Pete Townshend's Classic Quadrophenia

Pete Townshend's Classic Quadr  新たな驚きがこちらの作品で、The Whoのピート・タウンジェンド名義にはなってるけどこうなるともうなんだかよく分からないアルバムとも言える「Pete Townshend's Classic Quadrophenia」。タイトル通りThe Whoの「四重人格」のクラシックアレンジバージョンなのだが、本気でピートがクラシック風にアレンジしていてここまで昇華されるものかと驚いたのと、歌が本気でオペラの歌手のアルフィー・ボーが歌ってるもんだからまさしくロックオペラ。

 この形で残されていったら200年後でもクラシック作品として残ってるだろうし、偉大なる作曲家として歴史に残るのだろうか。全く驚いたアレンジと作風と作品。今度はこのコンサートの映像も出るらしいけど、そんな凄い所にビリー・アイドルとかフィル・ダニエルズかよってのがまたアンバランスで面白い…ってかいいのか?って話。プログレのバンドの音なんかもこうしてやれるだろうし、作品はあるんだろうけど作った本人が本気で取り組むとやっぱり違うな。

 そもそもがストリングスも入ったアルバムだったし、テーマや展開、ストーリーに沿った構成と物語なワケだからオペラ作品になったって何もおかしくなく、普通にクラシックにオペラ歌手、だ。ホントに上手い歌手が歌うとこうなるんだなぁ…とマジマジと実感するね。映像見てるとフレディ・マーキュリーみたいなモンじゃないかって思うけどさ(笑)。

 ロックファン的に書いておくと、どんだけ上手くたってロジャーの雄叫びの足元にも及ばないよ、ってのはある。パワーとエナジーで心揺さぶるんだからさ、ロックってのは。こういう音楽作品になっちゃうとそれはロックから離れたアーティストの作品というもので、もちろん素晴らしい。でも、ロックってのはやっぱさ、ガツンッ!だよ(笑)。

Pete Townshend - Empty Glass

Empty Glass  ザ・フーのピート・タウンジェンドもまたソロ活動に於いてはアトランティックレコードからアルバムをリリースしていて、アーメット・アーティガン氏には何かとお世話になったようだ。今回のイベントには参加していないが、何となく思い出したので…。いや、他にもアトランティックからリリースしているのも思い付くんだけどソウル系とか多いし、スタックスも持ってたからそんなのばっかでさぁ、その辺は何となく気分じゃないので、やっぱロック。

 「Empty Glass」1980年リリースのピート・タウンジェンド名義では三枚目のアルバムだけど自身でしっかりと創り上げたって意味では初のソロアルバムなんじゃないかな。一枚目「Who Came First」はデモテープに毛が生えたような仕上がりだし、二枚目「Rough Mix」はロニー・レインとの共作なので、これでようやく初ってとこ。まぁ、それでもこの頃はまだThe Whoをケニー・ジョーンズを迎えてやってた頃で、後にピートはこのアルバムに良い曲を使ってしまって、The Whoの新作にはその残りを持っていったんだと言っていたらしいから、当時のThe Whoに対するモチベーションの低下を感じるところだ。

 その分、と言うか、さすがにソングライターなだけあってこの「Empty Glass」というアルバムは相当出来が良くて、一気にソロアーティストとしての地位をも確立できたんじゃないだろうか。歯切れの良いビートが効いた曲が並び、またバックの音もバンドとは一線を画すかのようにゴージャスなシンセなども入れているので多分に遊べたことだろう。もう一方のアコースティックな面も強調できているし、確かに良い曲が並んでいる。が、まぁ、若干単調と言えば単調…というのも多分彼の声だろうな、それは。

 後の90年代に入ってから彼はソロでのライブ活動を定期的に行っていくが、その時もこのアルバムから歌われる曲が多く、如何に気合いを入れて作ったアルバムかがわかるし、またレベルの高さもよくわかる。う〜ん、でも何かが足りないと思うのはやっぱThe Whoというバンドがあるからかなぁ。今はボーナストラック付きリマスター盤が出ているのでお得らしい。

Pete Townshed - Pete Townshed’s Deep End Live!

Pete Townshed’s Deep End Live!(紙ジャケット仕様)  リチャード・トンプソンの才能は本当にもっともっとメジャーになって然るべきものだし、聴かれて然るべき音楽、ギターだと思うが、世の中そういう風になかなか出ていけない人は多い。と言うよりもきちんとその才能が評価されて世に出て行けてる人の方が少ないんだ、ってことに気づくべきだな。そんな中で、リチャード・トンプソンってどこかピート・タウンジェンドと同じ匂いだよな…と。ギターのスタイルとか曲もだし音もだし…多分ピートの方がもっとキャッチーな曲を書くことが多いだけで、それぞれのルーツはさほど知らないけど、割と相通じる部分あるんじゃないだろうか。この二人ってシーンにはずいぶん長くいるがどこかで会話したりしてるのかな。何かそういうのも面白そうだ。

 ピート・タウンジェンドの「Pete Townshed’s Deep End Live!」という1985年のライブを超久々に見てみた。そう、レコードでも出てたけど思い切り短く編集されてたからどうしても当時はビデオ版を入手して見るべきだろうというモノがあったんだが、実際にはこのライブビデオなんて数回も見てない。やっぱピート・タウンジェンドのソロアルバム、ソロバンドのライブだから面白くはないし、バンドの迫力なんてのもないしなんだかな〜ってくらいにしか思ってなかったもん。今でもそれはあるけど、先のリチャード・トンプソンを聞いてからだから、あぁ、こういう部分が似てる雰囲気なんだなとか、ギターもルーツの見えないソロを弾くとかなるほど、みたいに思いながら見てた。ピート、これでも随分若い頃だなぁ…とか。楽曲アレンジがどうにも好みじゃないからthe Whoの曲であってもちょっとねぇ…、まぁ、時代を反映したゴージャスなバンド編成ってのはありかなとも思うけどね。

 有名な話だろうしビデオ見りゃ一発で分かるけど、リードギタリストにはデイブ・ギルモア、ドラムはサイモン・フィリップスという結構なメンツをバックに従えてのライブで、デイブ・ギルモアのギターが似合ってるか?ってぇのはちょっとね、何とも言えませんが、ロックなギター弾いてます。でも、これならピート・タウンジェンド自身のソロプレイでも良かったんじゃないか?ってのもある。サイモン・フィリップスについてはねぇ、言うこと無い。これがThe Who再結成につながっていったワケだし、意義あったバンドだったと言うことだ。ピートがもっと今みたいにギタリスト的に目覚めていてくれればもっと違ったんだろうけど、やっぱりコンポーザー、プロデューサー的な立ち位置でやってるから…、でも久々に見て悪くないかも、と思いました。

Pete Townshend - White City

White City  The Whoも完全に方向性を見失ってしまった1980年代、早々に解散コンサートで稼ぎまくってた中、メインソングライターのピート・タウンゼントはそもそもソロ作品をリリースしていたことから単に集中して様々なことにチャレンジし始めた。そもそも自分で作った作品の良いものをソロ作へ流用して、そこそこのものをThe Whoのアルバムとして作ったということで、ケニー・ジョーンズには疎まれていたこともあるようで…。実際はわからないけど、確かにアルバムの楽曲レベルを聴いているとそんな話もあながち外れていないこともわかるというものだ。そんな経緯はともかく、1985年になってリリースした気合の作品が本作「White City」だ。

 現在のThe Whoでベーシストを担っているピノ・パラディーノがこの時点で既にベーシストとして参加しているし、そのベースプレイの華麗なラインは普通に聴いていても気になるくらいに存在感を出したプレイだ。楽曲そのものがかなりアメリカに好まれるマンハッタン・トランスファーサウンドなので、好みからしたら程遠いのだが、ミュージシャン達からは割とリスペクトされているのか、大物メンバーが参加してくることになるのだった。The Whoのピート・タウンゼントなんてそんなに他のアーティストと交流が多かったとは思えないんだが、こうしてソロになっていくと様々な人達から興味深いアーティストだったということがわかる。ロジャー・ダルトリーやキース・ムーンは人柄的なものがあるのでわかるのだが、ピート・タウンゼントなんてのはやっぱり音楽的才能からだろうか。

 楽曲そのものはピート・タウンゼントが何者か知らずに聴いたらかなり面白くてちょいとおしゃれなビートの利いたロックナンバーだったりするので嫌われることはないだろう。ソリッドで勢いのあるナンバーから始まるし覚えやすいし、ロックスピリッツもしっかり伝わってくるから良いんじゃない?って思うけど、栄光のThe Whoを知っていたりするとちょいと悲しくなるようなナンバーなんだよな。こんなのやりたかったんかい?って思っちゃうもん。ジャストなビートでダンサンブルにさ…、新たな領域なのかもしれないけど全然ストリートさがない。ま、そんな感じに思ってしまってダメなんだけどさ、この「White City」のツアーを行った時に帯同したギタリストがあのデイブ・ギルモア。ピンク・フロイドの裁判中って時期でヒマだったんだろうか、それともピート・タウンゼントとの交流が深かったのか、よくわからないんだが妙な組み合わせでライブが行われたのだな。フロントにピート・タウンゼント、その脇にギタリストでデヴィッド・ギルモアっつう姿。ドラムはサイモン・フィリップスだったんじゃないかな?まぁ、そんな感じでやっぱり気合入ってたようでライブアルバム「Deep End Live」もリリースしたりビデオ作品「Deep End」もリリースしてた。確かに話題にはなるしThe Whoの曲もやってたりするんだからそりゃ楽しめただろうけど…、ね。

Pete Townshend And Ronnie Lane - Rough Mix

Rough Mix  ロニー・レインの人柄の良さもまた人脈を広げて様々なセッションが聴けるんだが、その象徴的な出来事といえば今や幻のA.R.M.Sコンサートでしょうかね。三大ギタリストの共演なんてのが話題になって他にもStonesな面々とポール・ロジャースやウィンウッドとかアレコレ…、話題の三大ギタリストの共演は興醒めな演奏だったもののイベントそのものは大成功の企画。これこそロニー・レインの人柄の良さを象徴しているワケですな。そんなことでロニー・レインのもうひとつの有名な共作アルバム「Rough Mix」です。

 1977年にリリースされた今度はピート・タウンジェンドとのジョイントで…、と言っても実際に共作品は一曲程度で一緒に歌ってるのですらほとんどないという、正にお互いの曲を持ち寄ってひとつのアルバムにしましたという感じの作品。どうやらロニー・レインがレーベルとの契約上でアルバムを一枚完成させなければいけなかった、との事らしく当時はThe Whoだったピートも後には世話になるATCOレーベル絡みもここら辺からか。

 この作品って結構不思議でさ、またまたゲスト陣が豪華でチャーリー・ワッツのドラムでピートの曲、とかクラプトンはこの頃アル中でピートと親交が厚かったので結構な曲数で参加しているし、それも相当リラックスしたギターを聴かせてくれる。そもそもロニー・レインの作品はアメリカスワンプ的だし、クラプトンもアメリカサザンに傾倒していた後だから枯れた感じがお互い良かったのだろう。ピートの作風はこの頃既にThe Whoに対するものとは異なったソロ傾向の強い曲ばかり。どうも世間的には相当評判が高く、またピートも今でもソロでここからの曲を数曲演奏するくらいだから気に入っているのだろう。もしくはロニー・レインへの敬愛からかもしれないけど。自分的には気持ちはわかるけど何回も何回も聴くものではないな。やっぱガツンとロックしていてほしいから。ただ、心地良いのは確かだし、秋には癒される音だな…。

 「Rough Mix」のジャケットって実はピートとロニーが映っていない細かい絵だけのヤツがオリジナルで、その後何のアルバムかわからないって言うので二人のショットを入れたのがジャケットになっている。確かにこっちのがポートレートアルバムっぽくて良いかなって気がするけど、そこまでこだわるものでもないか。しかし英国人によるアメリカへの羨望を音にするとこうなるんだな、みたいな感じ。しかも寄ってたかっての面々でのプレイだし。

Roger Daltrey - Daltrey

Daltrey  ザ・フーのボーカリストのロジャー・ダルトリーはザ・フー全盛期の1973年から割とコンスタントにソロアルバムをリリースしている。当時現役のバンドのメンバーがそんなにソロ活動を活発にすることもあまり見られなかったので珍しいケースなんじゃないだろうか?ザ・フーの場合は全員がそんな感じでソロアルバムを出してて、しかもバンドとしては最高峰のレベルの作品をリリースしまくっているという恐ろしい集団だったということだ。もっとも、バンドのザ・フー=ピート・タウンジェンドという図式はあったのだが、その分他のメンバーはもう少し普通レベルでのソロ活動を楽しんでいたようだ。楽しんでたかどうかわからんが、少なくともロジャー・ダルトリーに関しては自身のキャリア形成を意識していた節はかなり見られる。

 1973年にリリースされた最初のソロアルバム「Daltrey」はジャケットを見ての通り、映画「Tommy」とかなり被るイメージを打ち出している。これはもうアルバム「Tommy」の頃からイメージが付いてしまったロジャー・ダルトリーの性でもあって、特にイメージを替えるんではなくてそのまま売っていこうということからだろう。その分音はある意味実験的でもありある意味無難とも言える作風に仕上がっている気がするな。普段ピートの楽曲でロジャー・ダルトリーが歌っているのはマッチョでパワフルな歌声でもあり、これこそザ・フーと言わんばかりの歌だが、その声を持ってして、外部ソングライター達の作品を自身の意向をほとんど打ち出すことなく歌っただけ、ではないかとも思えるアルバム。実質は作詞作曲編曲=デヴィッド・コートニー+レオ・セイヤーのユニットによるアルバムで、ロジャーは歌っただけ。故に演奏陣もその人脈で固められているのでそれこそラス・バラードは単にギタリストとして参加していて、その類まれなる作曲能力は発揮されていないところが残念。そしてアージェント人脈からドラムにボブ・ヘンリットが参加している…すなわちここで後のザ・キンクスとザ・フーがくっつくのだ。う~ん、意味はないけど感慨深い(笑)。それにロジャー側からなのかバイオリン奏者としてデイヴ・アーバス、すなわちEast of Edenのメンバーなのだが、それよりもザ・フーの「Baba O'riley」で聴けるバイオリンを弾いた人、ですな。そんな面々が参加しているようだが、やっぱりロジャーは歌っただけなハズなんだよな。ロジャー・ダルトリーって音楽的にあーだこーだってあんまりない人だと思ってて、何でも歌えば自分流になっちゃうからさ。ただ、小難しいのとかは合わないってのを知ってるし、多分ピート以外のソングライターの楽曲って歌ってみるとどうなるんだろっていう興味も合っただろうと推測してるけどね。

 さて、その「Daltrey」というアルバム、可もなく不可もない、ロジャーが歌ったからといって素晴らしい作品になったという訳でもなく、楽曲の良さが引き出されたというものでもない。普通にロックとか音楽とか歌ってのがあって、そりゃプロの作品だから悪くないさ。でも別に何か殊更今の時代まで聴くべき作品か?ってもんでもない。ただ、思ったのはロジャーってやっぱり普通のロックを歌うくらいじゃ物足りない人なんだ、ってくらい。やっぱピートの作品が合うよ。当の本人はこのソロ活動をきっかけにコンスタントにソロアルバム出していくけどさ、まぁ、小遣い稼ぎってことにしとこうじゃないか。作品としては悪くないし、まずまずの英国ロックが聴けるけど、期待値高すぎたからちょいと満足できない感じ。

Roger Daltrey - Under a Raging Moon

Under a Raging Moon  有名バンドのメンバーに依るソロアルバムってのはどうしても評価と言うか価値が低くなってしまって真剣に取り組み機会が多くはない。ましてやそれがブレインではないメンバーの場合はあくまでもプレイヤーとしての作品なワケで、そうなると個性ってのはそのプレイでのみの話になるのでバンドでの有機的なマジックとは別の話で力量の世界になる。世の中のバンドのメンバーが全員才能あれば別だけど多くは突出したメンバーとそれなりのメンバーで構成されているのだから余計にバンドとの価値に差が付く。Zeppelinに於いてはやはりジミー・ペイジが絡まないと面白みに欠けるし、ロバート・プラントのソロ作品じゃ物足りない訳だ。さて、一方のThe Whoはどうだろうか…、こちらも天才ピート・タウンゼントがメインのバンドなのでボーカリストのロジャー・ダルトリーのソロなんてねぇ…と思ってたんだが、これがまた意外とよろしいアルバムが多い。人徳によるものかもしれないが、秀逸なコンポーザーや仲間に重宝されているおかげで良作が多いんだな。

 今回は1985年にリリースされた「Under a Raging Moon」で、ロジャー・ダルトリーの何枚目だろ?結構な作品数出してるんで8枚目くらいになるのか?この人の場合自分でやりたい音楽性なんてものはほとんど見当たらなくて、とにかく男臭くてマッチョな歌がめいっぱい歌えればなんでも良いんだ、っていう感じなのでプロデュースする方もやりやすいんだろう。俳優とかもやってるのでイメージも掴みやすいだろうし。そういう意味でそれぞれのソロアルバムは割と毛色が異なっていたりするもののどれもたくましく聴かせてくれる作風に変りはない。80年代に入ってからは元Babe Ruthのアラン・シャックロックあたりと会合してソロ作品には結構絡んでいるのも面白い。英国ロックの奥深さはそんなところでもつながってくる。ラス・バラッドとかもね、この「Under a Raging Moon」では思い切り絡むのでロジャー・ダルトリーのソロ作品って結構メンツが渋くて楽しめるのだ。  まずはピート作の「After The Fire」で幕を開けるのだが、ここでもピートが曲を提供していて、更にピートも自分のライブでもこの曲をさっさと演奏したりしているので、まぁ、盟友って感じかね。

80年代のピートのソロ作品らしいビートの効いた曲でやっぱりロジャーの歌声が一番ハマる。アルバム全体的には聴いているとすごく力強さが漲ってくるようなパワーを与えてくれる作品で、ボーカリストとしてここまで力強い人も多くはないので貴重な存在かもしれない。曲調というかはロジャーの歌声でアルバムに一貫性を持たせている良作。かなりの傑作になっているので割とオススメしちゃうアルバムです。同様の傾向を持っているブライアン・アダムスも曲を提供しているけど、ロジャーが歌ったのを聴いてかどうかわからないけど、本人も自分でリメイクしているようで元々それほど入れ込んでなかった曲でもロジャーが歌っちゃったらかっこ良かったってことかもね。

 そして何と言ってもこのアルバムの話題はと言えばタイトル曲の「Under a Raging Moon」。いやね、とにかく曲も相当かっこ良い疾走感でこんなところに埋もれさせておくのが勿体無いくらいのレベルなんだが、更に中間にドラムソロパートを設けていてここに何と7人のドラムソロを詰め込んでいる。その7人がMartin Chambers (The Pretenders)、Roger Taylor (Queen)、Cozy Powell、Stewart Copeland (The Police)、Zak Starkey(現The Who)、Carl Palmer (EL&P)、Mark Brzezicki (Big Country)という布陣でそれぞれ12小節づつドラムソロを披露しているんだな。これがまたドラマーも個性が出るんでんぇ…中でもコージー・パウエルは超個性的なのがわかる。どういうワケだかこの「Under a Raging Moon」をThe Whoのベーシストであるジョン・エントウィッスルが自分のソロライブで毎回取り上げていて気に入っているようだ。このアルバムにベースで参加しているワケじゃないのにね。

 ってな感じで、相当のロックアルバムに仕上がっているのでロジャー・ダルトリーのソロアルバムかぁ…と思わずにロジャー・ダルトリーというボーカリストのロックアルバムとして聴いてみるとかなりロックを堪能できます。オススメの作品ですね。

Roger Daltrey - Can't Wait to See the Movie

Can't Wait to See the Movie  あまりボーカリストとして名を挙げた人ではないけど実はソロ活動でもかなり秀逸な作品を残しまくっているロジャー・ダルトリー。ご存じザ・フーのボーカリストでザ・フーの印象があまりにも強くて、そして他のメンバーの個性が強すぎてあくまでもバンドの一員という位置付けに留まっている、これは他のメンバーも同じジレンマだったりすると、ツエッペリンのメンバーなんかも同じような印象があるんだけど、バンドが凄すぎるんだよね。だからソロ作品がきちんと評価されにくい、かく言う自分もやっぱソロ作か〜っていう感じで聴くもんね。

 1987年リリースの「Can't Wait to See the Movie (今宵、シネマで)」、今のところ実はソロ作品としては最新作に留まっているんじゃないか?以降はベスト盤ばかり出しているし、もちろん90年代以降からはザ・フーの活動が盛んになったっつうのもあって、もともとソロ作をどうしても出したいというミュージシャン欲に駆られた人じゃないのでマイペースなんだろうけど、それでもザ・フー関係では一番ソロ作品が出ていると思う。それは単に彼自身は曲をあまり作るワケじゃないから、ってことだ(笑)。まぁ、ボーカリストなんだな、要するに。しかし、だ、ここでロジャー・ダルトリーと絡む英国ロックのメンバーってのがかなり面白くて、ここでも取り上げていたベーブ・ルースのアラン・シャックロックやラス・バラッド、それにクレム・クリムソンなんてのが絡んできていたのだ。

 この作品「Can't Wait to See the Movie (今宵、シネマで)」ではクレム・クリムソンがギター弾いてるのとデヴィッド・フォスターとラス・バラッドが鍵盤参加ってのがメジャーどころかな。もうロジャーはこの時点でまったく曲も歌詞も書いていない。単なるシンガーに徹しているんだけど、その分作品としての質は凄く高いモノに仕上がっていて、もっときちんとソロ活動をやってたら売れたんじゃないかと思うけど、コレも全く売れず仕舞とか。まぁ、しょうがないだろ(笑)。

 作風としてはもちろんちょっとアダルトな雰囲気のロック作品で、ガンガンのハードロックとかはなくて、かと云ってポップスでもない…、その間かな。歌声はどう聞いてもロックだけど、アレンジとかは妙に軽いポップよりの音とかそんなん。でも楽曲レベルは高いから、それとロジャーの魅力で飽きさせないってのはある。ジャケットはオシャレだし、この頃は多分映画俳優として確立し始めた頃で、そんなのがタイトルにも出ているし。

 いや、久しぶりに聴いたけど…、昔は単なるソロアルバムのポップ化したロジャーって思ってたんだよね。今聴いたら意外としっかりできていて悪くないじゃないか、と思ったりした。また全部聴き直そうかな。とりあえず一番好きな「Under a Raging Moon」から、だな。

Wilko Johnson & Roger Daltrey‬ - Going Back Home

Going Back Home  ある程度の年齢まで行った人間ってのはもちろんプロだからこそってのはあるが、普段から歌っていないと数年後の活動時にすぐに声が復活するってもんでもないらしい。ストーンズのミックなんかでもそうだろうけどエクササイズと健康管理は欠かせないしもちろん歌っているだろう。他のミュージシャンでももちろん歌ってなけりゃ声が出ないって話になる。それを活動としてつなげているのがロジャー・ダルトリーかもしれない。ふとした時に見つけたウィルコ・ジョンソンとのジョイントアルバムはちょっとびっくりしたけどリリースが楽しみな一枚だった。

 「Going Back Home」、アルバムジャケットもかなり良いよね。気取らずありのまま、そしてセンス良く見せてくれているしちょっと古い感じがするのも狙いだろう。名前を見るだけで興味津々なんだけど、実は自分的にはWilko Johnsonって人は全然通ってないから知らない。Dr.Feelgoodの活動がメインだろうけどほぼ聴いてないしこのヘンのロックってあんまり通ってないんだよね。パブロック系っての?まぁ、でも大体の音の想像はつくし、ロジャー・ダルトリーが歌うなら多分その世界になっちゃうだろうからなぁ〜なんてのもあって面白そうだと。

 聴いてみると意外なまでにすんなりとロジャー・ダルトリーもハマっているしウィルコ・ジョンソンの曲ももちろんシンプルでストレートなロックばかりだから良いコンビネーションになっててさ、ロジャー・ダルトリーも新鮮だったろうし楽しんだんじゃないだろうか。YouTubeにライブ丸ごと上がってるから見てても随分と良い感じでバンドって雰囲気でやってるしロックしてるよね。ただ、ロジャー・ダルトリーってやっぱりこういう一本調子のバンドの曲を歌っていると自分自身も一本調子だからかちょっと飽きてくる面があるかな。普通のバンドはそういうもんだろうからアレだけど、比較がThe Whoだからイカンのだろうな(笑)。

 ってことでこの「Going Back Home」はストレートなロックが詰め込まれた一枚。ウィルコ・ジョンソンの体調からしてもこの一枚で終わるだろうけど、かなり面白い音を残してくれたなと。ヘタにソロアルバム出すよりも全然面白いぜよ、ロジャー・ダルトリーよ。

Keith Moon - Two Side Of The Moon

トゥ・サイズ・オブ・ザ・ムーン(紙ジャケット仕様)  9月ってロック的には結構命日続きだったりするらしい。まぁ、そういうのってあんまり覚えてどうの、ってのはないんだけど、やっぱり知ってるんだよな。意識してから亡くなったミュージシャンの命日ってのはあんまり記憶してないけど、文献として知識として仕入れたものは記憶しているってところかね。今までもブログ書いててたまに気にしたりしてたけど基本的にそういうのはあんまり意識しなくて流れで書いてたけど、今回はたまたまどっちのタイミングもあったので取り上げてみました〜。

 キース・ムーンの1975年にリリースされた唯一無二のソロアルバム「トゥ・サイズ・オブ・ザ・ムーン」。まぁ、豪華ゲスト陣っていうか、飲み仲間っつうかロック界の放蕩息子達の集まりっつうか…、ハリー・ニルソンやリンゴ・スターやジョー・ウォルシュなどが有名だけどもちろんそれ以外にもスタジオに遊びに来た人とか入れると相当な人数らしい(笑)。キース・ムーンはこのアルバムではあくまで歌い手として君臨していてバックは誰かに任せっぱなし。徹底して自身のやりたいことをやっている、っつうか全曲カバーなので別に作曲したりしているワケじゃないから単にやっちゃおうか、みたいなノリなんだろうけどさ。

 ところが蓋を開けて聴いてみるとわかるんだけど、実に味のある、そして涙の流れる、そしてほのぼのとした愛すべき作品に仕上がっているワケなんだな、これ。びっくりするくらいソフトで温かく、優しさに包まれた作品でね、それは歌い方もそうだし、コーラスワークやピアノなんという楽器にも表れていて凄く英国的で感動する出来映えです。騙されたと思って聴いてみるとわかると思う。

 特筆モノはやっぱり「In My Life」と「The Kids Are Alright」、そして「Don't Worry Baby」かな。「In My Life」はホントにモノ哀しい…、そうだよな、なんて思ってしまうくらいでビートルズの壮大な素晴らしさとは違ってピアノとコーラスをバックに素朴に歌い上げるキースの思いが凄く伝わってくる感じ。同じく「Don't Worry Baby」もビーチボーイズなんだけど悲愴感というか哀愁がある歌い方とアレンジでしっとりと心に染み入る。キースってハチャメチャに生きてたって感じだけどさ、こういうの聴くとその人の本性が出るのかなぁなんて思うくらいに良い作品。最後の「Together」はタイトル通りにリンゴと二人で酔っぱらっての曲で、記念品として残したかったアルバムなんだろうなぁと。

 しかし今は二枚組のボーナストラック付きで出てるんだねぇ。自分はレコードを探しまくってやっと見つけた時は感動したけどね。それから普通にボーナストラック付きが出て、それでも面白いなと思ったけど二枚組かぁ…。いや、そのうち聴くんだろうけど、こんな作品でもそれだけオマケのトラックが残されていることに驚き。

 しかしキースが亡くなったのが1978年の今日だからもう没後30年になるんだ。それでも未だにキース時代のフーが望まれているワケだからなぁ、うん。

John Entwistle - Smash Your Head Against the Wall

衝撃!!(紙ジャケット仕様)  The Whoの中で最も寡黙で過激でロックな男、実はジョン・エントウィッスルというベーシストだったりするみたいだ。レコードを聴いてみればベースのブイブイな自己主張な音で、ジョン・エントウィッスルと言う人の目立ちたがり屋な主張はわかるだろうし、ステージを見れば最も派手な衣装を身にまとい、派手なベースを弾いているし派手な弦を張っている。更に彼の最期は正にSex, Drug & R&Rだったワケで、そもそも何億稼いだか知らないが全て使い果たして借金を背負っていたということも無茶苦茶だ。そして一番驚くのはThe Whoが「Who's Next」という名盤をリリースした頃、自分の曲があんまり使われないよなぁ、The Whoじゃ、ってことでたくさん書き貯めてた曲を元にソロアルバムをリリースしてしまったことだ。

 1971年にリリースされたジョン・エントウィッスルのファーストアルバム「衝撃!!」はそんな主張が込められているのか、それとも単に暇つぶしとして出したものなのかわからないが、相当面白くユニークな試みが満載のジョン・エントウィッスル風ホラーロックに仕上がっている。冒頭の「My Size」からしてヘンなリフの曲で既にオカシイ。ちなみに2005年にリリースされた再発CDではボーナストラックがいくつも含まれていてそれは未発表曲だったりデモテイクだったりするんだが、この「My Size」の初期テイクってのが入ってて、聴き比べてみるとわかるけど、ジョン・エントウィッスルのベースが超強力でギター要らねぇじゃないか、っつうくらいの代物だ。全く驚異的なベーシストだ。そして更にユニークなのはThe Whoの「Live at Leeds」の冒頭を飾るジョン・エントウィッスル作の「Heaven and Hell」がThe Whoのアルバムに入らなかったことへの復讐か、この「衝撃!!」にガラリとアレンジを変えて収録されている。それは見事にジョン・エントウィッスル風ホラーロックに仕立てられていてThe Whoの「Heaven And Hell」とは全然異なるムードで実にダークなサウンド。これはこれで味があるしベースも思い切りリード楽器になっててギターはアコギ中心とオブリソロのみ。他にもホルンを吹く人ってのもあって管楽器がフューチャーされている曲があったり、相変わらずヘンなコード進行による妙なポップスがあったりしてまるで捉え所のない曲展開を成しているものの、どれもメロディーはしっかりしていてアレンジも濃厚なのが面白い。

 仲の良かったキース・ムーンとニール・イネスが友情出演しているので、やはりリズム隊は時間が余ってたんだろうと思われる。以降ジョン・エントウィッスルはThe Who活動中にも関わらずどんどんとソロ作品をリリースしていくのだが、当時どれだけ話題になっていたのかはわからない。それでも何枚もアルバムリリースされるくらいだからそれなりに売れたんだろうな、The Who全盛期だから。一人のアーティストの作品として聴いていくジョン・エントウィッスルのソロアルバムはかなり個性的で売れなかったとは思うけど紛れもなく英国B級ロックの雄になるべく音を出しているので有名バンドのベーシストのソロ作品として聴くのではなく、70年代英国ロックが産み出したごった煮ロックの作品として捉える方が面白く聴けます。ボーナスとして付けられたでもテイクの曲とか聴いてるとホントにプログレッシブってのもわかるし、何でもアリだもん。以降の作品も含めて実は非常に興味深いソロアルバムばかりなのでまだまだ楽しめる領域残ってますよ♪

John Entwistle - Whistle Rymes

風の詩(紙ジャケット仕様)  バンドの中には色々な才能の持ち主がいたりするのが面白いし、だからこそぶつかり合うことも多くなるってなモンだが、大抵はその中でも飛び抜けた才能の持ち主がいて、みんなそいつについていくという感じになる。まぁ、名のあるバンドに当てはめてみれば一目瞭然だろう。その才能が2つも3つもある場合は大抵早い時期に解散したり抜けたりする。ところがその二番目の才能ってのはソロアルバムを出したりサイドバンドをやったりして好きなコトや自分の才能を確かめたりすることが多い。これもまた大抵は(笑)バンドとの比較=トップの才能との比較になってしまって「まぁまぁじゃない」で終わるものだ。

 しかしそろそろリスナー側の聴き方を変えなきゃいけない。そろそろ…って何年経ってる?って話だけど、その人個人の才能をひとつのバンドやアルバムとして聴くべきだろうと。例えばバンド名や個人名なしでフラットに聴いた時に自分がその音を好きか、とかプレイが好みか、とかそういう基準にすべきでネームバリューを後回しにしてみるのがより良い方法かと。そんな事を改めて知らされたのが本日のお題。

 ジョン・エントウィッスルのソロアルバム2枚目にして最高傑作「Whistle Rymes」。もちろんThe Whoのあのベーシストの、です。まぁ、ネームバリュー的に言うならばジョン・エントウィッスルとピーター・フランプトンが組んだバンドのアルバムとも言えるか。そこにゲストとしてジミー・マッカロックが参加しているから、ってな面もあるのだが、何よりもアルバムとしての統一性や出てくる音のあまりにも英国的なセンス、もちろんベースやギターも目立つのだが、それ以前に楽曲の面白さ、そしてジョン・エントウィッスルが弾くピアノがこんなに前面に出てきてて、立派にピアノ弾いてると言うのもソロアルバムでしか聴けない楽しみ。元々才能のあるミュージシャン、クリエイター、アーティストなのでピアノくらい弾けるだろうけど、The Whoの活躍が大きすぎてそんなこと誰も気にしなかったと言うか、ファン同士で話でもそこまで出て来ない。ソロアルバムだったらどれが良い、ってな話は出るけどそこまでで、ピアノのさ〜、とかあの曲が、までは行かない。ところが改めてこうして聞いていると、何と素晴らしい音世界なんだろうと感心ばかり。ピーター・フランプトンもまたマッチしてて哀愁あるギター弾いてるし、アルバム全体が何とも物悲しいストーリー仕立てってのもあってかとっても美しく怪しく聴き応えがあるアルバム。もちろん全編作詞作曲はジョン・エントウィッスルで歌も歌ってる。それもThe Whoの時の歌とは全然違う感じでの歌で、アルバム聞いてジョン・エントウィッスルの作品だ、ってすぐ分かる人はいないと思う。それくらい別世界でのアルバム。

 1972年のリリース…即ちThe Whoがバリバリに活躍していた1971年頃の録音作なワケでツアーもやったり色々と忙しかったのだろうが、自分の曲があまり取り上げられるスペースの無いThe Whoフォーマットでは出来ない事をやり切ってる感じ。しかもThe Whoではやはりベーシストとしての力量を要求される方が多く、録音してしまったらレコーディングでも後はヒマって話もよく言っていたらしい。だからこその作品なのだろう、しかもジョン・エントウィッスルも創作意欲旺盛な時期で、タイミング良く傑作が出来上がったみたい。しかも丁度ヒマだったピーター・フランプトンもいたしね。一度騙されたと思って聴いてみると英国B級ロックよりは上質な音が聴けます。

John Entwistle - Mad Dog

Mad Dog  ベースって楽器はかなり好きだ。友人にベーシストが多かったのにも影響を受けているのだろうけど、色々なタイプのベーシストが周辺だけでもいて、それにプロのアレコレを聴いたりするんだからどんだけ幅の広い楽器なんだろっていうのがず〜っとある。自分はギター弾くんで、そりゃベースもある程度はわかるけど、やっぱりベーシストの弾き方ってのはなかなか分からない。弾き方ってか、思考回路かな。歌とか曲と一緒に盛り上がっちゃいけない役割でもあるじゃない?淡々とベースに徹する、みたいなさ。ギターって感情直情的でOKな世界だと思ってる部分あるからベースはそうじゃないってのがね、分からないんです(笑)。

 ロック界のベーシストと言えばもうジャック・ブルースかジョン・エントウィッスルかだろうと。両名ともソロアルバムってのを幾つも出してるけど、それはやっぱりソロアルバムであっても歌モノだったりロックものだったりしてベーシスト冥利に尽きるなんてアルバムは全然見当たらないのだ。その辺がロックベーシストの悲しい性だろうか、やはりポップミュージックの範疇にいないといけないというか…。その辺も4作目くらいになるともう明らかに売れないし、開き直って作ってやるぜ、ってことでジョン・エントウィッスルが1975年にリリースしたアルバムが「Mad Dog」。前はもうちょっと凝ったりヒネたりベーシストしたりしてたけどこの頃はもう普通のR&R、オフザケロック的なのばかりでベースも普通に…普通に弾いたってヘンなんで、そういう路線でのアルバムになってます。多分彼の趣味だろうなぁ…、50年代の音楽的センスをそのままやってるだけで、実際何がしたかったのか?ってのはよくわからん。ただ、自分の曲も世に出したい、もっとベースを歌わせたい、みたいな所だったのだろうか、The Whoではピート・タウンゼントという天才がいたからそこまで自分の作曲家的な所は出せなかったからね。

 そんな作品だけど、この人のアルバムの根底にはどんな音楽をやろうともいつも悲しさが漂っている。寂しさってのかもしれないけど、そういうのがあってね、別に音楽的にはどうでも良いアルバムだし趣味だろって話なんだけど、根底に流れるその暗さってか寂しさを聴くとさ、何か…いいかもな、なんて錯覚しちゃうトコあるんです。もっともっとベーシストセッションなブリブリの作品とかジャムとかあれば良いんだけど、無いんだよねぇ…。The Whoのライブが一番ドライブしてベース弾きまくってるもんなぁ…。

John Entwistle - Master Class

Bass Guitar Master Class [DVD] [Import]  何気に日本に来ている回数が多いジョン・エントゥイッスル、結局肝心のザ・フーでの来日は果たせなかったという哀しいオチがあるのだが、イメージの中では数々のセッションワークでの来日公演と2004年のザ・フー初来日公演でのピートとロジャーのパワーを脳内イメージすることでザ・フーのバンドのパワーを想像すると、やっぱりとんでもないバンドだ…っていう結論になるのだ。ストーンズの良さとかキンクスの良さとは異なるザ・フーのパワー、これはもうやっぱ凄かったんだろうなぁ、と。

 で、哀しいかな2002年6月、ザ・フーのアメリカツアーの前日に心筋梗塞かな?で敢えなくその指裁きに終わりを告げてしまったのだが、その前夜のリハーサルまでバリバリに弾いていたらしいんだよな。あぁ…、残念。で、この人のベースってのはもう最初の頃から=「My Generation」からベースがバキバキ鳴っていて、それこそリードベースという唯一無二のステータスを築き上げ、後にも先にもこんなベーシストはいないのだ。ジャコパスあたりとは全く違うワケで、いや、それももちろん凄いんだけど、ロックバンドのベーシストの中でこれだけのベースを曲中で曲を殺さずに生かし切ってたというセンスが素晴らしい。ビデオやLDなんかが普及してきた時代のザ・フーの映像、例えば「New Tommy Live」あたりを見てると金色の弦でほとんどヴァン・ヘイレン並みのライトハンドに近い弾き方で、しかも開放弦を混ぜながら弾くので視覚的なパフォーマンスもあって、凄さ倍増〜ってね。こないだ出た1996年の「四重人格ライブ」のでは「Real Me」でもの凄いベースソロがあって、やっぱぶっ飛ぶワケさ。

 で、結構ソロ活動も盛んだった人で、死んでからだけどソロライブのDVDが出てて、もうやりたい放題(笑)。他のメンバーとの格差がありすぎるくらいなんだけど、本人は凄く楽しんでやってるんだよな、これも凄いんだよ…。それと、DVDネタではよくある教則ビデオシリーズにも出ていて、それがさ、やっぱりマスタークラスという難易度最高のところで出ているのが笑える。そりゃそうだよなぁ〜って。こんなん教則にしても意味ないだろ、とか思うが(笑)。

 なことで、世界最高のベーシストのトップに位置するジョン・エントゥイッスル、も〜一度きち〜んと聴き込むとやっぱり心地良いよ〜ん♪

The Best - Live In Japan 1990

Bass Culture: The John Entwistle Bass Collection  時代はバブル全盛期、日本国は金にモノ云わせて世界のバンド浪人生に対して実に歴史的な提案を施したもので、驚くべきセッションが日本の数公演でのみ実現した、それがザ・ベストと呼ばれたバンドだった。知ってる人どれくらいいるのかなぁ、どの人のキャリアをネットで見てもほとんど載ってないので多分、世界中のロックファンでもそんなセッションがあったことを知らない人多いんじゃないかなぁ、と思う。

 1990年6月末ザ・ベストと呼ばれるバンドが来日公演を行った。メンバーはキース・エマーソン、ジョン・エントウィッスル、ジョー・ウォルシュ、サイモン・フィリップス、ジェフ・バクスター、ボーカルには当初はテリー・リードの名が挙がっていたが結局来なくって、若造が歌を務めていたことは記憶にある(笑)。しかし、信じられるか、このメンツ?…ま、てなことで、というかとは言え、この面子で出来る曲って何だろう?っていう妙な期待感があったりしたのだが、蓋を開けてみれば案の定、昔の名前でやってます、っていうヒット曲のオンパレードだったワケで、当時WOWOWが開設したばかりで無料試験放送をしていたので1時間番組でこの時の武道館のライブを放送していたはずなので録画した人も多いんだろうな。それがなかったらホント幻の公演に終わっていたような気もするが(笑)。

 で、当時、自分は横浜文化体育館かどこかに行ったのだが…、もちろんチケットは全然売れてなかったみたいで十数枚の招待券が仲間内にバラまかれて、それでも行ったのは数人程度、う〜む、時代はビッグネームを求めていなかった頃なワケで、当然無料♪ しかし当日会場に行くと、何故か二階席にいる人がいて、多分チケット買った人なんだろうなぁ、あれこそ真のファンかもしれない、と納得してたりしたが…。で、曲だが、生の記憶は数曲しかない。WOWOW放送のビデオがあったので何となく思い出せるのもあるけど、リアルなところではやっぱジョン・エントゥイッスルの「Boris The Spider」とその時かっちょいい〜って思ったのがキース・エマーソンの「The Nice - Five Bridges - America America」。一応ピアノの上に乗っかってナイフを突き立ててました。それとムーグのパフォーマンスも健在で、おぉ〜って思った記憶があるもん。それからねぇ、ジョー・ウォルシュと来たらもう最初から酔っぱらって出てきてさ、滅茶苦茶なんだよな、あいつ。それから一切彼のことは信用しなくなって、聴いてもいない。ジェフ・バクスターはやっぱり上手かったなぁ〜っていう記憶。

 そ〜んなバブル期のバンド、もう見れないけど、凄い面子が集まってもう〜む、やっぱバンドっていうよりはセッション大会、だよな、と。でも恩恵は被ったからヨシ♪

Thunderclap Newman - Hollywood Dream

Hollywood Dream  美しきポップス、それもやはりヒネ度が入ってるポップスってのは好きだなぁ。カンタベリーなんてのはその象徴だったりするんだけど、それ以外にももちろん英国のロックの世界では色々存在している。ELOとかもその一端を担っているだろうし、もしかしたらビートルズだってそうかな。それも棚の中から発掘してしまったサンダークラップ・ニューマンを聴いてしまってから、また面白さにハマった(笑)。

 1970年リリースの唯一のアルバム「Hollywood Dream」、かな?その筋ではザ・フーの「The Who Sell Out」の冒頭の曲「アルメニアの空」の楽曲提供者として有名なスピーディ・キーンが在籍したバンド。他にも実はジミー・マッカロウがいたりするんだろうけどこの人についてはポール・マッカートニー絡みのミュージシャンなのであまりよく知らない(笑)。メンツは以降の英国ロックにはそれなりの功績を残した三人と思ってもらっていいんだろうけど、このバンドの持つ不思議なセンスは何とも形容しがたいなぁ。

 初っ端のシングル「Something in the Air」は当時かなり売れたらしく、それ目当てに入手する人も多かったのだろうが、確かに非常に美しいポップスというかアシッドな雰囲気もあるし、メロディの綺麗さもあるし、それでいてシンプルで…。何よりもスピーディ・キーンの歌声の超ハイトーンっつうか高音域の歌が曲を更に不思議なモノに昇華しているかな。この人ドラマー兼ボーカルっていう役割で結構珍しい。そして曲作りのセンスもあったりするので余計に珍しい。ピート・タウンジェンドが重宝するくらいのセンスの持ち主なのでそりゃそうかと思うが、こういう人ってなかなか商売は上手くいかないもんなんだろうなぁ。以降瞬間的に失速してしまうのが残念。ギターの方はかなりセンス良いシーンをいくつも見せてくれているのでこの後重宝したのもわかる。全体的には音が凄く透き通ったポップな曲ばかりなんだけどどこかドヨ〜ンとした感じがするという正に英国風な楽曲が多い。アコギだったりピアノだったりが良い感じで鳴っててねぇ、どの曲も美しい。ジャケット見ると果たして何歳くらいの人達なんだろ?って不思議感はあるけどさ(笑)。

 今ではボーナストラックがたくさん付いたものが手に入るのでなかなかお得ではある。そして改めて思うのは才能あっても大成しない人達ってのはいるんだなぁと。しかしYouTubeにこの映像あるんだ…凄い…。

British Beat Classics Vol.1 - Compilation

 黒人音楽と英国少年の出会いっつうのは結構面白くて、まぁ、バンドではカバー曲から始めるんだが才能あるミュージシャン達は大人になってもステージでバンバンとカバー曲をやったりしていてやっぱり好きなんだなぁというのがよくわかる。それはもちろんビートルズにも当てはまるしストーンズにも当てはまるんだけど、結局みんな同じなんだな、と妙に安心(笑)。そんなコンセプトでのCDがいくつも出ていて、ルーツを追いかけるロック少年にしてみるとイチイチレコードとかを探さないでもまとめて聴けるというコレクターには決してなれない利便性を持ったCDがあって聴くには便利。まぁ、その方がよいんだろうなと。かくいう自分もさすがにこの辺はそんな纏まったCDで手軽に聴いて納得しているのだ。

 まずはモッズの話もあったのでザ・フーやキンクスのカバーした曲をまとめて一枚にしたCD「ブリティッシュ・ビート・クラシックス」から。アマゾンにも画像はないしネットで探しても見当たらないので自分でアップしたという…。珍しいよね、そこまでネットで見つからないCDのジャケットってのもあんまりないのでよほど売れなかったのか企画外れだったのか…。結構面白いんだが。

Long Tall Sally / Little Richard
Beautiful Delilah / Chuck Berry
I'm A Loves Not A Fighter / Lazy Lester
Cadillac / Bo Diddley
Too Much Monkey Business / Chuck Berry
I Got Love If You Want It / Slim Harpo
Louie Louie / The Kingsmen
Naggin' / Jimmy Anderson
Dancing In The Street / Martha Reeves & The Vandellas
Milk Cow Blues / Sleepy John Estes
Batman Theme / The Marketts
Please Please Please / Ike & Tina Turner
I'm A Man / Bo Diddley
Buckett / Jan & Dean
Barbara Ann / The Regents
Heat Wave / Martha Reeves & The Vandellas
Summertime Blues / Eddie Cochran
Shakin' All Over / Johnny Kidd & The Pirates
Bonny Morone / Larry Williams
Baby Don't Do It / The 5 Royales
Road Runner / Bo Diddley
Twist & Shout / The Isley Brothers
Anytime You Want Me / Garnet Mimms

 ロックンロールってのは影響力あったんだよ、やっぱり。こういうの聴くとやっぱ英国ロック小僧達は単なるモノマネだったってことに改めて気付くもん(笑)。しかしみんな良いセンスしている。前半はキンクスがカバーした曲。後半はザ・フーがカバーした曲。でも面白いのは例えば「I Got Love If You Want It / Slim Harpo」なんてのはザ・フーの前身バンドでの「I'm the Face」と全く同じだし、似たような所から影響受けているってことだ。黒人音楽も白人ロックンロールも同居しているけど、どれも曲を知っているから原曲がかっこよく聞こえるし、発見は多い。これが、あれが、そんなアレンジになるのか、とか、そのままじゃねぇか、とか、原曲の方が圧倒的に良いじゃないか、とか。ルーツを漁るって面白いんだよな。だから色々な音楽に広がるんだけど、こういうのって素直に楽しめる。

 ただ、まぁ、聴いているとだんだん強烈なロックバージョンを聴きたくなってくるワケで、結局ザ・フーとかキンクスとかストーンズとか聴いてしまうんだけどさ(笑)。