Tomorrow - Tomorrow 1968

Tomorrow トゥモロウと言うバンドは実に英国的で、当時のサイケデリックロックシーンの中でも突出した、というかハイレベルなサイケ感を出していたバンドで、実に素晴らしいアルバム「Tomorrow」を発表している。もっとも今ではCD一枚に全ての楽曲を収めた超ボーナストラック収録のディスコグラフィー盤とも呼べるアイテムが簡単に入手できるから良い。オリジナルアルバムでは12曲だったのに今やCD一枚で25曲も入ってるんだからお得だよな。

 で、今でもサイケのオムニバスなんかでは収録されていることの多い「My White Bicycle」を筆頭とする全編サイケ…、そうだなぁ、効果音の使い方とか逆回転とか、もちろんインド系のシタールチックな音とかたっぷりと入っていて、要するにそういう表現力というかアイディアが上手い。「My White Bicycle」はやっぱ素晴らしい出来映えで、音の定位が途中で渦巻くのも正にサイケだし、ベルの音やら何やらと意表を突くくらいの音が万華鏡のように表れてくるのでトリップするよね。基本的に軽快なリズムと軽いメロディーで淡々と進められるポップさが豊富で聴きやすいサイケなので英国的で良いねぇ。時代だ…。

 後付けの説明にしかならないんだけど、このトゥモロウというバンドには後のイエスで有名になるスパニッシュギターの名手スティーヴ・ハウがギターで参加しているんだけど、そんなのは全く片鱗も見られないところが面白い。もちろん音を効果的に鳴らすという役割では徹底しているのでそれも彼のセンスなのかもしれないけどね。あとは「S.F.Sorrow」からプリティ・シングスにドラムで参加することとなるサイケの達人、トゥインクもこのバンドからメジャーなキャリアがスタートしているよね。あぁピンク・フェアリーズもサイケパンクの王道だしなぁ。でもこのバンドでは一応キース・ウェストがフューチャリングアーティストになっているってのが頼もしい。彼は早く才能を開花させすぎて、結局大いなるメジャーアーティストになれなかった人なのだ。でもこのアルバムのほとんどの曲はキース・ウェストが作曲しているワケで、バンドのアレンジ能力ももちろん、プロデュースもその筋のサイケマニアでは有名なマーク・ワッツなのでそりゃ〜面白いぜよ。バンド各人の後の有名度よりもこの時のキース・ウェストとマーク・ワッツの才能の方が素晴らしいと言える傑作♪

Tonton Macoute - Tonton Macoute 1971

 英国的なクールなと云うべきか物静かなと云う独特のしっとりさがモロに出ており、それがバンドとしてのサウンドの特徴にもなっているという例はよくあるのだが、そういった傾向はB級バンドには更に顕著に表れてくる傾向があり、多分滅茶苦茶マイナーな存在だと思われる一例をピックアップしてみたい。まぁ、なんだ、サウンド的にはファンタジー的傾向のあるジャズっぽいロック、みたいなところで漁っていたらこいつがあったなぁと久々に、実に二十年近くぶりに引っ張り出しただけなのだが(笑)。

 Tonton Macoute - 「Tonton Macoute」  1971年のリリースで多分唯一の作品のハズ。レーベルはネオンレーベルなのでこれまた貴重だったんだ…。ネオンってさ、11枚くらいしかリリースしてないんだけどレーベル面の美しさと残されたバンドの面白さから凄くレアなレコードになってるケースが多くて、これもアナログ時代にはまず見つからなかった。CDになったものを見て速攻で手に入れたパターンで、なるほどこういう音か…ってのが二十年近く前の話。

 まず、バンド構成がサックスやフルートをメインとする人間と、鍵盤系、それにベースとドラムという編成なので必然的にロックバンドにはならないワケだ。かと云ってソフトマシーンみたいに緻密なアンサンブルによって展開される構築美というものでもないので、果たしてどういうもんかと云うとだ…、やっぱプログレ、ってなるのかな(笑)。歌もあることはあるんだけど全く記憶に残らない程度のものでほとんどが延々と垂れ流されるジャズチックなサウンド、しかも管楽器によるものが多くなるのは当然で…、あ、そういえば不思議なことに歌は大して目立たないんだけど、コーラスワークみたいなのがあったりして面白い。やっぱロックだなぁ、こういうの聴いてると。で、やっぱね、静かなトコロでじっくりと聞き込まないと聞こえてこない緻密な音があったりするっつうのも英国的な面白さで、特に「Dreams」っつう曲の頭なんて普通に聴いてたら聞き逃しちゃうくらいの緻密さがあったりするんだよ。曲に入ってからは普通のプログレ的で、そうだな、キャメルみたいな部分もあるかな、これ良い曲かもしれん。

 うん、綺麗なバンドだよ。ジャケットが一目瞭然のキーフ作品で、中身をよく表してるね。あぁ、アナログジャケットで飾ってみたかったなぁ(笑)。B級呼ばわりされてるけど、今聴けばかなりしっかりした音で好まれるかもしれないな。うん、いいよ、これ。

Trader Horne - Morning Way 1970

モーニング・ウェイ~朝の光の中で+シングル(紙ジャケット仕様)  英国三種の神器と歌われるメロウキャンドルチューダーロッジスパイロジャイラとは同レベルで語られることはなく、どちらかと言えばキング・クリムゾンやフェアポート・コンベンションと並んで語られることの多いトレイダー・ホーンサンディ・デニーフェアポート・コンベンションに加入する前までフェアポートで歌を歌っていたのがジュディ・ダイブルで、今でもジュディ期の音源はいくつも残されていて、特にフェアポートのファーストアルバムでは若々しくも落ち着いた歌を聴かせてくれる。

 で、その後彼女が選んだバンドがゼムに参加していたジャッキー・マッコーレー(カタカナで書くとマヌケだが)と共に結成したトレイダー・ホーンなのだ。そしてクリムゾンと並べて語られるのは1969年当時、イアン・マクドナルドの恋人だった関係からクリムゾンの「風に語りて(I Talk To Wind)」のオリジナルデモバージョンのボーカルを務めていたワケだ。今、これ聴けるのかな?昔はクリムゾンの二枚組ベスト盤「新世代の啓示」で聴けたんだけど、確かボックスとかにもあったかな?覚えてないけど(笑)何かで聴けるんだろう、きっと。

 そんなことで歌には定評のあるジュディ・ダイブルの歌声がたっぷり…とは聴けないのがイマイチこのバンドにハマりこめないトコロなんだけど、半分くらいしか歌ってないんだよね。だけど英国フォークとしては適度にオトコと女の歌声がある方が味があるってことは確かなので、まあいいのかな、とも思う。純粋にフォークアルバムとして聴くべきサウンドで、ほのぼのと、とにかくロック的な激しさなんてのは全くなくって、何となく寒いなぁって言う哀愁漂う印象で、それでいてどこか温かく感じる面もあるのは音色が自然だからだろうね。結構ほっとするアルバムなのでこの辺から英国フォークにハマる人はハマるんかな。

 そう、クリムゾンの「風に語りて」の延長がひたすら続くというイメージが近いかも知れないね。そんなアルバムタイトルは「モーニング・ウェイ」で1969年にリリースされた本作だけで消えていったバンド。

Traffic - Mr.Fantasy 1967

ミスター・ファンタジー+5 サイケデリックの象徴には多数のバンドが語られるがどれも短命に終わることが多く、一時のムーブメントとして捉えられることが多い。もちろんその中にはホンモノのサイケな連中もいるんだけど、商業路線とは異なることは昔も今も変わりはなく、マニア…と言うよりも好き者好きの連中が多いのでその後の人生がどうなっているのが分からない連中が多い(笑)。しかし、そんな中でもしっかりとポリシーを持ってサイケデリックシーンを活用して出てきたバンドもあり、だからこそ英国のサイケシーンってのは面白いんだなぁと思うんだけどさ。

 スティーヴ・ウィンウッド率いるトラフィックというバンド。ファーストアルバムは「Mr.Fantasy」と言うタイトルでリリースされ、ジャケットからしてサイケデリックな色合いがぷんぷん匂ってくるんだけど、もちろん才覚有る連中の集まったバンドで、意図的にサイケデリックシーンを利用して躍り出てきたっていう見方の方が正しいんだろうけど、それでもしっかりとシタールチックなサウンドを創り上げてしまうっていうセンスはさすがに音楽集団。ウィンウッドの独特の歌声はそのタイトルもサイケな「Coloured Rain」という曲でようやく納得できる歌声を披露してくれるが、バンドの印象としては少々時代に感化されすぎなのかな、っていう面もある。もちろん曲作りもよく出来ているんだけど、後のトラフィックを聴くと狙ったなぁってのは良くわかると思う。

 アルバム的にはサイケシーンを表しているのはファーストアルバムだけど、作品としての良さ…っても好みなんだけど、セルフタイトルを冠した「Traffic」が好きだね。ようやくちょっとだけ本領発揮で黒い面も見えてきたしさ。双頭バンドだからなかなか難しかったみたいだけど、60年代末期からシーンに登場するにはそれくらいの実力は明確になっていないとダメだったんだろう。

 英国サイケデリックシーンにはバンドのメジャーマイナー問わずほんの数年の間だけだがシーンを彩った瞬間があり、それがまた見事に多数の個性を生み出している。面白いよね。

Trapeze - Trapeze 1970

Trapeze ハードロック路線にこだわるべきかちょこっとプログレ路線に行くべきか悩んだんだけど、まぁ、一応メジャー路線繋がりということにしておこう(笑)。でもまだまだハードロック路線はやりたいので、続くんだけどね。やっぱ面白いんだもん。何でもありで英国らしさが充満しているってのがやっぱ堪らんのだよ。あまりに聴きたくなってきたのが多かったのでCD屋にフラフラと立ち寄ってみるとやっぱそういうのが流れていて、曲は知らないけどなんか英国だ〜てのが一発でわかるもんな。ドラムの音も空気感もしっかりパックされてる音が多くて楽しめる。

 一応Captain Beyondとトラピーズとどっちにしようかと思ったのが最初の悩みなワケさ(笑)。で、Captain Beyondだと1972年のアルバムになってしまうので却下して、トラピーズで行こう〜。ご存じ第三期パープルのベーシストとして有名なグレン・ヒューズがシーンに登場してきた最初のバンドだが、当然ここでは歌っているし、そもそも歌志向の強い人で本当は歌手なベーシストなんだよな。しかもその歌が凄くソウルフルってのはもちろん知ってる人は知ってるんだろうけど、それでもパープルのベーシストっつうイメージの方が強いはず。そんな彼がパープル前にやってたバンドって云って聞く人も多いと思うけど多分大半の人は興味ない、って感じになると思う(笑)。そりゃそうだろうなぁ…音楽性違いすぎるもんなぁ…、と。

 だが、思い切りハジケまくった後のパープルよりも英国ロックマニアにとってはトラピーズの方が面白味はいっぱい感じるものなのだ。そしてこのバンドは全然B級ではなくってかなり質の高い楽曲と演奏を誇るバンドなのでもちっとマジメに聴く人が多くても良いんじゃないかな、と。まずは1970年にリリースされたファーストアルバム、これがまた魅力的なコーラスワークと歌い上げるベースライン、そしてソウルフルなボーカルとプログレな曲構成、更にはテーマがもの凄くファンタジーに溢れる英国的なもので見事に楽曲と相まってひとつの世界を築き上げていると感じているんだけど、褒めすぎ?この後何枚かアルバム出すんだけど、このファーストが一番新鮮で好きだな。ちなみにドラマーはこの後ジューダスに参加するし、ギターはホワイトスネイクにも参加することになる人達。

 ジャケットもさぁ、凄くファンタジックで綺麗でしょ?で、面白いのはスレッシュルドレーベルっつうところからのリリースなんだけど、これってムーディ・ブルースが設立したレーベルで、こういう所からのバンドが売れるってのはやっぱりあまりないんだけど、その中でもかなり健闘したバンドでしょ。う〜ん、いいなぁ、こういう音♪

Trapeze - Hold On 1981

Dead Armadillos 恐ろしく深い英国ロックの森…というよりも不景気による仕事探しの結果、という背景が付くのかもしれないが、ともかくその系譜は面白いように繋がっていく。かなり抜けている部分はあるんだけどそれでもアチコチとんでもない方向に繋がっていくのは自分の未熟さを知るきっかけになるし更になるほど~と深みにハマるのであった。しかしあくまでも自分の知識満足だけの話てあって世の中には何の役にも立たないという哀しい性(笑)。

 知ってる人は知ってるハズのトラピーズ。もちろんあのグレン・ヒューズが在籍どころかメインで頑張っていたバンドとして有名なんだけど、結構独特の音楽性を目指していてさ、面白いバンドとして聴いていたかな。まだまだ全部聴いたワケじゃないから詳しく書けないんだけどロックよりもソウルよりっつうか英国人の思うR&Bへの接近を果たしているバンド。どうしてもグレン・ヒューズ=Deep Purpleっていう図式もあるからハードロック的なイメージが付いてくるおかげでTrapezeの評価がちょっと違うんだよな、ってことになることが多いようだがそれは勿体ないってもんだ。

 しかしどのバンドにも波があって上手く行っている時もあれば悪い時もある。メンバーも入れ替わったり戻ったりもする…、そういうのが70年代後期ではあちこちのバンド=即ち70年代初頭から活躍したバンドに多い、で盛んにもがいていた結果が今は図式的によく見える。当時はそこまで細かい情報網もなかったので雑誌てまとめてそうか…とかレコードのクレジット見て、「ん?」とかライナーに書いてあることを記録していくとかくらいしかなかったし。そもそも今みたいに忙しい時代じゃなかったから情報も整理できたが。で、何だっけ?あぁ、んでTrapezeってのもグレン・ヒューズがディープ・パープルに移ったことでバンドが困ってしまってピーター・ゴールビーというボーカリストを加入させてバンドを継続。このピーター・ゴールビーはこの後Uriah Heepに加入して三枚のアルバムをリリースすることとなる人です。ってことはこのヘンもまた繋がってしまうのですな…。

 そしてTrapezeの結果的には最後のスタジオアルバムとなってしまった1979年にリリースされた「Hold On」にピーター・ゴールビーが参加して歌っているんだけど、それよりも1981年にリリースされた最後のライブアルバム「Dead Armadillos」の方がハジけたバンドの姿を刻み込んでいて面白い。グレン・ヒューズが具現化したかったであろう世界をしっかりと残った面々達が形にして出来上がっている世界とも言えるソウルフルな…と云うよりもかなり黒い音を出したロックライブアルバムとして完成している。もっとも収録されている曲はグレン・ヒューズ在籍時のものが大半なのだが…。

 このTrapezeの音を聴いてUriah Heepで歌うってのはちょっとイメージが付かないんだけどねぇ、Uriah Heepのメンバーとはツアーで一緒になったことがあって打診があった…と云うか熱望されたらしいが。全く運命ってのはいたずらなものだ。して有名なことでもあるがTrapezeのメル・ギャレーはその後ホワイトスネイクに参加するのだ…って云われるとどんなバンドだったんだ?と気にならない?

Trees - On The Shore 1970

オン・ザ・ショア(紙ジャケット仕様) あまりにもそのジャケットだけが有名になってしまったTreesのセカンドアルバム「オン・ザ・ショア」。ご存じのようにヒプノシスの手によるアートワークで、オリジナル盤でならば味わえるのだろう微妙なニュアンスの色合いというものが非常に重要な気がするのだが、なかなかオリジナル盤に出会えることもなく、また決して入手する出来る金額でもなく、高嶺の花なのだが、最近デラックスエディションな2枚組CDがリリースされたようなので、それならばかなりオリジナルに近い色合いが再現されているのではないだろうかと思う。

 1970年リリースのセカンドアルバム「オン・ザ・ショア」。ここの所の一連のフォークとは少々異なり、これは完全にロックです。まぁ、フォークロックっつうか微妙な線はあるんだけど、これはロックだろうな、と位置付けていいと思うし、しっかりとバンド形態で演奏されているし、微妙なエレキギター…リチャード・トンプソンのような感じで頑張ってるんだけどさ、そういうのも含めてロックだよ。紅一点のセリア姫の歌声があまりにもトラッドフォーク的な歌声と歌い方なのでフォーク的要素ももちろん強くなるんだけど、フェアポートに成り切れなかった、でも頑張っていたらこうなりました、みたいな感じのバンドで、結構ツボを押さえていると思う。トラッド曲だけでなくってしっかりとオリジナル曲も違和感なく作られているし、長いアレンジを施している曲にしても飽きさせないようになってるしね。だからジャケットのインパクトに釣られて買った人でもそれなりに楽しめて質の高い音楽に触れられるレベルだから大丈夫でしょ。

 あぁ、英国らしいアルバムだなぁ…。ジャケットの雰囲気はもちろんだけど音もさ、モノマネから自身の音色を確立していくという感じでね、しかもそれが紛れもなく英国的な陰鬱度と共にしっとりと浸食しているんだもん。この辺はまだまだ浅く広い世界だけど、それでもこれだけ心地良く楽しめるんだからやっぱりこの深みは楽しい。そしてこのアルバムも全てが素晴らしい曲じゃないけど、良い曲がいくつかあって、例えば「Streets of Deny」とか「Sally Free And Easy」なんてのは多分ここのサイトに来ているロックファンは好きだと思うんだよね。良いんだよ、うん。

 ボーナストラック付き2枚組CD欲しくなってきたな(笑)。BBC音源とデモ音源が付いているみたいだけど、BBCは既にあるしなぁ…、全く商売上手なメジャーな配給会社は困り者だね(笑)。その分そこから入ってくる人には完璧に揃ったアイテムになるから嬉しいことなんだろうけど。難しいなぁ。

Tucky Buzzard - Tucky Buzzard 1971

Tucky Buzzard Fuzzy Duckほどのハードで熱いバンドがふたつの英国ロックの合体バンドとなればその元バンドも気になるものでしょ。…っつうかそうやってロックって聴き漁っていかなかったら面白くないんじゃないかと…、いや、別に気にしなくても良いんだけど、せっかく出会った自分にとって心地良い音だとしたらそれに出会う確立が高いものを聴いて行く方が良いと思うワケですよ。そんなことから深い世界にハマっていってしまうんだろうけど、動機は至って純粋です…。

 ってなことでFuzzy Duckの前身バンドのひとつでもあるTucky Buzzardのファーストアルバム「Tucky Buzzard」。録音は69年から71年に渡ったものらしいが、調べてみてびっくりしたのが、このTucky BuzzardってThe Endの発展バンドだったんだ…と。いや、The Endってのはあのビル・ワイマンがプロデュースしたバンドってことで話題になったことのあるバンドでして、その発展系がこのTucky Buzzardってことで、ファーストアルバム「Tucky Buzzard」もビル・ワイマンがプロデュースしている。更にリリースが1971年ってこともあってミック・テイラーやボビー・キーズも参加している。しかも音はグリン・ジョーンズによるもので、こりゃ売れない方がおかしいぞ、ってな面々が絡んで作られているのだな。ちとびっくり。まぁ、ストーンズの世界では割とメジャーな話らしいが、ここまで聴いているストーンズファンも多くはないだろうとは思う。

 まぁ、そんな音世界の前置きはあるのだが、実際の音はと言うと…、意外と意外、結構ソフトタッチなロックとかポップな音楽が繰り広げられている。ファーストアルバム「Tucky Buzzard」は、だ。セカンド「Warm Slash」はもっとバリバリにハードロックだったような気がしたのでかなり路線が異なっているようだ。やおらメジャーな方々の名前が入っているからそういう音に近づけているのかな…。最初の「Time Will Be Your Doctor」は圧倒的にFuzzy Duckでリカバーされたテイクの方がかっこよいし、ロックの本質を出しているので、こちらのはそのプロトタイプ…っつうかアップテンポだけど軽くて流している感じ。それでも一曲目だからやっぱ自信作ではあったんだろう。もっと思い切り白熱したブルースロックバンドを想像したんだけど、ホントに意外にストーンズよりもちょっとブルースギターをオルガンが目立つくらいのもので、英国B級的なエグさがあまり多くない。まぁ、それはそれで良かったのだろうけど、インパクトも少ないなぁ…。やっぱセカンド「Warm Slash」以降の方がハードで面白いわ。

 ちなみにミック・テイラーは割と好きなギタリストなのでこんなところで遭遇するのは嬉しい事件で…、「My Friend」と「Whiskey Eyes」ってのに参加してるらしいので聴いていると…、ふ〜む、確かに小さめの音でマイルドで軽やかなソロが入っているじゃないか…、これは正にミック・テイラーなんだろうなぁ…、なるほど。でも、知ってから聴くと凄くゲスト的扱いなのであんまり必要ない音ではあるかも(笑)。

Twink - Think Pink 1970

シンク・ピンク  シド・バレットがソロ作で世間を賑わせた後、一旦シーンから遠ざかるがその後偶然に出会った元デリヴァリーのジャック・モンクとバンド結成の話になり、そこでアングラロック界の変人として有名なトゥインクをドラムに従えてスターズというバンドを組んだ。いくつかのリハーサルを行い、そこにはピンク・フロイド時代の「エミリーはプレイガール」も演奏されていたと伝え聞くが、更にはデモ録音も行い、何とギグを三回ほど行ったようだ。もっともそのギグはライブの様相にはならなかったくらい酷かったらしいが…。しかしここではデモ音源が残されていることがしっかりと伝えられているので、何かの機会にでもリリースされればと思うが恐らくこれだけシドの未発表音源がリリースされまくった今、まだ出てきていないと言うことは多分存在しないのかなぁ。

 で、そんな状態のシドとバンドが組める人ってどんな人、ってことでこんな人です。アルバム「シンク・ピンク」が最初のソロ作品になるんだけど、ドラマーとしてはサイケデリックシーンで結構活躍していたのであちこちで名前を見かける。Tomorrowやサイケの真骨頂とも云える時期のPretty Thingsなんてのはそうだね。まぁ、アンダーグラウンドの帝王的な存在で、Pretty Thingsに在籍している最中に「シンク・ピンク」という作品をレコーディングしていて、もちろんプリティ・シングスやデヴィアンツ、ジュニアーズ・アイのHonkやTレックスのスティーヴ・トゥック達が参加した超サイケデリック…というかクスリの音楽なんだろうな、きっと。シドならこの世界がくっきり見えるんだと思うけど、トゥインクも近いところにいたんだろうなぁ。1970年にリリースされて、英国ロックの幻のレコードとして祭り上げられてきたんだけど、CD時代になって再発されてようやくまともな値段で聴くことができて、嬉しかったんだけど、これがねぇ…ん?って感じ(笑)。決して人には薦めませんが、ある意味アングラってこういうモンだよな、ってのがわかるし、傑作であるとは思う。迷作、とも言うか。

 この後トゥインクは解体したデヴィアンツの面々、即ちミック・ファーレン以外のメンツと有名なピンク・フェアリーズを結成するのだ。ま、これもアルバム一枚しか続かなかったんだけど、インパクトは絶大だったな。早すぎたパンクだよ。あまり語られないけどさ。で、ホークウィンド…これもアシッドバンドだな(笑)、それからシドとのスターズなワケだ。

 まぁ、アングラの帝王ってのはやっぱりあって、でも今でもきちんと生きてて気まぐれにアルバム出したりしてるんだから恐れ入る。周辺の人間は結構向こうの世界っつうか死んでるのもいるんだろうけど、トゥインクはその辺妙にビジネス的に頭働くミュージシャンだったのかもしれない。作品だけ聴くととんでもなかったりするけど…。ジュニアーズ・アイやらスティーヴ・トゥックなんてのはデヴィッド・ボウイとも絡むし、そういえばボウイもメジャーすぎるアングラの人なんだもんな。トゥインクの歴史は深い。