Uncle Dog - Old Hat 1972

Old Hat 英国のジャニス・ジョプリンと異名を取った女性の歌姫はもう一人いたのですな…。キャロル・グライムズという人でして、まぁ、聴けば一発でなるほど、ってなモンだけど、ちょっと過剰解釈しすぎているかもしれない。ってのは、彼女の経歴を漁っているととてもジャニス・ジョプリンの世界とは近くないからってのがわかるからかもしれない。まぁ、それでも聴いていると確かにホンモノのソウルフルでブルースな歌声ってのが事実だから良いでしょう。

 1972年にリリースされた多分Uncle Dogというバンドとしては唯一の作品なんじゃないかな…、「Old Hat」っつうアルバムです。アチコチで紹介されているんだけど、その紹介のされ方もこれまたマチマチだね。ひとつにはジャニス・ジョプリンの再来と呼ばれたキャロル・グライムスをフロントに配した土臭い香りのする英国産ロック、ってなものだし、また別の言い方ではあのフリーのポール・コソフとラビットがゲスト参加し、幻の、そして誰が聴いてもコソフのそれとわかる泣きのギターソロが入っている英国スワンプロックの傑作、とされていたりする。また、スワンプ=パブロックのアルバムとしての傑作という呼ばれ方をするケースもあるみたいで、結局そういう音です。アルバム「Old Hat」自体は。だから非常〜に聴きやすいし、快活に聴けるのでキャロル・グライムズの歌声云々っていうだけで引かなくても良いのですよ。

 うん、中身はホントに乾いた土が吹き込んでくるようなスワンプで、非常に軽快な楽曲ばかり。キャロル・グライムズの特徴のある声質を巧く曲に当て込んでいるので楽曲としての融合が見事。そこにA面ラストだった「We Got Time」という熱唱型バラードが入ってきてコソフのギターソロが熱く弾かれるモンだから堪らない。この曲自体はどっちかっつうとR&B的な盛り上がりを見せる曲なんだけど、コソフのギターの凄さだな…、それとキャロル・グライムズの魂から歌われている声が見事にマッチして素晴らしい空間を創り上げている。正に「Old Hat」アルバム内のひとつのクライマックスです。正直言って、この一曲だけで聴く価値アリのアルバム。

 個人的にはキャロル・グライムズってのはDeliveryの頃が好きで、カンタベリーとブルースの融合って思ってるんだけど、それでこのアルバムだからびっくり…っつうかそのままだ〜って思って驚いた。しかもコソフだし。アルバムとしてはあまり好まないタイプのサウンドだけど、やっぱ歌声に参ったよな。アナログ時代にはほぼ見つけられなかったアイテムで、CDにも全然ならなくて結構聴くのに苦労したアルバム…ですね。

Wally - Wally 1974

Wally 久々にプログレらしいプログレってのも聴いてみたいな…と秋の深まった頃に思いまして…うん、B級品も面白いんだけど、その中でも色々とあってさ、割と細分化されるっつうか方向性自体はプログレ的なものとかジャズ的なものとかブルースよりとかあってね、その辺行くとプログレッシブな展開ってのは割と多くはないのかもしれない…っつうか構築美って意味では。アヴァンギャルドなのは多いけどさ(笑)。さてさて、そんな中でもなんとあのアトランティックレーベルからイエスのリック・ウェイクマンのお墨付きでデビューしたウォリーというバンド、かなり洗練された音を出しているのでちょっとご紹介♪

 1974年リリースのファーストアルバム「Wally」で、この後もう一枚リリースして解散したのかな。メジャーレーベルからの配給によるかなりしっかりしたプロダクションの元でリリースされたバンドにも拘わらずやはり短命に終わってしまったのはちょっと勿体ないっていうバンドでね、音は面白い。バイオリンがインパクトを与えているんだけど、それだけじゃなくってしっかりと楽曲がプログレッシブロックしてて、テクニカルでもあるので音だけ聴くともっとできたんじゃないか?と思うくらい。ハードで美しい楽曲からアコースティックタッチの美しいコーラスを聴かせる牧歌的なものもあれば、繊細な笛を美しい効果音の中で聴かせてくれるものもある。そしてどれもこれも優しいボーカルが楽曲を繋げていて、相当洗練されている音。もともとフォーク上がりのメンバーによるバンドのためアコースティック系統の曲から出来上がったものが多いのも特徴的だけど、冒頭の「Martyr」がバンドの代表作のような印象を持たせてしまうので一気にプログレ的扱いされるのもわかるなぁ。

 今の季節にはぴったりの音でさ、モノ哀しくもあり、ちょっとエキセントリックでもあり叙情的でもあるっつうのがよろしい。アナログ時代には全然見たことなかったけど、CDでは割と早くにリリースされたような気がする。聴くのは遅かったけど、聴いてみてちょっと驚いたバンドのひとつ。やっぱりメジャーレーベル配給のバンドはしっかりしてます。

Warhorse - Warhorse 1970

Warhorse 1970年頃のハードロックバンドってのはもちろん何度も書いているようにプログレチックな側面とかアドリブ面を強調したりとか色々あるけど、大まかにはギター主体のバンドかハモンド主体のバンドか、みたいな感じに分かれてたんじゃないかな。所詮ハードロックってのは歪み具合と音量で勝負みたいなトコあるからさ。いや、もちろん歌も重要なんだけど、ある意味パープルのイアン・ギランみたいな超ハイトーンってのはあんまりいないワケで、プラントはちょっと別格だが…。いずれにしてもA級品なわけだ。で、ちょっと格が落ちるとシャウト系とかダミ声とかそういうのになる。そういう面ではまぁ、ポール・ロジャースも別格だったりするが…。

 そのディープ・パープルってバンドは実によく面子が入れ替わるバンドであまり興味のないファンは誰がいつ在籍していたのかなんてことにさほど興味を持たない。多くは当然第二期の面子こそがパープル、って思ってるだろうし、せいぜいカヴァーデールがいた頃まで、即ちリッチー時代だな。不思議なのはそのリッチー時代と云いつつも第一期は結構無視されている。これは音楽性の問題なんだろうけど、英国ロックファンは第一期パープルの方が好きなんだという人の方が多い。これは多分英国ロックらしい音を出しているからだと思うんだけどさ。ファーストとか中途半端な音で良いもん(笑)。

 …とまぁ、パープルの話はいいんだけど、この第一期のパープルの主力メンバー(?)だったベースのニック・シンパーがパーピルをクビになってから組んだバンドがWarhorseっつうんだけどさ、これがまたその後のパープルと同じようなハードロック路線を歩むワケだ。もっともギター中心というよりかは鍵盤主体で進められるハードロックに近いね。面白いのはやっぱりベース音がでかいってことか(笑)。音楽的には多分コッチの方が第一期パープルからリッチーを抜いてそのままハードにしていったらこうなっただろうというような音で、はっきり云って相当かっこよい。決してB級ではなくって正当派英国ハードロックに君臨するべきバンドの音だ。

 しかしこのバンド、アルバム二枚残して解散しちゃうんだよなぁ。ボーカルも結構野太い声でかっこよいし鍵盤もモロって感じで良かったんだが…。一般にはパープル関連だからそれなりに知られていたバンドだとは思うけど、今ではやっぱB級に近いところに位置してるかな(笑)。ちなみにファーストアルバムのジャケットはもちろん見開きでデザインはキーフ。そしてレーベルはヴァーティゴ♪ いいでしょ〜、こういうのはそそられるんだよホント。そして音も素敵なので益々愛聴盤になるのだな。

Warpig - Warpig (1970)

Warpig やっぱさ、ガツンと来るハードロックってのはいつでも気分を盛り上げてくれるってなもんだ。Twitterで紹介してもらった自分の知らない世界がどんどんと広がっていくのがあまりにも面白くてついつい多々入手してしまうのだな。こうしていると多分自分の好みもわかってもらえるワケで、また面白いものを紹介してもらったりもする。はたまた何気ない会話の中での一幕のバンドが気になったりまた切り捨てたりってのはあるんだけど、そんな連鎖がSNSの本領部分なんだろう。自分はまだまだ全然そんなに使いこなしてはいないけど、そんな気がする。

 そんな出会を果たした自分だけでは多分辿り着かなかったであろう珍しいカナダのバンドをご紹介。1970年にリリースされたWarpigというバンドの「Warpig」というアルバムで、どうも1970年の春に出たらしい。これ、重要。Twitterの会話で色々発覚したんだけどさ、このWarpigってバンドの音ってさ、どう聴いてもUriah HeepとBlack SabbathとLed ZeppelinにDeep Purple的オルガンエッセンスを加えたバンドで、しかも1970年だから出てくる音の空気感も同じだから後から出てきたクローンとは違ってまるまる1970年代のあの雰囲気を出してて本物なんだよ。多分カナダでは相当本物だったんじゃないだろうか?  音はね、そんな感じでの熱いブルースロック的ギターに楽曲は重く暗く、ハードにヘヴィに泥々しく、全く英国風なハードロックで実に聴き応え満点。それで、語られるのは上記バンドの影響を受けて云々、なんだが、Deep Purpleの「In Rock」がリリースされたのが1970年の6月、Black Sabbathの「Paranoid」が1970年の9月なので、その辺の音の影響下とは云えないってワケで。Deep Purpleがハードになる前の音だし、Black Sabbathだってファースト「Black Sabbath」しか出てない時、そしてUriah Heepのファースト「Very Eavy Very Umble」ですら1970年の6月にリリースされているワケだからUriah Heepの影響はほぼ皆無なハズ。そしてカナダなんだから英国のリリースよりも聴けたのは遅かっただろうから、影響受けてるとしてもそれほど多くないはず。それでいてこの音かい?ってことはセンスとしちゃ当時の英国のそのヘンのバンドと同じレベルにあったっていう事なんじゃないか?まぁ、逆に影響を与えたってほどではないと思うが…。

 そんな時系列を知って唖然としながらアルバム「Warpig」を聴くワケだ。え〜、でもさ〜、どう聴いてもUriah HeepやBlack SabbathやDeep PurpleやLed Zeppelinだろ?って思うんです。だから凄い。同じレベル。え?そこまで褒めても何も出ないさ、でもさ、そういう知られざるバンドでも時代がきちんと後押ししていた、しかもカナダで、だ。何かそういう奇跡的なところに気づいてしまってからこのWarpigというバンドの音がパクリとかそういう次元で聴けなくなって、きちんとしたオリジナルなバンドとして聴いている自分なんだな。熱くてハードで良いっす♪

Web - I Spider 1974

アイ・スパイダー(紙ジャケット仕様) バンドやアーティストにとってアルバムジャケットってのはやはり結構な意味を持っていてほしいものだ。自分のバンドを表現していたり音の世界を表現していたり…、もしくは奇抜で人の記憶に残るようなジャケットとかインパクトを与える何かを付けているとか…変形ジャケットなんてのはそんな類なんだろうけど。まぁ、顔を売りたいって人もいるだろうし、色々あるんだろうけど、そんな中で奇妙〜なモノとかちょっとキモイものってのもあって、いくつかは成功しているが概ねマイナス要因になってしまっているというものも多い。音だけを聴くならば全然かっちょよいんだけど、ジャケが聴き手を阻むっていうこともあるのだな。気になって聴く、っていう人もいるのだが(笑)。

 そんなジャケットのひとつでもあるウェブの三枚目1970年作品「アイ・スパイダー」。ちなみに表がこのジャケで裏は同じように頭がピースサインしてるので、多分ウサギをもじったもの。表ジャケはガチョウみたいなもんだろうけど尻尾がないからかなり不気味な生物みたいに描かれていてちょっと生理的に嫌気が差す。

 バンドとしては実はこのアルバムは三枚目でして、それまでのアルバムば全然売れなかったってのは大きい要因なんだが、その際に主要メンバーも入れ替えていて…と言うか、デイヴ・ローソンが加入した作品って一言で済むか。ただ、加入ったって、鍵盤は弾いているし歌は歌っているし、更に全曲作曲までしているって、ウェブというバンドがいきなりデイヴ・ローソンのバックバンドになっちゃったワケだよ。そんだけ認めさせてしまったっていうデイヴ・ローソンって凄い才能の持ち主なのだろうと思うが、あり得ない話でしょ、普通は。でも、それが結局40年近く経った今ではこの「アイ・スパイダー」こそがウェブというバンドの傑作として挙げられている、っつうかそれしか挙げられない。それもこれもデイヴ・ローソンのその後の成功のおかげかもしれないんだけど、それくらいインパクトがあったメンバーチェンジ。そこにこのジャケットでそれまでの印象を変えて、っていうこともあっったのだろう。

 音はだね…、これがまたさすがに素晴らしく良質且つムードバッチリの叙情系プログレッシブロックとジャジーな雰囲気を混ぜ合わせた美しい作品。メロトロンが鳴っているのも良いし、そこに管楽器が上品に絡んで作品が構築されているってのも巧い。A面は組曲になっているのでその雰囲気と構成がしっかりと聴き手に伝わってくるね。繊細な音色の塊で、雑なところがひとつもない見事な出来映えです。それこそデイヴ・ローソンの仕事ってのがよくわかる。もうちょっとジャケットが美しかったらもっと名盤扱いされていたと思うんだがなぁ…、まぁ、それも英国ロックの歴史だ。

 ちなみにこのウェブと言うバンドは、この「アイ・スパイダー」をリリースした後、ほぼそのままのメンバーであまりにもデイヴ・ローソンのインパクトが強かったためかSamuraiとバンド名を変えてアルバム「Samurai」をリリースしている。これも当然ほぼニアリーな音作りなのだが、もうちょっと詰め込まれているかな。そんでデイヴ・ローソンはグリーンスレイドへ参加していくのだが…、この人、凄く良い仕事しててさ。ケイト・ブッシュやサリー・オールドフィード、イエスの「91025」とかも参加してるし驚くことにその流れでアラン・ホワイトとクリス・スクワイアとジミー・ペイジが組んだXYZというプロジェクトにも参加していたらしい。う〜ん、さすが大英帝国の職人。

White Noise - An Electric Storm (1969)

An Electric Storm 別に自分で意図してないけどこのブログの場合は流れに左右されることが多くて、ここのところユーロロックでイタリアから始めてみよう~なんて思って書き進めていたんだけどなぜかアヴァンギャルド傾向になっているじゃないか(笑)。ちょっと軌道修正もしなきゃ…と思いつつ、だってアヴァンギャルド系ってやっぱりスーパーニッチな世界だからここを訪れてくれる人も読み甲斐ないでしょ、そんなアヴァンギャルドもんなんてさ(笑)。まぁ、気に入ってくれてアマゾンクリック♪ってしてくれるのかもしれないけどさ。

 まぁ、そんなことではあるんだけど、今出さないと多分出す機会が多くはなさそうだっていう音があるのでちょっと国を跨いではいるが我らが大英帝国の誇るアヴァンギャルドミュージック…、しかも1969年産なのでさすがに何よりも早いアーティスティックな側面を実現しているところが英国。そしてこんな音を聴いてもものすごく英国的って感じるところがあるのもこれまた楽しい。1969年だからソフト・マシーンなんかがフリージャズに走るよりも早かったワケだが、White Noiseというバンドによるスーパーアヴァンギャルドサウンド♪

1969年にリリースされた最初の作品「An Electric Storm」を聴いてみるとわかるんだけど、まぁ、エロな声が最初から思い切り被ってくるのはお約束…それでいて結構軽快な音の運びでして、何かよくわからないアヴァンギャルドな世界を作っているのにどこかコミカルで聴きやすく軽やか…、こういう世界観が後にダグマー・クラウゼなどに引き継がれていくんだろうな、とそんな感じ。紐解いてみれば1969年という時代にアナログテープでこれらのサウンドコラージュをひたすら作り上げていて、その作業量は居間から考えるととんでもないくらいのもので、アルバム制作には優に一年以上かかったらしいし、もちろんテープのトラック数も多くはないから大変だったろうな、っつう努力票も入っての名盤だね。もっともそういうアイディア自体が凄いんだけどさ。

ちょっと調べてて凄かったのは何だかんだとず~っと活動しているみたいで2000年には「white Noise」の四枚目ってのがリリースされてるみたい。もちろんアマゾンにはないけどさ(笑)。

Widowmaker - Widowmaker 1975

Straight Faced Fighters 唐突だがやっぱりロックの歴史は深い。いや、人脈の広さは面白い。レインボーとチキン・シャックが繋がり、Mott The Hoopleも繋がる…即ちボウイとも繋がり…とまぁ、そんな調子だ。なんで?ってなるところにミソがあるのだな、このヘンの深みは。英国ロックは音の深みもあるが、幅の広さにも驚く。そしてこうした人の広がりとジャンルを跨いだりレーベルを超えたりして際限なく続く。ウチのブログってのは基本的に関連性のあるものを繋いでいってるんだけど、ブログという形式上、どうしても一方向にしか進めないのでついついいつも違う方向に向かっていってしまうんだが(笑)。

 1974年頃に結成されて翌年1975年にアルバム「Widowmaker」がリリースされたバンド名もWidowmaker。そんなに知られてはいないだろうな、とは思っているがもしかしたら自分があまり知らなかっただけかも。レインボーを好きな人にはベースのボブ・デイズリーが参加していたバンドとして知られているかもしれない。モット・ザ・フープル好きな人にはアリエル・ベンダー=ルーサー・グローブナーがMottの次に組んだバンドとして知られている?はたまた往年の60年代好きにはLove Affairというバンドのボーカルでもあるスティーブ・エリスが組んだバンドとしてとか…、もおう一人のギタリストはホークウィンドにいたし…みたいなね。まぁ、色々な絡みがあった人物達が組んだバンドでして、メンツだけを見るとどんな音が出てくるのかちょっと想像付かなかったんだけどね…。

 現行のCDでは最初が「Such A Shame」というボーナストラックで始まってしまうので印象が大幅に変わってしまうのだが、その実CDでは2曲目の「Pin A Rose On Me」からがアルバム「Widowmaker」リリース時の一曲目となるようだが…、いきなり美しいアコースティックギターの音色からどこかアメリカの望郷を思い浮かべるような曲調だ。多分実は音楽センスに優れていたアリエル・ベンダー=ルーサー・グローブナーによる趣味的方向性を代表するようなものだろう…、が、かなり良い出来映えで、アルバム通してこの曲が異質な曲なんだけど、それを最初に持ってくるって凄い発想。

 その後からは割とご機嫌なハードロックともロックとも云える…もしくは確かにMott The HoopleとRainbowを合わせたような音世界かもしれない。もっとも歌がポップなのでイメージとしては異なるけど、歌も巧いしロックしてるし結構かっこいいんだ。売れ線のメロディもあるしノリも良いので何が悪くてここまでマイナーなバンドなんだろうか?バンド自体はもう一枚アルバムをリリースして解散している→ボブ・ディズリーのレインボウ加入がきっかけだったみたい。もうちょっと本腰入れたらかなりかっこいいバンドなのにな、勿体ない。正しく英国ロックの音でもあるんだけど、どこか哀愁漂う素敵なハードロック寄りのロック。ちょっと何回か聴きたくなる音です。

Wil Malone - Wil Malone 1970

ウィル・マローン Orange Bicycleのサイケデリック且つポップでカラフルな展開とは裏腹に、中心メンバーでもあったWil Maloneという鍵盤奏者はその才能を解き放ち、即座にソロアルバムをリリース。それが1970年のことなので、まったくOrange Bicycleと時をほぼ同じくしての活動だったのか、活動停止後即座に動いたのかよくわからないけど、素朴なアルバム「ウィル・マローン」が出来たのだな。

 カラフルなOrange Bicycleとは正反対に純朴で素朴でシンプルにしゃがれた声で聴かせるシンガーソングライター作品的なメモリアルとなってる。最初期のデヴィッド・ボウイみたいなサウンドがいっぱい詰め込まれていて、それがまたかなり良質なセンスを感じるモンだから面白い。英国人ってのは普通にこういう音が出せるものなのだろうか?ってくらいにボウイの初期作品と同じ音してるもん。ニッキー・ホプキンスとかも参加しているようなので、スタジオミュージシャンでもあった、そしてモーガンタウンスタジオの主でもあったWil Maloneならでは音作り。それは素朴に自分を出したもので、何も凝ってないし装飾も施していない、そんな純朴な音。時代を反映して多少カラフルにはなってるけど、やっぱりボウイの最初期と同じ表現程度。あの「Space Oddity」を出す前あたりのボウイね。

 ジャケットはちょっとサイケデリックな印象で、妖しげなのであまり手を付けたいっていう絵じゃないんだけどさ、かなり好きな音だな。驚くのはこのWil Maloneって人はこんな純朴な音やっていながら、その後あのIron Maidenのファーストアルバム「Iron Maiden」のプロデューサーもやっているという人です。なんだろね、その振れ幅の大きさは(笑)。今でも新しいバンドの作品を手がけていたりする裏方の大御所になっているみたい。知らず知らずにアルバムにクレジットされている人なんかな、今は。そんな歴史的な方の多分唯一のソロ作品「ウィル・マローン」。良い雰囲気ですよ〜。

Writing On The Wall - The Power of the Picts 1969

 時代は1969年、レーベルはミドルアースというそれだけでもマニアックな感じがするでしょ?ミドルアースレーベルっつうと最初に浮かぶのがアルカディウムというバンドなんだけど、今回はもっともっとハードロック的な重さとテクニックを持ったバンドを書いてみよう。聴きようによっては最初期のイエスやパープル的なサウンドに聞こえるだろうし、音楽性の混沌さ具合もかなり時代を象徴していて面白い。

 ジャケット、強烈だよなぁ。右目の上辺りに注目ね。裏ジャケにはメンバーの写真があるんだけど、これがまた雰囲気のある連中でさ、決して若いとは思えない風貌と迫力。あぁ、バンド名はWRITING ON THE WALLって言って、このアルバムはもちろん唯一のアルバムなんだが(笑)、「The Power of the Picts」というタイトルね。オリジナル盤は見たことないです。レパトワーからのCD化の際に入手したので、手軽といえば手軽だったけど、このレーベルも凄いよな。こんなバンドのシングルでしかリリースされていないものをボーナストラックに付けてくれててさ、好きなんだろうなぁ、このレーベルの人達。わかるわかる。

 で、このアルバム、どんなんか、って言うとだな…。5人組でハモンドがギャーギャーと唸っていて、ギターはもの凄くチープなファズ音でブルージーに弾きまくるっつうもので歌は結構重いかな。ドラムはもちろん手数の多いパターンで基本的にはハモンドとギターが中心のバンドで正しくハードロックなのだ。しかも暗黒系。これなら十分にメジャーで通じそうなのだが、何がバンドの運命を変えていくのか、このアルバムのみで消滅してる。時代的にサイケもハードロックもブルースもあって、更にプログレの波が来てた頃だからホントにゴッタ煮状態でアーサー・ブラウン的な狂気も持っているし、それはハモンドの効果が凄く大きいのかもしれないけど、更にそこにリフもの一発のギターが刻まれるっつう面白い展開もあったりさ、ワケわからん状態の曲もある(笑)。かと思えば実に英国的なフォークダンス調の田園風景を思わせるイントロから始まる強烈なブギーがあったりさ…、しかもこれクラビネットだよ。

 …とまぁ、実に多様な音楽性に富んでるんだけど、面白い。今のバンドがどれだけ偏ったことしかやってないのかよくわかるくらいに滅茶苦茶。でも不思議なのはバンドの音というのが一貫しているところかな。これはどのバンドもそうなんだけどしっかりと持っているもんね。ミニチュアZepみたいなもんか(笑)。しかしアマゾンにこんなのがあるとは驚いた…。

Zakarrias - Zakarrias 1971

妄想(紙ジャケット仕様)  超B級路線のバンド、というかソロプロジェクトというか無名、でもあるしその筋ではモンスター級のレアアイテムとして有名、かもしれないザカリアス。なんつうかな、図太いベースが特徴的で、でもギターが歪んで言うというハードロックじゃなくてそのヘンはアコギ的なのでかなり不思議なサウンド。1971年リリース「妄想」、しかもデラムからのリリースだからおかしいハズでして、サイケデリックな感覚は持ち合わせているけど、それよりも全く典型的な英国B級的香りがぷんぷんするアルバムです。

 クォーターマスからのピーター・ロビンソンとかハットフィールドやスラップ・ハッピー絡みのメンバーとか参加しているんだけど、基本一人でマルチにやってる人。出身はオーストラリアっつうから英国ロックと言っていいのかどうか…。ただ、英国育ちであることは間違いなさそうで、線の細い歌声が危なげでユニーク。どっちかっつうと初期のグラム系な感じだな。ボランあたりがやっててもおかしくないっつうか、そんな感じ。久々にこの辺を漁ってるんだけど、やっぱ音色の古さと空気感の古さが良いね。今の録音では絶対にできない音がパッケージされてるもん。

 日本ではこういうのが紙ジャケ化されたりリマスターCDがリリースされたりするから凄いよね。自分のは昔々エジソンからリリースされたアナログ落としのCDだから相当古いかも。まぁ、買い直すほどでもないけど、音的には割と好みで、結構この季節に聴くには良い。

Zior - Zior (1971)

Zior 黒魔術をロックに持ち込んだので有名なのはもちろんBlack SabbathなんだけどBlack Sabbathの黒魔術の持ち込み方ってのはギーザー・バトラーの趣味ってだけでコンセプトでしかなかったし、まぁ、もちろんそれをモチーフにオドロオドロしいリフや音使いってのは相当研究して作っていたワケで、それだけで素直に音楽家なんですね、黒魔術的音楽を作る、ヘヴィロックの世界でそれを作る、というコンセプトに向かって進んでいたワケだから。一方ではホントに黒魔術を実践している人たちがたまたまミュージシャンだったっていうパターン…グラハム・ボンドなんてのは60年代半ばにそんなんだったワケで、そっちのが全然早い。ただ、コンセプトとかじゃなくてそのままだったから出てくる音はもちろん全く対照的とも言えるくらい違う。まぁ、その合間をアーサー・ブラウンがエンターティンメントとして黒魔術を扱ってはいる感じだが。

 何を隠そう、Led Zeppelin…ってかジミー・ペイジだな、に興味を持ってアレコレ調べたりしてると黒魔術ってのがチラチラと出てきてさ、それがホントかどうかはともかく黒魔術に対する魅力ってのはやっぱりあって、結構調べたりしたんだよね、昔。その気になれば結構色々あって、もちろん映画とかでもモチーフにされてるのも多いし、本も結構色々出ているんでそれなりに知識を得ることは出来る。ただ、多くは考え方と呪術式のやり方とかそんなんで、そこまでやることもないから「へ〜」で終わるんだけどさ、なんか、そこから先に行ける人ってやっぱ本物、って思っちゃうんで(笑)。あくまでも知識レベルの宗教学でしかないんだけど、結局よくわかんなかった。別に白も黒も基本的に同じ魔術らしいし、結局何が違うのかってのはやっぱりいつもの如くマイナス面に進めるかプラス面に進めるかのお話。ま、スターウォーズのダースベイダーですな。アメリカは実にわかりやすい(笑)。

 話が逸れた…、はい、そんなことでMonumentの元バンド、Ziorの登場です。読み方についてはザイオールって書かれてるのもあってよくわからんけど、もう25年くらいツィオールって読んでるので、そういうもんだと思ってます。アルバムは一応二枚くらい出ているみたいだけど今じゃ「Zior」というファーストアルバムのふりした作品に全部詰め込まれていて、昔一回だけレコード見かけたけどセカンドは知らなかったな。自分もCDですね、これは。肝心の音だが…、いや〜、どんだけぶりに聴いたことか、これ、結構ポップでカラフルでキャッチーだったことに驚いた。黒魔術的ってこともあんまりないし…、ただ、底辺にず〜っとモヤモヤしたものが漂っている感触の残るポップさで、それは多分オルガンによる重さだったりするのかなと。楽曲はC級に近いB級ロック…、ワンパターンなリフと適度なアドリブ演奏にカラフルな楽器陣、覚えることのできないメロディが叫ばれる、みたいな感じです。意外とリフで攻めてくるナンバーもあったりしてどんなんやりたいんだ?ってのもあるなぁ。この後の変名Monument聴いてるとそっちのはホントに黒いから、Ziorは営業用のバンドだったんかな。そしてアルバムジャケットはこれ、もちろんキーフの写真デザインですね。Black Sabbathのファーストと比べてもよく似てるタッチだしね。