U.K.+ Asia

U.K. U.K.〜 U.K. (1978)

ついでだからホールズワースが後から関わった割に自身を有名にしてしまったU.K.というバンドの紹介もしておこう。簡単に言えば末期キング・クリムゾンからロバート・フリップの変わりにホールズワースを加入させたバンドメンバー構成になっている。しかし当然それは結果論の偶然であってクリムゾンの延長線だなどとは誰も思ってないんだろうなぁ。自分も含めてね。言われてみると、そうか、そういうメンバーだ、とは思うけど、それはやっぱフリップ卿がいないからそう考えられないだけだろうな。うん。

 まぁ、自分的に聴いた感じでは「テクニック史上主義バンド」みたいなモンで、そりゃ、みんなそんんだけのテクがある人が集まっているので当然そうなるわけだ。しかし、曲を聴いているとわかるんだけど、どうしてこんなに変拍子で曲がグイグイとグルーブしていくんだ?それこそがジョン・ウェットンの恐ろしいトコロで、変拍子とか気にしなければ普通のビートでグルーブが効いているっていうくらいにしか聞こえないくらいに普通にのれるんだもん。オカシイよ、それ(笑)。ブラッフォードのプレイも相変わらずなんだけど、やっぱこの二人はヘン。アルバムを効いているとホールズワースもそんなに出しゃばってなくって普通にバンドに溶け込んだ演奏なんだけど、やっぱりこのバックメンバー二人とエディ・ジョブソンがいたにも関わらず思い切り目立ってしまったらしい。やっぱりホールズワースもかなりヘンだ(笑)。

 しかしこの後のウェットンがエイジアに進んだようなことからわかるように彼はポップ志向が割と強い傾向にある人で、純粋にテクニカル志向が強いブラッフォードとホールズワースは脱退してしまい、その穴埋めにテリー・ボジオ参加、っつう冗談みたいな話になるのだ。で、もともとトリオ編成志向だったウェットンとジョブソンはボジオを含めた超絶ポップバンドを目指すのだが、あまりにもメンバーのアクが強くて実に素晴らしいアルバム「デンジャー・マネー」が出来上がってしまったのだった(笑)。それで来日公演して更にインパクトを残すのであった…。その日本公演もCDになってるので聞いてみれば一目瞭然か。

Danger Money U.K.〜 Danger Money (1979)

先日キング・クリムゾンの「In the Court of the Crimson King: Limited Box Set Edition/+Dvda」と「レッド」と「リザード」が40周年記念盤としてリリースされていて、果たしてなんだろうか?などと思っていたんだけど、確かに貴重で驚くテイクも入っていてちょっとそそられる部分はあるんだけど…、やっぱやりすぎだよな…という気もするのでなかなか、ね。まぁ、それもあってクロスオーバーサウンドか…とBrand Xと同時に挙げられるのがやっぱU.K.なんだろうね。普通はそれもファースト「U.K.」なんだが、「U.K.」は既に書いてしまったのでせっかく思い出したついでにセカンドの「Danger Money」を…。

 1979年リリースだからやっぱちょっと行き過ぎてる…、と聴いてみて思った(笑)。印象ではもっとテクニカルなクロスーバーサウンドのバンドに近いと思ってたんだけど、いやいや、しっかりと英国スーパーバンドの音色でしたよ。そのままAsiaが出来たのがよくわかる布石みたいなモンでして、音楽的な流れでここに登場させたつもりが大きく異なってしまった(笑)。まぁ、それでもテクニシャンバンドによる演奏重視…でもないか…、う〜ん、やっぱりファースト「U.K.」は金字塔だったんだ。

 何を戸惑っているかと言うとですね、歌モノになっちゃってるんですよ、このセカンド「Danger Money」は。ヘタじゃないしもちろん練られているし完璧に近いんだろうけど、面白くない…ってか面白味に欠ける。あまりにもプロ過ぎて普通に聴けてしまうのが哀しい…。最近のB級バンドづくしによって変な好みが付いてしまったかもしれないのだが。確かに曲の展開とかが凝縮されていてアレンジなども見事なんだけど…、やっぱねぇ…。  さ、気を取り直して「Danger Money」をもう一度聴いてみよう…。

 後のエイジアほどのポップさではないが、ドラムはブラッフォードからテリー・ボジオに替わり、アラン・ホールズワースはそのまま離脱。即ち超絶技巧派なジャズメンを醸し出せる人が消えてしまったってことです。その分間奏などはプログレ的なセンスが存分に感じられるものの、聴きやすい、軽い、という売れ線と言われてもおかしくないサウンドに変化。エディ・ジョブソンが大活躍っていうトコロではあるが、これでジョン・ウェットンもまたまた歌とベースに味を占めている(笑)。あまりにも洗練されていて湿った英国の香りから高貴な英国の香りに変わってしまった素晴らしいバンド、そしてバンド名U.K.に恥じないサウンドではある。

 ん、ま、そんなもんか。やっぱ好みじゃないけど…、ウェットンの歌声は好きだからなぁ…。

One of a Kind Bill Bruford 〜 One of a Kind (1979)

ロックの偉人達がジャズに接近してクロスオーヴァーなサウンドを奏でる…、もちろんテクニックはないとできないし、才能も必要だろうし、多分楽譜も必要だろうから普通のロックミュージシャンレベルでは難しい。もっともそっちに興味が向くことはないだろうけど。簡単に言えばジェフ・ベックは到達しちゃったけどクラプトンはそっちには進まないし、ジミー・ペイジはもっとバンドアンサンブルに邁進したというところで、何が良いというワケでもなくクロスオーヴァーな世界は実にミュージシャン…というかテクニカルなプレイヤー達の楽しめる場所だったようだ。そんな代表でもあるビル・ブラッフォードというリズムの天才がソロリーダー作で到達した世界もそこにあり、ファーストアルバム「Feels Good to Me」ではかなりアグレッシブな取り組みを見せた。そして今度はセカンドアルバム「One of a Kind」の登場です。

 1979年のリリースなんだけど、要するに先のU.K.をホールズワースと共に離脱してこっちのプロジェクトで一緒にやることにしたようだ。U.K.のポップさに辟易してミュージシャン的探求心を求めた結果がこのアルバムによる回答なんだろうと思う。不器用なミュージシャンで魂売れなかったんだろうなぁ…、ブラッフォード、偉いなぁ…とふと思ってしまった(笑)。

 そのアルバム「One of a Kind」は一言で言えばインストのクロスオーヴァーに近いサウンドなんだが…、この手が苦手な自分が実はブラッフォードは好きな類に入るバンドなのだ。理由はよくわからないけど、カンタベリー系統だからだと思う。…って纏め過ぎなんだが(笑)、いや、多分ね、そうなんだよ。軽やかなんだけどしっかりと英国的な重さっていうか湿っぽさがあって、それはブラッフォードのドラムにもあるし、ホールズワースからも感じる。そして鍵盤奏者のデイヴスチュワートは正にそのままNational Healthだからね。ベーシストはアメリカ人のバカテクベーシストのJeff Berlinという人で、これもまた凄いワザをたくさん聴けるんだが…、なんつうのかね、全部変拍子っても過言じゃないけど、聴きやすい。そしてフュージョン的ではなくってカンタベリー的サウンド浮遊感が心地良いんです。ホールズワースの出番も見事だし、デイブ・スチュワートのピアノやシンセなんかも美しいし、もちろんブラッフォード独特のあのピッコロの音は健在でして、特徴的だよね、やっぱり。

 この音世界って脈々と引き継がれているのだろうか?なかなか聴かないからわからないけど、非常にユニークで温かみのあるサウンドなのでインストなんだけど心地良いんで、一度体験してもらいたいアルバムだね。ファーストよりももっとロックと融合しているからテクだけを聴かせるってんじゃないし、よろしい作品。

詠時感〜時へのロマン Asia Asia - Asia詠時感〜時へのロマン (1982)

 カネに釣られてポップ化しただろう、お前らっ!って言われたバンドも時が流れ、結局音楽そのものを評価されることとなり、当時の裏切り者呼ばわりの辛い思いってのも報われたのかもしれない。皆若かったってことで(笑)。そういうバンドの代表的でもあったエイジアやイエスやジェネシスってのは実力があったからこそ売れたかったんだろう。それでもロック的魂があったEL&Pなんてのは巧く転身しきれなかったしね。まぁ、そういうことで、だ、まずは当時叩かれまくったエイジアの面々…いわずと知れた、プログレの大御所さん達が集まって、しかもジャケットはロジャー・ディーンによる如何にもスーパーバンドだったのです。

 1982年発表の期待のスーパーグループ、エイジアによるファーストアルバム「詠時感〜時へのロマン」。レコードに針を落とす前からこの面々によるスーパーな衝突を期待して聴くワケだ。ところが何というのか…、これは…、頭の中ではポップスとわかってはいるけど、そんな言葉は全然頭に浮かばなくって、それぞれの猛者達の過去のカタログからどういう系統の作風かを探索して自分なりに答えを導き出したくなる…、が、全く見当たらない。しかしどうも違う…。するとヒットチャートに顔を出してきてこれがポップスだということに気付くのだった…。

 いやいや、そうは言わないけどさ、それくらいの期待度で裏切られ具合だった、ってことですよ。普通に聴けばもの凄く良くできてて聴きやすくて爽やかだし、アメリカでもばっちりでしょう、ってなくらいに出来ているし…、これほどのコーラスワークも凄いって思うしね。元々ジョン・ウェットンはポップな指向があった人だし、一番驚いたのはスティーヴ・ハウかな。あれほどのテクニックなのにギタリスト指向に走らずにこういうエイジアの音をやっているってのはやっぱカネのためって感じしちゃうかな(笑)。他のメンバーは割とそのままって気がするもん。カール・パーマーにしてもそれほど音楽的指向性が強い人でもないだろうし、ジェフリー・ダウンズにしてもそんなに強烈でもないでしょ。だからそう考えてみると納得度が高いハズ。

 そんでもって、ファーストアルバム「詠時感〜時へのロマン」なんだが…、名盤じゃないか、これ(笑)。透明感溢れる良質ポップスだけど確かなテクニックと所々に散りばめられた凝った要素が強者達のこだわりとして聴けるロック。うん、ロックですよ、これは。音デカイし。再結成してツアーやって…とファンが望んだのもよくわかるね。

Alpha Asia Asia - AlphaAlpha (1983)

プログレ畑のミュージシャンによるテクニック志向型のバンドという図式と対極に超ポップさを打ち出したバンドというどちらも音楽というモノを熟知していなければ、また楽器を熟知していなければできなかったであろう方向性がある。もちろんリスナーとしてはやっぱりミュージシャン魂を追いかけてもらう方が聴いていて心地良いものだが、それでも自身の好きな音楽性とは別に売れ筋を追いかける時期ってのが必要なんだと認識して進んでいくミュージシャンの生き方も認めなければいけないのだ、と気付いたのはそう昔のことではない(笑)。やっぱり「何だよあれ」って非難する方が簡単なワケで、音楽性とか云々よりもその姿勢が気に入らないというワケだ。まぁ、リスナーなんて勝手だからねぇ…。

 そんなことを実感したバンドってのがエイジア「Alpha」なんだよね。もちろんリアルタイムで聴いていた頃はまだまだ子供時代なので別にイエスやクリムゾンやEL&Pの面子が売れ線を追求したバンドだなんて全然知らないで、「Asia - Anthologia - The Geffen Years Collection (1982-1990) - Don't Cry Don't Cry」のキャッチーなメロディと曲に踊らされていたっけ(笑)。もちろんカルチャー・クラブもエイジアも同じ土俵で聴いていた頃の話です。それが時間が経ってくるとプログレを知るようになり、エイジアのメンバーの名前とキャリアが一致してくるようになるといきなり「おぉ…そういうことだったのか…」と驚いたのワケだ。何であんなのやってたんだろ?やっぱ金だろうなぁ…とか考えるんだよね。ま、そりゃ仕事なんだからいいじゃねぇか、と今なら思えるんだけど当時はどこか釈然としない面もあったな。

 まぁ、そんなのは良しとして、とにかくエイジアの「Alpha」の曲ってのは滅茶苦茶ロマンに溢れていてキャッチーで壮大だったりする…これこそプログレ畑を歩んできたオトコ達の奏でる曲なんだろうな、良いトコ突いてるじゃないか。そう思うことにしよう(笑)。いや、そんなに別に気張らなくてもアルバム的にもしっかり出来ているし、曲中でも要所要所でのプレイはさすが、と思わせる部分もいっぱいあるので今改めて聴くとなかなか侮れないバンドなんだよな、当たり前だけど。しかし音が軽い(笑)。時代の産物の音色ではあるが、とにかく軽いのでジョン・ウェットンの良さとか全然よくわからないんだけど、まぁ、本人満足していたみたいなので良いんだろう。何てったってつい先日再結成して日本にもやって来たくらいだからなぁ。しかもエイジアとは名ばかりで各自のバンドの代表曲をバシバシ演奏したって話だし(笑)。

フェニックス Asia 〜 フェニックス (2008)

大物バンド再結成アルバムリリース劇に加えて早速の来日公演まで行ってくれてしまったエイジア。その日本公演は往年のファンを涙させたという単純な感動秘話から生きてるのか?みたいな確認のために行ったという輩もチラホラ、更にはあまりにもエイジアというよりも往年のプログレバンドの後光が輝いている曲が多くてお腹いっぱい状態という感想もいくつか…、そしてナマ声で聞こえてきたのはスティーヴ・ハウのギターがヘタレで見ていて辛い、というもの。う〜ん、あの華麗なるテクニックの影もなく本人と共にテクも枯れまくっていっているとのことで、見に行かなくてよかった…とシミジミ思ってしまう。

 こないだリリースしたオリジナルメンバーのエイジアによる新作「フェニックス」。このバンドも昔は単なるポップチャートに食い込むバンドのひとつでしかなくってプログレの英雄達による金稼ぎバンドという側面は知る由もなく、意識もしなかったんだけど、えらく透明感溢れてキャッチーな曲をプレイするバンドという印象のまま、今回のアルバム「フェニックス」でも全く同じ印象を受けたのだから、オリジナルメンバーによる再結集は音楽性にも的確に表れていることなのだろう。まぁ、ジョン・ウェットンのソングライティングが一番貢献しているとは思うんだけど、それにしてもこういう音で料理されるのは見事。

 初っ端の「Never Again」から最後までず〜っとあのエイジアの音で、プログレ的な展開を垣間見せる曲ももちろんあり、それでもクリスタルなサウンドでポップにリスナーを誘うスタイルは見事。コーラスワークからそれぞれの音ひとつが美しく、正にそのスジの人間達でなければ出てこないであろう「Sleeping Giant / No Way Back / reprise」なんてのは英国プログレ好きな人間には楽しい曲だしね。

 最初期のアルバム「Asia」「アルファ」あたりってのと比較してみても全く遜色ないし、もちろん音が新しくなっているのでエイジアというバンドの持つ音楽性には正に今の時代にピタッとハマったと云えるアルバム。これから何枚もアルバムがリリースされることは望めない様子なので、一枚一枚の作品を充実したものにして楽しませてもらいたいよね。うん。

オメガ Asia - オメガ (2010)

 そういえば今年エイジアって再結成して来日公演してたな…と、いや、それもともかく新しいアルバム出してたんじゃなかったっけ?とすっかり抜け落ちていた自分の記憶と記録を確認♪ やっぱりそうだよ、出してるよ新作(笑)。いや、こんな書き方したらそんなにエイジアに興味のいないヤツにブログ書く資格なしという野次も飛んできそうだが、書くのは勝手だろうよ(笑)。ま、そんなことは良しとして、ネット時代になるとリリース時に意識して聴かない場合以外は、どれも実は二次元でCDなり音なりを探して聴くという行為に変わりがないので40年前の音楽だろうと昨日の音楽だろうと大して変りはない。その理由からすると先日の「ICON」だって自分的には十分新作だったしね。

 そう、だからエイジアの2010年の新作「オメガ」でジョン・ウェットンとジェフリー・ダウンズが再びエイジアとして組んだ新作を聴いてます。2008年には「フェニックス」という作品も出しているから80年代レトロバンドの再結成劇としては成り立たないんだけど、作品の質がさ、結構期待しちゃうんだよ。ただやっぱ気になるのはエイジアという名前だとバンドの音のイメージもあるからジョン・ウェットンとジェフリー・ダウンズも「ICON」のような作風ではなくなるのかなという予感。もちろんプロフェッショナルな当人達だからそれくらいはコントロールしてくるだろうしさ。とりあえずジャケットは往年のロジャー・ディーン…、ん?これで?う〜ん…、よろしくないなぁ…これは。ロジャー・ディーンらしくないっつうか…、没個性というか誰でもできるだろ、これ?みたいな感じ。素人考えだけど。

 それよりも音聴く前から穿った見方をしたのは「オメガ」というアルバムタイトルだよ。ファーストアルバムって「Alpha」だったんだから「オメガ」ってことは最後ってことだろうか?それはそれで美しい終わり方ではあるけど、実際メンバーみんな相当爺さんだし病気持ちだし、見るからに死にそうなスティーブ・ハウだから洒落になってない気もするが…、どうだろう?

 そして音を聴いてみるとね、これがまたエイジアらしい快活で軽やかで爽やかで突き抜けた感があって気持ち良かったりするんだ。ジョン・ウェットンとジェフリー・ダウンズの「ICON」よりももっとポップでエイジアな感じはさすが。スティーブ・ハウのギターがこんなに歪ながら入ってくるのもね、なんだかな〜って感じはあるけど、そういうもんだろな。カール・パーマーに害はないからまぁ良いが。でもホントよく出来てる作品だな。この辺の音にハマる人の気持ちわかるわ。自分もハマろうかな、って思うくらい唯一無二の快活さ。ただ、残り感が少ないからどうなんか、ってのはあるとしても…時代的にはOKでしょ。流石に銘板の域を軽く作ってくれましたというベテランの余裕なアルバム♪

ICON (+ 5 Bonus Tracks) (re-issue) Wetton / Downes - ICON (2005)

 大英帝国の誇りと威厳を感じる楽曲ってのも挙げればキリがないんだけど、聴いた瞬間にこれはもう〜って感じで圧倒されるのは多くはない。それでも脈々とその流れは受け継がれていてアチラコチラで聴くことができるのが嬉しい。そういう音に出会うたびにニヤッとしてしまうもんね。さて、全然自分では知らなかったアルバムなんだけど、Twitterでフォロワーさんが呟いていたのを見て、どんなん?ってことで気になったので聴いてみたらかなり気に入ってしまったという大英帝国の誇り高き栄光を感じる2005年にリリースされた作品。

 ご存知ジョン・ウェットンとジェフリー・ダウンズの2名によるプロジェクトの最初の作品「ICON」。以降も何枚か出しているみたいなのでいずれ聴いていきたいなと思ってるけど、とにかくソングライティングが見事で、どこにもせせこましいトコロはないし、堂々と威厳を出しながらどっしりと大英帝国ぶりを発揮してくれている。それでいてメロディアスで聴きやすく美しく繊細なサウンド…、正にブリティッシュロックです、これこういうのなんです、英国って♪

 所詮エイジアへの再挑戦なんじゃないか?っていうアレもあるんだろうけどさ、比べるモンじゃなくていいんじゃない、っていう…、いや、こっちのが好きだもん、自分。ポップさがなくてメロディアスさが豊富なんだよ、「ICON」は。しかもジョン・ウェットンも相当気合入れて歌っているみたいで往年の歌声に風格が加わった余裕が素晴らしい。楽曲もこれまた二人で共作していっているようで、どっちもどっちのセンスが混ざっていてアルバムとして見事にハイレベルなサウンドに仕上がってるし。どれもこれもが美しく荘厳な雰囲気に包まれた、そしてコーラスワークやサウンドの上品さも真似できない世界。2005年にこんな音を出してくれたのは凄い。だからエイジアの再結成にも繋がったんだろう。

 更に最後の「In The End」に驚くべきおまけを付けてくれたのがこちらも再結成劇で往年のプログレファンを賑わせてくれたルネッサンスのアニー・ハスラムのゲスト参加。すなわちジョン・ウェットンとアニー・ハスラムのデュエットが聴けるワケですよ。それもこのゴージャスな音世界で双方が堂々と渡り合って聴かせてくれる素晴らしさ。作る側もよくわかってる。だから故になのか、フルートではイアン・マクドナルルドを参加させて更におまけの要素を増やすというジェフリー・ダウンズの発想。見事にリスナーはヤラれますね、これ。そんなゲストと話題がなくても十二分に楽しませてくれるのに、最後にコレだもんな。

 続編も出てるから聴けるのが楽しみなジョン・ウェットンとジェフリー・ダウンズのプロジェクト「ICON」。エイジアとはやや異なる世界での挑戦をこれからも楽しませてほしいですね。

I.O.U. Allan Holdsworth 〜 I.O.U. (1982)

超絶ギタリストとして名が挙がる人なんてのはいくらでもいるんだろうけど、その超絶ギタリスト達から超絶ギタリストとして崇められている職人的超絶ギタリストってのがアラン・ホールズワース。イングヴァイをしてそう言わせ、ヴァン・ヘイレンに至っては同じレーベルからレコードをリリースさせてしまうくらいの強引さで惚れ込んでいるようだ。当のアラン本人は結構偏屈というか変わった人らしく、決してメジャーフィールドには出てこないような人でいつも自分のやりたいことを追求するがあまりバンドという枠組みではなかなか収まり切らなかったようだし、ソロでもレコード会社との意向が合わないことが多かったようだ。

 しかし英国ロックファンの間では相当以前の作品から彼の名前は飛び交っていた。イギンボトムで英国シーンに出てきたのが最初だろうが、やっぱり重鎮ジョン・ハインズマン率いるテンペストの初代ギタリストとしてそのテクニックを散々披露してテンペストの名に恥じない神々しさを保っていたのだ。その後、丁度ジェフ・ベックが「Blow By Blow」出す頃にはそれよりもヘタしたら更に凄いと云われていたかも知れないソフト・マシーンの「Bundles」というアルバムでギターを弾いているが、いや、ソフツのファンからは結構好まれていない作品なんだけど、ホールズワース的感覚からしたらかなり面白いアルバムで凄いんだよね。で、後はまぁ、ゴングとかビル・ブラッフォードとやったり、その流れからU.K.に参加したりと流浪のミュージシャンぶりを発揮している。

 さてさてそんな中でもホールズワースのソロ作品として本人も満足度が高い「I.O.U.」という1982年の作品が割とメジャーではない?その後のワーナーから出した、エディ・ヴァン・ヘイレンの強い要請もあって出された「Road Games」と共にメジャーな作品。もうホールズワースのやりたいことやりまくりって感じで、要するに売れ筋なんて関係なしにテクニックと変拍子を披露しまくり当然フレージングも考えられているしアレンジもバランスもよくできている作品で、音を聴いているとどこかザッパのギターアルバム的な作りに似ているような感じで…、ロックジャズフュージョンっつうのかな、音的な好みではないけど、やっぱり凄い、と唸らせられるギタリスト的作品。それでもバックの面々との掛け合いやテクニカル面ではかなり良いトコ行っているのでやっぱり実力派集団で政策されたみたいだね。久々に聴いたけど、えらく聴きやすかった(笑)。これもベックでこういう音に慣れたからだろう。

 それにしても渡り鳥的に英国のプログレバンドを渡り歩いてきている人だねぇ。そしてそれらのバンドの作品のどれもあまり好みでないってことでそれほど聴かなかったものばかりなので、多分ホールズワースのギターが好きじゃなかったんだろうな。ゴングの「Gazeuse!」くらいかな、好みだったアルバムは。まぁ、いいじゃないか、それでも聴いてから好みが分かれるんだから(笑)。