Samurai - Samurai 1971

Samurai 英国のバンドで最も和風なものを意識したバンドってのは音はともかくジャパンが一番有名だろうね。後はまぁ、エイジアもあるか(笑)。もちろんバンド名だけの話だが。そういう意味ではマイナーではあるがサムライっつのもあったワケさ。視覚的な面では先日のジェイド・ウォーリアーもそうだけどさ。それだけで言うならスパークスだってそうだ(笑)。うん、結局和風、っていうだけで日本の文化と音をきちんと解析してまで音楽にしている人なんてのは少ない。日本人だってそれは怪しいものだもんなぁ。坂本龍一とかは別だけど。

 そんなことで適当に和風な英国バンドってことで兼ねてから気になっていたSamurai登場♪ 音的な側面の前にジャケットはジョンとヨーコを主にしたジャケットだったワケね。しかしまぁ、かなり風刺度の高いジャケです。

 そして音。うん、ごった煮(笑)。よくジャズロックとも言われているんだけど、そういう区別よりもブラスセクションもきちんとバンドとして配したロックバンドのアルバムで決して激しいワケでもなく且つ単調にもならず、そして更に何と言っても軽いクリムゾン的な音でもあるわけで、センス自体はかなり悪くない。その辺がデイヴ・ローソンという表向きにはあまり恵まれなかったミュージシャンの隠れた才能だろうか。なんだかんだとこの人は60年代末期からず〜っとインテリジェンスな音を作っている人なのだなぁ。気になったのでちょっと調べてみたらこんなに良い仕事をたくさんしてました。う〜ん、深い。

Savoy Brown - Getting The Point 1968

Getting to the Point  英国三大ブルースバンドと呼ばれるフリートウッド・マック、チッキン・シャック、続けてサヴォイ・ブラウンが挙げられる。そういう意味ではピーター・グリーン、ジェレミー・スペンサー、スタン・ウェッブに並び表されるのはキム・シモンズだね。本来の意味でのファーストアルバムは別にあるんだが、結局メンバー全員総入れ替えってなってるし、その脱退したメンバーは後のフォガットというブギバンドを結成することになる。今回それはおいといて(笑)。そのサヴォイ・ブラウンの実質上のファーストアルバムとなる「Getting The Point」が代表作として挙げられるんだけど、昔から先入観でイマイチ聴く気にはならなかったアルバム。理由はいつも通り単純(笑)で…ジャケットが意味不明だったから。やっぱジャケットの持つインパクトは重要だよなぁ。これでこんなに渋いブルースバンドって言われてもなかなか手を出さないと思うんだけどね。

 で、中味はどうかと言うと…、これまた渋いモロのブルースで悪く言えば全くオリジナリティがない…とは言わないけどさ、いや、もちろんいくつかの楽曲に於いては凄く個性的なリズムやリフだったりするんだけど、基本的なトコではモロのままなんだよね。それともちろんギタリスト的には凄くタメになるし、絶対コピーしてフレーズを確認すべきアルバムなのでその辺はオススメしたいし、聴いているとこの時期の英国ブルースを志す若者達からの絶対の支持者はフレディ・キングなんだなとヒシヒシと感じるくらいにそれらしいフレーズが散りばめられている。ま、BBキング的なトコもあるけど、やっぱフレディ・キングの影響は大きいよな。その辺は凄く素直に聴けるトコなんだけど、聴いていて物足りない。何がって…なんでこんなに早くフェイドアウトしちゃうんだろ?って曲が多くて、もっともっと弾きまくって感動させてくれれば良いのに…、この辺がクラプトンとのこだわりの違いなのかな…。凄いいいフレーズをビシバシ決めてるんだけど熱いバトルにはならなくって、それが英国的で面白いと言えば面白いし、本場ブルースを好きな人からすると物足りない。…その背景に、この1968年リリースという時代だからまだ3分間ポップスの概念も残っていて、売れるためには短めの曲を…ってことでフェイドアウトでメンバーが納得してたとしたらちょっとなぁ、魂売ってるかなぁと深読み。

 ちょっと意地汚く見てる面はあるけど、サウンドと内容はモロ黒人ブルースのまんまなので興味深い。が、やっぱりどこか何か土着ブルースとは大きく異なっている、って感じるのは偏見かな。もっともっといっぱい聴かないとダメかもしれん、うん。

The Sensational Alex Harvey Band - Next 1974

Next バンドをやっていると思いがけない事で違う方向に進んで行ったり、運命の出会いがあったり、逆に些細なことで崩壊したり色々とあるものだ。もっともこれは人生そのものとも言えるのでバンドだけじゃないんだろうが…、いや、笑い事ではない…、一寸先は闇と言うではないか。ならば今を楽しもう〜なんていう発想は非常に重要且つ貴重なことなんだろう。ま、それができれば人間もっとハッピーなのだが…。

 いやいや、このThe Sensational Alex Harvey Bandというバンドを聴いたことのある人もそうそう多くはない…ことはないか(笑)。こないだからここで書いているバンドってアルバム一枚しかリリースしていないバンドばっかりだから、それに比べれば十分にアルバムをリリースしているバンドだし…ね。

 The Sensational Alex Harvey Bandの「Next」という1974年の作品。うん…、Tear Gasというグラスゴーの若いバンド…ブルースは入ってるけどもうちょっとシャープなセンスのハードロックよりのバンドでなかなかかっこよかったのが、この1972年にアレックス・ハーヴェイというおじさん…と言うか…、お兄さん…つっても当時既に37歳くらいだったアレックス・ハーヴェイと意気投合して一緒にバンドやろうってなことになったという経緯で出来上がったバンドがThe Sensational Alex Harvey Bandなのだが、良かったのか悪かったのか…、このヘンは今でもマイケル・シェンカーと一緒にプレイしているクリス・グレンやテッド・マッケンナあたりに訊いてみたいものだが、どういう経緯でプロのバンドとしてレコードを出していたTear Gasと言うバンドがAlex Harveyという看板の元でやることになったのかね。

 まぁ、いいや、そんな経緯のあるバンドThe Sensational Alex Harvey Bandだけど、そのノリのまま…と言うか非常〜にユニークなバンドに生まれ変わったThe Sensational Alex Harvey Bandの二枚目となる作品「Next」を聴いてみるとわかるように、湿っぽさとか泥臭さとかってのとは違う、ユーモアセンスのたっぷり入った、むしろキンクス的なシニカルさとアリス・クーパー的演劇性を持ち合わせたような幅広いロックの楽しさを詰め込んだようなバンドでしてね。ジャケットを見るとVan Halenかい?と思うような横縞のシャツと素敵な笑顔♪なのだ。ちなみにTear Gasでは割と正体不明だったが何とギタリストのZal氏はピエロのメイクを施しているという奇怪なバンドでもあった。うん、かなりシアトリカルなバンドで音を聴いているだけでも凄く面白い。

 あれ?プレスリーのパクリ?なんて思うようなメロディだったり、ホント演劇的だったり、キンクスをちょっとハードにしたような風刺的ソングだったり、じわじわと効いてくる楽しさを持ったバンドだね。一回二回じゃよくわからないと思う。故にThe Sensational Alex Harvey Bandを好きな人はかなりの英国好きだろうと思われるのだな。

 自分?ん〜、まだまだ未熟者…っつうか歌詞わかったらもっと面白いんじゃないだろうか?日本盤とか出てるのかな?紙ジャケとかも知らないけど、もうちょっと再燃しても良い気がするが…、クリス・グレンとテッド・マッケンナのためにも(笑)。

Sharks - Mr.Snips 1973

First Water/Jab It in Yore Eye  多分、というかかなり無名に近いと思うけど結構良いボーカリストがいてさ、先のロジャー・チャップマンと同じタイプの歌声でしゃがれ声でパワフル、結構パンチもあって上手下手と言うのとはちょっと違って良い味出しているボーカリストが、スニップスという人。フルネームがスティーヴ・パーソンズという名前だったなんてさっきネットでアレコレ調べていて初めて知ったんだけど、フリーを脱退したアンディ・フレイザーが組んだバンドがシャークスって言うんだけど、そこでボーカリストとして参加したのが多分、彼が世に出た最初の作品なんだと思う。このアルバムは1973年4月にリリースされているので、まだフリーの方も頑張って残党達がライブなどを行っていたんじゃないかな。そんな時に颯爽と新バンドを引っ提げてシーンに返り咲いたアンディ・フレイザーのバンドってことで話題性はあったと思う。しかもギタリストにはあの、クリス・スペディングが参加しているんだからその筋の人にも受けたに違いない。あ、この人もセッション活動が多くて、プログレからパンクまで幅広い活動は有名だよね。グラハム・ボンドとの作品からニュークリアスとかホント色々、そのうちまた書こうかな(笑)。

 で、話を戻してとりあえずボーカリスト論なんだけどね、このスニップスという人、熱いよ(笑)。Sharksのファーストアルバム「First Water」では初っ端から挨拶代わりに渋い歌を聴かせてくれるし、この作品はアンディ・フレイザーのセンス光りまくっていて、クリス・スペディングとも結構良い感じでバンドらしくまとまってる。あのベースのノリではなくってもっと垢抜けていて、そのヘンはスペディングのギターの軽さもあるんだろうけど、フレイザーは得意のピアノでも活躍していて、このアルバムで脱退してしまう無責任さが不思議なくらい(笑)。フリーよりも明るめで、普通のロックっぽい音で勝負しているかな。でも、スニップスの歌がそれに負けないくらいエグくって結構良い。

 このスニップスという人はここで認められたのか、よくわからないんだけどシャークスが消滅した後すぐにジンジャー・ベイカーとThree Man Armyで頑張っていたガーヴィッツ兄弟とが組んだBaker Gurvitz Armyというバンドに正式にボーカリストとして加入し、バンドとしては二枚目となる「ELYSIOAN ENCOUNTER」とその後の「HEARTS ON FIRE」をリリースしているんだけど、こっちでもこの歌声は健在で、かな〜りハマっているし、なかなかバンドにも恵まれていると思う。ジンジャー・ベイカーはこういう歌声好きだろうし、Three Man Army時代から粘っこいサウンドを展開していたガービッツ兄弟も好きだったろうからB級ながらも才能発揮って感じ。ジンジャー・ベイカーがいてもB級ってのも凄いんだけど(笑)。ちなみにこの兄ちゃんの方のエイドリアン・ガーヴィッツはこの後AORポップシンガーとして大活躍するという不思議。ちなみに元Gunなんだけどな…(悪魔天国)…。

 う〜ん、説明がいっぱい必要で肝心のスニップスという人の姿がなかなか書けないんだけど、そんなにメジャーじゃない人のためあんまり情報がない。だからレコードを聴いてなるほど〜って思うしかないんだけど(笑)、ジョー・ コッカーの「With A Little Help Friends」をイメージしてもらえれば声の印象は伝わるかな?

Skid Row - Skid Row 1970

 ゲイリー・ムーアにしてもロリー・ギャラガーにしても10代の頃から天才ギター少年として地元では騒がれていたらしく、どちらも早いウチにメジャーシーンへの進出を果たしている。まぁ、日本で言うならチャーさんみたいなもんだろうな。そしてその二人の共通項はどちらもトリオ編成のバンドでシーンにデビューしたという点だね。もちろんソロで出てくる方が難しかっただろうから仲間とバンドを組んで、みたいな感じだろうけどさ。 Skid Row (Gary Moore/Brush Shiels/Noel Bridgeman)  同名バンドがアメリカから出てきた時には結構笑ったモンだけど、今じゃそのHR/HMバンドの方が売れているワケで、逆にゲイリー・ムーアの初デビュー時のバンドなんていう方が「ふ〜ん」って感じなのかな。まぁ、どっちでもいいけどね。

 で、このバンド一応アルバム二枚リリースされていて、この後ゲイリーはコロシアムIIだったりシン・リジィだったりするんだけどこのデビュー作「Skid Row」では時代の流れかブルージー且つスワンプ的なロックが中心になった作品で、やっぱりかなりドタバタした感じは否めない。しかしさすがにピーター・グリーンに見初められた少年だっただけあってギタープレイについては既にプロレベルを発揮しているのは聴いてみれば一発。かなりレベルの高いプレイだよね。セカンド「34時間」では更にテクニックが上がっているのもわかるし、まぁ、音楽性についてはさほど問われることもないけどジャズからプログレからブルースから全て消化済みというのがプレイに出ていてね、さすがだなぁと。

 アマチュア時代のスキッド・ロウにはあのフィル・リノットも参加していたらしく、アイルランドを代表するプレイヤーがアマチュア時代から一堂に会していたことも不思議なものだが、まぁ三大ギタリストのご近所友達の不思議に比べればまだわかるってなもんだ。きっとゲイリー・ムーアも神童と呼ばれていたことだろう…。

 しかしファーストのアマゾンのこの値段、凄いな。こないだアナログでこれ見つけた時は500円くらいだったぞ(笑)。

Skid Row - 34 Hours (1971)

34 Hours 1971年にゲイリー・ムーアがプロとして初めてシーンに出てきたバンドは言わずもがなのSkid Rowなのだが、これがまた時代が時代なワケで、普通に英国B級ロックシーンを漁っていても出てくるバンドだし、HR/HMシーンからの後追いでも追いつくバンドなワケだな、今では。ただ、当時としちゃ、皆が皆、目立つために個性を発揮していて何が良いのかわからないまま好きに音楽を奏でていたのだ。それでもSkid Rowはアルバム二枚のリリースが残っているのだから結構期待されていたバンドだったのだと思う。CBSだしね。それは多分当時17歳くらいの天才少年ギタリストがいたからということに尽きるのじゃないだろうか。

 1971年リリースのSkid Rowのセカンドアルバム「34 Hours」。レコーディングがタイトル通りに34時間で終わったから、っていう話を聴いたことがあるが、Led Zeppelinのファーストアルバムが36時間と言われているし、それくらいの時間でのレコーディングってのは短い部類に入るのだろうか?それとも当時としては長い部類に入るのだろうか?なかなか判断しにくい時間の掛かり方ではあるのだが…(笑)。

 それはともかくですね、Skid Rownの「34 Hours」ではゲイリー・ムーアネタから進んでいるんですが、聴き所…と言うか勝手に耳が聴いてくるのは多分ベースだと思う。何せ滅茶苦茶ヘンに弾きまくっていて言うならばず~っとベースソロを弾いているようなもので、それも結構ゴリゴリと耳に付く音ではっきりしたトーンでのソロなので凄い目立つ。しかもジャズともプログレとも云える複雑な…勝手な弾き方でしてね、曲の構成がどうのとか、良い悪いとか判断する以前にベースのラインが気になる。そこにゲイリー・ムーアのギターが絡むのだが、これがまたさすがに天才少年なだけあって曲ごとに見事に合わせたギターを弾いているし、かと思えばかなり実験的にフレーズを試していたり、曲に合うギターを探しているような面すらある。恐ろしく前衛的な取り組みとも言えるし、それでも17歳の少年が一生懸命に自分のパートを担った結果としては普通のプロ顔負けです。そんな絡みが面白いバランスを奏でているのが「34 Hours」という作品。普通にHR/HMを期待して辿り着いた人には全く受け入れられないであろうアルバム(笑)。逆にこんな音に出会ってしまったことで70年代英国ロックの世界を探索する人はとことん楽しめる世界が待ってます(笑)。

Sparks - Indiscreet 1971

Indiscreet  スパークスと言えば「キモノ・マイ・ハウス」が有名でして、自分もそれ以外なんてのはほとんど興味なかったので全然聴かなかったんだけど、ある時キッチュでポップな世界のバンド…ここ最近取り上げているようなバンドを聴いている時に、スパークスってそもそもヘンな感じだけど、他の作品ってどうなんだろ?って気になるわけだ。そうなるとちょろっと探してみたりするもので、なるほど、「キモノ・マイ・ハウス」以降数作は同じような路線で、ある意味全盛期だったんだ…ってこともわかってきて、楽しみになる。しかもアルバムジャケットが結構独特でヘンじゃない?今回の「Indiscreet」もちょっと怪しいけどヒプノシスなんじゃないか?なんて雰囲気だし、その前の「Propaganda」だってヒプノシスだろ?って感じでキッチュな世界観はしっかりと出ているんですよ。そうそう、英国センスもね。

 ってなことを気にしてて、ならばと思って手に取ったのが「Indiscreet」。いや、ジャケットとアルバムの中味の整合性はまだよくわからないんだけど、音の方は面白いわ。やっぱり「」の路線ではあるけどちょっと落ち着いているかな…なんてクレジット見てるとプロデュースにはあのトニー・ヴィスコンティが名を連ねているじゃないか。そういう事ですが…、どこかボウイ的マーク・ボラン的な聴こえ方をするのは…、なんてのは後付の理由でして、単に音の方はやっぱりキッチュでカラフルでヒネたポップ。でも、やたらと完成度が上がっているような気がしていて、それこそトニー・ヴィスコンティの器量なのかもしれないけど、上品なんだよね。そのモダンなおしゃれさがこの手のバンドの救われるトコなんだが、結構ハイセンス。

 スパークスってず~っとアメリカ産だと思ってたけど、主要なメンバーはアメリカからの移住人だったんだ。それでこのアルバムの後はアメリカに戻ってAOR路線に進んで失敗したらしいが…、そんなこと感じさせないくらい英国的なセンスをしっかりと打ち出した作品「Indiscreet」です。こういうアルバムはじっくりと聴いてできれば歌詞を見ながらジャケットを見ながら聴くものです。ハチャメチャに楽しめるドタバタドラマを見ている感覚に陥ることでしょう(笑)。歌メロは良質で演奏ももちろんしっかりしていて軽やかだし。

 改めてロックってのは幅が広い、って感じる。こんなのもアリで、それぞれがしっかりと個性を放って主張しているのも楽しい。まぁ、「Indiscreet」も10ccの「How Dare You」も1975-6年にリリースってことで、この頃はポップでキッチュなバンドが全盛だったのかもしれないな。面白いわ。

Sparks - Indiscreet Indiscreet Sparks - Propaganda (Remastered) Propaganda

Spiders From Mars - Spiders From Mars 1976

スパイダース・フロム・マーズ(紙ジャケット仕様)  宙ぶらりんなロックバンドってもちろん世に出てくることが少ないんだけど、最高に宙ぶらりんなバンドがある。これも知らない人の方が多いんだろうけどね。Spiders From Marsっていうのがある。名前だけ見るとメジャーで、そう、David Bowieのアルバム「Ziggy Stardust」の対等にも出てくるあのバックバンド。ミック・ロンソンはソロでボウイと決別してやっていけるって思ってスタートした。残りのメンバーは同じ気持ちからかSpiders From Marsって言う名前でやっていけるって思ったらしい。で、結局アルバム一枚はリリースしたんだよね。それがSpiders From Marsの「Spiders From Mars」。クモを全面に持ってきた情熱の赤を押し出した作品。

 それから約25年後…Five Yearsではなかったんだが…、今度はデフ・レパードの面々が実はボウイのジギーアルバムが大好きで、このSpiders From Marsの残党と一緒にバンドを組んで、ミック・ロンソンのトリビュートを記念してライブ活動を開始した。それがサイバーノウツというバンド。曲はほぼ全てボウイのあの時代のカバーばかり。もちろん物足りないのはあるけど、思いは伝わるカバー作品。ミック・ロンソンも微笑ましく見てたんじゃないかな。彼のトリビュートはもっと豪勢なメンツでライブが行われたけどね。もちろんSpiders From Marsも参加しているさ。「The Mick Ronson Memorial Concert」って作品は面白いよ。なぜかどういう間柄かロジャー・ダルトリーが参加しているしクィーンのロジャー・テイラーも参加しているし、もちろんイアン・ハンターも参加しているしね。

 そんな宙ぶらりんなバンドだけど、ボウイの近くにいてボウイを感じていた連中が奏でる音だから聴いちゃうよ。それがロックだから。…なんてね。でも面白いよ。

Spriguns - Time Will Pass 1977

Time Will Pass 数々の英国フォークからフォークロックバンドあたりを彷徨っているとフェアポート・コンヴェンションというバンドの影響力の大きさには実に驚かされることが多い。それはもちろんサンディ・デニーの歌唱力表現力だったりリチャード・トンプソンのギタースタイルだったりデイヴ・スウォーブリックだったり、またはアシュレー・ハッチングスだったり色々なんだけど、音的な影響にしても見事にエレクトリックなロックとトラッドというものを結びつけた第一人者としての役割を果たしていて、代々までその影響力が残っている。凄いよなぁ…。

 そんなフェアポート・コンヴェンションを代表するサンディ・デニーに憧れて歌い始めたマンディ・モートン姫の率いるスプリガンスが1977年に放った二枚目のアルバム「Time Will Pass」を…。実はこの後の有名な三枚目の「Magic Lady」という作品、今だに入手してないことを思い出して(笑)、聴きたい聴きたいと思いつつすっかり抜け落ちてましたねぇ。それこそサンディに捧げるアルバムとして、またスプリガンスの最高傑作との呼び名も高いので聴かなければいかんですな。はい。

 で、話は戻ってセカンドアルバム「Time Will Pass」なんだが、もちろんマンディ・モートン姫の歌声がバンドを制しているんだけど、トラッドフォーク類のバンドとはもちろん大きく異なったこれも明らかにフォーク色の強いロックバンド。しかも結構ポップでカラフルというのが面白くて、この辺は時代が1977年というのもあるのか、良くできてる。ただ時代はパンクからディスコへ行こうとしている時なのでもちろんセールス的には全く見捨てられたものであることは想像に難くない…。そしてこの「Time Will Pass」というアルバム、なんつうか、ギターの音色が割とサイケな雰囲気で、そして結構ドラマティックな展開があったり、しっとりと聴かせたりしていてポップス顔負けのアレンジが施されているので聴きやすい。まぁ、どこかプログレッシヴ的展開も見せるんだけど、時代的にそこまでは難しいワケで、ドロドロさではなくサラリとまとめられている。結構かっこよいロックなので嬉しいね。カーヴド・エアーほどのインパクトはないけど、その辺のよりはよっぽど良いよ、これ。

 ああ、やっぱサードアルバム「Magic Lady」聴きたくなってきたな。黒魔術的なイメージを持たせているけど、その実きっとこんな感じに聴きやすい部分とハデに展開する部分とかが色々とあるんだろうな。マンディ・モートンがサンディ・デニーに捧げる怨念が集約されていると思うと楽しみ。昔はこれ聴いてもあんまりピンと来なかったけど今聴くと、こりゃ面白い、って思った。

Spriguns - Revel Weird & Wild 1975

奇妙な酒宴(紙) 英国の美しき調べに乗って聴ける音楽に浸っているとこの暑さもどうでも良くなってくる…、そりゃまぁ、エアコンの中で聴くから涼しいってことで云える話でして、外で聴くならもちろん異なる音になることは必至でしょう(笑)。そんなことで今度は少々毛色の異なる歌声と英国の調べってことで…、スプリガンスってバンドです。そう、マンディ・モートンさんが歌ってるバンドでして、基本的にトラッドフォーク路線なんだよね。ただ、ちょっとプログレ的展開があったり複合技が出てくるのと、やはり女性ボーカルってことでプログレファンから狙われるバンドとなってしまったってトコですか。

 バンド名をスプリガンス・オブ・トルガスからスプリガンスに短縮してからの一枚目となる「奇妙な酒宴」ですね。1975年リリースなので英国ロック的には少々遅めのシーン登場なんだけど、トラッドを背景に多様な音を重ね合わせてしっとりと聞かせる歌が多いバンドで、やはりマンディ・モートンの芯の通った歌声に信念が聞かれる。このファーストアルバム「奇妙な酒宴」ではそんなにプログレ色もしないけど…、まぁ、確かにバイオリンや何やらと多種多様の楽器が聞こえてくるのと、普通のトラッド一辺倒のバンドの音ではないのも事実。まだ未熟感は漂う作品ではあるけど、聞き込みたくなる面白さはたっぷりと落ち合わせた自然なアルバム。

 ジャケットがね、やっぱりトラッドらしくないんだよね。どこか黒魔術的な側面を持っているように感じるバンドだから…、ってのはやっぱり1978年に発表した「Magic Lady」という名盤の印象が強いからだろうか。後追いだとどうしてもそういう印象って持ったままなんだよなぁ。マンディ・モートンはサンディ・デニーの大ファンで、彼女に成り切りたくて歌を始めたようなものらしい。うん、なるほどねぇ…という歌い方なのは聴いた人は納得できるでしょう。しかし聞けば聴くほどに幅広い音楽に取り組んでいるバンドだということがわかってくる涼しげなサウンドです。

Spring - Spring 1971

Spring やっぱり英国ロックってのはジャケットアートと音がしっかりとマッチしてされに不思議な印象を生み出す、そしてそれがもちろんアナログ盤を眺めながらっていう空間の中で堪能できたらどんなに素晴らしいことか。しかも一人だけで極上のスピーカーで鳴らしながら聴く…、やっぱ個人的にはJBLが好きなのだが、英国ロックにはもう少し繊細な音が出てくるスピーカーの方が良いのかもしれない。そうは思いつつも実際にこのクソ忙しい世の中に生きている我々はなかなかそんなにゆとりのある時間と空間を楽しめないのも事実で、その時点で既に英国ロックを心から堪能するという贅沢ができていないことになる。う〜む…、改めて書くと実に毎日忙しく過ごしているのだろう…と感じるな。ま、しょうがない。

 しかし敢えて時間を割いてでもその贅沢な雰囲気と空間の中で身を委ねて堪能したい音楽というものもある。そのうちの一枚がこのSpringというバンドの作品。1971年リリース、憧れのネオンレーベルからのNE 6としてのリリースされた本作は見ての通りジャケットアートはキーフ。お得意の現実と非現実の空間に強烈な色彩をアクセントで印象付ける正しくアートと呼ぶに相応しい作品で、アフィニティと共に人気の高い一枚。アナログ時代には三面開きの豪華版で、真っ赤な制服を着た兵士が手首から血を流し、河を赤く染めていく…、そしてその河の向こうでは5人の男がそれを眺めているという…。うん、アートだ。

 そしてサウンド。一般的な情報ではトリプル・メロトロン…要するにメロトロンを弾く人が三人もいるんだよ、ってことで話題を取ることが多いんだけど、もちろんそのおかげもあって心に気持ちの良いサウンドが特徴的になるのは事実あるとして、それよりもこの牧歌的というか英国的と言うか正に英国でしかあり得ない素朴な感じの音楽は決してプログレ的なものではなくってひとつの音楽…、かと言ってポップスではないし、間違いなくこの時代にしか出てこないであろう英国ロックサウンド。普通に英国のソフトなロックを聴いたりするのが好きな人には多分受け入れられる音だね。テクニックもあるので安心して聴いていられるし、何気にギターなんかも綺麗に鳴っていたり、アレンジも結構できてる。そして何と言っても曲が長くないので普通に聴けるってのもプログレに代表される音ではないってトコ。もちろん拍子にこだわったりするのはあるけどさ。ただ、気になるとしたらこのパット・モランっつう人の歌声かな。頼りない声の割に粘っこいっつうかそれでいてさわやか…とワケのわからん書き方だけど、結構クセはあるかも。その分バックはさらりとしている面もあって素晴らしい。う〜ん、これこそ英国ロック。

 ちなみにこのバンド、非常に短命だったみたいで1970年にレイセスターで結成、その年の暮れからレコーディングして71年にデビュー、そして驚くことにヴェルヴェット・アンダーグラウンドの英国ツアーのサポートを務めたらしい。どんなライブだったんだろうねぇ。それともう一つ不明瞭な情報なんだけど、このアルバムのプロデューサーにはGus Dudgeonという人がクレジットされているんだけどどうもエルトン・ジョンの変名?なのかな。ちょっとよくわかんないけど。そしてこのボーカルのパット・モランっつう人、このバンド以降もイギー・ポップロバート・プラントなんかのアルバムに参加しているらしい。この人もメロトロン弾くので鍵盤なのか歌なのか調べてないけど、なかなか強者ミュージシャンが集まったバンドだったようだ。他のメンバーもバート・ヤンシュマグナカルタとやってたりとかやっぱり英国ロックは全部繋がってくるよなぁ(笑)。

Stackridge - Mr.Mick 1976

ミスター・ミック: 完全版 デイヴ・ローソンのプロフェッショナルな世渡りとその隠れた才能は実にあちらこちらで開花しており、その片鱗を見える範囲で追ってみるのもなかなか乙なモノではなかろうか。The WebというバンドからSamuraiへ、そしてGreensladeでの活躍が多分一番メジャーなところではないかと思うが…、そのグリーンスレイドはちと後回しにして、グリーンスレイド解散後に見つけた仕事としてスタックリッジがある。元々器用な鍵盤奏者なので何でもこなせるのだろうがよりによってスタックリッジとはこれまたかなり不思議な組み合わせではある…。

 1976年リリースのスタックリッジ5枚目のアルバム「ミスター・ミック」。ミック老人の人生というテーマでのアルバムだが、元々スタックリッジというバンドはビートルズに通じるくらい、そして10CCなんかとも相通じるようなひねくれたポップスを奏でるバンドだったので、デイヴ・ローソンの濃厚な鍵盤というモノが果たしてどこまで必要だったのか…、スタックリッジ側のファンとして順を追ってアルバムを聴いている人にはかなり異質に映った鍵盤奏者の加入だったんじゃないかな。デイヴ・ローソン側からすると主要メンバーが抜けた後のスタックリッジの新たなる方向性を決定付けたのは彼の鍵盤のおかげとも言い切ることができるかもしれない。まぁ、いずれにしてもスタックリッジ自体がバンドの変革期を迎えていたので、その前兆はこの前の作品「エクストラヴァガンザ」から楽曲に多く現れていて、かなりプログレ色が濃厚になっていたものだ。そこへデイヴ・ローソンの加入でより鍵盤における比重が高くなり、濃厚な音圧がバンド内を占めるようになったのだ。

 が、これでバンド解散(笑)。う〜ん、やはり音楽性を変えて生き残っていくというのは実に難しいことなのだなぁ。この後スタックリッジの主要メンバーであったアンディ・デイヴィスは元々の仲間でもあったジェイムズ。ウォーレンとコーギスを結成して再度やり直すこととなるのだが…。余談だけど、このアンディ・デイヴィスというギタリストはジョン・レノンの「イマジン」でもギターを弾いている強者♪ あまり語られることのない人なのでそういう星の元に生まれたのだろう、きっと

。  さて、この「ミスター・ミック」というアルバムだが、ポップスファンからしてもプログレファンからしても中途半端な出来上がりで決して傑作というワケじゃないけど、元来持っているポップさがやたらと英国好きには受けるタイプなので、裏ではかなり人気の高い作品。もうひとつ蛇足だが、クリムゾンで一瞬話題となったゴードン・ハスケルもこのバンドに一時参加していたことがあるのだ。なかなか食わせ物のバンドだったりするんだなぁ…。いや、本質的には非常にポップで滅茶苦茶売れてもおかしくなかったのだが、そこはキンクス的シニカル視線だったようだ。ちょっと前に再結成したりしているみたい。

 そういえば、この「Mr.Mick」という作品、当初制作していたバージョンがレコード会社から拒否されて編集し直したものが当時アルバムとしてリリースされていたとのことで、現在はそのオリジナルバージョン「ミスター・ミック: 完全版」もリリースされている。

Stackridge - Stackridge (1971)

Stackridge どっぷりと大好きな70年代英国ロックの世界を堪能しているここ最近の日々です♪やっぱり親しみのある音ばかりでそりゃもちろん曲を全部覚えてるワケでもないし、音聴いたからってバンド名までわかるほどに熟練はしてないけど、音と雰囲気と空気感で70年代英国だな~ってのはわかるし特徴的だし、自分の原点でもあるし、何か居心地が良い。とんがって聴かなくて良いっつうか、まぁ、付き合いが長いから気兼ねしなくても構えなくても良いってな所だろう。たとえそれがプログレであろうともフォークであろうとも自分的には70年代英国ロックなのだ。そんなことでふと、取り出してみたのはスタックリッジってバンド。これもまた無名…なんだろうな、もちろん(笑)。せいぜいメジャーな絡みを書いてみるならば、ギターのアンディ・デイヴィスって人がジョン・レノンの「イマジン」に参加していたことがあるってくらいだ。それだからというワケでもないだろうが、このスタックリッジというバンド、俗称は「田舎のビートルズ」ってなってるような音です(笑)。

 デビューアルバム「Stackridge」は1971年のリリースで鍵盤を含むバンド編成だけどフルートやらバイオリンやらも鳴っているので、牧歌的という言葉が良く似合うアルバムで、アコギの使い方が…ってかアコギ中心なのでソフトタッチになるのは当然か。そこにフルートの優しい音色やコーラスワークが絡み、更にキャッチーでポップな歌メロが入るという音で、決して単なる英国ロックの範疇で片付けられてはいけない価値のあるバンドの音だとは思うが、如何せん光るべき個性ってのが見当たらなかった。ELOみたいに突出したものも無ければ10ccみたいなユーモアセンスもなく、ただ音楽を作るのが上手かったというバンドで、聴いてしまえば割とハマれる音を持っているんだけど、売り出すネタがなかったってことだ。得てして良いものが売れるとは限らないという典型的な例。言い方を変えると、音楽好きには全くツボにハマる音であることに違いはなく特に英国ロック系が好きな人なら間違いなく好む音であるってことだ。バンドとしては途中でメンバーを変えながらも5枚の作品をリリースしていて、どれもが良質なポップアルバムなので何から手を出しても大丈夫だろう。ウチのブログでも後3作くらいは既に書かれているし、結構聴いてるんだ、自分、と(笑)。

 しかしどの曲もキャッチーだなぁ…。よくプログレ畑のレビューに載っかってて、そういう聞き方から入るとかなり肩透かし食らうんだよな。フォークタッチの云々…だから。それよりもポップバンドでフォークの使い方が英国的で、ほのぼのとした音を奏でる回転木馬のようなバンドとして書いてもらいたいものだ。決してプログレじゃないですし、フォークでもない。これぞ英国の音のバンド、良質ポップスでヒットチャートは無縁だけどキャッチーで受けるのだ。カンタベリーのポップとはちょいと違うけど、そんなポップさだ。明るいしね。

 しかしYouTube探してたらどうにも昨年のライブ映像があった?ホント?

Stackridge - Friendliness 1972

Friendliness  英国的なポップ路線を受け継ぎながらプログレッシブな指向性も持ち、実にユニークな音作りを行っていたスタックリッジ。有名なのはこの後にリリースされた「山高帽の男」ではあのジョージ・マーティンをプロデューサーに迎えてまんまビートルズらしい名盤をリリースしている。今回はその前の1972年にリリースされたStackridgeとしてのセカンドアルバム「Friendliness」となる。

 今となっては一般的にはほとんど知名度はないし、そこそこ知られているとしても70年代から80年代にかけてThe Korgisというバンドで活躍した人達が元々在籍していたバンド…という程度か。自分的にはそのThe Korgisってのをまだ聴いたことがないので、全く印象が薄いのだが…。Stackridgeとの出会いは…、例によって英国ロック本の中で見かけたことから記憶にインプットされていて、欲しいレコードを巡る旅=レコ屋漁り時に気にする程度でしたね。もちろん音なんかどこでも聴いたことなかったので、その英国ロック本で読んだちょっとした解説だけで自分が買うレコードの順位を付けていくワケですよ。なので、どうしてもビートルズとかポップとか言う言葉があると後回しになってしまってさ(笑)。もっとも見かけたら買ってたんで、巡り合いの運だけだった、ってのはあるが…。

 そこで自分が最初に出会ったのはStackridgeのファーストアルバム「スタックリッジ」。BGMからのリイシュー盤で、後にオリジナル盤を見かけた時のジャケットの重厚さとはまるで異なっていたものだ。まぁ、それでも聴けたから良しとしよう…として、それほどお気に召さなかったってのもあって他のアルバムはかなり後になってから徐々に聴いていたってトコだ。この「Friendliness」もそんな流れの一枚で、Stackridgeの中で聴いたアルバム順からしたら結構後の方じゃないかな。どのアルバムもロック的なインパクトはなくって、浮遊した感覚とポップ的な感覚…それでいてヤケにプログレッシブなアプローチという不思議なバンドでさ、「Friendliness」はどうなんだろ?っていう好奇心はあった。「山高帽の男」の前のアルバムだから自分たちの音楽を模索しているだろうし、と。

 聴いてみるとわかるけど、実に多様性に溢れたアルバムに仕上がっていて、メンバーのユニークな音楽性の高さを楽しめる。バイオリンやフルートというのも普通に使っていて、もちろん主役じゃないにしてもStackridgeとしての味付けがきちんと出来てるもんね。鍵盤の比重も割と高くて、牧歌的…とまでは言わないがどこか遠くを見るような雰囲気を特徴としているかな。プログレッシブなアプローチと言う割りに「Friendliness」ではもう5分程度の曲ばかりで纏められているので聴きやすいし、そういう意味では真のプログレッシブバンドの基準を満たしているのかもしれない(笑)。いや、本物のプログレバンドは小曲から出発していることが多いっていう自説ですが。

 ビートルズ的という側面はまだそれほど出ていなくて、どちらかっつうとYesやGenesisの初期のような英国の軽やかさと重さとメロディが同居しているという不思議なバンドで、B級的な匂いはほとんどないんだよね。A級センス抜群で、音も今聴いても古臭い部分をあまり感じられないから、しっかりと作られているんだと思う。曲構成がこれまた面白くてさ、一曲だけ9分弱の曲があるんだけど、これがよく出来たドラマティックな作品で、素晴らしいんですよ。なかなか出会えない世界だろうけど、こういうポップでプログレってるのってさ。個人的にはパンチが足りなくてもうちょい、っていうトコだけど秀作の域ではあるよね。

Stackridge - Friendliness Friendliness Stackridge - Stackridge Stackridge

Stackridge - The Man In The Bowler Hat 1973

山高帽の男 今日は音楽好きの多くのファンはビートルズのモノステ箱+DVDで大いに盛り上がっていることだろう。もっともあちこちのブログで中味のレビューが書かれたりするのは全部聴き終えた頃だろうからもうちょっとかかるが(笑)。まぁ、今のブログの傾向からすると「買いました〜」という報告系が多くを飾り中味についてのお話はあまり出てこないのかなぁという気もするが(笑)。相当に音が変わっているらしいけどどうなんだろね。どっかで気が向いたら聴くだろうけど、当分聴かないと思う…ほとぼり冷めた頃にひっそりと、ね。わからんけど(笑)。

 ビートルズで賑わうのならば英国のB級路線を走っている今書けるのはスタックリッジです。うん、1973年にリリースされた3枚目のアルバム「山高帽の男」はジョージ・マーティンのプロデュースによる作品で、これまでのスタックリッジの音楽性を損なうことなく更に飛躍したポップさを打ち出した傑作。やっぱり本家本元のプロデューサーが付くとここまで見事に生まれ変わるものかと思うくらいに軽やかで煌びやかな音世界が出来上がっているので、聴いたことのない人は一聴の価値ありなんじゃないかと。特にビートルズで盛り上がってる今ならこういう傾向の音って聴きやすいじゃないか、と。グレードも低くないし。

 そういう形容詞をいっぱい付けて何とか世の中とバランスを保とうとはしているけど、実際にはもしかしたらビートルズよりも好きかもしれない。何かね、自分だけのポップバンドって感じでさ、ビートルズ聴かなくても同じようなセンスはこういうところでも聴けるんだよ、みたいな。まぁ、ELOなんかもそうなんだが…。それくらいに強烈に旋律も曲も彩りもしっかりとしたアルバムです。ただ、気になるのは一発で覚えきるくらいの激しく名曲らしいものが見当たらないという…致命的なんだけどさ、その辺がA級との差なんだが…、それ以外は持ってる(笑)。

 ほのぼのとしててね、殺伐とした雰囲気は一切なくって田園風景をそのまま表した作品。田舎のビートルズと異名を取ったらしいが、正に言い得て妙でして、そのまま田舎の風景がマッチする作品。巧いしね。

Stack Waddy - Stack Waddy 1971

Stack Waddy デッカ・デラムの傘下でのノヴァレーベルと同様にあのCBSにももちろん70年頃には傘下のレーベルってのがあったワケで、RCAのネオンほどメジャーじゃないんだが、ダンデライオンレーベルってのがあった。まぁ、結局レーベル運営そのものは何故かワーナーやらポリドールやらに移籍されていうのでどこの傘下ってのがややこしい。結局どれもこれもが非常〜にマイナーなモノになってしまって結局レア盤の運命を辿ることになってるわけだ。どっからどう見てもメジャーな人が全くいないに等しい。有名どころと言ってもせいぜいブリジット・セント・ジョンくらいか?う〜む…。

 そんなダンデライオンレーベルの主でもあるBBCのジョン・ピールが発掘してきたバンドのひとつにStack Waddyというのがある。驚くことにアルバム二枚リリースしているので、そこらの英国バンドよりもまだ売る気があったってことだろうか。今回はその最初のアルバムでもある1971年にリリースされた同名タイトルアルバム「Stack Waddy」です…。セカンドは「バガー・オフ!」っつうタイトルです。

 最初に書いておくとですね…、いや、曲目見てわかるようにどれもこれもカバーソングばかりなんだが、思い切り泥臭いブルースロックをひたすら奏でるというバンドで、そこには全くギミックもなけりゃ独自創造性もなく、ただひたすらブルースを繰り返すというものだ。なので、迫力や雰囲気はもの凄いものがあるし、歌にしてもピーク振り切った状態での録音としか思えないくらいに迫力があるし、非常に個性的。しかし、残念ながらそこには独自性がないため、単なるその他大勢のブルース模倣バンドとしてしか音が聞こえてこない。それが故にどうしても淘汰されてしまったのはしょうがないだろう、というのがよくわかる。

 でも面白いことに、何かと事あるごとに英国B級路線ブルースロックなどが取り上げられると大体このStack Waddyは出てくるんです。ダンデライオンだからか?いや…、多分この時期の英国ブルースロックの洗礼バンドってことでここまで泥臭いバンドはないからじゃないか?妙な言い方だけど、模倣のオリジナリティがあるもん。つまり模倣しかしない、っていう純粋な人達ってのはほとんどいなかったからさ、Stack Waddyくらいだったんだよ、多分。皆が思い描くような思い切りブルースの模倣バンドって。他は皆何故か独自性を持ったり発展させたりしちゃってるから。逆の意味で稀少だったんだろうとも思う。模倣の天才はツェッペリンだったかもしれないけど、やっぱり独自性が大きいワケじゃない?ね。

 そんな変な称号みたいなものを持ち合わせているStackwaddy…、ジャケット通りにむさ苦しく想像通りにブルースロックを奏でているバンド。バランスが悪いとしたらダンデライオンレーベルからってことだけかもしれない(笑)。

Status Quo - Hello! 1973

Hello!  英国で国民的人気を誇るステイタス・クォーだが、日本ではほぼ全くと言って良い程に人気がない。そして自分自身もそうだし、大してマジメに聴いたことがないのも事実なのだが…、そうも言ってられない状況になってきたので(いやぁ、リクエストがあったのでこれはやっとかないとなぁと言うだけですが)、ここぞとばかりに聴いてみました。なるほどなぁ、昔聴いた感じと今聴く感じとは大きく印象が異なるモノだと実感、時の流れを感じさせます。フォガットを書いた時にハードブギバンドとしての王道を行くバンドとして書いたんだけど、やっぱりそれは合ってたかな(笑)。一般的にブギ一筋の王道バンドと語られるステイタス・クォーではあるんだけど、こっちの方がまだ可愛い。どっちかっつうとシャッフル系なんじゃないかな…、ってまあ解釈の問題で大差がないカテゴリというか括り方ではあるんだけどさ。

 デビュー初期はサイケデリックバンドの一員としてシーンに登場してきて、しばらくそんな中途半端な路線だったものの70年代に入るとヴァーティゴレーベルと契約し、正に全盛期に突入。…ん?またヴァーティゴか(笑)。で、この時期の作品「Piledriver」「Hello!」「On The Level」と言ったあたりが一番かっちょ良い時代で、ノッてるね。もちろんそれぞれに特色があるし、バラードなんかもあったりするんだけどいわゆるブギ一筋と言われるのもこの頃から。どっちかっつうとロックンロールなんだと思うけどね。シャッフル調のロックンロール。だからゴキゲンなんだけど、かなり軽めに聞こえるトコロがフォガットなんかとは大きく異なるかな。以降はこの軽さにポップさが同居してくることで一般的認知度を獲得しており、ここらへんからは多分英国に於いての長寿バンドとして、または軽快なロックンロールを奏でるバンドとして知名度を上げているんだと思う。ストーンズはオリジナリティが強かったが、このバンドはもちろんオリジナリティもあったんだけど、それでもカバーソングの使い方が上手かったんじゃないかな。ストーンズももしかしたらそうなのかもしれないけど、サラリとありとあらゆるジャンルのカバー曲を彼等のノリでプレイしてしまうスタイルは素晴らしい。そしてそれがカバーだとは気付かないようなレベルにまで持ち上げてしまう独自のサウンドというのも凄い。「All Around My Hat」なんてのも英国ではかなり知名度の高い楽曲だが、元々は英国フォークバンドのSteeleye Spanの曲なのに彼等が演奏すると不思議とクォーサウンドになってしまっていたりする。それにはオリジナルバージョンでメインボーカルを務めていたマディ・プライアーが参加しているにもかかわらず、だ。

 んなことで、クォーの面白さを体感するには上記3アルバムはともかくながらこれだけキャリアの長いバンドなので適当なベスト盤が一番取っ付きやすいだろうし、今から全アルバムを丁寧に聴いていく必要がどこまであるのかな、って感じなのでベスト盤をオススメするね。

Steamhammer - Mountains 1970

 ブルースとハードロック、そしてプログレッシヴな曲展開、更にはコンセプトアルバムという趣向を凝らしたアルバムとしてはかなり早い時期の作品に数えられてもおかしくない・、とは言ってもこの時期の英国ロックにはそんなのがごまんと固まっていたので別段新しくは感じなかったのかもしれないな。それでも作品の質の高さから今でもたまに語られる…、ほんとにたまにだとは思う。しかも語られ方としてはギタリストのマーティン・ピューがヤードバーズのキース・レルフと一緒にアルマゲドンっつうバンドを組んだことで若干名が通っているっていう要因が大きいかも。そのアルマゲドンのアルバムの一曲目のギターリフはこのバンド、スティームハマーの4作目「Speech」の初っ端を飾る曲のリフとまったく同じ物であることはあまり知られていない。

 ってなことで本日はスティームハマーっつうバンドでデビューは1968年、混沌としたブルースロック調のアルバムでデビューを飾ったようだ。うん、だって、初期作品は持ってないので聴いてないのでよく知らないのだ(笑)。しかし、しかしだ、3作目となった「Mountains」と4作目の「Speech」は早い時期にレパートワーからCD化されたのでこぞって入手して聴いたのでかなり好きな類のバンドということに気付いてはいた。初期もそのうち探さないとダメかな。で、その三枚目の「Mountains」がB&Cカンパニーの有名レーベルとなったカリスマレーベル(ジェネシスが有名か)から1970年にリリースされていて、コンセプトはあの「指輪物語」としているみたいなんだけど、レパートワーからのCDは何故か曲順が変更されていてオリジナルアルバムのコンセプト通りになっていないという不思議な物。このレーベル結構そういうのあるんだよな。レア物リリースしてくれたからいいんだけどさ。で、オリジナル通りに曲順をいじって聴いてみるとどうなのか?と言われても正直それほど大差ないような気がする…、いやむしろレパートワー盤の方が曲順良いんじゃないかとすら思えるのだが(笑)。ちなみにAkarma盤はオリジナル通りの曲順。

 最初からハモンドの効果音と正しく英国的なギターの音色が鳴り響く「I Wouldn't...」という曲はこのアルバム一番の佳作だろうなぁ、時代を反映するかのようなブルースロックが基本なんだけどどこかヘンで繊細。アルバムではB面に収録された最後を飾る「Riding On...」という16分強の楽曲についてはどこかのライブを録音した模様で、目玉になっているんだけどこれもハモンドとギターの掛け合いと激しく展開していく曲構成が面白い。かと言ってプログレ的に展開しているワケでもなくあくまでもブルースロックの発展というような感じで、どこかテン・イヤーズ・アフター的なライブという気もする。何かすごくギターが丁寧で繊細なので聴いていて耳が行ってしまうんだよな。その他小曲群でもそれは同じで繊細な旋律を大切に奏でているという印象でバンドのそれぞれの音色が上手く融合しているものばかり。ロック…、うん、英国ロックとしか云えないんだけど情景の表現もやっぱり見事な物で「指輪物語」というストーリーをイメージして聴くとなるほどそうかな、と思える曲が並んでいるのは何となく納得(笑)。アコギの繊細な使い方とかやっぱ良いなぁ。

 アルバム4枚リリースして解散してるけど、英国よりもドイツでの人気が高かったと言われている。オフィシャルホームページなんつうものも存在していて、大した資料はないんだけどファミリートゥリーが貴重かな。英国的なハードロックのひとつとしてはかなり好きなアルバム。

Steamhammer - Speech (1972)

Speech (Dig) いや~、この辺のバンドのあれこれを見ていたり聴いていたりすると面白いことがいつまで経っても発見されてきてキリがない。その辺が英国ロックの深い霧とも言われる所以で、超王道メジャーバンドから超マイナーな無名のアーティストまで多分全部繋がってしまうのだ。人脈的な、という意味だったり音楽的という意味だったりするのだろうけど、とにかく人脈でバンド組んでた、とか面白そうだから何かやってみるか、ってな具合に人が集まってたりするので、スーパーバンドってのも後で言われてみれば、みたいな時もある。だからそれは必ずしも成功するとは限らないってのがある。最初から明確な音世界があってバンド組んだ訳じゃないからだろうね。まぁ、超メジャーな所ではスーパーバンドってのは成功しないものだったんだけど、ちょいとB級に入ってくるとそれはもうアチコチのバンドからの猛者が集まってくっついたり離れたりしてて、その系譜が大変。魑魅魍魎とした世界が広がります。そこにプロデューサーやエンジニアやレーベルなどが絡むから更に複雑怪奇な世界が出来上がる。

 …なんでこんな話なんだ?あ、Steamhammerの来歴見てたらそんなことを思ってしまったからです。イリュージョンや初期ルネッサンスに絡むルイス・セナモが参加したってことと、アルバム「Speech」でのプロデュースがキース・レルフだったってことで。このアルバムが出会いだったんじゃないかな、多分。んで、SteamhammerはZeppelinとかジョイントでライブやってたりするんだからまた深い世界。英国ロックは面白い。特に70年前後は最も活気溢れていた時代だろう。

 そのSteamhammerの1972年リリースの最終作「Speech」は何とハードロックバンド、と定義して良いにも拘らず、3曲しかアルバムに入っていない。A面1曲、B面2曲だ。今の時代にしてみればそれでもアルバムとしては短いのだろうけど、アルバム片面が一曲って凄いことだよ。昔はそんな長いの聴けないだろ~って思ってたけどいつしか、そんだけ長いならきっと何かやってくれてるに違いない、と確信して聞くようになっていた(笑)。得てして何かしら面白いことやってくれてるんでね。この「Speech」の場合は…、オープニングからして奇妙なチェロの硬くて冷たいちょっと硬派な音が出てきて、まるでZeppelinの「幻惑されて」のライブのアドリブ途中から始まるようなもんだ。なんだそりゃ?となり結構長く続いてから始まるのが無茶苦茶チープな歪んだギターでのリフ。このリフは後に「Armageddon」の一曲目「Bazzard」として更に洗練されて使われることとなるリフの原型なのだが、とにかくチープ、笑っちゃうくらい。B級さ丸出しでカッチョヨイ。キース・レルフもこのリフに痺れたんだろうな。それとさ、ドラムのミック・ブラッドリーって人、かな?が、凄く良いドラムを叩いてて、これぞ英国ロックドラマー!って感じの自分的には凄く好きなドラミングなんです。小技が効いててロールしてて、それでもドタバタ感あって…っつう。うん。この人この年に死んじゃうんだよね。んで、様々なバンドを集めてトリビュートライブをやったりしてたんだが、結局翌年解散となったバンド。そこからアルマゲドンに移行していくみたいだけど、まずはこの「Speech」という作品…ってかファーストのブルースロックバンドから始まり、前作「Mountains」ではプログレッシブな方向性を持ったハードロックバンドとして実験的なライブレコーディングをまずまずの出来に仕上げて意気揚々と製作した最も熟成したアルバムが「Speech」だと思っていて、充実度は実に高い。長い曲でも単に鍵盤で長引かせているとかではなくて構成がしっかりと組まれていて、でもフリー部分もあったりしてプログレではないハードロックバンドな音です。チープだけど(笑)。