Procol Harum

A Whiter Shade of Pale Procol Harum 〜 青い影(1968)

残暑らしい暑さはあるもののすっかり秋になって、一番好きな9月という時期が終わりに近づいている。秋って好きなんだよね。短いからあまり気付かないくせにしっかり秋らしいものってたくさんあったりする。食べ物だったりスポーツだったりさ。暑くもなく寒くもなくっていうのが人間として一番自然に動ける季節なんじゃないかと思うのだな。…とまぁ、能書きは付けてみたけど、プロコル・ハルムの「青い影」を聴いていて、ふと秋らしい音だなぁと。こじつけかもしれんけど、夏に聴いてもね、違うじゃない?秋か冬、でしょ。

 自分でも驚いたけど、これまだ書いてなかったんだ。アルバム「Procol Harum」は1968年初頭にリーガル・ゾノフォンからリリース。その時のオリジナル盤ではシングルでヒットした「青い影」は入っていなかったのだ。シングル「青い影」は1967年暮れにデラムからリリースされたシングルなのでもちろん契約上入れられなかったってことらしい。おかげであまり売れなかったアルバムとなったようだ。その後のアメリカ盤リリース時にはもちろん「青い影」が収録されているし、今では日本盤も英国盤ももちろん収録されている。が、どこかのオリジナル盤コレクターに言わせれば今の流通の収録曲がおかしい、ということになる。ジャケットについても同じ事が言えて、オリジナルのリーガル・ゾノフォン盤ではバンドのロゴも絵柄の一部というようなものだが、多くの再発CDものは黒枠内に活字でバンド名が書かれて「A Whiter Shade of Pale」と題されたものになっている。まぁ、プロコル・ハルムと言えば「青い影」なのだからこれはこれでわかる話ではある。

 そこで、オリジナルの英国盤を聴いているつもりでこのアルバムを聴いてみると、1968年の作品ではあるが、もの凄く煌びやかでファンタジックな世界が広がります。先日のボウイのファーストアルバムもキラキラしていたけれど、このプロコル・ハルムのファーストアルバムはまた違った形でキラキラしていて宝箱みたいな感じ。オルガンがメインに据えられているバンドだからそういう違いはあるけど、そのオルガンの音が多分おもちゃ箱みたいな印象を与えるんだと思う。ちゃんと聴くとバンドの印象って異なるんじゃない?以降のアルバムでも一貫してこの煌びやかさってのは持っているんだけど、あまり取り沙汰されない。どっちかっつうと「どよ〜ん」としたイメージのバンドなんだよね。自分だけかもしれないけど。それは「青い影」のシングルのせい。

 で、英国のオルガンバンドとして聴くと全然面白くなる。ゲイリー・ブルッカーの抜けきらない声質とキース・リードの世界が多分に占めているけど、この後すぐにレッド・ツェッペリン結成の際にドラマーとして白羽の矢が立ったドラムのB.J.ウィルソンに注目かな。あんまりよくわかんないけどこの手のバンドにしては重いドラムを叩く人なので、ジミー・ペイジのお眼鏡に適ったのだろう。 この後に「青い影」って曲を曲を聴くと、ちょっと異質な感じ。やっぱりこの曲が変わっていて、バンドの本来の音はアルバムに収録されている数々のナンバーが語っている。以降のアルバムも含めて。でもバンドのイメージは「青い影」の曲調。う〜ん、最初が肝心とはいうものの、ここまで印象が強いのも珍しい。

ホーム+8 Home 〜 ホーム(1970)

ジミヘンフォロワーのギタリストってロビン・トロワーとかウリロートだったりレイ・ヴォーンだったりするけど、最近では増えてきているのかな?さすがにもうフォロワーってのも流行らないからそういう人も出てこないのかもしれないけどね。成り切りってのはたくさんいると思うが(笑)。しかし本人が生きている間から傾倒していたギタリストでしかもプロで、ってのはなかなか少ないでしょ。ウリ・ロートが奥さんを共有しちゃったってのも凄いけど、ロビン・トロワーは当時からジミヘンに入れ込んでいてパラマウンツというバンドでシングルを出していた。その後多々あってプロコル・ハルムに参加、まぁ、売れた時期でのオリジナルメンバーと呼ばれている時期を作った人でもある。

 このバンドは非常に深くてねぇ…。基本、ゲイリー・ブルッカーとマシュー・フィッシャーの双頭鍵盤バンドでクラシカルな要素とロックをくっつけたバンドとして「青い影」が有名で、そんな路線で三枚目「ソルティ・ドッグ」あたりまで続いていたんだけど、マシュー・フィッシャーが脱退するとロビン・トロワーが前に出てきた。それまで所々では出てきてたけど、やっぱ3分の1だったからね。それが面白いほどに4枚目の「ホーム」っつうアルバムからはギタリストが主張し始めている。最初の曲からしてもうジミヘンばりのギターリフ一発で攻め立ててくる曲でさ、プロコル・ハルムってこんなバンドだっけ?もっと荘厳なオルガンの響きで…なんて思ってしまうほど。それくらい普通にロックした曲です(笑)。

 まぁ、そんな曲ばかりじゃないのでやっぱりゲイリー・ブルッカーが主導を取っているんだろうっってのはよくわかるんだけど、ちょっとばかし驚く。アルバムジャケットもガラリと変わってるし、一般的には割と人気が低迷していた頃の作品になるんだろうか。それでもアルバムとしての完成度は高いのでオールドロック好きとしてはやっぱ面白い。プログレバンドっていう認識が一般的だけど、全然プログレらしくない作品だし、クラシカルとジミヘンが出逢ったら、っていう音かも。ロビン・トロワーって素直で面白い人だなと思う。

 この辺「ホーム」と「ブロークン・バリケーズ」あたりが一番ハードロック的な音が入った作品群かな。その後ロビン・トロワーも脱退しちゃうからゲイリー・ブルッカーひとりで頑張る、みたいな感じだし。ちなみにロビン・トロワーが脱退する前の頃のバンドの面子はほぼパラマウンツという前身バンドと同じになっているってのも、どこかソフトマシーン的(笑)。

Grand Hotel Grand Hotel 〜 グランド・ホテル(1973)

クラシックとロックの融合…、古くから使われてきた言葉だし手法でもある。そしていくつものアルバムでそれが上手く融合した例もあるし、全く面白味のないものもある。しかし今でもロックの世界ではオーケストラが使われることは多いし、やはりクラシックとの融合という手法は当たり前に行われるようになってきたと考える方が自然かな。だからあまりそれを仰々しく書くようなこともないのかもしれん。こないだまでハマりまくっていたフィメールゴシックメタルだってやっぱり美しい音世界の構築=クラシックからの手法論がモチーフになっているワケだし。

 時代は1973年、というか1967年からなのだが正にロックとクラシックを融合した、と言うかその頃は未だロックですらきちんと確立されていなかったから、クラシック要素を最小単位のバンドが演奏するとこうなります、というお手本を提示し、更にそれがスタンダードになってしまったというプロコル・ハルムの「青い影」はあまりにも有名でしょ。荘厳さ漂うオルガンの音の中で美しメロディを聴かせてくれるアレです。

 でも一般的にはこの「青い影」の他にプロコル・ハルムってバンドの曲やアルバムなんて知ってる人少ないんだろうなぁ、と。ロックファンでもそう多くないんじゃないだろうか?このバンドも結構話題に上らないバンドのひとつで、実は色々な人が出入りしているしアルバムは多彩だし、実験精神も旺盛でサウンドは実に英国的だしという面白いバンドなのだ。かく言う自分もこれだけブログで英国ロック〜って書きながらついぞ思い出すことなく書くのは今回初めてだったりする…、はい、それくらい地味、というか目立たないバンドなんです。そういえば昔ほとんどのアルバム買い揃えて聴いていたなぁ〜と思い出した次第なんだが(笑)。

 で、その中で一番荘厳で雄大で感動的ですらあったアルバムはと言うと「グランド・ホテル」っつう作品だったのだ。アナログで聴いていた時からそういう印象だったのできっと今のリマスターCDで聴いたら凄く広がりのある音になっているのかなと好奇心が疼くモノの、まだまだCDを買い直すっつうとこには行かないのもこのバンドだからだろうか?いや、そういうワケではないが(笑)。何というのかな、バンドがあってオーケストラがある、っていうんじゃなくてオーケストラがバンドと同じレベルで存在していて、一緒に楽曲を演奏しているという一体感が融合の成功の事例だと思うんだけど、正にそんな感じで多分メロトロンとかで誤魔化して作っていなくて全部ホンモノのオーケストラ使ってるからその荘厳さは圧倒的だし、気品あるっていう言葉になるのか、様式美の美しさを物語っている作品。だから当然ながらロックだぜ〜って言ってる音楽からは全然かけ離れたロック…、というか英国音楽、だな。ムーディー・ブルースやBJHもそうだけどプログレっつうよりはシンフォニックロック、それよりも英国音楽という特殊ジャンルを形成しているバンド群だと思うモン。

 この後の「異国の鳥と果物」とこの「グランド・ホテル」は彼等の音楽的最高傑作を極めた作品で、前者はジャケットも素晴らしくて是非アナログで欲しくなるもの。「Grand Hotel」もジャケットからして貴族的な印象だし、素晴らしいよね。

異国の鳥と果物 Exotic Birds and Fruit 〜 異国の鳥と果物(1974)

英国のプログレから始まり、70年代英国B級ロックまでをひたすら深い森の中で彷徨うことになるんだけど、それにも一応順序ってものがあってさ、まぁ、何だ、人によって違うのだろうけど最初からメロウキャンドルやルームなんてのに行く人もあまりいないだろう(笑)。大体は何かしらのプログレメジャーバンド、クリムゾンなりジェネシスなりフロイドなり、っていう辺りから入っていって、すぐにソフトマシーンとかキャラバンとかヴァン・ダー・グラフとかその辺が出てきてついでにジェスロ・タルとかプロコル・ハルムとかムーディー・ブルースとか出てくるか、その逆かってとこじゃないだろうか?ムーディー・ブルースとプロコル・ハルムってのは60年代にヒット曲を飛ばしているので、何となく入りやすい部分はあるのでメジャー所と同じ位置付けではあるだろうけど、それはあくまでも60年代サウンドだもんなぁ。

 …ってなことで勝手な解釈ではあるんだけど、プロコル・ハルム。つったら「青い影」が出てくるんだけど、どっちかっつうとあれが彼等としても異色な作品としてもいいんじゃないだろうか?まぁ、クラシカルで荘厳な音という点では代表曲なんだろうけどさ。自分的にこのバンドを聴き直したのは以降の「Grand Hotel」だったり今回紹介する「異国の鳥と果物」だったりする。どっちも名作扱いされていて、プロコル・ハルムの一番良い時期を映し出していると思うんだよね。

 「異国の鳥と果物」。1974年リリースのファンタジックさが溢れ出る愛らしいジャケットに包まれた、そして中身もジャケットに負けず劣らずのカラフルさを持っているナイスなアルバム。重厚なサウンドに変わりはないけどそれまでのクラシカルな路線ではなくって音が密集しているという感じで、ステレオ感に乏しいんだけどその分重厚な音作り…、これってクリス・トーマスの作品?そうだ、そうだ。この人のって特徴的だもんね。いや、あんまりプロデューサーって意識しないようにしてるんだけど、やっぱ特徴的だと、ね。

 しかし良く出来てるアルバムで、ほのぼのとした曲なんだけどBJウィルソンのドラムはドカスカと重い音で鳴っているので軽くならない(笑)。そこにゲイリー・ブルッカーの鍵盤なのでやっぱり軽くはならないんだけどさ、その風格が英国的で良いなぁ〜と。なんだろうね、この不思議な感覚は。彼の歌も妙に明るく脳天気な側面もあったりしてユニークだし、ギターは既にロビン・トロワーから変わっているのでミック・グラハムなんだけど、それでももちろんかなり曲にマッチした、逆に言えば実にハードにギターを弾いているのでロック的によい。しかしどの曲もメランコリックなメロディラインとコミカルな側面が面白いなぁ。特にA面はもの凄くとっつきやすいし楽曲的にもレベルが高くて面白いのでなかなか手の出ない人にもお勧めしたいね。意外な音世界に出会えると思います♪