U.F.O - Ufo 1 1970

Ufo 1  英国のロック人脈は簡単に大物もアングラも繋がってしまうというのが古き良き時代の楽しみで、そいつを繋ぎ合わせていくと実に様々な人脈、ネットワークが見えてきてそれぞれの仕事がどうして成り立ったのか、なんてのが見えてくる。昔はレコードクレジットを見ながら何となくの名前を覚えて、どこかであれ?この人って?みたいなのを繋ぎあわせてたんだけど、今はどっかにそういうのあるのかな、まぁ、ググれはある程度関連性は見えちゃうから深掘りしたけりゃいくらでも出来るので興味があれば是非。

 1970年にデヴューアルバムをリリースしたUFOの「Ufo 1」ではギタリストがまだMichael SchenkerじゃなくってMick Boltonだったってのは有名だけどここからシェンカーが加入するまでの間にラリー・ウォレスやバーニー・マースデンが参加してたことがあったというのもそれなりには知られているのだろうけど、ラリー・ウォレスって誰?ってくらいには興味をソソられていない人物だったんじゃなかろうか。そこでUFOとホワイトスネイクとPink FairiesやThe Deviants、さらにmotorheadも繋がってしまうし、関係性で言えばTwinkからシド・バレット、ピンク・フロイドあたりまで兄弟みたいになるワケよ。motorheadとフロイドが従兄弟バンドってことだ(笑)。まぁ、それは良しとして、UFOのデビューアルバム「Ufo 1」は自分的にはまるで興味の外にあって、随分聴くのは遅かったし、まともに聴いてもいなかったと言える代物。もちろんこの後の「Flying」も同じくだ。

 大体がこのジャケット、流石にセンス悪いと言うかイモ臭いと言うか…、音を聴いてみるとサイケなのかブルースロックなのか、どうしたいのかまるでわからないし、引っ掛かるところもちょいと無さ過ぎるという感じだが、無名のB級バンドとして聴いてみるとかなり味のある面白いバンドに聴こえるから不思議。あのUFOとして聴いちゃうとダメだけど英国B級バンドとして聴くとね、かなり良いよ、これ。ピート・ウェイのベースがかなりよろしいし、フィル・モグの歌も味わいあるしさ、そういうバンド。英国B級を漁っててもこのUFOってのはあんまり出て来なかったなぁ…、見て見ぬふりしてたのかもしれないけど、ダメですな、そういうのは。きちんとB級バンドとして聴いておいましょう。素晴らしくカッコ良いです(笑)。

Uncle Dog - Old Hat 1972

Old Hat 英国のジャニス・ジョプリンと異名を取った女性の歌姫はもう一人いたのですな…。キャロル・グライムズという人でして、まぁ、聴けば一発でなるほど、ってなモンだけど、ちょっと過剰解釈しすぎているかもしれない。ってのは、彼女の経歴を漁っているととてもジャニス・ジョプリンの世界とは近くないからってのがわかるからかもしれない。まぁ、それでも聴いていると確かにホンモノのソウルフルでブルースな歌声ってのが事実だから良いでしょう。

 1972年にリリースされた多分Uncle Dogというバンドとしては唯一の作品なんじゃないかな…、「Old Hat」っつうアルバムです。アチコチで紹介されているんだけど、その紹介のされ方もこれまたマチマチだね。ひとつにはジャニス・ジョプリンの再来と呼ばれたキャロル・グライムスをフロントに配した土臭い香りのする英国産ロック、ってなものだし、また別の言い方ではあのフリーのポール・コソフとラビットがゲスト参加し、幻の、そして誰が聴いてもコソフのそれとわかる泣きのギターソロが入っている英国スワンプロックの傑作、とされていたりする。また、スワンプ=パブロックのアルバムとしての傑作という呼ばれ方をするケースもあるみたいで、結局そういう音です。アルバム「Old Hat」自体は。だから非常〜に聴きやすいし、快活に聴けるのでキャロル・グライムズの歌声云々っていうだけで引かなくても良いのですよ。

 うん、中身はホントに乾いた土が吹き込んでくるようなスワンプで、非常に軽快な楽曲ばかり。キャロル・グライムズの特徴のある声質を巧く曲に当て込んでいるので楽曲としての融合が見事。そこにA面ラストだった「We Got Time」という熱唱型バラードが入ってきてコソフのギターソロが熱く弾かれるモンだから堪らない。この曲自体はどっちかっつうとR&B的な盛り上がりを見せる曲なんだけど、コソフのギターの凄さだな…、それとキャロル・グライムズの魂から歌われている声が見事にマッチして素晴らしい空間を創り上げている。正に「Old Hat」アルバム内のひとつのクライマックスです。正直言って、この一曲だけで聴く価値アリのアルバム。

 個人的にはキャロル・グライムズってのはDeliveryの頃が好きで、カンタベリーとブルースの融合って思ってるんだけど、それでこのアルバムだからびっくり…っつうかそのままだ〜って思って驚いた。しかもコソフだし。アルバムとしてはあまり好まないタイプのサウンドだけど、やっぱ歌声に参ったよな。アナログ時代にはほぼ見つけられなかったアイテムで、CDにも全然ならなくて結構聴くのに苦労したアルバム…ですね。

UPP - UPP 1975

UPP 以前はそんなに情報量が多くなかったから気になるミュージシャンのセッションなんてなかなか全部は網羅しきれなくて、だからこそレココレ誌なんてのが重宝したし、レコードのライナーに書かれているほんの少しの情報を元に色々と探し回ったものだが、今の時代はそんなもの大した価値はなくなってて、ググれば何か出て来るから後は漁って調べろ、ってなもんだ。実際これは手段としては有用だけど、何気なく読んでて気づくものとは大きく異なるので、どっちが良いかは何とも言えん。意図的に調べるなら今の時代は最高。ただしキーとなるきっかけがなければ深追い出来ないから、何気なく目に入ってくるという状況が少なくなっているというのは明らかに現代はきっかけを逸している気がするね。

 UPPって知ってる?ベック好きな人なら知ってるのかもしれないけど、日本では1993年頃までリリースされなかったらしい…、1975年リリースの英国のベース、ドラム、鍵盤の3人によるファンクフュージョンバンドの作品「UPP」。こいつのプロデュースをベックがやってて、当然ながら上記の三人によるトリオ編成だもんだからギターいないんだな?んじゃ、俺弾くわ、ってくらいに普通にギターとして参加してるからほとんどベック込みのファンクフュージョンバンドになってるワケ。しかも自分のソロアルバムやバンド関係でのプレイとは違って実験的なのも多数やってるし、客演というリラックスした環境からか、楽しそうに弾いてるしトーキングモジュレーターっつうおもちゃで散々遊んでるし、リズムも自身の経験した中では多分あまりここまでグリグリなのはなかっただろうことから、大いにチャレンジして遊んでるような感じだ。

 それにしてもこのUPPってバンドのベースが凄い。ここまで弾くのか?ってくらいのベースでグリグリと跳ねてて心地良いもんね。ドラムも細やかなテクニックがしっかりしてて楽しめるし、そりゃベックも遊べたハズだてな感じで、歌だけはちょいとアカン気がするけど、演奏は楽しめます。曲が良いってのはまるで無いので、演奏だけの話だけど。そこでのベックはもうね、ホント、やっぱりギター好きなセッションマンなんだろうなぁ、ベックのバンドとして出した方が明らかに売れただろうし、ベックのディスコグラフィーには載せておくべきなアルバムな気もする。

Vinegar Joe - Vinegar Joe 1972

Vinegar Joe  今はどう思う人が多いのか分からないけど、ブルースギタリストって言うと不幸な人というイメージが付きまとっているらしい、と話しててなるほどなと笑えたのだけど、そう言われてみるとそういうギタリストってのは割と好きかも。もっとも白人のロック系のブルースギタリストに限る話なので、そんなに数多くないというのはあるけどね。ここのトコロちょいと土臭い方面にも向いていたところに、こういうバンドってあまり聴いてなかったな、ってことで登場です。

 Vinegar Joeってロバート・パーマーが歌ってたってことで知られているバンドの1972年の最初のアルバム「Vinegar Joe」。もっとも狙いはロバート・パーマーじゃなくってエルキー・ブルックスになるんだけどね、このお姉ちゃんの歌声はもうロバート・パーマーなんてどこ吹く風、そもそもツインボーカル体制なんて要らなかったんじゃね?って思うけどさ、それはそれで狙いがあったのだろう。初っ端からなんとも硬いトーンのベースで始まり、如何にもスワンプと言った曲が始まり、ロバート・パーマーってこんなに艶かしく歌ってたのか、ってくらいにイメージと異なる歌が出て来る。ライブ映像見ててもやっぱグラム的な動きがしたかったんかなぁ…と思うようなスタイル。さほど何か強烈に残るモノは見当たらないんだが、やっぱりエルキー・ブルックスの歌声に尽きる。

 それに加えてのカントリーとスワンプな楽曲郡、割と心地良いなぁ…、あんまり馴染みのないサウンド…ってもストーンズでおなじみの類の音だから違和感はないけどね、あのヘンの曲をジャニスが歌っているというイメージを持ってもらえればそれがVineger Joeってバンドだ。結構クセになるバンドと歌声で、ギター聴いてても個性的なヒーローってんじゃないけど、やっぱり良い感じのスタイルで好ましい。レスポールゴールドトップとかなかなかこの時期いないし、しかもハムバッカー付いてるからオールドだろうし、ちょいと気になる存在。新たなブルーススタイルに取り組んでいたのかもしれない。この頃のロック好きなら聴いてみて損しないバンドです。

Vinegar Joe - Rock 'n' Roll Gypsies 1972

Rock 'n' Roll Gypsies まだまだ自分が聴いたことのない音楽ってのがいっぱいある、といつもいつも実感します。一応英国ロックをメインでコレクトしたり聴いたりしてたんで、何となくその辺は網羅してるだろう、と思ってたんだけど、それは英国ロックという全カタログからしてもほんの僅かでしかなかったってことだ。そりゃ昔のモノの本に掲載されていたアルバムをひたすら集めて聴き漁っていたのだから知識レベルもその本に依存してしまうワケだし、数冊その手のを揃えてひたすら聞きかじっていったって同じ事だ。もちろんそこから人名による人脈でアチコチのバンドなどにも手を出したりジャケットで手を出したりするのはあるのだが、そこからきり離れている部分は知らないままなのだな、多分。それとロックにこだわってたからポップな世界とのリンクまでは何となくあったけどポップな世界ってだけではちょっと食指が伸びていなかったのも多かったってことだ。ふたつとも同じようなモンなのにね。

 ってことで何で自分がこのバンドを聴いたことなかったのか?この女性の歌声を聴いたことがなかったのか?聴いてみちゃうと不思議だな~って思う。エルキー・ブルックスって女性知ってる?昔々Vinegar Joeってバンドがあって、そこのメインボーカルを張ってたやんちゃでお転婆的な歌を歌う英国の女性です。しかもそのVInegar Joeってバンドはツインボーカル体制で、もう一人の男性ボーカル担当はロバート・パーマーだった、ってことでその系統からのルーツ漁りがあればさっさと辿り着いていたのだろうけど、まるでそんな系譜は辿らなかったので知る由もなかった、ってことだ。それでもこんだけのバンドならな~、どっかで遭遇してても良さそうなのに。ただ、英国ロックでもスワンプ系は割と苦手だからわかんないけどさ。

 それでいて、「Rock 'n' Roll Gypsies」のこのジャケットだ。普通に見つけたら手に取って考えるだろ。見たことなかったな~、縁がなかったんだろうな~。なんだよ、この大股開きのオンナの迫力は。それだけで決まりです。「Rock 'n' Roll Gypsies」は1972年の作品でバンドとしては3枚目、アイランドレーベルからもメジャーデビュー盤としては3枚目になるみたいだが、惜しいよな~、アイランドレーベルならポール・コソフ参加してても良かったのにな~、アンクル・ドッグには参加しているんだからここでヴィネガー・ジョーに参加してても…なんて勝手な空想もあるが、ジャケットとYouTubeで見られる当時のライブからはちょっと想像を外してくれたレイドバックした感じのスワンプってのが残念。もっともっと彼女の声を生かしたスタイルのバンドだったら面白かったのにな、とすら思う。明らかにロバート・パーマーは出る幕なしなワケで、躍動感溢れるテレビライブの方が面白いな。アルバムそのものはちょいと…だけど、良いもんに出会えた♪

Wally - Wally 1974

Wally 久々にプログレらしいプログレってのも聴いてみたいな…と秋の深まった頃に思いまして…うん、B級品も面白いんだけど、その中でも色々とあってさ、割と細分化されるっつうか方向性自体はプログレ的なものとかジャズ的なものとかブルースよりとかあってね、その辺行くとプログレッシブな展開ってのは割と多くはないのかもしれない…っつうか構築美って意味では。アヴァンギャルドなのは多いけどさ(笑)。さてさて、そんな中でもなんとあのアトランティックレーベルからイエスのリック・ウェイクマンのお墨付きでデビューしたウォリーというバンド、かなり洗練された音を出しているのでちょっとご紹介♪

 1974年リリースのファーストアルバム「Wally」で、この後もう一枚リリースして解散したのかな。メジャーレーベルからの配給によるかなりしっかりしたプロダクションの元でリリースされたバンドにも拘わらずやはり短命に終わってしまったのはちょっと勿体ないっていうバンドでね、音は面白い。バイオリンがインパクトを与えているんだけど、それだけじゃなくってしっかりと楽曲がプログレッシブロックしてて、テクニカルでもあるので音だけ聴くともっとできたんじゃないか?と思うくらい。ハードで美しい楽曲からアコースティックタッチの美しいコーラスを聴かせる牧歌的なものもあれば、繊細な笛を美しい効果音の中で聴かせてくれるものもある。そしてどれもこれも優しいボーカルが楽曲を繋げていて、相当洗練されている音。もともとフォーク上がりのメンバーによるバンドのためアコースティック系統の曲から出来上がったものが多いのも特徴的だけど、冒頭の「Martyr」がバンドの代表作のような印象を持たせてしまうので一気にプログレ的扱いされるのもわかるなぁ。

 今の季節にはぴったりの音でさ、モノ哀しくもあり、ちょっとエキセントリックでもあり叙情的でもあるっつうのがよろしい。アナログ時代には全然見たことなかったけど、CDでは割と早くにリリースされたような気がする。聴くのは遅かったけど、聴いてみてちょっと驚いたバンドのひとつ。やっぱりメジャーレーベル配給のバンドはしっかりしてます。

Wally - Vally Gardens 1975

幻想の谷間 <Progressive Rock1300 (SHM-CD)>  何も考えずに音の世界を進めていくと自分的にはどうしても70年代の英国へと行き着いてしまう変わらなさ。耳慣れているのもあるし知識的に一番追求してたからふと思いつくのもあってたどり着いてしまうんですな。ただ、自分のルーツがそこかと言われると割とそうでもなくて、もう何だかよく分からなくなってるのはある(笑)。1975年にリリースされたWallyというバンドのセカンド・アルバム「Vally Gardens」。前年のデヴューでそれなりにシンフォニック+トラッドで正に英国ドンピシャ的な音だったのとイエスファミリーバックによる完全なプロダクションで出てきた事もあって完成度の高いサウンドを聴かせてくれたことで結構評価も高いバンド。その二枚目だからね、ほぉ〜と期待しちゃうワケです。もっとも自分が知った時には二枚同時に再発されてた時だけどさ…。

 イエスファミリー的に語られることもあるけど、そこまで似ている音でもない。普通に叙情派なバンドでメロディも綺麗でしっかりしてる。このアルバムでは初っ端からペダルスティールギターが大活躍、叙情的な部分ではバイオリンが活躍するというありそうでなかなか見当たらない音世界を作っていたのは結構貴重。そのあたりの共通項もあったのかこの年のミッシェル・ポルナレフの日本公演の前座とバックバンドで来日してたらしい。それは知らなかったなぁ…。うん、コレ、実は凄く良いアルバムでね、2曲目なんて叙情派の最たるところにフロイドの狂気よろしく女性コーラスが被ってくると言うあのスタイル。曲調も似ていると言えば似ているか…。全体的にそんな雰囲気が漂っていて、突出する凄さはないけどインストの方が長めなのかな、歌が下手ってんでもないけどね。どの楽器が目立つってのもないし、曲と雰囲気に合わせて想定通りの音が出てくる、みたいな…、いやぁ、こういうのじっくり聴いてると心が豊になるなぁ…。

 調べてて驚いたのは2009年?くらいに再結成して新しいアルバム出してライブもやって、そのDVDもリリースされてるみたいで、それは知らなかったけどメンバー二人になっちゃったらしいけど頑張ってます的な。なかなかの好盤のようで、それもまた気になるね。

Warm Dust - And It Came to Pass 1970

And It Came to Pass 英国には実にバラエティに富んだサウンドを奏でるバンドがいくつも存在していて、試行錯誤と実験、そして悠然としたプライドが漂っているところが面白い。特に1970年代のバンドはそれこそが自身達のスタイルで何がシーンに受け入れられるのかすらもわからないまま実験を繰り返してきている。これは単独のバンドが、というのではなくってシーン全体がそういう方向に向いていたってことで、レーベルが実験していたというワケでもない。そこが文化ってヤツで面白いものだ。自分でも結構漁り切った感あったけど、ポイントポイントで絞って探してみるとまだまだ有象無象のバンドやアルバムがあって、その深さには舌を巻くばかり。

 1970年にリリースされたWarm Dustというバンドのファーストアルバム「And It Came to Pass」よりはセカンドの「Peace for Our Time/Warm Dust」の方がやや知られていた気がする。ファースト「And It Came to Pass」は自分もまじめに探してなかったし見たこともなかった気がするが、ジャケットが面白い。こういうシニカルなユニークさはいいね。好感を持てますよ。丁寧な作りだし期待して音を聴くワケで…、そしたら驚くばかりに洗練されたブラスジャズサイケデリックハモンドロックみたいなのが流れてきてちょっと驚いた。もちっとベタなロックかと思ってたんでこのユニークな音作りはニヤリとしてしまったね。えっと…何言ってるんだ?って話だけど(笑)、そりゃ曲によるんでこうだと言い切れないが、ジャジー…ってもブラスとサックスや木管楽器だからジャズじゃないし、そこに歪んだギターとハモンドなどのサイケ時代に活躍した鍵盤系が絡み、テンポは基本ややゆったりめの歌モノ系ではある。ベースはもちろん然るべきランニングベースで、ドラムも手数はそこそこ多い。歌が強烈なインパクトで全体がソフトタッチな味わいになっているのに歌だけはエグい声でロックしている。何だろ、この浮遊感と言うか心地良さ感と全体的に英国然としているのにアメリカへの望郷が聴き取れるって雰囲気が楽しい。強烈なロックだ、ってワケじゃないけど繊細な英国ロックの黎明期を正に聴ける作品。

 ブルージーに進んでみたりジャジーに進んでみたり、何がやりたいなんてこと考えずに出てくる音をミックスしまくってジョー・コッカーばりの歌声で統一感を出して歩んでいるバンド。こういう実験精神こそがクリエイターの楽しみだろうよ。売れる売れないってのはあるけど、結構演奏だって悪くないし調べ切ってないけどこの後の音楽シーンに残ってるメンバーもいるんじゃないかな。センスもそれなりな感じだし、アルバム全編に渡って楽しめます、反面コレという突出したのがないのもあるが(笑)。

Warm Dust - Peace for Our Time 1971

Peace for Our Time/Warm Dust  久しぶりにこの辺のB級ロックに手を出しているか?そうでもないか(笑)。今やどの時代でもB級路線になってしまったロックってのがあって、それはメタルだろうがメインストリームであろうが世界が広がっているので、その中から次世代に繋がる音が出てきたり実験的だったバンドが取り上げられてカリスマになったりするってのもよくあるお話。英国の70年代B級バンドは自らがそうなろうと決めていたワケじゃなくて勝手にそうなっちゃっただけなので何も狙ってはいなかったと思うんだけどね、それぞれが色々な音楽を編み出したりアメリカからの影響を受けて独自解釈していたりと、そのアプローチ状況が独特で面白い。

 1971年にリリースされたWarm Dustのセカンド・アルバム「Peace for Our Time 」は一般的(?)にはアメリカのあのChicagoに対するアンサーバンドと言われているみたいだけど、そんなにジャズブラスロックしてるか?っていう気はするし、ノリと勢いをブラスで作っているっていう雰囲気でもないから、大きな勘違いなのかもな、と思ったり。もっと実に英国的にブラス系の音を入れてきてて、それは音楽そのものに合わせていくってのよりももっと展開の一つの音として使われていたりするし、それで盛り上げていこうなんていう使い方じゃないし、湿っぽくて湿っぽくて…正に英国的。それでもこの時代にこういうのを入れて出してくるってのは何かと重宝がられていたのは確かだろう。この頃にブラスロックとして英国出身のバンドなんてIfくらいなんじゃないか?アングラでもそうそうなかっただろうし。

 んでね、このアルバム、ど初っ端から曲ごとの繋ぎでもそうなんだけど、ポエトリーリーディング…ってかあらすじの解説が入っててね、それで曲を繋いでってるからひとつのトータルコンセプトアルバムになっているワケよ。それで曲もつながっているからきちんと聞いて歌詞を見ていくと楽しめるようになっていると思う。自分はやったことないけど…。しかし何やりたかったんだろうなぁ…これ、って思うくらいの曲もあるし、売れる売れないで言ったら絶対売れないだろ、これ、って感じだもん。それでも楽しむ人もいるんだから価値はあるけど、普通はかったるくなるんじゃないか(笑)。

Warhorse - Warhorse 1970

Warhorse 1970年頃のハードロックバンドってのはもちろん何度も書いているようにプログレチックな側面とかアドリブ面を強調したりとか色々あるけど、大まかにはギター主体のバンドかハモンド主体のバンドか、みたいな感じに分かれてたんじゃないかな。所詮ハードロックってのは歪み具合と音量で勝負みたいなトコあるからさ。いや、もちろん歌も重要なんだけど、ある意味パープルのイアン・ギランみたいな超ハイトーンってのはあんまりいないワケで、プラントはちょっと別格だが…。いずれにしてもA級品なわけだ。で、ちょっと格が落ちるとシャウト系とかダミ声とかそういうのになる。そういう面ではまぁ、ポール・ロジャースも別格だったりするが…。

 そのディープ・パープルってバンドは実によく面子が入れ替わるバンドであまり興味のないファンは誰がいつ在籍していたのかなんてことにさほど興味を持たない。多くは当然第二期の面子こそがパープル、って思ってるだろうし、せいぜいカヴァーデールがいた頃まで、即ちリッチー時代だな。不思議なのはそのリッチー時代と云いつつも第一期は結構無視されている。これは音楽性の問題なんだろうけど、英国ロックファンは第一期パープルの方が好きなんだという人の方が多い。これは多分英国ロックらしい音を出しているからだと思うんだけどさ。ファーストとか中途半端な音で良いもん(笑)。

 …とまぁ、パープルの話はいいんだけど、この第一期のパープルの主力メンバー(?)だったベースのニック・シンパーがパーピルをクビになってから組んだバンドがWarhorseっつうんだけどさ、これがまたその後のパープルと同じようなハードロック路線を歩むワケだ。もっともギター中心というよりかは鍵盤主体で進められるハードロックに近いね。面白いのはやっぱりベース音がでかいってことか(笑)。音楽的には多分コッチの方が第一期パープルからリッチーを抜いてそのままハードにしていったらこうなっただろうというような音で、はっきり云って相当かっこよい。決してB級ではなくって正当派英国ハードロックに君臨するべきバンドの音だ。

 しかしこのバンド、アルバム二枚残して解散しちゃうんだよなぁ。ボーカルも結構野太い声でかっこよいし鍵盤もモロって感じで良かったんだが…。一般にはパープル関連だからそれなりに知られていたバンドだとは思うけど、今ではやっぱB級に近いところに位置してるかな(笑)。ちなみにファーストアルバムのジャケットはもちろん見開きでデザインはキーフ。そしてレーベルはヴァーティゴ♪ いいでしょ〜、こういうのはそそられるんだよホント。そして音も素敵なので益々愛聴盤になるのだな。

Warhorse - Red Sea 1972

Red Sea まだまだ正月気分を堪能しているトコロで、やっぱり時間がたっぷりと有り余っている正月ってのはいいな。気持ちにゆとりがあるし時間にもゆとりがあるしあくせくする事もなくゆったりと音楽を映像を楽しめる。これ幸いとばかりにじっくりと音楽漬け満喫生活に入ってしまってるもん(笑)。こういう時間があるとでかいオーディオセットが欲しいな~とか思うんだが、年に一度くらいしかそんなゆったりとは出来ないだろうから結局コンパクトなセットで楽しむ方が現実的ではあるのだった…。いや、今はコンテンツを存分に満喫しているので良いです。

 1972年にリリースされたWarhorseのセカンド・アルバム「Red Sea」。ファーストの「Warhorse」はもう書いてしまっているのでジャケットが馬なのは後で出すとして、今回はセカンド・アルバム「Red Sea」の方。それでも見開きジャケットを開いて後ろの方…左側の船の後ろ側には馬がちゃんといるんで、よろしく…前方にも馬顔がくっついてますがね(笑)。ディープ・パープルの「In Rock」や「Fireball」みたいな個人的にはあまり好きではないジャケットのセンスがWarhorseにも引き継がれてしまったのかと残念な気がするのだが、もちろん事実はそんな事はないです。後付で自分が見た時にそう思っただけです(笑)。

 第一期ディープ・パープルのベース奏者ニック・シンパーがディープ・パープル脱退後に組んだバンドってことでそれなりに知られてはいたけど所詮脇役のバンド、一枚目の「Warhorse」はジャケットにキーフを採用して正に70年代英国ロック風な、そしてヴァーティゴからのリリースってのもあって思い切りマイナー英国ロックの一バンドとしてのスタンスを確立できたんだけど、セカンドアルバムは話題にもならず、歴史的には残されているけど実際にはかなり悲惨だったアルバムなようで…。でも、聴いていると自分は割と好きですね。ギターが激しく暴れまくるのも楽曲のB級感もこなれないバンドのスタイルも、そして同様に何の特徴も見られないバンドカラー…これが致命的だったんだが、ニック・シンパーの名前だけではなかなか売れなかったという…。しかもバンドとして英国B級ロックの中では衝撃的なインパクトが与えられるほど個性的でもなかったってか。でも、ボーカルのAshley Holtは結構英国的ハードロックシンガーな声してて良いんだけどな。このセカンドアルバム「Red Sea」ではファーストからギターが変わってるのもあってか、結構弾きまくってる…しかもこれストラト系の歪だろうからリッチー的とも言えるか。割とエグいんで良いけどね。

Warpig - Warpig (1970)

Warpig やっぱさ、ガツンと来るハードロックってのはいつでも気分を盛り上げてくれるってなもんだ。Twitterで紹介してもらった自分の知らない世界がどんどんと広がっていくのがあまりにも面白くてついつい多々入手してしまうのだな。こうしていると多分自分の好みもわかってもらえるワケで、また面白いものを紹介してもらったりもする。はたまた何気ない会話の中での一幕のバンドが気になったりまた切り捨てたりってのはあるんだけど、そんな連鎖がSNSの本領部分なんだろう。自分はまだまだ全然そんなに使いこなしてはいないけど、そんな気がする。

 そんな出会を果たした自分だけでは多分辿り着かなかったであろう珍しいカナダのバンドをご紹介。1970年にリリースされたWarpigというバンドの「Warpig」というアルバムで、どうも1970年の春に出たらしい。これ、重要。Twitterの会話で色々発覚したんだけどさ、このWarpigってバンドの音ってさ、どう聴いてもUriah HeepとBlack SabbathとLed ZeppelinにDeep Purple的オルガンエッセンスを加えたバンドで、しかも1970年だから出てくる音の空気感も同じだから後から出てきたクローンとは違ってまるまる1970年代のあの雰囲気を出してて本物なんだよ。多分カナダでは相当本物だったんじゃないだろうか?  音はね、そんな感じでの熱いブルースロック的ギターに楽曲は重く暗く、ハードにヘヴィに泥々しく、全く英国風なハードロックで実に聴き応え満点。それで、語られるのは上記バンドの影響を受けて云々、なんだが、Deep Purpleの「In Rock」がリリースされたのが1970年の6月、Black Sabbathの「Paranoid」が1970年の9月なので、その辺の音の影響下とは云えないってワケで。Deep Purpleがハードになる前の音だし、Black Sabbathだってファースト「Black Sabbath」しか出てない時、そしてUriah Heepのファースト「Very Eavy Very Umble」ですら1970年の6月にリリースされているワケだからUriah Heepの影響はほぼ皆無なハズ。そしてカナダなんだから英国のリリースよりも聴けたのは遅かっただろうから、影響受けてるとしてもそれほど多くないはず。それでいてこの音かい?ってことはセンスとしちゃ当時の英国のそのヘンのバンドと同じレベルにあったっていう事なんじゃないか?まぁ、逆に影響を与えたってほどではないと思うが…。

 そんな時系列を知って唖然としながらアルバム「Warpig」を聴くワケだ。え〜、でもさ〜、どう聴いてもUriah HeepやBlack SabbathやDeep PurpleやLed Zeppelinだろ?って思うんです。だから凄い。同じレベル。え?そこまで褒めても何も出ないさ、でもさ、そういう知られざるバンドでも時代がきちんと後押ししていた、しかもカナダで、だ。何かそういう奇跡的なところに気づいてしまってからこのWarpigというバンドの音がパクリとかそういう次元で聴けなくなって、きちんとしたオリジナルなバンドとして聴いている自分なんだな。熱くてハードで良いっす♪

Web - I Spider 1974

アイ・スパイダー(紙ジャケット仕様) バンドやアーティストにとってアルバムジャケットってのはやはり結構な意味を持っていてほしいものだ。自分のバンドを表現していたり音の世界を表現していたり…、もしくは奇抜で人の記憶に残るようなジャケットとかインパクトを与える何かを付けているとか…変形ジャケットなんてのはそんな類なんだろうけど。まぁ、顔を売りたいって人もいるだろうし、色々あるんだろうけど、そんな中で奇妙〜なモノとかちょっとキモイものってのもあって、いくつかは成功しているが概ねマイナス要因になってしまっているというものも多い。音だけを聴くならば全然かっちょよいんだけど、ジャケが聴き手を阻むっていうこともあるのだな。気になって聴く、っていう人もいるのだが(笑)。

 そんなジャケットのひとつでもあるウェブの三枚目1970年作品「アイ・スパイダー」。ちなみに表がこのジャケで裏は同じように頭がピースサインしてるので、多分ウサギをもじったもの。表ジャケはガチョウみたいなもんだろうけど尻尾がないからかなり不気味な生物みたいに描かれていてちょっと生理的に嫌気が差す。

 バンドとしては実はこのアルバムは三枚目でして、それまでのアルバムば全然売れなかったってのは大きい要因なんだが、その際に主要メンバーも入れ替えていて…と言うか、デイヴ・ローソンが加入した作品って一言で済むか。ただ、加入ったって、鍵盤は弾いているし歌は歌っているし、更に全曲作曲までしているって、ウェブというバンドがいきなりデイヴ・ローソンのバックバンドになっちゃったワケだよ。そんだけ認めさせてしまったっていうデイヴ・ローソンって凄い才能の持ち主なのだろうと思うが、あり得ない話でしょ、普通は。でも、それが結局40年近く経った今ではこの「アイ・スパイダー」こそがウェブというバンドの傑作として挙げられている、っつうかそれしか挙げられない。それもこれもデイヴ・ローソンのその後の成功のおかげかもしれないんだけど、それくらいインパクトがあったメンバーチェンジ。そこにこのジャケットでそれまでの印象を変えて、っていうこともあっったのだろう。

 音はだね…、これがまたさすがに素晴らしく良質且つムードバッチリの叙情系プログレッシブロックとジャジーな雰囲気を混ぜ合わせた美しい作品。メロトロンが鳴っているのも良いし、そこに管楽器が上品に絡んで作品が構築されているってのも巧い。A面は組曲になっているのでその雰囲気と構成がしっかりと聴き手に伝わってくるね。繊細な音色の塊で、雑なところがひとつもない見事な出来映えです。それこそデイヴ・ローソンの仕事ってのがよくわかる。もうちょっとジャケットが美しかったらもっと名盤扱いされていたと思うんだがなぁ…、まぁ、それも英国ロックの歴史だ。

 ちなみにこのウェブと言うバンドは、この「アイ・スパイダー」をリリースした後、ほぼそのままのメンバーであまりにもデイヴ・ローソンのインパクトが強かったためかSamuraiとバンド名を変えてアルバム「Samurai」をリリースしている。これも当然ほぼニアリーな音作りなのだが、もうちょっと詰め込まれているかな。そんでデイヴ・ローソンはグリーンスレイドへ参加していくのだが…、この人、凄く良い仕事しててさ。ケイト・ブッシュやサリー・オールドフィード、イエスの「91025」とかも参加してるし驚くことにその流れでアラン・ホワイトとクリス・スクワイアとジミー・ペイジが組んだXYZというプロジェクトにも参加していたらしい。う〜ん、さすが大英帝国の職人。

White Noise - An Electric Storm (1969)

An Electric Storm 別に自分で意図してないけどこのブログの場合は流れに左右されることが多くて、ここのところユーロロックでイタリアから始めてみよう~なんて思って書き進めていたんだけどなぜかアヴァンギャルド傾向になっているじゃないか(笑)。ちょっと軌道修正もしなきゃ…と思いつつ、だってアヴァンギャルド系ってやっぱりスーパーニッチな世界だからここを訪れてくれる人も読み甲斐ないでしょ、そんなアヴァンギャルドもんなんてさ(笑)。まぁ、気に入ってくれてアマゾンクリック♪ってしてくれるのかもしれないけどさ。

 まぁ、そんなことではあるんだけど、今出さないと多分出す機会が多くはなさそうだっていう音があるのでちょっと国を跨いではいるが我らが大英帝国の誇るアヴァンギャルドミュージック…、しかも1969年産なのでさすがに何よりも早いアーティスティックな側面を実現しているところが英国。そしてこんな音を聴いてもものすごく英国的って感じるところがあるのもこれまた楽しい。1969年だからソフト・マシーンなんかがフリージャズに走るよりも早かったワケだが、White Noiseというバンドによるスーパーアヴァンギャルドサウンド♪

1969年にリリースされた最初の作品「An Electric Storm」を聴いてみるとわかるんだけど、まぁ、エロな声が最初から思い切り被ってくるのはお約束…それでいて結構軽快な音の運びでして、何かよくわからないアヴァンギャルドな世界を作っているのにどこかコミカルで聴きやすく軽やか…、こういう世界観が後にダグマー・クラウゼなどに引き継がれていくんだろうな、とそんな感じ。紐解いてみれば1969年という時代にアナログテープでこれらのサウンドコラージュをひたすら作り上げていて、その作業量は居間から考えるととんでもないくらいのもので、アルバム制作には優に一年以上かかったらしいし、もちろんテープのトラック数も多くはないから大変だったろうな、っつう努力票も入っての名盤だね。もっともそういうアイディア自体が凄いんだけどさ。

ちょっと調べてて凄かったのは何だかんだとず~っと活動しているみたいで2000年には「white Noise」の四枚目ってのがリリースされてるみたい。もちろんアマゾンにはないけどさ(笑)。

Widowmaker - Widowmaker 1975

Straight Faced Fighters 唐突だがやっぱりロックの歴史は深い。いや、人脈の広さは面白い。レインボーとチキン・シャックが繋がり、Mott The Hoopleも繋がる…即ちボウイとも繋がり…とまぁ、そんな調子だ。なんで?ってなるところにミソがあるのだな、このヘンの深みは。英国ロックは音の深みもあるが、幅の広さにも驚く。そしてこうした人の広がりとジャンルを跨いだりレーベルを超えたりして際限なく続く。ウチのブログってのは基本的に関連性のあるものを繋いでいってるんだけど、ブログという形式上、どうしても一方向にしか進めないのでついついいつも違う方向に向かっていってしまうんだが(笑)。

 1974年頃に結成されて翌年1975年にアルバム「Widowmaker」がリリースされたバンド名もWidowmaker。そんなに知られてはいないだろうな、とは思っているがもしかしたら自分があまり知らなかっただけかも。レインボーを好きな人にはベースのボブ・デイズリーが参加していたバンドとして知られているかもしれない。モット・ザ・フープル好きな人にはアリエル・ベンダー=ルーサー・グローブナーがMottの次に組んだバンドとして知られている?はたまた往年の60年代好きにはLove Affairというバンドのボーカルでもあるスティーブ・エリスが組んだバンドとしてとか…、もおう一人のギタリストはホークウィンドにいたし…みたいなね。まぁ、色々な絡みがあった人物達が組んだバンドでして、メンツだけを見るとどんな音が出てくるのかちょっと想像付かなかったんだけどね…。

 現行のCDでは最初が「Such A Shame」というボーナストラックで始まってしまうので印象が大幅に変わってしまうのだが、その実CDでは2曲目の「Pin A Rose On Me」からがアルバム「Widowmaker」リリース時の一曲目となるようだが…、いきなり美しいアコースティックギターの音色からどこかアメリカの望郷を思い浮かべるような曲調だ。多分実は音楽センスに優れていたアリエル・ベンダー=ルーサー・グローブナーによる趣味的方向性を代表するようなものだろう…、が、かなり良い出来映えで、アルバム通してこの曲が異質な曲なんだけど、それを最初に持ってくるって凄い発想。

 その後からは割とご機嫌なハードロックともロックとも云える…もしくは確かにMott The HoopleとRainbowを合わせたような音世界かもしれない。もっとも歌がポップなのでイメージとしては異なるけど、歌も巧いしロックしてるし結構かっこいいんだ。売れ線のメロディもあるしノリも良いので何が悪くてここまでマイナーなバンドなんだろうか?バンド自体はもう一枚アルバムをリリースして解散している→ボブ・ディズリーのレインボウ加入がきっかけだったみたい。もうちょっと本腰入れたらかなりかっこいいバンドなのにな、勿体ない。正しく英国ロックの音でもあるんだけど、どこか哀愁漂う素敵なハードロック寄りのロック。ちょっと何回か聴きたくなる音です。

Wil Malone - Wil Malone 1970

ウィル・マローン Orange Bicycleのサイケデリック且つポップでカラフルな展開とは裏腹に、中心メンバーでもあったWil Maloneという鍵盤奏者はその才能を解き放ち、即座にソロアルバムをリリース。それが1970年のことなので、まったくOrange Bicycleと時をほぼ同じくしての活動だったのか、活動停止後即座に動いたのかよくわからないけど、素朴なアルバム「ウィル・マローン」が出来たのだな。

 カラフルなOrange Bicycleとは正反対に純朴で素朴でシンプルにしゃがれた声で聴かせるシンガーソングライター作品的なメモリアルとなってる。最初期のデヴィッド・ボウイみたいなサウンドがいっぱい詰め込まれていて、それがまたかなり良質なセンスを感じるモンだから面白い。英国人ってのは普通にこういう音が出せるものなのだろうか?ってくらいにボウイの初期作品と同じ音してるもん。ニッキー・ホプキンスとかも参加しているようなので、スタジオミュージシャンでもあった、そしてモーガンタウンスタジオの主でもあったWil Maloneならでは音作り。それは素朴に自分を出したもので、何も凝ってないし装飾も施していない、そんな純朴な音。時代を反映して多少カラフルにはなってるけど、やっぱりボウイの最初期と同じ表現程度。あの「Space Oddity」を出す前あたりのボウイね。

 ジャケットはちょっとサイケデリックな印象で、妖しげなのであまり手を付けたいっていう絵じゃないんだけどさ、かなり好きな音だな。驚くのはこのWil Maloneって人はこんな純朴な音やっていながら、その後あのIron Maidenのファーストアルバム「Iron Maiden」のプロデューサーもやっているという人です。なんだろね、その振れ幅の大きさは(笑)。今でも新しいバンドの作品を手がけていたりする裏方の大御所になっているみたい。知らず知らずにアルバムにクレジットされている人なんかな、今は。そんな歴史的な方の多分唯一のソロ作品「ウィル・マローン」。良い雰囲気ですよ〜。

Wild Horses - The First Album 1980

THE FIRST ALBUM 最近歳のせいか記憶があやふやになってきてる事が多い…歳ってほど歳でもないんだと自分では思ってるんだが視力聴力記憶力体力共々衰えつつあることを自覚する出来事が多発している事からするとやっぱり歳なんだろう。酒を飲みながら下らない話をしてても世代間ギャップによる会話の冷たさも幾つか経験してるし…何の話だっけ?あぁ…それで聴いたことあったっけ?とか聴いてたな、なんてのを忘れてたりすること多々。ブライアン・ロバートソンの話でそれを思い出してさ。

 Wild Horsesっつうバンドがあったんです。1980年にアルバム「The First Album」を出してる一応メンツ的にはスーパーバンドとも言えたんだろうけど何故かNWOBHMの一員として扱われることも多かったらしい。音的には全くHMとは縁遠いスタンダードなブルースハードロックな感じで多分ブライアン・ロバートソンの作風が生きてるんだろうと思うが、そこにレインボウで名を馳せたジミー・ベインが絡んでの共作バンドと言う方が正しいかも。元々のメンツではジミー・マッカロック(Wingsな人)とケニー・ジョーンズ(この後The Whoに参加)って連中で、それなら全然歴史が変わっただろうなと言うか…ブライアン・ロバートソンってそういう方なんでしょう、きっと。結局レコーディングのメンバーはニール・カーターとクライブ・エドワーズとなり、ん?って人が多くなるワケで。まぁ、さほど影響はないと言えば無いんだけど英国HR周辺ではそれなりのキャリアを持った、持つ人達です。

 まぁ、そういうことで気負った聴き方をするとかなり期待を外す…ってかキャッチーすぎるだろとすら思うんだよねぇ。アルバム一発目のレスポールでのリフはカッコ良くバドカン風に炸裂してくれるんだが、如何せん地0ぷなドラムの音とジミー・ベインの何とも軽い歌が単なるポップバンドみたいにしてしまっている。時代と言えば時代だけどこれじゃどうかねぇ~ってなモンだ。ブライアン・ロバートソンのギターはかなり炸裂してくれているんで、多分本人は面白かったんだと思うけどさ。B級にもならずニッチ向けにもならず中途半端に知られているからこそ今の時代にどこにも登場することのないバンドになってしまった事例のひとつか…。

Writing On The Wall - The Power of the Picts 1969

 時代は1969年、レーベルはミドルアースというそれだけでもマニアックな感じがするでしょ?ミドルアースレーベルっつうと最初に浮かぶのがアルカディウムというバンドなんだけど、今回はもっともっとハードロック的な重さとテクニックを持ったバンドを書いてみよう。聴きようによっては最初期のイエスやパープル的なサウンドに聞こえるだろうし、音楽性の混沌さ具合もかなり時代を象徴していて面白い。

 ジャケット、強烈だよなぁ。右目の上辺りに注目ね。裏ジャケにはメンバーの写真があるんだけど、これがまた雰囲気のある連中でさ、決して若いとは思えない風貌と迫力。あぁ、バンド名はWRITING ON THE WALLって言って、このアルバムはもちろん唯一のアルバムなんだが(笑)、「The Power of the Picts」というタイトルね。オリジナル盤は見たことないです。レパトワーからのCD化の際に入手したので、手軽といえば手軽だったけど、このレーベルも凄いよな。こんなバンドのシングルでしかリリースされていないものをボーナストラックに付けてくれててさ、好きなんだろうなぁ、このレーベルの人達。わかるわかる。

 で、このアルバム、どんなんか、って言うとだな…。5人組でハモンドがギャーギャーと唸っていて、ギターはもの凄くチープなファズ音でブルージーに弾きまくるっつうもので歌は結構重いかな。ドラムはもちろん手数の多いパターンで基本的にはハモンドとギターが中心のバンドで正しくハードロックなのだ。しかも暗黒系。これなら十分にメジャーで通じそうなのだが、何がバンドの運命を変えていくのか、このアルバムのみで消滅してる。時代的にサイケもハードロックもブルースもあって、更にプログレの波が来てた頃だからホントにゴッタ煮状態でアーサー・ブラウン的な狂気も持っているし、それはハモンドの効果が凄く大きいのかもしれないけど、更にそこにリフもの一発のギターが刻まれるっつう面白い展開もあったりさ、ワケわからん状態の曲もある(笑)。かと思えば実に英国的なフォークダンス調の田園風景を思わせるイントロから始まる強烈なブギーがあったりさ…、しかもこれクラビネットだよ。

 …とまぁ、実に多様な音楽性に富んでるんだけど、面白い。今のバンドがどれだけ偏ったことしかやってないのかよくわかるくらいに滅茶苦茶。でも不思議なのはバンドの音というのが一貫しているところかな。これはどのバンドもそうなんだけどしっかりと持っているもんね。ミニチュアZepみたいなもんか(笑)。しかしアマゾンにこんなのがあるとは驚いた…。

Zakarrias - Zakarrias 1971

妄想(紙ジャケット仕様)  超B級路線のバンド、というかソロプロジェクトというか無名、でもあるしその筋ではモンスター級のレアアイテムとして有名、かもしれないザカリアス。なんつうかな、図太いベースが特徴的で、でもギターが歪んで言うというハードロックじゃなくてそのヘンはアコギ的なのでかなり不思議なサウンド。1971年リリース「妄想」、しかもデラムからのリリースだからおかしいハズでして、サイケデリックな感覚は持ち合わせているけど、それよりも全く典型的な英国B級的香りがぷんぷんするアルバムです。

 クォーターマスからのピーター・ロビンソンとかハットフィールドやスラップ・ハッピー絡みのメンバーとか参加しているんだけど、基本一人でマルチにやってる人。出身はオーストラリアっつうから英国ロックと言っていいのかどうか…。ただ、英国育ちであることは間違いなさそうで、線の細い歌声が危なげでユニーク。どっちかっつうと初期のグラム系な感じだな。ボランあたりがやっててもおかしくないっつうか、そんな感じ。久々にこの辺を漁ってるんだけど、やっぱ音色の古さと空気感の古さが良いね。今の録音では絶対にできない音がパッケージされてるもん。

 日本ではこういうのが紙ジャケ化されたりリマスターCDがリリースされたりするから凄いよね。自分のは昔々エジソンからリリースされたアナログ落としのCDだから相当古いかも。まぁ、買い直すほどでもないけど、音的には割と好みで、結構この季節に聴くには良い。

Zior - Zior (1971)

Zior 黒魔術をロックに持ち込んだので有名なのはもちろんBlack SabbathなんだけどBlack Sabbathの黒魔術の持ち込み方ってのはギーザー・バトラーの趣味ってだけでコンセプトでしかなかったし、まぁ、もちろんそれをモチーフにオドロオドロしいリフや音使いってのは相当研究して作っていたワケで、それだけで素直に音楽家なんですね、黒魔術的音楽を作る、ヘヴィロックの世界でそれを作る、というコンセプトに向かって進んでいたワケだから。一方ではホントに黒魔術を実践している人たちがたまたまミュージシャンだったっていうパターン…グラハム・ボンドなんてのは60年代半ばにそんなんだったワケで、そっちのが全然早い。ただ、コンセプトとかじゃなくてそのままだったから出てくる音はもちろん全く対照的とも言えるくらい違う。まぁ、その合間をアーサー・ブラウンがエンターティンメントとして黒魔術を扱ってはいる感じだが。

 何を隠そう、Led Zeppelin…ってかジミー・ペイジだな、に興味を持ってアレコレ調べたりしてると黒魔術ってのがチラチラと出てきてさ、それがホントかどうかはともかく黒魔術に対する魅力ってのはやっぱりあって、結構調べたりしたんだよね、昔。その気になれば結構色々あって、もちろん映画とかでもモチーフにされてるのも多いし、本も結構色々出ているんでそれなりに知識を得ることは出来る。ただ、多くは考え方と呪術式のやり方とかそんなんで、そこまでやることもないから「へ〜」で終わるんだけどさ、なんか、そこから先に行ける人ってやっぱ本物、って思っちゃうんで(笑)。あくまでも知識レベルの宗教学でしかないんだけど、結局よくわかんなかった。別に白も黒も基本的に同じ魔術らしいし、結局何が違うのかってのはやっぱりいつもの如くマイナス面に進めるかプラス面に進めるかのお話。ま、スターウォーズのダースベイダーですな。アメリカは実にわかりやすい(笑)。

 話が逸れた…、はい、そんなことでMonumentの元バンド、Ziorの登場です。読み方についてはザイオールって書かれてるのもあってよくわからんけど、もう25年くらいツィオールって読んでるので、そういうもんだと思ってます。アルバムは一応二枚くらい出ているみたいだけど今じゃ「Zior」というファーストアルバムのふりした作品に全部詰め込まれていて、昔一回だけレコード見かけたけどセカンドは知らなかったな。自分もCDですね、これは。肝心の音だが…、いや〜、どんだけぶりに聴いたことか、これ、結構ポップでカラフルでキャッチーだったことに驚いた。黒魔術的ってこともあんまりないし…、ただ、底辺にず〜っとモヤモヤしたものが漂っている感触の残るポップさで、それは多分オルガンによる重さだったりするのかなと。楽曲はC級に近いB級ロック…、ワンパターンなリフと適度なアドリブ演奏にカラフルな楽器陣、覚えることのできないメロディが叫ばれる、みたいな感じです。意外とリフで攻めてくるナンバーもあったりしてどんなんやりたいんだ?ってのもあるなぁ。この後の変名Monument聴いてるとそっちのはホントに黒いから、Ziorは営業用のバンドだったんかな。そしてアルバムジャケットはこれ、もちろんキーフの写真デザインですね。Black Sabbathのファーストと比べてもよく似てるタッチだしね。

Zoot Money`s Big Roll Band - ZOOT! LIVE AT KLOOK'S KLEEK

ズート! ―クルックス・クリークに於ける実況録音盤―  漁れば漁るほどに古い音に行き着いていく…、音も古臭いしシャキッとしないしどうにももっさり感あるから新しい音楽の方が聴きやすいんだけどな…なんて心にもないことを思いながらも古いのを聴いている。これがまたかっちょよくってさぁ〜、新しいのも古いのも関係なく知らないものは知らないし、新たな刺激はあるものだから時代はホント関係なく何かすげぇ、ってのをどんどん漁って耳を養っていけば良いのだ。いいものはいいと言わないでいいと思わないのは何がよくないのか、どこが自分に合わないのかをなんとなく理解すると新たな指標にぶつかって面白いかもよ。

 Zoot Money`s Big Roll Bandなんて知ってる人は知ってるんだろうが、1966年の2枚目のアルバムにしてロンドン最強のライブアルバム「ZOOT! LIVE AT KLOOK'S KLEEK」をリリース、当時のモッズからはスーパースターな扱いだったと言われる人で、もう50年くらい前の作品だけどね、侮ってはいかんですよ。あのThe Policeのアンディ・サマーズがギター弾いてますからね、いや、全然彼らしくないと言うか所詮単なる若造ギタリストですが、当時の超人気バンドでギター弾いてたという強者なんだから根っからのプロギタリストなんですな。ちなみにアンディ・サマーズってこの後The Animalsにも参加したりするので、脚光を浴びたThe Policeの時代には既に良い年のおっさんで…、その分若かりしスティングに上手く取り入ったとも言えるか。

 話戻して60年代モッズのヒーロー、ズート・マネーのハモンドと黒い歌声はモッズの代名詞みたいなモンでして、ちょい前にソウルジャズなんてのがジャズ周辺で流行ったんだけど、その時のお手本みたいなもんだ。ジャズってんじゃなくてエネルギーが迸るくらいの暑いライブがそのまま録音されてるしカバー曲も多いんだけどそれがまたすげぇ迫力でさ、うわ〜、熱いわ〜、こんなライブ盤今誰も作れないんじゃないか?くらいの熱気。The Whoのサウンドなんてこのヘンのに比べたら全然チープだもん、なんて思っちゃうけど多分The Whoもこの頃のライブをまともに残ってたらこんくらいのライブなんだろうな。正にモッズバンドのハモンドと熱気にヤラれます。凄いのは今でも現役でやってるってことだ…。

Zoot Money’s Big Roll Band - It Should’ve Been Me 1965

ズート・マネー登場  モッズサウンドってのは所詮はJBのカバーを白人がやっている、みたいなトコに集約されるんだろうな。それが何故かオシャレな雰囲気に聴こえてしまうというのか、その頃のJBってそんなに洗練されてなかっただろうから、英国人のフィルターを通したらオシャレになっちゃったという感じか?まぁ、多分違うと思うけど(笑)。自分的にそういう出会いは多分The Whoなんだろうけど、何かカッコ良いな、このクールさ、みたいなのがさ。かと言ってロックに忙しかったからあんまりモッズを深掘りするに至らなくて、それは今でもなんだけど、興味はあるからちょいちょい手を出す。ただ、数曲で飽きちゃうのもあるから深掘りしないでダラダラとカッコ良さを味わってるってのかな。今回もそうだけど。

 Zoot Money & The Big Roll Bandの1965年の最初のアルバム「It Should’ve Been Me 」。う~ん、The Whoと同じ頃じゃないか…、そこにはもちろんアンディ・サマーズが参加してたんだけど、かなり脇役です。主役はこのイタ公なZoot Moneyであることは疑いもなくって、一人パフォーマンスが凄い。鍵盤のウネリ具合が凄くてさ、これぞモッズ、JBの曲から始まるってのはインパクト強くて、うわっ、カッコいい!ってなるもん。聴いてるとだんだんやっぱり飽きてくるんで長持ちはしないんだが、でもこのオルガンサウンドでのグルグル感は好きだね。アンディ・サマーズのギターを取れば、瞬間的な所でのああいうギターは顔を見せてくるからそういう思想はあったのかな、なんて気がする。色々考えてた頃だろうから当然と言えば当然か。

 しかし、音が古い(笑)。だからこそのモッズ感ありありなんだろうけど、今の時代にこれを真面目に聴いていられる若者たちはいるのだろうか?ってくらいには音が悪い。こないだストーンズが「Blue & Lonesome」をリリースして、この頃の音に似せてたけどさ、やっぱりそれとは熱気が違うし、こんだけ音が密集したものってのは聴きにくいしね、その反面パワーとエネルギーは集約できているんで良し悪し…。ロックはエネルギーとパワーだからこれで良かったんだけど、改めて古さを実感している次第。でも、凄いわ。こんだけのモンが詰め込まれているって、この時代だからって誰でも出来たワケじゃないし、今にしてこのZoot Moneyの凄さを味わうという…。