Magic Mixture - This Is the Magic Mixture 1968

This Is the Magic Mixture  時代の産物!そうとしか言いようのないマイナーなグループ、マジック・ミクスチュアー。昔から有名だったハズもなく、サイケブームやら再発ブームやらで盛り上がっているウチに発見されて市場に出てきたことからマニアックなところでメジャーになったというのが真相か。音的に評価されまくっていると言うワケではないだろうからねぇ。

 1968年のもちろん唯一のアルバムリリース「This Is the Magic Mixture」♪ 初っ端から「うわぁ〜、時代だ〜」と思えるような音色で始まるのが苦笑いなんだけど、意外とサイケサイケっていうのではなくってしっかりとポップな要素を持ったロックしてます。どことなく音色面とか雰囲気的にはもちろんサイケなんだけど、基本的にアコギで作られたような印象で、シンプルに言えばB級メロウサウンド。

 それでもギターのセンスとかはなかなか真似の出来ないほどよいアシッド感だし、歌もソフトに割と個性的な声で迫ってくるので、悪くない。時代の産物でもあるファズギター中心なので個人的には聴いていて非常に心地良い。もちっとハジけたら結構かっこよいサウンドになっていただろうなぁと思うくらいで、テクニックとかはそんなに文句あるようなもんじゃないしさ。

 ジャケットも凄くヘンでしょ?サイケっつうか、そこにビートルズとかの初期をモチーフにしたような感じでさ。でも英国オリジナル盤はコーティングジャケットらしいので、結構気合いの入ったリリースだったんだろうか?今でもまだどんなバンドの来歴なのか実態が掴めていないというバンドだけど音は多分今の時代でも通じるんじゃないか?とまでは言わないけど、新鮮に響く音かもしれん。まぁ、マニアくらいしか手に入れないアルバムだとは思うけど…。

Magnum - Kingdom of Madness 1978

Kingdom of Madness  Magnumの1978年デヴューアルバム「Kingdom of Madness」。いや〜、恥ずかしながらこのMagnumってそんな古いバンドって認識があまりなくってバンド名だけでメタル系とかそのヘンのバンドなんだろう、って勝手に思ってました。いや、それが英国プログレハードの筆頭株なんて思いもしなかった。え〜?そうなの?って聴いてみて初めてその意味を知った次第。そこからは随分と楽しませてもらったバンドにはなるんだけど、とことんまで好きだと言えないのはやっぱり産業ロック的ポップさと言うか、そんなの狙ってなかったにしても音作りがそのまんまなので、何かな〜ってのはある。ただ、やってるサウンドは随分と面白くてQueenでもありプログレでもありELOでもあり、みたいな所で、アメリカのあのヘンのヌケの良いサウンドとは大きく異なる湿った空気たっぷりなサウンドが好ましい。

 ファーストアルバムなのにこの完成度の高さは今後を期待させるアルバムだったんだけど、時代の波がそれとは交わらない方向に進んでいったからか、随分と苦労してバンド活動を続けていたようだけど、少なくともこのアルバムあたりでは一つの光を見るかのような方向性だったんじゃないだろうか。ポップでいながらハードロックでアレンジは結構凝っててサウンド的にはメロトロンまで出て来る始末、というロックファンには堪らない要素が含まれているしね。何かのきっかけさえあればブレイクしていったバンドなのかなぁ…、時代に呑まれてしまったバンドなのかな…、なかなか難しいけど、こういう音が英国からも出ていたってのがやはりユニークな存在。だから歴史漁りはやめられないね。

Mahavishnu Orchestra - The Birds of Fire 1973

 さてオーケストラシリーズ、続いてはジャズ畑からロックへとアプローチをかけてきて、それがそのまま英国的プログレッシヴロックの一環に組み込まれてしまうものになったという珍しい…と云うか、正にボーダーレスな時代を象徴するかのような傑作を生み出したマハビシュヌ・オーケストラだ。あのジョン・マクラフリンが在籍した、そしてそのテクニックを存分に見せつけた作品という意味でも重要なアルバムらしいけど、かっこいいんだよ、これ。

 アルバム的には「火の鳥」くらいしか持ってないんだけど、コレ聴いてるだけでも鳥肌モンだし、タイトル曲「火の鳥」でのアグレッシブなプレイは素晴らしい。で、そこで素晴らしいのはギターもさることながらやっぱりバイオリン。いかにもって感じのハードなプレイは絶対に英国ロックファンを唸らせるものがあるね。ヤン・ハマーの鍵盤もそういうトコあるんだろうな。自分的にはあんまり耳に入ってこないけど(笑)。他の曲にしてもやっぱりバイオリンの音色は凄く新鮮に響き渡っていて、そういえばインスト作品だってことを忘れさせてしまうくらいのバンドの演奏力の高さに驚く。もちろん楽曲のレベルの高さも相当なもので、じっくりと聞き込んでしまうくらいの高尚な作品に仕上がっていて、ああ、完全にこの時代のプログレバンドだ…って思う。そうだね、クリムゾンの「太陽と戦慄」以降と似ているかもしれない。

 このクロスオーバーな風潮からヤン・ハマーとジェフ・ベックが一緒にやるってのがしごく当然のことだったんだろうし、マクラフリンは全く器用な人で、ジャズの巨匠マイルス・デイヴィスが実験的サウンドに進んだ頃の片腕を担ぎ、以降は自分も大好きな、というかとんでもないギタートリオを組んでこれまたとんでもないフライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ?スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!っつう世界を見せてくれるんだな。ちなみにこれはアル・ディ・メオラとパコ・デ・ルシアと三人で本当に弾きまくりの「地中海の舞踏」を聴いてみてもらいたい。ギター弾く気無くすから(笑)。いや、もちろんマハビシュヌ・オーケストラ「火の鳥」」アルバムの中にもマクラフリンの多彩を示すスパニッシュ調の雰囲気の良い「Thousand Island Park」っつう曲もあったりするので、こういう方向もおかしくはないんだけどね。

 まぁ、マクラフリンの才能はギターに限らず、このバンドでは多彩な音楽性と時代がマッチしてロック側からの名作に挙げられる一枚になったワケだな。美しいし激しいし、巧い。いいねぇ…。

Mainhorse - Mainhorse 1970

Mainhorse (Reis) 70年代のロックを語る時って必ず鍵盤ってのは出てくる話で、それもギターと同レベルの語り方をされるのが楽しくてね、もちろんメロディと様々な音が奏でられる楽器なんだから派手にスポットが当たってもおかしくないのはわかる。ただ、いつも思うのは鍵盤ってのはライブステージ上じゃ、どうしようもないって事で、ステージングを見てカッコよさを感じるキッズからしたら鍵盤を手に動いてる姿は大変痛ましいし、かと言ってデカい鍵盤セットに囲まれている中で凄いプレイされてもステージング的には全然映えないから何とも思わないしと言う風に見てたんです。結果自分的にはやっぱり華形のギターが好きになるんですが…。

 1970年リリースの唯一作となったMainhorseなるバンドの「Mainhorse」。パトリック・モラツが参加している作品なのでココに登場なんですが、時代に即したバンドだったのかパトリック・モラツの優美なスタイルとはやや離れた、もっと70年代英国ゴッタ煮ロックの中でも尤も人気の高かったであろうアシッドでハードロックでサイケでグチャグチャなハードロックスタイルの中での鍵盤、やっぱりハモンドだよな、ってな音を冒頭からカマしてくれまして、ともすればグチャグチャにしか聞こえない世界をしっかりとハードロックに位置させているかのような鍵盤技が聴けます。いや、最初はこれがパトリック・モラツなんだ?こういう人だったのか?なんて思ってちょっと驚いたね。最初の曲だけで判断しちゃいけないけどインパクトはそんな感じだった。アルバム通して聴いているともちろん最初のインパクトだけでなくてきちんと聴かせる面とかネられた曲なんかも聴けるんでやっぱりさすがだと唸るんで大丈夫です。

 しかしいつもの事ながらこういうバンドはホントに山のように出て来ている時期で、どれ聴いても強烈な個性でありながらも全く無個性の存在になってしまうんだから難しい。Mainhorseに至ってもブルージーで泣かせるギターやイモくさすぎるけどそれなりなボーカルもいて、鍵盤が全体を牽引するスタイルにすらなってるのになぁ…、ダサくて好きです。でも、あまりにも突出した部分が無さすぎて普通にカッコ良いハードロックバンドの域を出ない、ちょっとヘヴィロック風でもあるが。

Mandalaband - Mandalaband 1975

MANDALABAND I - 曼陀羅組曲 最近は集中力に欠けててどうにもプログレッシブ・ロックなる世界をじっくりとゆっくりと聴くという快楽から離れてしまっている。生活スタイルの変化によるものだろうなぁ…、音楽聴く形態も変わってきてるしそれに割く時間の取り方も変わってきているからある意味ゆとりの無い音楽の聴き方が常態化しているんだな。よろしくない…と言うか、オーディオセット一新したいなぁ(笑)。デジアンやらNAS込みのネットワークオーディオやらと色々と進化しているんで興味はあるけど手に取っていないという中途半端な状況、まぁ、気が向いたら…。

 1975年リリースのMandalabandの一作目「MANDALABAND」を久々に。昔セカンドの「THE EYE OF WENDOR」を聴いてて、その緻密な音世界でのストーリー展開が見事だな〜という印象があって、それに比べるとファーストはややこじんまりしている、みたいなのを何かで読んでからファーストの「MANDALABAND」はあまりソソられることもなくて、割と忘れてた。とある時中古CD屋で安く見かけて手に取ってみたのが入手のきっかけか。その時も聴いて、確かにこじんまりしてるな〜って感想は変わらず、音世界的には何故かあまり好みじゃなくて何度も聴かなかったアルバムのひとつ。何かたまたま気になるのないかな〜とライブラリ探索してて見つけたから、これは聴いてないな〜ってことで本日のお題となって聞いているワケです。

 壮大なるオープニングとどこか軽いフュージョンチックですらある音楽、ロックというカテゴライズや単語が似つかわしくないまでの音楽世界で、クラシックを聞いているかのような感覚すら覚えるゴージャスさ、何ともアレだな〜なんて思っているとチベット語での歌唱が…、多分チベット語だろうと思われるんだけど、本能的にこれは何か違う、みたいに思ってしまうんだよ。シンフォニックでプログレッシブで躍動感も溢れるのだが…。もうちょっと聴いてみると変わるんだろうか?ネイティブで歌詞を見ながら音を聴いてイメージをふくらませて聴くという事が出来ればもうちょっと入り込めるかな…、そんなことを考えてしまったアルバム。出来過ぎたアルバムなのかも。

Mandalaband - Eye of Wender 1978

Eye of Wender トータルコンセプトアルバムってどんどん進化していて、今ではAyreonなんかが発展系を作っていたり、まぁ、スピードメタルの世界でもコンセプトが当たり前、ゲーム音楽的に展開していく方向に進んでいるのはどうにもちょっと違う気がするが、まぁ、ひとつのコンセプトアルバム。色々な角度があるものの、やっぱり英国ファンタジーをアルバムで表現するってのがスタンダードな構築美♪

 マンダラバンドのセカンドアルバム「Eye of Wender」1978年リリース。もっともセカンドアルバムと言ってもファーストからのバンドメンバーはほぼ不在で、デヴィッド・ロールという人のプロジェクトバンド名というべきものでして、その辺がどうにも不透明だったのでマンダラバンドを知ってから約20年くらいの今に至るまで普通のバンドにしちゃぁ大掛かりなゲスト陣やコンセプトで大したもんだ…などと思っていたのだが。メンツ的にはムーディ・ブルースやバークレイ・ジェームス・ハーベストや10CCの面々にマディ・プライヤやノエル・レディングなんてのも参加しているという代物。今で言うアイエルンの構想と同じ骨格かな。英国伝承ファンタジー作品でもある指輪物語をモチーフに独自のファンタジー世界を創って演奏してさせたものでそれぞれがそれぞれの役割をこなしているので、楽曲毎に彩りが鮮やかで面白い。楽曲はどれもこれもシンフォニックなファンタジー色の強いもので、ロック的なものはほとんどないね。壮大でゆったりとした大らかな作風が粒揃いで高貴な雰囲気がこれまたよろしい。

 マディ・プライアの歌は割と奥深くで聞こえてきてちょっと現実浮游感の漂う感じで、あぁ…心地良いかも…なんて思っていたらインストの後にはジャスティン・ヘイワードの歌声が始まるので、ほのぼのとした曲調もあってか、やっぱりムーディー・ブルース聴いてたっけ?って思ってしまうくらい特徴的な歌声ってのも面白い。コンセプトアルバムであるが故に大曲志向でなく小曲群が並んで粒揃いに楽しめるところが面白いね。ファーストアルバム「Mandalaband」なんてのは圧倒的に大曲志向のシンフォニックバンドだったから今作の「Eye of Wender」でのファンタジー感は心地良い。

 CD化された時にはジャケットが妙にシンフォニックなクラシック的ジャケットになってしまっているが、元々はもっとファンタジックなジャケットなのでご注意。それにしても1978年という年代にこんなの作っても売れなかっただろうなぁ…と。それでも歴史的にしっかり名が残されているのは内容の素晴らしさが物語っているってことだ。

Manfred Mann - The Five Faces of Manfred Mann 1964

ザ・ファイヴ・フェイシズ・オブ・マンフレッド・マン(UK Version/MONO)(紙ジャケット仕様)  The Kinks以上に取っ付きにくくて入りにくいのがManfred Mannなんじゃないだろうか。同じように60年初頭からビートバンド的にシーンに登場して、英国では著名なポール・ジョーンズがボーカルを担ってのバンド形態から音楽性もバンドなもどんどんと変化させての遍歴、それぞれバンド名で音楽性をある程度変えていっている宣言が出来ているのはあるけど、一体何なんだ?的なのはあってさ。しかもポール・ジョーンズって最初期しかいなかったワケで、じゃ、どうなってるんだこのバンドは?ってなるときちんと調べて行かないとよくわからにという…そこまでハマるかなぁ…ってのが最初のハードルか。

 1964年にリリースされたManfred Mannのファーストアルバム「The Five Faces of Manfred Mann」は冒頭の「Smokestack Lightning」という曲からしてロックファンにはお馴染みのあの曲だけど、聴いてみて驚くだろう、独特のアレンジとアプローチで超クールなモッドサウンドに化けているという素晴らしさ。これ聴いちゃうと、Manfred Mannってスゲェ面白そうだな、って思うんじゃないだろうか。もっともModsってのが好きだったら、という意味だけど、ホントにね、クールなんだよ。カバー曲多数入ってるのは時代の流れだけど、どれもこれもが独特のクールなサウンドに変身。ジャケットおクールなスタイルもModsらしいでしょ?それも後になってみるとわかるのは、音楽性の一部だったりシーンに出るための手段だったりしたことから才能は溢れてるってことなんだよ。

 なかなかこの辺のってきちんと聴くには今じゃ音がショボすぎて真面目に聴けないって人も多いだろうし、自分でもこういうの聴いてると古臭い音だなぁって聴きにくく思うからしょうがないんだけど、それでもやっぱり本質的に面白い事やってるなってのは伝わってくるからちょっとハードル超えてアプローチしてみるとその深さがわかるんじゃないかな。ひとつづつきちんとじっくりと聴き詰めてってアルバムを楽しむってのはやっぱり重要です。流して聴いてるだけどか失礼だもんな、と他人事じゃないんで大見得切って言えることでもないけど、こういうの聴いてるともっとこのバンド知りたいって思うもん。ややこしいしさ。それにしてもどの曲も何でこんなにクールなんだろ、ってくらいにクール。

Manfred Mann Chapter Three - Chapter Three Vol.1 1969

Chapter Three Vol.1  ほっとくとどんどんと70年代英国ロックな音に引っ張られていくのが自分の常なのだが、聴いていてふと思う。こんなの今時聞いて書いてて、読む人も聞いてる人もそんなに多くないだろうし、そもそもジジイ達ばっかだろうし若い世代って聴くことあるんだろうか?なんて気がする。似たようにそのヘンの音に取りつかれている人も多いだろうから最低限の需要はあると思いたいけど今時ブログなんてのも真面目に見る人も減ってきているし、じゃどうなってるんだろ?という不思議な点はあるものの、まぁ、昔に戻りつつあるのだろう。いや、多分、コレクター気質な人が減ってきているんだと思う。何せ探して集める、なんてことしなくてもネットやiPhoneですぐに聴けたりしちゃうんだから集める必要ないもんね。ふとそんな事にも思い当たり、色々とつまらんな…なんて。

 Manfred Mann Chapter Threeの最初のアルバム「Chapter Three Vol.1」は1969年にリリースされている。今でこそこれはプログレッシブなジャジーな作品だ、と言えるけど、当時はビートグループだったマンフレッドマンの組んだバンドの作品だろ?何だこりゃ?ってなモンで、ロックの範疇からしても随分とおかしなジャズロック風味で、英国ジャズロックのそれとはちょいと異なる。Sweet PainやらColloseumやらなどのジャズロックとは違ってもっと大陸的というかビッグバンド的なジャズ志向と言うか、そういう類なのだが、きちんと歌が入っているからロックの世界として残っているのだろう。ボーダーラインが無茶苦茶で良いねぇ、こういう音は。確実に暗い。実験的だから流して聴けるモノでもない。でも音楽的なアプローチが面白いから何かずっと聴いていられるクォリティの高さがあるし、テンションも相当に高い。チャレンジしている熱気なんだろうね、こういうのは。プレイヤーが持てる力をそのまま発揮して取り組んでいる姿勢がアリアリと分かる作品で、それを良いとか悪いとか言う次元で語るもんじゃない。

 この後名盤「Chapter Three Vol.2」をリリースしているんで、バンドの名前や音楽へのアプローチは知られている所だと思うけど、このファーストの「Chapter Three Vol.1」もかなりユニークな音作りしていてかなりの刺激になる。英国ジャズロックに多少興味あればオススメしていく作品ですね。最初は何だこりゃ?ってな事を思うかもしれないけど、こういうモンです。それにしてもあのマンフレッドマンがここでこういう音を出してきたのは音楽的探究心からか?見事なアプローチだと唸るばかり。

Manfred Mann Chapter Three - Volume Two 1970

Chapter Three Vol.2 テクニカル且つ大胆な、そして新鮮な音を展開していったバンドは他にも山のようにあって、メジャーシーンでは元より、元々メジャーだった人達でもアーティスト本能がそうさせるのか、どんどんと実験的な取り組み意欲的に進んでいくケースも見られた。プリティ・シングスやキンクス、フーなんてのはそんな代表のメジャー格でしょ。60年代のビートバンド達が脱皮した方向性はそれぞれだけど大成した物はあまり多くはないね・ムーディー・ブルースくらいかね、ガラリと変わって成功したのは。そんなバンドのひとつとも言えるマンフレッド・マン、これもビートグループ時代に出てきて売れていたので、今でもその路線のアルバムなんかが入り混じっていてコトを複雑にしている。要するに掴み所がなくてよくわからないんだよ…(笑)。

 それもそのはず、最初期はビートバンドとして、その後はチャプター・スリーとしてフリーフォームなジャズを持ち込んだ実験的なバンドとして、その後はプログレッシヴ色の強いアース・バンドとして活躍、その後もどうやらクラブシーンで人気を誇るバンドとしての側面もあるらしく、追いかけ切れていない…。そういえばかつてマジメにこのバンドの来歴を追ったことがなかったな…。と思ってWikiを見るが…、よくわからん(笑)。ただ、90年代に入ってからのバンドはマンフレッズっていう名称で活動していて主要メンバーのマンフレッド・マン本人は不在とか…、やっぱよくわからん(笑)。

 さて、そんなバンドなんだけど、ホントは凄く深い来歴があって追求していてもおかしくないんだけど、生憎60年代のマージービート系はハマり込めないので追求できてない…が、それでも超名盤として非常に気に入っているアルバムがあるんだよ。そう、もちろん「Chapter Three Vol.2」です。1970年リリースのチャプター・スリーのセカンドアルバムだから「Chapter Three Vol.2」なんですが…、凄まじいジャズ…っつうかフリーなロックを展開していて最初っから緊張感高まりまくりの超ハイテンションな作品。かと言って聴きにくいものでもなくしっかりと歌も入っていてメロディアスな旋律もあるので一般的にも大丈夫でしょう。ちょっと重くてハイかもしれないけど、クリムゾンがメジャーであるならば「Chapter Three Vol.2」も大丈夫。アルバム制作中にドラマーが交代していて、それこそアンディ・マッカロックがドラム叩いているので、クリムゾンとの共通項もあります(笑)。

 そういう話題よりもジャケットのインパクトよりも音のインパクトが超強烈で、マジメに聴いていると凄く疲れる。ハイテンションだからさ、聴いてても安らげないんだよね。こういうの好きでさ、それこそロックの醍醐味でして、何が来るんだ、次は?ってな感じでスリリングに聴ける音。管楽器がヒステリックに騒がれたりベースラインがとんでもなかったりドラムがもの凄く突出したりハモンドが宇宙に行ったりするんだけど、面白いことにギターレス。ジャズ〜だからだろうか?全くギターレスが気にならないくらいにロックな世界で、わかりやすく言えばクリムゾンの「アイランズ」に近いかなぁ…。

 取っ付きにくさはあるかもしれないけど5回くらい聴くとハマるんじゃない?このテンションの高さは他にあまり類を見ない凄さだよ。まだファースト「Chapter Three Vol.1」を聴いていないからちょっとした楽しみもあるのだ。

Marie Celeste - And Then Perhaps

And Then Perhaps 英国激レアモノ!なんてフレーズはもうアテにしちゃいけません(笑)。とにかく70年代初頭あたりなんてのはロックだフォークだの青田刈りの時期だったからやる方も売る方もそれこそ何でも探しては出してみますみたいなのあったからメジャーでも何だこりゃ?っての多いし、逆に自主盤でもスゲェってのは確かにあるんだけどさ、皆が皆好きに作ってるもんだから後世にとっちゃ整理が大変なワケですよ。英国激レアアイテム!って見ればプレス枚数50枚とか100枚とかって、それ自主制作の普通の枚数で、アイテムとしちゃレアだけど自分たちで作れる範疇の枚数って激レア!ってしちゃうワケ?みたいなね。

 正にそんな感じのリリースとなった1971年産のMarie Celesteというバンドの「And Then Perhaps」。もちろんフォークバンドでして、英国激レア!の自主制作盤でプレス枚数50枚とも100枚とも言われる作品が遂にCD化!みたいなキャッチコピーだったんだよな。飛びつきたくなるのはわかるけど、所詮それくらいの需要しか無かった、しかもメジャーレーベルとの契約まで行かなかったレベルのアルバムですよ、そんなに騒いじゃいけません…なんて冷静に思っててもね、音聴くとさ、確かに音のチープさはあるんだけど、その手作り感が逆に生々しくて素朴でミスも隠せないし気合入れて作ったんだろうってのもわかるし、なんて自分たちレベルに落として聴いてしまうと愛着沸くという話でして(笑)。

 音は普通にフォーク、女性ボーカル中心でコーワスワークには男性陣も登場するけど、フォークギター2本くらいが鳴っててコーラスだけ、そんな素朴なバンドなので誰かの部屋でサクッと録音しちゃえるんだろうとも思うが、曲がそれなりにキャッチーだったりするしストーンズのカバー演ってたりもするしメジャーレーベルも何を基準にメジャーで出したりしたのか、こういうのも全然メジャーで出せる範疇だとは思うけど…、ま、個性的かと言われるとそうでもないか。ストレートにアメリカで受けてたフォークを英国風にやってみたらこうなったってだけだからさ。実際自分が何度も聴くだろうか?ってなると確かにそこまでは聴かないだろうという結論はすぐに出るしね。でも、この天上の美しさはは結構イケてる気がします♪

Mark-Almond - Mark-Almond 1 1971

Mark-Almond 1 英国ロック史ならある程度系譜を辿って行ったつもりだったけど、こんなにメジャーどころも思い切り抜けてた自分…まだまだ全然ダメだ、かと言ってこれからまだまだ全部追いかけるぞ、と言ってもそうはなかなかいかないだろうし、まぁ、適当に気づいた時に聴いて堪能しますかと。流れ上、Mark-Almondっつうバンドを聴いてたワケですが、その来歴ってJohn Mayall Blues Breakers辺りに源流があって、そこからの派生なんだよね。だからその原点をキチンと押さえていればもっと前に聴いてたハズなのに、やっぱり派手な方ばかり追いかけてたってことです。

 Mark-Almondというバンドの1971年リリースのファーストアルバム「Mark-Almond 1 」。John Almond名義の作品がジャジーな感じだったんでこのバンドも結構そっち系なんだろうと思いつつトライしてみたら何とも驚くことに超牧歌的フォーク中心なソフトな音構えだったのでかなり意外。こういう音からジャジーになっていくとかならわかるんだけど、こんなに牧歌的なものに戻って来るなんて…それでも戻ってくると言うか、洗練されたジャジーさと歌モノフォークものを合わせた感じになっているんで決して後退しているワケじゃなくて新たな音楽性に剥けて模索しているという感じではあるが、これがロックか?と言われるとやや答えに窮するかもしれん。もっとイージーリスニング的なAOR的な…サックスやベース、フォークギターなどがホントに洗練されすぎている感じなんだよね。聴き方によってはアヴァンギャルドなジャジーさとも言えるが、ポップとのバランスが上手く機能しているからかそっち側にも聴けちゃう。

 ただ、聴いてるとこれは紛れも無くその筋の人が通ってきている音でしかなくって、ここでもサットンのベースラインが強烈に流れを主張し、サックスやフルートが浮遊しているという美しき姿…、若い頃に聴いてたら受け付けなかったけど今ならこういうのが心地良く聴けるね。曲構成とかはプログレッシブな発想で組曲形式になってるからテーマに合わせてってことだろう。何とも素晴らしい音世界、そして牧歌的で心落ち着く世界…、見事。

Marsupilami - Marsupilami (1970)

Marsupilami サイケデリックな波からの脱出と新しいハードロックやプログレッシブ・ロックとの出会いみたいな所から、そして一方ではこの手の音が商売になると踏んだ各レーベルの思惑も手伝い雨後の筍のように続々と何でも出て来た英国ロックのアイディア豊富な世界観、正に何でもありの奥の深さは知られた所だし、多分今ではもうこの辺りってマニアのものじゃなくなってるんじゃないかと思ったり。紙ジャケでほぼ全てのアイテムがリリースされたりリマスター盤も出たりする訳だから日本でもそれなりに需要が高いってことで売れるんだろうし。ただ、買う人は全部買うからそういう固定的な数量は見込まれてるんだろうと。それはともかく、当時はどんだけ売れたんだ?って話になるとほぼ皆無だったんじゃないだろうか?ってバンドも多数…。

 1970年にファーストアルバム「Marsupilami」をリリースしたMarsupilamiというバンドもそうだ。セカンドの「Arena」はその後英国ロックの名盤として語られることもあったが、ファーストの「Marsupilami」なんてジャケットすら知られてなかったんじゃないか?アマゾンで見つけたこのジャケットのダサさにはかなり驚いたが、これがホントにオリジナルなんだろうか?あまりにもセンス無さすぎるんだが…、英国のこの時代のロックバンドでここまでダサいのも多くはない(笑)。

 ところが、その一方聴けるサウンドは期待を裏切らないダサさ…いや、カッコ良さ…、いやカッコ良いっつうか…B級っつうか…、冒頭から何か有りそうな雰囲気のイントロが流れてきて突然やっぱりキター!って感じのドタバタ劇。一聴するとヘヴィロックの世界観でもあるけど、展開がプログレ的、鍵盤やフルートが活躍するからそうなるんだろうけど、ここのドラマー君が、結構カッコ良くってなかなかソリッドにツボを得たドラム叩いてくれてます。そしてギターのエグい音が堪らなくよろしいんですよね♪ ハードロックに向かいたい志向とプログレ的展開と何でもありな楽器類に加えてサイケデリック風味な雰囲気を引き摺っている時代性がそのまま反映されたバンド、セカンドの「Arena」はテーマを決めたから統一感があるが、こちらの「Marsupilami」では新しい時代に自分たちもやってくぞ、みたいなのがあって気合は十二分、楽曲へとの取り組みも十二分なんだが、志向性がよくわからん(笑)。

Marsupilami - Arena 1971

Arena ちょっと勢い余って聴いてみたアルバムがあったので今回はそいつを。もちろん英国ロックの世界なのですけどね…、いやぁ、VDGGやRaw Materialを書いている時に進めばよかったのに失念してましたので、唐突にここで登場させてしまってます(笑)。こういう音って好きなんだよ、本質的に、っていうバンドの作品で、この辺わかってる人は好みの傾向を理解してくれることでしょう…、うん、やっぱハードなのが面白いんですよ、音の世界って。

 マルスピラミの「Arena」という1971年の作品。古代ローマをモチーフにして云々と色々と書かれていて、まぁ、古代ローマのイメージなんてよくわからんわな…ってのと、ジャケットがその模倣もあってイマイチ美しさとは無縁のジャケットだったので食指が動かなかったのだ。そういう勘違いが大きな後悔の一つの要因となることは重々承知しているものなんだけど、しょうがないよな、食指が伸びないってのは(笑)。

 で、結局後悔です(笑)。いやぁ、なので、是非このヘンの…、VDGGやRaw MaterialやGnidrologなんてのが好きな人は聴いてみた方が良いでしょう。ああいうわけの分からないインパクトを持っていて、且つヤケにテクニックはあるじゃないか、みたいな感じでして、もちろん楽曲はテーマから導かれていくヘンなものが多いのでプログレと言えばプログレだけど、そこまで緻密に計算されてはいない。勢いの所もある感じでさ、その分フルートのヘンな入り方とかメロトロンの洪水の使い方とかちょっとズレている部分もあるので楽しめる。ただし、ファズの入ったギターのセンスが相当独特のテクニックで、良いかも。歌がちょっとイケてないけど、まぁ、このバックの音なので問題ないか。

 聴いてアルバム見ててふと気付いたのがプロデューサーにあのキャメルのピーター・バーデンスが配されているのだった。う〜ん、音的にはピーター・バーデンスのセンスが反映されているようには思えないので、話題だけの話なのかな…それともバンドのインパクトはプロデュースできなかったって?いやいや、きっと凄いところ…例えばオルガンだらけの曲で指示を出していたとかあるのかもしれない。そうやって聴くとオルガンハードなところもあるもん。

 しかし…暑苦しい音(笑)。その暑苦しさがベタで人の心を擽ります。好きですねぇ〜こういうの。

Martha Velez - Fiends & Angels

Fiends and Angels そういえば…、随分昔にその存在を知りながらもレコード探しをしていた頃にはほとんど見かけることなく、一回見かけた時にはアメリカ盤ジャケットだったがために、別のアルバムと勘違いして買わなかった…、それでも4000円くらいしかのかな。あとでアメリカ盤とイギリス盤で全然ジャケットが違うことが判明して割と悔しい思いをしながら、結局イギリス盤を見かけなかったような気がする。そんですっかり忘れ去っていたんだが、昨年かな、CDがリリースされるというのでちょっと話題になってたマーサ・ベレツ。手に入れて聴いて感動してたんだけどその内に書こう、ってすっかり失念してましたねぇ。この機会に書いておきましょう。

 1969年リリースの「悪魔と天使」という意味での「Fiends and Angels」というタイトル。「友達と天使」ではないですが、割と間違えやすい(笑)。こうして見るとアメリカ盤の方がジャケットにインパクトがあるのは事実でして、うん、英国人なんですけどね、彼女。ただ中身の声を聴いてしまうと、アメリカ盤のジャケットのインパクトの方が正解だろう、っていう感じはするが(笑)。

 もうねぇ〜、思い切り好みの音でして、そりゃまぁ、マイク・ヴァーノンのプロデュースによるものなので思い切りブルースに決まってるんだよ。しかも彼女はジャニスが脱退した後のThe Holding Companyにボーカルで加入のウワサもあったくらいの迫力絶叫系ボーカルのお転婆お姉ちゃんなワケで、聴いていて吹っ切れてて心地良い。マギー・ベルほどの凄みはないんだけど、それでもかなり面白い域に達していて正に60年代後期の英国ハードロックってなモンだ。あ、バックがね。

 そのバックなんだけど、これもマイク・ヴァーノンの力によるものだが、なんと思い切り全盛期のクリームの面々からクラプトンとジャック・ブルースを呼び込み、この二人にはジム・キャパルディのドラムと絡ませて思い切り激しく派手なブルースロックを何曲も展開してくれる。正直言ってマーサ・ベレズの歌声など全く耳に入らないくらいに二人の演奏に耳が行ってしまうんだな。やっぱりこの頃は凄いわ。それとマイク・ヴァーノン絡みなのでフリーのポール・コソフも参加しているのだが、これもまたジム・キャパルディやクリスティン・マクヴィのピアノなんてのと絡めて元々スワンプ系への参加が多いポール・コソフのこれまた全盛期のアグレッシヴであのタメが聴いたギターが聴けるという代物。それと何曲かではスタン・ウェブのブルースギターも聴けるので、当時のブルースギタリストとしてロック界に名を馳せようとしていたメンツが揃っている。なんともまぁ、豪華なアルバムになったことだろう。

 あまりにもゲスト陣が豪華なので肝心のマーサ・ベレズについて語られることは少ないんだけど、ミックスの問題も大きいよなぁ、多分。自分的にはかなり好きなタイプのボーカルで、もっとこういう弾けた音を歌って欲しいものだし、どんどん作品をリリースして欲しかったなぁ。何枚か他にもリリースされてるけど、そこまで追いかけていない…ってことはそれほど入れ込んでないってことか(笑)。

 いやいや少なくともこのアルバム「Fiends and Angels」については歌もかなり楽しめる作品です。まぁ、ゲスト陣が凄すぎるけど…。

Matthews Southern Comfort - Matthews Southern Comfort 1969

Second Spring/Matthews Southern Comfort 秋冬になるとフォークが心地良い。トラディショナルな英国フォークは今の季節にぴったりなのかもしれない。まぁ、そういう心地良い音を何となく求めているだけというのかもしれないけど、久々にまとめて聴いていて癒されている自分に気付くのだった…(笑)。だからどういうのでも良いんだけど、ロック的なモノから遠ざかった思い切りフォークに手を付けてみる。

 イアン・マシューズが組んだバンドの最初のアルバム、っつうかソロ作品のタイトルでもあったマシューズ・サザン・コンフォートの作品「Matthews Southern Comfort」。最近のCDではファーストとセカンド「Second Spring」がカップリングになったCDで売られているようなので、それで良いんじゃない?二枚入ってお得だし。ま、生粋の英国マニアでもない限りアナログは手に入れられないでしょう(笑)。マニア的に有名なのはこの辺よりもここから先にイアン・マシューズが脱退して単なるサザン・コンフォートっていうバンドになってからリリースされた紅茶のジャケットで有名な「サザン・コンフォート」だろうね。お店でいつ見てもハッとする美しさがあるジャケットでさ、品格が備わってる作品だもん。

 さてさて、この作品「Matthews Southern Comfort」は1969年暮れにリリースされたようで、イアン・マシューズはフェアポート・コンベンションのセカンドアルバム「What We Did On Our Holidays」までフルで参加してから三枚目の傑作「Unhalfbricking」のレコーディング中に離脱している人で、以降にもちろんフェアポート人脈をも使って作られた作品がこの「Matthews Southern Comfort」。フェアポートの方はサンディ・デニーという強力な歌い手が加入していたためイアン・マシューズのささやくような優しい歌声の出番が少なく、またリスナーも必要としていなかったこともあるのでその分自身のバンドでこういった柔らかく優しい雰囲気の楽曲群に囲まれたウィスパーボイスによる作品はフェアポートからの離脱の理由がよくわかるというものだ。思う存分イアン・マシューズの世界を打ち出しているし、その美しさは英国フォークの中でもかなり秀逸なモノに仕上がっているとも云えるしね。

 セカンドアルバム「Second Spring」はもう少し霧が晴れたような感触の作風で、ちょっと雲の切れ間に日差しが見えるかなというような感じでして、うん、CD一枚に二作品が入ってるけど、立て続けに聴いているとその作風の質感の違いはすぐにわかるんじゃないかな。どちらもソフトで優しい楽曲群は聴くモノをうっとりとさせる魅力を放っていることに変わらないね。うん、いいわ、こういうの、秋だ〜♪

May Blitz - May Blitz 1970

 ミュージシャンという職業は華々しい時もあれば地味な活動をせざるを得ない時もある。一瞬の晴れ舞台に躍り出たことのある人物はまたその世界を堪能したくなるのだろうか、それも自分が中心となってスポットライトを浴びるという気持ちの良さを味わうために…。いや、そんなことをふと思うようなバンドもあってね。

 先日GunThree Man Armyと流れていったガーヴィッツ兄弟の話を書いたのだが、そのThree Man Armyの屋台骨となったドラマーであるトニー・ニューマンは、そもそもジェフ・ベック・グループの1969年発表の「Beck-Ola」のドラマーとして名を馳せていたワケだが…、しかし彼の来歴をよく把握していないのでわからんのだが、新人でいきなりベックと共演?ってなことではないと思うのでその前の来歴を知りたい所なのだ…。ま、それはそれとして、ドラマーとしては既にテクニカルな部類に入っていたワケで、しかもプロのメシの食い方もなんとなくわかっていたのであった。そんな時に二人の若者ジェームス君とレイド君に会ったことで一緒にバンドをやることになるのだ。それがメイ・ブリッツと云うバンド。

 う〜ん、難しいのはその前後なんだよなぁ。音の話はもう少し後としてさ(笑)。実はMay Blitzってバンドは驚くことにBakerlooのドラマーであったキース・ベイカーがベースボーカルのテリー・プールとBakerloo脱退後に作ったバンドで、そこでギターボーカルのジェームス君(当時16歳?)に出会って一緒にプレイしてたらしいのだな。でも、すぐに首謀者二人が脱退してしまってどうしようかと思っていた所に同じ年代のレイド君をとりあえずキープして…って思ってたところにトニー・ニューマンが参加したってことらしい。その辺の関係はよくわかんないけど、何か面白そうなアンダーグラウンドシーンだよなぁ、と(笑)。

 で、トニー・ニューマンの目論見でトリオ編成で望んだこのバンドは1970年に最初のアルバム「May Blitz」をリリースするのだが、これがまた正しく英国ハードロックサウンドで、しかも音が綺麗で演奏が上手い。だからもっとプッシュされていれば売れただろうに、残念ながらヴァーティゴレーベルからのリリースだったためか(笑)、それだけでB級バンド扱い…んなことないけど、プロダクションとの絡みももちろんあっただろうなぁ、勿体ないなぁ、と思うバンドのひとつです。当然ハードな路線だけでなくアコースティックを掻き鳴らしながら聴かせる曲もあったり、単なるハードロックではなくってそこにプログレッシヴな要素も多分に入ってきたり、コーラスワークがしっかりしていたり、当然この時代のバンドだからなんでもあるんだけど、そんなにマイナーなものでもないので聴いてみると良いと思う。

 アルバムは二枚しかリリースされていなくて後は翌年に同じくヴァーティゴからセカンドアルバム「セカンド・オブ・メイ」がリリースされていて、基本的に同様の路線のアルバム。ファースト「May Blitz」はダブルジャケットで縦長の絵になっているのも面白いね。

May Blitz - The 2nd of May (1971)

2nd of May 70年代英国アングラハードロック伝説、もうちょっと続きます(笑)。Three Man Armyあたりからどうにも人脈関係が広がってしまって収集つかなくなってるんで色々と聴いてしまったんです。面白くて。まぁ、考えてみればクラッシュもボウイもムーディ・ブルースもベックも何も全部繋がってしまう人脈図になっちゃうんだよね、英国ロックの歴史ってのは。もちろん個人名で全部は覚え切れないので資料漁りが必要になるんだが、今じゃネットで簡単に調べられるし便利なもんだ。そんなことを常日頃から行いながら、ほほぉ~、そういう繋がりの人だったのか!とか驚きながら聴いている今日この頃、いつまで経ってもやってること変わらない自分にややうんざりしながら子供のようにはしゃいでいる自分もいたりする。男の子は無邪気なものだ(笑)。

 1971年一部では英国最高峰のハードロックバンドとして名を馳せている?かもしれないメイ・ブリッツのセカンド「2nd of May」がリリース。それはもう世間に知れ渡って…なんてことはまるでなく、ひっそりとVertigoからリリースされたのでした。Three Man Armyとの辛みはもちろんドラムのトニー・ニューマンですね。元ジェフ・ベック・グループという肩書きを最初に持ったので以降の活動がやりやすくなったことは間違いないトニー・ニューマン、ならばいっそメジャーシーンの連中と組んで稼げば良かったのに、そちらには行かずに感性と人脈でバンドを組み続けていったウチの最初がこのメイ・ブリッツ。元Bakerlooというこれまたマイナーなバンドの連中と組んで16歳くらいのギタリスト入れて作ったバンドで、そのセカンドアルバムなんだからそれなりに評価されていたとは思うけど、さすがにパンチが足りなかったか、本作にて終了。

 ただねぇ、音は確かにトリオ編成とは思えないほどにカッコ良いんです。Three Man Armyとかに比べたら全然洗練されているし、メジャーシーンに出れる音作りにもなっているからもうちょっと売れても良かったと思うんだけどあと一歩の個性の無さの問題かな。ギター、ベース、ドラムのトリオで演奏するハードロックってのはもう他にもいくつもあったし、出来る音楽性にも限りがあっただろうし、ってことか。それにしてこの「2nd of May」で聴ける音のカッコ良さはユニークだ。ベースがグイグイドライブしていてドラムはもう圧倒的に曲を引っ張っていくので、問題はギターなんだが、いや、ヘタじゃないよ、もちろん。ただ、まだまだフレーズの多様さが足りないからかやや冗長な感じが出てきたりする時があって残念。それでもアドリブパートの思いきりの良いギターはやっぱり見事。このジェームス・ブラックって若者がどういう人生を生きているのかちょっと調べた程度ではわからなかったんだけど、シーンでは名前聴かないからどうなんだろうな。

 それはともかく、B級とメジャーのボーダーライン際にあるようなメイ・ブリッツの「2nd of May」、ルーツがまるでわからないハードロックという意味でかなりオリジナルではある、が…と思うものの、やはり聴きたくなるしつこさっつうのがあって好きな人のみ楽しむ音、ですな(笑)。

Medicine Head - New Bottles Old Medicine 1070

New Bottles Old Medicine  最近ではレーベルによる個性ってのがどんだけあるのか全く知らないけど、昔はそういう個性の魅力ってのもあったりしたのは確かだ。それは音的な個性であったりレーベルのスタンスでもあったりある種のカテゴライズでもあったりアーティストのエゴでもあったり(笑)と様々だったけど結構そういう集め方ってのも面白くてそれだけでマニアになってしまう人もいるくらいだ…いや、自ずとそういうカテゴライズで線引して聴いていた人は多いんじゃないかな。ヴァーティゴなんかも顕著な例だけどキャリアが長くなると総じて語れなくはなってくる。ただ短命なレーベルは独特の個性を放っているので語られやすいかな。

 そんなのもあってダンデライオンレーベルで何となくライブラリにあったのがコイツ…Medicine Headのファーストアルバム「New Bottles Old Medicine」。1970年リリースの何の変哲もないアルバムジャケットではあるけどCD創世記に再発されたのは早かったんで、その時に手に入れて聴いてたからダンデライオンレーベルの美しさは見れてないな。オリジナルにカネかけて買う必要性があったバンドでもないだろうし、音を聴いてそれはさらにそう思うワケで(笑)、これで音が面白かったらオリジナル探したかもしれないけど、残念ながらそういうワケには行かなかったアルバム。

 まぁ、レーベルのポリシー?が売れないけど良い物を、っていうとこなのである種ジョン・ピールのセンスを信じてないと聴けないレーベルになっちゃうんだが、Medicine Headはもうね…ヲイ!ってくらいに外しました(笑)。カッコ良く書けばサイケデリック風味のあるシンプルなブルースロックバンドでブルースのあの気怠さを見事に体現しているバンドで本場ブルースよりはもちろん線が薄いが英国ブルースバンドとしてはイケてる…となるのだろうが、聴いてると単にかったるい何の変哲もひねりもなくブルース風味な音の垂れ流しでギターが凄いとか歌がすごいとかってのがまるでなくってダラダラとギターやハープが奏でられているようなもんで到底今の時代に名盤とオススメできるアルバムではないな(笑)。キース・レルフが参加していたとか協力していたとか、後にBritish Lionsを結成するとか…そういう次元ではないレベルでのホワイトブルースアルバム。怖いもの見たさの人にはオススメ(笑)。

Medicine Head - Heavy on the Drum 1971

Heavy on the Drum まだロックの世界が狭苦しい頃、誰かの友人は誰かの友人でバンド仲間だっていうような狭いサークルの中で人が動いていて、メジャーになったのもいれば売れなかった人もいる。それでも何かの時に誰かと誰かが一緒にアルバムに参加してるとか云うのはかなり多くて、先日のBox of Frogsで言えばそこだけ見ればかなりヘンな関係性なんだけど、歴史を紐解くと至極納得できる人選なんてのがわかってくる。そういうの楽しみ方は今でも多分脈々とあるだろうし、それが作風を決定づける、なんてこともあるしね。

 Box of Frogsにボーカルで参加したジョン・フィドラーさんのライフワークの元となったバンドがMedicine Headって英国のバンドで、その1971年の二枚目のアルバム「Heavy on the Drum」なんてのを…ってのも、この「Heavy on the Drum」ってアルバムのプロデュースを元ヤードバーズのキース・レルフが務めていたってことで、繋がっちゃうんです。そういうのもあってジョン・フィドラーをBox of Frogsのボーカルに据えたってのもあるんですね。さて、このMecicine Headってバンド…ユニットなんだけど、ピーター・ホープ・エバンスってハーピストさんと二人でやってて、リズムは脚でバスドラ叩くだけでギターと歌とハープで…っつう訳の分からんユニット構成。その分ユニークなアプローチが試みられてるのはあるんだが、どうしたって単調になる。それでも70年代の特徴かな、熱気と空気感が封じ込められてるからテンションは以上に高くて一気に聴けてしまうのはさすが。ティラノザウルス・レックスみたいなもんか。Medicine Headはもっと土臭くてSSWの作風に近いからおおよそロックな世界観とは異なってるんだけどね、ただ、この頃って何でもあり的なのあったからその一環でのチャレンジ精神もあったんだろう。キース・レルフもこの頃似たようなフォークバンドやろうとした頃でしょ?何か繋がるんだよな。

 アルバムとして聴いてみるとどうか、と言われると何となくサイケ風味もまだ持ちつつ、土臭いSSWの味わい、ただしバスドラは常に鳴ってるのでそれだけが普通のSSW的なのとは異なってて妙な感触を覚える。歌も取り立てて感動するってんでもないし、ギターもハープもそれは然り。ただ、どことなく訴えかけてくるメッセージのような歌声が染み入るって部分はあるので、フォークとの狭間の世界として聞いているとわかりやすいか。ゆくゆくはロックへ進む結果となったバンドの初期作品としてはなるほど、こういうルーツかと言うのがわかる隠れた傑作か。何気にメロディとか歌とか嫌いじゃないんだよね…。

Metro - Metro 1976

メトロ(紙ジャケット仕様)  妙~なポップセンスが全開しているキッチュなポップロックバンドとも呼ばれるメトロ。ダンカン・ブラウンとピーター・ゴドウィンのセンスが炸裂するデカダンなバンド。1976年というパンク直前の英国に於いてこんな妙なものが売れたという事実もこれまた不思議な事だが、その成功に釣られてアルバムを手にした人達は果たして「メトロ」という作品をどう思ったのだろう?多分両極端に分かれたんだろうな…と想像に難くない。

 Roxy Musicや10cc的に…と言われていたことなのだろうが、その系譜として見ると後のXTCやUltravoxと言ったサウンドへの影響とも見られるワケで、ってことはこの頃二極化した反応ってのは思いも掛けない音世界に巡り会ったとハマり込んでいった本物のヘンな若者たちの部類と、よくわからんけどヘンだな~ってくらいで離れていった一般層。なるほど、聴けば聴くほどハマり込んでいく人達の気持ちもよくわかるし、後にヘンなバンドの人達が名前を挙げて絶賛していたのも分かる。こういうのって言葉で表しにくいんだよね…。

 メトロは熱くなるような歌いまわしやロック的な部分は皆無で、淡々とクールに音を聴かせてくる。まぁ、ジャパンとかもそんな漢字だけど、もっとヘン。80sが流行した時にはこういうのが洗練されてポップスに昇華した部分もあるかも。そもそもが踊れないバンド、っていうコンセプトだし、確かに英国からしか出てこないクールなサウンド。歌も上手くないし演奏も特に際立ったものじゃないし、テクノやハウスみたいに何か新しい要素を持ち込んでいるワケでもないが、やたらとクール。ただ、何となく理解出来たのはDuncan Browneと言う人の来歴は別途英国ロックの「Duncan Browne」というアルバム方で知ったので、あのフォーク青年が何ゆえにこんな風な音を奏でるようになったのだろう?という疑問の方が大きかった。でも、しっかりメトロを聴いていると、そのフォーク調な部分がベースになっていることに気づく。人間根はあまり変わらないものだ。

 後にDavid Bowieが80sメガヒットアルバム「レッツ・ダンス」の中で「Criminal World」を取り上げたことでMetroのヒット曲が再注目されたことはあるが、Bowieの作品のカバー具合は常にオリジナルを超える垢抜けたサウンドになることが多く、「Criminal World」でもそんなことで、Bowieバージョンの粋の良さが際立っているが…。

Metro - Express Metro Duncan Browne - Duncan Browne's Ninepence Worth of Walking Duncan Browne

Mick Farren - Vampires Stole My Lunch Money 1973

泥棒ヴァンパイアに御用心(VAMPIRES STOLE MY LUNCH MONEY) 歴代の奇人ミック・ファーレンという人物、どんな人なんだろうと気になっているところになんとも見事に自分の顔のどアップをアルバムジャケットにした作品を1978年にリリースして、そのひょうきんな表情を遙か東の彼方の国のロック少年たちに見せてくれたのだ。もちろんアナログ時代には多分見たことなかったかなぁ、自分は。当時リアルでもなかなか見なかったとは思うけど、へぇ〜、ってな感じでして、よく見れば見るほどにヘンなの〜って思うんだけどね。

 「泥棒ヴァンパイアに御用心」というソロではセカンドアルバムとなっていて、意外と作品出していないかなという感じだけど、面子が面白い。昔のデヴィアンツからの仲間がサポートしているんだけど、さすがにノッティングヒルゲイトの主と呼ばれるだけあって、ウィルコ・ジョンソンがギターで参加していて、バックコーラスにはなんとソーニャ・クリスティーナとクリッシー・ハインドという豪華な女性陣。この二人が並んでコーラスやってるってのが信じられんのだけど…。この二人のコーラスワークはアルバム冒頭の「Trouble Coming Every Day」から炸裂していて、なんか強烈なバックコーラスだなぁ〜と思って見るとこんな面子。どんな繋がりなんだろ?クリッシー・ハインドはまだわかる。クラッシュの面々とノッティングヒルゲイト周辺でたむろっていたらしいからさ。しかしソーニャだよなぁ。彼女のそういう生い立ちというか育ち的なトコロって全然記憶にないから、ピンと来ない。ステチュワート・コープランドの奥さん時代なのかな…、でも彼はノッティングヒルゲゲイト周辺にいたのだろうか?う〜む、なかなか奥が深い。

 さて、このセカンドアルバム「泥棒ヴァンパイアに御用心」ではウィルコ・ジョンソンが参加している関係からか全体的にパブロック的なシャープでソリッドなサウンドが多く、そこにミック・ファーレンのキャッチーなメロディを持ったセンスが入り込んでいるのでアルバム的に決して質は高くないけれど、聴きやすく創られている感じ。60年代から生きてきたオトコが久々に放つ音にしてはかなり面白いんだkど、時代はパンクとディスコだから、もちろん無視されただろうことは想像に難くない(笑)。

 ま、一般的いはどうしてもファーストアルバム「モナ(人喰いサーカス団)」への関心が高い様子で、もちろんデヴィアンツの延長を期待してというものなんだろうけど、こちらのセカンドアルバム「泥棒ヴァンパイアに御用心」は全然違った意味で新鮮なミック・ファーレンを聴けるね。

Mick Farren - The Mona (The Carnivorous Circus) 1969

The Mona (The Carnivorous Circus) 60年代のサイケデリックロックの波って、昔はそういう時代だったんだろうくらいにしか思ってなかったけど、もしかしたらシド・バレットを筆頭に実に感性優れた連中がロックというフォーマットとライブ空間を手に入れたことで自身のセンスを思い切り表現できる場が広がったが故に、意外と多くいたそういう連中がどんどんと浮上してきた、もちろんその手法なんかも未成熟なまま感性だけでシーンに登場しているみたいなのも多かったんだろうと。しばらくするとそういうのも落ち着いて順応するようになったけど、出始めの頃は混乱してた、それがサイケデリックシーンだった要因のひとつかもな、と。だkら無茶苦茶な作品も多数あるし、それぞれが評価されていることからすると理解している人達も多かったってことだ。

 Mick Farrenって人もその一人で、そもそもTwinkのドラムね…って思って、こいつって書いてたっけ?って思ったら書いてなかったんでここで登場です。「The Mona (The Carnivorous Circus)」という1969年リリースの英国サイケの名盤と言われている作品。「Mona」そのものはもちろんボー・ディドリーのあの曲なんだけどね、基本この頃の方々はサイケってもR&R大好きで覚醒した方々ばかりなのでルーツ系となると割と同じだったりする。ところが自身のセンスをそこに入れ込むとルーツと言えども大きく解釈が変わるみたいなトコ多し。それがセンスだったり面白さだったりする。

 「The Mona (The Carnivorous Circus)」ではTwink他、ジョン・グスタフソンやSteve Hammondなんて面々が関わってて、あれ?ってなるんだが…、そこはもうマニアの知る世界ですね。アルバムそのものはかなり聴きやすい普通にR&R的作品です。ただし所々に語り調からサイケなのが入ってきたりするんでヘンさはあるけど概ねカッコ良いハードロックじゃないかな。ここでのSteve Hammondのギタープレイは実に印象的で、正に、と言わんばかりのサウンドなので自分的には明らかに目立っている。それにしても古い音だな〜と今更ながらに思ったりするが(笑)。A面最後の「Summertime Blues」なんて聴くとBlue Cheerが如何に凄かったか、The Whoが如何に凄いかがわかっちゃうのもあるが、こういう解釈でのサイケ調って捉え方もあるかな。この手のホークウィンド系が好きな方はもう堪らない作品だろうね。

Mick Ralphs - Take This! 1984

Take This  ちょろっとミック・ラルフスが続いたのでソロアルバムなんつうものに手を出してみよう〜。随分昔になるけどモットやらバドカンやらを聴き始めた頃に当然の如くメンバーの名前とかソロアルバムの有無とか過去の経緯とか分かる範囲で調べるワケだよ。もちろんその頃はインターネットなんてないワケで、調べるっつってもタカが知れていた。レコードに入っているライナーが一番頼りだったけど、それ以外でも色々とまとまったロック本なんてのはあったから結構重宝したし、ギター雑誌やプレイヤー誌なんかでも結構色々なバンドの特集をやっていたりしたのでそんなのでちまちまと情報集めしてたな。それでミック・ラルフスもソロアルバム出してるってのを知ったんだけど、これがねぇ、なかなか見つからないんだよ、当然ながら。

 そんな最初のソロアルバムは1984年リリースの「Take This!」なのだが、時期的にはバドカンからポール・ロジャースが脱退した頃にサイモン・カークと共に作った作品ってところか。他のメンバーにはあまり有名な人が参加していないので趣味的に作ったんだろうな。音の方は結構さっぱりと軽快ロックを奏でていて、自分で歌ってる。モットの頃から自分で歌っている人なんだけどここでようやくフルで歌ってるのだが、まぁ、線が細い感じなので歌向きではないのかな、っつうかバックがハードなロックだとちと大変そうなのだ。だからなのかこのアルバムはそんなに重くてハードな曲は入っていなくて、どっちかっつうと大人のロック(笑)。いや、多分この頃に本人が好きだったと思われるフュージョンっぽいのもあったりして不思議。弾ける人だからそういう曲があってもおかしくないけどさすがにソロ作品じゃないと出せないだろうなぁ、こういうのは。他はもうアメリカナイズされまくったサウンドで一方では80sポップスがガンガン売れていた頃に一人でこんなソロやってるんだから面白い。まぁ、ロックだからな(笑)。

 それで結局新宿レコードでようやくこのアルバムを売っているのを見つけて購入、2,800円だった記憶もしっかりあるんだな。まぁ、何回も聴いてないのだが久々に引っ張り出したよ。懐かしいなぁ〜って思いながら聴いてたんだが(笑)。それで今アマゾンで見てみるとなんとCDではジャケットが変わっているのか?しかもこの訳の分からないボーナストラックの山は何なんだ?う〜ん、恐るべしCD産業。もちろんそこまでして揃える気力があるワケじゃないので良いのだが…。そして面白い発見は彼がそれ以降1999年頃にまたソロアルバムをリリースしていたっていう事実に気付いたこと。何だこのアメリカンなジャケットは(笑)。なかなか楽しみな作品を出してるねぇ…と。気になる方、購入後感想をお知らせ下さい(笑)。「It's All Good」「That's Life」なんてのがある。

Mick Ronson - Slaughter On 10th Avenue

スローター・オン・10th・アベニュー(紙ジャケット仕様)  この系統で同じ空気と時代を歩んできたギタリストと言えば、やっぱりミック・ロンソンを於いて他にないだろうなぁ。ミック・ラルフス脱退後のモット・ザ・フープルに派手派手しくギタリストで参加したことからイアン・ハンターのソロ活動に至るまでパートナーであり続けた稀代のギタリスト、正に唯一のグラムロックギタリストとして活躍した美形のオトコなのだ。もちろんギタリスト的なテクニックや音楽的な才能というものはあまり評価されることはないのだが、アイドルと同じくその存在感とルックス、そしてある種のカリスマ性が時代にマッチして、ひとつのアイコンとして存在していたのだ。そんな彼がボウイの元を去って最初にリリースしたソロ作品が「スローター・オン・10th・アベニュー」だ。

 ボウイとの共作曲やボウイ名義での未発表曲、そしてボウイが歌詞を付けた曲などボウイの全面的な協力なしにはできなかったであろうこのファーストアルバムは数多くのカバー曲で占められていて、裏名盤としてアナログ時代にはそれこそかなりの高値で取引されていた一枚でもあるのだ。CDになった時に最初は悪名高きGolden Yearsレーベルからのリリースでファーストとセカンドの「プレイ・ドント・ウォリー」が一緒になった二枚組だったんだよね。んで、こぞってそれを入手して初めて聴いたんだが…、こんなもんかぁ…って思ったのが正直な感想(笑)。いやぁ、別に悪くないんだけど…っつうか今聴いたら全然悪くない。ただ、カバー曲とかは面白いんだけどミック・ロンソンの曲はまいったな(笑)。センスないだろ、これ、とか思うのだが(笑)。いや、それはまぁ置いとこう。そしてギターもあれほど弾きまくってなくてもっと曲に合わせて弾いているっつうか、およそギタリストのソロアルバムらしくない作品に仕上がっていて、意外とこの人の歌って切なく聞こえたりするので歌モノとしても悪くないんだよね。かなり味があるのでエルビスの「Love Me Tender」でもなかなかだし、イタリア人のルチオ・バティスティの曲にボウイが歌詞を付けたという「Music Is Lethal」なんてのもかな~りよろしい感じ。まるでボウイが呟いて歌っているかのような曲で、滅茶苦茶素晴らしかったりする…アレンジもアコースティックとバイオリンがイタリアンでこのアルバム最高の作品じゃないかと思うのだが…。まぁ、そういう意味ではボウイとの共作でもある「Pleasure Man / Hey Ma Get Papa」なんて曲もどこかイタリアンな香りがする曲で面白いな…。なんか久しぶりに聴いたら悪くないじゃん(笑)。アルバムタイトル曲にもなった「Slaughter On 10th Avenuee」もヴェンチャーズのヒットが有名らしいんだけど、ようやくミックのギターがまともに聴ける曲で、もっともっとこういうの入れればよかったのになとも思うけど、多分この頃のミックはアーティストとして独り立ちしていくという思いが強かったんだろうな、そう考えるとこのアルバムの出来映えも納得するし、かなりのクォリティではあるよな…。

 …とまぁ好き嫌いも含めて色々書くんだけど、アルバム最後まで聴いた後には妙に心地良さが残る作品なのでやっぱ優れたミュージシャンだったんだろうか。何故か疑問が沸くんだけど圧倒的なヒーローのはずのミック・ロンソン。まだまだ裏名盤を堪能しまくってないってことかなぁ。

Midwinter - The Waters of Sweet Sorrow 1973

The Waters of Sweet Sorrow 季節の変わり目は好きだ。体調とか服装とかはともかく変わり目という変化しなきゃという意識が好きなのかも。人間歳を取っていくと徐々に変化を好まなくなる人が多いし、自分だってそうだと思う。聞き慣れた音楽を口ずさみながら聴く、朝起きて決まったパターンをこなす、夜はこうする…などなど完全に同じではないけど定型的なパターンの繰り返しにちょっとした変化が加わって人生が進むものだろうが、それを意識するのが季節の変わり目、とも言える。そんな状況もありようやくちょっとフォークを真面目に聴く気になってきたかなというだけのお話なのだが(笑)。

 1973年に録音されてリリースは…1990年代初期だったと思うStone Angelの前身バンドとして語られるMidwinterの「The Waters of Sweet Sorrow」というデモ作品に近い音。ただアコギとか歌とか生な楽器ばかりで録音されたフォークなのでデモってもそのままとも言えるし、そもそもデモではなくちゃんとした録音物だったのか違和感はあまりないと当時は印象を受けたな。この頃色々とフォークのヘンなのが発掘されてKissing Spellレーベルからウォーターハウスの絵画を貼り付けてリリースされてたから面白くて漁ってた中の一枚。その時は来歴とか大して知らなくて、へぇ〜、くらいなもんだったけどさ。Stone Angelだってそんなにメジャーなバンドじゃなかったしさ。んで、このMidwinterってのはボーカルがまた清楚なお嬢さんな声でして、そこに男性ボーカルの歌声も入るという典型的なフォークユニット+歌の世界で素朴、質素、陰鬱、でも清楚という要素で成り立っている音世界です。そこにはアシッドやサイケの要素もなく、プログレッシブな発想もなく、ただただ単調にアコギとタブラ?と歌が流れてくる世界で、聞いていると随分心地良い世界に浸れますが、途中で寝てしまえる感じか…。

 でも、これ、やっぱきちんと出来てる。ギターとかフレーズとか音色とか綺麗に弾かれているし、ジル嬢のボーカルはちょいと物足りなさはあるけど、これはこれで良いかというレベルにはあるし、普通のアマチュアじゃできない世界だもん。当たり前だけどやっぱStone Angelに繋がる世界ではある。昔コイツをCDで見つけた時、この絵って?みたいに思ってさ、日本のプログレバンドも同じ絵をジャケットにしてたし…ってのもあってウォーターハウスという人の絵画を知ったのだが、良いよね。絵心も知識もないけどこういうの好きだな。

Mogul Thrash - Mogul Thrash 1970

Mogul Thrash コロシアムの名盤「Valentyne Suite」の後にバンドを脱退し、クレム・クレムソンにその座を明け渡すコトとなったジェームズ・リザーランドはワウペダルを用いたアグレッシヴなギターをプレイすることでコロシアムの核の一端を担っていたのだが、やはりギタリスト的にはワガママ的な部分も多かったのだろうか、今度は自身が中心になったバンド、モーグル・スラッシュを結成して1970年にアルバムをリリース。

 邦題は「炸裂!」だったらしいが、まぁ、「Mogul Thrash」で良いでしょう(笑)。その筋の人には見覚えのあるアルバムジャケットだったりする、かな?そうでもないか(笑)。いや、ジェームズ・リザーランドのバンドでブラスロックとも云えるサウンドを展開しているのでコロシアムの延長戦というかコロシアムをもっとすっきりさせてワウペダルのギターをギュインギュインと入れまくったアルバムってトコなんだけどね…、ひとつだけ圧倒的に異なることがあるんですよ。うん、ベースが凄いの。ここまで弾くか?ってくらいにラインで走りまくってて、それがかなり心地良いフレージングだったり、楽曲の流れをグイグイと引っ張っていたりしてとにかくタダモンじゃない。そういうのがよくわかるベースライン。

 だって、ジョン・ウェットンだもん(笑)。

 そうなんだよね、ジョン・ウェットンがプロとして最初に参加したアルバムとして名高い、のかどうかは別として、そういうアルバム。アナログの時はもちろん探しきらなかったのでCDになってから聴いたんだけど、はっきり言って、クリムゾンの時のジョン・ウェットンよりもベース弾きまくってる(笑)。対するリザーランドのギタープレイが稚拙なものに聞こえてしまうくらい突出したプレイぶりは後のジョン・ウェットンの才能を確認するには丁度良い音源資料。CD時代になってのリリースではボーナストラックやらなんやらと入ってたり曲順も違っていたりするのだが、並び方としては悪くない。CD最初のボーナスとラク「Sleeping In The Kitchen」からして何だこのベースは?と思うような曲で、そのまま本編に入ってもとにかくベースしか聞こえないじゃないか、っつうくらいなもんだ(笑)。面白い。ベース好きな人は聴くべしってトコ。いや、そうじゃなくてもこんだけ自由自在に弾けるベーシストはそもそも少ないし、そういうバンドも少ないので、正直言ってベーシストのソロアルバムでもここまで弾かないだろ、って。なので、是非笑うためにも聴いて貰いたいよ、これは。 コロシアム時代にもプレイしていた「Elegy」とか凄いよ。別の曲では「Easy Money」と同じリフが出てきたりとか(笑)。

 そうそう、書き忘れてたけどプロデューサーにはブライアン・オーガーが配されているので、演奏にも参加しているし、ジョン・ウェットンh「St.Peter」って曲で歌も歌ってます。楽曲はこの時代特有のロックの雰囲気をしっかり閉じこめたサウンドで、ブラスが多用されている上にベースオンパレードのアルバム。クリムゾン関連で何か入手するなら、コイツを探した方が絶対タメになりまっせ。

Monument - First Monument (1971)

First Monument ちょいと前にドイツもんを色々と聴き漁っていると多数(?)の方々と雑談になり、なるほど〜と思うことももちろん多々あって、派生する音や思い出す音など実に実り多きシリーズになったのだった。近年では結構珍しいくらいにひとつのまとまりにハマり込んだんで、ドイツものはこれからもちゃんと整理して聴いていかないとな〜と思う次第。さて、そんな時に出てきたのがMonumentoという英国のアングラバンドの名前でして、自分の中で70年代の英国のロックはB級に至るまで概ね制覇できていると思ってて、まぁ、好みで聴かないってのはあるけど、はっきりと好みで聞いてないっってのは名前はわかるんで自分で消化できてるんだが、そういえば名前知ってて正体も知ってるけど、あれ?どんなんだ?みたいなのもあってさ、このMonumentなんて、もう全然記憶の端くれ程度にしかなかったんです。それを思い出させて頂けたので、これは・と思って聴きました。自分のコレクションにはなかったんでちょいと探しましたが…。

 英国出身のMonumentというバンドの1971年の作品「First Monument」…、バンドのメンバークレジットは記載されていなくて、謎のバンドによる黒魔術を彷彿させるアングラなサウンド…として語られるハズだったのが、どういうワケだかZiorというバンドの変名バンドってことで知られている。本当にそうなのかどうかは自分で確証があるわけじゃないけどZiorの音を聴いてみれば、まぁ、納得はするだろう。エラいな〜って思うのはZiorのファースト「Zior」も1971年にリリースされていて、同年にこの「First Monument 」もリリースしているってことだな。Ziorはセカンド・アルバムまでで終了だし、Monumentはこの一枚だけだし、多才だった割には一瞬だけの活躍だった、ということか。もっともやっている音楽を聴いている限りそれほど需要の高い音とは思えないんだけどさ(笑)。

 黒魔術的ってのはこういう音を言うのかね…って感じ。オルガンと怪しげなメロディとチープでガレージチックなサウンドに彩られたベタベタなロックで、このヘンの音で近くてわかりやすいのはThe Crazy World of Arthur Brownだろうな、やっぱ。本当に黒魔術で命を落としたGraham Bondのバンドなんかはもっとヤバい感じの音だったからMonumentのこの音くらいならまだ音楽的な側面として捉えられるのでは?実際は知らないけど。なんだろうねぇ、こういうのは。呪術的な感じの歌い方…白々しいまでの大げさな感じと襲いかかるようなエコーと叫び声、バックの音は淡々と繰り返されるパターン、そして意外なまでの曲展開はどれもこれも繊細なフレーズがなぞられている、そんな感じで70年代としてはちょいと遅いかな…って思えるけど、カラフルではある。

 こういうの聴いてるとこの時期の英国ってのはホントに何でもやってみる連中がいたんだな〜って思うし売る側も何でもリリースしてみてあたればいいか、みたいなのあったんだろうし、良い時代だったんだな〜って思う。普通に聴いたらデモ聴いた時点でちょっと考えるでしょ(笑)。ん?、自分?こういうの好きです…、実験精神旺盛だし、ただ毎日聞けるってもんじゃないな…。

Mott - Drive On 1975

Drive On 立て続けにアレコレと色々考えて聴いてみたけどやっぱり好きになれないものを聴いても盛り上がらないし聴く気にもならないんでやっぱダメか、って思って路線修正。自分の好きなのを、もしくは好きになれそうなのを聴いておく方が今後の人生のために役立つだろうよってことで勝手な解釈して次に進む。まぁ、アレだ、王道バンドのほぼすべてを聞いている、と自分では思ってても実は全然聴けてないってのは当たり前で、そんあんおが実はゴロゴロ転がってる。数聴けば良いってもんでもないし聞いたからどうってもんでもないんでもう聞ける時に聴けば良いって思ってるんだけど、今その時が来たかな(笑)。

 Mott The Hoopleからイアン・ハンターが抜けた後、実はMottというバンド名になって残ったメンバー達は新たにボーカルナイジェル・ベンジャミンを迎えてアルバムを2枚リリースしているんで、その時の最初のアルバム「Drive On」です。リリースは1975年だからイアン・ハンターが抜けてすぐに継続していこうと決めてたんだろうね。一方のイアン・ハンターはバンドそのものがヘタでイヤになって出てったとか、ミック・ロンソンが絡んできてからバンドのテクニック面の課題を連ねてイアン・ハンターと離脱したとか色々…。残されたメンバーはそれを払拭する意味もあったのかボーカルの方が不要だったんだぜ、とでも言わんばかりの現実を見せたかったのか、とにかくMottというバンドを続けた。自分も世間に倣えでイアン・ハンター脱退後の作品は全然聴いてなかったんだけど、とある時に聴いてみたら結構カッコ良かったんだよな。ただそれ以上でもなかったからちょっと聴いてオシマイみたいなトコあったけど…。

 さて、改めて聴いてみるとナイジェル・ベンジャミンというボーカルはかなりR&Rな人でクセのある歌い手で好き嫌い分かれるだろうなぁと思う自分的にはMottにはとっても似合っててバッドボーイロックの象徴みたいになってて確かにイアン・ハンターが抜けたことでニューヨーク・ドールズに近づいたみたいなトコあって良かったのかも、なんて思う。もっと早く聴けばよかったとちょいと後悔。曲自体はどれもこれもシンプルにMott風の作品ばかりで…ってもメインソングライターのイアン・ハンターがいないからオベレンド・ワッツ中心なんだけどシンプルにR&Rに根ざしてて、更に毒が注入されてるみたいでもっと評価されても良いんじゃね?くらいにはなってる。好みの問題かな、深みはないけどこういうバンド好きです。

Mott - Shouting & Pointing 1976

Shouting & Pointing (Reis) フロントマンが抜けたバンドが存続していくためには?ってな命題に果敢に取り組んできたのも歴史的には当然多数あるし、自分が知ってるのでも幾つかある。一人の単なるルリスナーとしては全然魅力を感じないケースが大半だけど、歌が替わったから良くなったってのもあるんで、一概には言えないけど、どっちかっつうとバンド全体が下降ムードにあるか上昇ムードにあるか、またそのテンションが維持できるかどうかって事で随分と変わるものなんじゃないかと。もちろん時代の流れと流行の音みたいなのもあるからテンション上がってても空回りしてるってケースもあるだろう。そんな中の代表的なバンドとしてのMott。Mott The HoopleじゃなくてMottです。

 Mottとしての二枚目の作品となった「Shouting & Pointing」は1976年にリリースされているが、ご存知看板フロント二人を欠いたまま、商業的な事も考えてのMottというバンド名による作品。モーガン・フィッシャーが気を吐いたバンドになっているのだが、それもゆくゆくはBritish Lionsへと繋がることになるが、ここでのMottはその実かなりごきげんなR&Rを奏でるバンドとしてアルバム「Mott」以降の輝かしいR&Rバンドの音をそのまま継続しているし、案外ナイジェル・ベンジャミンのごきげんなR&RボーカルはMottに合っているのか、悪くない作品に仕上がってる。もちろん当時は既に終わったバンドとして見向きもされなかっただろうし、時代が流れても再評価されるってことはほぼ無かったのだが、それでもアナログ時代には逆に手に入れにくかったこれらのアルバムがCDで再発されたって事からすれば多少なりとも歴史的価値を見出してくれているのだろう。それ以上に中身はゴキゲンなのでもうちょいと評価されてもいいかもね。

 初っ端から快活に飛ばしてくれるんでアルバムジャケットに見られるようにハチャメチャぶりそのまま、正に黄金期のMott the Hoopleと近しい音だし、多分この頃の方がバンドとしてはまとまっているんじゃないだろうか。ただ問題はそのどれもがゴキゲンなので途中で飽きてきちゃうという事か。深みの味わいがある曲ってのが無いのがこのメンツでの課題で、そこら辺を上手く出せてたのがイアン・ハンターなのだろう。ただただR&Rが出来るだけでは満足してくれないというリスナーもワガママではあるが…。そんなのもあってかバンドはボーカルを更に替えて、バンド名も替えてBritish Lionsへと駆けたが…。

The Move - Looking On 1970

Looking On ロイ・ウッドとは…、なかなか読み取りにくいミュージシャンの一人。ジェフ・リンはまだ後の活動からそれなりに趣味とか方向性とか英国人らしい部分ってのがわかるんだけど、ロイ・ウッドってのは奇人的印象が拭えない。それは多分にソロ作品「Wizzard Brew」のジャケットとかその後のベスト盤などで見られるロイ・ウッドの奇抜なメイクに他ならないワケだが…。Renaissanceのアニー・ハスラムとの関係性から久々に気になってちょっと取り出してきたロイ・ウッド関連。The MoveからELO、Wizzardあたりと妙なベスト盤…、それなりにあるので何となく聴けるってのは良い環境なのだが、ジェフ・リンというキーワードも外せないので、今回はThe Moveの「Looking On」。

 まず、だな、この「Looking On」のジャケット…、ロック名盤の本などで小さく見てもあまりよくわからないだろう…、もしかしたらCD紹介の本なんかでもよくわからないと思う。アマゾンで見たって何だろ?ってくらいの興味しか示さないだろうが、アナログで見てもらいたい…。もしくは拡大して見てもらえるとわかるが、どうにもふざけたジャケットってことがわかるハズだ(笑)。自分は昔何かの本でこのアルバムジャケットの紹介をモノクロの写真で見て、卵があちこちに向けて並べられているジャケかな…、何の卵だろ?って思ってました(笑)。まさかハゲ頭を上から写した写真とは思わなかった…。

 さて、そんなふざけたジャケットの中味はThe Moveという60年代末期のカラフルサイケデリックポップの申し子のようなバンドが、同じく同年代のビートルズフィーバーたっぷりのIdle Raceからジェフ・リンを引っ張ってきてロイ・ウッドとジェフ・リンの双頭体制が整った最初のアルバムです。双方とも同じような感性だということを認識していたためか、得意分野での才能開花ではなくって、ちょっと違う方向性での実験をすることで、それまでのThe Moveが持っていたカラフルさや軽快さは鳴りを潜めどこかヘンなハードロック的サウンド…、軽くてヘン、じゃなくてちょっと重苦しくてヘン、というバンドのサウンドに変化している。それはそれで面白いのだが、伊達にポップ畑を歩んでいる人達ではないので、結局妙な展開だったりコーラスだったり構成だったり効果音だったりってのはあらゆる実験として盛り込まれている。そのおかげでイマイチ掴みどころのないアルバムになっているのでThe Moveが好きなファンからするとちと敬遠されがち、ELO好きにはちょっとオーケストレーションが不足している、という中途半端な作品。

 ところがロック畑…60年代後期から70年代が好きなリスナーからしてみると、これもうクィーン的に面白いアルバムでして、クィーンよりも先なワケだからおぉ~、ってなモンです。後の方向性がELOだったので、ロックからややポップの方に寄っているけど、「Looking On」を聴く限りではどっちに転んでもおかしくない、時代の産物でもあるけど新たな幕開けを予感する作品でもある、とは褒めすぎか。ただ、まだまだ60年代の香りを漂わせているのは事実だが…、これからジェフ・リンがどんどんと才能を発揮していくことになるが、結構ブラック・サバス好きな人とか面白いんじゃないだろうか?まぁ、クイーン好きが一番入りやすいだろうけど。

Mr.Big - Sweet Silence 1975

甘美のハード・ロッカー 意外な所でのコーラスワーク、と言うかハードロックなのかポップバンドなのか冗談なのかよくわからないバンド、そういう意味で器がデカかったとも言えるMr.Bigのデビューアルバム「Sweet Silence」。1975年のリリース作品でして、もちろんアメリカのあの有名なバンドの前です。だから彼らはホントはバンド名の肖像権料ってのがあるならかなり貰っているハズで…、いや、そんなのがあるかどうか知らないし、そういうことも全くなってないのかもしれないしただの妄想なので、真面目に受け取らないように…。そんなMr.Bigですが、昔からホントよくわからないバンドで、聴いては「??」な感じで何とも言えない世界なんです。簡単に言えばポップバンド、なんだけど本気でハードロックも結構カッコ良い。なのにかなりオフザケな感触な楽曲もあるし…、でもさ、上手いんだよね、コーラスとか曲の流れとか。その辺が結構好ましくて何度も挑戦するワケ。

 改めて今聴くと、ホント、Queenに近しい世界かもなぁとか思う。グラムじゃないしハードロックでもないパワーポップってんでもなさそうだ…、ある意味メジャーグラウンドでのゴッタ煮サウンドバンド、何気にかなり良いぞよ…。英国ってのはこういう不思議なのが数多くいるのに今でも名前が残っているELOとかと何かがその境目となってシーンから消し去られているんだな。Mr.Bigを曲単位で語るならばQueen、ELO、Mott The Hoople、Sweet、Bay City Rollersってなトコだろうか。悪く無いっすよ。

Mr.Fox - The Gypsy 1971

ジプシー(紙ジャケット仕様) アーシーな雰囲気のフォーク…っつうかもうロックだな、これは、と言うのでジャケットが秀逸なMr.Foxと言うバンドを紹介しておこう。1971年リリースの二作目にして最終作、だと思うが、まぁ、簡単に言うと二枚しかアルバム出さずに消え去ったってとこですが、この二枚がこれまたユニークな音なのでよろしい。…一般的には受け入れられていない音であることは確かだが。

 バンドのいきさつ自体はあちこち調べてみればわかるので割愛するけど、ペグ夫妻が中心になって、というかもともとは奥様のキャロル・ペグさんの方が中心となっていたみたいだけど、そこに色々と絡んできて…ってことらしい。ダンナさんの歌も入ってるんだけど、特に何か凄いとか言うのではなくて、普通の歌なので作品をちょっとマイナスにしている気がするけど、その辺はご愛敬ということで、やっぱりキャロルさんの歌声が…というのもあるけど、この二枚目の「ジプシー」というアルバムでは最初から7分を超える「Mendle」という曲で、これがまたド〜ンという重苦しい雰囲気で展開されるサウンドで、トラッド色もあるけどもっと深みのあるサウンドになっているのでちと変わってる。プログレというほどの展開はないんだけど、そういう世界に突入したがっているのかな、という雰囲気が出ていて結構心地良く聴ける。そして「The Gypsy」と題された組曲ではダンナの情けない歌声で始まる牧歌的な曲なんだけど、途中からドンドンとおかしな方向に進んでいって(笑)、妙〜なリズムと延々と続くオルガンのロングトーンだけで進行したり…、そこから更に脳天気になったりまた落としたり…、さすがに13分もの曲ともなると何でもできます。アーティスティックとは言えるが、面白いかどうかってのは別、か。

 前半に大作が続いたのでアナログ時代のB面ではスタンダードにフォーキーな曲が続くが、このバンド結構太鼓使いなんだな、というのが目立つ。フォークなトコロにリズムがドラミング的ではなく太鼓的に用いられていてちょっと耳に付くポイント。その他はやっぱりスタンダードなトラッドに根ざした音だから、やっぱりA面の実験的な取り組みがユニークだったな。インパクトもあったし、何だろ、このバンド?ってのもあったからよかったのかもしれない。まぁ掴み所の無いバンドではあるが…。

 今ではファーストとのカップリングCD「Mr. Fox/The Gypsy」も出ているのでそれで良いのかなと思うが、何となくアルバムのAB面単位で切り分けて聴かないとちょっと混乱する、というか面白味が半減するかも。そういう意味で凄くアナログ的な音を作っていたバンドだもん。あ、レーベルがトランスアトランティックっていうレーベルロゴが凄く綺麗なトコロからってのはポイント高いです(笑)。

Mushroom - Early One Morning 1973

Early One Morning ここのところメジャーで王道バンドを取り上げてきたし、もちろんボウイやマーク・ボランだって大物だ。ただ、英国ロックの面白くて深いところは、こんな大物から一気にアングラの誰も知らないような世界まで何となく繋がってくるというか、アプローチが同じというか…、もちろんメジャーな人達ってのは才能豊かなんだろうけど、ビジネスセンスに長けていたという人もいるし、もう人それぞれ。才能があっても売れるワケではないのはどこの国も同じ。で、才能あるのを発掘してくる確立が高かったのが70年代の英国、だろうと思う。わからんが。

 …とここまで書いておきながらアイルランドのアーシーなバンドから紹介♪ なんか単なるフォークって気分でもないし、とは言え全くいきなりB級のブルースロックってのも違うので、なんかなかったかなぁ〜とアレコレ…。うん、これなら面白いか、と引っ張ってきたのがこのマッシュルームってバンドの「Early One Morning」です。1973年の作品でもちろんこれ一作でシーンから消え去ります(笑)。しかもこの「Early One Morning」という作品、当時は自主制作だったようで、決してメジャーに出てくるようなバンドの方々ではなかったみたい。だからプレス枚数ももちろん少なくて、英国やアイルランドでも持ってる人が少ない、らしい。実際はわからん。

 しかしどこかの誰かがこのマッシュルームってバンドの音を気に入って、自分だけの秘蔵バンドって感じで抱え込む人が実は多かったようで、そこからこのバンドのこのアルバム「Early One Morning」が高価で取引されるアイテムになってしまったようだ。アナログ時代には軽く10万円を超える値段が付いていたこともあるようで、それなら安いっていう人も多かったらしい。全くコレクター魂は素晴らしい。何故かカウンターフィット盤も出回らず…、まぁ、オリジナルが手に入らなかったんだろうけど(笑)、CD時代になっても全然出てくる気配もなく、ホント最近なんじゃないか、この「Early One Morning」がCDでリリースされたのは。

 ってな経緯ばかりが有名でして、肝心の音は?となると、これがまた確かに自主制作のレベルではなくてかなり面白くてしっかりしてる。トラッドフォークとジグ&リールな曲調が多いんだけど、エレクトリック楽器もしっかり入ってくるので、不思議な感じ。フィドルなんてのももちろん入ってるんだけど、それら全てを何となくぼんやりとしたエコーの音像で包んでどこかアシッドな雰囲気を出しながら…ってこれは多分録音状態の問題だろうけど、これもまたユニークな雰囲気で、ゆったりと浸って聴ける音楽です。もしかしたら名盤的な音世界なのは確かなので、こんな自主制作アルバムが30年経ってもマニアに聴き続けられるハズだと思うくらいの雰囲気はある。実際自分も聴いてみて驚いたし、何回も聴いた作品だもん。もうちょっと涼しくなってからの方が気分的にはハマるが(笑)。

 ジャケットもチープながらインパクトあって良いよね(笑)。キノコ好きじゃないからあまり見たくないけど、面白いなぁと。これじゃどんな音が全然想像付かないっていうフラットさもユニークで、何の期待もしないで聴いたらとんでもなく良いっていう印象を与えられるジャケットだもん。狙ってないだろうけど、バンド名からしてそうなっただけと言いつつも結果はかなりの効果を発揮しているよ。あぁ、しかしこういう世界ってアルバムをず〜っと聴いているとどんどんハマる。んでリピートしちゃうんだよな…(笑)。