Quatermass - Quatermass 1970

Quatermass やっぱり英国B級も含めて70年代のロックの楽しみは音だけじゃなくてもちろんアルバムジャケットにも表れているもので、どのバンドも個性的なジャケットや面白いものが実に多々ある。そのヘンで有名なのはもちろんヒプノシスやロジャー・ディーン、キーフなんてのがあるワケで、大いに楽しめるところ。またレーベル毎の特色なんてにもモロに出てくるので、そういう楽しみ方もできるんだな。…とまぁ、そんなことで色々な楽しみ方があるんだけど、やっぱりアルバムの音が基本ではあるワケで、混沌とした時代の産物とばかりにアルバム一枚で消えていったバンドの多いこと多いこと。しかもそのアルバムが滅茶苦茶かっこよかったりするんだよ。

 ジャケットはヒプノシスの作品で高層ビルの谷間を翼竜プテラノドンが飛び交うという素晴らしいアンマッチ感を絵にしたもので、Quatermassのイメージを決定的にしている秀逸なアートワーク。それだけで音のセンスが楽しみになるところだが、この手のバンドにしてはQuatermassってのは結構有名なハズで、ディープ・パープル絡みのバンドとして語られることが多い。イアン・ギランやニック・シンパー達と一緒に組んでいたメンバーが結局メンバーを加えてトリオ編成のバンドとして世に出てきたものなワケ。しかもどういう理由からか、このアルバムに入ってる「Black Sheep Of The Family」がリッチーのレインボウのファーストでカバーされていたり、同じ曲がファット・マットレスっつうバンド(ノエル・レディングのバンドだが…)でもカバーされていた。

 で、音的なもので言えばEL&Pと同じ編成、同じ方向性っつうのもあって比べられるんだけど、もっとハードロックだね。ピアノ、オルガンっつう鍵盤楽器でハードにギターの代わりにプレイしながら歌もかなりシャウト系。ただ哀しいかな、やっぱり鍵盤奏者がメインなので普通にアドリブパートに入っていくと凄くプログレッシヴ色が強くなってしまうという面白さがある(笑)。歌もやっぱりハジけ切れていないっつうかB級的な歌でさ、面白いなぁと。テクニックはそこそこだしやっぱり正しく英国のなんでもあり的な音なんだけど、そこが難しいんだろうな。中ジャケとかで見られるバンドメンバーのルックスはかなりそれらしくて良いんだが。とは言っても英国ロックの中ではかなり評価されているバンドのひとつなので、まぁ、あったも良いんじゃない。自分的にはあんまり聴かないバンドだけどね(笑)。ん?いや、まぁ、鍵盤主導のバンドだからじゃないかな…、その手でよく聴くのってグリーンスレイドくらいかな(笑)。

 今ではCDが再発されているし、しかもボートラ付き。紙ジャケでもリリースされたのかな。元は英国ハーベストからのリリースで、ピンク・フロイドとパープルを抱えていたハーベストからのデビューっつうのは、かなり期待されたモノがあったんじゃないかな、と思う。

Quatermass II - Long Road (1997)

ホーム・イズ・ホエア・アイ・ビロング(紙ジャケット仕様) 1970年初頭の英国のロックバンドの中で今でも多分結構な人気を誇っているカッコ良いハードロックに通じるバンドとして認められているであろうバンドのひとつにQuatermassってのがあるだろうと思う。リッチー・ブラックモアと懇意にしていた関係上から割とパープル関係の文脈で出てくることもおおいし、有名なのはレインボウでカバーしていた「Black Sheep of the Family」って曲の存在だろうか。そもそも第一期のパープルのメンバーはこの辺の面々から集めてきているワケで、まぁ、英国のロック界の人脈ってのはそういうもんだ。そんなQuatermassの最初のアルバム「Quatermass」は年を追う毎に名盤扱いされてきているので今でも有名なバンドとジャケット、このプテラノドンがビルの谷間を飛び交う姿はやっぱりアナログレコードの迫力で楽しみたいものだ。

 そんなQuatermassがどういうワケか1994年頃から再活動に入ってて、1997年にはQuatermass II名義でアルバム「Long Road」をリリースしている。メンバーはもちろんドラムのミック・アンダーウッド…だけなんだよな、実際オリジナルメンバーは。ベースにそれこそパープルのニック・シンパーが参加してて鍵盤にゲスト的にドン・エイリー。古き良きハードロック時代を思わせるメンツが揃っているので良い感じに音を出してくれるんじゃない?みたいな期待はしない方が懸命ですな、もちろん(笑)。自分もねぇ、このQuatermassってバンドにはやっぱり一発屋の凄さってのを感じたし続編と鳴るHard Stuffも好きだったからこうしてリリースされると期待しちゃったもん。ところがどっこい、あのQuatermassとは全然指向性が異なる世界の登場です。それがまた正統派ハードロックなワケでしてね、バンド名を変えて出すべきだっただろうと思うのだが、思い切りホントに正統派HR。真正面からの一発勝負でもちろん90年代後期のハードロックなサウンドだから迫力もあるし曲も良い。パワーもあるしメンバーの貫禄もある、だから時代が違えばもうちょっときちんと評価されていたんだろうとは思う。が、やっぱりだな、ジャケットからしてダメだ(笑)。

 意外性で売りたかったんだろうか?ま、そんなのよりもミック・アンダーウッドがバンドやるんでQuatermass名義にしたんだろうな。ニック・シンパーもいたならWarhorseでも良かったんだろうけど、ま、それはそれ。さて、普通にアルバムとして聴いてみれば悪くないよ。ただ一過性でしかないアメリカ寄りのハード・ロックであることは間違いなくて、それを英国の往年のロッカーがねぇ…って印象は拭えない。ま、車の中で快活に聴くというレベルなら問題なく流れるロック。アマゾンMP3でQuatermass IIが買えるっていう時点でCD再発はないんだろうなぁ…。

Quicksand - Home Is Where I Belong 1973

ホーム・イズ・ホエア・アイ・ビロング(紙ジャケット仕様) 今でも語られる名盤ってのはやはりいつ聴いても素晴らしいサウンドが詰め込まれていて、例え好き嫌いはあるにせよ名盤の域という部分では納得できるものが多い。珍盤とか迷盤とか貴重盤とかレア盤ってのは存在価値そのものなので中身についてはあまり期待しない方が良いものが多いんだけどね。それでも入手に苦労したからその価値なりに良いと思って聴くという心理は働くので名盤として位置付けるのだが(笑)。

 1973年にあのドーンレーベル(Dawn)からリリースされたQuicksandというバンドの唯一のアルバム「ホーム・イズ・ホエア・アイ・ビロング」なのだが、これは名盤です。誰が聴いても多分名盤に相応しい音が詰め込まれていて、このブログ的に言えばケン・ヘンズレーの素晴らしきファーストアルバムの後に出てきても全くヒケを取らないどころかQuicksandの方が出来映えは良いんじゃないかっつうくらいの洗練された音です。

 軽やかなギターサウンドとオルガンやハモンドなどの鍵盤類も絡めてコーラスワークも重厚ではなくて軽快に聴かせてくれるというサウンド。もちろん音はロックのサウンドなので軽快なロック、とでも言うべきものかもしれないがメロディもしっかりとしていて全く英国でしか出てこないライン展開や曲展開も微笑ましい。見事に捨て曲もなくってどれもこれもハイクォリティな楽曲と展開が聴けるし、プログレ…とはちょっと違うかな…、まぁ、でもイエスを軽くしたような、という形容詞は割と使いやすいのかもしれない。もっと軽快で起伏に富んでいるのでクィーンを軽やかに、というようなトコロかも。ただ、いずれにしても非常〜にハイセンスなアルバムでこの一枚で終わってしまったというのは勿体ない。もっともっと面白いサウンドをリリースできただろうに…。

 売れなかったからか?それともドーンレーベルだったからか(笑)?多分、アルバムジャケットのセンスの無さがひとつの要因だったのではないだろうか?いや、むさ苦しい男が四人写ってるというのはちょっと聴く側のイメージや想像力を止めてしまうものだろう(笑)。これが、英国のファンタジーなジャケットに包まれた作品だったら相当のアイテムとして君臨していたに違いない内容を誇っているのだから。こういう音を好む人ってニッチだけど本質的な英国好きだろうと思う。ジャケットに惑わされずに聴いてみても損しない音ですよ、このQuicksandの「ホーム・イズ・ホエア・アイ・ビロング」は。はい。

Rainbow Ffolly - Sallies Fforth 1968

Sallies Fforth 60年代末のサイケデリックムーブメント、ピンク・フロイド然り、ザ・フー然り、もちろんビートルズ然り、ストーンズ然り、とロックの大御所と呼ばれるようになったバンドはこの頃に洗礼を受けて、且つ独自のサイケデリックの解釈をアルバム単位で表現している。プリティ・シングスなんかもそのひとつ。そんなところからプログレなんかも出てきているのだろうけど、一方では超ポップってのも特徴的に出てきている。ELOとかさ。

 さてさて、そのビートルズの名盤「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」並に楽しいとも言えるRainbow Ffollyというバンドの唯一作品「Sallies Fforth」なんてのも聴いてみてほしいね。アルバムリリースは1968年なのでまあ、ちょっと遅れてのサイケデリックポップの登場になるのかもしれないけど、その分洗練されている。アルバム全体感がザ・フーの「セル・アウト」並にコンセプト的に面白おかしく作られていて更にポップさが増している。だから聴いていると非常〜に楽しい気分になってくることは間違いのないところだが、その分きちんとセンスあるメロディを聴かせてくれるしアレンジもそんな調子なのでよろしいよ。

 バンドとして才能あるか?ってのはよくわかんないけど、少なくとも音作りという面で革新的なものから発展させて独自のフィーリングを持ち得たというのはあるんじゃないかな。何かが足りないから何度も何度も聴いていくというアルバムにはならないのだけど(笑)、多分それは各楽器のインパクトみたいなものかもしれない。かなり歌とコーラスワークで雰囲気を作っているところがあるからさ。

 ジャケットも正に時代を反映したサイケデリックにカラフルに仕上がっていて昔から気になっててSee For MilesからCD出た時に聞いたのかな…。アナログ盤は見かけなかったなぁ、結局。それでも十分に楽しめまして…、カラフルサイケポップ好きな人にはかなり好反応のRainbow Ffolly、時代の象徴ですよ。

Ramases - Space Hymns 1971

Space Hymns 70年代英国ロックの世界に舞い込んだことのある人ならわかると思うが、そこは有象無象の世界観に溢れた個性豊かなバンドが繁殖していてとてもじゃないがジャンルなどというものでは区切れない、どこれもこれも自分が新たなジャンルの旗手となるのだというくらいに個性的な世界を実験し、そして失墜していったものだ。しかしどれもこれもが確実に英国の誇りを背負い、どこかに媚びる音楽ではなく風格や品位を保ったサウンドに聞こえるというのも面白い。そんなところに心惹かれるロック好きは多いんじゃないだろうか。

 1971年リリースのラマセスというバンドのアルバム「Space Hymns」。この後二作目「Glass Top Coffin」もリリースしたので一発屋じゃないことに驚いたものだが、まずはレーベルからしてヴァーティゴなので期待できる♪って思うもんね。アナログでは変形6面開きジャケットで、ロジャー・ディーンによるものだけど見たことないです。そこまで必至に探す音かどうかっつうのもあったしジャケットセンスがもう少し欲しいなぁという感じではあったからだと思う。ただ、その後CDになってからは割と早く入手したかな。ヴァーティゴは見れば入手しておきたいもん。

 それで中味、だが…、面白いよなぁ、こういうコンセプト。偉大なるエジプト神の生まれ変わりラマセスがその妻セルと共に地球を救うんだ、みたいな感じなのか…、いやぁ、コンセプト的には実にふざけていて、それでこそ英国なのだが(笑)。驚くことに10ccのメンバーが4人ともバックに参加して演奏していることの方が有名になってしまっているので、その筋から名前を聞いたことがある人もいるかもしれない。サウンド的にはだな…、やっぱ宗教的ではあるコンセプト作品。うん、結構ポップス的なロックっつうのか最初の曲はえらく快調で軽快な歌で楽しくなってくる。「Life Child」♪なんてサビがキャッチーでね。そこからどんどん宗教色が強くなってくる…、実は最後まで救われない音が続くのでストーリー的にも多分救われてないんじゃないかと思うんだよな、このアルバム。

 思うに、入手したいという欲は発生するんだけど何度も聴くかっつうと絶対聴かないような気がするアルバムで、だからこそよく二枚目の作品がリリースされたものだと思う。よほど強い関係者がいたんだろうなぁ…。

Rare Bird - Rare Bird 1969

Rare Bird ギターレス、ツインキーボードという特殊な楽器編成によるバンドはグリーンスレイドである種の完成を見た気がするが、その前に活躍していたレア・バードというバンドがそもそも同じ形態で活動していたのだ。レア・バードは面白いことにそんな編成でありながら…、というかこんなムーディな楽曲を繰り広げながらも70年には「Sympathy」という大ヒット曲を産み出しているのだった。

 アルバム「Rare Bird」はその前年1969年にリリースされていて、その中にも「Sympathy」は収録されているのだが、アルバム全体を最初から聴いていると決して「Sympathy」がポップで売れ線だったというワケではないことに気付く。そもそもそういう傾向を持つバンドだったのだが…。

 いやぁ〜、これももちろん久々に聴いているんだけど、こんなにムーディでドロドロだっけ?ドロドロっつうのかエッチィ感じに迫り来るんだよな(笑)。オルガンや鍵盤によるマイルドさもあるんだけど、メロディセンスもしつこいっつうのかね、エロっぽくてさ(笑)、仰々しいっていう感じ。まぁ、英国でしか出てこない音ってのは確実だ。プロコル・ハルムの「青い影」とムーディ・ブルースの雰囲気を足して濃くした感じです。ただ、小曲の軽やかさってのもあるので、その辺は牧歌的でほっとする。歌はベースを惹いているスティーブ・グールドが歌っているのかな、ハジケ切れないんだけど結構好きなタイプの歌声。ちょっとノビが足りないけど、ハマってるし。

 さてさて、このバンド、もちろん有名なグラハム・フィールドさんによるものなんだけど、次作「As Your Mind Flies By」にて金字塔をブチ上げた後脱退してフリップさん仲介によりフィールズを結成してアルバム一枚リリース。残りのメンバーも結構変化が激しく音楽性も激しく、一時はジョン・ウェットンも参加したとか…。VDGGのニック・ポーターも参加しているしね。VDGGの派生でもあるThe Long Helloというバンドはレア・バードとVDGGの融合体だし。割と肝となったバンドでもあるワケだ…。

 決してB級ではなく、しっかりとメジャーで活躍していたし音も確かなバンド。メンバーの技量もプロフェッショナルなものだと思うんだけど、やはり売れる、売れ続けるってのは難しいのか今では幻のバンド扱い。ただし割とCD等はリリースされているところが救い。「Sympathy」は聴いてみると面白いかも。

Rare Bird - As Your Mind Flies By (1970)

As Your Mind Flies By 何となく話がサントラ系からクラシック風味に走ってるんだな…ってのをYouTubeにしてもアマゾンにしても類似品リコメンドってのでアレコレ出てくるとそんなのが並んでるからよく学習しているWebですなぁ…とちょいと怖くなる。こうして全てが大手のビッグデータに活用され、分析されて次なる戦術に使われるのだろうな…とか。ま、今更それを言った所でどうしようもないだろうし、そもそもデカすぎて役に立つものを作ろうとする方が大変だろうとか思ったりもするが、そうしてだんだんと世界はジョージ・オーウェルの「一九八四年」の世界に進んでいくワケだ。コワいねぇ…。

 で、折角オススメされたので思い出して自分のブログ見てみると、何と、書いてないじゃないか、ってことに気づいて手を出してしまったのがRare Birdのセカンドアルバム「As Your Mind Flies By」です。コレ、随分昔に入手してプログレ系に手を付け始めた頃に簡単に買えたんで聴いてたんだよな〜と。ただ、あまり好みじゃなかったし面白みもさほど感じなかったんで、ジャケットの目立ち具合だけで終わってたかな。今回久々に取り出して聴いてみることにして、なるほど、自分が好まなかった理由がよくわかった。簡単に言えばギターがない、っつうのとオルガンとか鍵盤系の音が鍵盤しすぎてて燃えない。ま、しょうがないか。

 冒頭からプロコル・ハルムだっけ?って思うオルガンの音で、アルバム全体がこのオルガンのまろやかな音に支配されていて、そりゃ色々と使ってるみたいなんだけどさ、どうにもどれもこれもがまろやかに鳴ってて心地良いです。60年代風にオルガンの支配が続いてて、それでいてグレアム・フィールドの真骨頂でもあるテクニカルな鍵盤が聞かれるんだからそりゃプログレ的、ってかプログレです。ツインキーボードって発想も見事だし演奏も一方がギター的な音色をになっていれば一方は鍵盤としての役割に徹してみたりして一応そういうハードな側面を追ってはいるようなんだがやっぱりエッジは足りない。そもそもエッジなしが特徴なんだろうけど。んでもね、ボーカルがクソ暑苦しいんでロック的な楽しみはある。こういうスタイルってないもんなぁ…、貴重なバンド形態と音だよ歌は割とメロウだったりして聴き応えもあるし、ベースもブイブイ言ってるし、なかなか良い感じ。聞いているとだんだんクセになってくる(笑)。

 思ってたほどクラシックな感じでもなくって、ロックがクラシックの手法を用いた、っていう方法論だったんだな、と実感。ジミヘンあたりがこういうのをバックにギター弾いてたら凄く面白かったかもな〜とかあり得ない世界を夢想したり(笑)。もちろんラストの組曲の聴き応えはたっぷりある。

Raw Material - Raw Material (1970)

Raw Material 華麗さが伴わないハードロック、それが70年代の英国のハードロック系の特徴だと思う。中盤以降は整然としたバンドがいくつも出て来て今でも通じるHR/HMの流れが出て来たけど、前半は有象無象の実験サウンドの中でハードロックだという形にこだわらない雑多な音に取り組む連中ばかりで楽曲の複雑さや実験精神、はたまた様々な国の音楽を持ち込んでみたりと云う正に宝箱的に何でもあった。レーベルも何が出てくるかわかんないから色々なバンドを青田買いして出して行ったしね、それが英国ロックの深い所。

 1970年にアルバムをリリースしたRaw Materialというバンドのファーストアルバム「Raw Material」などを聴いてみた。確か結構ヘヴィさもあったよな、という記憶だったのだが、聞いている感想としてはかなり満足度が高くて嬉しい♪ベースがワンパターンマンネリのラインをず〜っと奏でてくれるっていう普通の姿が心地良くてこれぞ70年代の音だな〜と。何だろな、このテンションの上がり具合は。ドラマーの手数の多さも好ましいし、ハモンドも心地良くなっててくれるし、ギターは目立たないんだがツボを得たところでてきてくれるし、ヒステリックなまでのフルートはどこかのバンドを思い出させるものだね。Raw Materialってセカンドの「Time Is」がネオンから出てて有名なアルバムなんだが、このファーストもなかなかの仕上がりなのでセカンド「Time Is」だけが持ち上げられる必要もないね。ややチープ感はあるけど、ともすればメジャーなプログレバンドとして残っててもおかしくないセンスはある。楽曲のインパクトがちょいと足りないのは事実だがファーストアルバムなんてそんなもんだろう。

 いくつかキャッチーになっていたりする曲もあってバンドの方向性がどこを向いているのかよくわからんままだけど、それもまたヨシ…ヨシ、って言うか何枚もそのままじゃ続かないだろうけど、今のところは良いんじゃない?でも、それが仇となって2枚で終わるんだけどさ。歌が結構儚くて静かな歌の方が似合ってるかな。それにしてもここのベース、フィル・ガンって人だけど、良いベース弾くな…。上手いとかじゃなくて淡々とフレーズを奏でるというセンスが好みです。

Raw Material - Time Is... 1971

タイム・イズ... 全く英国の知られざる世界の奥深さには驚く音が秘めていることが多い。そんな自分がハマった世界なのに久々にその世界を漁っていて、というか聴き直していても改めてその作品のレベルの高さと言うものに驚きを隠せないことも多い。決してメジャーのバンドにはヒケを取ることのないくらいの作品のクォリティと演奏力。そして何よりもロックである熱いプレイと魂が響いてくるような音色と優しさと陰り。そんな当たり前の音なのに実は今の時代ではなかなか聴くことができない。演奏している側はそうしているつもりなのだろうけど、やっぱり違うんだよね。何だろ?そんなことをも考えてしまったくらいの名盤です。傑作です。

 1971年リリースのRaw Materialというバンドのセカンドアルバム「タイム・イズ...」ではそういう激しい音世界と優しい音世界を構築してくれて、ロックの底辺と意地を教えてくれるアルバム。別にツッパリ系のロックンロールってんじゃないから誤解のないように(笑)。

 冒頭聴いた瞬間からその激しさと荒々しい海原に飲まれるかのようなリフレインに圧倒される。決してジャケットで見られるような明るいイメージのサウンドではなくって思い切り暗黒…と言うかタイトルが「Ice Queen」っていうくらいだから夜の吹雪に連れ込まれた登山者というような感じだろうか。おどろおどろしいリフレイン…ん?このリフってVDGGの「Killer」に非常〜によくにているぞ…、どっちもどっちの時系列だからわからないけど、センスが同じだったのかな。歌もギターもサックスもギターもしっかりとその仰々しい狂喜の様を演じていてアルバム中でも完全にハイライトとなる曲。なんてこった、こんなに凄いリフレインとパワーを叩きつけてくれるバンドだったのか。Gnidrologの「Lady Lake」と共に永遠の名作の一枚に数えられるべきアルバムだぜよ、これ。もちろん最初の一曲だけではなくってその後も隙のない完璧な美しい音の世界を聴かせてくれます。激しく荒々しいだけではなくってもちろん繊細にメロディを素朴に聴かせてくれたり、かと思えば素晴らしくも白熱するインタープレイとジャズチックなテーマを持った楽曲で攻め立てたり…。

 英国にしては珍しいタイプのバンドかもしれない…。こういう起伏ってのはヨーロッパには割とあるけど英国単体ではなかなかないもん。VDGGが突出していたのもそんな暗黒面だけど、Raw Materialもヒケを取らないくらいの暗黒性がある。Jethro Tullが持ち得なかった部分を持っているバンドだね。メロトロンの音色とアコースティックの響きに対してサックスやギターのアグレッシブさという両側面を持ったバンド…、褒めすぎるならばLed Zeppelinを凝縮したような面を持っているのかもしれない(笑)。飽きの来ない曲調の起伏の激しさはこれ以上やることないだろ、ってくらいにバラエティに富んでいる。素晴らしい。大作であればあるほどドラマとストーリー性がしっかりと展開されていて、目の前が開けるかのように爽やかな一条の光を見出してくれるような楽曲は実に見事。そんな短編が詰め込まれた映画のように聴ける名盤「タイム・イズ...」です。

 オリジナルリリースはネオンレーベルからによるもので、アルバムジャケットはもちろん見開きでして、皆様の予想通りにここから左側は砂時計の上が多い状態ってことです。これねぇ…、自分も最初はカウンターフィット盤でしか手に入らなかったからそれで入手したんだけど、その後CDでして…、ただ、好きなアルバムだったからアナログも何度か見かけたんだけどさ、英国オリジナルのネオンレーベル盤はやっぱりオレンジの色合いが綺麗なんですよ。ちょっと褪せた感じのするオレンジなんだけどさ。それ以降のCDとかアナログでも色が全然違ってて、なかなか納得できるジャケットの色でリリースされたことがなかった。紙ジャケくらいになってからはさすがにオリジナルの色合いになってきたんじゃないかとは思うけど…。やっぱ思い入れの強い作品だね。

Robert John Godfrey -Fall of Hyperion (1973)

フォール・オブ・ハイペリオン The Enidの中心人物ともなっているRobert John Godfreyという人は割と英国プログレッシブロックの真ん中を歩いていた部分もある人で、その名はBarclay James Harvestのオーケストラアレンジャーとして知られていたようだ。そこから離脱して自信の求めるよりオーケストレーションを追求したサウンドを構築すべくソロアルバムを一枚制作する。これが「Fall of Hyperion」という作品なのだが、その昔からメチャクチャレアなアルバムとして名を馳せていてですね…、まぁ、CD創世記のVirginからリリースされたので難なく聴けたりしだんですが、タイミング合わなかった人は全然入手できなかったアルバムじゃないかな。

 そのRobert John Godfreyの「フォール・オブ・ハイペリオン」という作品は1973年、the Enidのファースト「In the Region of the Summer Stars」から遡ること3年前にリリースされているのだった。こちらはオペラチックなボーカルもきちんと参加していてひとつの物語が進行しているコンセプト的アルバムなんだろうと思う。音の方もモロにThe Enidと言わんばかりのクラシカルなサウンドが詰まっている。もっともThe Enidよりも本格的なオーケストレーションで曲が構成されているので更にロック的ではない側面が強くて高尚な音楽が奏でられているというものだ。なるほど、Robert John Godfreyという人はこう言うのがやりたかったんだな、と言うのはよくわかるアルバムで、後のThe Enidでの洗練さもなるほどというのが理解できるってなもんだ。そんな作品。

 「フォール・オブ・ハイペリオン」は1990年初頭にCD化されてからリマスターバンガリリースされていないようだが、どうもマスターテープ紛失とのことで、最初のCDからの焼き直しでしかないためか音が篭った感じで今の時代にはとても良い音とは言えないのが作品の評価に繋がっているのかもしれない。これを良質の音で聴いたら果たして全然違う質のファンが付いてくるんじゃないだろうか?なんて思ってしまう。なぜなら自分的にはやはりこの作品は受け付けないからだ。なんかねぇ…、ダメだわ。昔も期待して買って聴いた割につまらなくて何度も聴かなかったけど、今聴いてみるとなるほど自分が好まなかったのもよくわかる。もちろん作品としては凄いんだろうけどね。

Rock Workshop - Rock Workshop 1970

 ジャズ系のサウンドをロックに持ち込むというのはいつ頃から誰が始めたものなのか…、改めて考えてみるとなかなか難しい。そもそも50年代のスキッフルだってジャズフェイヴァーがないとは云えないし、アメリカのブルースサウンドだってジャズだし…、う〜ん、英国のロック界での表面的なトコロで古そうなのはやっぱコラシアムになるのかな。印象的なのは「スーパーショウ」での演奏なんだけど。で、コラシアムは既に本ブログで二回ほど登場しているが、やはり英国B級ロック系の中にはジャズロックをモチーフにしたバンドも数多くあるのでちょこっとだけ取り上げておこう〜。定義的に難しいのはさ、ブラスが入ってるのがブラスロックなのかジャズロックなのかって話で、まだそんなカテゴリ分けがない頃だからジャズっぽいなぁ〜っていうくらいでの分け方になっちゃうんだよ。まぁ、あんんまりジャンルにこだわることないけどね。

 …ってなことで、いきなりB級臭たっぷり…と云うか名前知らない人の方が圧倒的に多いワケで、何それ?って状態だよね。Rock Workshopっつうバンドで、まぁ、知る人ぞ知る放浪ロック(ジャズ)ギタリストのレイ・ラッセルがアレックス・ハーヴェイをフロントに出して大所帯のセッションを形にしたバンド、つうかセッション集に近いと思ってるけど、そんなアルバム。基本的にジャズミュージシャンによるロックアルバム、みたいな位置付けだったらしいね。それでも確か二枚リリースされたと記憶してるけど…、ああ、そうだ、二枚目リリースして解散したらしい。自分が知ってるのは最初のアルバムで、何つうのかさ、ジャズロックっつうかブラスロックっつうか、ポップロックっつうか難しいんだよ、ホントにそういうたとえをするのが(笑)。アレックス・ハーヴェイが歌ってるってことで、当然歌声については満足できるパワフルな歌なワケなんだけどオススメはやっぱりレイ・ラッセルのジャジーなギター奏法。多分ロックスピリッツ旺盛なんだけど、フレーズがモード奏法的なものなのでどうしてもジャジーなギターになっちゃうって感じだね。2曲目の「Wade In the Water」っつう曲のソロとかクラクラするもんな…。これ、ちなみにトラッド曲だからあちこちで演奏されている割と有名な曲…かな。メジャー所ではグラハム・ボンドのアルバムに入ってたような記憶があるが。

 アルバムリリースは1970年、レーベルはCBSだからやっぱりメジャーな人だったハズなのだ。しかし音楽的に非常に例えにくい方向性があって、上手く行かなかったのかもしれん。散漫なブラスロックにテクニカルなギターとパワフルな歌が入っている、しかし曲はどうにも中途半端、そんなまとめ方になるんかな。でも面白いんだよ、当然。だって英国ロックがこうして出来上がってきたっていう典型的なアルバムだし、アレックス・ハーヴェイは後に思い切り成功したとは云わないけど、センセーショナル・アレックス・ハーヴェイ・バンドでそれなりにシーンに残っていたワケだしね。

Room - Pre-Flight 1970

Pre Flight  冷静に考えてみるといくら1970年初頭の英国ロックが何でもありで面白い音のバンドが山のようにあると言ってもどこからそんな情報を仕入れてしかもレコードを買うという行為まで行くのか、っていうのは不思議だったりする。CD時代になってもそれは変わらないんだけど、情報量については今ならばアレコレとネットで調べてとかっていうのがあるし文献もかなり出ているのでそれは十分に可能かな。もちろんこういう無形文化的なものがそうやって遙か彼方の東洋の片隅で残されていくっていう英国からは信じられないような出来事が起こっているのが日本だったりするわけで、それはオランダに浮世絵がいっぱいあるのと同じでなかなか不思議な出来事なのだと思う。しかし、自分でもどこから情報を仕入れてレコードを漁っていったのか…、ある程度は本を参考にはしていたけどそのうちレコードを見つけてクレジット見たりレーベルをみたり色々と漁っていったなぁ。そういうのが面白いってのもあるし、そもそも音が面白かったってのは大きいけどさ。でも聴くまではどんなのか全然わからないんだから道楽でもなきゃやってられないよな。ああ…、またそういうの始めたくなってきた(笑)。

 まぁ、それでだ、今日はその筋ではかなりメジャーなハズなんだけどネットでちょこっと調べてみてもなかなか調べにくいっつうのとあんまりマニアックすぎるのか出てこなかったなぁ。英国でセミオフィシャルみたいなサイトがあって驚いたけど、どうやらこのバンドのベーシストが運営しているサイトらしい。当時のライブの日程まで網羅しているんだから素晴らしい。

 1970年、またしてもデラムからアルバム一枚のみをリリースして消えていったバンド、ルーム。この頃のデラムは多分こういうバンドこそが売れていくのだと思っていたのか青田刈り状態で似た傾向のバンドをリリースしているようにも見えるね。今回は鍵盤バンドではないです(笑)。ギター二本とベース、ドラムっつう普通の編成で歌は女性なのがちょっと面白い。曲調はブルージィーなのが多分バンドの中心的なサウンドだろうなぁ、これは。だからブラック・キャット・ボーンズ的な雰囲気があるんだけど、歌が女性で、まあまあ声量のある人なのでB級って感じだよな(笑)。上手くはないし…。ギターが結構エグかったりするのでそういう意味ではハマれるはずなんだけど…、何と言っても曲構成が無茶苦茶(笑)。あまりにも何でもありの英国ロックB級サウンドと言ってもここまで何も考えずに曲が構成されているってのはアマチュアレベルなんだろうなぁと。いや、初っ端のインストものとかはテーマもあったりするのでなるほどなぁ、と聴けるし、二曲目なんかもまっとうなブルースロックなんだけどさ、どんどんとヘンな方向に進んで行ってて、だんだん辛くなる(笑)。いや、別にプログレではないんだよ、そこまで上手い展開とかじゃなくって、単に色々と展開していくだけ…、まぁ、聴いてみればわかるんだけど、歌とバックがかけ離れているっつうか(笑)。メンバーのテクは別にヘタじゃないしドラムなんて結構重くて好みの音してるんだけどねぇ…。

 その昔はアナログ5万円以上していたレアもの扱いの類に入っていたらしいし、CDも結局今では手に入らないのかな?よく知らないけど…。昔エジソンからCDが出た時に入手した一枚。このシリーズも全部アナログ落としだったけど貴重な音がいっぱい聴けたから重宝したね。しかしアマゾンにはさすがに置いてないなぁ…。しょうがないので適当に探してみて下さい(笑)。

Roy Wood and Wizzard - Wizzard Brew 1973

Wizzard Brew  ロイ・ウッドがThe MoveからELOへと渡り歩き、盟友ジェフ・リンとも袂を分かつ時に選んだ道はWizzardというバンドの「Wizzard Brew」というアルバムでひとつのピークを迎えている…、後に発掘された「ボールダーズ」というアルバムはちと除いた場合ですが(笑)。多才な人ってのは本当にいくらでも良作が勝手に出来上がってくるというのか、作る、という行為そのものを意識しなくても勝手に出来上がってくるのではないかと思うくらいだ。駄作とかつまらない作品とかってのがないとは言わないけど、作品レベルが完全に普通を超えているもんね。The MoveとELOであれだけ名作を放っておきながら、バンドを離脱して出来上がったWizzardの「Wizzard Brew」という作品、果たしてどんなサウンドなんだろ?と気になってたけどね、これもなかなか手に入らないんですよ。とにかくこのヘンってジャンルも結構宙ぶらりんだったから探しにくいってのもあってさ・普通のヘンなのは大体プログレらしきところにあったりするんだが、ELOがメジャーな人だったが故にWizzardとかって結構普通にロックコーナーに置いてあったりして、見つからないんだもん。普通の中古屋さん行った方が見つかるんじゃないだろうか?なんて思いながら探してた記憶がある…。

 それにしてもこのジャケットだ。ジャケットだけはなくて、実際ステージなんかもこんな格好だったんだろうし、もしかしたら普段からヘンな格好の人だったんじゃないだろうか、と思っている。顔付き自体が何となくもっさりと悪魔チックっつうのかさ、そんなんだからあながちこのメイクは本人を隠しているわけではなくって増長しているのかと。

 いやいや、音の方はですね…、軽快でカラフルなポップさ、ってのから離れていって、やや重みを持ったポップス…っても使っている楽器が豊富だから派手なサウンドってことに変わりはないかな。ただ、グイグイとグルーブしたりしていて思い切りロック的。それまでの宙ぶらりんな立ち位置からかなりシフトしている…、この時代のB級バンドが持ち得ていた強引さやお試しさ加減ってのをそのままやっているんだけど、そこらへんのセンスの違いなんだろうな…、無駄がなくってどの音も割と必然性があって鳴っているような面がある。ギターにしても結構エグい音色のファズサウンドでさ、おどろおどろしい部分あるけど楽しめる。かと思えばサーカスみたいにキラキラしたサウンドに仕上げているのもあって、一体何がしたいんだい?ってくらいだ。ただ、そんな才能こそがロイ・ウッドがやりたかった音楽世界なんだろう。一般人としては着いていくのに精一杯。Rock'n Rollからポップス、オペラ、サーカスなんてのもひとつの箱に入れて楽しんでるみたいです。「Wizzard Brew」が傑作なのはよくわかるが、制覇するには時間がかかるアルバムだな…。

Wizzard - Wizzard Brew Wizzard Brew Wizzard - The Wizzard! Greatest Hits and More - the EMI Years The Wizzard! Greatest Hits and More

The Running Man - The Running Man 1972

The Running Man 70年代初頭の英国ロックの世界では短命に終わったバンドが山のようにあったのだが、初めから短命だということがわかっていながらアルバムを制作して散っていったバンドもある。中でもこのThe Running Manという皮肉なバンド名を持つレイ・ラッセルの率いるバンドは一ヶ月程度しか存続しなかったバンドでもあり、またRCA傘下のラベルの美しさで有名なネオンレーベルからの最後の作品となったアルバム「The Running Man」をリリースしていた。

 1972年のお話なのだが、それまでのRockwork Shopというバンドとほぼ同様の取り組みで英国ジャズロックの実験石というような趣向を持っていたようなレイ・ラッセルという 70年代初頭の英国ロックの世界では短命に終わったバンドが山のようにあったのだが、初めから短命だということがわかっていながらアルバムを制作して散っていったバンドもある。中でもこのThe Running Manという皮肉なバンド名を持つレイ・ラッセルの率いるバンドは一ヶ月程度しか存続しなかったバンドでもあり、またRCA傘下のラベルの美しさで有名なネオンレーベルからの最後の作品となったアルバム「The Running Man」をリリースしていたギタリスト。もちろんテクニックやギタリストとしての才能は豊かなものなので、本作「The Running Man」でも十分にその才能は堪能できるのだが、いかんせんどこか付け焼き刃的…というのかセッションアルバム的なニュアンスは否めなくて、かと言って一発セッションモノに見られるハイテンションでスリリングなプレイというのも聴かれないので、中途半端。ただ、楽曲としてはもうちょっと色々と練ったり展開させたりすればかなりテンション高くなりそうなものもあったりするので、勿体ないかな。今できるバンドのメンバーのセッションをそのまま収録しましたという感じなんだよね。プラスアルファが聴ければセンスは良いので面白かったのでは、と。

 うん、ジャズ的アプローチが強いけど所詮はギターでの展開にオルガンが付いていきます、みたいな感じで、ここまで英国幻のアルバムとして騒がれるほどのものではない。もちろんこういうアプローチもあるのか、という聴き方とNeonレーベルの最後の作品ってことで聴いておくってのはあるんだけどさ(笑)。このレイ・ラッセルという人もジャズロックギターっていう役回りから抜けられなくて割と苦労人なんじゃないかな…。派生人脈にはベケットとかボブ・ダウンズとかが絡んでいたんだけど、まぁ、その人達も英国ジャズロック史に残るアルバムは作ったかな、というレベルだからしょうがないか…。いや、そんなB級の香りのするアルバムだけど、ハイクォリティの楽曲もあるのだから面白いよね。

Russ Ballard - Winning (1976)

ウィニング(紙ジャケット仕様) 英国ロックの深みを散策しているととんでもないものにぶち当たることがある。ラス・バラードと言うソングライターにしてもそうなんだが、60年代から地道に活躍し続けていた人で、メジャーブレイクしたのはやっぱりアージェントの時代からで、ポップでキャッチーな側面の強い楽曲を次々にヒットさせ、アージェント時代の楽曲にしてもいろいろなバンドがカバーをしていたりするのだが、大体がラス・バラードの楽曲をカバーしているワケで、器としてアージェントがあったというようなもんだ。1974年にすったもんだの音楽性の方向性の違いでアージェントを脱退してからはソロ活動を行うことになったが、多分既に作曲家としての才能は各方面に知られていたんだろうな。それでも作曲家として人に曲を差し上げるという行為はまだまだ考えていなかったのか、自身でソロアルバムを作ってリリースすることで才能を世に広めていったようだ。

 1976年のセカンドソロアルバム「ウィニング」が有名なんじゃないかな、ってか有名なハズだ。後々に取り上げられる楽曲の数からしても「ウィニング」が一番多いし、もちろん彼の全作品を聴いたわけじゃないけど、かなり良質のポップチューンが並んでいる傑作で、なるほど様々な人に気に入られるハズだよな、と。まずは冒頭のタイトル曲「ウィニング」はサンタナが歌入りのまま取り上げているし、ご存知「Since You Been Gone」はレインボウ他グラハム・ボネット関連ではいつも出てくるレインボウ最大のヒット曲だし、「Cuckoo」はベイ・シティ・ローラーズに取り上げられている。その他でも「A Song For Call」なんてワムみたいなキャッチーでキュートなバラードだし、どの曲もシングルヒットの可能性を持った曲が並んでいる。多分失敗したのはジャケットのダサさと売り方かな。他人にどんどん歌わせていけばもっと面白くなったんだろうなと思う。

 「ウィニング」に参加した面々を見てもスペンサー・デイヴィス・グループからの面々や鍵盤奏者として名を馳せているラビット、面白い組み合わせとしてはフェアポート・コンベンションのドラマー、デイブ・マタックスも参加しているようで、この人脈の幅の広さも才能開花のヒントだし、以降はハードロック人脈も当然増えていくワケで、何とも素晴らしいことだ。ザ・フーのロジャー・ダルトリーのソロ作品には何かしら関与しているし、プロデュース業や作曲業など正に音楽業界人。騙されたと思って聴いてみるとその才能の深さに驚くだろう、そして足りない何かも気づくんだが、かなりの良作ですなこの「ウィニング」はさすがにプロミュージシャンに敬愛されるだけある作品です。