Tommy Bolin - Teaser 1975

Teaser 色々なところで繋がるロックの歴史はやはり面白い。今の時代では皆がどうやってロックを漁っていくのか知らないが、適当にYouTubeなりアマゾンが推奨するものを探っていくよりはもうちょっと人脈たどりの方が面白い気がするけどな。どういう形であれ深掘りしていくならそれはそれで良いんだけどね。面白いよ、ロックは。こういう形で自分がトミー・ボーリンに繋がるなんてのは全然思ってなかったから今回もそのハプニングを楽しんでます。

 1975年リリースのトミー・ボーリンのファーストソロアルバム「Teaser」、時代が重要でして、1975年なんです。ディープ・パープルのお話はともかく、ジェフ・ベックの「ワイアード」よりも先だって事の方が重要。それを意識して「Teaser」を聴くとその音楽的アプローチの特異さに驚くだろうと。と言うかトミー・ボーリンとジェフ・ベックが同じようなアプローチを行うってことが面白くて、各書によればジェフ・ベックがビリー・コブハムの「Spectrum」のトミー・ボーリンに影響を受けたって話だけど、それにしても、だ。まぁ、それはともかくとして、トミー・ボーリンの「Teaser」というアルバムは実に多彩な音に彩られている名作に相応しい作品だと。音楽性の幅の広さやアレンジなどもそうなんだけど、なんというのか…聴かせてくれる楽しみがあって、いやらしさがない。その辺はさすがにアメリカ人って気もするんだけど、だからこそ聴かせるアルバムになってる。どうもギタリスト的な側面が強く見えてしまったのでギタリストのソロアルバムとして捉えがちなんだけど、全然それは間違ってて、トミー・ボーリンというアーティストの作品なワケです。ギターは一番得意としている程度で、プロデュースからクリエイト、プレイまで出来る人の作品だったってこと。もちろんギターがかっこ良いのはあるんだけど、それ以上の器量が詰め込まれているのが本作なんじゃないかと。

 アルバムジャケットのこの笑顔とかファッションセンスとか良いでしょ?憎めないもん。自分はディープ・パープルって思い入れ無いからトミー・ボーリン時代になって云々ってのも全然気にしなかったけど、結構良かったんじゃないかな〜なんて思ってたし。それがこういうソロアルバムを聴くと余計にわかってくる。ちゃんとその人の来歴を聴いていかないとわからない世界なんだろうけど、だからこそそうすべきで繋がりと歴史を紐解くってのは重要じゃない?なんて。ま、いいや、この「Teaser」…良いです。クセはないけど作品としては文句なしだし、メンツも後にセッション・ミュージシャンとして名を馳せる方々ばかりの秀作。

Tomorrow - Tomorrow 1968

Tomorrow トゥモロウと言うバンドは実に英国的で、当時のサイケデリックロックシーンの中でも突出した、というかハイレベルなサイケ感を出していたバンドで、実に素晴らしいアルバム「Tomorrow」を発表している。もっとも今ではCD一枚に全ての楽曲を収めた超ボーナストラック収録のディスコグラフィー盤とも呼べるアイテムが簡単に入手できるから良い。オリジナルアルバムでは12曲だったのに今やCD一枚で25曲も入ってるんだからお得だよな。

 で、今でもサイケのオムニバスなんかでは収録されていることの多い「My White Bicycle」を筆頭とする全編サイケ…、そうだなぁ、効果音の使い方とか逆回転とか、もちろんインド系のシタールチックな音とかたっぷりと入っていて、要するにそういう表現力というかアイディアが上手い。「My White Bicycle」はやっぱ素晴らしい出来映えで、音の定位が途中で渦巻くのも正にサイケだし、ベルの音やら何やらと意表を突くくらいの音が万華鏡のように表れてくるのでトリップするよね。基本的に軽快なリズムと軽いメロディーで淡々と進められるポップさが豊富で聴きやすいサイケなので英国的で良いねぇ。時代だ…。

 後付けの説明にしかならないんだけど、このトゥモロウというバンドには後のイエスで有名になるスパニッシュギターの名手スティーヴ・ハウがギターで参加しているんだけど、そんなのは全く片鱗も見られないところが面白い。もちろん音を効果的に鳴らすという役割では徹底しているのでそれも彼のセンスなのかもしれないけどね。あとは「S.F.Sorrow」からプリティ・シングスにドラムで参加することとなるサイケの達人、トゥインクもこのバンドからメジャーなキャリアがスタートしているよね。あぁピンク・フェアリーズもサイケパンクの王道だしなぁ。でもこのバンドでは一応キース・ウェストがフューチャリングアーティストになっているってのが頼もしい。彼は早く才能を開花させすぎて、結局大いなるメジャーアーティストになれなかった人なのだ。でもこのアルバムのほとんどの曲はキース・ウェストが作曲しているワケで、バンドのアレンジ能力ももちろん、プロデュースもその筋のサイケマニアでは有名なマーク・ワッツなのでそりゃ〜面白いぜよ。バンド各人の後の有名度よりもこの時のキース・ウェストとマーク・ワッツの才能の方が素晴らしいと言える傑作♪

Tonton Macoute - Tonton Macoute 1971

 英国的なクールなと云うべきか物静かなと云う独特のしっとりさがモロに出ており、それがバンドとしてのサウンドの特徴にもなっているという例はよくあるのだが、そういった傾向はB級バンドには更に顕著に表れてくる傾向があり、多分滅茶苦茶マイナーな存在だと思われる一例をピックアップしてみたい。まぁ、なんだ、サウンド的にはファンタジー的傾向のあるジャズっぽいロック、みたいなところで漁っていたらこいつがあったなぁと久々に、実に二十年近くぶりに引っ張り出しただけなのだが(笑)。

 Tonton Macoute - 「Tonton Macoute」  1971年のリリースで多分唯一の作品のハズ。レーベルはネオンレーベルなのでこれまた貴重だったんだ…。ネオンってさ、11枚くらいしかリリースしてないんだけどレーベル面の美しさと残されたバンドの面白さから凄くレアなレコードになってるケースが多くて、これもアナログ時代にはまず見つからなかった。CDになったものを見て速攻で手に入れたパターンで、なるほどこういう音か…ってのが二十年近く前の話。

 まず、バンド構成がサックスやフルートをメインとする人間と、鍵盤系、それにベースとドラムという編成なので必然的にロックバンドにはならないワケだ。かと云ってソフトマシーンみたいに緻密なアンサンブルによって展開される構築美というものでもないので、果たしてどういうもんかと云うとだ…、やっぱプログレ、ってなるのかな(笑)。歌もあることはあるんだけど全く記憶に残らない程度のものでほとんどが延々と垂れ流されるジャズチックなサウンド、しかも管楽器によるものが多くなるのは当然で…、あ、そういえば不思議なことに歌は大して目立たないんだけど、コーラスワークみたいなのがあったりして面白い。やっぱロックだなぁ、こういうの聴いてると。で、やっぱね、静かなトコロでじっくりと聞き込まないと聞こえてこない緻密な音があったりするっつうのも英国的な面白さで、特に「Dreams」っつう曲の頭なんて普通に聴いてたら聞き逃しちゃうくらいの緻密さがあったりするんだよ。曲に入ってからは普通のプログレ的で、そうだな、キャメルみたいな部分もあるかな、これ良い曲かもしれん。

 うん、綺麗なバンドだよ。ジャケットが一目瞭然のキーフ作品で、中身をよく表してるね。あぁ、アナログジャケットで飾ってみたかったなぁ(笑)。B級呼ばわりされてるけど、今聴けばかなりしっかりした音で好まれるかもしれないな。うん、いいよ、これ。

Trader Horne - Morning Way 1970

モーニング・ウェイ~朝の光の中で+シングル(紙ジャケット仕様)  英国三種の神器と歌われるメロウキャンドルチューダーロッジスパイロジャイラとは同レベルで語られることはなく、どちらかと言えばキング・クリムゾンやフェアポート・コンベンションと並んで語られることの多いトレイダー・ホーンサンディ・デニーフェアポート・コンベンションに加入する前までフェアポートで歌を歌っていたのがジュディ・ダイブルで、今でもジュディ期の音源はいくつも残されていて、特にフェアポートのファーストアルバムでは若々しくも落ち着いた歌を聴かせてくれる。

 で、その後彼女が選んだバンドがゼムに参加していたジャッキー・マッコーレー(カタカナで書くとマヌケだが)と共に結成したトレイダー・ホーンなのだ。そしてクリムゾンと並べて語られるのは1969年当時、イアン・マクドナルドの恋人だった関係からクリムゾンの「風に語りて(I Talk To Wind)」のオリジナルデモバージョンのボーカルを務めていたワケだ。今、これ聴けるのかな?昔はクリムゾンの二枚組ベスト盤「新世代の啓示」で聴けたんだけど、確かボックスとかにもあったかな?覚えてないけど(笑)何かで聴けるんだろう、きっと。

 そんなことで歌には定評のあるジュディ・ダイブルの歌声がたっぷり…とは聴けないのがイマイチこのバンドにハマりこめないトコロなんだけど、半分くらいしか歌ってないんだよね。だけど英国フォークとしては適度にオトコと女の歌声がある方が味があるってことは確かなので、まあいいのかな、とも思う。純粋にフォークアルバムとして聴くべきサウンドで、ほのぼのと、とにかくロック的な激しさなんてのは全くなくって、何となく寒いなぁって言う哀愁漂う印象で、それでいてどこか温かく感じる面もあるのは音色が自然だからだろうね。結構ほっとするアルバムなのでこの辺から英国フォークにハマる人はハマるんかな。

 そう、クリムゾンの「風に語りて」の延長がひたすら続くというイメージが近いかも知れないね。そんなアルバムタイトルは「モーニング・ウェイ」で1969年にリリースされた本作だけで消えていったバンド。

Traffic - Mr.Fantasy 1967

ミスター・ファンタジー+5 サイケデリックの象徴には多数のバンドが語られるがどれも短命に終わることが多く、一時のムーブメントとして捉えられることが多い。もちろんその中にはホンモノのサイケな連中もいるんだけど、商業路線とは異なることは昔も今も変わりはなく、マニア…と言うよりも好き者好きの連中が多いのでその後の人生がどうなっているのが分からない連中が多い(笑)。しかし、そんな中でもしっかりとポリシーを持ってサイケデリックシーンを活用して出てきたバンドもあり、だからこそ英国のサイケシーンってのは面白いんだなぁと思うんだけどさ。

 スティーヴ・ウィンウッド率いるトラフィックというバンド。ファーストアルバムは「Mr.Fantasy」と言うタイトルでリリースされ、ジャケットからしてサイケデリックな色合いがぷんぷん匂ってくるんだけど、もちろん才覚有る連中の集まったバンドで、意図的にサイケデリックシーンを利用して躍り出てきたっていう見方の方が正しいんだろうけど、それでもしっかりとシタールチックなサウンドを創り上げてしまうっていうセンスはさすがに音楽集団。ウィンウッドの独特の歌声はそのタイトルもサイケな「Coloured Rain」という曲でようやく納得できる歌声を披露してくれるが、バンドの印象としては少々時代に感化されすぎなのかな、っていう面もある。もちろん曲作りもよく出来ているんだけど、後のトラフィックを聴くと狙ったなぁってのは良くわかると思う。

 アルバム的にはサイケシーンを表しているのはファーストアルバムだけど、作品としての良さ…っても好みなんだけど、セルフタイトルを冠した「Traffic」が好きだね。ようやくちょっとだけ本領発揮で黒い面も見えてきたしさ。双頭バンドだからなかなか難しかったみたいだけど、60年代末期からシーンに登場するにはそれくらいの実力は明確になっていないとダメだったんだろう。

 英国サイケデリックシーンにはバンドのメジャーマイナー問わずほんの数年の間だけだがシーンを彩った瞬間があり、それがまた見事に多数の個性を生み出している。面白いよね。

Traffic - Traffic 1968

トラフィック+5  今年はどうだった、来年はこうしたい、などなど色々ケジメを考える時期になってきて、それこそ日本人、ってなトコですが一切お構いなしに進みまくる当ブログ、いやはや11年も軽く過ぎ去り12年目に突入中、それってよ、中学生くらいでロックに目覚めたヤツが既に社会人になってるって事だよな?そんなのは稀だろうけど、そこまで行くと誰かの人生に影響及ぼしているんじゃないか?なんて気にもなる(笑)。これほどに無責任に一方的に影響与えているんだとするならば結構怖いものあるな、などとふと思った。でも、そういうミュージシャンやアルバムってのもたくさんあるんだろうな。作り手の意思じゃなくても凄く影響を受けたアルバムってあるし、人生変わった、ってのもあるもんね。

 …てなこととはまるで関係なく、普通に男の歌ものって何かあったかな、とあんまり聞く事のない作品郡の中から引っ張り出してみたのがスティーブ・ウィンウッド、Trafficの1968年のセカンド・アルバム「Traffic」です。どうもスティーブ・ウィンウッドのソロ作は多分自分的にはダメなんだろうな、と思ってて、ならばTrafficの方がまだ聴くだろう、ってことでチョイス。冒頭から、と言うか全編的にバンド的に基本カントリータッチ、スワンプ色が強いアルバムで、それは単純にデイヴ・メイソンの志向性なんだろうけど、その時のスティーブ・ウィンウッドはもちろんブルース系統の方になるんで、自分的にはそっちなんだけど、バンドの構成上ではデイヴ・メイソンと半分づつの負担になってる。聴いてるとどうしてもスワンプ色の方が強く聴こえてしまうんだな。自分が苦手な音世界だからだろうか、気分は悪くないんだけど、このタッチってどうにもねぇ…。

 で、スティーブ・ウィンウッドの作品郡ではデイヴ・メイソンも良いギター弾いてるし歌はさすがに引き締まったかっちょいい歌で、やっぱりこっちのが良いよな、って思うんだけど、そのヘンがごちゃ混ぜになってるからTrafficはスゲェ、ってのとバランス悪いなぁってのと両方ある。ただ、この作品、恐ろしくハイレベルハイセンスな音作りされてるのは確か。これまで苦手だってだけであんまり聴いてこなかったけどさ。じっくりと聴いてくと多分好きになるんだろうという気もする。カントリータッチじゃないのは英国的な雰囲気がもちろん大きいし。でも、スティーブ・ウィンウッド的にはもっともっと歌を強調したかったんじゃないだろうか。それでソロに向かいたがる、解散に向かう、ってのも分かる。そんな事露知らずで個性と才能をぶつけ合って作り上げた作品だから悪いワケがない、が、自分的にはまだまだじっくり聴かないといけないバンドのひとつ。

Trapeze - Trapeze 1970

Trapeze ハードロック路線にこだわるべきかちょこっとプログレ路線に行くべきか悩んだんだけど、まぁ、一応メジャー路線繋がりということにしておこう(笑)。でもまだまだハードロック路線はやりたいので、続くんだけどね。やっぱ面白いんだもん。何でもありで英国らしさが充満しているってのがやっぱ堪らんのだよ。あまりに聴きたくなってきたのが多かったのでCD屋にフラフラと立ち寄ってみるとやっぱそういうのが流れていて、曲は知らないけどなんか英国だ〜てのが一発でわかるもんな。ドラムの音も空気感もしっかりパックされてる音が多くて楽しめる。

 一応Captain Beyondとトラピーズとどっちにしようかと思ったのが最初の悩みなワケさ(笑)。で、Captain Beyondだと1972年のアルバムになってしまうので却下して、トラピーズで行こう〜。ご存じ第三期パープルのベーシストとして有名なグレン・ヒューズがシーンに登場してきた最初のバンドだが、当然ここでは歌っているし、そもそも歌志向の強い人で本当は歌手なベーシストなんだよな。しかもその歌が凄くソウルフルってのはもちろん知ってる人は知ってるんだろうけど、それでもパープルのベーシストっつうイメージの方が強いはず。そんな彼がパープル前にやってたバンドって云って聞く人も多いと思うけど多分大半の人は興味ない、って感じになると思う(笑)。そりゃそうだろうなぁ…音楽性違いすぎるもんなぁ…、と。

 だが、思い切りハジケまくった後のパープルよりも英国ロックマニアにとってはトラピーズの方が面白味はいっぱい感じるものなのだ。そしてこのバンドは全然B級ではなくってかなり質の高い楽曲と演奏を誇るバンドなのでもちっとマジメに聴く人が多くても良いんじゃないかな、と。まずは1970年にリリースされたファーストアルバム、これがまた魅力的なコーラスワークと歌い上げるベースライン、そしてソウルフルなボーカルとプログレな曲構成、更にはテーマがもの凄くファンタジーに溢れる英国的なもので見事に楽曲と相まってひとつの世界を築き上げていると感じているんだけど、褒めすぎ?この後何枚かアルバム出すんだけど、このファーストが一番新鮮で好きだな。ちなみにドラマーはこの後ジューダスに参加するし、ギターはホワイトスネイクにも参加することになる人達。

 ジャケットもさぁ、凄くファンタジックで綺麗でしょ?で、面白いのはスレッシュルドレーベルっつうところからのリリースなんだけど、これってムーディ・ブルースが設立したレーベルで、こういう所からのバンドが売れるってのはやっぱりあまりないんだけど、その中でもかなり健闘したバンドでしょ。う〜ん、いいなぁ、こういう音♪

Trapeze - Medusa 1972

メデューサ  まだまだ片っ端から漁っておくアルバムってのはあるなぁ…。一通りバンドは通過したのかもしれないけど、アルバム単位で聴き通せていないのも多いし、あ、もちろん70年代英国に絞ってのお話でして、世の中全てのレコードに対するお話ではないです。もっともっとニッチな世界でのことで、それでも聴けてないのが多い。んで、聞き直したりするアルバムでも毎度の事ながら新しい発見や感覚があるから適当なサイクルで聴くってのが案外面白いというのもある。あまりそういう聞き方する人も多くないだろうから、こういうのきっかけに聴いてみると面白い感覚出てきますよ。初めて聴いた時、10年後に聴いた時、みたいな感覚の違いね。

 Trapezeの1970年リリースのセカンド・アルバム「Medusa」。このバンドもどうなんだろうなぁ…5枚も出したり、再結成してたりもするから一応B級ではないんだろうけど、それはメル・ギャレーとグレン・ヒューズの後の活躍によるトコロが大きいんだろうか。それでも数枚以上のアルバムが出ているワケだから期待されてたんだろうね。いつ聴いてもバンド的にはどこかイモ臭いというと失礼だけど、ヌケ切らないスタイル感覚がもどかしいのだが…。グレン・ヒューズの歌声がまだ70年代初頭の狂おしいスタイルでソウルフルとまでは行かなくって、かと言ってブルースな歌い方でもないからファミリーのロジャー・チャップマンとかロッドとかその延長的なスタイルになるのだろうか、それでいてやや声が潰れてる感あるから好みは分かれるだろうし、それが故にバンドの特徴でもあったのだが。一方のメル・ギャレーのギターはもう良いねぇ〜、この頃からいぶし銀的なオーソドックスなスタイルでブルースベースなプレイ、音色もそんなトコロで、如何に初期ホワイトスネイクがブルースに根ざしていたバンドなのかと思える。グレン・ヒューズの歌もパープルに移るとここまで粘っこくないからやっぱりデビカバのサポートということで洗練さが出たのかな。

 さて、このTrapezeのアルバム、期待のバンドだったからか1970年初頭にファーストアルバムリリース、同じ年の秋にこのセカンドアルバム「Medusa」リリース。ご存知のようにこの秋の時点ではバンドは既に5人から3人に減り、トリオでひたすらツアーを回っていたようだ。そのことからするとこの「」はかなり凝縮されたバンドの音が詰め込まれているのは容易に想像が付く作品で、実際聴いてみても実にソリッドでトリオ編成ならではのタイト感が感じられる。あまりオーバーダブもしないでバンド一体となっての録音に近かったんじゃないかな。ドライブ感やグルーブ感も見事だしね。ちょいと残念なのは楽曲そのものがもうちょっとどういう方向に進むのかを打ち出せていればな、ってことくらいか。演奏主体のバンドに近いのかな。曲で楽しませるみたいなのがあればもうちょっとメジャーになってたのかとも思わなくもない。しかしメル・ギャレーのギターも結構好きだなぁ…。

Trapeze - You Are the Music..We're Just the Band 1971

You Are the Music..We're Just the Band 今でも名を残しているミュージシャンってやっぱり才能のある人達ばかりで、グレン・ヒューズって人は結構異色なキャラクターで、誤解されている人の一人かもしれない。それもこれもディープ・パープルに加入してしまったから、と言うトコロが大きくて、グレン・ヒューズがソウルやファンクなのが大好きでそっち系をやりたがってる人ってのはディープ・パープルの前では無用、一切封印してベーシストとハードロックボーカリストとして見られることばかり。それもある程度出来てしまったからしょうがないな(笑)。本人が好きでやってたバンド、トラピーズの評価は一部のマニアからはあるものの、一般論としちゃ、皆無なので大いなる誤解を受けたまま今に至る、ってとこか。

 トラピーズの1972年リリースの3枚目の作品「You Are the Music..We're Just the Band」はヘンなソウル・ファンクロックの名盤として語られることが多い。あ、このジャケット見てライブ盤でしょ?って買っちゃった人、多いんじゃない?自分もそう思った一人です(笑)。Facesの「馬の耳に念仏」なんかもそうだけど、アルバムジャケットがライブステージなんかだとライブ盤って思っちゃうもんな。ところが案の定スタジオ盤ですのでご注意を。

 トラピーズって?みたいなトコあると思うんで一応…、グレン・ヒューズが歌とベース、ま、作詞作曲もだな。ほぼメイン、故にグレン・ヒューズがやりたかった音ってのはトラピーズに凝縮されているワケ。んで、ギターには後に黄金期のホワイトスネイクで活躍するメル・ギャレー、ドラムは後にジューダス・プリーストで活躍するデイブ・ホランドというトリオ編成のバンド。実力派でしょ?メル・ギャレーのギターって好きなんだけどさ、このアルバムで聴けるギターって結構変わってて、ブルース一辺倒なんでもなくって結構味のある渋いギター弾いてるし細かいファンクなカッティングがあったりして面白い。器用な人なんだ…って。それはデイブ・ホランドにしても同じで、こんなにソウルなビートで叩ける人なんだ?ってね。軽やかなBGM的なドラミングなんだもん。それがジューダス・プリーストですよ、

ね。

 アルバム自体は名盤といわれるけど、自分的には全然響かなかった(笑)。好みじゃないんだよ、この手の音って。グレン・ヒューズの出す音って自分とはあまり相容れないものが多い。好みだからねぇ…、ただ、英国B級バンド好きとしては避けて通れないバンドだし、レベルとかクォリティとかは圧倒的でB級じゃないからさ、安心して下さい。何か…Babe Ruthみたいな感じだけど歌が違うからダメだなぁ…。

Trapeze - Hold On 1981

Dead Armadillos 恐ろしく深い英国ロックの森…というよりも不景気による仕事探しの結果、という背景が付くのかもしれないが、ともかくその系譜は面白いように繋がっていく。かなり抜けている部分はあるんだけどそれでもアチコチとんでもない方向に繋がっていくのは自分の未熟さを知るきっかけになるし更になるほど~と深みにハマるのであった。しかしあくまでも自分の知識満足だけの話てあって世の中には何の役にも立たないという哀しい性(笑)。

 知ってる人は知ってるハズのトラピーズ。もちろんあのグレン・ヒューズが在籍どころかメインで頑張っていたバンドとして有名なんだけど、結構独特の音楽性を目指していてさ、面白いバンドとして聴いていたかな。まだまだ全部聴いたワケじゃないから詳しく書けないんだけどロックよりもソウルよりっつうか英国人の思うR&Bへの接近を果たしているバンド。どうしてもグレン・ヒューズ=Deep Purpleっていう図式もあるからハードロック的なイメージが付いてくるおかげでTrapezeの評価がちょっと違うんだよな、ってことになることが多いようだがそれは勿体ないってもんだ。

 しかしどのバンドにも波があって上手く行っている時もあれば悪い時もある。メンバーも入れ替わったり戻ったりもする…、そういうのが70年代後期ではあちこちのバンド=即ち70年代初頭から活躍したバンドに多い、で盛んにもがいていた結果が今は図式的によく見える。当時はそこまで細かい情報網もなかったので雑誌てまとめてそうか…とかレコードのクレジット見て、「ん?」とかライナーに書いてあることを記録していくとかくらいしかなかったし。そもそも今みたいに忙しい時代じゃなかったから情報も整理できたが。で、何だっけ?あぁ、んでTrapezeってのもグレン・ヒューズがディープ・パープルに移ったことでバンドが困ってしまってピーター・ゴールビーというボーカリストを加入させてバンドを継続。このピーター・ゴールビーはこの後Uriah Heepに加入して三枚のアルバムをリリースすることとなる人です。ってことはこのヘンもまた繋がってしまうのですな…。

 そしてTrapezeの結果的には最後のスタジオアルバムとなってしまった1979年にリリースされた「Hold On」にピーター・ゴールビーが参加して歌っているんだけど、それよりも1981年にリリースされた最後のライブアルバム「Dead Armadillos」の方がハジけたバンドの姿を刻み込んでいて面白い。グレン・ヒューズが具現化したかったであろう世界をしっかりと残った面々達が形にして出来上がっている世界とも言えるソウルフルな…と云うよりもかなり黒い音を出したロックライブアルバムとして完成している。もっとも収録されている曲はグレン・ヒューズ在籍時のものが大半なのだが…。

 このTrapezeの音を聴いてUriah Heepで歌うってのはちょっとイメージが付かないんだけどねぇ、Uriah Heepのメンバーとはツアーで一緒になったことがあって打診があった…と云うか熱望されたらしいが。全く運命ってのはいたずらなものだ。して有名なことでもあるがTrapezeのメル・ギャレーはその後ホワイトスネイクに参加するのだ…って云われるとどんなバンドだったんだ?と気にならない?

Trees - On The Shore 1970

オン・ザ・ショア(紙ジャケット仕様) あまりにもそのジャケットだけが有名になってしまったTreesのセカンドアルバム「オン・ザ・ショア」。ご存じのようにヒプノシスの手によるアートワークで、オリジナル盤でならば味わえるのだろう微妙なニュアンスの色合いというものが非常に重要な気がするのだが、なかなかオリジナル盤に出会えることもなく、また決して入手する出来る金額でもなく、高嶺の花なのだが、最近デラックスエディションな2枚組CDがリリースされたようなので、それならばかなりオリジナルに近い色合いが再現されているのではないだろうかと思う。

 1970年リリースのセカンドアルバム「オン・ザ・ショア」。ここの所の一連のフォークとは少々異なり、これは完全にロックです。まぁ、フォークロックっつうか微妙な線はあるんだけど、これはロックだろうな、と位置付けていいと思うし、しっかりとバンド形態で演奏されているし、微妙なエレキギター…リチャード・トンプソンのような感じで頑張ってるんだけどさ、そういうのも含めてロックだよ。紅一点のセリア姫の歌声があまりにもトラッドフォーク的な歌声と歌い方なのでフォーク的要素ももちろん強くなるんだけど、フェアポートに成り切れなかった、でも頑張っていたらこうなりました、みたいな感じのバンドで、結構ツボを押さえていると思う。トラッド曲だけでなくってしっかりとオリジナル曲も違和感なく作られているし、長いアレンジを施している曲にしても飽きさせないようになってるしね。だからジャケットのインパクトに釣られて買った人でもそれなりに楽しめて質の高い音楽に触れられるレベルだから大丈夫でしょ。

 あぁ、英国らしいアルバムだなぁ…。ジャケットの雰囲気はもちろんだけど音もさ、モノマネから自身の音色を確立していくという感じでね、しかもそれが紛れもなく英国的な陰鬱度と共にしっとりと浸食しているんだもん。この辺はまだまだ浅く広い世界だけど、それでもこれだけ心地良く楽しめるんだからやっぱりこの深みは楽しい。そしてこのアルバムも全てが素晴らしい曲じゃないけど、良い曲がいくつかあって、例えば「Streets of Deny」とか「Sally Free And Easy」なんてのは多分ここのサイトに来ているロックファンは好きだと思うんだよね。良いんだよ、うん。

 ボーナストラック付き2枚組CD欲しくなってきたな(笑)。BBC音源とデモ音源が付いているみたいだけど、BBCは既にあるしなぁ…、全く商売上手なメジャーな配給会社は困り者だね(笑)。その分そこから入ってくる人には完璧に揃ったアイテムになるから嬉しいことなんだろうけど。難しいなぁ。

Tucky Buzzard - Tucky Buzzard 1971

Tucky Buzzard Fuzzy Duckほどのハードで熱いバンドがふたつの英国ロックの合体バンドとなればその元バンドも気になるものでしょ。…っつうかそうやってロックって聴き漁っていかなかったら面白くないんじゃないかと…、いや、別に気にしなくても良いんだけど、せっかく出会った自分にとって心地良い音だとしたらそれに出会う確立が高いものを聴いて行く方が良いと思うワケですよ。そんなことから深い世界にハマっていってしまうんだろうけど、動機は至って純粋です…。

 ってなことでFuzzy Duckの前身バンドのひとつでもあるTucky Buzzardのファーストアルバム「Tucky Buzzard」。録音は69年から71年に渡ったものらしいが、調べてみてびっくりしたのが、このTucky BuzzardってThe Endの発展バンドだったんだ…と。いや、The Endってのはあのビル・ワイマンがプロデュースしたバンドってことで話題になったことのあるバンドでして、その発展系がこのTucky Buzzardってことで、ファーストアルバム「Tucky Buzzard」もビル・ワイマンがプロデュースしている。更にリリースが1971年ってこともあってミック・テイラーやボビー・キーズも参加している。しかも音はグリン・ジョーンズによるもので、こりゃ売れない方がおかしいぞ、ってな面々が絡んで作られているのだな。ちとびっくり。まぁ、ストーンズの世界では割とメジャーな話らしいが、ここまで聴いているストーンズファンも多くはないだろうとは思う。

 まぁ、そんな音世界の前置きはあるのだが、実際の音はと言うと…、意外と意外、結構ソフトタッチなロックとかポップな音楽が繰り広げられている。ファーストアルバム「Tucky Buzzard」は、だ。セカンド「Warm Slash」はもっとバリバリにハードロックだったような気がしたのでかなり路線が異なっているようだ。やおらメジャーな方々の名前が入っているからそういう音に近づけているのかな…。最初の「Time Will Be Your Doctor」は圧倒的にFuzzy Duckでリカバーされたテイクの方がかっこよいし、ロックの本質を出しているので、こちらのはそのプロトタイプ…っつうかアップテンポだけど軽くて流している感じ。それでも一曲目だからやっぱ自信作ではあったんだろう。もっと思い切り白熱したブルースロックバンドを想像したんだけど、ホントに意外にストーンズよりもちょっとブルースギターをオルガンが目立つくらいのもので、英国B級的なエグさがあまり多くない。まぁ、それはそれで良かったのだろうけど、インパクトも少ないなぁ…。やっぱセカンド「Warm Slash」以降の方がハードで面白いわ。

 ちなみにミック・テイラーは割と好きなギタリストなのでこんなところで遭遇するのは嬉しい事件で…、「My Friend」と「Whiskey Eyes」ってのに参加してるらしいので聴いていると…、ふ〜む、確かに小さめの音でマイルドで軽やかなソロが入っているじゃないか…、これは正にミック・テイラーなんだろうなぁ…、なるほど。でも、知ってから聴くと凄くゲスト的扱いなのであんまり必要ない音ではあるかも(笑)。

Twice As Much - Own Up 1966

オウン・アップ+ザッツ・オール+2  面白いコンセプトで出てきてたものだ、と思ってしまったのが相変わらずのイミディエイトレーベルでのTwice as Muchなるデュオのお話。名前くらいしか知らなかったから改めて聴いてみたんだけど、これがまたほほぉ〜と唸らされるような音でさ、全然ロック的に感激感動したってんじゃなくて、こういうやり方で出てきたのか…って感心したってトコロかな。

 1966年にアルバム的には「Own Up」ってのが出てるけど、もちろんシングルヒットを放っていたフォークデュオなので寄せ集め感もあるのかもしれない。カバー曲が大半を占めているのも時代ならではの事だが、こういうアプローチでのカバーってのはなかなか新鮮に聞こえたものだ。60年代のSwingin’ Londonってな雰囲気もあるのか、思い切りスウィングしたクールなアレンジに仕上げたコーラスワークと楽曲郡がこのTwice As Muchというデュオの特性を目一杯に吐き出している。ビートルズの「Help!」もカバーしてるんだけど、全然もうクールで、この澄ました感がなかなか気に入りましたね。

 とは言え、そりゃ単なるポップコーラスグループにも近い音が中心なので何度も聴くようなハマり方をすることもなく、そういうアルバムなんだなと納得。ところがどこか初期のストーンズがやっててもおかしくないようなアレンジでもあるしその辺がオールダムのレーベルなんだなと思わせるところか。この手の音をどう表現して良いのかわかんないんで、単なるコーラスポップ・グループとも言えるし、バックにはJimmy Pageやニッキー・ホプキンスが参加しているのも普通なのでロック的なる、とも言えるのか。バックミュージシャン時代の話だからそこは仕事なのでロック的解釈は特にいらないのだろうと認識してるけどね。

Twink - Think Pink 1970

シンク・ピンク  シド・バレットがソロ作で世間を賑わせた後、一旦シーンから遠ざかるがその後偶然に出会った元デリヴァリーのジャック・モンクとバンド結成の話になり、そこでアングラロック界の変人として有名なトゥインクをドラムに従えてスターズというバンドを組んだ。いくつかのリハーサルを行い、そこにはピンク・フロイド時代の「エミリーはプレイガール」も演奏されていたと伝え聞くが、更にはデモ録音も行い、何とギグを三回ほど行ったようだ。もっともそのギグはライブの様相にはならなかったくらい酷かったらしいが…。しかしここではデモ音源が残されていることがしっかりと伝えられているので、何かの機会にでもリリースされればと思うが恐らくこれだけシドの未発表音源がリリースされまくった今、まだ出てきていないと言うことは多分存在しないのかなぁ。

 で、そんな状態のシドとバンドが組める人ってどんな人、ってことでこんな人です。アルバム「シンク・ピンク」が最初のソロ作品になるんだけど、ドラマーとしてはサイケデリックシーンで結構活躍していたのであちこちで名前を見かける。Tomorrowやサイケの真骨頂とも云える時期のPretty Thingsなんてのはそうだね。まぁ、アンダーグラウンドの帝王的な存在で、Pretty Thingsに在籍している最中に「シンク・ピンク」という作品をレコーディングしていて、もちろんプリティ・シングスやデヴィアンツ、ジュニアーズ・アイのHonkやTレックスのスティーヴ・トゥック達が参加した超サイケデリック…というかクスリの音楽なんだろうな、きっと。シドならこの世界がくっきり見えるんだと思うけど、トゥインクも近いところにいたんだろうなぁ。1970年にリリースされて、英国ロックの幻のレコードとして祭り上げられてきたんだけど、CD時代になって再発されてようやくまともな値段で聴くことができて、嬉しかったんだけど、これがねぇ…ん?って感じ(笑)。決して人には薦めませんが、ある意味アングラってこういうモンだよな、ってのがわかるし、傑作であるとは思う。迷作、とも言うか。

 この後トゥインクは解体したデヴィアンツの面々、即ちミック・ファーレン以外のメンツと有名なピンク・フェアリーズを結成するのだ。ま、これもアルバム一枚しか続かなかったんだけど、インパクトは絶大だったな。早すぎたパンクだよ。あまり語られないけどさ。で、ホークウィンド…これもアシッドバンドだな(笑)、それからシドとのスターズなワケだ。

 まぁ、アングラの帝王ってのはやっぱりあって、でも今でもきちんと生きてて気まぐれにアルバム出したりしてるんだから恐れ入る。周辺の人間は結構向こうの世界っつうか死んでるのもいるんだろうけど、トゥインクはその辺妙にビジネス的に頭働くミュージシャンだったのかもしれない。作品だけ聴くととんでもなかったりするけど…。ジュニアーズ・アイやらスティーヴ・トゥックなんてのはデヴィッド・ボウイとも絡むし、そういえばボウイもメジャーすぎるアングラの人なんだもんな。トゥインクの歴史は深い。