King Crimson

クリムゾン・キングの宮殿 (ファイナル・ヴァージョン)(紙ジャケット仕様) In The Court of The Crimson King 〜 クリムゾンキングの宮殿 (1969)

 1960年代末期、英国ではブルースロックが全盛となりその最たるモノがクリームであって、その後にレッド・ツェッペリンが世界を制したという図式で、ポップス界ではビートルズが「Abbey Road」をリリースして解散という時期、時代はロックへと流れていったのだが、英国の奥深いところはそれだけでは済まされなかった。サイケデリックムーヴメントからプログレッシヴロックへと変革していったグループが多く見受けられ、その意味ではピンク・フロイドは最たるモノと云えるし、ソフト・マシーンあたりも同様だろう。しかし、それらとは全く関わりのないフィールドから出てきて世間を唸らせた、そして現代に至るまで執拗に追いかけるファン層を創り出したバンドがいた。それがキング・クリムゾンである。

 …う〜ん、なかなかかっこよい出だしが書けた(笑)。うん、クリムゾンって突然変異の塊なんだよ。英国ロックを聴きまくって歴史的にも分析したりするんだけど、このバンドはやっぱり異質。ルーツがない状態でいきなり出てきてしかも当時から売れまくったっていう…、もちろんジャイルズ、ジャイルズ&フリップっていうのが布石としてあったりジュディー・ダイブルとの出会いなどあるんだけど、音楽的にアレ…いや、これから書く「21バカ」みたいな曲が出てくるってのは全く正体不明。そういう意味ではジミヘンよりも突然変異なんだよな。自分の探求不足かもしれないが、そうだったら教えてくれ〜、どこからアレが出てきたのか。うん 。

 ま、そんなこと云っても存在するモノは存在するワケなので素直に認めよう(笑)。キング・クリムゾンの強烈なファーストアルバム「クリムゾンキングの宮殿:In The Court Of The Crimson King」。まずジャケットだよ、やっぱ。これ、誰が見ても一発で覚えられるしインパクトがある大顔面ジャケで、それだけでも印象的。書いたのはロバート・フリップ卿の友人らしいが、まさかこれほど売れるとは思わなかっただろうから結構儲け損なったんじゃないだろうか。ま、友人だからその辺は上手くやったのかもしれない。うん、アルバムリリース後数年で亡くなったらしいけど。で、この原画が確かフリップの事務所の受付の奥に飾ってあるんじゃなかったっけ?結構小さいんだよね。

 初めてこのレコードを聴いた時の印象って…、最初はすげぇっ!って感じで、次にああ、綺麗な曲もあるんだなぁ、って。そんでプログレらしい曲だなぁ…ってB面に行くといい曲だなぁ…って思ったらもう大した音が聞こえない苦痛の8分間だっけ?があって、タムタムが入ってきて初めて、やっと来たよ〜、長かった〜っていう印象。うん、このアルバムはそういう風に曲が並んでるのです。

 まぁ、それじゃ面白くないから一応マジメに書いておくとさ、一曲目の「21バカ」(「21世紀の精神異常者」というタイトルのため、仲間内ではコレで通じるのだ)のリフのインパクトもさることながらグレッグ・レイクのぶち切れたようなボーカルも相当インパクトあって、何だコレ?って衝撃が走るし、途中のキメのトコロなんて、超絶ものでしょ?面白いのはこのキメのトコロってグレッグ・レイクのベース音が一音だけ抜けてるんだよね。一箇所だけ途切れるの。意識してるのかミスなのか知らないけど、どっちにしても面白い効果。ここで音抜けるってことないと思うので多分ミスじゃないかな、と思ってるけど。でもって、「風に語りて」の美しい英国的伝承音楽から来ている楽曲で、こういうのがあるからクリムゾンの価値が一辺倒に収まらないんだろうな。もちろんジュディ・ダイブルの歌うバージョンの方が単体で聴くなら綺麗。アルバムならコチラ。そして最早超有名な「混乱、それが私の墓碑銘」ってヤツよ。そうそう、クリムゾンって楽曲もジャケットもともかく歌詞も難解で知的ないわゆる芸術的な詞が書かれているのも特徴だよね。ピート・シンフィールドさん。そういうのが一気に集まってきていたってのがこれも凄いコトなんだよな。やっぱバンドは化学反応なのだ。で、「Moonchild」…もうさぁ、美しい曲とメロディで3分間ポップスとしてももの凄く良い曲なんだけどそれに8分間の効果音が紐付くのだ。クレジットから見るとやっぱりこの曲に付いてくるワケで、どっちかと云うと次の「クリムゾンキングの宮殿」の序章として付いている方が納得するんだけどな。ま、アルバム単位でしか聴かないからどっちでも一緒だけど、この長い長い効果音を大音量で一人で悦に入って聞いていると心地良いところで「タトットットトッ、ジャーン」って入ってきてさ、この感触を味わいたいがために「Moonchild」から長々と聴き入るんだよ(笑)。もうそれで完璧。

 ちょっと久々にマニアックに書いておくと…っつうか当たり前かも知れないけど、英国オリジナルアイランドレーベルのピンクラベルでリリースされたものがオリジナルマスターからのダイレクトカッティングで音が一番良かったってことなのだ。一度聴いたことがあるが全く音像が違っていて驚いた記憶がある。以降は各国に配給されたファーストジェネレーションマスターからのカッティングプレスなので音が違い、繊細な部分がやっぱりオリジナルとは異なるようだ。CD時代になってからも何度もリマスタリングされていたにもかかわらず、正真正銘のオリジナルマスターテープからデジタルリマスタリングされたのはついこないだリリースされたファイナルバージョンだけということらしい。そこまでは聴いてないんだけど、どうやら見事に音の質が違うらしいのでコレはいずれ聴いておきたいなぁと思ってる。ま、それだけ何度も再発されるとうんざりするのもあるが(笑)。

ポセイドンのめざめ+2(ボートラ入り)(紙ジャケット仕様) In The Wake of Poseidon 〜 ポセイドンのめざめ (1970)

 どうしても叙情的なモノを聴いてみたくなって探していたのがメロトロンバンド。そのメロトロンの神秘と言われて真っ先に思い出すバンドが二つある。ひとつは云わずと知れたキング・クリムゾン。もう一つはムーディ・ブルースだったりするんだけど、これはまぁ個人的な印象か。メロトロンって白木のタンス箱みたいなのに鍵盤が収まっていて実は当時の楽器なのでテープに録音されたストリングスの音を鍵盤で再生しているというとんでもない代物らしく、それが故に聴いている方は心地良いものの実際に演奏している側では全くチューニングも何も合わなくなるとんでもなく生演奏に使えない楽器だったらしく、どのバンドでも相当苦労していたらしい。だからライブアルバムなんかを聴いているとチューニング狂いまくったものとか結構あって面白い。時にはメロトロンを止めてオルガンに変えるとかってのもあって、それこそそんなのが聴けるなんて思わないから非常に楽しんで聴けたりするのもある。

 そんなメロトロン神話に代表されるクリムゾンだが、先日イアン・ウォーレス氏が亡くなったらしく、その前のボズ・バレルと言い、なかなかクリムゾン人脈も人が減っていくようになってきたかと我が身と共に年を感じるものだ。そんなクリムゾンの1970年の作品と云えば、残念ながらイアン・ウォーレス氏参加の「リザード」ではなくその前のセカンドアルバム「ポセイドンのめざめ」ですな。どっちでもよかったんだけどやっぱメロトロンだったのでこっち。

 ファーストアルバムで伝説を作ってしまったバンドはアメリカツアーに出掛けたが最後、メンバーがみんな辞めるって言い始めて慌てるフリップ卿、そんな状態でとりあえず曲はあるからってことで出来上がったモノを片っ端から協力してくれる人達を拝み倒して創り上げたある意味執念の作品とも言えるのだ。音だけを聴いているとそんな素振りは全く感じられず、ファーストと同様のコンセプトを持ったセカンドアルバムとして位置付けられるのだが、背景を考えてみるとよくぞまぁここまで出来上がったものだと考えさせられる。その時点でフリップ卿の強迫観念による音楽=クリムゾンという図式が浮かび上がるものだ。まずはイアン・マクドナルドが脱退を表明、理由は「もっと明るい音楽がいいよ」ってことらしい(笑)。続いてマイケル・ジャイルズが消えていく。もっとも「ポセイドンのめざめ」には参加させられてはいるのだが。そして有名なグレッグ・レイクがキース・エマーソンと新バンドのために脱退=EL&Pだね。

 結局オリジナルクリムゾンメンバー崩壊だけど、裏方ピート・シンフィールドとフリップ卿の執念でアルバム完成。ゲスト的に「Cat Food」で強烈なピアノの印象を残すキース・ティペット、そしてクリムゾン史上最も劣悪な扱いを受けているゴードン・ハスケルの歌とベースによる「Cadence And Cascade」が非常〜に素晴らしく、ファーストにはなかった斬新さをもたらしている。こういうピアノの使い方って凄く好きだな。これはアコギも綺麗に入っていてやっぱり気合いの入った作品なんだと思う。「Peace」で始まるテーマが三つ入っていて、ひとつのプログレッシヴアルバムのテーマという重要性をも打ち出した面もあるしやっぱり面白いよなぁ。最後のホルスト…いや、「The Devil's Triangle」とかさ(笑)。

Lizard: 40th Anniversary Series (Wdva)  King Crimson - Lizard (1970)

 キング・クリムゾンの「Lizard」。1970年暮れに発表された3枚目のアルバムにして既にセッションバンドになっていた作品。既に40年の歳月が経過しているが一向に風化する気配すらないこの辺りのプログレバンドの作品。中でもキング・クリムゾンが一番商売熱心=ユーザー泣かせなバンドだね。オリジナル盤からリマスター×数回、そして30周年、40周年記念盤のリリース、その間にもリマスター盤があったり、もう何バージョン出ているのかよく知らないし、どれが、何が良いのか、アーティスト意向も含めてまるでわからない状態、きっと最新のが良いのだろうけど、もう買うのはいいや。既に違いを楽しむという別の世界に行っているリスナーには大変楽しい世界だろうけど、今更そこに行く気もないので普通に昔買ったCDで聴いてます。ま、レコードもあったけどさ…。

 それにしても「Lizard」はキング・クリムゾンのアルバムの中でホントに目立たないと言うか、強烈な楽曲がないが故に大人しい作品として語られていることが多い、だろう。そしてキング・クリムゾンというバンドがあるとするならばロバート・フリップとピート・シンフィールドだけが残っている状態でのアルバム作成だったのか、他メンバーは皆寄せ集めとなる。そこまで殺人的な評価を下さなくても良いじゃないのかと思いたくなるゴードン・ハスケルのベースと歌、メル・コリンズにアンディ・マッカロックという布陣にキース・ティペット・グループの面々。昔から思ってたけど、ロバート・フリップってギターリストという面が強いんだが、メロトロンとか結構弾いてて、なるほどやっぱりキング・クリムゾンの音の中心なんだ、と。バンドである必要性はなかったんだろうなぁ、この人。しかしながらまだまだジャズほどそういうリーダーセッションみたいなのが普及していたワケじゃないからどうしたってバンド単位で物事を捉えているリスナーとしてはこのメンバー遍歴にはうんざりな気もしていた。でも、出てくる音は毎回刺激的でそれこそがキング・クリムゾン、ならばそういう形態が一番良いのだろうと何となく納得。だから毎回刺激的なんだな。

 「Lizard」、その中でも大人しい感じが多い。今聴いてもそう思う。ただ、優しい雰囲気に仕上がっているんだな。B面で話題に鳴るジョン・アンダーソンのボーカル曲にしたってプログレ的ポップスで実に見事な軽さだし、続く組曲だって緊張感はなくて牧歌的で平野に光が差してくるような代物だしさ。長い曲でも全然苦痛でなくてふわ〜っとした雰囲気なのだな。A面も同じくでとんがってるシーンが少ないから聴きやすい。ただ、流して聴くと何も残らない、か。じっくり聴くと様々な楽器の音が細かく入ってきていることに気付くし、それぞれが薄氷のようにキラキラとしていて美しい。自分的にはゴードン・ハスケルの歌声って割と好きな部類なので美しいな〜と思うんだよな。そこにかなり好きなアンディ・マッカロックの軽やかなドラムが入ってくるから結構好きです。フリップの強迫観念的なところが出ていないから良いのかもね。だから異質感ありあり…ってのとメロトロンっつう楽器にハマってた時期なんじゃないかな。一人オーケストラできちゃうんだからハマるのはわかるが。

 「Lizard」ってホントこの瞬間にしか出て来なかったアルバムとメンバーの奇跡で、どのアルバムからしても異質な雰囲気を醸し出しているんで面白い、と捉える方が賢明か。もう40年も経っているんだから今更評価も何もなくて皆に聴かれているんだからどっちでも良いけどさ。しっかしこんだけ歪んだギターの入ってないのも珍しいよな…。何はともあれキング・クリムゾンなんだからやっぱ聴き倒しておきたい所であるのは間違いない。

アイランズ(紙ジャケット仕様)Islands 〜 アイランズ (1972)

 先日バッド・カンパニーあたりに辿り着いた時にどっちに進むか考えたんだけど、その時はロックンロールな気分だったのでモット・ザ・フープルをチョイスしたけど、もう一方の方向性ってのもあってさ。もちろんボズ・バレルの参加していたキング・クリムゾンっていう…。更にまたポール・ロジャースとサイモン・カークって線もあったが…。スーパーバンドはアチコチに系譜が広がるもんだ。ラフ・ダイアモンドだってユーライア・ヒープから…と進めるんだから英国ロックは末恐ろしい。

 偉大なるキング・クリムゾンが1971年にリリースした4枚目の作品「アイランズ」だが、正に混沌とした時期のクリムゾンの記録。ボズ・バレルだってボーカルのオーディションにやってきて合格したのに、ベーシストがいないってことであのフリップ卿の特訓を受けさせられてめでたくベーシストの座もゲット。本人はあまり乗り気じゃなかったのかもしれないけど、そのおかげで以降はベーシストとしてキャリアを積むのだからまんざらでもないだろう。それにしてもどれくらいの期間でここまでベース弾けるようになったんだろ?いっぱしのジャズベースというかランニングベースとかも弾いているワケだしさ、凄い特訓だしセンスあったんだろうな。じゃなきゃ、難しいでしょこんなの弾くの。

 この頃のクリムゾンってのはフリップ対バンドという図式になっていて、どちらかと言うとブルースやジャズの好きな泥臭い面々が揃っていたワケで、ライブになるとフリップが置いてかれていたようなこともよくあった。アースバウンド聴いてみればわかるけどね。それを堪え忍んでバンドを自分のものにしてしまうフリップは凄い。そして気の合った面々、なのかボズ・バレルとイアン・ウォーラスは二人とも近年他界してしまった。メル・コリンズはまだまだ大丈夫だろうが…。

 そしてこの「アイランズ」だが一言で言うと「美と混沌」。ただしそのノイズの中に美しく流れる旋律が非常に心地良くて美しいのだ。その象徴はもちろん「Sailor's Tale」に尽きるのだが…。「アイランズ」って自分的には結構好きな方のアルバム。ちょっと不思議だけど、予測できないノイズや音が出てくるところと、歌が入った時のメロウさってのがギャップがあって面白いんだよね。「Ladies Of The Road」みたいなどこかジョン・レノン的な曲もあるし…それでもしっかり展開を聴いているとフリップさんなりのアレンジが出てきてね、ユニーク。「かもめの歌」は新世界だなぁ…。ロックとかかけ離れて自分の思う世界を突き詰めたらこうなりました…みたいなさ。単純にノイズと美学を極めていったら美の方はこうなったって感じ。その延長線で始められる「Islands」の美しさはこれまでのロック史ではあまり聴かれることのなかった世界。最後の最後のメル・コリンズのサックスに泣けるっ!

 マジメに書くと凄い議論になってしまいそうなアルバム「アイランズ」だけど、今はもうみなこれもありきで聴いているだろうからいいのかな。活動期間は凄く短かったメンバーだけど、このアルバムはそんなメンバーにしても金字塔の作品だと思うし、以降の面子ではこの音は出なかっただろうし。優雅にステレオを大きな音で流して聴きたい作品だね。

アースバウンド(紙ジャケット仕様) Earthbound 〜 アースバウンド (1972)

 ボズ・バレルの名が出たところでプログレッシブ・ロックの代表格として君臨しているキング・クリムゾンを聴いてみる。一番強烈なのはもちろん大顔面ジャケットのファーストアルバムだが、ボズ・バレル期のインパクトが強力なのは「アースバウンド」でしょう(笑)。

いや、冗談ですが、このアルバムを初めて聴いた時にはホントにぶっ飛んだ。ツラツラと書く必要性のあるアルバムではないのですが、どんなもんかと云うとですね、ライブアルバムだけど、土砂降りの雨の中で行われた野外ライブを車の中でラジカセで録音したという逸話を信じられるくらいの音質で、そんな環境でライブをやることになったクリムゾンの面々の気持ちとすればとんでもなくヤケになっていたというのも頷けるのだが、その気持ちがそのままライブの演奏として表現されており、良く言えば滅茶苦茶熱い熱狂的な演奏、悪く言えば単にブチ切れた状態での正にカオス状態で演奏されたとんでもないもの、しかもまともなアルバムとしてリリースされたにもかかわらず、史上最悪の音質で昔のブートレッグと大差ない音で収録されていた。その代わり演奏が凄い。ここで聴ける「21世紀の精神異常者(略称:21バカ)」はボズ・バレルが歌っているのだが完全にぶち切れている。ホントに。もしかした音質のせいでそう聞こえるのかもしれないけど、鬼気迫ることは間違いない。CD出たのかな?←紙ジャケで出たらしい。

 で、そんなのを真面目に書いても役に立たないので、気を取り直して「アイランズ」を聴くが、やっぱり混沌としたサウンドなことに変わりはないのだった。ハマると凄い心地良いんだけど、ハマれないと大変耳障りなところがクリムゾンを聴く上での心構えなのだ。とことん重いロックなんだな、と実感する。ヘビメタとかの重さとは根本的に異なる重さはクリムゾン独特のサウンドで、多数のフォロワーが真似しようと思っても絶対にできないこのサウンドはやはりプログレの帝王として君臨しているだけのことはある。その中でも「フォーメンテラ・レディ」のようにちょっと異質なふわっとする軽いメロディーを持つ小曲を持っているところが聴いている側の興味をそそるところか。

 しかしこの後よりキャッチーなロックバンドであるバドカンに参加するボズ・バレルがよりによってこれほど混沌としたサウンドを奏でていたバンドで歌を歌っていたっつうのもなかなか不思議なもの。もっとも彼はクリムゾンでベースを覚えたというからそもそも変わった人なのかもしれない。で、ボズ・バレルとクリムゾンの関わりはこの一作で終わり、新たにジョン・ウェットンビル・ブラッフォードエディ・ジョブソンというテクニシャンを揃えた黄金期クリムゾンに突入することとなる。これも凄いんだけど、長くなりすぎるのでまた今度♪

太陽と戦慄(紙ジャケット仕様) Lark's Tongues In Aspic 〜 太陽と戦慄 (1973)

 1973年、英国ロックの重鎮になりつつあった、かどうかは定かでないがキング・クリムゾンにしても大きく変化を遂げる年になった。その前までのクリムゾンはもちろん強烈な楽曲を発表することでシーンにインパクトを放っていたが、この年にリリースされた「太陽と戦慄」というアルバムの持つ破壊力はそのイメージを一掃し、攻撃的な姿勢を持つバンドとして市場に認識させたものだ。

 最初にこれ聴いた時は驚いた〜。静寂の中に聞こえる音から爆発するみたいにガツーンって音が鳴ってきたりして、正にプログレだな〜って思って聴いたけど、それよりも雰囲気が凄くかっこよかった。ジェイミー・ミューアの奏でるパーカッションの静かなイントロからアルバムはスタートするんだけど、その序章が終わりを迎えた時、唸るような、というかこれから絶対に何かが起きるぞっていうようなバイオリンの静かなる序章、そしてこれ以上ないってくらいに歪んだギターがフェイドインで入ってくると言う…、いやぁ、一言で言えば「怖い」音楽。

 強烈だよな、この破壊力は。リフに入ってからはもう攻撃性が凄くて、それでも静と動がしっかりと使い分けられていて間をバイオリンが取り持つ、みたいな感じかな。フリップ卿のギターワークは当然ながらやっぱりブラッフォードのドラムとウェットンのベースプレイが何とも凄い状況を創り出していて、正に傑作、名盤。ミューアのパーカッションも所々で狂気とばかりに聴けることでこのアルバムの「怖さ」に大きく貢献している。13分にも渡る強烈な殺人的楽曲のあとはもちろん心優しいメロディを聴かせてくれるのはクリムゾンの常套手段。そしてこの「Book of Saturday」ってのがこれまた綺麗な曲でねぇ…。メランコリックというか、これもクリムゾンらしいっつうか、ウェットンもこういう曲で本領発揮しているっつうのが多彩な人だよね。そしてもう一丁静かなバイオリンのイントロから奏でられるメランコリックな楽曲「Exiles」。ブラッフォードのドラムがらしくないんだが、その分曲にマッチしていて心洗われる気分になる心地良さ。コレも凄いなぁ…。

 ここでA面終了なんだが、とにかく一曲目のインパクトが強烈すぎて、その余韻を他の二曲が補ってなだめてくれるみたいな構図かね(笑)。ジャケットはシンプルに太陽と月が重なったもので、宗教的な香りがするけど、まぁ、クリムゾンっつうのは錬金術師という印象もあるし、大体がフリップ卿の思想だからこういうのもありかな〜って。良いジャケットだと思う。

 B面はブラッフォード叩きまくりの「Easy Money」からだね。ここのスタジオ盤はまだまだ大人しいもので、これはもうライブで本領発揮してしまう曲だな。終盤を聴いていればわかるけどどうにでも変化していく曲だからクリムゾンの真髄をじっくりと楽しめるナンバー。歌詞の皮肉さも面白くて良い(笑)。そして実験的な「The Talking Drum」。正にインプロビゼーションをイメージしたこの曲はクリムゾンのこれからを予見したものかもしれない。淡々とというかスリリングに奏でるウェットンの強烈なグルーブによるベースラインに対してメロディアスに絡んでくるクロスのバイオリン、そして疾走感溢れるドラミングで曲を引っ張るブラッフォードのリズム、そこへフリップ卿が思い切り噛ませてくれるという構図はもうクリムゾンの縮図そのもの。普通に聴いていたら全然面白いとは思えない曲なんだが、そこがクリムゾンの凄いところ。どうも聞き耳を立ててしまうんだよね。もちろん歌ないんだけどさ(笑)。さて、最後はアルバムの冒頭と同じく、そのパート2なのでやっぱり攻撃的なリフが変拍子で奏でられ、ひたすらと攻めまくられる。ある種ミニマル効果もあってだんだんと洗脳されてくる。このノイズの心地良さというか、どんどんと自分がこの音圧に押しつぶされていくような感覚。

 いやぁ、これもまた久々に聴いたんだけどやっぱ凄いなぁ…。どの曲も引き込まれていく魅力たっぷりだし、聴き直したりしてしまう曲もいくつもあって、また新たな聴き方もできたな。うん、この迫力と期待感はなかなか他では楽しめないしやっぱ強烈っ!

King Crimson - Lark's Tongues In Aspic: 40th Anniversary Series [CD+DVD-A (NTSC)+BD] (2012)

Lark's Tongues In Aspic: 40th Anniversary Series [CD+DVD-A (NTSC)+BD]  アマゾン見てたらキング・クリムゾンの「Road to Red Box」なんてのが出る、ってのがあって何じゃこりゃ?と見てるととんでもないブツなワケ。タイトル通り「Red」に至るまでの過程=即ちライブの模様を何枚も入れて、更にセッション入れて別ミックスやリマスター云々などハイレゾも合わせてコレ以上はないだろってくらいにセットにして高値売りってヤツだ。キング・クリムゾンのリスナーは既に大人が多いのでこれでも別に高いとは思わないだろうけど、それまでにチマチマと散財して集めてきたことを考えると腹の立つリリースでもあるだろうと。オフィシャルでもアレコレ小出しにされてその隙間は全部ブートで押さえてて、リマスター、リミックス、ハイレゾあたりならオフィシャルでしか出来ないからともかくとしても、それも何回となく手を替え品を替え騙し取られてるワケで、それを楽しめる自虐的なリスナーも多いので成り立っているのだが、ある意味商業ベースに対するプログレッシブな姿勢でもあるので、姿勢は変わっていないとも評価できるのだろうか…。自分はもうその辺最初の頃でついていけなくて辞めちゃったから普通のリリースとライブ以外、要は持ってない音を買う以外はしていないので同じアルバムが何枚も…なんてのは手を出してませんが。

 そんな情報を横目に見てると既に「Lark's Tongues In Aspic: 40th Anniversary Series [CD+DVD-A (NTSC)+BD]」ってのが出ていて、これも同様の形態によるリリースだったことからすると「Lark's Tongues In Aspic: 40th Anniversary Series [CD+DVD-A (NTSC)+BD]」がそこそこ売れて評判良かったから思い切って「Road to Red Box」のリリースを画策したってことかもしれない。「Lark's Tongues In Aspic: 40th Anniversary Series [CD+DVD-A (NTSC)+BD]」では1972年秋の新メンバーによるツアー7公演をパッケージしてアルバムセッションも取り入れてセットにしている作品らしい。ジェイミー・ミューア在籍時のキング・クリムゾンの演奏をこれほど聴けることもないだろうから貴重なライブ盤ばかりということになるし映像も残されているであろうものは概ね収録されていることからするとこの時期のキング・クリムゾンとしてのマテリアルはほぼ放出仕切ったんだろうと。自分は聴いてないからわかんないが、ここに入れられてるライブ盤ってオーディエンス録音のブート盤と同じなんだろうと思うんだよねぇ…、卓録テープとかならまだオフィシャルの凄さとかあるけど客席録音テープだとしたらそれをさも自分のものであるかのようにリリースするってどうなんだろ?って気はするが。分からん、そこまで興味ない(笑)。自分は昔キング・クリムゾンのそのヘンのは大抵聴いてたからなぁ…ズームクラブやブレーメン、ギルドホール、オクスフォード、グラスゴーなんて古くからあったもん。音悪かったけど(笑)。

 その他はセッションの模様かね、興味深いのは。これもうスタジオでのテープリールを所有している人しか聴けないからそれが裸にされて出されるってのは面白そう。この狂気のアルバムがどんな風に出来上がっていったのかとかね…。ただライブで結構こなれていたからその焼き直し感は強いのかな。それでも興味深いんで気にはなるけど…上記の理由であまりこの限定版を聴く気にはならない。もっと手軽だったらセッション集だけ聴きたいけどそれこそそんなリリースしないだろうし(笑)。YouTubeか何かでで一度聴いたら満足しちゃう音源でもあるからさほどの所有欲は起こらないし、そうやって自分の物欲を抑制していかないと大変なことになるので言い訳しているだけのレビューですね、今日のは(笑)。しかしスティーブ・ウィルソンによる別ミックスって…、自虐的なことするねぇ(笑)。

暗黒の世界(紙ジャケット仕様)Starless and Bible Black 〜 暗黒の世界 (1974)

 完成度が高くいつまでもロックの名盤として語り継がれるほどの作品をリリースできるバンドはそうそう多くはない。練りに練って、また時間をかけにかけて「製作」されたアルバムでも歴史に残る作品は数多くあるものだが、全くの対極に位置するのが即興で録音されたアルバム。単に即興で録音されたロックのエナジーを封じ込めた熱気ムンムンの傑作、というのはライブ盤などではあり得るし、またパンクに代表される勢いによるパワーはある。でも、King Crimsonの場合は大きくその手の意味合いとは異なっていて、それはFrank Zappaと近い手法を用いてロックの歴史を彩っていると言えよう。

 1973年11月23日にアムステルダムで行われたKing Crimsonのライブはしっかりと録音されて、今では単体でライブアルバムとして聴けるようになっているので、何も驚くことはないのかもしれないが、このアムステルダムのレコーディングの素材…と言うか、この頃のKing Crimsonというのはひたすら即興によるライブを繰り広げていて、その様子はライブセット「The Great Deceiver, Vol. 1」「The Great Deceiver, Vol. 2」で聴けるものだが、恐ろしいほどのテンションでそれぞれのインタープレイを堪能して己もまた挑戦者として参加していくというような、正に戦争をしているとばかりの緊張感漂う即興プレイが常だった。Led Zeppelinのライブも似たような部分はあったが、King Crimsonのフリーフォームによる即興性は完全に突き抜けていた。

 「暗黒の世界」という作品はそのアムステルダムのライブレコーディング素材をベースにして…、言い換えるとライブの即興セッションに曲名を付けた、に等しいくらいにライブで出来上がっているものが大半だ。「へ?」ってな感じでして…、「どこが?」と言いたくなるくらいの完成度の高さに驚く。繊細なフレーズや迫力ある緊張感漂う演奏、そしてジョン・ウェットンが違和感なくボーカルで入ってくると言う姿を聴いているとそれはいくらなんでもある程度曲が決まっている部分あるだろ?と思うが、概ね決まったフレーズではなくバンドアンサンブルで曲が成立しているらしい。もっともライブでひたすら繰り返した結果の完成品ではあるようだが。スタジオで多少手直しをしているものもあったり、スタジオ録音作品もあったりするが、「暗黒の世界」というアルバムの醍醐味は何と言ってもテンションの高さと緊張感。そして何が出てくるのかわからない楽しみ、更にメンバーの圧倒的な演奏力。

 King Crimsonの7作目の作品で、解散1年前のライブレコーディングをまとめた代物で、この後「レッド」と言う名盤を排出してバンドは突然の解散。もっともこのテンションでバンドが進んで行ったらとてもじゃないがメンバーが持たなかっただろうというのはよくわかるくらいの緊迫感がバンドを制圧している。しかし「レッド」での緊張感もとてつもないもので、「太陽と戦慄」「暗黒の世界」「レッド」という三部作のテンションの高さと完成度の高さは異常だろう。

 …、文章も堅く書いてみたけどやっぱ疲れる(笑)。久々のクリムゾンだけど凄いわ〜、やっぱり。独りで聴いてハマってるとそのテンションの高さと緊張感がヒシヒシと伝わってくるしさ。静かな空間の中を切り裂くように始まるリフとかもう全てが攻撃的で破壊的…でも優しい旋律がいくつも待っていてくれるというか…、凄い。

Starless BOx Set (2014) Starless

 一体どれだけのアイテムをリリースしたらファンやリスナーは満足するのだろう?過去にそんな事を実験したアイテムは幾つかある。Pearl Jamによるツアー全ライブ音源のオフィシャルリリース、The Whoもそれに倣いツアーの全音源から全ての映像をDVDでリリースした事もあった。自分も含めてだけどそこまでされるとなかなか全部を買い揃えるってのはなくってねぇ…、適度なリリース加減ってのがあるのは確からしい。かと行ってZeppelinみたいに少ないと物足りない…けど渇望感があっていいのかも、とも思うか。アングラ系に走らなければ実に渇望するけどそっちもあればそれなりに満足はする…けど、キリがある話なのでやっぱりどこかで何か物足りなさを感じる。

 King Crimsonの「Starless」という27CDボックスセットがリリースされた。このやり方はかなり好評なんじゃないだろうか。ツアーの音源をこういう形で全部収録して音をきちんとしてライブアルバムをごっそりまとめてリリース、しかもスタジオ・アルバムと平行してるから違和感もないし曲が進化していく姿もわかるしそこからスタジオ盤に入るのもあればスタジオ盤から発展するものもある、実に面白い聴き方ができるんで、こういうのが今のところひとつのリスナーを満足させ尽くすリリースなんじゃないかと。アウトテイクの出し方はミュージシャン側からするとちょっと難しいトコロなのであまり出てこないのだろうけど、ライブならね、こうして出して欲しい。年代別にでも出してくれればン万円でも今のリスナーには安いだろうし。

 さて、この「Starless」も驚異的な音源が多数入ってて楽しめるけど、やっぱりライブはいいね。テンション高くて炸裂してるし、一方ではハチャメチャに崩壊していくバンドの姿までの狂気さはまだ孕んでいない…感じかな。それでも驚異的なライブのパワーはこの時期ならでは。もちろんまだ全部聴けてないけど、どこのライブも変化はあるけどテンションの高さはとんでもない。アングラもので聴いてる時はここまで多くの音源は聴けなかったから嬉しいよなぁ…、音も良いし。たまにこういうの出してくれるとホントにハマる。ロック好きで良かったななんて思うもんね♪

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レッド(紙ジャケット仕様) Red 〜 レッド (1974)

 キング・クリムゾン1974年の第一期最終アルバム「レッド」。最後の最後になってようやく顔を出したメンバー達…、いや、これまでのクリムゾンってメンバーの写真なんてどこにも載ってなかったので、恐らく当時からリアルタイムで聴いていた人にしてみるともの凄く謎に包まれたバンドだったと思うんだよね。顔はわかんないしさ、雑誌にどれくらい露出してたのかまでは知らないけど、多分そんなに多くなかったと思うし、ツェッペリンなんかは十分に顔も知れ渡っていたと思うけどクリムゾンはホント不明だったと思う。しかもメンバーが毎回替わっているワケだから誰がどんな顔で、なんて知らないでしょ?そういうのをしっかりと区別して追いかけてきたファンって凄いと思う。だからここで最後で表ジャケットに顔を出したメンバーってインパクトあったと思うもん。しかもジョン・ウェットンの不敵な笑みがこれまた良い感じで、ロックな面構えしてるしさ。

 変なトコから入ってしまったが、今更語ることあるのかと云わんばかりの名盤「レッド」…っつうかな、キング・クリムゾンのひとつの最終形でもあるし、集大成でもあるし、変化の途中でもあったかもしれん。最初の「レッド」が始まった瞬間から何というのか神秘的というか正にクリムゾンでしかあり得ない旋律が奏でられて、しかもそれが硬質なだけでなくどこか優しいメロディで、インストのくせにどうしてこんなに訴えてくるものがあるロックなんだ?多分全ての楽器が歌いまくっているおかげで歌などに用がないっていうトコロかな。っつうよりも単なるオープニングの意味合いでのインストなのかもしれない。どっちにしても美しく破壊的、且つ繊細な楽曲で幕を開ける作品。続いての「Fallen Angel」はこれまた非常に優しい歌声を聴かせてくれるウェットンの歌い手心満載。オブリで入ってくるフリップの奥の方で鳴っているマイルドなトーンのギターも良い具合に味を出していて、基本的にはアコギの響きなのだけど、やっぱりウェットンのベースと歌の一人舞台に近いかなぁ。もちろんもの凄く高次の意味で、だけど(笑)。そして破壊的なクリムゾンを代表する「One More Red Nightmare」はブラッフォードのパッカッシブなドラミングこそ全てだ。しかしこの辺のクリムゾンの曲ってのは普通じゃ考えられないリフと旋律とリズムに対して歌が妙に優しいという絶妙なバランス感覚の上に成り立っているワケで、いやぁ、やっぱり怪物なバンド。後半のアドリブプレイでは中期を思い起こすような混沌としたアンサンブルもしっかりと記録されているんだけど、やっぱり単なる混沌さじゃなくてしっかりと計算されている、というか全員が計算しながらのインプロビゼーションが素晴らしい。この辺はライブで鍛え上げまくったこの時期のクリムゾンならではのインタープレイだね。

 そしてアナログだとB面へ。「Providence」ですか…。デヴィッド・クロスのバイオリンから始まり、静寂さの中で緊張感を紡ぎ出し、異常なまでのテンションの高さを見せつけ、もちろんメンバーのインタープレイを期待させる展開がず〜っと続く凄い傑作。ジョン・ウェットンの恐るべきベースプレイが圧倒的に目立つんだけど、もちろんフリップの縦横無尽にヘヴィに弾きまくるギターも冷淡さを助長している。一方ブラッフォードのパーカッションドラミングはドラムという楽器として機能しているというよりかは確かにパーカッションとして機能している…、うん、難しいんだけどさ、リズムキープとかリズムを叩くっていうんじゃなくってドラムという楽器で戦いに参戦しているんだよ。そんな感じでやたらテンションが高いまま唐突に終わりを迎える…、多分これライブで演奏したのをそのまま編集して用いられた曲だな。確か。だからこんなに異常なテンションなんだ。そして最後、とんでもなく美しく、そして破壊的なキング・クリムゾンのレクイエムには最高の作品。これほどに美しい旋律をぶち壊しにしていけるのもクリムゾンならではの技。いやぁ、ホント、これ凄いいいんだよ。歌メロはもちろん、ほのぼの感も素晴らしいしさ、メロトロンも綺麗で…、そして中盤からはまた異常なテンション、というか静寂の中から生まれる緊張感をそのままレコーディングしていて、普通のバンドでは絶対に出来ないこのテンション。そしてオープニングの美しい旋律に戻ってくるんだけど、旋律以外は結構破壊的なんだけど、それでもやっぱり素晴らしいという…。こんなに凄いのを出しておいて解散かい(笑)。まぁ、逆にこんなテンションそうそう維持できなかっただろうなぁとも思うけど。

 うん、「レッド」久々に聴いたけどハマった(笑)。とんでもなく凄い。やっぱこの時期のライブセットも聴きたくなってきたなぁ。今は色々とリリースされてるみたいで情報漁りが大変だけど、まずはボックスセットからでも聴き直そう…。あ、「USA」もあるか♪

King Crimson - The Road To Red (21cd+Dvd-Audio+2blu-Ray)(Limited Edition Box Set) (2013)

The Road To Red (21cd+Dvd-Audio+2blu-Ray)(Limited Edition Box Set)  最近のロックの進化はホントに凄いと感じることが多い。ロックに限らずではあるけど70年代ロックばかりを聴いていた耳にはとんでもないサウンドばかりが響くのが近年の音楽シーン。その半面「売れる」とか「売る」ってのは難しくなっているのがアレだが、最近の日本から発信する音楽ってのは多分洋楽に優っているんだろうと言う気がする。プロデュース側もだけど普通にバンドで音を作る連中の才能もとんでもないと感じるしさ。洋楽系でここのところ斬新なの、ってあんまり思い付かないんだけど知らないだけです、多分。それでも日本のがよく耳に入るような環境ではないから情報量的にはそんなに変わらないんだけど、多分発信する人の数の差だろうか。まぁ、オールドバンドの再発ばかりが話題になるってことはそんなに斬新な音が出て来ないからなんだろうとも思えるけど。数年に幾つかかな〜、強烈にインパクトのある音が出てくるのは。自分にとって、だけど。

 コイツが出た時はどうしようか?とも思ったけどさ、まぁ、やっぱ好きだしこうして出されたら決定版だろうからこれ以上不要だろうし、とも思って…。King Crimsonの「The Road To Red (21cd+Dvd-Audio+2blu-Ray)(Limited Edition Box Set)」。最初は24枚組で〜とかそんな噂が流れてきて、一体何入れるんだ?って思ってたら何と1974年の春のツアー丸ごとと来た。何と言ってもオリジナルの「Red」がリリースされた時にはすでにバンドが解散していたってんだから、「Red」のツアーなワケはないから、やっぱそっちか、と思って嬉しかったが…、それにしてもライブだけで20CDって…、どんだけ既発音源と被るんだ?ってのもあったし、まぁ、クリムゾンはほとんどのアングラ音源を持っているんで大抵聴いていたハズなのだが、DGMから出してたようなサウンドボード音源じゃないからそれもあって今回は決定版だろうと。いや、随分昔にそういうの集めてたから、そん時はオーディエンスもんばっかでして…えぇ、それがサウンドボードだったらそりゃもう、ね。聴いてみればあれこれ混ざってるけど、まぁ、フリップ卿公認のリマスタリングだし音は迫力満点でこの時期の、と言うかもう最高のクリムゾンのライブがこれでもかとばかりに聴ける。日によって演奏が云々ってあるけどさ、そりゃもちろん違ってるしテンションもミスもバンドのエネルギーも色々あるけど聞き比べられんし、どれが良いって言われてもなかなか答えられん。ただ、やっぱ「U.S.A」の元となったアズベリーパークや以前からリリースされていたピッツバーグやプロビデンスなんかは白熱モノなんだな。個人的にはラストライブもよく聴いてたんで久々で嬉しかったけど。

 リリースされてしばらく経っててチマチマと別にどう、ってもんでもなく気分でライブ盤をチョイスして聴いてた。多分どれも聴いたんだと思うけど、いつどれを聴いてもやっぱりテンションの高さとウェットンの歌声に痺れる。気分だけど90分以上聴けるかな〜って時は2枚モン、そうでない時は1枚モン、みたいな聞き方したり、曲目で選んだり…それもオープニングから違うからさ。まぁ、こんだけのライブやっててバンドが疲弊しないワケないわな、と改めて思う。しかもアチコチの部分で毎回実験的にぶつかり合った展開を作ってたりするし、それでいてバンドが一体となって…もしくは完全にバラバラになって一方向に進むってのはもう神業。ライブによるけど音のバランスも割と分離されているようにイコライジングされているのか各パートとも聴きやすいし、だからと言って薄っぺらくなる音にはならず分厚く仕上げてあるのもオフィシャルのワザ。ガツンと気合入れたい時にはやっぱりガツンと応えてくれる嬉しいセットです。

King Crimson - USA (1975) USA: 30th Anniversary Edition  

ゴールデンウィークの始まり♪ってことでウチのブログもいつも通り適当な流れで書いていくのは変わらないけど、ちょいと連休スペシャル的に読みやすいアルバムを続々と書いておこうかな、などと。ま、名盤特集的な感じにしたいんだが、結構書いてしまっているのでどこまで名盤という枠組みが通じることやら…(笑)。先日Anekdotenのアルバムを聴いていて、やっぱさぁ、強烈な元祖を聴くってのも良いよな、などと思い付き、更にどうせGW特集ならアングラブートものでもいいか、とか思ったのだが、クリムゾンの場合は何がなんだかわからないくらいにライブ盤がオフィシャルでリリースされていて、そのヘンを情報整理して発信するのは無理だ、と思いましてね、じゃ何かあるかな〜なんて、過去ログ見てみると、書いてないのがありました。それにしても昔の自分のブログ記事は実にコンパクトだ。もっとどっぷりと書いておけば良かったのにと思う記事が多くてもったいない。その内書き直しもアリとしていこう。多分昔はさ、PCにしても画面サイズが小さかったから画像も小さくしていたし書く文章量もWebブラウジングしてて適度に読める範囲に抑えていたってのはあるんだが、それにしても今の大画面で見ると少ない情報量だな〜などと。そんなこんなでもう7年目に突入している本ブログ、よくやるわ…と呆れつつまだまだ聴くものも書くものもいくらでもあるという潤沢なロックの世界、やっぱりいいよ。

 ってなことで、GWスペシャル一発目はKing Crimsonの「USA」。オリジナルは1975年で解散発表語…っつうか解散してからリリースされた企画盤的な位置付けだったし、もちろん当時のライブ音源なのでオーバーダビングは普通に行われていたってこともあって何となくマイナスポイント高かったんだが、音を聴くとそんなことはどうでも良くて、とにかく聞け、的な名盤なのは確かだ。それからアナログでは一回くらいしか再発されていないんじゃないだろうか?その後CD時代では全くリリースされなかったんだが、21世紀に入ってようやくフリップ卿お墨付きでCDリマスタリング、ボナストラック付きでリリースされて狂喜乱舞。それまでにも様々な編集盤やライブボックスなどで「USA」の元ソースとなっている1974年6月のアズベリー・パークとプロビデンスのライブが発掘リリースされていたこともあってもしかしたら生ライブソースを出しているってことは「USA」っていう編集ライブはリリースされないかも、なんて言われていた時期もあった。まぁ、こんだけ生ライブがリリースされてしまうと「USA」の編集跡がバレるワケで、今に至るまでオフィシャルサイドから明確に「USA」の曲別のライブの詳細や編集の詳細などは出てきていないみたい。いつもあれだけデータに細かいフリップ卿がそんなのを把握せずにリリースしているとは到底思えないの全て掌握しつつも詳細情報を出さないというのが懸命な見方だろうと。

 一方狂信的なファン達によればかなりの部分で詳細が把握されているようなことで、そっちの情報の方が全然面白くてさ、結局色々と混乱を招いていたもののほとんどアズベリー・パークのライブが基本になっていてそれにプロビデンスのソースが入ってる感じだそうだ。エディ・ジョブソンのオーバー・ダビングっつうか差し替えは3曲「太陽と戦慄II」「21バカ」とピアノで「Lament」ってことらしいが、某アズベリー・パークの生ライブを聴いてみるとデヴィッド・クロスのバイオリンフレーズと同じ箇所も多数ある訳で、ってことは??ん?みたいな話。差し替えではなくて修正をエディ・ジョブソンが行ったという程度なのかもしれない。そしてプロヴィデンスのライブはもうほとんどが「USA」とは異なる演奏なのでやっぱりアズベリー・パークが妥当なんだろうという結論に落ち着いているようだ。そしてもちろんのことながら長い長いインプロ中心のバンドのライブシーンにはやや冗長に思える部分もあったようで、その部分はしっかりとカットされていることもよくわかる。アズベリー・パークというインプロな曲ももの凄い迫力なんだが、生ライブ盤を聴いているとしっかりとカットされている部分があるのがわかるし、それは他の曲でも似たような箇所がある。CD化の際にボーナストラックで収録された「Fracture」「Starless」にしてもそれは然り、のようだ。最も作品としてのライブアルバム「USA」は位置付けとしては「Starless & Bible Black」や「Red」のようにライブソースを元にスタジオで仕上げたというものに近いのかもしれない。言い換えればスタジオソースを元にライブで仕上げた瞬間、それをスタジオで編集したというだけで、確かに「Starless & Bible Black」や「Red」と大して位置付けは変わらないとも言える。リスナー側はどうしても「USA」をライブ・アルバムだから、と決めつけたがるけどフリップ卿とすれば様々な理屈をこねながらも結局既成概念から離れられないリスナーはしょうがないな、みたいなトコあるのかもね。そう考えるとこの編集アルバムは編集アルバムとしての価値が高いワケで、リミックスも妙な編集も納得のトコロに落ち着くのだ。その分生ライブちゃんと出してるだろ、ってのが言い分なんだろうな。

 さて、そんなアルバムそのものの来歴などはともかく、人間としてとにかくこの「USA」のライブは狂気の沙汰でしかない。この頃メンバー多分25歳前後で、この演奏力と破壊力、そしてこの楽曲構築美。一体何なんだ?特に「USA」ではライブの破壊力にフォーカスした作品となるワケだからこのインプロビゼーションのレベルの高さ…レベルとか超えてるから(笑)、各楽器のぶつかりあいとアンサンブル、掛け声だけでバンドが生き物のようにどんどん変化進化していきマンネリ化という言葉が程遠い同じタイトルであるかのような楽曲群、便宜上「Asbury Park:としている楽曲だって、曲間の適当なインプロから発展しているもので、どのライブでもそういう試みが行われているのは生ライブリリース群を聴いていればわかることで、それでもこうしてこの自体に世紀に収録されるとやはりぶっ飛ぶインプロなワケで、正直これくらいの時間数だけではKing Crimsonのライブは伝え切れないし、その場にいたらもう完全にぶっ飛ぶくらいの凄まじさであったに違いない。全盛期に日本に来たことがなくてこれだけ日本で支持されているバンドも少ないので、よほどの破壊力だったのだろう。見たかった。King Crimsonについては全盛期のライブ映像も断片しか残っていないのでまったくその相貌を見ることが出来ないに等しいバンドなんだよな。写真見る限りはかなりダサいバンドにしか見えないんで、もしかしたら映像がない方がカッコ良いままの幻想を抱かせるのかもしれんが…。

 はて、色々と書きすぎているのでボチボチ…、「USA」、この破壊力を気に入ったら今の時代ならその先にいくらでも生ライブアルバムが手に入れられます。アマゾンでも売ってるしオフィシャルサイトでも入手できるのでぜひそっちを聴いてほしい。1973-74年の第3期クリムゾンのライブは今の時代に於けるまでこれだけの破壊力を伴ったバンドは存在していないワケで、その理由が納得できるだろう。そして「USA」はその濃いライブの中でも一番充実していた1974年6月末のライブから収録しているので、正に狂気。ちなみに7月1日がこのクリムゾンのラストライブになったので、モロに直前、疲弊しきっているメンバーの最後のエネルギーがここでぶつかり合ってる、まるでホタルの愛のようだ(笑)。いや、それくらい強烈なライブパフォーマンスに触れてロックを感じてほしいな。 …長々失礼!読了ありがとうございます。

King Crimson - エピタフ Vol.1 (1969) エピタフ Vol.1-Vol.4(紙ジャケット仕様)  

バッド・カンパニーと言うバンドは当時スーパーバンドとして騒がれて鳴り物入りでデビューしているのだが、ポール・ロジャースとサイモン・カークはもちろんFREEからの繋がりだし、ミック・ラルフスはMott The Hoopleのギタリストとして名を馳せていたワケだ。そして異質な繋がりなのがボズ・バレルという人。King Crimsonに在籍していた後にバドカンに参加しているんだが、一見音楽性には何の繋がりもなく、何でまた?っていう不思議感が募ったものだ。今でもよくわからない繋がりではあるが、ボズ・バレルと言う人はそんなに音楽性が云々とかベーシストとして云々っていうのは主張しない人だったんじゃないだろうか?そもそもロバート・フリップにベースを教わってそのままベース弾いてましたっていう人だしさ。なので音楽的に云々よりもたまたまその周辺に居合わせてそれなりに名も売れていたこともあってのバドカン参加だったんだろうな、と思っている。んで、King Crimsonかぁ…、最近聴いてないわ、と。ココのところ40周年記念盤などでやたらとボーナストラックやDVDを付けてCDがリリースされているのは知ってるけど、さすがにもう食傷気味なのでね…。なので、ぶっ飛ぶライブ特集していることだし、何かあったな…と。何かあったな、どころかKing Crimsonのライブって今じゃもう山のように出ているから訳分かんないんだけどさ。

 1997年にリリースされた当時はもう驚いたの一言に尽きるぶっ飛びのライブアルバム「エピタフ Vol.1-Vol.4」。今じゃ4枚組でまとめて出ているけど、当時は最初にボックスで2枚組が出て、その後に更に2枚組がリリースされたんだけどさ、まさかまさかのオリジナルKing Crimsonの1969年のライブを記録したアルバムが出てくるなんて想像もしなかったからぶっ飛んだ。1973-74年頃のはこの前に「ザ・グレート・ディシーヴァー パート1(紙ジャケット仕様)」で4枚組がリリースされていたんで、聴き倒していたんだけど、その他そんなに出てこないだろうなと勝手に思ってたからさ。それがいきなりファンの誰もが聴きたいと願っていた1969年のオリジナルメンバーでのライブをガンガンと出してくれたっつう快挙。しかもブートレッグではリリースされたことのないフィルモアのライブが入っていたってのがさすがにオフィシャルの凄さと感動させてくれましてね。BBC音源だってぶっ飛ぶくらいの演奏で感動的なのにフィルモアのライブなんて何だこりゃ?ってくらいの激しい演奏と破壊的なライブで、スタジオ盤の「クリムゾン・キングの宮殿」の繊細で恍惚とした美しさをイメージしていると全くぶち壊されるくらいに美しくも破壊的自滅的ですらあるKing Crimsonの凄まじさに驚く。もちろん繊細さはあるんだけど、壊れ方が凄いんだよね。音が悪いから余計にそう聴こえるんだろうけど、生々しくて迫力満点のかっこ良さ。結局スタジオ盤を発表することのなかった曲もたくさんあって聴き応えあるし…、それにしてもこれだけライブでやっていたのにスタジオテイクが出てこなかったのは、楽曲としての完成度が足りなかったから?もうちょっと纏めて楽曲らしくしてからにしようと思ったらメンバーが変わっていってしまって新しい方向に進んでいったからかもしれないね。

 しかし久々にクリムゾンかぁ〜と盛り上がって聴いていたのはいいんだけど、こんなにヘヴィで破壊的で美しいものをひたすら聴いていたら無茶苦茶疲れてきた(笑)。やっぱりこの手の音は一人でじっくりと音と向き合って聴いているものだからどうしても集中してしまって疲れるな。グレッグ・レイクのベースとか面白いもんなぁ…、この後EL&Pに行っちゃったのはよかった事なんだろうけど、凄いプレイと歌だ。これこそ最初期King Crimsonの声。タイトル曲にも鳴ってる「Epitaph」はこの声じゃないとね♪

 う〜ん、結局Disc 1聴いただけで思い切り疲れたからまた今度にしよう(笑)。ってことはBBCと11月のフィルモアだけか?このフィルモアのライブがホントにかっこ良いKing Crimsonで、別にロパート・フリップが主導権握ってるとかあんまり意識することないくらいにバンドとして均衡したバランスでライブが繰り広げられている気がするもんね。曲が少ないから色々やってるのも面白いし、この時期でしか聴けないよな、こういうのは。ただ、普通に時代を遡って聴いているとこれくらいの演奏をするバンドって決してクリムゾンだけじゃないとは思うんだけど、アグレッシブな活動が生き残った要素でもあるんだろう。しかし最強のクリムゾンはこの頃からのものではあるな…。始めからこのインプロ合戦の嵐はクリームのそれとは一線を画すものというのがよくわかる。やっぱ凄い。

ザ・グレート・ディシーヴァー パート1(紙ジャケット仕様)The Great Deceiver 〜 グレイトデシーバー(1973-74)

 キング・クリムゾン=プログレッシブバンドの代表格。そして最もメジャーな作品があのファーストアルバム。が、それはまたいずれかの日に書くとして…、先日のニドロローグもクリムゾン的と言われるんだけど、このバンドを敢えて例えるならば「リザード〜アイランズ」の頃のクリムゾンのようだと言われるだろう。個人的にはそういう聴き方したことないからあんまり似てるっていう感じしないんだけどね。

 で、だ。その後1973年から74年のクリムゾンは他の追随を許さないほどのエネルギーを持ってサウンドの渦を構築し、絶対無比の存在となったワケだ。これはアルバム「太陽と戦慄」「暗黒の世界」「レッド」の三枚に全てが凝縮されていて、もちろんリアルタイムなファンにしてみれば一枚ずつ毎回裏切られることのない作品として迎え入れられたんだと思う。そして後追いの人間からすると、この三枚はほぼセットとして数えられるだろう。今回取り上げていこうと思っていたんだけど、どれか、と言っても選べなかったんで余計にそう思うワケなんだが…。

ザ・グレート・ディシーヴァー パート2(紙ジャケット仕様) そこでチョイスしたのがリリースされた時に驚喜した念願のライブボックス「The Great Deceiver」4枚組CD。1973年〜74年のライブがこれでもかと言わんばかりに4枚のディスクに詰め込まれていて、正直一気に聴くものではない。が、先の三枚のアルバムが混沌と入り交じった選曲による怒濤のライブに加え、ライブでは有名だったがアルバムでは発表されていなかった「Doctor Diamond」なんてここで初めて公になったしね。曲目は見る人が見れば何のことなのか検討がつくだろうし、それくらいのユーモアは持ち合わせていて欲しいトコなんだけど、とにかく中味はハンパじゃない。エネルギーとパワーのぶつかり合いが激しく、そして美しくライブでスリリングに変化し、進化していく様子がまざまざと繰り広げられていて、楽曲の良さが磨きを増していることがよ〜〜〜くわかる生のサウンド。もっともアルバム「暗黒の世界」などはライブからのテイクにスタジオで手を加えているという作品の作り方なので、この時期はそのままアルバムが制作できたレベルなのだろう。その証拠としてもうひとつ嬉しいリリースだったのは1973年のアムステルダムでのライブ音源を収めた「ナイトウォッチ」だね。これもこの時期のクリムゾンのライブの様相をしっかりと記録した激しく名演なんだけど、まあ4枚組CDの方が凄いかな。あ、そうだ、このアムステルダムのライブが「暗黒の世界」のベーシックトラックになっているみたいなので厳密に聴けば同じ箇所があるんだろうね。

 最近ではコレクターズシリーズと言うことで過去のライブ音源を海賊盤並みにオフィシャルサイトで連発していて、どさくさ紛れにブリュー時代以降のクリムゾンのライブも多数リリースしていて、古くからのファンを唸らセているみたい。個人的にはさっさと止めてしまったけどね。1969年のライブを収めた「Epitaph」は必死に買ったけどさ、オフィシャルサイトの何でもリリース発売ではさすがについていけないもん。でも気になる音源は入手してるかな。

 そういえば、また新たなる紙ジャケシリーズでファイナルバージョンと銘打ったCDがリリースされるようなのでちょっとはまた盛り上がるのかな。好きな人は何枚もアルバム買わされるんだろうね、大変だ〜。

ナイトウォッチ(紙ジャケット仕様) The Night Watch 〜 ナイトウォッチ(1973.11.23)

 あ〜、何でもいいからすべてを破壊してしまいたいっ!っていう風に思うときがあって、正にそんな状態なんだけど、そんな話をとある声優志望の女の子と話していたら彼女は「あぁ、この人混みを焼き払っておしまいっ!」などと発言するものだから面白い。常識から逸脱した思考回路を持つ人間は好きだ。固定概念から解き放たれて自身の思うままの思考を持つことは人格形成には重要だろうし、まぁ、間違うと怖いことになるんで一般的には常識論もありつつ思考をハズしていく方が人間的にはよろしい。どっちかに偏っては面白くないし、向こう側の世界に行かれても困る(笑)。そんな破壊的な気分の時に聴ける音ってのもベクトルが異なるもので、パンクノイズ的なものでも良いんだろうけど、やっぱり恐ろしく破壊的という意味ではやはり強烈なインパクトを持つキング・クリムゾン。

 1997年にリリースされたもので、1973年11月のアムステルダムでのライブをパッケージしたタイトル「ナイトウォッチ」。このライブ盤を出したあたりからロバート・フリップ卿はキング・クリムゾンの残っている音源すべてをリリースする気になったようで、怒濤の如くCDがリリースされているのは承知の上か。このライブにしても古くから水面下で流通していたもので、とにかく迫力満点のライブという話題は振りまかれていたのだがこうして全貌を現した音なのだった。

 メンバーはもちろん史上最強のカルテット、ジェイミー・ミューアが脱退してしまった後なのが残念なのだが、それでも恐ろしいまでの破壊美と迫力で、ロックというカテゴリーに属するプログレッシヴバンドならばやはりこの強烈さは持っていてほしいもん。初っ端の「Easy Money」からしてジョン・ウェットンのベースと歌がガンガンに迫ってくるし、もちろんフリップ卿の繊細なギターが右チャンネルからチロチロと流れてくるし、あぁ、そうか何だこの強烈なパーカションは、というくらいにドラムをパーカッションに替えてしまっているブラッフォード。その面々からするとインパクトには欠けるがしっかりとバンドの一端を担っているデヴィッド・クロスという四人のメンバーによる演奏、即ち同時には四つの楽器の音しかしないはずなのだが、一体この迫力は何なんだ?もちろん静寂による緊張感も同時に存在しているのだが…。

 ライブ。インプロビゼーション主体のサウンドを信条とするテクニカル且つ完成が磨かれたミュージシャンによる即興音楽は演奏する側も聴いている側も楽しめるものだろう。それが単なるコード進行によるアドリブプレイではなく、テーマが決まった中で瞬間瞬間の呼吸によって展開が変わっていくという完全フリーフォームではないという手法はもちろんジャズにはあるものだが、キング・クリムゾンのそれはより複雑な要素を持ち得ているかもしれない。何と言ってもその代表格が10分強に渡る「Fracture」に集約されているとは言い過ぎか。ん〜、でも多分アルバム「暗黒の世界」に収録された同曲はこの演奏を基としているので、ある種の達成感を捉えた瞬間だったと思うんだよね。ジョン・ウェットンの一瞬のベースソロがスゲェかっこよくって、ハッとする。まぁ、その前のバイオリンが繊細になっているトコロへフリップ卿のハードなエッジの立ったギターがリズムを刻むシーンも素晴らしいのだが…。 1973年から1974年のライブを2枚組2セットに分割して再度リリース!

 美しいメロディラインを持つ歌中心の曲もしっかりと持っているところが彼等の強いトコロで、それがまた良いんだ。緊張感溢れる演奏世界だけではなく聴く者に優しさを与えてくれる部分、そういうメランコリックな部分がなかなか真似できないところではあるな。ま、でも圧倒的に今は破壊力を欲しているので次なる展開を今か今かと待ちかまえて聴いているんだが(笑)。そうそう、このライブ、というかこの頃のキング・クリムゾンのライブってのはもう既に「太陽と戦慄」以降の作品しか演奏されていなくて、唯一残っているのが「21バカ」という…。この面子での「21バカ」もこれまた凄いのでいつのライブを聴いても楽しみなんだけど、ここで聴けるライブではわかるように、最初から重さが違う(笑)。あの中間のキメフレーズにしてもなんかいとも簡単にやってのけてしまっていて、全然難しくない曲のように聞こえるから、如何にそれまでのインプロ中心の楽曲が緊張感溢れていたかわかる。だって曲が読めるんだもん、これ(笑)。だからこそ最後の曲ではあるんだろうけどさ。

 ん〜、「ナイトウォッチ聴きながら書いているとちょっとあちこちに行き過ぎてしまって、もうね「The Talking Drum」とかやっぱりとんでもなく破壊力を持った「太陽と戦慄 Part.2」とか凄まじくてさ、こんなライブ目の前で見てたら絶対失神してるぜっていうくらいの迫力だからやっぱりぶっ飛ぶ。いわゆるスタジオ盤は時間もあったから相当聴いたけど、それらに比べればこのライブ盤「ナイトウォッチは全然回数聴いていないに等しいくらいのもんだからさ、久々に聴いてやっぱり凄さを体感。思い切り破壊的気分を味わいました、はい。

ディシプリン Discipline 〜 ディシプリン (1981)

 80年代は魔法だ。1974年に活動を停止したキング・クリムゾンまでもが再度シーンに登場してきたのだ。この辺りはその時のファンの心情を考えるともの凄い期待度だったと思う。7年ぶりにフリップ率いるクリムゾンのニューアルバム!とか詠われてただろうし、当然ファンもあの鉄壁のメンバーに変わる今回はどんなんだろう?って期待するし。どうやら得体の知れないアメリカ人二人とビル・ブラッフォードがドラムだっていう感覚じゃないだろうか。ま、エイドリアン・ブリューはトーキング・ヘッズでの実績があるから多少は知名度あっただろうけど。

 1981年発表の「ディシプリン」=「鍛錬」…、相変わらずよくわからない世界をテーマにするものだが、後追いリスナーの自分的にはこのあたりの三作はまったく通っていなかった。ポップチャートに顔を出すわけでもないから自然には耳に入らないし、プログレに目覚めた時にはもちろん70年代クリムゾンに行くワケでして、この辺は一番聴かないんだよな。それでも聴く時が来たり、ビデオでもこの時の来日公演くらいしか動いている姿を見れなかったから一応チェックはしたもん。ビル・ブラッフォードがドラムの後ろのパットや何やらを猿のように叩き回っているのが印象的だったが…。

 そして改めて80年代ってことで気合いの入ったクリムゾンの新作一発目「ディシプリン」ってことで聴いてみたが…、確かに70年代の印象を残したまま聴くと、ブリューの歌声がまず全く受け付けない(笑)。こいつは困った。音楽的にはポリリズムというかリズムに徹底した作品で面白い面は多いし、感想などインプロ的なトコロを聴いているとクリムゾンらしいな、ってのあるんだけど歌とあのギターがダメだ。ブリューは好みでないんだよ。そんなことがわかってしまった。でもね、思ったよりも音楽的にクリムゾンらしくて良かった。やっぱり最初のイメージだけじゃだめだね。ちゃんと何回か聴くと音楽性が聞こえてきてなるほど、ってのもあるから。まぁ、それでも好みではないし何回も聴けないけどね(笑)。

 ブリューってさぁ、声があれで間延びするし何かリズム感ヘンな歌だし、ギターは効果音のああいうのがちょっとねぇ、面白味がないんだよなぁ。それでもフリップは今でもクリムゾンをブリューと一緒にやってるんだから不思議だ。あの偏屈モンは脳天気なアメリカ人の方が気が合うってことか(笑)。

King Crimson - Vrooom (1994) Vrooom  

破壊的な気分です(笑)。故に破壊的な音を欲してます。意外と破壊的な音ってのは多くないので、何だろな、と考えてしまった。前衛的な破壊さはちょいと聴く気分じゃないので、メタル?う〜ん、結構破壊的じゃないので…何だろ?って。そしたらふと思い当たったのが90年代のKing Crimson。まだまだ全然聴いたうちに入らないけど、此頃はリアルタイムで一応追いかけてたからそれなりには聴いててさ。70年代クリムゾンと比べちゃいかんけど80年代クリムゾンに比べりゃ全然最高さ。それどころか90年代クリムゾンは破壊的なメタリックさ加減によるかっこ良さがあって結構圧倒されたんです。ダブルトリオっつう編成も見事だったけど、音の硬質さが90年代を物語ってるかもしれん。

1990年代になって70年代のライブをまとめた「The Great Deceiver: Live 1973-1974」というボックスセットがリリースされて結構盛り上がってたんだな。そこへ新生クリムゾンの新録アルバムってことで80年代クリムゾンの嫌な音が一瞬横切ったけど、何となくトライしてみましょうかという感じで聴いたのが1994年にリリースされた一応EPという形式になっている「Vrooom」。これがまた最初から恐ろしくエキセントリックでメタリックで硬質でヘヴィなサウンドだったから驚いて、70年代クリムゾンのあの冷たさに更にメタリックさが加わって激しかった。もっともくだらない曲も入っていたりしたので全部が全部ベタ褒めじゃないんだが、少なくとも冒頭タイトル曲の迫力は感動的だった。以降はちょいと実験的と言うか方向性の模索ってのもある感じで、ビートやトライは良いんだけど、歌とかねぇ、効果的な音とかが余計。ただ、それも含めてクリムゾン的な音色ではあったんで、まずまずなんじゃないの?って感想だった。

 「Vrooom」の後そんなに時間を開けずにフルアルバム「スラック」がリリースされて、コイツがまた硬質で新たな世界観を聴かせてくれる作品だったので聴いたなぁ。その後のライブあたりまでは結構聴いた。いつしかどれもこれもどんどんとリリースするようになってフリッププロジェクトとか出てきてついていけなくなったんで聴かなくなってしまったけど。昔みたいにアルバム一枚で一年間楽しむってんだったらじっくりと何度も聴けるけど、音楽がどんどんと消費されていくものになってしまった象徴かも。そういえばこの90年代、ロック的にはほぼ死滅状態だったと言われるけど、その退廃さ加減の音がしっかりと「Vrooom」にも現れていて、改めてそういう時代だったんだななんて思う。もしかしたらフリップ卿が逆に時代に影響を受けたのかもしれないけど。

スラック  Thrak

フリップ卿が70年代クリムゾンを解体した後の80年代に再度クリムゾンを掘り起こすこととなるが、その際に選ばれた人選が今でもクリムゾンを名乗ることの多い面々と云うのもなかなか不思議なものだ。先日中期クリムゾン…もっとも混沌とした時代のクリムゾンを支えていた中心メンバーのボズ・バレルが亡くなったようで、個人的には彼はベーシストとしてのイメージが強く、多分バドカンで明るく成功した人ってイメージなんだよね。クリムゾンの時はなんかこうドロドロっつうか彼自身の楽しみのためにやってないんじゃないか、なんていう感じがしててさ、それは多分「Earthbound」というとんでもなくグチャグチャのアルバムの印象が強いからだと思うけど…。

 完璧に最初から話が逸れてるので、戻さないといけない(笑)。うん、まぁ、ここのところシルヴィアンやらフリップやらイーノやらって書いてきて、そしたらエイドリアン・ブリューってのも絡んできて、そうだなぁ、本家本元のクリムゾンの周辺になんか集中してきてるなぁ…ってことで取り上げてみう♪ あ、でもね、ブリューのイメージが良くないのは80年代クリムゾンでの妙なポップ感覚的なクリムゾン=ポリリズムってのか?それがダメなので、そしてやっぱりビデオを見た時のやたら明るいクリムゾン…これはなぁ、ってのでパス。未だにパス。

 …が、再々結成となったスラッククリムゾンは結構好きなのだ。丁度90年代中盤で、クリムゾン復活か?なんて云われていたのもあったり、紅ボックスがリリースされたり、その後には「The Great Deceiver (Live 1973-1974)」っつう黄金の73-74年期のライブ4枚組がリリースされたりとにわかに盛り上がっていた時代だったからかもしれないけど、そのせいか最初に出たミニアルバム「ヴルーム」から結構ちゃんと聴いてたな。まぁ、コンセプト的にはダブル・トリオっつうことで二つのバンドが一緒に演奏するみたいなもんだったらしいけど、かなり音が昔のクリムゾンに近くていいんじゃない?なんて思ってたらすぐにフルアルバム「スラック」が出た。うん、エイドリアン・ブリューってのもギタリスト的には良いのでOKだし、ブラッフォードとトレイ・ガンなら職人だしいいでしょ、ってことで聴くとさ、うん、硬質で昔のクリムゾンよりも更にメタリックな面が強調されていて恐ろしく冷たく激しい感じでそこらへんのメタルバンドなんてのには全くヒケを取らないヘヴィーさを持った作品に感じたね。

 んで結構聴いててさ、そしたら何か知らんけど続々とCDがリリースされてきて何事かと思った。「スラック」をリリースしてアルゼンチンのライブをやった時の模様がブートレッグでリリースされてしまったのに腹が立ったフリップはそのままオフィシャル音源としてこのライブをリリースしてしまったのが「B'Boom: Official Bootleg - Live In Argentina 1994」っつうライブ盤。ただあんまりスタジオ盤と差がなかったような気がしてそれほど入れ込んで聴いてはいないかな。それよりもその後に出た(また出た)「Thrakattak」っつうライブ盤の報が強烈だった。インプロヴィゼーションばかりが入っていたのでその分緊張感が増していたのかもしれないけど、スリリングでクリムゾンらしかった。うん、この頃まではまともに聴いてたな(笑)。やっぱブラッフォードがいると違うよ。先行きが見えていないっつうことを意識して聴くと展開に驚くし、さすがのバンドの力量にも感心してしまうね。ちなみにこの後日本公演の模様もレーザーディスクがリリースされていてさ、そろそろ興醒めって感じでしばらく離れてしまったのだった…。今はDVD「deja VROOM」として出てるらしい。

King Crimson - B'Boom: Official Bootleg - Live In Argentina 1994 (1995)

B'Boom: Official Bootleg - Live In Argentina 1994  1990年代に入って世の中はノイズやグランジ、そしてラップなどなど、綺羅びやかな様相は一転して退廃的な世界観に包まれてそれこそロックが台頭してきておかしくない様相なのにそんな素振りもなくどんどん衰退していった。ただ、面白かったのはノイズやグランジっていうアメリカのアングラからのシーンがメジャーの潮流に乗って出てきた時に、全然別次元から結果的には同じようなサウンドの完成形に行き着いていたのが再々結成のキング・クリムゾンだった。少なくとも自分的にはこの頃グランジなどは全然聴かなかったし、その周辺も全然ダメだったんだが、クリムゾンの新作となればちょっとは…と思ってね。そもそもエイドリアン・ブリューの歌だからダメだこりゃ、ってのはあったんだけど、話題にもなったし、何て言ってもちょこっと試聴できたのかな…「Vrooom」を。んで、「へ?」ってなって。その後少しして立て続けにリリースされたのがこの「B'Boom: Official Bootleg - Live In Argentina 1994」というライブアルバム。いや〜、衝撃的でした。

 「B'Boom: Official Bootleg - Live In Argentina 1994」は1995年にリリースされてるけど1994年のインプロビゼーション中心のだダブルトリオ編成の実験的ライブがそのまま作品になったという感じらしいが、当時の周辺のグランジやノイズなんかのパワーに全然負けず劣らずのメタリックなノイズサウンドで圧倒的に巧いワケだからそりゃ格が違う。でも出てくるサウンドとパワーや刺激はかなり近い部分あって、バンド名とか知らなくても十二分に受け入れられる音で出てきたんだよな。そのヘンがキング・クリムゾンという柔軟性のあるバンドが生き残っていけた理由だろうが、当時はクリムゾンが…これ?「へ?」だった(笑)。なんでこんなに「メタリック」なのかって感じ。メタルじゃなくてメタリックね、表現しづらいけどホント、重金属よりももっと金属的で硬い音で…グランジの安っぽい軟弱な音とはかなり異質。でも、出てきている音は類似してるという不思議。本能的にそうなったのかシーンを読み取ってこういう咆哮に進んだフリップ卿のセンスなのかはわからんが、多分ダブルトリオ構想があってこうなってるだろうからやっぱ時代なんだろう。70年代のクリムゾンの凄さも大好きだけど、この頃のクリムゾンのメタリックさも好きですねぇ〜。

King Crimson - Power to Believe (2003) Power to Believe  

暗くドゥーミーで重くそして激しくハマり込める音って出せるバンドはそうそう多くはないよな、と。ブラック・サバスに影響を受けたバンドなんてのを幾つか聴いてみたんだけど、どうにも自分の趣味とは違うらしく響かないのでどうしたもんかなと思っていたトコロにふと思い付いたキング・クリムゾンの近作あたり。別にドゥーミーなワケじゃないけど重くて暗くてヘヴィなので何かどこか共通点があった、んだよ、自分には(笑)。それでさ、古くからのキング・クリムゾンってのはもう語り尽くされているし自分もどっちかと言えば70年代クリムゾンで止まってたタイプなのだが、何気に90年代クリムゾンもちまちま聴いていて好きなんだよね。ただ、古いのほど追求して聴いていなかったし、途中からはメンバーがどうのとかアルバムがワケわからんくなってたから追いかけ切れてなくて単発聴きばかり。それでも印象に残るものは多かったんで…。

 2003年にリリースされたキング・クリムゾンの今のところの最新作、っつうか最終作とも言えるか…「Power to Believe」というアルバム。もう10年前の作品なんだな、これ。それでいてこの破壊力、やっぱり凄いバンドだ。70年代クリムゾン好きな人ならいくつかの曲は気に入るんじゃないだろうかと思うが、ちょいと洗練されすぎているキライはあるか。タイトル曲「Power to Believe」は4種類のバージョンが入っている…とかは良しとして、強烈にバンドの楽器隊のぶつかり合いとスリリングな駆け引きが楽しくてその部分は70年代と変わらずの楽しみ。演奏レベルが格段に上がっているので更に高次元の世界で戦っているのがあって聴いていても恐ろしくなるほどのモンだ。一方で個人的には好きではないエイドリアン・ブリューが歌う軽いポップ曲がいくつか…、まぁ、わからんでもないけどテンションが落ちるんでねぇ…。味なんだろうけどさ。

 それよりも圧倒的にぶっ飛ぶくらいのキメ迫力、超絶世界による重さと破壊力がカッコ良い。他のプログレバンドがどんどんと軽い方向に進んでいって時代の寵児となって死に絶えていったのとは正反対にプログレッシブの道をひたすらに突き進めたキング・クリムゾンの世界は結局ロックの世界では愛され重鎮入りし、時代を経ても刺激を放ち続けている。これこそがプログレッシブバンドの真髄、とも言えるのかもな。そんなことを思いながら聴く「Power to Believe」と言うアルバム、歌さえなきゃな…と思うのも珍しい(笑)。しかしこんなん弾けるもんかね?とその演奏力にはただただひれ伏すのみ、さらにバンドでそれをやっていることにもただただ驚愕。時代を経てバンドはどんどんと向上していくものなのだな。

Live At The Marquee, London, August 10th, 1971 Live At The Marquee, London, August 10th, 1971  

 ボズ・バレルって元々ボーカリストでした、バドカンではもうベースとコーラス程度しかなかったけど、そもそもはBoz Peopleってバンド組んでたくらいだから早くからその才能が知られていた人で、セッション時にクリムゾンの連中と絡んでしまったことで参加、当初は歌だけだったけどジョン・ウェットンがなかなかベースで参加しないのもあってベースを爪弾いて遊んでいたところからベースを始めてそのままベーシストになっちゃった人。元々の音楽的才能があったからこそベースラインも歌っているし、リズムもしっかりしているのだろうか。才能に秀でた方なのだろう。実際King Crimsonにいたのは数年にもならないレベルだけどアルバム「Islands」に参加して、1971-72年のジャズクリムゾン時代のライブツアーに参加していたので演奏している音はかなり聞ける。King Crimsonのコレクターズ・クラブってのはライブ音源をひたすらリリースしているオフィシャルレーベルで、こんだけリリースしてくれたら嬉しいよなぁってくらいに出してて、しかも音良く直してるし昔散々漁ってたアングラは何だったんだ?ってくらい。もっとも元がそっちの音源で、それをオフィシャルで使ってるんだから大したもんだが…。

 1971年8月10日…、昔は8月9日と言われていたけど10日なんだろう、ロンドンのマーキーでのライブ「Live At The Marquee, London, August 10th, 1971」、こんな良い音であったのか…、自分のテープはボロボロの音だったんだが、と記憶を辿りつつ聞いているけど、まだボズ・バレルも参加して間もないころ、バンドもまだ刺激を楽しんでいる頃でフリップ卿が見事にバンドをまとめて率先しているし、バンドも多分新しい試みにワクワクしながらプレイしている感じがあって後のライブに比べると一番良い時期のライブとも言えるんじゃないか。バレルにメル・コリンズ、イアン・ウォーラス、良いメンツです。混沌としたジャジーなアプローチに浮遊感のある、そして緊張感のあるプレイ、この時期ならではの旋律、ライブってのは生々しく変化していくし、クリムゾンの場合はインプロで鍛え上げていく過程も楽しめる。やはり英国的な雰囲気を醸し出しているメル・コリンズのフルートやサックスが心地良い。

 久々に聴いたなぁ、クリムゾンのライブ。しかもこの時期なんて全然手に取って聴く事なかったから相当前に聴いて以来だ。スタジオ盤の印象が強いんだけどやっぱりライブ盤聴くとこっちのが良いなぁ…ってかさ、こんだけのライブだったのか、っていうのがこの「Live At The Marquee, London, August 10th, 1971」。いいの出してくれます。


Live at the Orpheum Live at the Orpheum

 何とかの来日公演!みたいに騒がれるアーティストもいるけどさ、ここのところはそんなに大騒ぎするでもないけど結構な方々が来日公演してたりすることもあって、ビルボードとかブルーノートとか見てると意外性が多くて面白い。まぁ、ライブそのものはなかなか足を運ばないんで実際に見ることはないんだけど、ふらりと行って楽しむなんてことが出来たら楽しいだろうなぁとも思う。大体がそんな所に住んでないし、行こうと言う意思がなければ行けないワケで、フラリとライブを見る、なんて環境にないんだから意思を持たなきゃしょうがないんだろう。面倒だよな(笑)。

 ちょいと前のTwitter界隈なんかじゃもうKing Crimson来日の話ばかりでそっか、来日してるんだ、くらいに思ってたけど流れてくるのを見てると昔の曲のアレコレやったとかライブはやはり凄かったとか色々とあって、今のクリムゾンってどうなんてるんだ?なんて全然興味も持たずに知らなかったんでね、ちょっと聴いてみようかなってのが今回の「Live at the Orpheum」。2014年のライブからの抜粋版で、曲そのものは自分も半分くらいしか知らない…ってのは70年代ばかりしかないからだけど、そこはまぁこだわらなくても良いかな。アレがこうなるんだ、みたいな期待はあったり失望もあったりするけど一方の知らない曲達も同じレベルで演奏されているんだから同列で流れててあまり曲を知ってる知らないは気にならない。それって、結構凄いよな…。

 …とは言え、やっぱり古い曲の再演が分かりやすいのは事実で、最初から「One More Red Nightmare」なんて馴染みのある曲から入ってくるから「おぉ〜、こう来たか…」みたいな予習が出来てから入れるのはいいね。トニー・レヴィンのベースがブイブイと太く入ってるのがもう全然違って、最先端の音で聴いてるんだな、とかドラム3人って確かにアチコチに音が振り分けられててパーカッション的に使われてるドラムとかあって、なるほどね、ライブで見たら迫力だろうなぁという気がする。ボーカルは割とジャマにならない歌声なのでそこは古いファンも聴いていられるだろうし、よく出来た再演だろうと。等のフリップ卿がいるんだからクリムゾン名で問題ないし、演奏の迫力も往年のクリムゾン並のパワーを持った面々だし、さすがだな〜っていう感触。そりゃライブ見たら皆熱くなるハズだわ。しかも古い曲やられたら昇天するだろうし。音聴いてるだけでやっぱりあの頃の曲って魔力あるからさ、脳内で凄さが倍増するし、メル・コリンズ本人もいるから音色そのものだし、なんか質の悪いホンモノ紛いみたいなトコあるからな(笑)。いや、でも、ホント、見事なアンサンブルで流石にライブの強者ばかりを揃えたバンドと言わんばかりのあのクリムゾンの進化系と言えるライブアルバムで、そのうちフルライブ盤がたくさん出て来るんだろうけど、どんなんかなと試してみるには丁度良いライブサンプル盤だ。