Pink Floyd

夜明けの口笛吹き The Piper At The Gates Of Dawn〜 夜明けの口笛吹き (1967)

ファーストアルバム論がちょっと気に入ってしまったので、もうちょっと続けたいなぁってトコロで、ピンクフロイドなんかも一つの方向性を明確にしたバンドとして語れるでしょう。シド・バレットが在籍したまともなアルバムとしてはファーストアルバムしかないんだけど、このファーストが後の、というかシーンを代表する作品になっているところが凄くって、以降ピンクフロイド的サウンドを突き進み、「狂気」という名作を生み出すこととなるのだが、その原点はやっぱりファーストアルバムにある。

 まあ、単純に云うならシドがいなけりゃ「炎」という作品はなかっただろうしロジャーの偏執的なこだわりも生まれなかっただろうしってトコで、やっぱりサウンドの軸としても非常に斬新且つピンクフロイドサウンドを明確にしている。デビューシングル「See Emily Play」で聴かれる、ポップさの中に妙な浮遊感を持ったサウンドは後の小曲郡に脈々と受け継がれているし、当然のことながら「星空のドライブ」なんてのは「狂気」手前までのフロイドサウンド=サイケデリックサウンドの代名詞的曲調になっている。ヘタすりゃアマチュアバンドがそれらしくやっても出来てしまうような音なんだけど、その辺のバランス感覚がバンドの面白いところですね。で、話は変わるんだけど、シドがダンエレクトラのギターを持って演奏しているUFOクラブでのライブ映像は、まさしく衝撃的な閉ざされた空間でのライブだし、ジョン・レノンやヨーコの姿も見られるんだけど、サイケデリック、アシッド空間の最先端にピンクフロイドが位置していたことも彼らの存在価値を高めていた。本来であればピンクフロイドというバンドは表に浮上してくるバンドではなかったはずなんだろうなぁと感じるよね。でも、これだけ多くの人に受け入れられている事実は彼らが人間の本質を表現しているってことで、やっぱりポップな音楽だけでは人間は語れないってことかな。その辺はジョン・レノンってのもセンスが良いんだろうけど。ジミー・ペイジだってこの頃のシドのライブを見ていて同じダンエレクトラのギターを手にしているってのも面白い話。

 アルバムに話を戻すと、正にサイケの象徴とも言える「Astronomy Domino」で幕を開けて、恐ろしいほど心地良いポップさの中にどこか何故か歪んだサウンドが濃密に詰め込まれていながらも浮遊するサウンドに身を任せる、任せてみたくなる狂気が間違いなく宿っている印象で、これはシドのファーストソロアルバムで更に顕著なものとなっているし、精神論はピンクフロイドの中に確実に種が蒔かれていった。もちろん他にも影響を与えている面は大きいんだけど、フロイドのアルバムの中ではもっとも聞きやすい印象ながらもっとも重いかもしれない作品。難しいねぇ。作ってる側はLSDの世界だし、ジム・モリソンが叫んでいた「向こう側の世界」の住人なので常人には理解しきれない面があることも事実。だからフロイドアルバム史の中でも割とまともに語られにくいアルバムなんでしょう。こればっかり聴いていたら結構あっちの世界に近づけるのかもね。怖いけど(笑)。

A Saucerful of SecretsA Saucerful of Secrets〜 神秘 (1968)

ロジャー・ウォーターズは今年The Wall 30周年記念としてまたツアーを行うようだ…ってかやってるのかな?まぁ、こうなるとライフワークになってくるんだろうけど、それでも歴史を語れる生き証人として貴重なツアーであることに変りはないし、ロジャー・ウォーターズのライブって完璧主義の塊だからつまらないハズがないんだよね。セットも照明も演奏も構成もほぼ完璧なので安心して楽しめる。しかも独特のあのフロイドチックな世界観を味わえるので嬉しいのだ。最先端技術も続々と投入されているのでその美しさは年々磨かれていくばかり。日本に来るのだろうか?いや〜、ないだろうな…。

 遡ること42年の月日となるが1968年にリリースされた「A Saucerful of Secrets」からも多分毎回恒例の「Set The Controls For The Heart Of The Sun」がプレイされることだろう。頻繁にライブ活動をしていた人ではないからず〜っと演奏していたとは言えないけど、それでもまだまだ実験段階の域を出なかった頃のPink Floydの「A Saucerful of Secrets」からの楽曲を今でも演奏しているのは素晴らしい。いや、楽曲側にそれだけの価値が備わっていたということなのだろう。

 その「A Saucerful of Secrets」というアルバム、一般論としてはかなり知られているので、特筆することも多くないんだけどさ、シドが途中で脱退してギルモアが入った作品、とかね。まぁ、後のPink Floydに聴けるトータルコンセプト的な統一感やひたすら延々と繰り広げられるプログレッシブな姿ってのはほとんど見受けられない。あくまでもファースト「夜明けの口笛吹き」からの「See Emily Play」を模倣するかのような曲を如何に繰り広げるかというようなスタイルが中心だ。そういう意味でシド・バレットの存在感は大きかったが、良くも悪くも独自路線を歩まざるを得なかったバンドにはロジャー・ウォーターズという稀有な才能の持ち主が存在していたことは嬉しい誤算だったことだろう。

 多くの楽曲はそんなことからサイケデリック感覚溢れるものが多く、もちろんそれ系統のバンドとの比較であればかなり突出した楽しみからのできる作品群が並んでいるのも事実。しかしどうしたって以降のPink Floydと比較してしまうので困ったものだ…。そう、以降のPink Floydを彷彿させる曲と言えば、もちろんアルバムタイトルにもなった「A Saucerful of Secrets」なんだろう。この曲だけ12分もある大曲で、時代を考えると相当の勇気でもあったんだが、実験精神旺盛なバンドが新生メンバーの4人で作り上げた傑作となった。まぁ、自分的にも世間的にもこの「A Saucerful of Secrets」に収録のバージョンよりも「ピンク・フロイド - ライブ・アット・ポンペイ」のDVDに収録されている方を好むとは思うのだけど…。

 最後の「Jugband Blues」…こそシド・バレットとPink Floydの最後の共演となった作品だが、この綺羅びやかな世界観は紛れもなくシド・バレットの作風で、どこかサーカス的な一瞬のスポットライト的楽曲。これにてPink Floydの早すぎる第一章が終焉を迎えると言わんばかりにエンディングでは余韻を楽しむジャグバンドのサウンドがプツリと切られる…、まるでシド・バレットとPink Floydの糸のように…そして冗談だよとばかりに再開されるが、時既に遅し…か。

Pink Floyd - Zabriskie Point (1969) 「砂丘」オリジナル・サウンドトラック

 昨今ではやおらビートルズ並の人気度と言うか国民的ロックバンドの地位を確立してきているピンク・フロイド。元来そこまでポピュラリティのあるバンドの音でもないとは思うが、聴いていて心地良いと思う人が増えたってことなのだろうか?それはある意味病んだ世の中だからか?ピンク・フロイドが心地良いからCDが売れるってどんなだ?まぁ、若い連中が聴くかと言うとそうでもないんだろうから、ある程度年を取った人達が聴くのだろうと思っているが、不思議な現象だ。ま、それでも全部の作品がそんなに受け入れられているってワケでもないだろうし、特に初期ってのは割と限られた人達の好みなんじゃないかと…。

 1969年発表のピンク・フロイドがサントラに参加したアルバム「砂丘」、ってか元々はピンク・フロイドだけで製作予定だったみたいだが諸般の事情により普通にサントラ盤になってて、ピンク・フロイドが多いっていうだけになっている。まぁ、映画そのものもミケランジェロ・アントニオーニのトリップした作品ってことなのでどう考えても芸術という枠以外での映画としての娯楽としての価値は多分あまり見当たらない作品だと思う。自分も何回か「砂丘」の映画に挑戦してるけどまるで覚えてないっつうか寝てるっつうか見る気になれないっつうか…。ハッとするのはピンク・フロイドの曲がかかる時、しかも「51号の幻想」の叫び声とかでさ、そりゃ誰でも起きるだろってくらいの叫び声はこの頃のピンク・フロイドのアルバムに共通する手法で、ピンク・フロイドというバンドから見たらこの「砂丘」というサントラに入ってる作品群は全然違和感なく、当たり前に時代と共に実験を推し進めていった結果の音でしかない。まだロジャー・ウォーターズが独裁者になる前のリック・ライト色が強いサイケデリックフロイドの頃の音世界だ。

 そんな聞き方をしてみると、ピンク・フロイドってバンドのアルバムとして、って意味だけどさ、そうするとかなり面白い作品に聞こえてくるハズ。テーマあり、叫び声あり、牧歌ソングありの心地良い空間を提供していくれるサントラ。もう今となっては60年代末期のサイケデリックシーンなんて幻でしかないのだが、そんな断片をしっかりと音にして表していたバンドだし、今彼らがやることも多分ない世界。時代だよな。映画も音楽も。そんな雰囲気をたっぷりと味わえる裏名盤とも呼べる作品「砂丘」。「Obscured By Clouds」よりはこっちのが全然面白いサントラだと思うけどね。

 ちなみに今ではデラックス版なんてのが出てて、未発表だったサントラ用の曲がいくつか入っててこれがまた面白い。「Love Scene」なんて結構良いインストだもんな。このヘン、才能だね。

ウマグマUmmagumma 〜 ウマグマ (1969)

 二枚組の名作と呼ばれている作品…、ピンク・フロイドで言えば「ザ・ウォール」だったりするのだろうなぁ。そして実はもう一枚、と言うか世代によっては圧倒的にこっちだろ、って言うのが「ウマグマ」だね。どうしても個人的趣味からすると「ウマグマ」ってのは入ってこないのでついつい後回しになっちゃうんだけど、もちろん一般的には名盤と呼ばれる二枚組、です、ね。  ピンク・フロイド「ウマグマ

 1969年リリースでアナログ時代はAB面がライブ、CD面がスタジオ盤という変則もの。そうだなぁ、まぁ、普通はスタジオ盤ってのを後で聴いて新曲群を堪能して覚えるという楽しみ方なんだろうけど、このアルバムの場合は思い切り顕著に出てくるんだが、AB面のライブがとにかく圧倒的に人気が高くて、CD面をマジメに聞き込む人ってのはそうそう多くないというアルバムだと思う。それでも傑作に挙げられるのはライブの面白さだろうな。ちなみにCD面のスタジオ盤は完全に実験音楽の世界なので普通はそんなに売れるもんでもないのだが、このバンドの場合は売れるのだなぁ(笑)。どれもこれも面白くない曲ばかりが詰め込まれているのがCD面で、その実験精神の旺盛さとかもちろん完成度の高い曲もあるし、しっかりと起承転結が出来上がっているというのもあるんだけどねぇ、ちょっとイマイチ宇宙的過ぎるかな(笑)。だからこのCD面はあんまり書けることがないのだ。

 で、ジャケットなんだけど、これも面白い構造になってるね。壁に掛けた絵の中がどんどんメンバーが入れ替わっていくという面白い着眼点。ヒプノシスだもんな。で、その絵の下にあるレコードが「恋の手ほどき」という映画のサントラかなにかのジャズ系作品のアルバム。一度レコードを見かけたけど買わなかったなぁ、失敗した。多分このサイトを読んでいる人の5%くらいはこの「恋の手ほどき」のアルバム持ってるんじゃないだろうか?

 さて、肝心のAB面のライブだけど、まだまだ実験精神旺盛な頃のライブで、シド・バレットがいなくなった後の不安定なフロイドをどうするか、というようなテーマの中皆が皆意見を持ち合って、演奏することでとにかく何かを生み出して行こうという姿勢が詰め込まれている。実際に楽器を持った連中がこういう自由度の高いものをテーマにジャムるとこういう形で気分が高揚するケースも非常に多いので、ここに収録されている狂気じみた雰囲気のテンションはよくわかるし、好きだね。やっぱ「ユージン」の迫力は凄い。ただ、まぁ、一般の人からしたらそれほど面白くない、と言うか全く聴くに値しない音楽だろう(笑)。この曲だけでこのアルバムの名作という評価を維持しているような気がするなぁ。

 今の時代にこれが名盤になるとはとても思えないけど、こういった時代背景と過程があったことでピンク・フロイドというバンドがどんどんと巨大化していったという重要作品。ライブ面は確かにかっこよくってハマりやすいからそういう意味ではオススメだけど、決して万人向けではない、と。自分的には好きだけど、どっちかっつうと「狂気」以降のフロイドが好きだからねぇ…。

原子心母Atom Heart Mother 〜 原子心母 (1970)

 夏の日の日中、とてつもなく心地良いサウンドを探してみるが何のことはない、目の前にあるじゃないか…とPink Floydの「原子心母」を手に取る。原題が「Atom Heart Mother」なので「原子心母」。いつもの気の利いた邦題ではなくって直訳タイトルなんだが、「原子心母」と聞くと「ハッ!」とするものがあるのは見かけない日本語だからだろう、それはイコール邦題って言うには相応しいタイトルだったってことで、実に明快な選択をしたのは素晴らしい。40年経過した今でも十分に印象的な単語として残っているのがその証拠だ。

 1970年にリリースされたPink Floydの5枚目の作品、既にPink Floyd節を創り上げつつある頃で、最初期のサイケデリックバンドから逸脱し、プログレッシブロックバンドとして歩み始めた頃、頃と言っても1970年なので全然ロック創世記に既に進んでいたということだ。そしてこのジャケット。誰が見ても知っている牛。牧場にいる後ろを振り返った牛。一体何を考えて牛なんだ?ヒプノシス?と問いたくなるのだが、未だにその由来をきちんとは知らない。Pink Floyd側は提示されたアートワークを良しとしただけだとは思うが、アートスクール集団の思考回路で正にヒッピー時代なのでその趣向は理解出来ないのだが(笑)、とにかく牛だ。ロックばりばりだ〜ととんがってた自分にはこの牛を手に取るかっこ悪さはなかったので、思い切り若い頃のロック少年にはとてもとても聴かないアルバムだったね。もっとかっこ良いのがロックだぜ、なんて年頃だったからさ。

 時が経ちいくつものロックを聴き漁るようになるともちろんPink Floydと言う存在をアチコチで耳にするワケだ。あ、来日公演の話題もあったしね。もうロジャーなしの時代のヤツだけどさ。まぁ、そんなことで一応友達にテープをもらって聴くんだけど、もちろんこんなの分かるはずもなくやっぱR&Rだぜ、って言って全然聴かなかった(笑)。それ以降にちょこちょこと聴くことがあっていつしかハマっていったという経緯だからまだPink Floydとの付き合いは25年くらいなもんだ(笑)。それでもタイトル曲「原子心母」の長さは苦痛だったな…。まだ音楽を理解していなかった頃だろうからさ。

 ってな経緯があって、今ようやく牛を取り上げるんだが、このブログでもPink Floydってのはもちろんかなり好きなので取り上げている回数も枚数も多いハズ。んで、この牛がようやく登場ってトコロなんだが、やっぱり圧巻の一言に尽きる。Pink Floydの名盤は「狂気」「炎〜あなたがここにいてほしい〜」、そしてそれ以降の作品の方が質が高いと思ってはいたんだけど、やっぱりこの「原子心母」や「おせっかい」あたりも素晴らしいサウンドなのだった。世界中でPink Floydにハマり込む人が多くて根強い人気を誇るっていうのもよくわかる。凄い。とにかく凄い。

 「原子心母」24分。ところがこの壮大なるテーマのメロディの大きさ…、大地が宇宙が世界が束になって自分に覆い被さるかのような包みこみ…これは全く心地良いもので正に「母」の「心」に立ち戻り「原子」に戻るような感覚が訪れる。24分もの曲でそんなに展開があるわけでもなく歌がメロディアスなハズもないのになんでこんなに聴きやすく覚えやすいのだろう?大きなメロディの変化はないけど、流れの中のウネリがとても壮大。他のどんなバンドにも出来ないこの空気の醸し出し方はPink Floydのひとつの最高傑作とも云える融合。更に素晴らしいと思うのはアルバム最後の「アラン」で、まだまだ実験的な精神を捨てることなくアヴァンギャルドな試みを行っていることだ。ひとつの完成形をみた「原子心母」に満足することなく次なるステップのために取り組む姿勢…、一方では「If」という素朴で牧歌的なフォークソングをも生み出しながらバランスよくアルバムを保たせている。元来自然に作れば感嘆にできるのであろう「If」のような曲をそのまま入れることでぞれまでの壮大な「原子心母」組曲から息抜きさせる…これもまた母なる地球に戻るかのような安心感が大きく包みこむ。あまり書かれることもないだろうが、「原子心母」は母の愛の塊みたいな作品であろう。年と共にこのアルバムの心地良さが身に染みるのだ。それをまだ当時20代の若者たちが作っていたワケで、それを今に自分たちが心地良く聴く…、一体どんなんだ?

 誰にも時間と場所がある。この「原子心母」のCDでもレコードでもいいから大音量で流せるところに持って行って体で「原子心母」を聴いてみてほしい。耳ではなくて体で。これこそ体で感じるものですよ。その波の心地良さがわかるならばロックという世界と隣同士連れ添って生きていくのが楽しくなるハズ。

おせっかいMeddle 〜 おせっかい (1971)

1971年の英国ロックは正に多種多様なサウンドの創世記でもあると云える時代で、今だからこそ改めてあちこちのバンドの音を聴いてみると実に個性的且つユニークなサウンドに挑戦している姿が見えてくる。これは大物バンドだけに限らず今では消え去ってしまったB級バンドにも当てはまるもので、中には一作しかリリースされなかったバンドなんぞは山のようにあり、それが現代の日本では脚光を浴びているのも事実だ。そして今回はまたもや本来ならばアングラの帝王として君臨するはずだったのが、何故か国民的バンドにまでなってしまった超大物バンドの1971年リリースの作品を挙げていこう。

 フロイドのアルバムで最初に聴くには何が良い?って聴かれるとかなり返答に困るものがあって、自分的には多分「炎?あなたがここにいてほしい?」とか「アニマルズ」を薦めると思うけど、それはあくまでも完成したフロイドの姿であって、生々しい模索していた時期のフロイドではないんだよね。先のデヴィッド・ボウイの「Hunky Dory」もそうなんだけど、未完成の頃の完成形でもあったアルバムは珠玉の輝きを放っているワケで、フロイドで言うならば多分このアルバムがその類に入るんじゃないかな。もちろん完全に出来上がったフロイドの世界の姿でもあるんだけど、実験を実験としてプレッシャーもなく行っていた最後の時期だし、自分たちがやることを回りが面白がっていたっていう時期。ここから先は回りが面白がるものを作ろうという形に変わっていったしね。もちろんロジャーが主導権を握る前の民主的なフロイドだった、ってのもあるが。

 そうだなぁ、自分とこのアルバムの出会いってのは何だろ?もちろんブッチャーのテーマソングだった「吹けよ風、呼べよ嵐」ってのは別として…、っつうかそれがあったからこのアルバムは割と早い時期に取っ付いたってのはあるか。高校生くらいの頃かな。でも実際に音の面白さがわかったのはもうちょっと後、ハタチ前後の頃だと思う。その時は「エコーズ」の神秘さに惹かれてたから、まだまだだったよなぁ〜、自分(笑)。いや、良いんだけどね、「エコーズ」ってさ、凄くハマりやすい曲だと思わない?決してポップじゃないんだけど、こういう長い20分にも渡る、大半が効果音にも等しいサウンドを聴いているだけなんだけど入りやすいんだよね。うわぁ〜凄いな〜このフワフワ感、心地良いなぁ〜ってなれるんだよ。なりやすいんだよ。だから万人受けしたんだと思うし、そういう作り方を知っていたんだろうね。だからツボを得てヒーリングサウンドを作っていたってワケだ。故にあまり苦労しないですんなり入っていけたのが「エコーズ」。で、最初の「吹けよ風、呼べよ嵐」はさ、これも最初のベースのエコー音が強烈で何かが起きそうなイントロだから入りやすい。ギルモアのスライドもさすがにセンス良くって宙を舞っているしさ、ロジャーのベースもこういう時には本領発揮するし。最初期から効果音に近いベースの使い方が巧いんだよ。…とまぁ、このヘンは取っ付きやすいのでもちろん好きだけど、それ以外が結構時間掛かった(笑)。

 「A Pillow of Winds」は、正にデヴィッド・ボウイの「Hunky Dory」と同じようなイメージの曲で、フォーキーなサウンドにシタールみたいな響きが入っているだけで、ボウイでもエアーズでもおかしくない。もちろんフロイドなんだけど、これがフロイドらしいかと言われても難しいな。アングラ英国ミュージシャンの奏でる音っていう絶対感はあるけどね。その代わりこの曲も凄く繊細で胸に響く曲で、薄氷の上を歩いているような繊細さがたまらないね。それに続く「Fearles」も基本的にフォーキーな音で、上昇志向のリフが曲のラインを保っていたり歌メロがきっちりと出来ているので聴きやすくはなっているけど、やっぱり凄く繊細。英国トラッドフォークミュージシャンがさらりと歌っていてもおかしくない曲で、別にフロイドっぽい所は特にないっつかそれこそがフロイドの真骨頂の部分かな。それがこのアルバムの「エコーズ」以外の曲が弱いとされてしまう所だけれど、実はこういう曲のセンスこそがフロイドの英国的なところで良いんだよな。「San Tropez」はね、今度は逆にフロイドっぽくなくって(笑)、ロバート・ワイアットあたりかな、こういうのは(笑)、っても、まぁ、どーでもいいんだけどさ。ほのぼのソングだね。んで、次に大好きな「Seamus」なのだ。ニック・メイソンの飼ってた犬だったような記憶があるけど、その犬が「シーマス」って名前で、その犬にこのアコースティックブルースのボーカルを任せているのだ(笑)。で、それがまた味のある曲に仕上がっているってのが面白いし、やっぱり実験的でさすがだなぁ、と。マジメに語られることはまずないんだけど、このバックで流れているブルースってのがやっぱり繊細な英国的なブルースでね、人間の歌じゃない方が良かったんだと思う。だから結構コレ、よく聴く(笑)。

 ってなことで、ジャケは意味不明で中身ではどうしても「エコーズ」に話題が行きがちだけど、実は間に挟まれた楽曲群に価値があるアルバムなのだ、うん。

The Dark Side of the MoonThe Dark Side Of The Moon 〜 狂気 (1973)

 云わずと知れた本家本元「狂気」。1973年リリースの化け物的な売れ行きを博している、今でも多分売れ続けているアルバムだと思うけど、こういう作品が全世界的に売れてしまうということそのものが狂気じみているような気もする。もっともそれくらいに完成度の高い作品だと言うことは別にここで書くまでもなく、世界の売上げとその知名度が証明しているでしょう♪

 確かに「狂気」と題されるだけあって、ロジャーの偏執狂的にクリエイティブなこだわりが表れていて、且つギルモアのアレンジセンスの良さが融合した傑作、そして更に印象深いのがそこかしこで鳴らされる効果音が最大限まで人間の心理を突いてくるという使われ方。冒頭の心臓の音から始まり、鐘の音なりベルの音なり…。ギルモアの浮遊間のあるギタープレイもその一部と同化していることで効果音と楽曲が見事に融合している。ソロでのエフェクト音のみならず、粘っこい歪んだギターカッティングなんかもその一部を構成しているしね。この辺は「Making of...」のDVDを見ると意外な発見を見ることが出来てかなり面白いことは間違いない。こいつら変態だ…って思うはず(笑)。

 個人的な体験を書いていこう。最初に聴いたのは多分19歳くらいの頃だから、まだバリバリにロックンロールをやろうとしていた頃…、暗くてかったるいこの手の音楽はあまり好みではなく、やはりストーンズやZep、Whoなどの王道が好きだったワケで、ただ、その中でもクリムゾンの凶暴性は非常にそそられるモノがあったのでそっちが先。フロイドは「炎」が先で、その後にコレ。「Money」の7拍子のポップさに不思議感をそそられて、それと同時に無理矢理8ビートに持っていかせながらのブルースロックバリバリのギターソロがかっこよかったのでOK。サックスという楽器があるのも好み的にOKだったワケさ。そうこうしているウチに当然最初から聴くようになるワケで、納得。一人で静かにハマって聴くバンドなワケね、と。そしたらハマった(笑)。後半の美しさなんてのがギターで出来ていることに驚いてなぞってみたり、エフェクト音の出し方を探ってみたり…。ただ、そうしているウチに作品そのものの作られ方や効果音に興味が向いてきて、構成そのものを考えてみたりして何度も何度も、そして今でも異なる角度で聴けるアルバムかな。

 ロジャー抜きのフロイドが「狂気」を再現してライブを行い、それは丁度今、「Pulse」と云うDVDでリリースされたばかりだ。もちろんビデオ時代からあるワケで、一応見た、が、どこにも狂気は宿っていなくて美しいフロイドサウンドが演奏されている。ロジャーのDVD「In The Flesh ... Live」でも一部収録されているが断然こちらの方が迫ってくるモノはある。今回ロジャーはそれをアルバム丸ごと演奏しているワケだが、恐らく結構な迫力じゃないかな、とロジャー好きな自分は勝手に思っているのだが…、まぁ、どっちもどっちだろうか。

 いずれにしても20世紀最大のロックアルバムの位置に変わりはないし、SACD-Hybridでリリースされたことでまた新たな聴き方、音の鳴り方が喜ばれているようで、永遠にリリースされ続けるんだろう。名作っつうのはそういうもん。うん。いいなぁ、やっぱこのアルバム。時間経つの忘れるっつうのが問題(笑)。

Wish You Were HereWish You Were Here 〜 (1975)

 1973年ピンク・フロイドは究極の実験的サウンドを纏め上げたアルバム「狂気」をリリースするが、これが超ウルトラ大ヒット作となってしまい、単なる実験的サウンドを奏でるバンドというワケにもいかなくなってきた矢先、新たなるアルバム「」の制作に入る。そこで数々の試行錯誤があった中、ロジャー・ウォーターズは素直な気持ちをそのまま吐き出すこととした。「あなたがここにいてくれたら…」、そして一瞬だけ光り輝いていた友人シドバレットを狂ったダイアモンドに見立てて「Shine On You Crazy Diamond」という組曲を完成させることとなった。

 ピンク・フロイドのアルバム数あれど、やっぱり「狂気」「「ウォール」「アニマルズ」が好きなんだよね。今回の「」についてはシドへのラブコールと云うことなんだけど、ロジャーって不器用な人だと思う。しかしこの「Crazy Diamond」の組曲は実に感動的な曲でさ、アルバム最初から流すともうその世界。リック・ライトの奏でる英国的な鍵盤のイントロを打破するかのように鳴り響くギルモアの透き通ったストラトギターの単音が心地良いエコーと共に切り込んできて盛り上がっていく、そこだけで感動なんだよね。半音進行を混ぜた不思議なトーンでさ、しかもそこで弾かれるギターってモロにブルースなワケで、それでもこのバンドプログレバンドって云われるワケで、何のこっちゃ(笑)。いや、でもここでのギターって良い味出してるんだよね、ブルースのフレージングなんだけど「らしさ」が消えてるの。だから美しく昇華しちゃうんだよね、不思議。リズムがハネてないからそうかもしれないけどさ。そしてロジャーの訴えかけてくるような歌とコーラスが最高。このアルバムでのこの二人の息の合い方はやっぱ歴史を創るだけあってホント凄い。涙もの。

 この大曲の後はどうしてもこじんまり聞こえてしまうんだけど、敢えて無機的な印象で創り上げられている「Welcom To The Machine」は以前からのフロイド的サウンドを継承している音だね。で、「Have A Cigar」はロイ・ハーパー絡みなんだけど、それはともかく音が強烈。やっぱピンク・フロイドだよなぁって。単体だったらかなり印象に残る曲のハズなんだけど、この作品に入っているとどうしてもそうは聞こえないってのが勿体ないかもしれない(笑)。で、シドをモチーフとした「Wish You Were Here」…ロジャーの叫びをそのままぶつけた、アコギで勝負した裸の一曲って感じだよね。これ、ネイティブで英語が理解できる人はかなり強烈に響くんじゃない?

 やっぱシドってロジャーにとっては一生精算できない間柄だったのかな。「炎」リリース当初はシドだけのことを書いた作品ではないと言っていたものの、ロジャーのライブの背後に使用されるこの曲のスクリーン映像はシドがはっきりと現れ、消え去っていくのだから悪あがきはやめて素直に受け入れることにしたのだろうか。多分ロジャーはコレを機に一曲リリースしてくると思う。フロイドでってこともあるかもしれないけど…。まぁ、願ったりの部分はあるが、かと言って真剣に聞き込むかってのは別モンだからなぁ。ファンってのはわがままだ(笑)。

Pink Floyd - Wish You Were Here Immersion Edition Disc 2 (2011) 炎(コレクターズ・エディション)(DVD付)  

ゆったりとした時間が流れる…、これぞ至福の一時。そこにゆったりとしたサウンドが流れる…これもまた至福の一時。いつしかプログレッシブロックの代名詞と言われたピンク・フロイドのサウンドはそんな光景に似合う音として一般に受け入れられていき、また浸透している現状、英国ではビートルズやクイーンに次ぐ一般普及の高いロックバンドとして知られている…と言うか、文化の一端を担っていると言っても過言ではないようで、クリムゾンなんかよりもはるかに一般認知が高いポピュラーなバンドなのだ。全アルバムを聴いてみて果たして何がそんなに一般普及を高めているのかよくわからないのだが、「狂気」の完成度か「」の美しさあたりだろうか。はたまた「アニマルズ」のロック度なのかまさか「原子心母」あたりのサイケデリック度とは思えないのだが、部分部分でのメジャー度ってのは「吹けよ風呼べよ嵐」なんかで出てくるところくらいしか想像できないのだが、まぁ、それらのいくつかを抽出した曲を聴いていれば確かに洗練された寛ぎの空間に似合う音になるのかもしれない。しかしねぇ、ピンク・フロイドだぜよ?

 そんなことで昨年リリースされた「炎(コレクターズ・エディション)(DVD付)」のボックス盤はそれなりの売れ行きを示したらしいし、もちろんその他の「狂気(コレクターズ・ボックス)(DVD付)」や「Wall」も同じくらい以上には売れているだろう。何かと注目を集める売り方が出来るのはEMIだからという説もあるが、ピンク・フロイドの場合はオマケに入れることのできる音源が割と残されているってことがビートルズなんかとは大きく異なるかもしれない。製作過程ですら貴重な楽しみ方が出来るワケだし、早くから照明やステージセットそのものをアートとして捉えて実演していたバンドなんだから当然その模様も記録として残しておいただろうし、アーティスティック集団ってのがそういう方向性を示しているだろうな。さて、その「」のボックス盤は色々と入っているけど割とどうでも良いものが多くて、リマスター盤ですらさほどの変化を聴けるものでもないから特筆すべきものでもないし、結局Disc 2の未発表音源ディスクだけが興味の対象になる。ま、だけと言うのは言い過ぎだけどね。

 時代背景からすればまだアルバム「」を録音する前の時点でのライブの実験段階で「」や「アニマルズ」の一部が聴けるってなもんだ。ライブバージョンでは3曲のみ入ってて、この1974年秋のツアーで実験をしていたようだけど、それはアルバムに収録すべきか否か、また楽曲の完成度を高めるという意味での演奏だったようで、観客としてはまるで知らない曲なので全然面白くなかったのかもしれない。それか既にライブでこの狂想曲に幻想を抱いたのかもしれないが、何故にここで「」はともかく「アニマルズ」に入っている楽曲が演奏されていたのか、だ。もともとコンセプトありきで作っていた新作群ではなかったようで、出来上がった曲をブラッシュアップしている段階ではあったハズなのだが、それにしてもここまで完成している「アニマルズ」の楽曲を次作「」に入れずに放置するというのは相当の自信の表れだなと思う。だってこれから新作のレコーディングするのにほとんど出来上がっている曲を入れないんだよ?不思議だよ。まぁ、そのヘンがプロなんだろうし才能の表れなんだろうけど…。おかげで初期段階の「アニマルズ」がたっぷりと楽しめるってなもんだが、古くからブートレッグでは有名な音ではあったけどこんだけ優良な音で出てくるとねぇ、さすがにオフィシャルは素晴らしい。

 そして「」の方だが、レコーディング前だから当たり前だけど、ギターのフレーズとかレコーディングバージョンとは結構異なった箇所があってその違いがユニークではあるけど、概ね完成形。当たり前だけど、やっぱギルモアのギターが相当曲の彩りを決めているのでスタジオバージョンの綺羅びやかさは見事と舌を巻く。ライブの生々しいギター一本のスタイルではあっや物足りなさを覚える感じ。それでも20分強を雰囲気と心地良さで長さを感じさせずに聴かせるのはさすが。後に「Sheep」となる「Raving and Drooling」はかなり完成形に近いもので、ギルモアのプレイが光っているしロジャーのベースもさすが。そして興味深いのは「Dogs」と呼ばれる「You've Got Be Crazy」のスタジオ盤とは異なる歌やフレーズなどなど…、これが「Dogs」になるんだが、ここから更に練って心地よさを出しているんだから面白い。ギルモアのギターはかなりやりたいことが表現できているようで、後の完成形が見事すぎるんだけど、ここで聴けるライブでのトライがあってこその完成形だろうか。

 う〜ん、ここまででとりあえずお腹いっぱいの50分。この後に「狂気」全編のライブに入るんだけどそれは「狂気(デラックス・エディション)」で聴けるワケで、最後の「Echoes」だけが出てきてないのかな?ま、いいけど(笑)。後の3曲は未発表バージョンで「Wine Glasse (from 'Household Objects' project)」はそのまま未発表アルバムからの楽曲…ってか「」のイントロの完成形で、そんなのがあったのかっつう感じなんだけどさ、アーテイストってこういう使い回しが上手いよなぁって感じるモノでもあるね。「Have A Cigar (Alt. Version)」これ…ロジャー・ウォーターズが歌ってるのかな?「Wish You Were Here (w. Ste´phane Grappelli)」はそのままの曲にバイオリンで挑戦している感じでメロウな音色が聴けるんだけどやっぱり全体感からするとちょっとバイオリンは合わないよな、というのが判る。なるほどチャレンジ精神旺盛じゃないか、相変わらず。

 豪華版も良いけど、やっぱり中味が充実していてくれないとね。ま、贅沢は言わないし、聞ければ幸せですよっていう代物なのでありがたく楽しませてもらいました。ここまで色々聴いてまたオリジナルなオフィシャルリリーススタジオ盤を聴くと新鮮に聴けるかな…。

Pink Floyd - Animals (1977) Animals  

 1977年リリースのピンク・フロイドの傑作、そう、実は凄い傑作の「Animals」です。ここまでロックでギター弾いて挑戦的攻撃的な作品はピンク・フロイドには珍しい作品で、それがロジャー・ウォーターズの一存ではなくてバンドとして機能しているところが真骨頂な気がする作品。ここから先の作品ってロジャー・ウォーターズのワンマン体制によるバンドの演奏という側面が強くてちょいと趣が異なるんでね、そういう意味では名盤「Wish You Were Here」のアウトテイクと続編っつう位置付けでの「Animals」。もちろんひとつの物語を構成するように再構築しているので、「Wish You Were Here」との関係性なんて知らなくても存分に楽しめる作品に仕上がっているで、自分もそうだが、特にず〜っとピンク・フロイドを追いかけているファンじゃなくてもその迫力を感じられるものだ。特に歌詞に於いてはかなりそのメッセージを聞くことができて、主張している様子なのだが、自分は恥ずかしいことにほとんど歌詞をまともに見てもいないし、理解もしていないまま聴いている。うん、ロックとして、サウンドとして聴いているんで、元来ロジャー・ウォーターズが主張しているメッセージってのにはとんと無縁だったりするのだ。それでも「Animals」に収録されている各曲の迫力はロック好きな人間にはそのままアピールしてくる代物で、それはピンク・フロイドというバンドのパワーなのだろう、特にデイブ・ギルモアの楽曲そのものに成り切っているギターソロの美しさは見事なものだ。ツインギターによるハモりなどもきっちりと構成されていて二人羽織なのだろうが見事な美しさ。構築美という概念から聴いても「Animals」ほど美しい作品は他のピンク・フロイドの作品には聴かれないレベルの美しさにあるとも思う。もっとも「狂気」という名盤があるが故にそこまで言い切れないのだが…。

 てなことで、歌詞やメッセージってのはアチコチのサイトなどで書かれているのでそんなのを見てもらうとしてですね、この音のかっこ良さですな。冒頭の「Pigs On The Wing (Part One)」と最後の「Pigs On The Wing (Part Two)」は物語の始まりとエピローグを象徴する軽いタッチのフォークソング、音的にはさほど意味はないのだが、何かが始まる、また終わったという感触を持たすのにはなるほどと思うアプローチで、無造作にフォークソングをアルバムに入れ込むのではなくて起承転結の1つとして持ってきているってことですね。その間にあるたった3曲のそれぞれの長さが時間を見ると凄い。「Dogs」が17分半、「Pigs (Three Different Ones)」が11分半、「Sheep」が10分半。こうして書くと聴くのに気合が要りそうなモンだが、その実展開が実に巧妙に作られているからかまるで飽きることなく、しかも覚えやすい展開と旋律で次々と織り成されているが故にそれぞれの曲が長さを感じることなく紡がれていく。「Dogs」のギターソロのフレーズの美しさが圧倒的に素晴らしく、恍惚として聴いてしまうレベルでこんなに長尺な曲にも関わらずしっかりとそのギターが曲を繋ぎまた分割してひとつの物語を進めてくれているみたいだ。続く「Pigs (Three Different Ones)」ではギターソロと言うよりも曲を成しているギターリフ…リフじゃないけどギターが曲をグイグイと引っ張ってる…もちろんベースラインの豊富さもあるんだけど、曲の流れをず〜っと作っているギターがね、なかなかできないでしょう、こういう耐え忍ぶスタイルっつうのかさ、曲を考えているギルモアならではのギターの出し方、か。そして「Sheep」では強烈なビートに乗せた正にロックバンドなピンク・フロイドが聴けるのも割と珍しい。ここでのギルモアは曲の単調さを解消するためか効果音的なギターに徹しているところもサウンドブレインとして活躍しているのだろうか。もちろんソロについてもそのスタイルは見えるのだがここまでキレの良いカッティングが聴ける作品も多くはないだろう。見事にエッジの立ったスタイルがこの長尺な曲を単調にさせずに聴かせてくれている。

 元々「Dogs」と「Sheep」は前作「Wish You Were Here」製作の時点で一度作られているし、その頃のライブでは実験的に演奏されていたのだから曲としては割と前の作品だったのだから、「Animals」に収録されることも不思議はまるでなくて、これほどの作品をお蔵入りにすることもなかろうというのも当たり前。そのライブの音の一部は「炎(コレクターズ・エディション)」のライブトラックに入っている「You've Gotta to Be Crazy」で聴けるのも昨今のボーナストラックやデラックス盤のリリースによる恩恵ではある。昔はアングラものを手に入れて密やかに楽しんでいたものだが、今じゃほとんどがオープンなWebなんかでも聴けるので時代は変わるものだ。そんな風に進化した「Animals」の各曲にロジャー・ウォーターズの思想が相まって出来上がったものがこの完成形。ジャケットのバターシー発電所はThe Whoの「Quadrophenia」の写真集でも出てくるし、ロンドンでは結構目立つ有名な工業建築物でもあり、自分も実際に見に行ったけどヘンなの〜って感想だったな(笑)。ある意味ピンク・フロイドが巨大化したのはこのアルバム製作からと言う気もしているが、それがバンド崩壊への道でもあったのだろうか…。

ザ・ウォール The Wall 〜 ザ・ウォール (1979)

いつものことだが朝は全く気分が乗らないので、うだうだと適当なものをiPodで聴きながらってことになるんだけど、今朝は更に気分が乗らなかったのでとてもじゃないが元気で脳天気なロックなんぞ聴いてられない、ってことでおもむろにチャチャチャっとiPodシャッフルするとおもむろにピンク・フロイドの「The Wall」から「In The Fresh?」が流れてきて、おぉぉ〜!と一気にハマった(笑)。なんつうか、凄く重いの聴きたい気分だったのかもしれないね。帰宅時も同じようにヘヴィーなものが聴きたくてまた「The Wall」のライブを聴いて帰ってくるという、正にピンク・フロイド以外今日はあり得ないってことで、ここまでのブログの流れを一切無視してピンク・フロイド「The Wall」、イキましょう。たまには粋な作風で書いてみようかな…。

 「The Wall」。あまりにもロジャー・ウォーターズの私的な想いから作られた1980年のピンク・フロイドが放つ問題作と云われたものの、今となっては稀代の傑作としてしっかりとフロイド史、及びロック史に燦然と光り輝き続ける作品で、今までにスタジオ盤、そして奇才アラン・パーカーによる映画版「The Wall」、1990年にベルリンの壁が崩壊したことを記念するイベントとしてロジャー・ウォーターズが多数の意外なゲストを迎えて正に1980年当時のライブ版の「The Wall」を復刻してベルリンの地で再演した「The Wall In Berlin」とその映像版DVD、そして2000年には遂に1980年当時のライブを収録した「The Wall Live Earl's Court 1980-81」がロジャーとギルモアの監修にて発売。これだけ多数の作品がリリースされる程にファンの関心が高いコンセプトアルバムとも云える。冒頭の「In The Fresh?」から今でもどのバンドよりも重い音で奏でられ、衝撃的なインパクトを放っており続く「The Thin Ice」との対比は見事なもので、こういったコンセプチュアルな面がピンク・フロイドの、というよりロジャーの抜群のセンス。更に「Another Brick In The Wall (Part.1) - The Happiest Days Of Our Lives - Another Brick In The Wall (Part.2) 」の素晴らしい組み合わせと楽曲。子供の合唱がロックで取り入れられたのも珍しいし、そしてそれでなくてはいけない歌詞の内容は後に語られたところによれば、偶然の産物のアイディアから具体化されたレコーディングだったようだ。そして一気に飛ぶがギルモア作の「The Comfortably Numb」の繊細な美しさと空を舞うような舞い上がるギターソロに聞き惚れる。特に最後部で演奏されるギターソロはブリティッシュロック界広しと云えどもなかなか聴けるプレイではない。

 途中途中に挟み込まれている楽曲も当然一曲ずつ完成度が高いもので、正直にこのアルバムをアルバムとして聴くよりはひとつの楽曲として聴くことに慣れ親しんでいるとも云えよう。そして映像によるインパクトもかなり強く、映画版での映像が各曲で鮮明に頭の中で描かれる。またある時はロジャーのベルリンライブでの模様が頭をよぎる。例えば「Good Bye」と共に最後のレンガがステージを覆っていまうシーンや、壁が崩壊するシーンなどは映像での印象が非常に強く残っている。もちろんピンク氏が独裁者となるシーンではあの場面がいくつも浮かび上がってくることだし、ハンマーが歩くシーンも印象深い。もっとも馴染みがないのは本当に1980年のツアーで行われたライブの映像だったり音だったりすることが今となっては哀しいものだ。この時代のライブを見れれば後の「The Wall」に対する見方も違っただろう。そして今音だけが聴ける状態ならばなおさら映像も出してもらいたかったものだ。

 「The Wall」。その前のツアーでライブの最中に観客に唾を吐きかけ、聴衆と自分たちの間に見えない壁が立ちはだかっていることを感じたロジャーが、実際に壁が存在することを観客に示した、ある意味自虐的な発想が受け入れられたのも面白い。人は所詮そんなものか、とさぞや笑いがこみ上げてきたことだろう。少なくとも人の本質的な部分に音楽を当て嵌めていくロジャーのセンスこそがピンク・フロイドの根本であり、ロジャーの本質なのだ。だから故にギルモアのフロイドは異なるバンドとして捉えられ、ロジャーのソロがフロイドの本質を伝えるべきものとして認知されてきたのだろう。しかし、ライブ8での和解ライブによりこれらの議論は終結を迎えたワケだ。

 な〜んてね。しかし凄い作品だよな、ほんと。聴いていて飽きない。いや、C面あたりになるとキツいんだけど良い曲が待ってるから聴きたくなる。そして、邪道的裏技なんだが、歌詞の意味が素直に耳に入ってこない英語音痴のロック好きの輩にオススメなのはディスク1とディスク2の間で次作「Final Cut」を入れると更に重さとボリュームと音的流れの広さを感じられます。そういう3枚組なんだって聴くと見事にハマるんですねぇ。コレ、キツイけど結構一気に聴ける。もちろん邪道、ですって(笑)。

Pink Floyd - Is There Anybody Out There: Wall Live 1980-81 (2000) Is There Anybody Out There: Wall Live 1980-81

唐突にリリースされて度肝を抜いたピンク・フロイドの「Is There Anybody Out There: Wall Live 1980-81」というライブ盤で2000年に発表。プロデュースにはもちろんロジャー・ウォーターズとデヴィッド・ギルモアが関わっている、しかも同時に。それ自体が当時は非常な驚きだったし、まさかこんなライブ盤がこの時代に出てこようとは夢にも思わなかったので更に驚いた。その後の驚きは後のライブ8でのピンク・フロイドオリジナルメンバーによる再結成ライブだったんだが、全部線が繋がっている話なのだな、それもまた。この「Is There Anybody Out There: Wall Live 1980-81」のライブ盤企画が出てきた頃には既にロジャー・ウォーターズとデヴィッド・ギルモアとの関係性は割と落ち着いていたようで、両者とも企画に合意したあたりから歩み寄ったらしい。別にバンドの人間関係なんてファン的に知っててもしょうがないけどさ、何か嬉しい気がしたもんな、この二人の歩み寄りは。それでいて「Is There Anybody Out There: Wall Live 1980-81」っつう嬉しい作品をリリースしてくれたワケだし。

 ご存知ピンク・フロイドの傑作コンセプトアルバム「The Wall」のリリースが1979年、その後の1980年にツアーを行ったがそれがまたとんでもないカネの掛け方をしたヴィジュアル重視のショウセットで、短期間しかコンサートができなかったとか、赤字垂れ流しのツアーだったとか悪い話も多く聞く一方で素晴らしいコンセプトに基づいた完璧なショウだったと絶賛される記事もよく見かける。今となってはロジャー・ウォーターズのベルリン壁崩壊時のライブ「The Wall Live In Berlin[Import]」でその進化系は容易に目にすることが出来るし、更に嬉しいことに2010年からのロジャー・ウォーターズのツアーでは見事に最新型の「The Wall」をそのまま突き進めたライブを見ることが出来るので、そのツアーの完成度はよくわかることだろう。このロジャー・ウォーターズのライブ、Blu-Ray盤とかの映像作品をリリースしてくれることを切に願うのだが、どうなんだろ?

 まずはこのジャケット。不気味さが漂うデスマスクの逆でライフマスクなんだが、もちろんこういう形になっても誰が誰なのかはしっかりと分かる。しかしながらデザインセンス的にはちょっと今三くらいの出来じゃね?とか思うんだけどさ。ヒプノシスなんだよな…これ。まぁ、生理的な気分の悪さをエグるって意味ではさすがにヒプノシスだなぁとも思うんだが…。既に術中にハマってるな(笑)。ロングトール型もあったけど今じゃこの四角方なんかね。

 ライブの方は正直言えばスタジオ盤をそのままなぞっているだけなのでライブらしい雰囲気とか熱演とか観客の狂熱ぶりとかってのはあまり感じることもないんだけど、テンションの高さが凄い。それと二曲だけアルバムに入っていない、ライブだけでしか出てこない曲があるんだけどさ、ま、ステージ進行上の繋ぎと言う意味もあるんだろうけど…、言い方変えると「Is There Anybody Out There: Wall Live 1980-81」では未発表曲が2曲収録されている、しかもライブバージョンにて、ってことになるのか(笑)。だからライブアルバムとしての認知度は割と低いんじゃないかな…。1980年の「The Wall」ツアーってまぁ、見れる所では見れる映像がプロショットでありましてね…、YouTubeにもあるから容易に見れるんだけど、それを見ているとなるほど〜、こうやってライブの演出をしていたんだ、とかアニメーションを壁に映して見せたり、ロジャー・ウォーターズがヘッドフォンをしてイスに腰掛けて歌うとか、飛行機が筒入してくるとか、何と言っても「Comfortably Numb」でのデヴィッド・ギルモアとサポートギタリストとして今でもロジャー・ウォーターズと一緒に活動しているスノーウィー・ホワイトによるツインギターの共演による戦慄とか…、見所満載で聴き所も満載。ただし何回も見たり聴いたりするにはやや飽きが来るのも事実か(笑)。ちょこちょこ聴く程度だともの凄くかっこよく聴こえるからやはり面白い。

 しかし…、今じゃこのCD「Is There Anybody Out There: Wall Live 1980-81The Wall Live In Berlin」も1700円…。じゃ、皆様へのお年玉ってことでいいか(笑)。

鬱(紙ジャケット仕様)A Momentary Lapse of Reason〜 (1987)

 往年のプログレバンドの内、EL&Pは80年代まで体力が持たなかったっつうのはあるとして、その他は音楽性を大幅に変化させて頑張っていたりメンバーの融合を繰り返して生きていったりしていた中、大御所ピンク・フロイドは少々異なる歩みを見せたものだ。そもそも「ザ・ウォール」が1980年、「ファイナル・カット」が1983年のリリースなので、ロジャー・ウォーターズ健在期の独裁作品というのが華やかなる80年代とは異なり圧倒的な重さを醸し出していた。そこから先はご存じのようにロジャー・ウォーターズの脱退とピンク・フロイド名義の使用権による裁判、確執ってのがあってギルモアフロイドの誕生、となる。これが1987年にリリースされたのだった。 鬱

Momentary Lapse of Reason  「」…とはなんとまぁ、皮肉な邦題(笑)。鬱の根元でもあったロジャー・ウォーターズが不在となってからこのタイトルかい。中身は滅茶苦茶鬱感がないサウンドなのだが…。どっちかっつうと清涼感さえあるアルバムという気がする。ま、それは置いといて、この「」というアルバム、そもそもギルモアのソロ作品として制作していたものが母体になっているが故に、ベーシストにはクリムゾンを経由したトニー・レヴィンが参加して、面白い音を聴かせてくれます。ドラムにはカーマイン・アピスやジム・ケルトナーが参加、ニック・メイスンはほんの少し叩いている程度らしい。もちろんギルモアのソロ作だったらここまで幻想的な効果音や空間音を強調するようなことはなく、もっとシンプルな音になったんだと思うけど、裁判沙汰の確執の後に丁度良いタイミングでリリースできそうってことでピンク・フロイド名義にして健在性を見せつけようとしたんだと思う。だから、音響効果的な味付けは見事に往年のピンク・フロイド的エッセンスがたっぷり詰め込まれている。

 そして楽曲レベルも相当に高くて演奏は見事なので雰囲気をたっぷりと味わって世界観を見れるって意味では全くよくできているピンク・フロイドサウンドの世界です。特にギルモアのギターがほとばしる「現実との差異」なんてのは素晴らしくフロイド的。いや、そもそも冒頭の「生命の動向」からして美しい水流の音色から始まり、これぞフロイドってなもんです。そういう世界が散りばめられているんだから悪いハズがない。ゆったりとしたテンポで進められる楽曲の数々、これぞフロイド的空間の定義。ただ、いかんせんボーカルが弱いかなぁ…とは思う。

 …と書いてきたけど、やっぱりどこか芯がないってのが自分的このアルバムの総論なんです。多分ロジャー・ウォーターズが持ち合わせていた重さというかポリシーっつうかコアな部分だろうと思う。ロジャーのソロ作を聴いているとそういう重さというのはしっかりと、これまで以上に感じるのでその差を感じてしまうんだな。いや、好みの問題で言えば、だけど。ただ、ギルモアフロイドの雰囲気ってのはもう良くできたエンターティンメントだし、キライじゃないしね。美しい世界だから好みなんだけど…、難しいな。まぁ、こういう世界もあるってことで聴ければ良いでしょ。

 アルバムジャケットについての逸話は有名なトコロだけど、各国盤などでジャケットが異なっているってのはあまり知られていない?ベッドに腰掛けている男性のポーズや、ロゴの位置などがそれぞれ異なっているみたいだね。

対The Division Bell 〜 (1994)

秋の夜長にぴったりと似合う音楽、いやぁ、いろいろあるし、似合うかどうかは人それぞれだけど、割と何も考えずにボ〜ッと聴けて爽やかのものと言えばこんなのどうかな、と。

 今でもロジャーのいないフロイドってのは気の抜けたコーラという状態としか思っていないのでもちろんマジメに聞き込んではいなかったアルバムだし、当時の話題以外に取り立てて期待してもいなかった作品。ギルモアフロイドって音楽的には非常に爽やかで綺麗な音を奏でて雰囲気を創り上げるという面では実に優れたバンドで、そこが一般人にもかなり受け入れられた理由だろうし、風格のある雰囲気のあるというのが売りだったんだよね。一方ロジャーが入っていた頃はそこに毒があったから軽くはならなかったというロックたるトコロがあったワケで、まぁ、それがこの「」という作品ではもう顕著に違いが表れたってトコかね。

 まぁ、ギターのトーンや曲の雰囲気、風格、そしてリスナーをゆったりとした気分にさせる曲調、雄大なスケールで迫ってくる雰囲気ってのがこれまた良いんだよねぇ、きっと。他にこういうバンドって見当たらないのも圧倒的な面だし。そしてこの作品ではもちろんヒプノシスのアートワークが何種類も市場に溢れ、どれもこれもがさすがと唸らせる芸術的なものだし、個人的にはなんと言ってもヒプノシスが動く映像にも着手した「High Hopes」というシングルのPVに芸術性の高さを覚えたもんだ。やっぱり動いても映像の切り方はヒプノシス。素晴らしい作品だなぁと。多分今でもPVでは最高の出来だと思ってるもんね、これ。曲も凄く良いけど、相乗効果。そういえばナイトウィッシュが最後のライブでこの曲をカバーしていて、結構驚いた印象がある。

 しかしホントにゆったりと心をおおらかにして聴ける音楽だな…。ギターのエフェクトが心地良いのが大きい。効果音もあるけどさ、そういうバンドじゃなかったハズなのにそういうバンドになっていったってのは予期せぬ展開だったのかもしれないけど、結果良かったんだろうな。この後のツアーからはDVD「驚異」がリリースされているけど、これもまたスペクタルな空間を演出した見事なライブで、完全にアート集団と化しているピンク・フロイド。そこで「狂気」をやっていても全然狂気が宿っていないと言うのもどうかと…。ま、そういうことを言う時代はライブ8での再生劇によって終わったんだけどさ。

Pink Floyd - Relics (1971) Relics  

iTuneラジオで音楽を垂れ流しにして聴くことがあるんだけど、その時って難しくてさ、新たな発見をしたいからと言って知らないバンドとか曲ばかりを流す感じの所を選ぶとつまらなくて切っちゃうし、かと言って知ってるものが大半なチャンネルにすると自分のコレクションをランダムに流している方が良いじゃないか、ってことになってこれも変えてしまう。さてどれくらいのが丁度良いのか…、ある程度ニアリーな世界観だけど半分くらいは知ってる、みたいな感じが良いのかな。そんなことしながら誰かのカバーでピンク・フロイドの初期の曲が流れてきて…、最近聴いてないなと思い出して聴こうかと。んで、見てても見つからなくて「あれ?」ってなって、あぁ、そういえばアルバムには未収録曲だったのか…と思い出して探すんだけど面倒だな〜、こういう作業(笑)。それこそ全部iTunesに入れておこうと思ってさっき入れちゃった。Pink Floydは全部入れたと思ったけどコイツが入ってなかった…。

 1971年にリリースしたアルバム「Relics」。初期ベストアルバムと言われ方もするしオムニバスアルバムとも言われたりするけど、アルバム未収録曲をいくつも収録したアルバムなんだから半分は初期シングル集みたいな位置付けでいいんだよな。ベスト盤とか言われると要らないじゃないか、ってなるけどとんでもない、必要です、これ。ベスト盤だけどそういうベスト盤じゃないから(笑)。「アーノルド・レイン」と「See Emily Play」を筆頭に「Julia Dream」とかスタジオ盤「ユージン…」もアルバム形式だとこれでしか聴けないだろうし、ってことで、後はボックスセットなら入ってるかもしれないけど、ノーチェックなので、取り急ぎこれで大抵聴けるか。まぁ、初期のシングル集みたいなのは別口で持ってるんで、それでも良いんだけどここはホラ、やっぱね(笑)。

 いや〜、こういう世界って別に好きとかじゃないけどやっぱ時代を作ってった音だからインパクトありますね。サイケバンド的要素が強いけどそのサイケ度合いが作られモノではなくて本気モノ…まぁ、シドがいたからそれが真実味を帯びるワケだkが、ビデオとか見ててもホントに本気でやってるしねぇ…面白いです。ついつい惹き込まれてしまった。CD時代になってからはこんなジャケットだったんだなってのもあんまり意識してなかったくらいに古い記憶から今復活して聞いている次第なんだが、それでもハマるんだから見事。時代だな〜とは思うが。

Pink Floyd - Live at Pompeii (1972) Pink Floyd: Live at Pompeii, The Director's Cut [DVD] [Import]  

 Pink Floydの名作と名高い「Live at Pompeii」。撮影は1971年のポンペイだけど、映画として録画したらしく公開は1972年とのこと。ちょうどその時期には伝説の来日公演を行なっている時期で、1973年にはあのヤング・ミュージック・ショウで放送されているので見たという御大も多いようだ…そしてノックアウトされた、っつう話はよく聞く。ただ、大抵そのヘンの人達は箱根アフロディーテの伝説のライブにも行っていたりして既にあの幻想空間を体感済みって人もいてただただ羨ましい限り…。ちょっと前にリリースされたDVD「Live at Pompeii」ではディレクターズカットの名の通り様々な編集が施されて長尺版になっているらしいが自分はそっちはまだ見たことない。オリジナルのビデオです(笑)。何か問題が?

 歴史的背景とかはアチコチで見てもらえれば良いし、レビューだって腐るほどあるさ。男の裸が見たけりゃ見れば?くらいのムサ苦しい男たちの演奏でさ…、無人のポンペイの遺跡のど真ん中でスタッフとバンドだけで演奏している姿を捉えたもので、確かに映像的にも斬新ではある。なんでそんなとこでそんなことやってる?みたいなツッコミもしたくなるくらいだが、出てきている音と世界が全盛期のピンク・フロイドだから物凄いんだ。実験精神旺盛な時期なんで幻想空間と宇宙空間への挑戦ならなんでもやってやるぜ、くらいの勢いでライブをやってる。当時のライブって本当にこんなんだったんだろう…としたらそりゃもうぶっ飛びモンだ。まだ映像で見れるから良かった、ってことにしておこう。

 丁度当時録音していた「Dark Side of the Moon」のレコーディング風景が入っているのもその実験精神の塊の覗き見みたいで面白い。まだピンク・フロイドがバンドとして機能して演奏していた時期の貴重なシーンばかりだ。果たして彼らはこのためにリハーサルを徹底して行なっていたのだろうか?それとも日常のライブ活動のワンシーンでしかないのだろうか?それにしてはアドリブのインプロまで見事に出来上がっているワケで…、そりゃ合わせるところは合わせるようにしてたんだろうからフレーズごとのキメはああったんだろう。リック・ライトもしっかりアーティストしてるけどなぁ…。ただ圧巻はやっぱギルモアとロジャー、か。

 ゆったり見ようと思ったのにしっかりと集中してハマってしまった(笑)。息をつかせる間もないロックとアートの融合の素晴らしいライブ映像。そしてこれほどまでに美しい曲があるのかと思う「神秘」に感動。それとアチコチでいちいちドラを叩くロジャー・ウォーターズの姿がカッコ良くって、ルックスなんて全然かっこよくもないのに節ごと神々しくカッコ良さを感じるんだから面白い。そんなライブの模様と「Dark Side of the Moon」の制作過程が間に「Echoes」の間に挟まれてて、最後のパート2で更にまた宇宙空間に連れて行かれる…、年と共にピンク・フロイドの良さが身に染みてくるってのはどういうこった…。

Pink Floyd - Endless River (2014) 永遠(TOWA)-Deluxe BD Version-(完全生産限定盤)(Blu-ray Disc付)  

すっかりとネットでの新作情報漁りが日課になってしまって久しいが、たまにCD屋に行くとそれなりには面白い。ただやっぱり置いてあるものが少ないように感じてしまって物足りなさを覚えることもあるからなぁ…とか。試聴コーナーが充実しててかなり音の良いヘッドフォンで聴かせるようになってるから聴けるものは割といいんじゃね?って思わせてしまうマジックがあるかも(笑)。まぁ、それでもやっぱりネットでいいか、ってなっちゃってるのも事実。パッケージ自体にさほどこだわりもなくなっているし、と自分の傾向が変わってきている事を知る。そんな流れでネットであれこれ…へぇ〜、もう聴けるのかと早速聴いた新作。

 ピンク・フロイドの20年ぶりの作品「Endless River」って凄い話題なんだけどさ、まぁ、話題になるのはわかるんだけどロジャー・ウォーターズはいないワケで、紐解いてみれば「」の時の素材の再構築が中心な作品らしい。もっとも聴いているとそんな古さはなくって新録なワケだから立派にギルモアフロイドなんだが、自分的にはギルモアフロイドって大して興味なかったな…ってことを改めて気付かされた。歌はほとんどないし、環境音楽的なサウンドで実験的な何かが増えてるってもんでもない。ゆったりとおおらかにフロイドらしい音をだしながらちょこちょことギルモアの特異なギターが旋律を奏でるってな感じだ。これが名作だ、と言う人はそうそう多くないだろうと思うし、聴けってな話でもないだろう。好意的に聴けばそりゃあのピンク・フロイドの最後の作品で如何にも最終章って作りのサウンド、フレーズのそこかしこに過去を踏襲するメロディが聴けたりするし、みたいな。

 ただなぁ〜、ロックじゃないし、これ。ロジャー・ウォーターズのはいつでもロックなんだがコイツは…ただ、雰囲気が世界を作ってるというピンク・フロイド独特の手法はさすがの大御所感。暗さが暗すぎないってのもさすがのバランス感。曲数が多いと思ったらアンビエントに流れていくから雰囲気を曲名にして進んでいるような感覚。話題ほどの凄いアルバムではなく、やっぱりピンク・フロイドの最後の作品としての話題に尽きるか。