぁ、このアルバム。今でも覚えてるけど、最初のメロトロンの音色から「おぉ〜!」となる叙情派好きのファンには堪らないのだが…、直ぐにワウで歪んだギターによるカッティングが入っているので「??」という感じ。更にストリングスやペットなんてのも出てきて、そんでもって歌メロはもの凄くメランコリックな優しいメロディで非常〜にポップ感覚溢れるもので、逆にメロトロンが無かったら良質なポップバンドなんじゃないか、っつうくらいのものだ。それに驚いたなぁ…。プログレって言葉はあまり信用してはいけないのではないかと思ったもん(笑)。まぁ、それでもやっぱり作品全体からしたらメロトロンの占める比重の重さは多くて、叙情的に使われているので憎めない。

 よくクリムゾン的と言われるのは多分スネアロールの音とかが似ているからだろうし、楽曲の作りは特にクリムゾン的ではないけれど、ピアノやメロトロンなんかが入り混じってストリングスやバイオリンなんかと絡み合うから、その辺でクリムゾン的とも言われるのかもしれない。楽曲は全然違うからさ。ジョーンジーの方が全然ポップでメランコリックで旋律がはっきりとしていて、あの破壊力はないもん。しかもジャズ的な感じも入ってくるのが面白い。決して歌は巧くないし、楽曲センスが良いとも思えないけど、楽器の絡ませ方や展開ってのがかなりブラックでユニークなんだな。その辺が評価されているのもあるし、やっぱりメロトロンの使い方が印象的。

 まぁ、小曲や大曲が入り混じってるんだけど、8曲もあるんだから大したモンでして、小曲の小曲らしさってのはかなり美しい。一方の大曲は構築美ではないところが彼等の本質を表しているかなぁ…。ま、ゴッタ煮ロックだけどメロトロンのおかげでプログレ色が強いという印象だけど、実はかなり人を喰ったバンドなんじゃないかと。不思議な音だなぁ…。

 結局アルバム三枚も出しているので面白さや実力という面では結構買われていたんだろうね。全部を聴けていないのだが、いずれ取り組みたいと思うバンドです。

Judas Jump - Scorch 1970

 大顔面ジャケットを続けてアレコレと…、と気にしてみると実にいっぱいあるもんだ。そりゃそうなんだけどさ、名盤と言われている作品にも大顔面って結構あるもんなぁ。まぁ、普通に撮ってる分には別にいいんだけど、やっぱどっかヘンじゃないと気にならないっつうか、それくらいヒネてないと英国ロックらしくないっつうか…。あ、そういえば凄いアルバムを思い出したんだけど、それはまた今度書こう…、うん、大顔面で超変態的なアルバムっていったらどこぞのブログの有名人さんの名がアルバムタイトルになってるアレですね。いつもお世話になってます♪  さて、それはさておき、ヘンという意味ではかなりインパクトがあるであろう…そして英国ロック好きの中でもプログレらしさはないし、メロトロンでもないし女性歌モノでもないし、ブルースロックでもないので多分取り上げられることがなくって情報もほとんど流通していないという作品…、いや、それってホントに取り上げるべきものなのか?っていう疑問も湧き出たんだけど…、まぁ、せっかくあるし聴いてみたからいいじゃないですか。お遊びってことで。

 …ってさ、アマゾンにはもちろん取り扱いないし、HMVでもないし、もしかして紙ジャケでも出てないのかもしれない。いや、CDって出たことあるのだろうか?それすらも疑問に思えてきた…。ネットで情報漁っても何も出てこないので相当に無名…っつうか見捨てられたアルバムなんだろうな…と。あ、バンド名はJudas Jumpです。アルバムは「Scorch」ってヤツでして…うん、ヘンでしょ(笑)?まぁ、これくらいなら誰でもやるっていう気もするが、やっぱおかしいかな、と。別に黒人のサウンドが好きでこういう顔しているワケじゃないしさ。

 そこで音の方なんだが…、まずね、このJudas Jumpというバンドはビートルズで有名なParlophoneからリリースされているんですよ。しかもシングルを三枚くらい出してからのアルバムリリースなのでそれなりに期待されていたのではないかと。1970年のアルバムリリースだし、聴いていると基本ステレオ盤なんだけど「Bossa Jump」なんかでいきなりモノラルになるので面白い。この頃のバンドの音はモノラルが似合うなぁ…。それもそのハズ、と言うか、モロにビートルズ的なサウンドですからね、このバンド。意外なコトにそれも相当にレベルの高いビートルズ的エッセンスが入ったバンドでして、そりゃParlophoneが力入れただろう、と。楽曲レベルは相当高いし、楽器も多彩で音色も豊富。そしてアコースティックも美しいし、ビートルズが鳴らさなかったような音をビートルズの代わりであるかのように出しているので凄い。コーラスワークもしっかりしてるし。改めて聴いてみると凄い才能の塊の人達だわ…。

 ってちょこっと調べてみると、ベースのアラン・ボウンは元々The Herdにいて、Judas Jumpの後にはピンク・フロイドの「The Wall」ツアーで鍵盤奏者兼ベーシストで同行。その後にはステイタス・クォーに参加するという強者。う〜む、素晴らしい仕事人じゃないか。そしてその才能を生かし切れていたのはもしかしたらJudas Jumpだけだったのかもしれない。それにしても何という牧歌的且つ歌心に溢れたアルバムなのだろう。ジャケットで損してるよな、絶対。ELOとか10CCとかその辺りに勝てるサウンドしてるもん。時代の産物なのかもしれないが。

Juicy Lucy - Juicy Lucy 1970

Who Do You Love?  英国ブルースロックB級バンドでエグいサウンドと言えばもうひとつ…ジューシー・ルーシーってのがある。英米混合バンドなのでなかなか純英国的泥臭さとは異なるんだけど、ま、スワンプな感じで良いでしょ。ちなみに初期はばあのヴァーティゴレーベルからアルバムがリリースされていて、彼等のファーストアルバムはヴァーティゴレーベルの第二弾リリースに位置している。しかしながらこのバンド、メンバーがかなり流動的で、アルバムリリース前に名乗っていたMisunderstood時代からアルバムリリース後バンド解散期に至るまで毎度毎度メンバーが替わってるというのも実態の掴みにくい要因かな。

 サウンド的にはもちろん粘っこいブルージー…というか何でもあり的なしつこい音で、黒人ボーカリストであるレイ・オーウェンの歌がやっぱりバンドイメージを決定してしまう面は大きいかな。もっともアメリカ人のギタリストでそれなりにその後も名を知られているグレン・キャンベルのサウンドが重要ではあるんだけど、しかしエグイなぁ。やっぱりこのファーストアルバムが一番エグくて良い。ちなみにジャケットも凄くて、こないだ日本で紙ジャケでリリースされた時はもちろん見開きオリジナル盤に忠実だったようで、フルーツの女体盛りというこれまたいやらしいジャケットで面白いんだけど、アメリカではこれが認められずに別ジャケットでリリースされたみたい。ま、そりゃそうか。

 セカンドアルバム「Lie Back And Enjoy It」サードアルバム「Get A Whiff A This」あたりになるとちょっとこのエグさがなくなってきてしまってあまりマジメに聴いてないんだけどね。以降は全然知らないのでコメントできず(笑)。

Julie Driscoll, Brian Auger & The Trinity - Streetnoise 1969

Streetnoise 1969年混沌とした時代が終演を迎えようとしていた時、既に本格的なサウンドをプレイしていたにもかかわらずあまり表舞台に出てくることもなくあまりにもマニア向けになってしまった感のある実力派バンドがいた。ハモンドオルガンと女性ボーカルを主とした独特なサウンド世界はこの頃に英国に溢れてきたゴッタ煮バンドとは一線を画した洗練された音であり、それはもちろんブライアン・オーガーという実力のあるオルガニストとジュリー・ドリスコールというソウルフルな歌を歌える女性の成せる業だ。

 アルバム「Streetnoise」は1969年にリリースされ、当時は二枚組のレコードとしてリリースされたためかなかなか売上げには結びつかなかったとか…。自分がレコードを探している頃も割と高値だった作品で、オリジナルが云々っていうよりも枚数的なもんなのかそこそこ見かけたけど高かったかな、と。ただ、レーベルがポリドールだった関係か嬉しいことにCD化されるのが早くて、忘れないウチに入手できたのが幸いで一時期結構聴いた。初っ端からハモンドのリフで攻めまくってくる怒濤のサウンドはまずもって唯一無二のバンドの証明か。生ギターと歌とハモンドという妙なバランス感覚がこのバンドのアシッド感を上手い具合に引き上げていて、その幻覚加減がかなり心地良い。アルバム中の効果音にそれらの影響は色濃く出ているものもあって一人でじっくり聴いているとかなりヤバくなれるかも(笑)。

 アルバム中誰でも知っている曲がひとつ入っている。当時はまだ売れてたんじゃないかと思われるが、ザ・ドアーズの「ハートに火をつけて」だ。もちろん最初から全然異なった解釈の音作りなのであの華麗なキーボードのイントロもなく、淡々とアシッドなオルガンが曲全体を圧迫してジュリーの迫力のある歌声が制する、そんな風格のあるカバーになっている、というかこれはオリジナルをヘタしたら超えているアレンジかもしれない。そう言うにはかなり勇気がいるが、これは相当なもので、彼等のオリジナルと言っても通じてしまうくらいに独自色が出ている。う〜ん素晴らしい…。

 アルバム全体的にどこか牧歌的な雰囲気があるものの根底にはどろ〜っとしたものが流れていて、オルガンという楽器でそれを見事に表現している。ジュリーの歌も決して派手で明るい声ではないので丁度相まって最も優れた空間が出来上がった集大成なのだろう。ちなみにプロデュースはあのジョルジョ・ゴメルスキー。だから二曲目にロシア語の曲があるのか…。

Julians Jay Savarin - Waiters on the Dance 1971

Waiters on the Dance 英国70年代の艶めかしいお色気ボーカリストと言えば…、そういえば何人かいたなぁ…と記憶を呼び覚ましてみることに…、と何かいつも考えている路線とは異なる方向に向かっていってしまうのは何故だろう(笑)?まぁ、いいや、気分で変わるモンだからしょうがない。うん、ってなことで、そういえば、と真っ先に思い付いたのがキャタピラのアンナ・ミーク嬢なんだよね。お転婆でエロティックに歌うイメージなのでピッタリ〜とか思ったんだけど、アルバムが「Catapilla」「Changes」の二枚しか出てなくて、両方とももうこのブログに登場してしまったので、アカンなぁ…と。んで、フュージョン・オーケストラのジル嬢の「スケルトン・イン・アーマー」も…もう書いたなぁ…。うん、じゃ、しょうがないのでキャタピラのアンナ・ミーク嬢の妹さんであろうレディ・ジョー・ミーク姫の歌う英国ロックの裏名盤「Waiters on the Dance」で書こう。

 1971年リリースのジュリアンズ・ジェイ・サヴァリン名義での作品「Waiters on the Dance」ですね。70年にジュリアンズ・トリートメントっつうバンド名義で「A Time Before This」をリリースしているんだけどメンバーがガラリと替わってしまったんで個人名義のソロアルバムにしたようだけど、結局ジュリアンズ・ジェイ・サヴァリンの作品であることに変わりはないんで、一緒くたにされることが多い。いやぁ〜、あまり知られていないけどかなり良質なメロトロンとフルートをフューチャーした作品で、そこにオールドタイムでねちっこいブルージーなギターも絡むという不思議な音。更に歌はキャタピラで色っぽい歌を歌っていたアンナ・ミーク嬢の妹さんであろうレディ・ジョー・ミーク姫ってことで、声が似ているし歌い方も似ているので、もしかしたら本人かもしれないなぁ…。その辺は諸説色々あって詳細不明。

 これがまたホントにロックなアルバムでしてね、ギター好きにも大満足頂けるし、もちろん女性歌モン好きには持ってこいだし、プログレオタクにはメロトロン全開にハモンドも入ってるのかな、そして楽曲も起伏に富んだドラマティックなもので構成されているのでよろしい。決して王道に躍り出ることがなかったのはやっぱり垢抜けない歌声と音色のセンスかねぇ(笑)。やっぱB級的な空気が詰まってるもんな…。ただ、それは録音時の音の問題でして楽曲のセンスは相当なものでしょう。そこらのプログレバンドには負けません。

 ところでこのジュリアンズ・ジェイ・サヴァリンって人は元々SF作家でして、どうしてバンドを組んでこんなに素晴らしい作品を出していたのか不思議なんだけど、ハヤカワ文庫とかでも割と見かける名前なのだな。ユニークな経歴と職業の人です。そもそもコンセプトアルバムやストーリー展開をアルバムで行いたいということから三部作構想でアルバムリリースしたらしいけど結局この二枚目で終わってるんじゃないか?三枚目の存在は聞いたことがないもん。  しかし良いねぇ〜、やっぱりこういう世界が一番自分にしっくり来るな(笑)。暑い夏でもしっくり来るんだから面白いものだが、ロックらしいロックなんだよ、こういうの。

Julian's Treatment - A Time Before This 1970

A Time Before This 裏名盤と呼ばれるモノには数限りない…、そりゃ好みの人が勝手に名付けるのだからキリがないのだが、その中でもあちこちで名盤と語られることの多いアルバムがいくつも存在する。ここのところ挙げているアルバムは大体その領域に属するものが多いので、まぁ、普通に進められて聴いてみたっていう限りではかなり良いと思えるレベルのアルバムばかりだと…、うん。まぁ、だからと言って薦めるっていうもんでもないけどさ。やっぱ王道聴いてからこの辺入った方がわかりやすいとは思うからさ。王道に飽きた人はこういう世界って面白いよ、ってのはあるが。

 そんな中、裏名盤の誉れ高いJulian's Treatmentの最初のアルバム「A Time Before This」をどうぞ。1970年リリースなのでかなりサイケデリックな雰囲気が曲調に表れていて、楽曲レベルが高い。バンド的にはオルガンやハモンド、メロトロンなどの鍵盤系が強くて女性ボーカルがヒステリックに…、妙にSFちっくにエロティックに音の中に紛れ込んでいるので、アヴァンギャルド的な雰囲気さえ漂う何とも不思議な音世界。曲にドラマ性があるので、曲もコロコロと変わっていくのでプログレッシヴ的という側面はあるけど、軽く楽しめるってなモンだ。

 ジュリアンズ・ジェイ・サヴァリンって人は元々SF小説家の人で新潮文庫あたりから小説も出てるんだけど、ヘリコプターアクションものあたりしか和訳にはなってなくってそれを読むと、何でまたこんな「A Time Before This」っつうアルバムや、この後のセカンドアルバム「Waiters on the Dance」なんてのが出来上がったんだろうか?と不思議になる。この辺の音世界で描いている世界は多分もっとファンタジックなものだろうに…。という疑問を抱きながらも音楽は音楽として聴いているこの人の二作…、本来は三部作構想だったらしいが三枚目はまだリリースされていないハズ。

 ハードロック的という側面は強いが、やっぱりオルガン中心にミーク嬢の妙にリラックスしたアシッドな歌声が空間を制圧しているのでやっぱりドラッグ系な音に近いのかな…。まぁ何回も何回も聴くという人は多くないだろうが、ちょっと気になって聴いてみると何回も聴いてその良さを実感したくなるという中毒的な側面は持っているね(笑)。

Janus - Gravedigger 1971

 昔は全然情報がなくて本でしか見れなかったとか、そこに解説してあるレビューを読んで音を想像してレコードを見つけたら買ってみるしかなかった。CDになっても値段が安くなってレコード時代よりは買いやすくなったってのはあったけど、それでも買えるアルバムには数に限りがあった。まぁ、なんのかんので中古も含めて漁るワケだが…。それでもまったく情報がなくってジャケットは気になるけど、一体どんな音なんだ?とかどこの国のバンドなんだ?みたいなのってあってさ…、そんなのいきなり買えないワケよ。資金に余裕があれば買えたんだろうけど、そんな資金があれば他のレコードやCDにつぎ込むワケでしてね…、未知のモノに3000円とか5000円とか払って…という勇気はなかったなぁ…。

 そういうレコードのひとつでもあったヤヌス(Janus)というバンドのアルバム「Gravedigger」です。なんともシュールで気になるジャケットでしょ?アマゾンでCD売ってないけど…、CDにはなっているので見つけられるとは思う。アナログだったら凄く珍しいのではないだろうか?しかももちろん見開きジャケットで全身が写ってますので期待通りですよ(笑)。まぁ、ここまでインパクトがあって芸術性が高ければ知らないバンドでも買うってのはアリだけどね。

 さて、このJanusというバンド…、今の時代でネットを調べてみてもほぼ全く情報が出てきていない。イギリスのバンドで1971年のデビュー作がこの「Gravedigger」というくらい。メンバーの名前とかは出てるから何とか追えばどこかに繋がるのかもしれないけど、全く情報なし。珍しいよね、こんだけ色々と解明されてきた時代なのにまだまだナゾの多いバンドのままでいられるってのは。しかも中に詰め込まれている音がかなり期待してしまうサウンドなので余計、だ。

 魔術的というのか非常にダークな雰囲気が漂うアルバムでそれはハードでエッジが立っているからとかではなくゾクゾクとする精神的な部分でさ、グレゴリオ風なコーラスだったり不気味なコードアルペジオだったり細かい音色がちょっと雰囲気を出していたり…別にそういう印象で聴いていたワケじゃないけど、ジャケットもあるからかな…、何かダークさが増してきたもん。クライマックスともなるのは20分以上にも渡るアルバムタイトルともなった「Gravedigger」という曲で、コイツにこのバンドの全てが詰め込まれているってなトコロだ。不気味なコーラスとアルペジオ、ドラマティック的な曲の繋ぎ方と展開…、演奏はそれほど巧くはないけど作風にゴシック的な重さを感じる構築美がある。聴いた後に何だったんだろう…、とハマる部分が多くてもう一度聴いてみるか…みたいなところが十分にあるもん。ジャケットに騙されて買ってみても全然楽しめてしまうアルバムのひとつかもしれない。

 そして驚くことに今現在でも活動しているらしいので何かでインタビューでも取れれば面白いだろうなぁ…。