Magic Mixture - This Is the Magic Mixture 1968

This Is the Magic Mixture  時代の産物!そうとしか言いようのないマイナーなグループ、マジック・ミクスチュアー。昔から有名だったハズもなく、サイケブームやら再発ブームやらで盛り上がっているウチに発見されて市場に出てきたことからマニアックなところでメジャーになったというのが真相か。音的に評価されまくっていると言うワケではないだろうからねぇ。

 1968年のもちろん唯一のアルバムリリース「This Is the Magic Mixture」♪ 初っ端から「うわぁ〜、時代だ〜」と思えるような音色で始まるのが苦笑いなんだけど、意外とサイケサイケっていうのではなくってしっかりとポップな要素を持ったロックしてます。どことなく音色面とか雰囲気的にはもちろんサイケなんだけど、基本的にアコギで作られたような印象で、シンプルに言えばB級メロウサウンド。

 それでもギターのセンスとかはなかなか真似の出来ないほどよいアシッド感だし、歌もソフトに割と個性的な声で迫ってくるので、悪くない。時代の産物でもあるファズギター中心なので個人的には聴いていて非常に心地良い。もちっとハジけたら結構かっこよいサウンドになっていただろうなぁと思うくらいで、テクニックとかはそんなに文句あるようなもんじゃないしさ。

 ジャケットも凄くヘンでしょ?サイケっつうか、そこにビートルズとかの初期をモチーフにしたような感じでさ。でも英国オリジナル盤はコーティングジャケットらしいので、結構気合いの入ったリリースだったんだろうか?今でもまだどんなバンドの来歴なのか実態が掴めていないというバンドだけど音は多分今の時代でも通じるんじゃないか?とまでは言わないけど、新鮮に響く音かもしれん。まぁ、マニアくらいしか手に入れないアルバムだとは思うけど…。

Mahavishnu Orchestra - The Birds of Fire 1973

 さてオーケストラシリーズ、続いてはジャズ畑からロックへとアプローチをかけてきて、それがそのまま英国的プログレッシヴロックの一環に組み込まれてしまうものになったという珍しい…と云うか、正にボーダーレスな時代を象徴するかのような傑作を生み出したマハビシュヌ・オーケストラだ。あのジョン・マクラフリンが在籍した、そしてそのテクニックを存分に見せつけた作品という意味でも重要なアルバムらしいけど、かっこいいんだよ、これ。

 アルバム的には「火の鳥」くらいしか持ってないんだけど、コレ聴いてるだけでも鳥肌モンだし、タイトル曲「火の鳥」でのアグレッシブなプレイは素晴らしい。で、そこで素晴らしいのはギターもさることながらやっぱりバイオリン。いかにもって感じのハードなプレイは絶対に英国ロックファンを唸らせるものがあるね。ヤン・ハマーの鍵盤もそういうトコあるんだろうな。自分的にはあんまり耳に入ってこないけど(笑)。他の曲にしてもやっぱりバイオリンの音色は凄く新鮮に響き渡っていて、そういえばインスト作品だってことを忘れさせてしまうくらいのバンドの演奏力の高さに驚く。もちろん楽曲のレベルの高さも相当なもので、じっくりと聞き込んでしまうくらいの高尚な作品に仕上がっていて、ああ、完全にこの時代のプログレバンドだ…って思う。そうだね、クリムゾンの「太陽と戦慄」以降と似ているかもしれない。

 このクロスオーバーな風潮からヤン・ハマーとジェフ・ベックが一緒にやるってのがしごく当然のことだったんだろうし、マクラフリンは全く器用な人で、ジャズの巨匠マイルス・デイヴィスが実験的サウンドに進んだ頃の片腕を担ぎ、以降は自分も大好きな、というかとんでもないギタートリオを組んでこれまたとんでもないフライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ?スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!っつう世界を見せてくれるんだな。ちなみにこれはアル・ディ・メオラとパコ・デ・ルシアと三人で本当に弾きまくりの「地中海の舞踏」を聴いてみてもらいたい。ギター弾く気無くすから(笑)。いや、もちろんマハビシュヌ・オーケストラ「火の鳥」」アルバムの中にもマクラフリンの多彩を示すスパニッシュ調の雰囲気の良い「Thousand Island Park」っつう曲もあったりするので、こういう方向もおかしくはないんだけどね。

 まぁ、マクラフリンの才能はギターに限らず、このバンドでは多彩な音楽性と時代がマッチしてロック側からの名作に挙げられる一枚になったワケだな。美しいし激しいし、巧い。いいねぇ…。

Mandalaband - Eye of Wender 1978

Eye of Wender トータルコンセプトアルバムってどんどん進化していて、今ではAyreonなんかが発展系を作っていたり、まぁ、スピードメタルの世界でもコンセプトが当たり前、ゲーム音楽的に展開していく方向に進んでいるのはどうにもちょっと違う気がするが、まぁ、ひとつのコンセプトアルバム。色々な角度があるものの、やっぱり英国ファンタジーをアルバムで表現するってのがスタンダードな構築美♪

 マンダラバンドのセカンドアルバム「Eye of Wender」1978年リリース。もっともセカンドアルバムと言ってもファーストからのバンドメンバーはほぼ不在で、デヴィッド・ロールという人のプロジェクトバンド名というべきものでして、その辺がどうにも不透明だったのでマンダラバンドを知ってから約20年くらいの今に至るまで普通のバンドにしちゃぁ大掛かりなゲスト陣やコンセプトで大したもんだ…などと思っていたのだが。メンツ的にはムーディ・ブルースやバークレイ・ジェームス・ハーベストや10CCの面々にマディ・プライヤやノエル・レディングなんてのも参加しているという代物。今で言うアイエルンの構想と同じ骨格かな。英国伝承ファンタジー作品でもある指輪物語をモチーフに独自のファンタジー世界を創って演奏してさせたものでそれぞれがそれぞれの役割をこなしているので、楽曲毎に彩りが鮮やかで面白い。楽曲はどれもこれもシンフォニックなファンタジー色の強いもので、ロック的なものはほとんどないね。壮大でゆったりとした大らかな作風が粒揃いで高貴な雰囲気がこれまたよろしい。

 マディ・プライアの歌は割と奥深くで聞こえてきてちょっと現実浮游感の漂う感じで、あぁ…心地良いかも…なんて思っていたらインストの後にはジャスティン・ヘイワードの歌声が始まるので、ほのぼのとした曲調もあってか、やっぱりムーディー・ブルース聴いてたっけ?って思ってしまうくらい特徴的な歌声ってのも面白い。コンセプトアルバムであるが故に大曲志向でなく小曲群が並んで粒揃いに楽しめるところが面白いね。ファーストアルバム「Mandalaband」なんてのは圧倒的に大曲志向のシンフォニックバンドだったから今作の「Eye of Wender」でのファンタジー感は心地良い。

 CD化された時にはジャケットが妙にシンフォニックなクラシック的ジャケットになってしまっているが、元々はもっとファンタジックなジャケットなのでご注意。それにしても1978年という年代にこんなの作っても売れなかっただろうなぁ…と。それでも歴史的にしっかり名が残されているのは内容の素晴らしさが物語っているってことだ。

Manfred Mann Chapter Three - Volume Two 1970

Chapter Three Vol.2 テクニカル且つ大胆な、そして新鮮な音を展開していったバンドは他にも山のようにあって、メジャーシーンでは元より、元々メジャーだった人達でもアーティスト本能がそうさせるのか、どんどんと実験的な取り組み意欲的に進んでいくケースも見られた。プリティ・シングスやキンクス、フーなんてのはそんな代表のメジャー格でしょ。60年代のビートバンド達が脱皮した方向性はそれぞれだけど大成した物はあまり多くはないね・ムーディー・ブルースくらいかね、ガラリと変わって成功したのは。そんなバンドのひとつとも言えるマンフレッド・マン、これもビートグループ時代に出てきて売れていたので、今でもその路線のアルバムなんかが入り混じっていてコトを複雑にしている。要するに掴み所がなくてよくわからないんだよ…(笑)。

 それもそのはず、最初期はビートバンドとして、その後はチャプター・スリーとしてフリーフォームなジャズを持ち込んだ実験的なバンドとして、その後はプログレッシヴ色の強いアース・バンドとして活躍、その後もどうやらクラブシーンで人気を誇るバンドとしての側面もあるらしく、追いかけ切れていない…。そういえばかつてマジメにこのバンドの来歴を追ったことがなかったな…。と思ってWikiを見るが…、よくわからん(笑)。ただ、90年代に入ってからのバンドはマンフレッズっていう名称で活動していて主要メンバーのマンフレッド・マン本人は不在とか…、やっぱよくわからん(笑)。

 さて、そんなバンドなんだけど、ホントは凄く深い来歴があって追求していてもおかしくないんだけど、生憎60年代のマージービート系はハマり込めないので追求できてない…が、それでも超名盤として非常に気に入っているアルバムがあるんだよ。そう、もちろん「Chapter Three Vol.2」です。1970年リリースのチャプター・スリーのセカンドアルバムだから「Chapter Three Vol.2」なんですが…、凄まじいジャズ…っつうかフリーなロックを展開していて最初っから緊張感高まりまくりの超ハイテンションな作品。かと言って聴きにくいものでもなくしっかりと歌も入っていてメロディアスな旋律もあるので一般的にも大丈夫でしょう。ちょっと重くてハイかもしれないけど、クリムゾンがメジャーであるならば「Chapter Three Vol.2」も大丈夫。アルバム制作中にドラマーが交代していて、それこそアンディ・マッカロックがドラム叩いているので、クリムゾンとの共通項もあります(笑)。

 そういう話題よりもジャケットのインパクトよりも音のインパクトが超強烈で、マジメに聴いていると凄く疲れる。ハイテンションだからさ、聴いてても安らげないんだよね。こういうの好きでさ、それこそロックの醍醐味でして、何が来るんだ、次は?ってな感じでスリリングに聴ける音。管楽器がヒステリックに騒がれたりベースラインがとんでもなかったりドラムがもの凄く突出したりハモンドが宇宙に行ったりするんだけど、面白いことにギターレス。ジャズ〜だからだろうか?全くギターレスが気にならないくらいにロックな世界で、わかりやすく言えばクリムゾンの「アイランズ」に近いかなぁ…。

 取っ付きにくさはあるかもしれないけど5回くらい聴くとハマるんじゃない?このテンションの高さは他にあまり類を見ない凄さだよ。まだファースト「Chapter Three Vol.1」を聴いていないからちょっとした楽しみもあるのだ。

Marsupilami - Marsupilami (1970)

Marsupilami サイケデリックな波からの脱出と新しいハードロックやプログレッシブ・ロックとの出会いみたいな所から、そして一方ではこの手の音が商売になると踏んだ各レーベルの思惑も手伝い雨後の筍のように続々と何でも出て来た英国ロックのアイディア豊富な世界観、正に何でもありの奥の深さは知られた所だし、多分今ではもうこの辺りってマニアのものじゃなくなってるんじゃないかと思ったり。紙ジャケでほぼ全てのアイテムがリリースされたりリマスター盤も出たりする訳だから日本でもそれなりに需要が高いってことで売れるんだろうし。ただ、買う人は全部買うからそういう固定的な数量は見込まれてるんだろうと。それはともかく、当時はどんだけ売れたんだ?って話になるとほぼ皆無だったんじゃないだろうか?ってバンドも多数…。

 1970年にファーストアルバム「Marsupilami」をリリースしたMarsupilamiというバンドもそうだ。セカンドの「Arena」はその後英国ロックの名盤として語られることもあったが、ファーストの「Marsupilami」なんてジャケットすら知られてなかったんじゃないか?アマゾンで見つけたこのジャケットのダサさにはかなり驚いたが、これがホントにオリジナルなんだろうか?あまりにもセンス無さすぎるんだが…、英国のこの時代のロックバンドでここまでダサいのも多くはない(笑)。

 ところが、その一方聴けるサウンドは期待を裏切らないダサさ…いや、カッコ良さ…、いやカッコ良いっつうか…B級っつうか…、冒頭から何か有りそうな雰囲気のイントロが流れてきて突然やっぱりキター!って感じのドタバタ劇。一聴するとヘヴィロックの世界観でもあるけど、展開がプログレ的、鍵盤やフルートが活躍するからそうなるんだろうけど、ここのドラマー君が、結構カッコ良くってなかなかソリッドにツボを得たドラム叩いてくれてます。そしてギターのエグい音が堪らなくよろしいんですよね♪ ハードロックに向かいたい志向とプログレ的展開と何でもありな楽器類に加えてサイケデリック風味な雰囲気を引き摺っている時代性がそのまま反映されたバンド、セカンドの「Arena」はテーマを決めたから統一感があるが、こちらの「Marsupilami」では新しい時代に自分たちもやってくぞ、みたいなのがあって気合は十二分、楽曲へとの取り組みも十二分なんだが、志向性がよくわからん(笑)。

Marsupilami - Arena 1971

Arena ちょっと勢い余って聴いてみたアルバムがあったので今回はそいつを。もちろん英国ロックの世界なのですけどね…、いやぁ、VDGGやRaw Materialを書いている時に進めばよかったのに失念してましたので、唐突にここで登場させてしまってます(笑)。こういう音って好きなんだよ、本質的に、っていうバンドの作品で、この辺わかってる人は好みの傾向を理解してくれることでしょう…、うん、やっぱハードなのが面白いんですよ、音の世界って。

 マルスピラミの「Arena」という1971年の作品。古代ローマをモチーフにして云々と色々と書かれていて、まぁ、古代ローマのイメージなんてよくわからんわな…ってのと、ジャケットがその模倣もあってイマイチ美しさとは無縁のジャケットだったので食指が動かなかったのだ。そういう勘違いが大きな後悔の一つの要因となることは重々承知しているものなんだけど、しょうがないよな、食指が伸びないってのは(笑)。

 で、結局後悔です(笑)。いやぁ、なので、是非このヘンの…、VDGGやRaw MaterialやGnidrologなんてのが好きな人は聴いてみた方が良いでしょう。ああいうわけの分からないインパクトを持っていて、且つヤケにテクニックはあるじゃないか、みたいな感じでして、もちろん楽曲はテーマから導かれていくヘンなものが多いのでプログレと言えばプログレだけど、そこまで緻密に計算されてはいない。勢いの所もある感じでさ、その分フルートのヘンな入り方とかメロトロンの洪水の使い方とかちょっとズレている部分もあるので楽しめる。ただし、ファズの入ったギターのセンスが相当独特のテクニックで、良いかも。歌がちょっとイケてないけど、まぁ、このバックの音なので問題ないか。

 聴いてアルバム見ててふと気付いたのがプロデューサーにあのキャメルのピーター・バーデンスが配されているのだった。う〜ん、音的にはピーター・バーデンスのセンスが反映されているようには思えないので、話題だけの話なのかな…それともバンドのインパクトはプロデュースできなかったって?いやいや、きっと凄いところ…例えばオルガンだらけの曲で指示を出していたとかあるのかもしれない。そうやって聴くとオルガンハードなところもあるもん。

 しかし…暑苦しい音(笑)。その暑苦しさがベタで人の心を擽ります。好きですねぇ〜こういうの。

Martha Velez - Fiends & Angels

Fiends and Angels そういえば…、随分昔にその存在を知りながらもレコード探しをしていた頃にはほとんど見かけることなく、一回見かけた時にはアメリカ盤ジャケットだったがために、別のアルバムと勘違いして買わなかった…、それでも4000円くらいしかのかな。あとでアメリカ盤とイギリス盤で全然ジャケットが違うことが判明して割と悔しい思いをしながら、結局イギリス盤を見かけなかったような気がする。そんですっかり忘れ去っていたんだが、昨年かな、CDがリリースされるというのでちょっと話題になってたマーサ・ベレツ。手に入れて聴いて感動してたんだけどその内に書こう、ってすっかり失念してましたねぇ。この機会に書いておきましょう。

 1969年リリースの「悪魔と天使」という意味での「Fiends and Angels」というタイトル。「友達と天使」ではないですが、割と間違えやすい(笑)。こうして見るとアメリカ盤の方がジャケットにインパクトがあるのは事実でして、うん、英国人なんですけどね、彼女。ただ中身の声を聴いてしまうと、アメリカ盤のジャケットのインパクトの方が正解だろう、っていう感じはするが(笑)。

 もうねぇ〜、思い切り好みの音でして、そりゃまぁ、マイク・ヴァーノンのプロデュースによるものなので思い切りブルースに決まってるんだよ。しかも彼女はジャニスが脱退した後のThe Holding Companyにボーカルで加入のウワサもあったくらいの迫力絶叫系ボーカルのお転婆お姉ちゃんなワケで、聴いていて吹っ切れてて心地良い。マギー・ベルほどの凄みはないんだけど、それでもかなり面白い域に達していて正に60年代後期の英国ハードロックってなモンだ。あ、バックがね。

 そのバックなんだけど、これもマイク・ヴァーノンの力によるものだが、なんと思い切り全盛期のクリームの面々からクラプトンとジャック・ブルースを呼び込み、この二人にはジム・キャパルディのドラムと絡ませて思い切り激しく派手なブルースロックを何曲も展開してくれる。正直言ってマーサ・ベレズの歌声など全く耳に入らないくらいに二人の演奏に耳が行ってしまうんだな。やっぱりこの頃は凄いわ。それとマイク・ヴァーノン絡みなのでフリーのポール・コソフも参加しているのだが、これもまたジム・キャパルディやクリスティン・マクヴィのピアノなんてのと絡めて元々スワンプ系への参加が多いポール・コソフのこれまた全盛期のアグレッシヴであのタメが聴いたギターが聴けるという代物。それと何曲かではスタン・ウェブのブルースギターも聴けるので、当時のブルースギタリストとしてロック界に名を馳せようとしていたメンツが揃っている。なんともまぁ、豪華なアルバムになったことだろう。

 あまりにもゲスト陣が豪華なので肝心のマーサ・ベレズについて語られることは少ないんだけど、ミックスの問題も大きいよなぁ、多分。自分的にはかなり好きなタイプのボーカルで、もっとこういう弾けた音を歌って欲しいものだし、どんどん作品をリリースして欲しかったなぁ。何枚か他にもリリースされてるけど、そこまで追いかけていない…ってことはそれほど入れ込んでないってことか(笑)。

 いやいや少なくともこのアルバム「Fiends and Angels」については歌もかなり楽しめる作品です。まぁ、ゲスト陣が凄すぎるけど…。

Matthews Southern Comfort - Matthews Southern Comfort 1969

Second Spring/Matthews Southern Comfort 秋冬になるとフォークが心地良い。トラディショナルな英国フォークは今の季節にぴったりなのかもしれない。まぁ、そういう心地良い音を何となく求めているだけというのかもしれないけど、久々にまとめて聴いていて癒されている自分に気付くのだった…(笑)。だからどういうのでも良いんだけど、ロック的なモノから遠ざかった思い切りフォークに手を付けてみる。

 イアン・マシューズが組んだバンドの最初のアルバム、っつうかソロ作品のタイトルでもあったマシューズ・サザン・コンフォートの作品「Matthews Southern Comfort」。最近のCDではファーストとセカンド「Second Spring」がカップリングになったCDで売られているようなので、それで良いんじゃない?二枚入ってお得だし。ま、生粋の英国マニアでもない限りアナログは手に入れられないでしょう(笑)。マニア的に有名なのはこの辺よりもここから先にイアン・マシューズが脱退して単なるサザン・コンフォートっていうバンドになってからリリースされた紅茶のジャケットで有名な「サザン・コンフォート」だろうね。お店でいつ見てもハッとする美しさがあるジャケットでさ、品格が備わってる作品だもん。

 さてさて、この作品「Matthews Southern Comfort」は1969年暮れにリリースされたようで、イアン・マシューズはフェアポート・コンベンションのセカンドアルバム「What We Did On Our Holidays」までフルで参加してから三枚目の傑作「Unhalfbricking」のレコーディング中に離脱している人で、以降にもちろんフェアポート人脈をも使って作られた作品がこの「Matthews Southern Comfort」。フェアポートの方はサンディ・デニーという強力な歌い手が加入していたためイアン・マシューズのささやくような優しい歌声の出番が少なく、またリスナーも必要としていなかったこともあるのでその分自身のバンドでこういった柔らかく優しい雰囲気の楽曲群に囲まれたウィスパーボイスによる作品はフェアポートからの離脱の理由がよくわかるというものだ。思う存分イアン・マシューズの世界を打ち出しているし、その美しさは英国フォークの中でもかなり秀逸なモノに仕上がっているとも云えるしね。

 セカンドアルバム「Second Spring」はもう少し霧が晴れたような感触の作風で、ちょっと雲の切れ間に日差しが見えるかなというような感じでして、うん、CD一枚に二作品が入ってるけど、立て続けに聴いているとその作風の質感の違いはすぐにわかるんじゃないかな。どちらもソフトで優しい楽曲群は聴くモノをうっとりとさせる魅力を放っていることに変わらないね。うん、いいわ、こういうの、秋だ〜♪

May Blitz - May Blitz 1970

 ミュージシャンという職業は華々しい時もあれば地味な活動をせざるを得ない時もある。一瞬の晴れ舞台に躍り出たことのある人物はまたその世界を堪能したくなるのだろうか、それも自分が中心となってスポットライトを浴びるという気持ちの良さを味わうために…。いや、そんなことをふと思うようなバンドもあってね。

 先日GunThree Man Armyと流れていったガーヴィッツ兄弟の話を書いたのだが、そのThree Man Armyの屋台骨となったドラマーであるトニー・ニューマンは、そもそもジェフ・ベック・グループの1969年発表の「Beck-Ola」のドラマーとして名を馳せていたワケだが…、しかし彼の来歴をよく把握していないのでわからんのだが、新人でいきなりベックと共演?ってなことではないと思うのでその前の来歴を知りたい所なのだ…。ま、それはそれとして、ドラマーとしては既にテクニカルな部類に入っていたワケで、しかもプロのメシの食い方もなんとなくわかっていたのであった。そんな時に二人の若者ジェームス君とレイド君に会ったことで一緒にバンドをやることになるのだ。それがメイ・ブリッツと云うバンド。

 う〜ん、難しいのはその前後なんだよなぁ。音の話はもう少し後としてさ(笑)。実はMay Blitzってバンドは驚くことにBakerlooのドラマーであったキース・ベイカーがベースボーカルのテリー・プールとBakerloo脱退後に作ったバンドで、そこでギターボーカルのジェームス君(当時16歳?)に出会って一緒にプレイしてたらしいのだな。でも、すぐに首謀者二人が脱退してしまってどうしようかと思っていた所に同じ年代のレイド君をとりあえずキープして…って思ってたところにトニー・ニューマンが参加したってことらしい。その辺の関係はよくわかんないけど、何か面白そうなアンダーグラウンドシーンだよなぁ、と(笑)。

 で、トニー・ニューマンの目論見でトリオ編成で望んだこのバンドは1970年に最初のアルバム「May Blitz」をリリースするのだが、これがまた正しく英国ハードロックサウンドで、しかも音が綺麗で演奏が上手い。だからもっとプッシュされていれば売れただろうに、残念ながらヴァーティゴレーベルからのリリースだったためか(笑)、それだけでB級バンド扱い…んなことないけど、プロダクションとの絡みももちろんあっただろうなぁ、勿体ないなぁ、と思うバンドのひとつです。当然ハードな路線だけでなくアコースティックを掻き鳴らしながら聴かせる曲もあったり、単なるハードロックではなくってそこにプログレッシヴな要素も多分に入ってきたり、コーラスワークがしっかりしていたり、当然この時代のバンドだからなんでもあるんだけど、そんなにマイナーなものでもないので聴いてみると良いと思う。

 アルバムは二枚しかリリースされていなくて後は翌年に同じくヴァーティゴからセカンドアルバム「セカンド・オブ・メイ」がリリースされていて、基本的に同様の路線のアルバム。ファースト「May Blitz」はダブルジャケットで縦長の絵になっているのも面白いね。

May Blitz - The 2nd of May (1971)

2nd of May 70年代英国アングラハードロック伝説、もうちょっと続きます(笑)。Three Man Armyあたりからどうにも人脈関係が広がってしまって収集つかなくなってるんで色々と聴いてしまったんです。面白くて。まぁ、考えてみればクラッシュもボウイもムーディ・ブルースもベックも何も全部繋がってしまう人脈図になっちゃうんだよね、英国ロックの歴史ってのは。もちろん個人名で全部は覚え切れないので資料漁りが必要になるんだが、今じゃネットで簡単に調べられるし便利なもんだ。そんなことを常日頃から行いながら、ほほぉ~、そういう繋がりの人だったのか!とか驚きながら聴いている今日この頃、いつまで経ってもやってること変わらない自分にややうんざりしながら子供のようにはしゃいでいる自分もいたりする。男の子は無邪気なものだ(笑)。

 1971年一部では英国最高峰のハードロックバンドとして名を馳せている?かもしれないメイ・ブリッツのセカンド「2nd of May」がリリース。それはもう世間に知れ渡って…なんてことはまるでなく、ひっそりとVertigoからリリースされたのでした。Three Man Armyとの辛みはもちろんドラムのトニー・ニューマンですね。元ジェフ・ベック・グループという肩書きを最初に持ったので以降の活動がやりやすくなったことは間違いないトニー・ニューマン、ならばいっそメジャーシーンの連中と組んで稼げば良かったのに、そちらには行かずに感性と人脈でバンドを組み続けていったウチの最初がこのメイ・ブリッツ。元Bakerlooというこれまたマイナーなバンドの連中と組んで16歳くらいのギタリスト入れて作ったバンドで、そのセカンドアルバムなんだからそれなりに評価されていたとは思うけど、さすがにパンチが足りなかったか、本作にて終了。

 ただねぇ、音は確かにトリオ編成とは思えないほどにカッコ良いんです。Three Man Armyとかに比べたら全然洗練されているし、メジャーシーンに出れる音作りにもなっているからもうちょっと売れても良かったと思うんだけどあと一歩の個性の無さの問題かな。ギター、ベース、ドラムのトリオで演奏するハードロックってのはもう他にもいくつもあったし、出来る音楽性にも限りがあっただろうし、ってことか。それにしてこの「2nd of May」で聴ける音のカッコ良さはユニークだ。ベースがグイグイドライブしていてドラムはもう圧倒的に曲を引っ張っていくので、問題はギターなんだが、いや、ヘタじゃないよ、もちろん。ただ、まだまだフレーズの多様さが足りないからかやや冗長な感じが出てきたりする時があって残念。それでもアドリブパートの思いきりの良いギターはやっぱり見事。このジェームス・ブラックって若者がどういう人生を生きているのかちょっと調べた程度ではわからなかったんだけど、シーンでは名前聴かないからどうなんだろうな。

 それはともかく、B級とメジャーのボーダーライン際にあるようなメイ・ブリッツの「2nd of May」、ルーツがまるでわからないハードロックという意味でかなりオリジナルではある、が…と思うものの、やはり聴きたくなるしつこさっつうのがあって好きな人のみ楽しむ音、ですな(笑)。

Metro - Metro 1976

メトロ(紙ジャケット仕様)  妙~なポップセンスが全開しているキッチュなポップロックバンドとも呼ばれるメトロ。ダンカン・ブラウンとピーター・ゴドウィンのセンスが炸裂するデカダンなバンド。1976年というパンク直前の英国に於いてこんな妙なものが売れたという事実もこれまた不思議な事だが、その成功に釣られてアルバムを手にした人達は果たして「メトロ」という作品をどう思ったのだろう?多分両極端に分かれたんだろうな…と想像に難くない。

 Roxy Musicや10cc的に…と言われていたことなのだろうが、その系譜として見ると後のXTCやUltravoxと言ったサウンドへの影響とも見られるワケで、ってことはこの頃二極化した反応ってのは思いも掛けない音世界に巡り会ったとハマり込んでいった本物のヘンな若者たちの部類と、よくわからんけどヘンだな~ってくらいで離れていった一般層。なるほど、聴けば聴くほどハマり込んでいく人達の気持ちもよくわかるし、後にヘンなバンドの人達が名前を挙げて絶賛していたのも分かる。こういうのって言葉で表しにくいんだよね…。

 メトロは熱くなるような歌いまわしやロック的な部分は皆無で、淡々とクールに音を聴かせてくる。まぁ、ジャパンとかもそんな漢字だけど、もっとヘン。80sが流行した時にはこういうのが洗練されてポップスに昇華した部分もあるかも。そもそもが踊れないバンド、っていうコンセプトだし、確かに英国からしか出てこないクールなサウンド。歌も上手くないし演奏も特に際立ったものじゃないし、テクノやハウスみたいに何か新しい要素を持ち込んでいるワケでもないが、やたらとクール。ただ、何となく理解出来たのはDuncan Browneと言う人の来歴は別途英国ロックの「Duncan Browne」というアルバム方で知ったので、あのフォーク青年が何ゆえにこんな風な音を奏でるようになったのだろう?という疑問の方が大きかった。でも、しっかりメトロを聴いていると、そのフォーク調な部分がベースになっていることに気づく。人間根はあまり変わらないものだ。

 後にDavid Bowieが80sメガヒットアルバム「レッツ・ダンス」の中で「Criminal World」を取り上げたことでMetroのヒット曲が再注目されたことはあるが、Bowieの作品のカバー具合は常にオリジナルを超える垢抜けたサウンドになることが多く、「Criminal World」でもそんなことで、Bowieバージョンの粋の良さが際立っているが…。

Metro - Express Metro Duncan Browne - Duncan Browne's Ninepence Worth of Walking Duncan Browne

Mick Farren - Vampires Stole My Lunch Money 1973

泥棒ヴァンパイアに御用心(VAMPIRES STOLE MY LUNCH MONEY) 歴代の奇人ミック・ファーレンという人物、どんな人なんだろうと気になっているところになんとも見事に自分の顔のどアップをアルバムジャケットにした作品を1978年にリリースして、そのひょうきんな表情を遙か東の彼方の国のロック少年たちに見せてくれたのだ。もちろんアナログ時代には多分見たことなかったかなぁ、自分は。当時リアルでもなかなか見なかったとは思うけど、へぇ〜、ってな感じでして、よく見れば見るほどにヘンなの〜って思うんだけどね。

 「泥棒ヴァンパイアに御用心」というソロではセカンドアルバムとなっていて、意外と作品出していないかなという感じだけど、面子が面白い。昔のデヴィアンツからの仲間がサポートしているんだけど、さすがにノッティングヒルゲイトの主と呼ばれるだけあって、ウィルコ・ジョンソンがギターで参加していて、バックコーラスにはなんとソーニャ・クリスティーナとクリッシー・ハインドという豪華な女性陣。この二人が並んでコーラスやってるってのが信じられんのだけど…。この二人のコーラスワークはアルバム冒頭の「Trouble Coming Every Day」から炸裂していて、なんか強烈なバックコーラスだなぁ〜と思って見るとこんな面子。どんな繋がりなんだろ?クリッシー・ハインドはまだわかる。クラッシュの面々とノッティングヒルゲイト周辺でたむろっていたらしいからさ。しかしソーニャだよなぁ。彼女のそういう生い立ちというか育ち的なトコロって全然記憶にないから、ピンと来ない。ステチュワート・コープランドの奥さん時代なのかな…、でも彼はノッティングヒルゲゲイト周辺にいたのだろうか?う〜む、なかなか奥が深い。

 さて、このセカンドアルバム「泥棒ヴァンパイアに御用心」ではウィルコ・ジョンソンが参加している関係からか全体的にパブロック的なシャープでソリッドなサウンドが多く、そこにミック・ファーレンのキャッチーなメロディを持ったセンスが入り込んでいるのでアルバム的に決して質は高くないけれど、聴きやすく創られている感じ。60年代から生きてきたオトコが久々に放つ音にしてはかなり面白いんだkど、時代はパンクとディスコだから、もちろん無視されただろうことは想像に難くない(笑)。

 ま、一般的いはどうしてもファーストアルバム「モナ(人喰いサーカス団)」への関心が高い様子で、もちろんデヴィアンツの延長を期待してというものなんだろうけど、こちらのセカンドアルバム「泥棒ヴァンパイアに御用心」は全然違った意味で新鮮なミック・ファーレンを聴けるね。

Mick Ralphs - Take This! 1984

Take This  ちょろっとミック・ラルフスが続いたのでソロアルバムなんつうものに手を出してみよう〜。随分昔になるけどモットやらバドカンやらを聴き始めた頃に当然の如くメンバーの名前とかソロアルバムの有無とか過去の経緯とか分かる範囲で調べるワケだよ。もちろんその頃はインターネットなんてないワケで、調べるっつってもタカが知れていた。レコードに入っているライナーが一番頼りだったけど、それ以外でも色々とまとまったロック本なんてのはあったから結構重宝したし、ギター雑誌やプレイヤー誌なんかでも結構色々なバンドの特集をやっていたりしたのでそんなのでちまちまと情報集めしてたな。それでミック・ラルフスもソロアルバム出してるってのを知ったんだけど、これがねぇ、なかなか見つからないんだよ、当然ながら。

 そんな最初のソロアルバムは1984年リリースの「Take This!」なのだが、時期的にはバドカンからポール・ロジャースが脱退した頃にサイモン・カークと共に作った作品ってところか。他のメンバーにはあまり有名な人が参加していないので趣味的に作ったんだろうな。音の方は結構さっぱりと軽快ロックを奏でていて、自分で歌ってる。モットの頃から自分で歌っている人なんだけどここでようやくフルで歌ってるのだが、まぁ、線が細い感じなので歌向きではないのかな、っつうかバックがハードなロックだとちと大変そうなのだ。だからなのかこのアルバムはそんなに重くてハードな曲は入っていなくて、どっちかっつうと大人のロック(笑)。いや、多分この頃に本人が好きだったと思われるフュージョンっぽいのもあったりして不思議。弾ける人だからそういう曲があってもおかしくないけどさすがにソロ作品じゃないと出せないだろうなぁ、こういうのは。他はもうアメリカナイズされまくったサウンドで一方では80sポップスがガンガン売れていた頃に一人でこんなソロやってるんだから面白い。まぁ、ロックだからな(笑)。

 それで結局新宿レコードでようやくこのアルバムを売っているのを見つけて購入、2,800円だった記憶もしっかりあるんだな。まぁ、何回も聴いてないのだが久々に引っ張り出したよ。懐かしいなぁ〜って思いながら聴いてたんだが(笑)。それで今アマゾンで見てみるとなんとCDではジャケットが変わっているのか?しかもこの訳の分からないボーナストラックの山は何なんだ?う〜ん、恐るべしCD産業。もちろんそこまでして揃える気力があるワケじゃないので良いのだが…。そして面白い発見は彼がそれ以降1999年頃にまたソロアルバムをリリースしていたっていう事実に気付いたこと。何だこのアメリカンなジャケットは(笑)。なかなか楽しみな作品を出してるねぇ…と。気になる方、購入後感想をお知らせ下さい(笑)。「It's All Good」「That's Life」なんてのがある。

Mogul Thrash - Mogul Thrash 1970

Mogul Thrash コロシアムの名盤「Valentyne Suite」の後にバンドを脱退し、クレム・クレムソンにその座を明け渡すコトとなったジェームズ・リザーランドはワウペダルを用いたアグレッシヴなギターをプレイすることでコロシアムの核の一端を担っていたのだが、やはりギタリスト的にはワガママ的な部分も多かったのだろうか、今度は自身が中心になったバンド、モーグル・スラッシュを結成して1970年にアルバムをリリース。

 邦題は「炸裂!」だったらしいが、まぁ、「Mogul Thrash」で良いでしょう(笑)。その筋の人には見覚えのあるアルバムジャケットだったりする、かな?そうでもないか(笑)。いや、ジェームズ・リザーランドのバンドでブラスロックとも云えるサウンドを展開しているのでコロシアムの延長戦というかコロシアムをもっとすっきりさせてワウペダルのギターをギュインギュインと入れまくったアルバムってトコなんだけどね…、ひとつだけ圧倒的に異なることがあるんですよ。うん、ベースが凄いの。ここまで弾くか?ってくらいにラインで走りまくってて、それがかなり心地良いフレージングだったり、楽曲の流れをグイグイと引っ張っていたりしてとにかくタダモンじゃない。そういうのがよくわかるベースライン。

 だって、ジョン・ウェットンだもん(笑)。

 そうなんだよね、ジョン・ウェットンがプロとして最初に参加したアルバムとして名高い、のかどうかは別として、そういうアルバム。アナログの時はもちろん探しきらなかったのでCDになってから聴いたんだけど、はっきり言って、クリムゾンの時のジョン・ウェットンよりもベース弾きまくってる(笑)。対するリザーランドのギタープレイが稚拙なものに聞こえてしまうくらい突出したプレイぶりは後のジョン・ウェットンの才能を確認するには丁度良い音源資料。CD時代になってのリリースではボーナストラックやらなんやらと入ってたり曲順も違っていたりするのだが、並び方としては悪くない。CD最初のボーナスとラク「Sleeping In The Kitchen」からして何だこのベースは?と思うような曲で、そのまま本編に入ってもとにかくベースしか聞こえないじゃないか、っつうくらいなもんだ(笑)。面白い。ベース好きな人は聴くべしってトコ。いや、そうじゃなくてもこんだけ自由自在に弾けるベーシストはそもそも少ないし、そういうバンドも少ないので、正直言ってベーシストのソロアルバムでもここまで弾かないだろ、って。なので、是非笑うためにも聴いて貰いたいよ、これは。 コロシアム時代にもプレイしていた「Elegy」とか凄いよ。別の曲では「Easy Money」と同じリフが出てきたりとか(笑)。

 そうそう、書き忘れてたけどプロデューサーにはブライアン・オーガーが配されているので、演奏にも参加しているし、ジョン・ウェットンh「St.Peter」って曲で歌も歌ってます。楽曲はこの時代特有のロックの雰囲気をしっかり閉じこめたサウンドで、ブラスが多用されている上にベースオンパレードのアルバム。クリムゾン関連で何か入手するなら、コイツを探した方が絶対タメになりまっせ。

Monument - First Monument (1971)

First Monument ちょいと前にドイツもんを色々と聴き漁っていると多数(?)の方々と雑談になり、なるほど〜と思うことももちろん多々あって、派生する音や思い出す音など実に実り多きシリーズになったのだった。近年では結構珍しいくらいにひとつのまとまりにハマり込んだんで、ドイツものはこれからもちゃんと整理して聴いていかないとな〜と思う次第。さて、そんな時に出てきたのがMonumentoという英国のアングラバンドの名前でして、自分の中で70年代の英国のロックはB級に至るまで概ね制覇できていると思ってて、まぁ、好みで聴かないってのはあるけど、はっきりと好みで聞いてないっってのは名前はわかるんで自分で消化できてるんだが、そういえば名前知ってて正体も知ってるけど、あれ?どんなんだ?みたいなのもあってさ、このMonumentなんて、もう全然記憶の端くれ程度にしかなかったんです。それを思い出させて頂けたので、これは・と思って聴きました。自分のコレクションにはなかったんでちょいと探しましたが…。

 英国出身のMonumentというバンドの1971年の作品「First Monument」…、バンドのメンバークレジットは記載されていなくて、謎のバンドによる黒魔術を彷彿させるアングラなサウンド…として語られるハズだったのが、どういうワケだかZiorというバンドの変名バンドってことで知られている。本当にそうなのかどうかは自分で確証があるわけじゃないけどZiorの音を聴いてみれば、まぁ、納得はするだろう。エラいな〜って思うのはZiorのファースト「Zior」も1971年にリリースされていて、同年にこの「First Monument 」もリリースしているってことだな。Ziorはセカンド・アルバムまでで終了だし、Monumentはこの一枚だけだし、多才だった割には一瞬だけの活躍だった、ということか。もっともやっている音楽を聴いている限りそれほど需要の高い音とは思えないんだけどさ(笑)。

 黒魔術的ってのはこういう音を言うのかね…って感じ。オルガンと怪しげなメロディとチープでガレージチックなサウンドに彩られたベタベタなロックで、このヘンの音で近くてわかりやすいのはThe Crazy World of Arthur Brownだろうな、やっぱ。本当に黒魔術で命を落としたGraham Bondのバンドなんかはもっとヤバい感じの音だったからMonumentのこの音くらいならまだ音楽的な側面として捉えられるのでは?実際は知らないけど。なんだろうねぇ、こういうのは。呪術的な感じの歌い方…白々しいまでの大げさな感じと襲いかかるようなエコーと叫び声、バックの音は淡々と繰り返されるパターン、そして意外なまでの曲展開はどれもこれも繊細なフレーズがなぞられている、そんな感じで70年代としてはちょいと遅いかな…って思えるけど、カラフルではある。

 こういうの聴いてるとこの時期の英国ってのはホントに何でもやってみる連中がいたんだな〜って思うし売る側も何でもリリースしてみてあたればいいか、みたいなのあったんだろうし、良い時代だったんだな〜って思う。普通に聴いたらデモ聴いた時点でちょっと考えるでしょ(笑)。ん?、自分?こういうの好きです…、実験精神旺盛だし、ただ毎日聞けるってもんじゃないな…。

The Move - Looking On 1970

Looking On ロイ・ウッドとは…、なかなか読み取りにくいミュージシャンの一人。ジェフ・リンはまだ後の活動からそれなりに趣味とか方向性とか英国人らしい部分ってのがわかるんだけど、ロイ・ウッドってのは奇人的印象が拭えない。それは多分にソロ作品「Wizzard Brew」のジャケットとかその後のベスト盤などで見られるロイ・ウッドの奇抜なメイクに他ならないワケだが…。Renaissanceのアニー・ハスラムとの関係性から久々に気になってちょっと取り出してきたロイ・ウッド関連。The MoveからELO、Wizzardあたりと妙なベスト盤…、それなりにあるので何となく聴けるってのは良い環境なのだが、ジェフ・リンというキーワードも外せないので、今回はThe Moveの「Looking On」。

 まず、だな、この「Looking On」のジャケット…、ロック名盤の本などで小さく見てもあまりよくわからないだろう…、もしかしたらCD紹介の本なんかでもよくわからないと思う。アマゾンで見たって何だろ?ってくらいの興味しか示さないだろうが、アナログで見てもらいたい…。もしくは拡大して見てもらえるとわかるが、どうにもふざけたジャケットってことがわかるハズだ(笑)。自分は昔何かの本でこのアルバムジャケットの紹介をモノクロの写真で見て、卵があちこちに向けて並べられているジャケかな…、何の卵だろ?って思ってました(笑)。まさかハゲ頭を上から写した写真とは思わなかった…。

 さて、そんなふざけたジャケットの中味はThe Moveという60年代末期のカラフルサイケデリックポップの申し子のようなバンドが、同じく同年代のビートルズフィーバーたっぷりのIdle Raceからジェフ・リンを引っ張ってきてロイ・ウッドとジェフ・リンの双頭体制が整った最初のアルバムです。双方とも同じような感性だということを認識していたためか、得意分野での才能開花ではなくって、ちょっと違う方向性での実験をすることで、それまでのThe Moveが持っていたカラフルさや軽快さは鳴りを潜めどこかヘンなハードロック的サウンド…、軽くてヘン、じゃなくてちょっと重苦しくてヘン、というバンドのサウンドに変化している。それはそれで面白いのだが、伊達にポップ畑を歩んでいる人達ではないので、結局妙な展開だったりコーラスだったり構成だったり効果音だったりってのはあらゆる実験として盛り込まれている。そのおかげでイマイチ掴みどころのないアルバムになっているのでThe Moveが好きなファンからするとちと敬遠されがち、ELO好きにはちょっとオーケストレーションが不足している、という中途半端な作品。

 ところがロック畑…60年代後期から70年代が好きなリスナーからしてみると、これもうクィーン的に面白いアルバムでして、クィーンよりも先なワケだからおぉ~、ってなモンです。後の方向性がELOだったので、ロックからややポップの方に寄っているけど、「Looking On」を聴く限りではどっちに転んでもおかしくない、時代の産物でもあるけど新たな幕開けを予感する作品でもある、とは褒めすぎか。ただ、まだまだ60年代の香りを漂わせているのは事実だが…、これからジェフ・リンがどんどんと才能を発揮していくことになるが、結構ブラック・サバス好きな人とか面白いんじゃないだろうか?まぁ、クイーン好きが一番入りやすいだろうけど。

Mr.Fox - The Gypsy 1971

ジプシー(紙ジャケット仕様) アーシーな雰囲気のフォーク…っつうかもうロックだな、これは、と言うのでジャケットが秀逸なMr.Foxと言うバンドを紹介しておこう。1971年リリースの二作目にして最終作、だと思うが、まぁ、簡単に言うと二枚しかアルバム出さずに消え去ったってとこですが、この二枚がこれまたユニークな音なのでよろしい。…一般的には受け入れられていない音であることは確かだが。

 バンドのいきさつ自体はあちこち調べてみればわかるので割愛するけど、ペグ夫妻が中心になって、というかもともとは奥様のキャロル・ペグさんの方が中心となっていたみたいだけど、そこに色々と絡んできて…ってことらしい。ダンナさんの歌も入ってるんだけど、特に何か凄いとか言うのではなくて、普通の歌なので作品をちょっとマイナスにしている気がするけど、その辺はご愛敬ということで、やっぱりキャロルさんの歌声が…というのもあるけど、この二枚目の「ジプシー」というアルバムでは最初から7分を超える「Mendle」という曲で、これがまたド〜ンという重苦しい雰囲気で展開されるサウンドで、トラッド色もあるけどもっと深みのあるサウンドになっているのでちと変わってる。プログレというほどの展開はないんだけど、そういう世界に突入したがっているのかな、という雰囲気が出ていて結構心地良く聴ける。そして「The Gypsy」と題された組曲ではダンナの情けない歌声で始まる牧歌的な曲なんだけど、途中からドンドンとおかしな方向に進んでいって(笑)、妙〜なリズムと延々と続くオルガンのロングトーンだけで進行したり…、そこから更に脳天気になったりまた落としたり…、さすがに13分もの曲ともなると何でもできます。アーティスティックとは言えるが、面白いかどうかってのは別、か。

 前半に大作が続いたのでアナログ時代のB面ではスタンダードにフォーキーな曲が続くが、このバンド結構太鼓使いなんだな、というのが目立つ。フォークなトコロにリズムがドラミング的ではなく太鼓的に用いられていてちょっと耳に付くポイント。その他はやっぱりスタンダードなトラッドに根ざした音だから、やっぱりA面の実験的な取り組みがユニークだったな。インパクトもあったし、何だろ、このバンド?ってのもあったからよかったのかもしれない。まぁ掴み所の無いバンドではあるが…。

 今ではファーストとのカップリングCD「Mr. Fox/The Gypsy」も出ているのでそれで良いのかなと思うが、何となくアルバムのAB面単位で切り分けて聴かないとちょっと混乱する、というか面白味が半減するかも。そういう意味で凄くアナログ的な音を作っていたバンドだもん。あ、レーベルがトランスアトランティックっていうレーベルロゴが凄く綺麗なトコロからってのはポイント高いです(笑)。

Mushroom - Early One Morning 1973

Early One Morning ここのところメジャーで王道バンドを取り上げてきたし、もちろんボウイやマーク・ボランだって大物だ。ただ、英国ロックの面白くて深いところは、こんな大物から一気にアングラの誰も知らないような世界まで何となく繋がってくるというか、アプローチが同じというか…、もちろんメジャーな人達ってのは才能豊かなんだろうけど、ビジネスセンスに長けていたという人もいるし、もう人それぞれ。才能があっても売れるワケではないのはどこの国も同じ。で、才能あるのを発掘してくる確立が高かったのが70年代の英国、だろうと思う。わからんが。

 …とここまで書いておきながらアイルランドのアーシーなバンドから紹介♪ なんか単なるフォークって気分でもないし、とは言え全くいきなりB級のブルースロックってのも違うので、なんかなかったかなぁ〜とアレコレ…。うん、これなら面白いか、と引っ張ってきたのがこのマッシュルームってバンドの「Early One Morning」です。1973年の作品でもちろんこれ一作でシーンから消え去ります(笑)。しかもこの「Early One Morning」という作品、当時は自主制作だったようで、決してメジャーに出てくるようなバンドの方々ではなかったみたい。だからプレス枚数ももちろん少なくて、英国やアイルランドでも持ってる人が少ない、らしい。実際はわからん。

 しかしどこかの誰かがこのマッシュルームってバンドの音を気に入って、自分だけの秘蔵バンドって感じで抱え込む人が実は多かったようで、そこからこのバンドのこのアルバム「Early One Morning」が高価で取引されるアイテムになってしまったようだ。アナログ時代には軽く10万円を超える値段が付いていたこともあるようで、それなら安いっていう人も多かったらしい。全くコレクター魂は素晴らしい。何故かカウンターフィット盤も出回らず…、まぁ、オリジナルが手に入らなかったんだろうけど(笑)、CD時代になっても全然出てくる気配もなく、ホント最近なんじゃないか、この「Early One Morning」がCDでリリースされたのは。

 ってな経緯ばかりが有名でして、肝心の音は?となると、これがまた確かに自主制作のレベルではなくてかなり面白くてしっかりしてる。トラッドフォークとジグ&リールな曲調が多いんだけど、エレクトリック楽器もしっかり入ってくるので、不思議な感じ。フィドルなんてのももちろん入ってるんだけど、それら全てを何となくぼんやりとしたエコーの音像で包んでどこかアシッドな雰囲気を出しながら…ってこれは多分録音状態の問題だろうけど、これもまたユニークな雰囲気で、ゆったりと浸って聴ける音楽です。もしかしたら名盤的な音世界なのは確かなので、こんな自主制作アルバムが30年経ってもマニアに聴き続けられるハズだと思うくらいの雰囲気はある。実際自分も聴いてみて驚いたし、何回も聴いた作品だもん。もうちょっと涼しくなってからの方が気分的にはハマるが(笑)。

 ジャケットもチープながらインパクトあって良いよね(笑)。キノコ好きじゃないからあまり見たくないけど、面白いなぁと。これじゃどんな音が全然想像付かないっていうフラットさもユニークで、何の期待もしないで聴いたらとんでもなく良いっていう印象を与えられるジャケットだもん。狙ってないだろうけど、バンド名からしてそうなっただけと言いつつも結果はかなりの効果を発揮しているよ。あぁ、しかしこういう世界ってアルバムをず〜っと聴いているとどんどんハマる。んでリピートしちゃうんだよな…(笑)。