Gentle Giant

Acquiring the Taste Acquiring the Taste〜 Acquiring the Taste(1971)

いやぁ〜苦手ついでにどんどん苦手バンド書いていこう(笑)。こうでもしないとなかなか手が伸びないのは必至なのでおさらいするには丁度良い♪ 苦手バンドって言っても音楽的に全く受け付けないバンドと単に好き嫌いのあるバンド、それとどうしてもきっちりと聴いていないがために苦手になってしまっているバンドっていう感じに分かれるんだな。だから時間掛けてじっくり聞き込めば好きになる、というかしっかりと理解できるっていうバンドはもちろんたくさんあるんだろうと思う。ただ、そこまで入り込むのにちょっと時間かかるっていう=難解さに取り組むっていうのがある代表的なのがジェントル・ジャイアント。徐々に聞き込むようにはしているんだけどまだまだ取り組みが甘くて、真剣にしっかりと一枚一枚を聴いていくとハマること間違いないと思うんだけど、それはそれで実に時間が割かれることもあってなかなかできていない。

 1971年リリースの二作目「Acquiring the Taste」。相変わらずジャケットのインパクトが強烈なアルバムでデビュー当時からバンドの音はもちろん売り方としても変なおじさんを出すことでインパクトを与えるなどと多々考えられていた様子だが、もちろんヴァーティゴからのリリースなのでメジャーにはなかなかならなかった…、ただし演奏能力はハンパじゃなく巧くて、楽曲の構成などもとんでもなくユニークなものだった。ただしその分当時何となくいい加減でもあったロックという世界にはあまりにもきっちりと作られすぎた感があって、それが難解という印象を思わせたんじゃないだろうか、と自分的には思う。

 そしてじっくりと聴いてみた「Acquiring the Taste」。やはり恐ろしくレベルの高い音で、プログレっつうか、正にプログレッシブなサウンドを奏でているとしか云えない。一般的なロックの領域ではなかなか出てこないであろう楽器がこれでもかとばかりにカラフルに飛び出してくるので、その音色の豊富さに戸惑う。一曲目からして7分弱の曲なんだけど、ムーグから始まってなんじゃこりゃ?っつうくらい多彩な展開、管楽器は出てくるはソロは唐突にヴィブラフォン?か何かだし、その後には突然ディストーションの効いたギターソロだったりしてなんのこっちゃ?と不思議な音がたくさん出てくる。それでいて聴きやすいメロディや楽曲の構成で、しっかりとロックっつうかポップな側面も持っているし、もちろん変拍子ってのもそんなにヘンに聞こえないくらい普通に変拍子してる(笑)からさ、面白いね。

 たまたまロックのフィールドにカテゴライズされているけど、もともと凄く色々な音楽を知っている人達なので、クラシックにジャズや他の黒人音楽、もちろんロックやポップスというものを消化して自分達のサウンドを出しまくってるという感じかなぁ。コーラスワークも当たり前のようにボーカルですら何人かで分け合っているし、その辺の常識から逸脱しているあたりがこのバンドの魅力か。

 後で評価されているけど、当時はバンドが売れなくて解散を考えていたと言うからミュージシャンは難しいものだ。その意思の表れはこのアルバム「Acquiring the Taste」のプロデューサーにあのトニー・ヴィスコンティを迎えて制作したにも拘わらず、ということもあるだろう。

In A Glass House 〜 In a Glass House(1973)

英国プログレッシブロックの中で最も高度な技術を持つバンドの類に入ること間違いなしのバンド、ジェントル・ジャイアント。確かクリムゾンとかイエスとか、その辺のプログレバンドにハマり始めた頃にバンド名を耳にして買いに行ったのが多分「Octopus」だったと思う。その後たまたまレコード屋で「Playing the Fool」っつう二枚組ライブアルバムを見つけて聴いたのがこのバンドとの出会い。

 「・・・。」 若かりしハードロックギター小僧&マニアになりかけの人間にとってこのバンドは全くもって難解この上なく、聴いていて辛いだけのバンドという烙印が押されたのであった(笑)。う〜む、若かったなぁ(笑)。…が、歳と共に色々なサウンドに馴染んでいって、まぁ、あちこちでジェントル・ジャイアントの名前は見かけることもあり、またレコード屋に行くとこれが中古で安く出てるんだよな。売れたんだろうなぁ…。なので結局あれこれと買って一回くらいは聴くんだけど、毎回やっぱだめだ〜って挫折してたバンド(笑)。でも、そうやって聴いていたのでなんとなくバンドの音楽ってのはわかってたりするので、もう一度ちゃんと聴いてみよう〜って感じで聴いてみると…、ん?「かっこいいじゃん」ってなったワケだ。

 もちろん初期〜中期のアルバムがいいんだけど、そうだねぇ…、まぁ、全部を語れるほど知ってるワケじゃないので気に入った作品っつうと「In a Glass House」かな…、それか「Free Hand」あたり。ジャケが有名な「Octopus」はあんまり聴いてないかな。それぞれ特性はあるんだけど、全般的に冷たくて異常にテクニカルな集団という印象。もの凄い変拍子を簡単に展開していくしミニマル的なサウンドもあったりして、正直どれがギターの音なの?ってくらい音がギターらしくなかったりピアノもピアノらしくなかったり…、そんな印象で、歌もさ、感情的なものじゃなくって単なる音のひとつみたいな感じなんだよね。でも再度聴いた時からは結構英国なプログレバンドってこういうのを言うんじゃないかなって思うようになる音ではある。うん、実に英国的な音ってことは最初からあったな。

 映像ってみたことないのでどんな面々なのかよくわからないけどルックスは良くないよな(笑)。ま、そういうのもあってか結構地味な印象しかないバンドではあるけれど、恐ろしいほど練り込まれた楽曲群とテクニックは聴いてみる価値あったなぁと。ソフト・マシーン的なトコもあるし、ポップ的なトコもあるし、破壊的なトコもあるし、正にプログレ♪  しかし各アルバムとも35周年記念CDがリリースされていたとは知らなかった。ちょっと前から結構発掘音源が出てきていたのはチラホラ見てたけどね。

Free Hand Free hand 〜 Free Hand(1975)

プログレッシヴロックってどんな音をイメージする?そんな質問に答える場合結構困る。プログレ名盤の音ってもなかなか言い表せないし、そういうアルバムはやはり個性際立っているし、それひとつずつがジャンルになるんじゃないかっつうくらいのもんだからさ。でも、音のイメージはあるよね。人それぞれでフロイドの「おせっかい」かもしれないしクリムゾンの「クリムゾン・キングの宮殿」かもしれないし、イエスかもしれない。うん。でもね、自分が一番いわゆるプログレバンドのプログレらしい音っていうのを出しているのはジェントル・ジャイアントだと思うのさ。

 1975年リリースの彼等の7枚目のアルバムにして最高傑作と名高い「Free Hand」。7枚目にして最高傑作ってのもまた珍しいバンドではあるんだけど、初期からず〜と聴いてみると分かるんだけど、基本的にあかるいヒネたポップスというかポップなメロディは押さえていて滅茶苦茶演奏能力が高くて完璧な演奏を誇るし、アレンジも変拍子も滅茶苦茶凝っている。更にコーラスも見事でそれだけで別のコーラスグループ作れるだろっていうくらい。そしてよくわかんないけどポリリズムっつうのか前に前にくるリズムっつうのが特徴的で聴いていて凄くひっかかるのでもっともプログレッシブって思うわけさ。

 この「Free Hand」っつうアルバムはそんな要素の全てが開花しまくった、時代が違ったらもしかしたらビートルズを超えるくらいの天才的な曲を持っていたりする。自分的にはこのバンド、すごく難しくて聴くのが苦手だったりしたんだよね。聴いてもなんかハマれないっつうかさ。でも、ちょっと違うセンスの人は相当ハマれるバンドだし、やっぱ面白い。苦手意識があったのであんまり聴こうっていう気にならなかったんだけど、こないだpapini嬢のブログおいみず〜さんとこに出てきて、へぇ〜って思ったのでちょっと何枚かアルバムを聴き直していたんだよね。で、やっぱ「Free Hand」が一番だろうなぁと思って手を出したら驚くことに驚いた(笑)。やっぱ凄いなぁ〜このバンドって。この無邪気でヒネてて練られている歌メロは一体なんなんだ?そしてこの変態的アレンジもやっぱり変態だ、とか。コーラスもやっぱハンパじゃない(笑)。そして変拍子なプログレ度もやっぱ凄いわ。ちょっと声質がダメだけど、う〜ん、聴き直してみるとなかなか面白い。曲的には好みではないけど、面白い。ベースのテクとか凄いしねぇ。

 ジェントル・ジャイアント聴いたことない人はこのアルバムから入ると良いかも。一番聴きやすいような気もするしさ。今ならヘンなおじさんのジャケットにくるまれた35周年記念盤が容易に買えるし♪ それと知らなかったけどこの頃のライブアルバム「Endless Life」ってのが出てるんだね。

In Fields of Ardath Eyes of Blue 〜 In Fields of Ardath(1969)

60年代末期頃になると英国のロックシーンが活性化してきて、雨後の竹の子のようにバンドを輩出してきたものだが、対するレーベルの方も正に青田刈り状態による契約の嵐。その中にはもちろん本当に才能に長けたバンドや人物によるプロフェッショナルなバンドも存在していて、後のシーンの源流ともなったバンドがいくつか存在する。有名なのはカンタベリーシーンでのワイルド・フラワーズとかですかね。そしてサイケデリックの洗礼を受けながらテクニカルな側面でもメロディの側面からでも、そしてその後の多数のバンドを輩出した源流とも言えるマイナーな存在のEyes of Blueなんてのを紹介♪

 アルバムは二枚リリースされているけれど、作品レベルが異常に高くニッチな世界では有名なものがセカンドアルバムの「In Fields of Ardath」でして、メロディだけ取れば非常にポップなんだけど、音は後の英国ロックに出てくるようなものが散りばめられていて、それがサイケデリックという括りでは終わらない世界に広がっている。1969年のリリースなのだが、当時は話題になったのかどうかもわからない。どうなんだろ?まぁ、面白いね、くらいだったかもしれないね…。

 ん〜とドラマーは後にBig SleepやWild Turkeyなどを経由してGentle Giantのドラマーとして名を馳せるジョン・ウェザースさん、ベースはトニー・バンクスさんとFlashを組むことになるベネットさんっつうところだけど、やっぱあの超絶テクニカル集団のGentle Giantのドラムを務めることになるドラマーが在籍していたワケだから巧いです。メンバー全員ね。この頃のミュージシャンレベルからしたら相当なものだろうなぁと思う。

 そして音世界もかなり深くて…ブルースベースのものもあるけど、やっぱ浮游感漂う夢見心地のサウンドですね。サイケという括りでは収まらない…、アコギの深さと鍵盤の絡みのせいかな。ポップスと言っても良いような曲もいくつも収録しているし…なかなか掴み所のないのが正直なトコロ。それでも何度も聴いて制覇したいと思わせるバンドだもんね。まだまだだまぁ〜、こういうのをきっちりと制覇できないとなぁ…。

Bluebell Wood Big Sleep 〜 Bluebell Wood(1969)

人体の体の別の部位をくっつけた絵柄のジャケットでもう一つあった。こちらはかなり地味な存在で仕上げているので不気味さはそれほど漂わないが、実はよく見ると相当ヘンなジャケットでして、アナログだったらやっぱりあまり部屋には飾られないジャケットだろうと思う。今度はまたしても裸の人間の上半身が手の平に化けているという代物だ。背景と意味合いがよくわからないんだけどね…。

 Big Sleepというバンドの1971年作品「Bluebell Wood」、もちろん唯一の作品なのだが、このバンドは実はちょっと前に紹介していたEyes of Blueという60年代からのサイケデリックテクニカルバンドの変名バンドとしてリリースされたもの。何で変名だったのかね…どっちかっつうとプロジェクト的だったらしいけど、音楽性の問題だろうか?まぁ、そういうのが許されていたんだろうし、それでこのジャケットかよ、というのもまぁ、インパクトが必要ってことなのかな。それにしてはちょっとインパクトに欠けているのだが…。

 中味の音は…、ジャケットからは想像し得ない程にメランコリックにセンチメンタルに描かれた繊細な曲調から始まり、アルバム全般でラフな部分とか大上段に斬られるようなアレンジなどは全くなくって練られている。しっとりと聴かせてくれる大人の音色に根付いた雰囲気の曲調ばかりで、そこはプロ集団の音作りと唸らされるくらいにしっかりと聴けるものだ。その分アルバム全体の、曲それぞれのインパクトってのは弱くなってしまうのでどうしてもアルバム単位で何度も聴いてなんぼの世界になっちゃうところが勿体ないか。ただ、非常〜に良い作品として仕上げているので全然飽きないけどね。逆にそれほど聴けるか、って言われてもそんなに聴かないだろう、っていうのもあるんだけど、聴く度に新たにその存在感に気付かせてくれる、そんなアルバム。

 今の季節にはちょうど良いアルバムだなぁ…。ジャケットのヘンさを完全に忘れ去らせてくれる音世界で、へぇ〜、ってなくらいに良質。ハードロックではないです。オルガンや鍵盤系が中心になったフワフワした浮游感に流される音が基本だけど、もちろんギターもベースもドラムも入ってる。ただねぇ…、やっぱメランコリックさが得意というところなのかな。プログレ的な展開もそんなにありません。だから、やっぱり英国ロックの世界なのです、としか言えない(笑)。ハマる人は多分相当ハマると思う。ジョン・ウェザースがこの後にGentle Giantで成功することからEyes of BlueやBig Sleepも多少知られた存在になっていくんだけど、どっちのバンドの音とも絡まない独特の世界です。