Steel Mill - Green Eyed God 1971

Green Eyed God 割と事ある毎にドイツ人と日本人の感性が似ているんじゃないかと思うことがある。まぁ、職人気質な所とかもそうだけど、音楽的な好みというのもそんな傾向があったりするような感じでさ。もちろん全部じゃないけど。そういえばビートルズだって若い頃はハンブルグで武者修行をしていたくらいだからドイツってのは何かと魅惑のある国なんだと勝手に思ってるんだけど…。ドイツを制するものは世界に進出できる、みたいなさ。Zeppelinなんかもそうだし、結構ドイツ制覇してから出てくるバンドってあるんじゃないかな。

 Steel Millというイギリス人によるバンドがその昔に存在していて、そんなドイツでの武者修行からなのか何故か1971年にドイツのベラモフォンレーベルというところからアルバム「Green Eyed God」をリリースしたバンドがあってですね…、その後1975年に逆輸入バンド的に英国でその「Green Eyed God」がリリースされたらしいんだけどさ、その間の4年間ってSteel Millは英国からドイツに出て売れているバンド…とまではいかなかったけど、それなりの評価があったから英国盤がリリースされたのかもしれない。または、その間にそんなバンドがあるってことで非常に珍しがられた人気の上でのリリースだったのか、英国としては自国のバンドのアルバムを余所の国でしかリリースされていないという事実を許せなかったのか(笑)。いやいや…。

 そのSteel Millの「Green Eyed God」なんだが、自分的には随分と前にカウンターフィット盤を手に入れまして散々聴いてたので結構思い入れあるなぁ。オリジナルなんて見ることはなかったけど、とにかく最初の曲のギターリフがとてつもなくダサくてかっこよくてさ。速攻でギターコピーしてたもんな。それくらい簡単でインパクトのあるリフなんだが、アルバム全体としても紛れもなく英国風の品位に包まれたアルバムです。ゴツゴツしないで優しく、上品にそしてまろやかに…、出てくる音は全然違うけどGnidrologみたいな雰囲気があってね、技術力のなさもB級で心地良い。音そのものは基本的に線の細いギターを中心としたハードロック風味のスカスカな音で、歌はこれもまた線の細い特徴がなくて頼りなさ気な声でして(笑)。特筆すべきところがあまり見当たらない英国ロックサウンドとしか言いようのない世界だけど、何度聴いても飽きない深さ。これ、一体何なんだろう?別に激しいってワケじゃなくてプログレってモンでもないし、でも何か心地良い。不思議だ。

 あまりレビューされていないみたいだけど、CDは一応出ていたらしく多分再発もあまりないんだろうけど、機会あったら聴いてみてほしいな。ま、最初からコレだと疑われるからある程度英国ロックを聴いた後に聴くとよろしいかと。かっこよく書けばさ、ブラック・サバスから暗黒を抜いたような音とも言えるんだけど…、いやかっこよくないか(笑))。

Still Life - Still Life 1971

Still Life  「Still Life」と言えばヴァーティゴレーベルに1971年に残された幻のバンドとしてその筋ではかなり有名なバンドがある。マニアの間ではこれはピーター・ハミルだなどと言われたりして、このような伝説を作り出すとはヴァーティゴレーベルもなかなか粋なことをしたものだ。もっともそれが意図的なのかどうかは全くわからないが、少なくともレコードには曲目と作曲者の名字のみのクレジットはあったものの全くそれが誰なのかがわからなかったという素晴らしき演出。このスティル・ライフのメンバーの顔が見れるのはダブルジャケットの見開き面にうずくまった4人のメンバーが見れるのみで何のインフォもなかったという正に幻と化したバンドなのだ。

 しかし今のこの時代、世界中の誰かがそれを探そうとして発掘されるものなんだねぇ。凄い時代です。ここスティル・ライフというバンドについてのことが書かれているのでなるほど〜と感心。これでバンドの謎については一件落着なんだけど、それでどうした?って感じで、まあミル・マスカラスの素顔を見たからどうというものではないけど、見てみたいという願望と同じで納得したいだけなんでしょう。

 そして肝心の音の方だけど、さすがヴァーティゴレーベルなだけあって実力派なんだけどいまいちB級ってトコがまたマニアの人気度を高めるところなんでしょう。オルガン主体のプログレ、、、プログレって言葉の定義が非常に曖昧なのであまり使いたくないから、オルガン主体の結構ビート感のあるロック。一曲目「People In Black」は確かにピーター・ハミルに通じるものがある迫力だけどまだまだ凶暴さはないので、やっぱり別人だね。でもかなり似ているしバンドの演奏スタイルも近い。A面は以降何となくスワンプ的なメロディと言うか決してプログレ風な歌ではなくって、もっと土臭い感じでコーラスもあるし、普通に聴けるかな。ま、でもイマイチ。で、B面は結構ハードっぽくなってなかなかイケる。特に「Love Song No.6」なんて勝手な思いなんだけどキース・エマーソン風の鍵盤が出てきて頑張ってるし、ついでだからリッチー・ブラックモアがここであのギターを弾いてくれるとぴったりとハマる名曲になると思うんだけどな(笑)。そういう意味ではジョン・ロード的な鍵盤なんだろうか。そんな感じで結構楽しめるね。

 後はやっぱりジャケットが凄くいいよ。これで英国プログレファン達はノックアウトされるんだけど、表が凄く綺麗じゃない?で、裏ジャケが一転してドクロっつうメリハリが実に面白い。2003年にイギリス盤CDがリリースされたんだけど、こちらはジャケットがちょっと違う。う〜ん、良くない。やっぱり右上にヴァーティゴ渦巻きマークがあるのが一番しっくりくるな。

Stone The Crows - Stone The Crows 1970

Stone the Crows 英国のブルースってのは実に多様な方向に進むものがあって、そりゃストーンズだってツェッペリンだってブルースだろ、ってのとかフリーもクリームもそうだろ、って言われるとなんかそれぞれ違うでしょ?んな感じでね、マイナーな世界はマイナーな世界でそれなりに個性を出してたんですよ、もちろん。んで、中でも女性の歌声での超個性…もちろんジャニス・ジョプリンが既に世界を制していたのでどうしたって比較されてしまうんだけど、それでもかなり楽しめる素晴らしい歌声でブルースを奏でてくれたバンドがこちら。

 Stone the Crowsというバンドで、ボーカルはマギー・ベルです。まぁ、滅茶苦茶メジャーではない人ですが、歌がとんでもなく良いのです。ソロアルバム「Suicide Sal」ではジミー・ペイジだってギターで参加しているんだから。そしてこのStone the CrowsのギタリストってのがLes Harveyって人でして、うん、Alex Harveyの弟なワケだ。これがさぁ…、凄く良いギターを弾くんですよ。ソロにしてもアコギにしてもバックにしてももの凄くアクのある、そしてセンスの良い心に引っ掛かるようなギタープレイでね、もちろんマギー・ベルの歌を邪魔することなく、流れのギタリストって雰囲気までも出してる良いギタリスト。そんなメンツの最初の作品が「Stone the Crows」という1970年の作品です。

 冷静に聴くとブルースっつうか、ブルースを元に歌い上げ、ブルースを元にギターを奏でているけど決してブルース一辺倒なバンドじゃないし音でもない。凄く洗練されていて泥臭さがなくって泥い、って感じ(笑)。マギー・ベルの歌のパワーが凄いからさ、どうしてもジャニス的に聞こえてしまって、ブルースの〜って感じになるけど、そんだけじゃないね。圧倒的な歌唱力を生かした音がたまたまこういう音でした、っていう感じで、もちろん巧いし好きなんだろうけど。曲は歌ありきで作られている感じだからさ、やっぱメロウなブルース調が多い。なんつうか…ソウルフルな歌声を生かす曲ばかりだね。ロックとかハードロックとか言う世界ではないが、思い切りロックを感じさせるブルースな世界…。うん、心地良いんだよ、単に。ギターも絶妙だしさ…。

 A面4曲でB面の「I Saw America」って20分近く使って色々な実験をしてる。そっちがこのバンドの本領でもあるかもしれないし、時代かもしれない。基本的にはA面の世界を以降も踏襲しているけど、ここでの20分弱は実験的で面白いね。プログレではないけれど、ロックがあれこれと融合しようとしている世界を聴けるからさ。オルガンも派手だしギターもパーカッションも歌も展開も間合いもそれぞれ楽しめる。まぁ、やっぱりこうなるか、って読める展開も多いんだが(笑)。

 それにしてもStone the Crowsは無名ではもったいないレベルを持ったバンドなので、ジャニス好きな人やブルースロック好きな人は蓋を開けてみても良いんじゃないかな…、ソウルな歌が好きな人も大丈夫だと思う。

Strawbs - Strawbs (1969)

Strawbs ソーニャ・クリスティーナって人はその実結構な来歴の持ち主で、元々がフォークシンガーだったってのも後で知った話。しかもそれなりの時期にそれなりのポジションで歌っていた人だったってのもあって、ちょっと道が違えば完全に英国フォークシーンに出て来た人だったのかもしれない。ミュージカル「ヘアー」への出演ってのは知られている事なんだが、その後サンディ・デニーが抜けた後の1968-69年頃に超短期間の間The Strawbsに加入して歌っていたってのはあまり知られていないみたい。何でもその時にバンド内の二人のメンバーにのぼせ上がられて…か二股かけて、かはわからんけど(笑)、とにかく魅力的過ぎてバンドにはいられない、みたいな状況になったらしい。ともすればThe Strawbsが解散していただろうし、なかなかおもしろい歴史の一幕。実際にソーニャ・クリスティーナがThe Strawbsのアルバムに関わっているのはないみたいだけど、シングルB面曲「Or Am I Dreaming?」録音時にはちょうどそのドタバタだったようで…とデイブ・カズンズが回想してます。

 そのThe Strawbsとソーニャ・クリスティーナで検索してみたらなんと、最近リリースされたThe Strawbsの40周年記念のライブにソーニャ・クリスティーナも出演して歌っているようで、「40th Anniversary Celebration」というアルバムがリリースされている。何とも驚くばかりだけど、しっかりと本人たちは短期間の活動だったにもかかわらず、その関係性を覚えていたんだなぁ〜。よほど密な関係だったんだろうか(笑)?

 さて、その「40th Anniversary Celebration」はまだ聴けてないしYouTubeでも見当たらないので、しょうがない、最初期のThe Strawbsに進んでみるか、ってことでファーストアルバム「Strawbs」です。先ほどの「Or Am I Dreaming?」も入ってるし、the Strawbsが売れる前のアルバムだし、トニー・ヴィスコンティだし、ジョン・ポール・ジョーンズやニッキー・ホプキンスも参加してるし…ってジョンジー、Zeppelin参加直前の仕事か?そして作風はどこかTyranosaurus Rex風な音で…ってそりゃそうか、トニー・ヴィスコンティだもんな。タブラパーカッションが入ってたりフォークギターの使い方とか音色とか一緒じゃないか、これ。そういう意味ではまだまだサイケ的フォークでもあるし、The Strawbsの個性ってのはさほど出て来てない感じ。何かフワフワした感触だから好きな部類のアルバムですねぇ、ホント。軽やかで重厚、アメリカ音楽に影響受けてるけど出来切れない英国の性、一方での英国らしい曲調と作風、そしてトニー・ヴィスコンティの音作り。隠れた名作かも。後のThe Strawbsをイメージする必要もなく、この時期の英国フォーク・ロックとして結構光り輝いている感じです。

The Strawbs - From The Witchwood 1971

From the Witchwood ロックの系譜を追いかけることで様々な関連やバンドメンバーの活動経過や仕事内容、人間関係や音楽的趣味などを測っていくことができるのも面白く、なかなか体系化出来ない図が出来上がるハズなんだけど、そういうのを知ってて、というよりも追いかけつつアルバムに親しんでいくといつの間にかあらゆる音楽に精通してしまうこととなる。もっともどこまで追いかけるのか、という自分なりのマイルストーンは必要なのだが…。

 今回は面白くて…、二つの側面から同じ所に辿り着いたケース。ひとつはエルマー・ガントリーのヴェルヴェットオペラというバンドのリズム隊が次なる職場として求めた場所でもあったのがこのストローブスでした、ってこと。もうひとつは来日公演中のカーブド・エアーの当時は歌姫だったソーニャ・クリスティーナが短期間ながらもボーカルで参加していたこともあるのがストローブスだってこと。故に二つに分かれて進めてきたストーリーラインがここでまたひとつに融合したっていうケースでして、いや、狙ってなかったんだけど、面白い図式だなぁと。サンディ・デニーが参加していたのは有名な話だけど、実はソーニャ・クリスティーナまでもが参加していたことがあるってのはあまりメジャーな話じゃないしね。

 んなことで、一般的にはリック・ウェイクマンが参加していることで有名になっているストローブスの「From the Witchwood」という作品。これがだな、決してリック・ウェイクマンが参加しているから良い作品というのでもなく、またリック・ウェイクマンが参加しているから有名なアルバムというのでもなくって、しっかりとストローブスの「From the Witchwood」というアルバムとして聴いてみても実に素晴らしい作品で、音的にも英国のトラッドをベースとしたデイブ・カズンズの類い希なるセンスがしっかりと打ち出された傑作なんです。先程のベルベット・オペラのベーシストジョン・フォードさんのベースがここでもまたしっかりとブイブイ言って歌っているんですわ、このベースが。んで、リック・ウェイクマンのオルガンやら鍵盤類がこれもまたしっかりと華を添えていて…。ストローブスってこんなに良かったっけ?と思うくらい感動できるアルバムです。

 1971年リリースの邦題「魔女の森」ってのも神秘的なタイトルでよろしいし、内容の方も全く好みの音色でね、この時期にはピッタリな音♪

The Strawbs -Just a Collection of Antiques and Curios 1970

Just a Collection of Antiques & Curios  英国フォークというよりもフォークロックの部類に入ってしまうだろうストローブス。イエス加入前のリック・ウェイクマンが参加していたバンドとして有名なんだけど、この辺はプロダクションの影響もあって、概ねトニー・ヴィスコンティの関係でデヴィッド・ボウイの「ハンキー・ドリー」に参加していたりもするので時期的なものと合わせてリック・ウェイクマンの仕事ぶりがよくわかるが、まずはこのストローブスの傑作と言われる三枚目の作品「Just a Collection of Antiques and Curios」。

 1970年リリースのライブアルバム「Just a Collection of Antiques and Curios」。とてもライブアルバムだなんて気付かないくらい完成度が高いし、しかもどういうやり方なのか、そもそも意識してなのかほぼ全曲未発表の新曲から演奏された作品なのでライブでありながらオリジナルアルバムの部類に入れられてしまう変則作品。ジャケットみても全然ライブというような感じでもないし…、いや、このジャケット、昔から好きだったんだよね。モロにアコースティックですっていう感じが堪らなく魅惑的でね。だから音の空想も面白くて聴きたかった。なかなか手に入れられなかったけど。

 手に入れた時はリック・ウェイクマンがどうとかは気にしてなくて、多分今でもそれは気にしてなくてバンドとして聴いているから、作品として聴いているといや、やっぱりリック・ウェイクマンのオルガンとかピアノとかが目立つシーンも多いことに気付く。やはり天才は若い頃から目立つものなのだ。音はねぇ、もちろんアコースティックなんだけど、やっぱロックだからバンドだし、フォークっつうのだけじゃない。アコースティックテイストの目立つロック。二曲目の組曲なんて12分くらいあるから、こういう展開がプログレ的でもあるし、次の「Temperament of Mind」はリック・ウェイクマンのピアノをクローズアップした作品で、いきなりクラシカルな世界になってしまう…。ちょっとなぁ、バンドの雰囲気からは大きく外れてしまうので、ライブ盤じゃなきゃあり得ない展開。技量とか旋律自体はさすが…と唸らされるものだけど、作品邸には無茶苦茶浮いてる。  面白いことに決して軽くはない作品で、やはり英国的な重さというのか風格を持ったバンドの音。長寿バンドとして活躍しているだけあって、今聴いても色褪せない濃い音を展開しているアルバムかな。

Stray - Stray 19750

 さて、またしても時代は1970年に戻り、グラウンドホッグスと共に現在でもしっかりと英国内で活動している長寿バンドのひとつともなっているStrayと言うバンド。1970年のデビュー当時は平均年齢18歳くらいだったと云うことらしいので、今では50歳の半ばを超えていると云うことだろう。そして驚くことに、というかまぁ、当たり前にというかこのStrayオフィシャルサイトが存在しているのだ。当時の新聞切り抜きやディスコグラフィーなどはそれなりに見応えがあるし、今のライブ活動が確認できるってのもなかなか素晴らしい。

 さてさて、1970年当時色々なレーベルがこぞって売れそうなバンドを漁ってはリリースしていた時代、その頃は何が受けるのは誰にもわからなくて試行錯誤というかなりふり構わずと云うか、そんな楽しい時期だったけど、中でも不思議だったのは当時既に英国フォークの名門レーベルとして名を馳せていたトランスアトランティックというレーベルがストレイのようなハードロックを演奏する若者達にも門戸を開いていったことだろうか。このレーベル、この後もJody GrindやMetroなど多様なジャンルに手を出していくので、今では不思議はないけど当時は結構新鮮だったようだ。やっぱレーベルってのはそれなりにこだわりとかカラーがある方が面白いしね。ちなみにこのレーベル、今ではあのカラフルなレーベル面で知られているけどこの頃まではシンプルな白紫のレーベル面だったみたい。自分的にもカラフルなレーベルの方が印象的なので探してたんだけど、実はそっちの方が少ないんじゃないか、っつう…。まぁ、そこまで深く調べてないけどそんな感じなのかな…、ん?ああ、バンドの話しなきゃ(笑)。

 それでこのStrayと云うバンドのデビュー作、「Stray」は当然若気の至りを十分に収めたギター中心のハードロックがたっぷりと詰め込まれている。部分的にはまだサイケデリック的なアレンジっつうか空気感も漂ってはいるんだけど、ツェッペリンに影響を受けたのかやはりリフをメインとしたギター曲で攻め込んでくるっつうのが面白くて時代を象徴するかのようなハードロックアルバムになっていて結構かっこいいんだよなぁ…、多分デビューするレーベルが悪かったんじゃないだろうか、なんて思ってもしまう(笑)。ちょっと前に紙ジャケでリリースされたのかな?変形ジャケットも見事に再現されたとか…。ストレイ・キャッツでもストレイ・ドッグでもないただのストレイ、っつうバンドなのでちょっとお試しには面白いハードロックで、名盤って云っても良いんじゃない?翌年1971年にはセカンド「Suicide」、サード「Saturday Morning Pictures」と立て続けにリリースされていて、これもまた同じ路線のハードロックなのでなかなか心地良い。もちろん英国の香りたっぷりなのでオススメ盤だね。

Stray Dog - Stray Dog (1973)

Stray Dog 先日ゲイリー・ムーア関連ってことでグレッグ・レイクのソロアルバム聴いてて、クレジットとか眺めてた時にスナッフィ・ウォルデンってのを見つけてしまって、ん?Stray Dogの?と思い出して、あ、そうか、マンティコアから…、ん?プロデュースがグレッグ・レイクだっけ?ってな感じで気になってしまって引っ張り出したが運の尽き。ゲイリー・ムーアを聴き漁る一方で、Stray Dogからマンティコア関連やら英国B級ものやらと各方向に飛び火して聴くことに…(笑)。

 なことで、ちょっと音的には錯誤する部分があるが、1973年にリリースされたストレイ・ドッグの「Stray Dog」というファーストアルバム。これがですね、聴いてみるとわかるんだけど、思い切り好みな英国B級ロックなんですな。ところが、メインのスナッフィときたらアメリカ人なワケでしてね、純然たる英国ロックなのか?と問われる部分はあるけど、音的には純然たる英国ロックですから良いじゃないか。もっともアメリカナイズされたテイストも入っているのは聴いてるとわかるので、それも含めて英国ロックのごった煮感覚なんだよね。

 期待の音はですね、さすがにグレッグ・レイクがプロデュースしただけのことはある、と言うかこの時代の英国ハードロックってのはホントにこういう独自の音世界が多くて面白い。ギターがネチネチとリフを奏でていながらもベースがグイグイとドライブしてドラムはドタバタと叩く、そして曲の構成はオイオイってくらいに妙に展開していくという普通ではない筋書き、それでも妙にポップさやキャッチーさを兼ね添えている見事さと、演奏だけを聴かせる面も覗かせるという面白さ満開。ロックなノリノリとかってのは無縁なので、ストレイ・キャッツと間違えるとそりゃもう大変さ(笑)。

 スナッフィってフリーでコソフがヤバくなった後のギタリストだったんだよね。それは多分、ストレイ・ドッグ結成直前の話で、ラビットが引っ張ってきたみたい。同じテキサス出身でバンド仲間だったらしいから。そんな繋がりからあちこちに発展していく人脈関係がこれまた面白くて、まだまだ整理できていないんだけどさ、ピート・シンフィールドからキース・クリスマスやエスペラントなどなどマンティコアから離れてどんどん広がってしまうんだよ。こんなにマイナーな人ですら…、いや、職人だからこそプロ達に好まれるんだろうな。

Strife - Rush 1975

Rush 早いモノで既に12月の半ば…あと少しで今年が終わってしまうじゃないかと言うことに遅まきながら気付くのだが、何と今年は英国B級類を改めて聴き直して漁り続けて久々に英国漬けの日々を過ごしたのだった。それが多分半年くらい続いていたのでこのブログ記事もほとんどそんなので占められていたような気がする。まぁ、それはそれで良いんだけど、ここはホントは別に英国だけではなく自分で聴いた音をあれこれ書き連ねるってな所でして…うん、別に英国だけではないです(笑)。今年内に今の英国路線片付くかな…と少々不安なのだが、まぁ、考えずに進めよう。

 1975年にリリースされたストライフというバンドのファーストアルバム「Rush」です。ファーストアルバムと言うからにはきちんと1978年にセカンドアルバムがリリースされたという珍しいパターン(笑)。いやぁ、そんなに凄いバンドとは思えないけど、結構無理したのかね。それは置いといて、このファースト「Rush」だが…と言うかストライフというバンド自体がよくわからない。トリオ編成のバンドでこの後もNWOBHMシーンに貢献するメンバーもいるらしいのだが、あまり出てこないので追求してないし…。一発モノとして聴いてみても面白い音だからいいんじゃないかと。

 確かに後にヘヴィな影響を及ぼすような楽曲がいくつも聴けるので、そういう話には納得する。どれもこれもBudgieみたいに一辺倒な迫力と白熱が感じられるし、チープな音質で録音されているからかそのひたむきさがナマで伝わってくるというのも狙ってはいなかっただろうけど、効果抜群。本来は多分叙情性をも持ち合わせたバンドで、もちろん断片は「Rush」でも聴けるんだけど、基本的にはグイグイと攻め立てるこれぞハードロックというような曲が多い。1975年という中途半端な時期にシーンに出てきたことで正統な評価がなかなか下されないが後数年早ければかなり評判の高いバンドだっただろう。

 何ともセンスを感じられないアルバムジャケットについては実はヒプノシスのデザインによるもので、このジャケットにセンスを感じないのは日本人だからなのか、世界中の人が思っているのかはわからないが、絵と写真を巧く組み立てたデザインで、技巧的にはヒプノシス的なものだがやっぱりヒネりがちょっと足りないのでは?と思ってしまうものだね。そんなマイナスイメージもあってイマイチ浸透しないストライフというバンド。悪くはない、悪くはないが…人生損するほどのものでもないのは確かか(笑)。

 驚くことにその頃のライブ盤「Rockin' the Boat」なんてのがリリースされているようでアマゾンにあった。びっくりしたなぁ…、でもやっぱり迫力ありそうなのでちと興味深いね。

String Driven Thing - Please Mind Your Head (1974)

プリーズ・マインド・ユア・へッド その昔、何かの雑誌を読んでいる時にLed Zeppelinの何枚目かのアルバムのジャケットを選考する際にヒプノシスのチームに依頼して、出てきたのがテニスのラケットを持った人物のアートワークであまりにも面白味に欠けたので即却下したよ、というジミー・ペイジの言葉があって、へぇ~って思った程度だったんだが、何年かして英国ロックにハマっていき、実に色々なバンドを漁るようになってからヒプノシスのジャケットもわかってきて、あくせく集めていた時に見つけたのがこのジャケットで、これこそヒプノシスがジミー・ペイジに断られたジャケットの再利用だったんじゃないか?と。これがZeppelinのジャケットだったら、と思うとかなり悲しい気がするのでジミー・ペイジの判断は正しかったのだろう。ま、誰でもそう思うか。しかしそれを採用したバンドもあったってことで、それがString Driven Thingというバンド。

 1974年にリリースされたバンドとしては4枚目の作品「プリーズ・マインド・ユア・へッド」だが、その実情はバンドのメンバーがほぼ入れ替わってしまったようで、前作「Machine That Cried」の素晴らしいプログレッシブ感からは大きくかけ離れたどこか泥臭いスワンプにも近いサウンドに変貌している。バイオリンのグラハム・スミスは健在なのでバイオリンが頑張っているのだが、その他はどうしてそうなる?みたいに濃い音になってて曲調もかなり普通に近い。そこまでしてアルバムを出す理由ってのあったんか?とも思うけど大人の事情かね。かなりマンネリな曲調がひたすら並んでいるのがアルバムを単調にしてしまっている。アレンジなどはそれなりに面白い部分も多いんだけど、歌かな、一本調子なのでイマイチ。まぁ、このキム・ビーコンという歌い手も英国らしいと言えばそうなんだが、ロッドを崩してポール・ロジャースやロジャー・チャップマンまで行かないというような感じか。後にThe Korgisを結成するので先のStackridgeと絡む人ではあるんだけど、かなりセンス異なる二人だったんだというのがわかるだろう。

 そしてString Driven Thingというバンドは多分グラハム・スミスというバイオリン奏者のVDGGの参加によって知られることとなった要素が大きいんだろうな。確かに本作「プリーズ・マインド・ユア・へッド」でも優れた楽曲はさほど見当たらないけど、バイオリンの音色が要所要所でサウンドを煌びやかに彩っていて、ロックにおけるバイオリンの使い方のひとつを知らしめているとも言えるもんね。自分的にはバイオリンやフルートってのがロックに入ってくるのは好きなので、前作「Machine That Cried」で気に入ってちょいと集めてみたバンドなんだよね、String Driven Thingってさ。

String Driven Thing - The Machine That Cried 1973

The Machine That Cried  スタンダードなロックを聴いている時、多分それはギターだったりベースだったりドラムだったり歌だったり、もしくは鍵盤かもしれないけど、そういう音に耳が行くことでそれらの楽器を手にしたいと思うんだろう。自分的に言えばそれはギターの魅力に虜にされたというものだが、もちろんコージーのドラムに惚れた人もいればアンディ・フレイザーのベースに惹かれた人もいたり、ミック・ジャガーのように歌いたいヤツもいたりする。そういうもんだろうな、と思うけど、音楽という領域まで広げレコードを聴いたりしていると知らない音に出逢うことも多い。ストリングス系やラッパ系はまぁ、わかる。ジェスロ・タルのフルートっつうのはかなり強烈な印象を残すが、もう一つ個人的に凄く好きな音としてはバイオリン。ロックの中で鳴らされるバイオリンって凄くヒステリックに割り込んでくるのでハッとするんだよ。だから好き。

 バイオリンロック、というワケでもないけどかなりその露出度が高くて更にバンドとしてもヒステリックでインパクト絶大だったのでB級バンドとして聴いたけど凄く印象的なバンド、ストリング・ドリブン・シング。中でも初期の作品が面白くてね。一番好きなのはこのセカンドアルバム「The Machine That Cried」で1973年リリースの作品で、多分バンド内最高傑作だと思う。エスペラントとかこういう感じの所あるから似た部分あるかも。

 そうだねぇ、バイオリンをフューチャーしたヒステリックなロックってのあるけど、ボーカル・ギターのクリス・アダムズの熱くキレかかった歌がバンドの印象を濃いものにしている面は大きい。ハードロックバンドのボーカルでも通じるくらいねちっこい声質でよろしい。そして一般的に知名度が高い人と言えばグラハム・スミス=後期Van Der Graafに加入するバイオリニストだ。この人のエキセントリックなバイオリンとクリス・アダムスのギターの対比が面白くて、曲そのものは割とアメリカンポップスに刺激を受けたような、言い換えるとボブ・ディラン的な牧歌的ソングが多いんだけどさ、そのアレンジの過程で激しい音色が入ってくるから面白い。後はねぇ、妹さんと一緒にバンド始めたってのもあって女性小ボーカルによる美しい曲があるのも捨てがたい魅力。そこはもうバイオリンがクラシカルにバイオリンしている世界だからさ。うん、こういう変幻自在のところがいいねぇ。

 ジャケットの不思議さも初期から出ていて、未だになんだかよくわからない。三枚目の「Please Mind Your Head」ではツェッペリンに蹴られたジャケットがここで採用されているヒプノシス作品。うん、ジミー・ペイジが怒ってたヤツ。「テニスのラケットのジャケットなんて持ってくるか?即ダメ出ししたよ」と…。

String Driven Thing - The Early Years (MarkTwo) 1969

The Early Years (Mark Two) 不思議な音を出すグループは英国に山のようにいるのだが、このString Driven Thingもそのひとつでして、それもまた不思議なことに1968年頃にデビューして次のセカンドアルバムをリリースするまでにまた4年ほどかかっているという…。しかもスモール・フェイセスじゃないけれど、ファーストアルバムで自らのバンド名を冠したのに、セカンドアルバムでも同じ自分のバンドの名前をタイトルにしているのでまたややこしい。…とは言えどもそもそもこのファーストアルバム「The Early Years (Mark Two)」自体の存在は自主制作だったと言うからメジャーシーンでその音源の存在が忘れ去られていたとのことで、まぁ、不思議はないのだが、それならばもちっとしっかりと区分けしたジャケットとタイトルを付けてもらいたかったものだが、自主制作時のものをそのまま使用ということで、これもやむを得ない事情…。

 そんなString Driven Thingの最初の作品「The Early Years (Mark Two)」がちょっと前に発掘されてCDでリリースされたもの。まぁ、メジャーになってからの彼等の音ってのはこれまた面白くて狂気的なフォーク…、プログレッシブ・フォークと言う感じで結構鬼気迫るモノがあって好きなんだよね。だから、そんなバンドの発掘音源ってことで結構興味津々で聴いたんだけど…、ちょっと驚いた。狂気じみたフォークの音色ってのではなくって、もっと時代に合ったサイケデリックフラワーのカラフルなポップな楽曲をいっぱい詰め込んだサウンドでした。フォークっちゃあフォークだけど、この時代のポップスを模倣している感じで、バンドの個性とかってのああるとしたら、後に目立った歌声として出てくるポーリンという女性の歌声がコーラスで入っていてよりカラフルになっているってところか。

 う〜ん、同時代のキンクス的に多様な音が入ってるな(笑)。この時代の自主制作って一体どんなレベルなんだろ?この「The Early Years (Mark Two)」だってしっかりストリングスやホーンなんてのも入ってるし、歌もミックスもしっかりステレオで録音されているんだから単に自分達の録音機材による自主制作とかじゃないのは確か。しっかりとプロデューサーも立てて制作されたプリプロダクションのレベルなんだろうと思うんだが、当時リリースされなかったのはやはり取り立てて売り文句も見つからなかったってことか。そんな幻の作品として聴くと煌びやかで楽しくなるサウンド♪

Sunforest - Sound of Sunforest 1969

サウンド・オブ・サンフォレスト(紙ジャケット仕様) 現実逃避の秋、いや、秋に拘ってるワケじゃないけど一番好きな季節でちょこっと涼しくなってきて丁度良いなぁ〜と。うん、風流があるので好きなんだと思います、はい。え〜っと、だからフォーク路線で、なんて思っていたんだけど、まぁ、毎日コロコロ変わっていくので適当に英国なもので…ってことに。英国のものなら秋とか冬に合うだろう、といういい加減な解釈でして、やはり霧のロンドン、です。

 1969年リリースの英国のアシッドバンドとして知られているSunforestの唯一の作品「サウンド・オブ・サンフォレスト」。昔は全然見つからなくて、多分今でもアナログ見つけたら滅茶苦茶高いんじゃないかと思うけどイージーなCDではまだ入手できるかもしれない。ま、それでも珍しいとは思うけど…。最近ようやく聴いたのであまり大きな事云えないけどさ。既に40年前のアルバムだし、もう40年前から聴いている人もいるワケでして、そう考えるとロックの歴史も古くなってきたなぁと思う次第。

 ん〜、これね、もっとアシッド的かと思ってたんだよね。サイケデリック時代だしさ。そしたら思いの他牧歌的なサウンドで、確かに一見アシッド的だしサイケ時代のテクニックは踏襲している感じだけど、クラシカルな雰囲気と英国の牧歌的な雰囲気を持ち込んでいるバンド、というよりも音楽集団っつうか、ユニットっつうかそんな感じ。まぁ、通り一遍のロックではないけど、ロックのフィールドでしかあり得ないサウンド、融合体、複合技、なワケだ。楽器の使い方が凄いねぇ〜。ハープシコードからオーボエとかバンジョーみたいなのもあるし、多重コーラスワークも幻想的なエフェクトもしっかりあるし、面白い。こういう訳の分からない世界好きだし(笑)。

 今こういうバンドってないよねぇ…。ユルいから?っつうかカテゴライズされるから?こんなに冬感溢れて幻想的でトリップできる音って今の時代でもウケるとは思うけどね。売れないのは間違いないか。しかし手法論としては学ぶところ大きいな、これ。

 デラムNovaって確か11枚くらいしかリリースしないでレーベルなくなっちゃったんじゃなかったっけ?何かとごっちゃにしてるかもしれないけど、結構レーベルとしてのリリース枚数は少なかったと思う。不可思議なサウンドのバンドばかり在籍していてさ。

Sun Treader - Zin Zin 1973

ZIN-ZIN(紙ジャケット仕様) ジャズとロックの迎合…70年代中期にもなればジェフ・ベックによる「Blow by Blow」でその完全融合が提示されたものだが、それ以前のロックの世界では英国的ジャズロックという括りでは多々作品が残されているのは有名。ただねぇ、そういうのは大体過去のジャズとの融合というものが多くって未来との融合を考えているのって多くはないのかな、と。当たり前だし、自分でも何を書きたいのかよくわかっていないけど…、何というのか、白熱したジャズの熱気と手法はクリームに持ち込まれていて、そうではなくって最先端に進化していくジャズとロックを自然にくっつけたものってのがさ、なかなか難しいんだな、と。もちろんソフツのみならず色々あるんだけど、マイナーなバンドでもそういうのに果敢に挑戦していた、っつうか自然に出来上がっていたのもあるんだよ、ってことで。

 サン・トレーダーっつうバンドの1973年リリースの作品「ZIN-ZIN」ってなことで、最近CDになったんじゃないか?それまでは全然CDにはならなくてカウンターフィット盤が出回っていたくらいで…、まぁ、レコ屋で見ることもなかったな…。ジャケットが綺麗だからレコードでも良いなぁ〜なんて探していたこともあったけど、当時はジャズロックってあんまり興味をそそられなかったので(笑)。いや、失敗ですね、今になってみるともっとちゃんと聴いておけばよかった、と思うアルバムがいくつも出てきていて楽しい(笑)。

 このSun Traderというバンド…、メンツの話は後回しにして、まずはこの音色の透明感が素晴らしい。躍動感溢れるエレピが空間を飛び回り、当然ながらベースラインも底辺を動き回って雰囲気をしっかりと保ちつつ、超安定したドラムがクールに音を鳴らす…、それだけでかなり幻想的且つ浮游感の漂うサウンドができあがるものだ。そこにサックスという人間の香りのする楽器が入ってくるので一気に愛らしい作品になっていくのだな。凄い透明感なんだよ、このアルバム。別にフュージョンとかリターン・トゥ・フォーエヴァーとか聴かないし、そういうのも趣味じゃないからSun Traderがその手のバンドだと言われてもピンと来ない。あくまでも英国ジャズロックの最先端を当時演奏していた人達によるロック的アプローチとして聴いているからかな。

 何でってさ、エレピはQuatermassのピーター・ロビンソンなわけですよ。その時点でもうロックでなければ、っていうか(笑)。ドラムのモールス・パートってのも後のブランドXに参加するのでそっちの世界になるんだけど、この1973年の時点ではやっぱロック。透明感溢れる幻想的な美しい空間が垣間見れるロック。珍しい音。プログレじゃないしさ、しかも長い曲ばかりだけど聴いてて飽きないしね。ステレオでちょっと大きめにして聴くと正に音世界に包まれる感じでフワフワして心地良いよ〜。

Sweet Pain - Sweet Pain 1968

Sweet Pain  果たしてどこまで深く入り込むのかこの英国ロックコレクションシリーズ、書いている本人もどこまで進むのか全くわかっていない状態でいながらかれこれ20日間ぐらい続いてる様相を示している…、だがまだまだまだまだ断片くらいしか取り上げられていないので、一年間続けられる可能性もあるなぁ…と。まぁ、多分途中でメジャー物を聴きたいとか、いろいろと浮気する部分はあるんだけど、今のところまだハマってるなぁ…久々にホント、よく聴いてるわ、この辺。探せば探すほどCD買いたくなるのが増えてきて困る…ここ10年以上まともに情報収集していない世界だったので何がCDでリリースされたのかよく知らないし、まぁ、アナログ探して見つかれば安いかなぁとか考えるんだけど(笑)。

 と、まぁ、そんなことでジャジーな方向にも行きそうになったけどもうちょっとスタンダードなトコで面白いのを再発掘してきたのでそっちで行こう〜っと。で、ヴァーティゴはどこかと被るからちょっと後回し。ホントはBENとか面白いかな、とか思ったけど、まぁ、週末にやるもんでもなかろう、と。  二日前のバレンタインデーに書いたコラシアム…、ん?バレンタインデーの贈り物?う〜ん、逞しい男はそんなことを振り返らないでひたすらロックあるのみ、なのだ。うん。だからいいんだ、それは。で、話を戻して、そのコラシアム在籍が一番メジャーな仕事だったんだろうと思うんだが、サックス奏者として名を馳せたディック・ヘクストール=スミスがコラシアム結成前夜に当時の、そうだな、1968年頃の英国ブルースロック界の名手ばかりを集めて行われたセッションバンド、スウィート・ペインってのをご存じだろうか。ん?バレンタインデーの痛手だからスウィート・ペイン(甘い痛み)なワケではない、はず、だ…。いや、それはもういいや。

面子: Annette Brox - Vocals Stuart Cowell - Guitar Sam Crozier - Perc, Vocals Junior Dunn - Drums Alan Greed - Vocals Dick Heckstall-Smith - Sax John O'Leary - Harmonica Keith Tillman - Bass

 知らないって?う〜ん、そうかもなぁ。ハーモニカはサヴォイ・ブラウンから、歌は女性ボーカルだけどエインズレー・ダンバー・リタリエイションに在籍していたVictor Broxの奥様、これが渋いんだけどさ。そんなのを集めたセッションで、これまたそれぞれの培った技量を試すかのような英国然としてブルースアルバムに仕上がっていてその重さというか貫禄というか、輝きはそうそう出せるサウンドではない。当然ブルースに限らず、多様な音楽のミクスチュアー的要素が強く、それもこの面々だからこそ生きてくる音だ。ジャケットも見事な物で1969年にリリースされたおかげかサイケデリック色を反映したジャケットだ不気味さを出していてこのアルバムに色を添えている。

 う〜ん、正に大英帝国ロック。なんかこのセリフばかりだが、だからこそ毎回毎回ハマるんだろうな。ちなみにレーベルはマーキュリーなのでそれほど特色があるわけではないし、十分にメジャーな作品のハズ、だけどあまり知られてないよね。アメリカでは「England's Heavy Blues Super Session」と言うそのままのタイトルで確かジャケ違いでリリースされたらしい。

Sweet Slag - Tracking With Close-Ups 1971

トラッキング・ウィズ・クローズアップス(紙ジャケット仕様) やっぱり深くて細い英国ロックの森…と実感するばかりの今日この頃。これだけひたすらに英国ロックを一日一枚づつでも書いていけばかなり整理できるものだと思っていたんだけど、やってみると整理できるどころかその派生や人間関係や音の確認などなどで収集つかなくなる一方という気がしてくる…。ある種のファミリトゥリー状態にストーリーが繋がっていっているブログのハズなんだけど、結局一方向しか向かないのでなかなかその派生バンドまでに手が回りきらないってことも多々。もっとも後で気付くっていうのも多いんだけどさ。まぁ、そういうのを気にしないでひたすらに聴いているワケですが、今日もまた知られていない素晴らしいバンドから…。

 Sweet Slagというバンドの1971年の作品でもちろん唯一の作品「トラッキング・ウィズ・クローズアップス」ですな。全く唯一の作品ながらもこれだけ良質なものを残せるってのは一体どういうことだ?と思ってしまうのだが…、それも時代の成せるワザ、そして若さ故のワザ、ってところか。

 …昔から全く探しきれなかったアルバムだったなぁ。プログレとかだったらまだ専門店とかあったし何かと人気もあったから見ることはできたんだけど、普通にロックしたものなんかだと結構見つけにくかったりして、結局アナログで探していた時には見かけなかったもん。探し方が甘かったバンドってのもあるけど、見れば何となく思い出すジャケットだしね。どこかフリートウッド・マックのファーストに似てるしさ。

 さてさて、そんな待望の作品をようやくにして聴いてみたんだが…、え?こういう音なの?ってくらいに意外性があった。いや、自分的に、っていう意味なんだけど…。もっとドロドロのブルースロック系かなと思ってたんだけど聴いてみるともの凄いジャズなハードロックでして、もちろんブルース的なセンスも入ってるんだけど、それよりもドラムがジャジーなんだろうな、これ。ギターのフレーズもチョーキングとヴィブラートとかじゃなくて音色を綺麗に聴かせてくれるというようなもので…たとえが結構違うかもしれないけどバターフィールド・ブルースバンドの「East-West」みたいな世界をもっとハードにセッションさせたようなところ。まぁ、いずれにしても聴いていると凄く白熱した演奏がパッケージされているので面白いことに変わらないけど。そんでもって、構成がロック的なんだろうな、何でもありっつうかさ(笑)。歌はまぁ、あれば良いって感じであまり重要視されていないのはよくわかる。

 何だろな、この躍動感とどこか郷愁漂う清涼感っつうか…、思い切り暑苦しいんだけどその中で超越した存在としてギターソロが鳴っていたり、管楽器が鳴っていたりするから浮游しちゃうんだろう。とんでもなくトリップできる音世界なのかもしれない…、心地良いもん(笑)。コレと言って特筆するべきメンバーが参加しているワケじゃないけど、これだけのテンション高い演奏が繰り広げられるSweet Slagと言うバンド…、ナメちゃいかんぜよ、この世界、正に大英帝国ロックの深さを楽しめるアイテムだね。